2021/8/18 Wed
絶対に逃げられない
Zwiftの友,「Amazon Prime Video」.
今回は少しひねりのあるホラー映画を観た.
エログロスプラッタではなく,どちらかと言うと見終わった後からじわじわ来る系.
『リング』や『輪廻』などの和製ホラーに近い雰囲気の作品だった.
以下,ネタバレ.
「IT」は性行為で感染する.
感染した者は,日常空間にいきなり現れる「ヒトの形をした何か」に追い続けられる.
「IT」は家族や知人の姿をしていたり,未知の人物だったりと頻繁に姿を変える.
「IT」の目的は,感染者を殺すことである.
この映画,(演出の都合からか)「IT」の設定が非常に細かい.
A(感染者)とBが性行為する.
Bは100%感染する.
Bが「IT」に追われるようになる.
この時点で(一代前の)Aはまだ「IT」が見える.ただし追われることはない.
B(感染者)が逃げ延びて誰かと性行為し,「IT」を感染させればAは開放される.
しかし,Bが「IT」に追いつかれ殺されてしまうと「IT」はAに戻ってしまう.
当事者以外に「IT」の姿を認識できる者はいない.
ただし,鈍器で殴ったり,銃で撃ったり,布をかぶせるなどの物理攻撃は誰でも可能.
なぜか視覚だけが効かない(ご都合設定).
救いは「IT」の動きが遅めなこと.
基本的に歩いて来るので,こちらが気づいて走り出すか,クルマに乗り込めば逃げ切れないことはない.
しかし,逃げた先に突如として現れるので安心はできない.
もう一つの特徴は,性行為中と睡眠中は現れないこと.
これは「IT」の正体に関するヒントとなる.
...
「IT」とはずばり「死」なのだろう.
療養中などの特殊な場合を除き.誰もが,自分がいくつかは死ぬなんて考えもしない.
しかし,「IT」は常に我々を追いかけており,いつかは必ず目的を達成する.
ただし,「死」を忘れるというか,意識できない状況(性行為と睡眠)時にはやってこない.
よくできてるなぁ.
他にも,裏テーマっつーか,ヒロインの忘れたい過去,おそらく性的虐待の経験も匂わせているように思われる.
隣人の男性や(たぶん)不在の父親から望まない関係を強要されていたのではないだろうか?(プールの男は父親?)
隣人を殺す「IT」がなぜか彼の母親の姿をしていて,(ヒロインの目には)息子をレイプしているように見えている.
つまり,ヒロイン視点からだと「IT」には「妊娠」や「性病」も含まれているかもしれん.
とまぁ,劇中で明言されないこうしたテーマはともかく,ビジュアルが怖いっつーか,脳に残る.
特に自宅に現れた,失禁しながら迫ってくる女性とその次の長身男は強烈.
これは怖い.
間違っても子どもには見せられない.
最後のシーン.
真面目にヒロインのことを想う純真な幼馴染くんと無事,恋人関係になった(幼馴染くんは売春婦に「IT」を移動済み).
手をつないで歩く二人の後ろから,怪しげな人物がゆっくりと近づいて来る描写で終わる.
はたしてそれは「IT」なのか?
いずれにせよ誰も逃れられない.
Kazchariが「IT」に追いつかれるまで,だいたい残り30年ほどか...
やり残したことはないか?
ちなみに「メメント・モリ」という言葉がある.
一般に「死を思え」や「死を忘れるな」と訳されるが,元々の意味は違ったらしい.
こう考える方が楽しそうだ.