2025/5/11 Sun
さぁ,地獄を楽しみな

曇り.温度:13 ℃,湿度:85%,体感温度:11 ℃,風速:10.4 km/時,風向:WSW
DoRideさんの運営の「全道MTB4時間耐久レースin上砂川」に参加した.
人生初のMTBレースである.
はたして,その結果は...
4時間,27周回でソロ部門12/19位と,オデノカラダハボドボドダ!
いくら初レースとは言え,あまりにも不甲斐ない.
そして死兆星が見えた阿鼻叫喚の地獄絵図.
ちなみに優勝した方はなんと40周回である.
本当に同じ人類なんか? バ,バケモノか!
では,当日の朝にプレイバック...(♪きゅるきゅる~)
会場の上砂川は自宅から2時間ほど.
朝5時頃に家を出る.
レース前日の土曜日は大雨.
今日も午前中は雨予報.
実際,旭川出発時も小雨が降っていた.
ブルベだと7割方DNSしていたであろう天気.
だがしかし,今日はMTBレース.
泥にまみれてナンボなのだぁ!...とお気楽に考えていた時期がKazchariにもありました.
マシンはもちろん「Specialized EPIC EXPERT」.
フルカーボン,フルサスのXCレース用軽量MTBである.
「S-WORKS」ではないものの,定価¥1,000,000の準ハイエンド(を¥300,000引きで買った).
これで勝てねば貴様は無能だ...と,ハイ.無能でした.
所詮,チャリはエンジンが高性能でないと宝の持ち腐れであると痛感.
会場へ向かう途中,補給食として「アミノバイタル」やら「ミニクリームパン」を購入.
アミノバイタル 味の素 ゼリードリンク パーフェクトエネルギー グレープフルーツ味 130g×6個 アミノ酸 5000mg アラニン プロリン 栄養補給
いつものレース同様,「スーパーメダリスト」をちびちび飲みながらハンドルを握る.
7時過ぎに会場in.
さすがに早く来過ぎたか,まだ参加者の姿は少ない.
受付になるべく近い場所に駐車.
隣の家族連れに挨拶.
「すいませ~ん.このレース初めて参加するんですけど,クルマここでいいんでしょうか?」と早速コミュニケーションを取り,情報収集.
見れば,参加するのは親御さんではなく,そのお子様たちのようだ.
高校生と小学生?
しかし,チャリやウェアは本格的.
英才教育なのか?
他にもキッズ・ライダーがちらほら.
「S-WORKS」乗りまでいて驚く.
EPICをクルマから降ろしてウォーミングアップ.
コースにはまだ入れないので,会場周辺をうろうろと徘徊.

何せ初心者である.
サスや空気圧のセッティングも何もかも全然わからん.
一応,Google先生に「前後2.2Barぐらいが良いでしょう」と教えてもらうが,今思えば,今日のようなマッドコンディション+体重58kgのKazchariだと明らかに高すぎ.
これが後の”坂道空転地獄”につながった気がする.
8時受付開始.
エントリー時は隣接する温泉施設が休館のために使えない⇒¥1,000引きだったが,この大会のために休館日を延期してくれたらしい.
ゆえに「入浴+弁当代」として,追加で¥1,000払った.
ゼッケンをもらう.
エントリーが早かったせいか,トップの「№11」だった.

パンフ兼メンバーリストももらう.
TさんやFさん,Nさんなど強豪勢の名前が並ぶ.
こうして見るとソロ参加でも,みな何らかのチーム名を記入していた.
Kazchariだけがチーム名空欄だったが「おだってるJAPAN」にしとけばよかったかな.
今度からそーするか.
さて,ここから8時40分までコースを試走できる.
意気揚々と進入するが,「うわ,これは楽しい~」と思ったのは最初だけ.
すぐにこのコースの凶悪さに気付く.
コースはスキー場の斜面に作られている.
様は登りか下りしかない.
平坦なのは,建物をまわるアスファルト部分のみ.
そして,昨日からの雨でコースコンディションはヌタヌタドロドロのマッド路面.
10%以上の激坂が3か所ほどあるわ,180°ターンはあるわ,ホイール1/3が埋まる水たまりはあるわ,岩石の横をタイヤ1本分しか走れない道があるわで,もうヤベー予感しかしない.
ゆっくり1周しただけなのに,もうヘロヘロ.
こ,これを4時間!? 正気の沙汰ではない.
「何か,とんでもないイベントにエントリーしたのかもしれない...」と後悔しても後の祭り.
競技説明後,9時のスタート時間がやってきた.
何せ4時間である.
映画2本分を一人で走り続けるのだ(『タイタニック』より長い).
補給はどうする? トイレはどうする.
そんなド素人の不安をよそにレースが始まった.
驚いたのはトップランカー達のスタートダッシュ.
もう最初からとんでもないスピードでカっとんで行く.
「も,もつのか,あれで?」
どんなエンジン積んでるのやら...
で,Kazchariの方は早々に「完走すること」に目標を切り替える.
最初は登れていた坂セクションも,タイヤのブロックに泥が詰まって空転.
さらには,コース作成のために刈られた草が泥と交じって粘土状に.
それがフロントギアやリアサス,チェーン付近にからみ,とんでもない抵抗になる.桜の花びらがトッピング...

