2026/3/27 Fri
天国と地獄

晴れ時々曇り.温度:9 ℃,湿度:82%,体感温度:10 ℃,風速:3.6 km/時,風向:ENE
Day6はこちら ⇒ 春・九州・BROMPTON Day6:阿蘇北外輪山
朝である.
名残惜しいが,グルメ王国「熊本」を去り南下を始める.
目的地は「えびの」である.
今回,初の宮崎INとなる.
昨夜はルーティンの宿選びにまたしても手間取る.
諫早・天草以降,大浴場,サウナ,温泉と風呂づいている.
やはりその日の締めくくりをシャワーではなく湯船で締めくくりたいのが日本人の性である.
ましてや温泉天国九州にいるのだ.
今日向かうのは霧島山のふもと.
周辺は温泉だらけである.
高級旅館に泊まる財力はないが,色々と検索し,とある温泉宿を発見.
公式の写真だと建物はボロだが(失礼ですよ),なんと今どき¥8,000台で2食付き.
これは味わい深い.泊まってみたい.
サイトの更新が数年前で止まっているのが気になるが,直電して予約できるかどうか聞いてみることにした.
すいません,一人なんですけど,明日泊まれますか?
「あぁ,えーと,はい,あのですねぇ,女将が昨年から入院してましてぇ,食事が出せないんですよぉ.素泊まりなら大丈夫ですけど...」
うーむ.地元料理が食べられないのでは意味がない.
申し出は丁重に辞退.
近くに他の宿もないことはないが,探すのが面倒になった.
温泉宿は諦めて,ここは”みんな大好き”AZ HOTELにしよう,と「えびの店」に予約を入れる.
さすが俺たちのAZ,しっかり空室あり.
そして,ここのAZには敷地内にステーキ屋があるのだ! み,宮崎牛が待っている.
つーことで例によって5時過ぎに起床.
最近は持病の偏頭痛も全然起きない.
ホンマ,旅に出ると快食・快眠.要は健康になる.
6時を待って朝風呂へ.
そして,いよいよお楽しみの朝食バイキングである.

目玉の「赤牛丼」をさらにアップで.

盛り付けが汚い?
こまけーことはいーんだよ.
これがまた,美味い&美味い.
とろける肉の旨みでエネルギーをフルチャージ.
一皿限定のこのメインディッシュの他にも熊本の名産品が大量に並ぶ.
どれもこれも美味い.
まさに「至高」.
これで¥1,650は超オトクである.
ちなみに市内の専門店で「赤牛丼」を食べると,¥3,000は下らない模様(量は多いだろうけど).
で,たらふく食べた後は部屋に戻ってパッキング.チェックアウトする.

『HOTEL THE 7 熊本』.実にいい宿だった.
さて,時刻は7時過ぎ.
本日も平日.通勤・通学のクルマと自転車の猛攻をかわしつつ,熊本市内の脱出を図る.

数日前に走って来た国道3号を逆走する.
新幹線の操車場や,交差点の巨大歩道橋など,なんとなく記憶に残っている.
いずれにせよ交通量の多い幹線道路なので...走ってても面白くない.

先日同様,県道14号にスイッチ.
途中のローソンで休憩.
少し退屈なので,走りに刺激を入れる試みとして,未経験のグミを買ってみる.
うん.こいつは...これっきりかな.

で,再び国道に合流し,すぐに新ルートへ.
球磨川が見えて来た.
交通量が減って快適ライドに.春らしい風景.

明日は鹿児島にいる必要があるため,こうして南下しているわけだが,そのルートはいくつかある.
今回この国道219号ルートを選んだのはJR肥薩線と並走しているから.
それに,山間部で何かトラブルがあっても,輪行すればどうにかなるという安心感がある.

種田山頭火の句碑.
このみちやいくたりゆきしわれはけふゆく
”いくたり”してないけど,漂泊の俳人,山頭火の句は旅人魂に刺さる.
句碑を過ぎるとJR肥薩線と並走することになるのだが,何か様子が変.
例えば下の踏切.

線路が雑草に覆われて,どう見ても廃線状態.
少し進むと線路そのものが撤去されてたり,枕木の下が陥没してたりする.
この踏切も全く機能していない.
熊本と言えば,10年前の熊本大地震が記憶に新しいが,この地域は別の災害,2020年7月の大洪水で被災していた.
恥ずかしながら全く知らなかった.
ゆえにこの後の道は,鉄道も道路も橋も崩壊跡が生々しく,復旧工事がひっきりなしに行われていた.

少し進んでは信号待ち,もしくは有人による誘導の連続アタック.
これがまぁ,なかなかにキツくて,対向のクルマを待たせたくないため,片道走行時は全力漕ぎ,抜けたら巡航,また停まって,全力漕ぎというインターバル.
一度,誘導員のトランシーバーの会話が聞こえた.
「えー,今から自転車が通りま~す.時間ですか? ”ロードバイク”なので速いと思いま~す」
すいません.ロードじゃないです.
こんな謎のプレッシャーをかけられたら,V-MAXを発動せざるを得ない.

時には国道が寸断されており,橋で対岸に渡ることも.

休憩・補給ポイントもない.
地図上は道の駅「坂本」が存在するが,災害のせいで休館中だった(2027年復活予定).

ようやく見つけた休憩ポイント.
ダム跡のようである.
ここでレッグウォーマーをキャスト・オフ.
徐々に暑くなってきた.

