2026/3/26 Thu
春の風と野焼きの匂い

晴れ時々曇り.温度:11 ℃,湿度:73%,体感温度:9 ℃,風速:12.2 km/時,風向:NNE
Day5はこちら ⇒ 春・九州・BROMPTON Day5:天草~三角~熊本
九州のチャリ旅といえば,真っ先に思い浮かぶのが「阿蘇山」.
19歳.オートバイ購入後初のロングツーリング.
その行き先が九州だった.
大阪港からフェリーで宮崎に入って北上.
カメラも持たず,行き先も決めずにうろうろ.
湯布院を経由して,やまなみハイウェイを目指したことはうっすらと覚えている.
そして強風吹き荒れる中,横風にあおられて転倒.
斜面に倒れた400ccのバイクを一人で起こすことができなくて,クルマの人に助けてもらった(こういう記憶は鮮明に残る).
今回のチャリ旅でも当初は「阿蘇」をルートに組み込んでいた.
だが,寒さ,強風,黄砂,花粉,野焼きなどの悪条件が揃うこの時期,AIにも散々脅されて別ルートを再検討した.
その阿蘇行きプランが,天気の周期もあって復活.
遅ればせながら「熊本から阿蘇までチャリで自走する必要はない.輪行して”おいしいところ”だけ走ればいいのだ...」と気づいた.
ようするに本日は同じホテルに連泊である.
昨日は雨に降られたが,本日は快晴予報.
気温も高めという.
これは千載一遇のチャンスでしょう.
朝食はコンビニで取ることにして7時前に宿を出る.
朝日がまぶしい.

そして荷物を下したBROのなんと軽快なことか.
連泊の恩恵を最大限に利用.
まるで羽が生えた感.
これで阿蘇もすいすい登れる(はず).
7時半頃に熊本駅着.
輪行準備をして,JR豊肥線の阿蘇駅までのチケットを買う.
事前に調べた際,¥4,000という運賃設定に驚いたが,それは完全に誤解で,それは大分行きの観光列車「あそぼーい」の料金だった.
各駅停車のローカル線だと¥1,300で一安心.むしろ景色をじっくり見たい派としてはこっちの方がベター.

駅構内にファミマを発見.
総菜パンと野菜ジュース,缶コーヒーの朝食.
これからヒルクライムだというのに,いつもと比べると圧倒的に少ない.
大丈夫か.
さて,世間的には平日の朝である.
見事に通勤・通学時間と重なり結構な人出.
土地勘のない場所,行き先である.
どこから乗るのかもさっぱりわからん.
こんな時には素直に駅員さんに聞きましょう.
すいません阿蘇駅に行きたいのですが.
「1番ホーム,7時49分発の肥後大津行きに乗ってくださ~い」
はい,わかりました...って,今何時? 7時47分やんけ!
BROを掴んでダッシュ&ダッシュ.ちゃんと時刻は調べておきましょう.
こいつを逃すと次は10時46分だった.やばいやばい.
で,肥後大津って何? 阿蘇じゃないの?
輪行のセオリーとして,先頭もしくは最後尾車両のドア付近のスキマにチャリを置く.
昨日と違って混んでいるのだ(大阪の比ではないが).
もちろん座らない.
見知らぬ風景を楽しむ.
やがて,懸念の「肥後大津」駅着.
「え~この電車はここで終着で~す」とのアナウンス.
次,どうすんの?
こんな時には人頼み.
折り返して熊本駅に向かうと思われる乗客の女性に「すいません.阿蘇に行くにはどうしたらいいんですか?」と聞く.
大荷物のピチピチジャージのおっさんにいきなり話しかけられたのだ,その女性,ふるえる手で「あ,あっちのホ,ホームの黄色い電車に乗って...」と指さす(やや誇張してます).
ありがとうございましたぁ!とあわてて移動.
なんかすっかり海外を旅行している気分になってきた.楽しい.
(事前に時刻表や接続を調べておきましょう)

肥後大津駅を出発.
運転手さんに阿蘇行であることを確認して一安心.
朝食食べますか.

ここからローカル度が上がる.
架線がディーゼルに変わる.
カルデラを越えるダイナミックな路線はなかなか感動的.
標高を稼ぐためにスイッチバックを行うなど,鉄道オタクにはたまらん路線らしい(アナウンスあり).Kazchariは”鉄”ではないが,それでも面白かった.
ただし一つ懸念事項が...
停車駅でドアが開く度,冷風が車内に入り込んでくるのだ.
標高が上がるに連れ,明らかに気温が下がっている.

