『ドクター・スリープ』から『IT』へ

2023/2/15 Wed

原作と監督と.

少し前,3本ローラーの友として『ドクター・スリープ』(2019)を観た.

ドクター・スリープ(字幕版)

映画史上に残る大傑作『シャイニング』(1980)からの39年ぶりの続編ということで,楽しみにしていたのだが,最初から最後まで「思ってたんとちゃう」という感想が拭えなかった.

心理的にグイグイ来る上質なホラー映画が,CG満載の陳腐な異能力バトルモノに変貌していた.

だがしかし.

この映画には裏事情があって,原作者のスティーブン・キングは映画の『シャイニング』を大酷評.監督のキューブリックをずっと恨んでいたらしい.

シャイニング (字幕版)

一方で,自分の原作に忠実な『ドクター・スリープ』は大満足&絶賛しているそうな.

こんな話,どこかで聞いたなぁ...って,そうや!押井守の『ビューティフル・ドリーマー』やん.

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [デジタルリマスター版] [Blu-ray]

これまた世紀の大傑作.
おっさんになって観ると,“あの頃”を思い出して泣ける.

ちなみに現在放送&配信中の令和版『うる星やつら』,Kazchariは最初の数話で早々に脱落.
メガネ(=千葉繁)がいないだけで,これだけつまらなくなるとは...(原作準拠なので仕方がない)

うる星やつら

それはさておき,『ドクター・スリープ』視聴後,おすすめに上がってきたのが同じくキング原作の『IT/イット “それ”が見えたら,終わり.』(2017)である.

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(字幕版)

長らく完結編の『IT/イット THE END“それ”が見えたら,終わり.』(2019)しか配信されていなかったので,視聴をパスしてきたが,これを機会にこの2本を連続で観てみることにした.

20年以上前に,あのレンガ=分厚い原作も読んだが,あまり印象に残っていない.
基本的に翻訳モノは苦手なせいもあるけど.

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で,まず『IT/イット “それ”が見えたら,終わり.』の映画レビューである.
いわゆる「CHAPTER 1」.
何を今さらのネタバレで.

時代は1990年.

言うまでもなく最初からキング節全開.
「アメリカの寂れた田舎町」「校内ヒエラルキー」「悪ガキ」「いじめ」そして「夏休みのちょっとした冒険」って...おそらく世界で最も有名なキング原作『スタンド・バイ・ミー』と舞台設定がそっくり.

スタンド・バイ・ミー (字幕版)

もちろんあっちはリアル,『IT』はファンタジーやけど.

それしても,今も昔も憎悪うずまくデリーという街は色々ひどすぎて住みたくない.
ペニー・ワイズの誘拐&子供殺しの他にも.登場人物たちが毒親を殺しまくる.
ああ,ニッポンは平和でいい国だなぁ...

ところで,ペニー・ワイズの攻撃って物理なん? 精神なん?
被害者側の妄想が現実化してしまうタイプ?
そのあたりが適当なので,モヨってしまう.

個人的にこの映画の一番の楽しみ方は全編に漂うJOJO感.

デリーの街の雰囲気もそうだが,キーとなる「井戸の家」とか,スタンドっぽいペニー・ワイズやその手下どもの攻撃とか...むっちゃ杜王町してるやん!
そう,“みんな大好き”第4部の日常に潜む恐怖を存分に描いているのだ.

なんかキャラの言動もそれっぽい(特にリッチー).
つーか,荒木飛呂彦先生も,どこかの媒体で「キングの大ファン」と公言してたはず.

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

パクリ...ではなくリスペクト?

参考までにJOJO第四部の連載期間は1992年~1995年.
スティーブン・キングの原作が翻訳されて出版されたのは1991年.

「あぁ,こりゃ荒木先生,忙しい連載の合間を縫って,原作読んだなぁ.それでヴィジュアルイメージを第4部に落とし込んだのかー」と勝手に想像.

と,思ってたら,1990年にTVドラマ版が製作されていたらしい.
Kazchariは未視聴だが,先生はこちらを観られたのだろうか?(※個人の想像です)

そして,ラストシーンで「これが恐怖か...」とつぶやきつつ穴の底へ落ちていくペニー・ワイズ.
これもどこかで見たなぁ...って,『仮面ライダーW 運命のガイアメモリーAtoZ』の,エターナルの最後のセリフ「これが死か...」と同じやん!
さすがにこれは無関係か?

引き続き『IT/イット THE END“それ”が見えたら,終わり.』,つまり「CHAPTER 2」を鑑賞.

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり.(字幕版)

時は(もちろん)27年後の2016年が舞台.

こっちは...全然あかん.
何これ?

CHAPTER1と同じ展開を,27歳分老けたおっさん達が騒ぎ,逃げ惑いながら,なんとなく気合と根性と思いつきでペニー・ワイズを倒しただけ.
万能感が肥大した相手に,罵詈雑言で戦うって...ネットリンチの暗喩?

前作は子供が恐怖を克服して必死に戦う(=成長)から,まだ見れたが,これはないわー.
で,とってつけたように影の薄かったスティーブンの手紙で感動させるようと...するかー!

気になったのは,40歳になった登場人物たち,誰にも自分の子供がいない.
記憶を失ったとは言え,27年前のトラウマ(子供が消える)を引きずっているから?

いずれにせよ,こっちは不要.
完全に時間の無駄だった.
原作もこんなんだっけ?

不快の排除,残酷への耐性

2023/2/14 Tue

きれいは汚い,汚いはきれい.

先日のこと.
同僚の息子さんが通う小学校の教諭が「チェンソーマンを見てはいけません」とおっしゃったそうな.

ひどい話である.
年配の教諭らしいが,一体どの様な半生を歩んできたのやら.

ここは「先生(大人)に言われたからではなく,自分で見てから判断せよ」「友達が見ているからと無理に合わせる必要がない」とか言うべきだろう.

それとも「勘違いした監督のせいでアニメのデキがひどいから原作を読みなさい」というマニア視点からのお達しなのか?(←絶対ない)

もし三者面談などで,Kazchariの目の前でこの発言しやがったら(サブカルファン代表として)徹底的に論破してやる...と,昨今のホワイト化社会には違和感しかないが,世の中は着実にこの流れ.

以前の記事でも書いたが,ルパン三世の最新作(?)でも,ルパンと次元はタバコ吸わないし,不二子はバイクに乗る際にヘルメットをかぶる.

3本ローラーの友~最近観た映画やドラマのざっくりレビュー

これに関しては『カリ城』で次元が「そろそろおっぱじめるか」と吸い殻を捨てるシーンも,以前は全く気にならなかったのに,今見ると「もやっとする」という意見すらあるそうだ.
古い世代の人間ですらも毒されている感がある.

元々,実写ドラマでは「警察がうるさいから」と,逃走する強盗犯もシートベルトをちゃんとするので最近のコンプラ事情のせいとは一概に言えないが...ってアニメやで,ファンタジーやでルパンは.

だがしかし,問題はそこではない.

Kazchariの子供時代(昭和)のテレビなんぞ,エログロナンセンスのオンパレード.
『ウィークエンダー』の再現フィルムは完全にAVやし,『ドロロンえん魔くん』やら『妖怪人間ベム』なんてトラウマもの,『まいっちんぐマチコ先生』はセクハラ,『8時だよ全員集合』はお下品,ドラマもいじめやらレイ◯やら陰惨極まりないものだらけ.

でも...しっかり見てた(から知っている).

うちの親はあまりうるさくなかった.
まぁ「見るな」と言われたとしても,こっそり見てたやろな.

そして歪みもせず,ちゃんとした(?)オトナになり,人生を楽しめている.

幼少期に快/不快を含む,様々な感情に触れていないと,将来的に自身の感情に気づきにくくなる,または処理できなくなるオトナになるのでは?
純粋培養は辛いだけ.

うちのJK娘は,将来映像系の仕事に就きたいらしく,大学も関連学部を狙っている.
だからこそ(Kazchari基準で)クリエイティビティに富む良質なコンテンツを多々薦めているのだが,「残酷シーンある? じゃあダメ」と完全拒絶.

