2024/6/15 Sat
焼肉と霧雨と
晴れ時々曇り.温度:23 ℃,湿度:68%,体感温度:23 ℃,風速:9.5km/時,風向:SSW
その1はこちら ⇒ Flèche Hokkaido~おだってるJAPAN,かく戦えり(その1)
まだ陽が高く暖かい.
特に防寒装備はせずにダウンヒル.
そこそこスピードも出てしまうが,ここは野生動物との接触事故頻発ゾーンである.
チャリだと鹿どころかキツネにぶつかっただけでも大惨事となる.
慎重に下る.リムブレーキやしな.
途中,Pikaさんの提案で「タウシュベツ川橋梁」に立ち寄ることに.
入口にチャリを停めて,100mほど森の中を歩く.
こういう時はやっぱりSPD.
ここから橋を眺めるのはKazchariも初.
あぁ,こんなに遠いのか.
音がして振り向くと鹿の親子がいた.
熊だったらブルベどころではない.
幌鹿峠と糠平温泉との分岐点まで下る.
糠平温泉街にある「ひがし大雪自然館」まで移動.
トイレ休憩後にチャリまで戻ると,Pikaさんが悲鳴.
なんとリアタイヤがズル剥け.中の繊維が覗いている.
この状態だと,いつバースト,いやその前にスリップしても不思議ではない.
タイヤ交換後,それほど距離は走っていないとのこと.
メーカー名は伏せるが,ちょっと耐久性に難ありと見た.
もしくは...例の八戸の「呪い」が継続しているのか?
オトナの修学旅行~BRM518あまちゃん200km!(その3)
やはり,ブルべは信頼と実績の「Continental GP5000」が安心ですな.
2本セット Continental(コンチネンタル) GRAND PRIX 5000 グランプリ5000 [並行輸入品]
以前に比べ値段が倍以上になったのが大問題だが.
そうそう,パーツ価格と言えば,日本への配送サービスがなくなってしまった“みんな大好き”「wiggle」が,いつの間にか国外配送復活.
しかしながら以前に比べると品揃えが悪い上に高い.
上記「GP5000」の700×28cが2本でなんと120ポンド(+送料)もする.
海外から買う意味が全然無ぇ.
さて,現実に戻る.
まだまだ先は長く,Pikaさんの安全も気になるところ.
とは言え,ここでDNFするわけにも行かず(してもどうしようもない),次のPCを目指す.
やっかいなことに,この後,悪名高い“例の道”が控えている.
それは「芽登ダウンヒル」.
快適走行の国道を左折して,まずは直登のヒルクライムから.
そしていよいよ始まる地獄.
別に急坂とか砂利が浮いているわけではない.
何しろこの道,道路の継ぎ目の高低差が激しく,かつその間隔が短いのだ.
ようするに常にドッカンドッカンと下から突き上げがくる.
十勝方面にありがちなのだが,冬期間の地面凍結によりアスファルトが変形,こうした波打ち道路を作る.ここは特にひどい.
今回は事前に知っていたため,腰を浮かせた“グラベル乗り”で衝撃を吸収しつつ走ったが,5年前の初見ではマジでびっくりした.
ランドヌールの中にも,ボトルが吹っ飛んだり,パーツが破損するケースが続出したらしい.
おまけに長い.
いつ終わるとも知れぬ波状道路.
ようやく記憶にある道路が少し狭くなる場所に到達.
「そろそろ終わるはず」と思いきや,今度は工事中でジャリの上に鉄板が敷いてある.
雨が降ってなくてよかった.
前方に黒い生き物を発見.
まさか...子熊!? ⇒ 猫でした.ただし黒猫だったので不吉.
その後は鉄板なしのグラベルになったりと,やはりハードな道だった.
国道に合流.
段差がマシになった道に,一同「ようやく文明社会に戻ってきた」と安堵.
さすがに国道は交通量多め.
確かこの付近に道の駅があったはず,と休憩を提案.
それは廃止された道の駅「足寄湖」.
その昔,高台にあるレストランで食べた「鹿肉シチュー」が美味かった記憶がある.
それにしてもこの旧道の駅はレイアウトが悪すぎる.廃止も止むなし.
さて,次のPCはまだ先.
暗くなる前に急ぎましょう.
ありがたいことに追い風マジック継続中.
果てしなく続く直線道路を高速巡行.
徐々に夕闇が迫る中,本別町着.
時刻は19:00になろうとしている.
PCに寄る前に夕食に.
Google先生におすすめを訊く.
営業中かどうか不明な道の駅をうろうろしたりと,町内をしばし徘徊.
なんだかんだで「COWKING」という焼肉店に決定.
どうでもよいがこの「COWKINNG」が「ガオキング」に聞こえて,脳内にアニキの歌う「百獣合体!ガオキング」がリピートして困る.
ブルベ中に焼肉? 通常ではなかなか考えられないメニューではある.
3人とも「カウキングカルビ焼定食」(¥1,650)を注文.
幸いなことに一人分ずつ皿に分けられた肉が出てきた.
さらに七輪焼きである.美味し.
これは良い.
タンパク質でパワー回復.
アルコールが飲めないのが残念だが,まだまだブルベは続くのだ.
夕食タイム終了.
店の外に出る.
すっかり夜だ.それに肌寒い.
ウインドブレーカーとレッグカバーを装着.
すぐそばの【PC2:184km地点 セイコーマート本別店】へ移動.