となると困るのが服装.
いつもの長袖インナーに半袖ジャージ.
ビブ+レッグウォーマー.
指出しグローブ.
防寒具として持参しているのはウインドブレーカーのみ...
もしかしてやっちまった?
で,なんだかんだでJR阿蘇駅着.
駅舎の前で輪行解除.
やはりヒヤッとする.
なけなしのウインドブレーカーを羽織り,行くぞ!

すぐ目の前にローソン発見.
ここで補給すべきだった...(アドレナリン全開)
先日の島原半島同様,適当に走ると迷ってしまい時間配分ができなくなると判断.
昨夜のうちにおすすめルートをナビに入れておいた.
参考にしたのはこのサイト.
ホンマ世の中便利になった.
しっかりgpxファイルを用意してくれている.
掲載されているルートのうち,阿蘇駅スタートのROUTE1「阿蘇五岳一周ルート」(65.7km/1,457m)と,ROUTE2「阿蘇北外輪山ルート」(57.8km/847m)の2本をナビにダウンロードしておいた.
もちろん,走りごたえのあるのはROUTE1だが,距離+獲得標高を考えると,現時刻の10時出発,帰りが14時の列車だとかなり厳しい.
ゆえに,今回はROUTE2を走ることにした.
走りだしてすぐにグラベル.やれやれだぜ.

最初は田んぼエリア.
そのせいかあちこちから湧き水.
わんさか噴いていて,絶対においしそう.

この印象的な一本木を過ぎると,すぐに登り開始.

ROUTE2は実にわかりやすい台形プロフィール.
苦しいのは前半.

登りに入ると道が急に細くなり,舗装も荒れだす.
交通量も皆無で「ホンマにここ?」的なルート.

荷物がないと楽だな.
とは言え,さすがに登り続けていると汗が出てきた.
ウインドブレーカーをキャストオフ.
意外にも,この後,駅に戻るまで着ることはなかった.
ヤバい寒気は朝だけ.山の気候だな.

ナビに表示されるのは,このエグイつづら折れ.
とは言え,最大でも10%程度の斜度か.

登り終了.
外輪の尾根に到着したようだ.
早くも絶景が待っていた.

野焼きは既に終了.
荒涼とした景色の中を走る.

眼下に見えるグネグネ道は,走りごたえありそうなグラベル.
アメリカ的というか,メーカーのパンフに乗ってそうな道である.
さすがにBROでの突入は遠慮した.
つーか,勝手に入ってもよいのだろうか?(たぶんダメです)

昨日の雨の名残.
逃げ場はないので,押し歩く.
BROのフェンダーは超優秀なので全く汚れない.

どこからどこまでなのかわからんけど,個人の牧場内道路を走ってきたようだ.

ここから少し広い道路に出る.
いわゆる「ミルクロード」である.
40年前も通ったと思うが,全く覚えていない.
風が強い.
サイドスタンドだとコケる可能性があるので,おすわりスタイルに.
リアラックが付いたので安定感抜群である.

カルデラの尾根をぐるっと周る.
なんかケニアに似た風景だな.
KUMAMOTOつながりだけに(違う).

で,一大観光スポットである「大観峯」着.
クルマもバイクもヒトも混ざってエライ人である.
平日とは言え,さすがハイシーズンだ.
ご覧の通りの晴天やし.

自撮りもいいけど,今日の旅はここがハイライトになりそう.
誰かに頼んで全身像も撮ってもらうか...
近くにいい人は...おお,ちょうどヒジャブをかぶったおねーさんが.
顔がアジアっぽいので,マレーもしくはインドネシア人とみた.
「Excuse me, Would you take a photo of me?」
「sure!」
おお,通じた.ダメならマレー語(「Photo,boleh?」)を用意していたけど.

もちろん撮影後は「You, too?」と聞くのがマナー.
でも「no thank you」と断られた.
台湾でよくしてたように一緒に撮ればよかったかな.
最後に「Terima kasih!」と言うと,しっかり「Sama sama~」と返ってきた.やっぱこういう交流が旅の醍醐味だな.
と,おねーさんに挨拶していると,突風が吹いてBROが倒れてしまった.
くぁwせdrftgyふじこlp~!
運悪く,フレーム部分が台座の角にガリガリと...

シクシクシク36.これが旅チャリの運命か...人は何度同じ過ちを繰り返すのか...
※ 旭川に帰宅後,ガンダムマーカーでタッチアップしました.
撮影後,大観峰の売店まで走る.
バイクが大量に止まっている.
そこから展望ポイントまで歩くのがセオリ―のようだ.
もうBROをこかしたくないので,おすわり姿勢でイスにロック.