例えば,現代の教典に等しい大傑作『進撃の巨人』なんて,コミックもアニメにも全く手を付けない.

進撃の巨人(1) (週刊少年マガジンコミックス)

進撃の巨人

『水星の魔女』も例のハエ叩きを見たくないからと12話はパス.プロローグもアウト.

機動戦士ガンダム 水星の魔女

さらには昨今のタイムリープ物随一の傑作『サマータイムレンダ』
先日,「面白いから」と詳細な内容を教えずに見せたところ,一話のラストシーンで「二度と見ない」と脱落.なんじゃそら.

サマータイムレンダ

うちの10歳の息子ですらほぼ同様.
ロボ好きなので,これまた才能あるオタ監督に大金を渡して自由にさせたら,とんでもない映画を作りやがったの『パシフィック・リム』を見せた.

パシフィック・リム(字幕版)

冒頭のエヴァ+マジンガーっぽい発進シークエンス.
あのBGMと相まって,何度見ても大興奮のKazchariと異なり,息子は妙に冷めた表情.
おかしい.ここで感動しない男子に育てた覚えはないのだが.

挙げ句のはてに,ジプシー・デンジャーのコクピットが吹き飛ばされて主人公の兄貴が死亡.
それを見て「とーちゃん,オレもうだめだ,見ない」とのたまいやがる.
息子曰く,アニメだと平気だが実写の人間はダメらしい.軟弱かっ!

と,こういう子供らだが,なぜか『ガルパン』『鬼滅の刃』は平気.
あのレベルまでシチュエーションやキャラをデフォルメしないと,感性が受け付けないのだろうか.

問題の根は深い.
こうした認識だと,先人が残した数々の芸術作品も「汚いから」「残酷だから」「暴力的だから」という理由だけで鑑賞を拒絶し,作品の真髄に触れないままスルーしてしまうのではなかろうか?
こうした人間ばかりになると,当時の世相や個人の思想を深く,鋭く反映した文化や芸術が受け継がれない.

実にもったいない.
好奇心より精錬潔白,ココロの平穏だけを望むのか?
こりゃ,悪意を持って接近してくる奴らにあっさりと騙されるわけやな.

子供らに嫌われようとも,Kazchariは伝え続けるでぇ.良いものは良いのだ.

世の中の汚い面も知ろう.
その中をサバイバルし,光をつかもう.
『Gレコ』のエンディングみたいになっちった.

ついでに言うと,Kazchariはゴダイゴの『銀河鉄道999』が好きだ.
特に2番冒頭の歌詞.

以前,記事にもした.

ゴダイゴ『銀河鉄道999』English ver.

現状に満足していては,喜びは得られない.

そして自分の喜怒哀楽に向き合って,清濁併せ呑もう.

ファットなネコバス,深川散歩ライド

2023/2/11 Sat

忘れ物を届けに?

OLYMPUS TG-5

晴れ時々曇り.温度:-3 ℃,湿度:85%,体感温度:-5 ℃,風速:5.3 km/時,風向:S

祝日が土曜日なのはもったいない.
なんだか損した気分.
ただ幸いなことに,息子の習い事もお休み.
送迎の義務がなくなったのでフリーDayに.

さて,どこに行く?

昨年7月にサウナーに覚醒して以来,あちこちのサウナに入ってきたが,その中でベスト,というか一番”ととのった”のは,深川のアグリ工房まあぶだった.
つーことで,その時の感動よ再び,つーことで目的地決定.

もちろんファットバイクも持参.
『まあぶ』の先にある冬のトトロ峠はどうなっとるのだ? 気になる.

真冬のR12はDanger Zone.
車間を十分に空け,慎重に運転.

『道の駅ライスランドふかがわ』着.
ファットバイクをセッティング.

OLYMPUS TG-5

車道は狭い上に雪がない.
歩道を走る.
除雪はまずまず.
深川も排雪が追いついておらず結構な壁.

OLYMPUS TG-5

夏合宿で多用される「ネイパルふかがわ」前.
歩道の雪が深い.
筋トレ&筋トレ.

OLYMPUS TG-5

国道を渡ってからずっと登り.
歩道がなくなる.

ここはもちろんSTRAVAのセグメント.
ブルベ中に何度か登ったがタイムアタック未.

今日だけのKOMゲット! そらそーだ.冬は普通登らない.

OLYMPUS TG-5

途中で寄り道.
気持ちの良さげな真っ直ぐなダウンヒル.
今はパス.帰りに下ろう.

OLYMPUS TG-5

トトロ(戸外炉)峠着.
バスはご覧の様子.
てっきり周辺の除雪程度はしているものと,勝手に思っていた.
まぁ,観光地...というには微妙やし.

OLYMPUS TG-5

”ネコバス”と言っても,普通のバスにペイントしただけなので”ホンモノ”のように足が生えているわけではない.
冬なので見えへんけど.

夏はこんな感じ.

モンキー125,ブルベを走る!?(その2)

OLYMPUS TG-5
OLYMPUS TG-5

スタートして4kmほどで目的地に着いてしまった.
仕方がない.この先も登ってみますか.

ネコバス周囲はともかく,道路の除雪は完璧.
実に走りやすい.景色も美しい.

OLYMPUS TG-5

さすがに漕ぎ続けていると暑い.
本日は,絶賛トライ中の吸湿速乾インナー二枚重ね.

この上にパールイズミの化繊セーター,プラス,アウターという出で立ち.
現状,レースではない通常ライドはこの組み合わせなのだが,ヒルクライム時の発汗だけは防ぎようがない.

この先,科学が進化したら真の意味での吸湿速乾ウェアが完成するのだろうか?

OLYMPUS TG-5

今は雪に覆われているが,ここから「イルムケップスカイライン」という林道が始まり,沖里河山頂までクルマで行ける.
とは言え,かなりの悪路.
以前,当時の愛車ラパンで登ったが途中で後悔.

夏になったらモンキーかファットで来てみよう.

OLYMPUS TG-5

延々と続くかと思われたヒルクライムも終了.
このまま先に進む(下る)と道道4号につながるが,そうすると戻る道がない(R12は走りたくない).

ここで引き返す.
その前に...

OLYMPUS TG-5

せんべい,チョコレートなどで補給.大事.
今日の気温(-3℃)ではボトルの水も凍らない(一応ELITEのサーモボトル).

OLYMPUS TG-5

登って来た道をダウンヒル.
スパイクががっしりと雪面を噛む.

やっぱり汗冷えで寒い.
もちろん,旭岳のように命の危険を感じることがないけど.

ドロッパーでシートを下げると安定.ほんま,ええ装備や.

OLYMPUS TG-5

ネコバス地点まで戻る.
サムネとは別ポーズ.
おっさんが何をしているのやら...

OLYMPUS TG-5

帰ります.
ほな,また.

OLYMPUS TG-5

往路で見つけた直線の下り道.
実に気持ちの良い道.電柱がないのがポイント高い.

途中でオートキャンプ場への分岐あり.
なんと通年営業.
この時期はコテージ客が多そう.
温泉も近いし,よろしいのではないでしょうか.

OLYMPUS TG-5

デポ地点である「道の駅」に戻るのがもったいなく感じ,未知の道へ.
高速出口で見かけるレストランの看板が気になる.

で,10%を越えるような坂をガシガシ登っていくと,周囲の環境から浮きに浮いた教会が現れる.
結婚式場?

で,その横にレストランが併設されているのだが...
「お昼を少し過ぎたので客は多くなさそう.ここでメシにするか」と,ファットを停める.

が,玄関の窓からチラっと見える内装やウェイターの服装が妙におしゃれっつーか,ちゃんとしてる.
これはひょっとして...とGoogle先生に,この店の情報を尋ねる.

あっ,あかん,高すぎる.
いつも食べてる昼食の倍の値段する.
完全に予算オーバーなのですごすごと立ち去る.
味と質は良さそう.
だが,チャリで汗だくのおっさんが一人で来るところではなかった.