チーム参加者はまだ良い.
交代(休憩)時に高圧洗浄機で泥を洗い流せる.
ソロかつ初心者のKazchari,あろうことか,そのシーンを見て,レースを中断し洗車するという暴挙に出る(アホです).
こんなことをしている場合ではないと,以降は停車時に手で泥を掻き出す作業数回.
もはや,何をしているのかわからない.
泥の弊害はまだある.
ボトルの水が飲めないのだ.
本体は元より飲み口も泥だらけ.
とても口をつける気にならない.
また,ピンディングに泥がつまり,SPDペダルがはまらない.
サイコンにも泥が飛び散って,画面が見づらい上にタッチスクリーンの誤作動まで起こる.
もう何がなんだか...変な笑いしか出ない.
ゴール前の直線,ちょうどクルマの駐車列の間を通る,つまりここがピットになっている.
目安として1時間ごとに停車,いそいでアミノバイタルを飲み,クリームパンを頬張り,水分を補給する.

残念ながら,それだと全くエネルギーが足りなかった.
常にハンガーノック気味.
そして,レース後半になるにつれ,左足が頻繁につるようになった.
特に転びそうになって足を着いて,再スタートする時である.
下腿三頭筋だろう.激痛とともに脚の指を全然伸ばせなくなってしまう.
ついでに右足も古傷の腸脛靭帯炎が再発.
膝の外側およびふくらはぎ上部にも激痛が走る.
上肢も問題.
不整地と言えば,何よりもバイクコントロールが重要.
暴れるバイクを上肢・体幹で押さえつける必要がある.
ところが...全く力が入らない.
特に右手.
明らかに握力ほかの筋力が低下している.
言うまでもなく鎖骨骨折をやらかした側である.
絶対に右側にコケるわけにはいかない.
おまけにシフトレバーとドロッパーレバーにも,左右の親指があたって,皮がむけて出血.
...てな感じで満身創痍.
周回タイムがどんどん落ちていく.
坂だけでなく(かせげる)平地ですら全然踏めない.
チーム参加とは言え,キッズたちにも抜かれていく...
あまつさえ雨も降りだす.
実況の方も「いやぁ,今日のレースは本当にキツイですねぇ~」と連呼.
そんな中,トップ争いを続けるライダーの走りは,正に天上人の戦い.
何しろ速い,かつスタミナ無尽蔵.
テクニックもエグイ.
マッドな轍だろうが,急ターンだろうが無駄なくグイグイと進んでいく.
下手クソなKazchariなんかは,比較的締まった路面をトレースするような走りになってしまうが,上手い人は最短距離,もしくは周回遅れをパスするために道なき道をガシガシ走っている.
信じられん.
弱ペダのMTB編で「MTBのコースは立体的.狭い場所でも抜けるポイントはいくらでもある」みたいなセリフがあったが,100億%納得.
後半2時間,もう完全に脚がなくなって,ちょっとした坂道も上がれない.
EPICから降りて押すべし.
情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ…そしてなによりもォ! 速さが足りない!!
(スクライド:クーガーのセリフ)
要は...圧倒的に体力とテクニックが足りないッ!
ついに4時間が経過.
ここまで「早く終われ」と願ったレースはこれまでなかった.
とりあえず完走できたことで,自分をホメてやりたい...トホホ

高圧洗車機の列に並ぶ.
前に並ぶ,ベテランっぽいライダーに話しかける(グチ?).
DoRideのイベントの中でも,この「上砂川4時間」は時間的にもコース難度的にも特にキツイそうな.
うわっ,出るレースをミスった?
それに「BBは今日中に外して清掃および乾燥させた方が良い」とのアドバイスをもらう.
そうしないと,異音が発生し,寿命が短くなくなってしまうから,とか.
「と,言っても,今日の今日で作業する元気もありませんけどねーガハハッ」
そ,そーすね.同意です.
つーことで,ざっと洗車した後,弁当をもらって黙々と食べる.

現在14時過ぎ.
15時から表彰式だが,もちろんKazchariには無縁の世界.
隣の「上砂川温泉パンケの湯」で疲れを癒す.
しっかりと”サ活”3セット.
外気浴ができないのが残念だが,お湯の質は上々.
15時半,会場に戻ると残っているクルマはほとんどなかった.

皮肉にもレース終了後,天気はすっかり回復.
太陽がまぶしく暑いほど.
ラインテープが取り除かれたコースをぼんやりと眺め,レースを反芻.
それにしてもマジできつかった.
接触や落車が怖いので,いわゆる「ロードレース」には出たことはないが,Kazchariは短時間瞬発系より,長時間ペース走法なら得意と思い込んでたなぁ.
ゆえにMTBの初レースも「4時間耐久」にしたが,ペースやら何やら考える余裕なしっ!
ブルベやらヒルクライムと,MTBレースは完全に別の種目だった.
スノーレース? あれは少々特殊.
同じ「人力2輪」と言えど,機種ごとに用途,乗りこなし方が別物.
それだけバリエーション豊かなのがチャリ趣味の特徴やね.
つーか,今日のコンディションだといっそ「ファット+フラぺ」の方が良くね?
ファットの人はいなかったので,目立って,たくさんアナウンスしてもらえたかも...(うれしいのか?)
いずれにせよ,グラベルをのんびり走るだけでは,体力もテクニックも身に付かないことがよくわかった.
弱ペダの最新刊でMTB出身者が(バイクコントロールという点において)「ロードは楽だよねぇ」とイキってるのもさもありなん.
つーことで,強烈な体験ほど記憶に残り,また経験したくなる.
MTBレース,楽しいぞお!(説得力ゼロ)