200mほど歩いてでっぱりの先端へ.
...うーん,なんか思ってたんとちゃう.
写真でみた,道路がウネウネと続いているいわゆる「ラピュタの道」が見れると思ったのだが...(※それは別の場所で現在通行止め)

売店に戻り腹ごしらえ.
朝,総菜パンを食べたきりなので飢えている.
ただし,スナック的なものしか見つけられず,かつ量のわりに高いのがネック.
そんな中,「馬まん」なるものを発見(¥500).
要するに馬肉まんじゅうだ.
これはここでしか食えない.買いだな.

まっ,普通.
ゆっくりしたいところだが人が多すぎて落ち着かん.
平日でこれだと,土日はとんでもなさそう.
不思議なことに,阿蘇という聖地的な場所にもかかわらず,ここまでチャリの姿を全く見ていない.
そして,かれこれ6日ほど九州に滞在しているけど,スポーツチャリと交差したのは全部で3台ほど.
びっくりするほど会わん.なぜ?
台湾や四国,ましてや北海道とはエライ違いである.
九州はサイクルツーリズムがいまいち浸透していないのか.
これは九州一周もしくは,3島制覇ジャージの導入待ったなしやな(燃える).

「大観峯」を出ると下り基調.実に爽快.

なんだかんだで絶景続きでストップ多し.
あちこちにスポットがあるけど,私有地や立ち入り禁の牧草地もあるので注意.
牛,発見.
北海道と違って「肉」用だろう.今夜は何食べる?

にしても良い景色だ.
BROの,先を急がせないゆったりとしたポジションが,今,ここにいる幸福を実感させようとしてくる.
阿蘇へのルート変更は大正解だった.
心配していた花粉も黄砂も野焼きも全然問題なし.
空気も澄んでいる.

チャリには全然会わないけど,オートバイはガンガン走っている.
若い時はオートバイに夢中,還暦近くになってチャリで(一般的には)ハードな旅.順序が逆だな.

凍結注意の看板.
九州でも凍る時には凍る.
事前情報でも「3月はまだ降雪の可能性がある」とのことだった.
早朝だと湧水が流れた後の道路がアイスバーン化しててもおかしくない.
今日は大丈夫やけど.

プロフィールの台形の縁を,長々とダウンヒルして北外輪山周遊終了.
むっちゃ楽しめた.
次回,再訪時にはROUTE1,つまり阿蘇駅から南方面の山々を走りたい.

これも下り途中の写真.
野焼かれてますなぁ.
別の季節の風景も見たくなる.

平地に下りてゴールの阿蘇駅を目指す.
気温も上がり,実にサイクリング日和.
ただし朝からロクに食べてないのでガス欠気味.
周囲には補給ポイントが全然ない.
かろうじて自販機で赤コーラを.
道民感覚からすると,ゴミ箱設置がありがたい.

幹線道路を離れて畑の直線道路.
どこか北海道的.
なんだかんだで意外に広い日本(田舎限定).

ようやく駅のある集落に帰って来た.
光があり池があり桜がある.いかにもな春の画.

阿蘇駅のプラットホームの長さが足りず,謎の豪華列車がはみ出ている?

これはJR九州が運行する豪華寝台列車「ななつ星」だそうな.
鉄道に関する知識が皆無なので,最初はこいつが「あそぼーい」だと思っていたが,さらに上級グレードの列車だった.確かに見るからにお高級.
北海道に帰宅後,公式ページを覗いてみる.
ただの特急列車ではなく,高級料理や豪華ホテルを組み合わせて,雲仙やら大分を周るパッケージツアーで使われる車両のようだ.
となると,気になるのはその料金である.
サイト内を探しても,なかなか料金表にたどり着かない.
潜りに潜って見つけたお値段は...
飲んでたコーヒーを吹いた.
退職後のブルジョア・シニアカップルが記念に参加する印象(偏見).
まっ,豪華客船クルーズ同様,Kazchariの価値観とは相容れない世界だな.
何より,全く動かない=腹が減らない=高級料理がもったいない...やはりチャリ旅が至高!(さらに偏見)

熊本(肥後大津)行きの列車が出発する30分前に駅に戻ってこれた.
計算通りっ!
腹が減った.
ローソンにかけこんで昼食を購入.駅前のベンチへ.
ブルベ飯か.

駅前には『ワンピース』のキャラ銅像.よく知らない.
国内外の観光客に大人気で,撮影待ちの順番ができていた.
熊本県内あちこちにあるそうな(作者が熊本出身).
同様の町おこし手法として『進撃の巨人』の作者の出身地である大分にも,ミュージアムや展示コーナーがあちこちにあるらしい.
次回は大分に行かねば.