趣味へのこだわりには常識はずれに金をかけるKazchariだが,食に関してはせこいのだ.
何を食べても,翌朝には◯◯◯になるだけやし...
まっ,時と場合により質の高い料理を食べたくなる時もあるが,今日はその気分ではなかった,ということだろう.

OLYMPUS TG-5

登りに登ってきたので,さぁ,後は下りだけ.

味のあるバス停で思わず停まってしまう.

OLYMPUS TG-5

帰ってきたぞ,道の駅.

OLYMPUS TG-5

ハスラーに収納.
えー,たった15kmほどですが,やたら充実したライドでした.
ずっと登りやったしな.

OLYMPUS TG-5

さぁ,メシメシ.
時間的にサウナに入る前に食べる必要がある.
ここは安定のラーメン『一蔵』でしょう.

ぎょうざ付けても¥1500以下.
やっぱ庶民はこれやな.

iPhone11 Pro

食事後,いよいよ本日のメインイベント,『まあぶ』のサウナである.
さすが土曜日&祝日.
駐車場もサウナも混んでいた.

うーん,混んでるだけならともかく,人が多いといわゆる”マナー違反”客が多くて,ちょっと複雑な気分.
こればかりは仕方がない.
どこにも一定数,他人に気をつかわない,つかえない人間はいる.

それでも,やはりここのサウナの質は良い.
冷水も露天もおすすめ.

休憩室でまったりした後,クルマで帰宅.

冬ライドの〆はサウナに限る!

『閃光のハサウェイ』を読んでみた~第二部以降を勝手に予想

2023/2/9 Thu

やってみせろよ!

先日,『閃光のハサウェイ』(閃ハサ)のTVエディション全4話の放送が終了した.

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 【4K ULTRA HD Blu-ray】

Kazchariは本作を劇場で鑑賞済み.
Bluray販売前提あるあるの特別上映とやらで,¥1,900だったのが,なぜか悔しい.

長大な宇宙世紀エピソードの一本,さらに3部作の第一部ということで,完璧に途中から始まり途中で終わる.
まずいないと思われるが,もし一見さんがいたら面食らったやろな.
いや,いわゆるガンダム“ニワカ勢”にもキツイかもしれない.

かく言うファースト世代のKazchariも,鑑賞直後の満足度はあまり高くなかった.
理由は...何だろ,あまりに地味に思えたからだ.

現状の最新作『Gレコ』ほどではないが,富野節全開の電波セリフが飛び交うやり取り.
感情を抑えに抑えた登場人物たち.
丁寧だが画面が暗すぎて,何が起きているのかわからない戦闘.

言うなれば,これまでにない大人なガンダム.
ダニエル・クレイグの『007』っぽく,ハリウッドというより欧風テイスト.

印象に残るのは,ストーリーよりも,ダバオ市街戦での,降り注ぐ火花,仲間に拾ってもらうため街と海岸沿いをさまようハサウェイなどのヴィジュアル.
美しく,実に上品.

ただし,陣羽織もしくは被り物デザインのクスィーとペーネロペーはどうにも好きになれない.

その後,早々にAmazon Prime Videoで配信が開始.
2回観た.

そこで気づいた.
このアニメ.スルメ的に噛めば噛むほど味が出る.
まるで複数回鑑賞を念頭に置いて作られているようだ.

そこで,その前日譚にあたる劇場版『逆襲のシャア』(逆シャア)を再鑑賞.

U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

そのボツシナリオを小説化した富野御大の小説『ベルトーチカ・チルドレン』(ベルチカ)を読了.

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン (角川スニーカー文庫)

さらには,さびしうろあき氏作画のコミック版『ベルチカ』(全巻)『閃ハサ』(1巻)も読んだ.

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン(1) (角川コミックス・エース)

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(1) (角川コミックス・エース)

そして,今回のTVエディションの放送である.
細かなカットや追加シーンもあるにはあるが,「これは」といった大変化はない.
歓迎したいのは,個人宅の小さい画面での視聴を考慮したのか,夜の場面が明るくなったこと.
特に第四話クライマックスの戦闘シーンで,その恩恵が大きい.

いずれにせよ,今ではすっかりお気に入りのガンダム作品になった.
2作目の公開が実に待ち遠しい.今度も¥1,900払います.

さて,その2作目は公開日未定.
タイトルも『サン・オブ・ブライト』という仮称である.

スタッフによると主戦場となるオーストラリアのロケハンが難しいため,製作が遅れているそう.
すげーな,実写映画みたいやな...って,ジブリ映画も押井映画も現地ロケハンは入念に行うらしい.

そして,大まかなあらすじは知っていたが未読だった角川スニーカー文庫の『閃ハサ』の原作(上中下)を読んでみることにした.

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(上) 機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ (角川スニーカー文庫)

まず上巻.

もうびっくりするくらい映画と変わらない.
セリフもほぼ同じ.

小説なので,キャラの心情も文字起こしされているのだが,アニメではそれらを表情やしぐさ,それに声優の演技でカバーしている.
素晴らしい.
最近の説明過多の実写邦画も見習うべき.
監督や脚本家がいかに原作を読み込んでいるのかがわかる.

小説には美樹本晴彦氏のイラストも収録されている.
ハサウェイはまんま(当然)だが,ケネスはアニメよりおっさん,逆にギギは幼い.
ふたりともアニメ版の方がイメージに合う.

で,中巻.

そもそも3部作の真ん中は作りが難しいとされる.
唯一無二の成功例は『スターウォーズ 帝国の逆襲』だろう.
ちなみにKazchariの劇場版SWランキングは順に「Ⅴ>Ⅲ>Ⅳ>Ⅱ>Ⅵ>Ⅰ>Ⅶ>Ⅸ>(越えられない壁)>Ⅷ」である.

中巻ではオエンベリにおける反地球連邦ゲリラの虐殺事件が中心に描かれる.
ただし,ハサウェイ達が到着したのは事後.
映画的には,連邦側(キンバリー隊)によるエグい所業の描写がありそう.

ハサウェイがからんでいないので,ペーネロペーによるヴァリアント撃沈はナレーションのみ.

ギギは香港での快適な(?)愛人暮らしを捨て,ケネスの部隊に合流し,ニュータイプ能力っつーか,持ち前の洞察力で隊を勝利に導いて女神化.
エアーズ・ロック見学中に,ギギはマフティー側へ.
ハサウェイと再会して中巻は終了.

映画的にはここで主題歌inか.

これだと,90分保たせるのは大変かもしれない.
監督も「第二部は原作と最も話が変わる」と語っている.
他にも「富野要素を省いたけど,やっぱり追加した」「まだ絵コンテもできていない」などの発言もあり迷走中.
こりゃ今年の公開は無理やな.

で,勝手に第二部以降の追加要素を考えてみた.

1)新メカ投入⇒ガンプラ化

ただでさえ登場MSの少ない本作品.
財団Bが黙っていないだろう.

そこでMSVの大量投入が期待できる.
『UC』のMS大運動会の再来やな.

そして主役2機への追加装備かフォームチェンジ,もしくはMG販売?

さらに,後の時代におけるMS小型化につながるナニカの事情.
アナハイムの衰退からサナリィの攻勢も.

2)ブライト家の事情

ブライトの出演は確実.
小説にもミライとの会話もあるけど,プラスαが欲しい,
いくらなんでもレストラン経営は唐突では?
そして『ベルチカ』後のハサウェイの軍隊生活.
やがて,反連邦テロリストになっていく様をじっくりと描くのではないか.

ちなみにコミック版冒頭にマンサンとかクワック・サルヴァーとの会話シーンおよび,クスィー受領前(月に上がる前)のダバオでの戦闘が追加されている.
第二部でも使えそう.

3)ケリア他,マフティー仲間との交流

第一部の最後にぽんと出てきた短髪赤毛のケリアさん.
その髪型の理由(コミック版にある)と恋人になったエピソード.
ギギのメイスさん煽りよりも重要.
他のメンバーとの交流も欲しい.タンカー2隻で対地球連邦テロとか...

で,いよいよ(下)こと第三巻へ.