下の写真,お分かりになられただろうか?
橋だけが残り,前後の線路がなくなっている.
完全復旧までどれくらいかかるのだろう.

Geminiによると,全線を3区に分けて,それぞれで協議,一部運航再開の時期が決定されているそうな.
八代~人吉:2033年度復旧見込み ← 現在地
人吉~吉松:協議中
吉松~隼人:2026年6月運転再開
全線開通ははるか先.
風光明媚な路線ゆえ,観光列車としての価値はありそうだが...
その間も高速道路網が着々と整備されている九州である.

この国道219号は「エメラルドロード」と名付けられている.
確かに球磨川の色が深い緑色.

自販機が見えたので休憩.
トイレもあった.
目の前をバックパッキングのロードバイクが走っていった.
しかも欧米人っぽい.同志よ,日本&九州の印象は?(独り言)

「二股ラジウム温泉」っぽいドーム状の建物が見えてきた.
その正体は『エジソンミュージアム森林館』.
周囲から浮きまくっているが「森林の働き・樹木のしくみ・森に住む動植物・木の文化などを楽しく紹介.発明王エジソンの発明品を集めた常設博物館」とのこと.
ただし,2012年の豪雨災害により休館中(また別の災害).
この地域の自然の厳しさがうかがえる.
その対側にある『球泉洞』は営業中.

鍾乳洞見学ができる.
時間があれば寄りたいところだが,チャリだとなぁ...まだ先は長い.
昼時で腹が減ったが,敷地内にある食堂は満席で行列ができている.
諦めて出発.球磨村を目指す.
途中の桜並木が美しい.

橋を渡って,球磨村の中心街に到着.
最初に目に着いた営業中の食堂に,問答無用でピットイン.

メニューは3品だけという,めちゃめちゃ潔い店.
「鮎の塩焼き定食」の価格だけバグってる.

ここは素直に(?)チャンポン.
結構な量でびっくり.大盛りサイズだ.
しかあし,さすがチャリダー,完食したぜ(もしかしてウェアで量を調整された?).
食後にはサービスでコーヒーが出て来た.さすが熊本だ.感動.

村と国道をつなぐ橋.
今日は九州の深部,山間ライドだな.

桜並木が続く.

いわゆる名所ではないけれど十分美しい.
GWまで咲かない旭川との開花ギャップがすごい.

山の中腹に桜色の線.
久々に大都市,人吉市に入る.

桜が咲き乱れる公園があった.
おば...ナイスマダムのグループが桜の木の下で宴会をしていた.

プロフィール上,人吉を過ぎると登りが始まる.
その前にローソンで補給.
脚ツリ対策で「麦茶」と「即攻元気ジェル」,これは外せない「アイスの実」で小休憩.
やはりブルベ中っぽい補給だな.

登り続けていると,前方に本日のボスキャラ「人吉ループ」が見えてきた.

ループ橋は全国あちこちにあるけど,よくもまぁ,こんな山奥にこんな巨大建築物作るもんだ.

ループを過ぎても登りは続く.
雲仙クライムよりはマシか.
BROはその見た目に反して登攀性能は驚くほど高い.
理由として,
・ 慣性モーメントの小ささ
要は漕ぎ出しが軽い
・ 高いフレーム剛性
鉄フレームのダイレクト感.
踏み込み力がそのまま伝達する.
・ ギヤ比の設定
高回転ケイデンス向き
などが挙げられる.
ただし,これらの優位性を感じるには,ここは斜度が少々足りぬ.
ロードの方が楽な登りだ.

ここが頂上だろう
トンネル内に宮崎県との県境がある.
そこからはずーっと下り.

トンネルを出ると(名前はないけど)「えびのループ」が現れる.
自然にまかせて下っているととんでもないスピード.
そしてヤバいのが大型トラック.
怖い怖い.
慎重に慎重を重ねて下りきる.
正に一仕事終えた感.
...にしてもこの道,南下よりも北上する方が絶対にキツいと思う.斜度が違う.
で,山を抜けて右折.
国道268号線を進むと,お馴染みのレインボー装飾の外壁が見えた.

初日に泊まった出水店のようなゴタゴタはなく無事チェックイン.
九州最後のAZだけど,やはり四国のAZの方がサイクリストへのサービス(気遣い)が高いように思うなぁ.

さて,シャワー&洗濯のルーティンを終えた19時過ぎ,いよいよ隣接するステーキ屋『チャオ』に突撃!
狙うは看板メニューの『ダイナマイトステーキ』.
さすがにノーマルの500gはキツイので,ハーフ250gにした.

どーん,と出て来たのがこれ.
久々の”ちゃんとした”ステーキだな.

さて,そのお味は...美味いことは美味いが,朝の「赤牛丼」の勝ちかな.
年のせいか歯のせいか,柔らかい肉の方が好みであることを,あらためて認識(とほほ).
食事を終え,店を出ると「人出不足のため早めに閉店します」の表示.
ヤバかった.早めに訪れて良かった.

つーことで,この旅,最長距離の一日が終わる.
大災害の爪痕が未だに残る球磨川沿い.
工事区間のインターバル・トレを含めて強く印象に残る.
そして最後の人吉ループへの登りがトドメ...とかなんとか言っておりますが,パラダイスなホテル朝食と満開の桜街道のおかげで,本日も無事優勝.
とにもかくにも,明日がライドの最終日.
高揚感より寂しさが勝る夜.
※ Day8へ続く.






































































































































































































































































