列車の発車時刻が迫って来たので輪行準備.
BROなのであっという間に完了.
西洋人観光客が「Oh…BROMPTON Paris Editon…」と呟きながら歩いて行ったのが印象的.
そこまで特定するとは,もしかしてイギリス人チャリダーか?

ホームにてしばし待機.
次の列車,つまりもう2時間遅らせて「五岳一周ルート」にすれば良かったかも.
いや,こういうお楽しみは腹八分目にして,次回にとっておくのがベター.

今度は赤い列車.別に3倍速いわけではない.
途中の停車駅のホームで,韓国人の少年がカメラでバチバチと写真を撮っていた.
運転手に日本語オンリーで「ここで降りるの?降りないの?」と詰問されて固まっていた.少々気の毒だったが,基本的に現地の人は現地の言葉を話すのだよ,少年.それも経験.それぞ旅.

それにしても,この熊本と大分を結ぶ豊肥本線は実に美しい風景の中を走る.
視界が開けるたびに眼下の集落が小さくなっていく三段式スイッチバックはもちろんのこと,火山群の稜線,田園風景,そしてこの時期の深い緑と桜.
午後から夕方にかけての淡い光が,柔らかく暖かいフィルターをこれらの景色にかけて幻想的な景色となる.言うなれば桃源郷.
まぁ,Kazchariは”鉄”ではないので,この列車に乗るためだけにここに来ることはないだろうけど,人生五指に入る鉄道乗車経験かも.

往路同様に「肥後大津」で乗り換えて,熊本駅へ.
徐々に都会となって無事到着.所要時間約90分の鉄道旅.

さぁ,宿に帰りましょう.
こうして見ると,松山しかり鹿児島しかり,地方の大き目の都市には路面電車がまだまだ残ってるなぁ.
そう言えば札幌と函館にもある.早々に廃止した旭川がめずらしいのか(1972年全線廃止).

個人的熊本ランドマークである白川沿いのサイクリングロードへ.

すぐにホテルが見えてきたが,このまま帰るのはもったいない.
せっかくなので熊本市内を観光しませう.
本来BROはアーバンなシティコミューターなのだ.
決してハードなヒルクライムやブルベ用のチャリではありません.

言わずと知れた熊本城.
ケチケチKazchariは入場料(¥800)を払うのが嫌で,遠景撮影.

お堀では桜まつり.屋台も出ていた.
そういや数日前もこの道走ったな.

ショッピングセンター?
全面ガラスに植物だらけのベランダという,日本っぽくない建築様式.
目の前は歩行者道路だが,チャリなので押し歩けば問題ない.

つーことで,数km寄り道してホテルに帰還.
やはり(たまの)連泊は旅を豊かにする.
宿が決まっているというだけで,心理的にもその日を目一杯楽しめる.

昨日の気のいいフロントスタッフがいた.
約束通り,明朝は¥1,650の朝食バイキングをいただきますよ~
見せてもらおうか,熊本の「赤牛丼」の実力とやらを!

部屋に戻って,洗濯,入浴などのルーチンをこなす.
さて,夜はどうする?
また『湯らっくす』?
その後は昨日の定食屋?
うーん,さすがに二夜連続はありがたみが薄れる.
今日は違う行動をしてみよう,とGoogle先生に相談.
宿の近くに評判の良い中華料理店があった.
ここにしよう.

で,やってまいりました『中華麺飯 青龍』.
時間的に混んでいるかなと思いきや,テーブルに座っているのは家族連れ一組だけだった.
メニューを見る.
いや,これがもう全部美味しそう.
なんと,事前予約が必要だが「北京ダック」まである本格中華.
もちろん,オーナーも(たぶん)中国人だ.
悩みに悩んで「熊本名物」の文字につられて「タイピーエン」と「餃子」を注文した.

この謎の「タイピーエン」こと「太平燕」とは,春雨をメインに炒めた野菜や豚肉,エビ,たけのこ,かまぼこ,しいたけなどを入れた具沢山の中華風春雨スープこと.明治時代に華僑が福建省の郷土料理を熊本に伝え,日本人の口に合わせてアヒルの卵を鶏卵へ,麺を春雨へとアレンジして根付いたらしい.熊本の学校給食でも提供されるソウルフードゆえに名物となった(Wiki調べ).
...とまぁ,そんな御託はともかく,食うべし.
めちゃめちゃ美味かった.
当然,遅れて出て来た餃子も...

これまた文句なしの味.
昨夜の定食屋といい,その前の天草といい,熊本の食のレベルの高さは異常.
そして,この旅の後,旭川で人に会う度,熊本行きを薦めるKazchariの姿があった.

さぁ,この旅もゴールが見えて来た.
明日はひたすら南下.
そして,もちろん快晴予報!
※ Day7へ続く.