ここは第二部の展開次第でガラリと変わるかも.
もしかして生存ルートあり?
さすがにないと思うけど,劇場版『Z』の例もあるしな(Kazchariは否定派).

下巻冒頭の夜,ハサウェイは据え膳食わずに,ギギと小難しい話を展開.

ギギとキンバレー隊の解放と逃亡のくだりはあまり面白くない(盛り上げにくい).

で,いよいよ見せ場のアデレード決戦.
次々に殺られるマフティーのメッサー,
エメラルダは死に,ガウマンは生き延びるが,映画ではどうなる?

ペーネロペーとの最終決戦.
ビームバリアという謎兵器の射程に追い込まれるクスィー.
画的に地味になりかねん.

墜落し,レーンに無理やりコクピットを開けられる.
そこには全身にやけどを負ったハサウェイ.
拿捕されてしまう.

そして...ここからはドラマ的に最大の見せ場.

看護師との交流.
ケネスとの会話.
間に合わないギギ.
何も知らないブライト.

さすがにここは変えないで欲しい.

ハサウェイとブライトが親子だったことは,軍の正当性,士気向上のために利用される.
この小説のスゴイところは,最後の最後までブライト自身の言葉が一切書かれていないところ.
さすがの富野さんも書けなかったのか?
超難題だが,アニメではどうする?

そして,ラスト,身の危険を感じニホンへ向かうケネスとついていくギギ.
ここでギギの上巻での発言が回収される.上手い!

つーことで,原作小説を元にした第二部以降の勝手な予想でした.

それにしても,ニホンのアニメ,ホンマに画がキレイになったなぁ.
CGにしてもかつてほどの違和感はほぼ消失.
その分,内容が問われる時代とも言える(ああ『アバ2』...).

マフティーの主張は「地球環境保全のために,全ての人類は宇宙に出るべき」である.
そのため,地球在住の特権を得ようとする支配層を粛清するというテロ行為に出る.

さらに,この違いが大きいと思われるのが『逆シャア』と『ベルチカ』でのハサウェイの「罪」である.
クエスを撃ったのは映画だと(アムロの恋人の)チェーン,小説だとハサウェイ自身.
『閃ハサ』の前日譚は『ベルチカ』.
ゆえに何度もうなされるし,幻覚もみる.

ハサウェイは既に壊れている.
これは処刑を告げられた際の達観にもつながっている.
生への執着は非常に薄い(叫びそう...という表現はあるが).

劇場版の『閃ハサ』は,ダバオの風景,特に海の描写が恐ろしいくらい美しい.
タクシーの運ちゃんも言っていたが,この風景を見せられて,地球汚染と言われても...とハサウェイ(や視聴者)の信念を乱す目的もある?

「地球はそれほどヤワではない.人間がヤワなだけ」という不都合な真実.

一方で宇宙世紀105年ではコロニーの老朽化が問題になっているらしい.
人工物には限界がある.

地球に残るも,宇宙に行くも地獄.
人類は滅びるしかないのか?
水星(『水魔』)もしくは木星(『クロスボーン』)に移住?
順当に火星(『鉄血』)か?

『ガンダム』とはまだまだ長い付き合いになりそうだ.楽しませてくれる.

んが,実は『イデオン』の方が好きという事実は認めなければなるまいが.

3本ローラーの友~最近観た映画やドラマのざっくりレビュー

2023/2/3 Fri

向き不向き.

iPhone11 pro

冬の間,Kazchariは4台の自転車を室内保管している.

TREK TCT5000 ⇒ ベッド脇に設置した3本ローラー用.
Specialized FATBOY ⇒ 通勤&外ライド用で玄関土間に駐輪.
TREK DOMANE SLR7 ⇒ スマートトレーラー『Tacx Neo Smart』に装着.Zwift用.
TREK EMONDA SLR7 ⇒ 自室に縦設置.

うち,DOMANEは毎年恒例のオーバーホールで現在ドック入り.
仕上がってくるのに10日ほどかかるらしい.

帰ってきたTREK DOMANE SLR7~3度目のオーバーホール

うちのスマートトレーナー『Tacx Neo Smart』は初代モデルで,11速のギアを付けている.

つまり...

TCTは10速モデルなので不適応.
EMONDAは12速の上,スルーアクセルなので不適応.

となる.
まぁ,スプロケ交換したり,オプションのシャフトを購入すれば,こいつらもTacxに装着できないわけではないらしいが,正直,面倒である.

結論.

「12月に納車したものの,外ライドはまだ無理」なEMONDA+3本ローラーでポジション調整したり,身体を慣らすことした.
これまでもお試し的に2,3度乗ったが,タイヤの減りが嫌で避けていたのだ.

アガリの一台~TREK EMONDA SLR7 First Light

Kazchariのトレーニングルーティンはだいたい21時から22時の1時間ほど.
Zwiftならともかく,3本ローラーを1時間漕ぐのはひたすら退屈.

3本ローラーは寝室,ベッド横に設置してある(コケても安心だ)
テレビを見ながら漕いでいたが,レイアウト的に視線が右方向となり,ポジションが崩れてしまうためあまり利用したくない.

つーことで,正面に一脚+テーブルで作ったスタンドにiPadをのせて「NHK+」「Amazon Prime Video」などのサブスクを鑑賞するパターンに落ち着いた.

iPhone11 Pro

SLIK 一脚兼簡易三脚 スタンドポッド STAPOD

Actnow 三脚スタンド 対応 テーブル 台座

そして3本ローラーは何しろうるさい.
iPadのスピーカーだと何も聞こえない.
よってワイヤレスイヤホンで接続.
Kazchariは安定と安心のAnkerを使用中.

Anker Soundcore Liberty Air 2

さて,このような環境下,最近鑑賞した映画やドラマのざっくりレビュー.

以下,ネタバレ含みます.

【インビクタス 負けざる者たち (字幕版)】

イーストウッド映画に外れなし.
ただし『ミリオンダラーベイビー』『グラントリノ』など,鑑賞後,そのあまりの内容の重さ・深さにメンタルが「どよーん」と落ち込むことがあるのだが,こいつはそうでもなかった.予想以上にシンプル.

実話なので,いきなりテロを起こしたりはできないからそこは仕方がない.
Kazchariはラグビーに興味ないけど,まずスポーツ映画としてよく出来ている.

そして,南アと言えばアパルトヘイト.
とは言え,差別反対を声高に訴える映画ではない.
その主張は静かだが強い.

マンデラが収監されていた刑務所および独房が映し出される.
ここで27年間過ごしたのだ.
その劣悪な環境下で捨て鉢にならず,自己を律して生き続ける.
凄まじい人生としか言いようがない.

一番好きな場面は,決勝戦のスタジアムの外で,空き缶拾いの黒人少年と白人のタクシードライバーが,試合進行とともに徐々に打ち解けていくシーン.ベタやけどな.

先程は「落ち込まない」と書いたものの,「旅行者の犯罪遭遇率300%(つまり1日に3回犯罪に巻き込まれる)」という,いささか大げさな悪評が絶えないヨハネスブルグ.
訪れたことはないが,それは今も変わらないらしい.

【2023年】ヨハネスブルグの治安情勢まとめ!旅行者が注意すべき危険ポイント

【ルパン三世VSキャッツ・アイ】

『vsコナン』以上に無茶なコラボと言われた本作.
まず物語として,前半は割りと面白かったけど後半がなぁ...
結局,真犯人のおっさんが何者なのか,何が目的なのかイマイチわからん.
スペシャルの割にはスケールが小さい.
それに,銭形の扱いが残念.

懸案のキャラデザはどちらの作風にも似せないパターン(つってもルパンはシーズンごとに顔が違うけど).
今風な画で統一され,さほど違和感はない.

ただし問題は声.
もはや栗田貫一すら老人声(劣化とは言わない).
ましてや「泪」を除き,オリジナルのままのキャッツ陣は...
確かにみなさんプロの声優さんである.
でもなぁ...
思い切って新キャスで良かったのでは? キャラデザも違うし.