5年前のブルベではここで夕食を摂った.
缶コーヒーを購入.
町を離れ,いよいよ本格的な夜間走行に突入する.
店の外でKさんが一言.
「霧雨ですね」
確かに.
三国峠で会ったTraceの人たちも「帯広は霧で大変でした」と言っていた.
やはり,峠を境に天候が異なるようだ.
いずれにせよ,まだレインウェアを着るほどではないと判断.
チャリの前後ライトを点灯.
フロントは「OLIGHT RN1500」を最小ルーメン(300)で.
リアはキャットアイの単4電池仕様の「OMNI5」.
キャットアイ(CAT EYE) セーフティライト [TL-LD155-R] OMNI5
ヘルメットにキャットアイの「HL-EL145」,リアにBikeguyを付ける.
キャットアイ(CAT EYE) 自転車用LEDライト ヘッドライト URBAN アーバン 前照灯 JIS規格 800カンデラ HL-EL145
Bikeguy トライスター充電式 LEDリアライト 防水 強力発光
信頼と実績のギアたちである.
ここからはしばらくKさんを先頭に走る.
本ブルベで最も寂しい地域である.
町と町の距離が遠い.
街灯もほとんどない.
振り向くと完璧な暗闇が広がる.
夜間なのに鳥の声が響く.
雲に覆われているのか,月も星も見えない.
晴れていれば頭上には満天の星.気分は宇宙の旅...なんやけどなぁ...残念.
霧雨がやがて小雨に.そう,明らかに雨に変わった.
路面も濡れている.
先ほどの芽登よりはマシだが,十勝クオリティの凸凹道路,油断すると水たまりに突っ込む.
こんな夜でもメリットはある.
ライトのおかげで後方から迫るクルマに気付きやすいのだ.
ゆえに危険な路肩ではなく,センターライン寄りを走れるしな.
メンバーとのおしゃべりもしやすい.
そんな暗闇の田舎走行中,前方に光が見えた.
クルマのハイビームにしてはまぶしくないし,光量も小さい.
横ではなく,前後に並んでいるようだ.
それになかなか近づいてこない.
そう,まさかのチャリ集団だった.
こんな時間,22:30過ぎに走るチャリと言えば...ブルベに違いない.
すれ違いざま互いに「がんばれぇ~」とエールを送る.
立ち止まらないのが“らしい”.
後で調べたところ,おそらく「炎上上等シャーマンズ」というチーム.
よりによってこの名前...だから雨なのか.
我々とは逆回り.
てことはこれから三国峠越え!? タフだ.
しばらく進んでPCでもなんでもない「セイコーマート士幌店」にピットイン.
暖をとる.
そう.もはや完璧に雨.予報が悪い方に外れた.
ウインドブレーカーでは対応できず,レインウェアに着替える.
まさかこのような事態になるとは予測できず,レインパンツは持参せず.
ただし最強の対雨天グッズ,「オールラウンドソックス」を着用.
脚部の濡れは仕方がないが,少なくともシューズ内の防水は完璧である.
少し停まるだけでカラダが冷える.
早く動かして熱を産生しなければ.
一山超えて軽快にダウンヒル.
道の駅「しほろ温泉」への道道で右折に気付かずミスコース.
Kazchariが気づいてダメージを最小限に抑える.
Flèche走破のコツで気づいたことがいくつかある.
まずメンバーの「脚が揃っていること」が最重要.
ペースが異なるランドヌールに追いつくのも,合わせるのも大変.
次に「ルールに精通していること」.
かなりややこしいので,経験者がリーダーを担うべき.
我がチームはPikaさんが先日,東京にてFlècheを経験済み.実に助かる.
そして...できれば「コース周辺の地理に明るいこと」.
先ほどのミスもそうだが,コース経験者もしくは地元出身者がいるとかなりの確率でリカバリが効く.
これは手前味噌ながらKazchariの役割.
その強みがこの先の最終局面で生かされることになる.
で,とりあえずここでのミスを回避し,鹿追へ向かう.
遠くに見える鹿追は街灯の数も多く,まるで砂漠の中のオアシス.
プライベートやブルベで何度も訪れているので,コンビニの位置も把握している.
ところが...ルート通りに進むと,道の駅やコンビニのある中心街をスルーしてしまう.
街外れでそれに気付いたKazchari,一旦停止して二人と相談.
少し戻ってセブンで休憩するか,それともこのまま進んで次のPCである新得を目指すか...
Pikaさんの「残り16kmです.このまま行きましょう」との意見.
進軍を決意する.
長いようで短いようで長い16km.
しかも山越えだ.
雨も止まない.
それでも漕いでいればいつかは目的地に着くのが世の理.
新得町の明かりが見えてきた.
久々の信号ストップ.
新得のセブンイレブンと言えば,昨年,Kaba3ともオートバイ試走時に立ち寄ったな.
確かこのあたりにあったはず...
だが,なじみのセブンイレブン看板が見当たらない.
右折してしばらく進むと新得駅.
そこを過ぎて道は暗闇の中へと入っていく.
こ,これは確実に通り過ぎている.
Uターンし,先ほどの信号まで戻る.
そして目を凝らすと...角にあったのは,消灯して闇にたたずむ【PC3:269.8km地点 セブンイレブン新得町南店】の姿であった...
(その3)に続く ⇒ Flèche Hokkaido~おだってるJAPAN,かく戦えり(その3)