そうそう,Kazchariの記憶に間違いがなければ,ルパンと次元の喫煙シーンがなかったはず.時代やな.

【ライト/オフ(字幕版)】

「出るぞ~出るぞ~からのバン!」系のびっくりホラー映画.
アバン(?)の縫製工場でお父さんが襲われるシーンが,いや,ここだけが怖かった.
不安定なローラーに乗りながら観る映画とちゃうなぁと思いつつ,続きを鑑賞.

徐々に”びっくり演出”にも慣れ,何より”ナニカ”の正体がわかり,その造形を見せてしまう.
結局,ダイアナは物理的に存在? それとも観念的な存在?(明らかに前者としての描写)

もしかして「その正体はお母さん自身でしたぁ」とかいう展開かとも思ってたけど,ダイアナはダイアナで実体化.

そして「こんなん,どうやって倒すねん」からの母の犠牲エンド.
しかあし,肝心の母と娘の過去を含む親子の交流がほとんど描かれなかったせいもあって,母親の決断に感情移入できない.

「アイデアは面白い.けど設定の詰めが甘い」と思わせるもったいない映画だった.

似た系統のホラーだと『IT FOLLOWS』の方が好み.これは後を引く.

映画『IT FOLLOWS』を観た~それはアレで感染する

大奥(NHKオンデマンド)】

現在,NHK火曜日10時枠で放送中.
面白いっつーか,NHK大暴走.
莫大な予算と資産(セットや衣装)をぶっこんだ映画クオリティのSF時代劇.
こりゃ民放かなわん.

ストーリーは漠然と知っていたし,テレビや映画でもやっていたことは知っていたが興味はなかった.
「どうしたいのかわからない大河よりもはるかに面白い」という噂を聞いて視聴開始.見事にはまった.

何しろ全ての役者が素晴らしい.
特に...斉藤由貴はバケモノか.

吉宗→家光→綱吉と,某FSSなみに時間軸が移動する構成も興味深い.

原作コミック完結に付き,大政奉還まで映像化するとのこと.
楽しみだ.

つーことで,いい時代やな.
退屈させない...って,前回のデトックス話はどこいった!?

ぼっちライドは退屈なのか?

それにしても室内ライドとは言え,EMONDA速いわ.

気のせいではなく,TCT5000とは平均速度が全然違う.
諸事情によって,TCTはフロントインナー縛りのせいもあるけど.

EMONDAはBB周りの剛性感とDi2のチェンジが心地よい.
これが価格と機材進化の差ってヤツか.

昨年のモンキー125,つまり舗装路での初実走は3/25となっている.

モンキー125,2022年シーズンスタート!

オートバイが走れるならロードバイクもOKのはず.
うーん,まだまだ先やな.

ぼっちライドは退屈なのか?

2023/2/1 Wed

孤独と孤高.

いつも“刺さる”ネタを提供してくれる「cbnblog」
少し前の記事に興味深いモノがあった.

「はじめてぼっちロングライドするんだけど退屈しないか心配」という危惧に寄せられた意外なアドバイスとは

まぁ,この質問自体がKazchari的にはナンセンス...ではある.
100kmも走れば,様々なものを観察できるし,自己と向き合うこともできる有意義な時間そして何より...自由だ.

この質問(?)に寄せられた回答が面白かった.

「あなたは退屈してみたほうが良いことがあるかもしれない」

「サイクリングは私が覚醒中に唯一スクリーンを見ていない時間です」

この2つには共通点がある.
デジタルデトックスの重要性だ.

我々は普段の生活において,睡眠以外の時間を埋めるためか,常にモニターを見続けている.

ここで思い出されるのが名作『1984』

1984 HDニューマスター版 [Blu-ray]

いわゆるディストピアがテーマ.
『時計じかけのオレンジ』のレビューを書いた時にも少し紹介した.

数十年ぶりシリーズ~『時計じかけのオレンジ』を観た

数十年前,初めて『1984』を観た時のインパクトは忘れられない.

舞台は近未来の全体主義国家.
人々は実在の怪しい“ビッグブラザー”と称される絶対権力者に支配され,常に監視されている.
この世界では,基本的にどこを向いても「テレスクリーン」と呼ばれるTVモニターが設置されている.

テレスクリーンからは,政府発信の映像や音声が常に流され続けており,勝手に電源を切ることはできない.
一方で監視カメラの機能もあり,国民の一挙手一投足,全ての情報が国家に送られている.

そこに抗う一般人の奮闘(?)を描く話...なのだが,これ以上ないくらいのバッドエンドは鳥肌.

余談だが,この作品をリスペクトした『未来世紀ブラジル』と内容がよくごっちゃになってしまう.

未来世紀ブラジル [Blu-ray]

こちらはビジュアル的にも,その狂気がパワーアップしている.
デ・ニーロも出ています.

さて,こんな常に監視されるモニターだらけの世界って嫌やなぁ...と思っていたけど,2023年現在,まさにこの世界が現実化している.
しかも,人々は自ら進んで膨大なコンテンツの消費に多大な時間を費やしている.

デジタルデトックス~無料快楽コンテンツの罠

非難・批判する気はない.
Kazchariの生活もかなりひどいものだ.

起床後,洗濯物を干しながらYouTube.
台所の洗い物をしながらYouTube.
仕事の半分はPCでデスクワーク.
帰宅後はブログ書き.
Prime Videoを観ながらZwift.
風呂上がりは大腿のマッサージをしながらYouTube.

絶賛依存中.

若い頃にインターネットという究極の娯楽がなくて,本当に良かったと思う.
”退屈”のあまり,海の向こう,山の向こうを想像し,気になり,実際に行ってみた(一面もある).

そして旅先では何もしない時間も尊い.

ダイビング旅では海外のリゾートに滞在する.
空き時間にビーチやプールサイドでリクライニングに寝そべりながら目を閉じる.
視覚でなく,肌で南国の太陽を感じる.

インプットもアウトプットもなし.
ひたすらインナースペースへ.

「幸福だ」という言葉が頭をよぎる(『太陽がいっぱい』か!)

デジタルだけに言及してしまっているが,デトックスには他者,つまり日々の人間関係も含まれるだろう.

ここ数年,新コロのせいで「ソロ◯◯」「一人◯◯」が流行った.

こういう言葉がわざわざ取り上げられるということは,ぼっち=マイナーという証なのだろう.
Kazchariの周辺でも「一人ではどこへも行けない」というヒトが老若男女問わず多数存在する.

Kazchariはぼっちが好きだが,人嫌いというわけではない.
たまーのグループライドやイベント参加は楽しいと思う.

秋の望岳台からのグループライド

冬のキトウシ・キャッスルライド

たまーの,”ノン・ぼっち”だから価値がある.

Kazchariの愛読書にリチャードパックの『イリュージョン』がある.

イリュージョン (集英社文庫)

名言のオンパレードで事あるごとに読み返している.

特に以下は「ぼっち」を考える上で重要.

「やりたいことだけをだな,やり続けていくと,類は友を呼ぶの法則に従って,俺達から何かを学ぼうと思う人達を引きつける,そして俺達もまたその人達から何かを学ばなくてはいけない」(p155より引用)

いやもう,掛け値なしに素晴らしい.
ここに「ぼっち」の本質がある.

ただし,この本は訳者の村上龍のクセっつーか,意訳&創作部分が前面に出すぎており,そこが批判されることもある.

Kazchariも気になったので,別の訳者の同パートを読んでみたら全く違っていてびっくり.

イリュージョン 悩める救世主の不思議な体験 (集英社文庫)

よくも悪くもこの新訳版は冗長というか,原文に忠実過ぎ?
ホンマは原著を読むのがええんやろうけど,結局は頭の中で日本語に訳してしまうしな.

話がだいぶそれてしまった.
ようするに「孤独と孤高は違う」という話でした.

あれやね,『ぼざろ』のぼっちとりょう先輩みたいなもんか.

ぼっち・ざ・ろっく!

さぁ,今度の週末,いやいやこれからも,どこへ行ってやろうか.

指と歯~人体機能拡張の話

2023/1/27 Fri

義体化.

仕事柄,義手や義足などについて聞いたり話したりすることが多い.
事故や病気によって失う他,薬害やその他の理由により四肢欠損のまま生まれる方もおられる.

前者はリハビリを通じて新たな手足を使いこなしていくのだが,後者の場合,義肢がなくても,特に不自由さを感じず暮らしている方も多い.
たとえば乙武さんが有名.

そういう方々に義手や義足を作っても使ってもらえないことがある.
脳内マップにないパーツは自分の一部とは認識できないかもしれない.
そして,日本の場合,機能的なモノよりも儀礼用の方がニーズがあったりする.

一方で多指症という疾患(?)がある.
定義としては「正常より指(趾)数が多い状態」である.
胎内での指の形成過程で,アポトーシスがうまく働かなかった結果に起こる.

完全な形状から,一関節分だけがぶら下がるように生えていたり(浮遊型),末端骨が大きかったり(末節型),指と指の間に生えていたり(中手骨型)などタイプは様々.

手足の先天異常【多指症(多趾症)と合指症(合趾症)】

日本では乳児のうちに切除術を行うようだが,インド文化圏では多指は「幸福の印」と認識され,そのままにしている人も多いそうな.
Kazchariもジャマイカの病院で働いていた時,「浮遊型」の方を実際に見たことがある.

ちなみに豊臣秀吉も右手の親指が2本,つまり6本指だったという記録がある.
当時は下手に手術すると危険だったため,そのままにしていたのだろうか.

フィクションだと,空前絶後の名作『ガタカ』の劇中で6本指のピアニストの演奏シーンがあった.

ガタカ 4K ULTRA HD & ブルーレイセット[4K ULTRA HD + Blu-ray]

この演者の指が本物かどうかはわからないが,生まれ(遺伝子)が全てを支配する世界では「個人の幸せ=適材適所」であることを象徴している.
それに抗うのが主人公なのだが.

さて,昔,学生相手の講義の中で手指の構造について触れる機会があった.
その際,「ピアニストは演奏の音域を広げるために指間靭帯,いわゆる水かき部分を切り,指を広げる手術をする」と話してしまった.

自分で話していても「何かおかしい」とモヤモヤ.
水かきを切ったところで,指の内外転の可動域や操作性が劇的に改善するわけがない.

調べた結果,「ピアニストが水かきを切る」というのはアラフィフのおっさんに多い「思い込み」っつーか「刷り込み」だったことが判明.

そう,これは全部,往年の野球マンガ『ドカベン』のせい.

ドカベン 1

それはレギュラーキャラの殿馬に関して.
ピアニストでもある殿馬は,その音楽的センスを生かした「秘打」にて,甲子園&プロで大活躍するのだが,ピアノの難曲を弾きこなすために,水かきを切ったというエピソードがある.
どうやらその話がずっと頭に残っていたようだ.

※ちなみに『ドカベン』は電子化されていない

ただし,この話がまるっきりデタラメかと言えば,そうでもないようで,実際,「1800年代のアメリカでピアニスト数名に対し実験的に施行された」との記録があるとかないとか.効果はまるでなかったそうだが.

さて,こうした人体拡張や人体改造術と直接関係はないが,Kazchariの貴重な財産である「歯」にまたまたアクシデント.

Kazchariは年3回ほど定期的に歯の検診を受けている.

2023年最初の検査では「歯茎,とても健康的でよく締まってますねぇ」からの...「あら?この左奥歯,歯周ポケットが10mmもあるわ!大変!」と気になることを言う.

とりあえず様子見ということで歯石除去だけをしてもらう.

翌週.その奥歯の激痛で目が覚める.
で,歯科緊急受診.
レントゲンを撮る.
奥歯の歯根がスカスカになっており炎症を起こしているとのこと.
改善の可能性が低いとのことで,抜歯を勧められる.

うーむ.ついにこの時がやってきたか.
(既に抜歯済みの)親知らずと違って,本来であれば抜く必要のない歯である.
悲しい.

これまた様子見ということで抗生剤だけを処方してもらい帰宅.
以後,数日間,固い食べ物の咀嚼は避け,入念に歯磨き,歯間ブラシ,マッサージ,それに軟膏をつける.

デンタルプロ 歯間ブラシ L字型 太タイプ サイズ5(L) 10本入×12個

【第3類医薬品】デントヘルスR 40g

結果,炎症とともに痛みも収まった.
昨日の再受診では「確かに改善していますね.抜歯はとりあえず保留しましょうか」との診断.

でも,あくまで「とりあえず」やねんなぁ...
歯周ポケット10mmともなると歯の長さを越えているため救いがないらしい.

抜歯後,どうするのが良いのか今のうちにGoogle先生に相談しておこう.

歯を失ってしまった際に最良な選択をするために

ふむふむ.
ざっくり言うと3パターンあるのか.

「ブリッジ」は奥歯なので適応不可.
「入れ歯」は保険適応だけど違和感が強い.

最適なのは「インプラント」か.
しかし,その最大のネックは...言うまでもなく値段.
1本40~50万だと!?

グラベルロードが買えるやん!

今の歯科に通いだして2年ほど.
確かに診療も丁寧だし,通う前に比べると歯茎も引き締まり,出血もなくなった.

ただし,歯石除去を含む定期検診,一回のターンで¥20,000近く,それが年3回で年¥60,000ほどの費用がかかっている.
それでも...永久歯を失くしてしまうんやなぁ.
老化,恐るべし.

病気やケガによって,身体の機能を失ってしまった人の気持ちが,ここに来てようやく“ちゃんと”わかった気がする.

Kazchariが生きているうちに,この脳っつーか,記憶や意識だけをどこかに移せへんかなぁ.身体の方は強靭なロボでええから.そうしたら永遠の命が実現...って,『攻殻機動隊』やん!

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX シーズン1&2 総集編 DVD-BOX (全2作品, 320分)

とうとうブルーレイディスクが...栄枯盛衰

2023/1/25 Wed

結構衝撃的かも.

ついにというべきか,とうとうPanasonicが録画用ブルーレイディスクの生産をやめるらしい.

パナソニック、’23年2月で録画用ブルーレイディスク生産完了

映画はネットを通じた配信が主流となり,TV番組ですら「TVer」などでの見逃し視聴が可能になった今,わざわざ個人が物理的に保存しておくメリットがなくなったからだろう.

ではプライベートな画像は?
クラウドにアップロードすれば,よほどのことがない限り失われることはない.
もしくはハードディスクなど,他の媒体に保存?
その場合は物理的なエラーによるデータ紛失のおそれもあるので,複数のバックアップが安心.
それでも心配ならクラウドに...って,結局それか.
Kazchariも過去の写真データをHDD☓2,クラウド(Amazon Photos)で3重バックアップしている.

録画用ブルーレイディスクに話を戻す.

元々あのサイズに25GBのデータを保存すること自体に無理があると聞いたことがある.
DVDに比べると,書き込み層が薄すぎて,読み書きとも,少しのキズですぐにエラーになってしまう.
実際Kazchariの手持ちのディスクも,某メーカー製はブロックノイズによりもう読めなくなってしまったモノが多数.

思い出が消える

そもそもテレビ録画用のモノはまだマシだが,PC用のポータブルブルーレイレコーダーはひどかった.

焼きミス率がDVDの比ではない.

ただでさえ高価なのに...
マニアは少しでもリスクを避けるため,「BD-R」ではなく,書き換え可能,つまり少しでも頑丈な「BD-RE」をあえてチョイスすると聞いた.

とまぁ,社会インフラおよびその脆弱さによって消えゆくらしいブルーレイディスクだが,そもそも録画保存したものをそう頻回に観るのだろうか?

思えばこれまでも様々な媒体が生まれ,そして消えていった.

昭和生まれのKazchariは,カセットテープによるFMラジオのエアチェック,それにレコードからカセットへのダビング世代.

初代『ガンダム』なんて,テレビの音声だけをカセットに録音してた.
これは決してマイナーな行動ではない.
当時の「アニメージュ」には,各話ごとのカセットテープケース用ラベルが付録についてたしな.

高校生になって,ようやくVHSデッキを購入してもらった.
部活のおかげで『ダンバイン』『ボトムズ』がリアタイ視聴できなかったからである.
あの頃は120分テープ1本が¥3,000ほどした.

そしてレンタルビデオ全盛期がやってくる.
旧作,新作の洋画やアニメを観まくった.

次にレーザーディスクが登場.
クラシックコンサートや劇場版アニメのLDを数枚だけ買った.
今思えば,レーザーディスクって値段の割に画質全然あかんかったな.

次がいよいよDVDである.
VHSの画質に見慣れた目に,なんと鮮明に映ったことか.

HDDレコーダーが登場し,録画・編集した番組をDVD/ブルーレイにせっせと焼き,ラベルを作って印刷する.
結果,今も膨大な数のディスクが自宅にある.

そうして苦労して集めたコレクションだが,今やそのほとんどはサブスクで視聴可.
えっ? 月額がかかる?
いや生ディスクも無料ではない.特にブルーレイディスクは高い.
コスパではサブスクに対して勝ち目はない.
それに加え,映画のセルディスクそのものが,非常に安くなった.

もちろん過去のTV番組やマイナーな映画全てがサブスクで観れるわけではない.

以前はテープが貴重だったため,一度放送を終えると上書き使用され,今では二度と視聴できない番組も多いという.
最近知った興味深いネタがこれ.

緊急速報!『プリンプリン物語』残り1本に!!

妹と観てたなぁ『プリンプリン物語』.
幸い「アクダ共和国編」は大丈夫だったらしい...って何の話?

いずれにせよ,過去のコンテンツを再視聴する機会ってどれほどあるのだろうか?
いや,最近は結構,観たり読んだりしてるなぁ.

数十年ぶりに『獄門島』を再読する~わが青春のヨコミゾ

数十年ぶりシリーズ~『時計じかけのオレンジ』を観た

新しいモノも良いけど,若い時とは違った視点で体験できる.
やっぱり思い出は色々な形で残しておく方がベターかも.
キリがないけどな.

そして,人生の残り時間だけが刻々と減っていく...ウギャー

山岳映画2本~『神々の山嶺』&『イーディ,83歳 はじめての山登り』

2023/1/17 Tue

リアルとファンタジーのあいだ.

Zwiftの友である「Amazon Prime Video」にて山岳映画を2本連続で観た.

まずはこれ.

神々の山嶺

現在,同題名の物語は4つ.
まず原作となる夢枕獏の小説『神々の山嶺』(「いただき」では変換しません).

エヴェレスト 神々の山嶺 (角川文庫)

かなり以前に読んだ.
「発見されたマロリーのカメラは本物か否か」のミステリー仕立てから始まって,とんでもなく自我が肥大した山岳家の「冬季エヴェレスト無酸素南西壁登頂」への挑戦...と,当時の読書録には書いてある.
評価は見事に星5つ.
作者自らが「どうだまいったか!」と言っていた記憶もある.確かに.

次に『孤独のグルメ』で有名な谷口ゴロー...じゃなくてジローさん作画によるコミック版.

神々の山嶺 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

Kindleで購入し読了済み...だったことをすっかり忘れていた.

いまさら再読.これまた素晴らしい.
生涯ベストのコミックに上げる人も多いという.

特に山の画力は圧倒的.
この質感は写真トレースでは絶対に出せないだろう.

そして食事シーンの素晴らしさ.
その詳細な説明と描写も相まってリアリティの鬼.
さすがジローさん.

ただ,原作にもある(?)無理矢理感なアクション要素が玉に瑕.
羽生のモデルになった人(森田勝)に実際にこんなことが起きた? それはないだろう.

個人的にツボなのはカトマンドゥの描写.

Kazchariも1990年,インドからバスでネパールに入国.
ポカラからカトマンドゥまで旅をした.

登山?

ポカラから日帰りで行けるトレッキングはしたなぁ.
つまりマチャプチャレのふもと?

ネパール・ポカラにて / 1990年3月15日撮影
ネパール・ポカラにて 自称ガイドの少年 / 1990年3月19日撮影

途中の山道で巨大なザックを背負った日本の登山隊の人たちに挨拶した記憶がある.すんごい迫力でした.

次に邦画の阿部寛&岡田准一主演の『エヴェレスト 神々の山嶺』

エヴェレスト 神々の山嶺

リンクを貼っているものの未鑑賞.
実際にベースキャンプまで登って撮影したという宣伝文句には惹かれるものの,「ギアが全てスポンサーの新品モンベル製で不自然」だとか「ストーリーが変な方向に改ざん」と聞き,すっかり興味をなくした.

レビューを見ると賛否両論(どちらかと言えば否多め).
もともと昨今の邦画の「お涙頂戴過剰演出」と「説明ゼリフだらけ」にイライラさせられることが多いので観る予定なし.すいません.

ただし,原作,コミックにある超有名な羽生のモノローグ.
これはしっかりと描写されているらしい.好ポイント.

やすむな。 足が動かなければ手であるけ。 手が動かなければ指でゆけ。 指が動かなければ歯で雪をかみながら歩け。 歯もだめになったら目で歩け。 本当にだめだったら、本当にもう動けなくなったら、思え。 ありったけの心で思え

で,ようやく本題のアニメ『神々の山嶺』の感想.

神々の山嶺

なぜかフランス製作である.
ざっくり言うと,コミック版を元にして再編集っつーか,上映時間内におさまるように印象的なエピソードをオリジナルでつなげた感じ.

結論.
レビューでの評判は上々だが,Kazchari的にはイマイチだった.

確かにセリフが少なく,BGMが抑え気味なのは好印象.
それを受けてか,ストーリーもものすごくタンパク化.
リアリティと言えばそうなのかもしれんが,熱さはあまり感じず,物足りなかった.

さらに,なんつっても...先程あげた,羽生の”あのモノローグ”が丸々カット.
さすがにこれはない.
フランス人にはわからん感性なのか?(偏見)

日本の描写もそれっぽいというかほぼ違和感なし.
少なくともZwiftの「MAKURI ISLAND」よりずっとジャポネしている.
たぶんスタッフに日本人がいるのだろう.

しかし,なぜか岸の遭難死を伝える新聞だけが変.
わずか数秒の描写だが,岸の写真の周りが「震災直後の福島発関連記事」だった.
なぜ?
チェックミス?

つーことで,手軽さ(再読しやすい)や面白さ,満足度ではコミック版が一番,続いて原作かな.

山岳コミックでは,超美麗な作画と壮絶なストーリー展開の坂本眞一の『孤高の人』が印象に残る.

孤高の人 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

本格的に山やっている人だと,また評価は違ってくるのだろうけど.

で,「次に観る」で上がっていたのが,これ.

イーディ、83歳 はじめての山登り(字幕版)

原題『EDIE』.

脳梗塞で倒れた夫を30年間介護し続け,80歳を越えてしまったイギリス人女性,イーディ.
夫の死後,娘に老人ホームの入居を勧められる.
部屋の片付け中,昔の日記を娘に読まれて関係悪化.
一人残されたイーディは,昔,父からの絵葉書に描かれたスコットランドのスイルンベン山に登ることを思いつく...というお話.

以下,ネタバレ.

まぁ,それにしてもこのばーさん,性格が悪い.
もしくは不幸な人生により悪くなってしまったのか...いずれにせよ非常に頑固.

一方で「正直に生きたいと思いつつも,それを口に出してはいけない」という変な縛り(我慢?)を自分に課してたりする.
そう,めちゃめちゃ面倒くさいのだ.

象徴的なのが冒頭,こっそり肉を焼いていたのを,娘に「こんなの不健康」と咎められ,捨てられてしまう.
ここでばーさん,何も言わない.非常に腹立たしい.
高齢者ほどタンパク質重要なのに!(そっち?)

それらの不満は日記にぶつけてきた.
結婚してから今まで,ずっとこうだったのだろうか?

そういうのは絶対,顔や態度に出る.
夫や娘との関係がよろしくなかったのも,このばーさんの性格が主な要因の一つだろう.

さて,夫が死に娘と離れ,自由になったイーディは,山に登るため列車に乗ってスコットランドに向かう...と思いきや,一旦やめかける.

あーイライラする.

うん? もしかして,視聴者にそう感じさせる時点で監督の術中に,見事にはまっている?
ホームコメディ,ハートフルムービーとは真逆のアプローチ!
実に新鮮.

当然この後「このばーさん,かわいい,かっこいい!」という風にもっていく展開になるはず...と思っていた時期がKazchariにもありました.

その先もジョニィを始め,出会う人々(ついでに自分)に悪態付きまくり,ここまでかわいくないばーさん,邦画では絶対ありえない(たぶん).

なんだかんだで後半.
ジョニィのガイドを断って,一人で登ることを決意.
ドローンを駆使した映像も相まってようやく旅の始まりを予感させる.

ここからはばーさんの逆襲,視聴者の好印象も爆上がり!...になるはずが,いきなりボートを湖に下ろす際に手伝ったもらった他のハイカーを罵倒.
びっくりした.

文句ばっかりでは何なので良かったところ.

終盤も終盤,ザックを置いて這うように崖を登るイーディの姿.
役者の演技も相まって,ここはヘタな雪山映画よりも迫力あった.
ここは,ここのシーンだけは素晴らしかった.
そうまるで,羽生の例のセリフ「想え」がかぶってもおかしくないぐらい.

しかし...この後がよくない.
マジで全て台無し.

電話がつながらないことに不安を覚えたジョニィが,慌ててイーディの後を追う.
まずザックを発見,さらに途中で疲れ果ててひっくり返っているイーディを発見!まだ死んでなかった(失礼な).

そして...ジョニィに支えられながら無事山頂へ...ぐわぁ~全てブチ壊し.
ここはイーディが一人で登らんとアカンやろ~
これまでの意地はなんやったんや~

以下はあくまでKazchariの願望.
ラスト,少なくとも山頂まではイーディは一人で登る.
ジョニィがイーディを発見するのは,山頂で佇む彼女の姿⇒エンドで良いのでは?

それこそファンタジー? 非リアル?
いやいや,それなら一言も話さない山小屋狩人のレスキュー話は不要.

最後の最後までスコットランドの天気のようにすっきりしない映画だった.

やりたいことやる高齢者という視点では『ダージリン急行』が面白かったなぁ.

ダージリン急行 (字幕版)

全然毛色の違う映画やけどな.

さて,山登りと言えば,Kazchari家恒例の高齢の息子と男二人キャンプ.
昨年のGWは日高のアポイ山に登った.

海!山!温泉!~小学生男子とアポイ岳(その1)

登る前も,そして帰宅後も「二度と山は行かねぇ」と文句ばかり言っていた息子だが,結構,事あるごとに山での出来事を話す.

そう,辛くて強烈な記憶ほど脳内に残るものなのだ,息子よ.
さて,次はどこを登らせてやろうか...

『水星の魔女』第1シーズンの感想と第13話の予想

2023/1/13 Fri

トマト.

衝撃的な展開で第1シーズンの幕を閉じた『水星の魔女』
Kazchari家では通称「水魔」と呼んでいた.

機動戦士ガンダム 水星の魔女

学園モノ,百合モノといった,これまでのガンダムにない要素を打ち出していた本作だが,いざ始まってみると,全編にそこはかとなく漂う不穏な空気や想像を越える展開が続き,一瞬たりとも目が離せなかった.
ここまで真剣にTV番組を見るのは『半沢直樹』以来では?

半沢直樹 -ディレクターズカット版- Blu-ray BOX

家族四人,毎週日曜5時に居間に集まってリアタイ鑑賞.
アホ息子がお菓子をボリボリ食おうものなら,他の家族から罵詈雑言.
ひどい話や.
何せ,場面やセリフ一つ一つに重要な意味や伏線があって,見逃せない,聴き逃がせない.
※ただし,MSのデザインはあまり好みではない.

さて,先日放送の第12話.
JKの娘はその時間たまたま出かけていて,3人で鑑賞した.

まずKazchariの反応:
ボブの親殺し     ⇒ 「ああ,ガンダムあるあるやな」
エアリアルのケージへ ⇒ 「ああ,エヴァっぽいな」
Cパート        ⇒ 「いつの間にオルフェンズ(もしくはVガン)に!?」

ヨメ:例のシーンで「ヒェッ」

アホ息子:「新エアリアルかっちょええ!」

残酷描写に耐性がないJKの娘は未聴なれど,Twitterで内容を知ったらしく「絶対に観ない」と宣言.

まぁ,従来のガンダムらしさ全開とは言え,いささかやり過ぎなのは確か.

いや,そうでもないか.

日5と言えば『SEED』のフレイのアレ,トオル&ニコル,電子レンジ.それに『オルフェンズ』の「パン!パン!」もたいがい.
下手すると今回もBPOから呼び出し案件?
おっと,肝心なことを忘れていた.同じ脚本家の“血染めのユフィ”もあったな.

おそらく第12話は,スタッフの「これから戦争を描きます」との覚悟表明.

昨今,“やさしい世界”にコミットし,主人公が不殺もしくは不殺化することが多く,結果的に話を盛り上げることが難しくなっていた.
倫理的には正しいのかもしれないが,一方で視聴者にはフラストレーションがたまる(ヒトの闘争本能は拭えない).

さて,今後の展開が全く予測つかない本作だが,第2シーズンのスタートとなる第13話以降はどうなるのかを勝手に予想/妄想.

ハエ叩き時のスレッタは,明らかに人格が変容している.
これまでなかったタメ口かつ場を読まない笑顔.
ただし,これが4歳児エリクトの思考なら納得.

プロスペラによる暗示&新エアリアルの新機能で,エリクトの人格がスレッタにインストールされた...っぽい.
ただし,直前の戦闘ではまだスレッタらしさが残っているようだったので,100%上書きされたわけではなさそう.

もし,直後から第13話が始まるなら「突然,我に返ったスレッタ.やらかしたことの記憶がなくて混乱」からスタート.

納得がいかず,スレッタを拒絶するミオミオだが,その後,徐々にプロスペラの狂気に気づき,自分の知るスレッタを取り戻すために,クワイエット・ゼロ計画(魂のサルベージ?)の秘密に迫っていく...という展開.
最後,スレッタがスレッタに戻って...にしないとエンディングのようなハッピーエンドにはならない.

いや,ちと意外性がなさすぎるか?

状況としては...
いきなり場面が変わって,3年後の世界(『レイズナー』のように).
アーシアンとスペーシアンの戦争は激化している.

株式会社ガンダム地球支社は,敵味方問わず,戦闘で負傷した兵士,民間人をガンド技術により治療する中立的な事業を行っている.

スレッタ(数%エリクト)は(株)ガンダムを退社してスペーシアン軍に所属.アーシアン(フォルドの夜明け)と局地戦闘を繰り広げている

スレッタとミオミオはずっと疎遠.

ボブも仮面をつけてスペーシアン軍に加勢.スレッタの同僚となっている.

素性がバレたニカはシャディクハーレムのメンバーに.
シャディクは相変わらずベネディクト社でスパイ活動.

エランくん(オリジナル&5号)は...よくわからんけど,(株)ガンダムと提携してたははず.

負傷以来,床につきがちのデリング.
スペーシアン(ベネディクトグループ)の指導者は実質プロスペラとなっている.

これ以上は...全く想像がつかない.

謎の黒幕(水星人)が登場し,クズヒロインによって胸糞展開,つまり『ヴァルヴレイヴ』化するのだけはご勘弁.

いずれにせよ4月が楽しみだ.

ちなみに第2シーズンまでのつなぎとして『閃ハサ』『サンボル』『NT』(あえて略称)のTVスペシャルを放送とのこと.
映像,内容的に『サンボル』が一番ヤバイ.正気か?

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

機動戦士ガンダム サンダーボルト 第1話

機動戦士ガンダムNT