2023/2/14 Tue
きれいは汚い,汚いはきれい.
先日のこと.
同僚の息子さんが通う小学校の教諭が「チェンソーマンを見てはいけません」とおっしゃったそうな.
ひどい話である.
年配の教諭らしいが,一体どの様な半生を歩んできたのやら.
ここは「先生(大人)に言われたからではなく,自分で見てから判断せよ」「友達が見ているからと無理に合わせる必要がない」とか言うべきだろう.
それとも「勘違いした監督のせいでアニメのデキがひどいから原作を読みなさい」というマニア視点からのお達しなのか?(←絶対ない)
もし三者面談などで,Kazchariの目の前でこの発言しやがったら(サブカルファン代表として)徹底的に論破してやる...と,昨今のホワイト化社会には違和感しかないが,世の中は着実にこの流れ.
以前の記事でも書いたが,ルパン三世の最新作(?)でも,ルパンと次元はタバコ吸わないし,不二子はバイクに乗る際にヘルメットをかぶる.
これに関しては『カリ城』で次元が「そろそろおっぱじめるか」と吸い殻を捨てるシーンも,以前は全く気にならなかったのに,今見ると「もやっとする」という意見すらあるそうだ.
古い世代の人間ですらも毒されている感がある.
元々,実写ドラマでは「警察がうるさいから」と,逃走する強盗犯もシートベルトをちゃんとするので最近のコンプラ事情のせいとは一概に言えないが...ってアニメやで,ファンタジーやでルパンは.
だがしかし,問題はそこではない.
Kazchariの子供時代(昭和)のテレビなんぞ,エログロナンセンスのオンパレード.
『ウィークエンダー』の再現フィルムは完全にAVやし,『ドロロンえん魔くん』やら『妖怪人間ベム』なんてトラウマもの,『まいっちんぐマチコ先生』はセクハラ,『8時だよ全員集合』はお下品,ドラマもいじめやらレイ◯やら陰惨極まりないものだらけ.
でも...しっかり見てた(から知っている).
うちの親はあまりうるさくなかった.
まぁ「見るな」と言われたとしても,こっそり見てたやろな.
そして歪みもせず,ちゃんとした(?)オトナになり,人生を楽しめている.
幼少期に快/不快を含む,様々な感情に触れていないと,将来的に自身の感情に気づきにくくなる,または処理できなくなるオトナになるのでは?
純粋培養は辛いだけ.
うちのJK娘は,将来映像系の仕事に就きたいらしく,大学も関連学部を狙っている.
だからこそ(Kazchari基準で)クリエイティビティに富む良質なコンテンツを多々薦めているのだが,「残酷シーンある? じゃあダメ」と完全拒絶.
例えば,現代の教典に等しい大傑作『進撃の巨人』なんて,コミックもアニメにも全く手を付けない.
『水星の魔女』も例のハエ叩きを見たくないからと12話はパス.プロローグもアウト.
さらには昨今のタイムリープ物随一の傑作『サマータイムレンダ』.
先日,「面白いから」と詳細な内容を教えずに見せたところ,一話のラストシーンで「二度と見ない」と脱落.なんじゃそら.
うちの10歳の息子ですらほぼ同様.
ロボ好きなので,これまた才能あるオタ監督に大金を渡して自由にさせたら,とんでもない映画を作りやがったの『パシフィック・リム』を見せた.
冒頭のエヴァ+マジンガーっぽい発進シークエンス.
あのBGMと相まって,何度見ても大興奮のKazchariと異なり,息子は妙に冷めた表情.
おかしい.ここで感動しない男子に育てた覚えはないのだが.
挙げ句のはてに,ジプシー・デンジャーのコクピットが吹き飛ばされて主人公の兄貴が死亡.
それを見て「とーちゃん,オレもうだめだ,見ない」とのたまいやがる.
息子曰く,アニメだと平気だが実写の人間はダメらしい.軟弱かっ!
と,こういう子供らだが,なぜか『ガルパン』や『鬼滅の刃』は平気.
あのレベルまでシチュエーションやキャラをデフォルメしないと,感性が受け付けないのだろうか.
問題の根は深い.
こうした認識だと,先人が残した数々の芸術作品も「汚いから」「残酷だから」「暴力的だから」という理由だけで鑑賞を拒絶し,作品の真髄に触れないままスルーしてしまうのではなかろうか?
こうした人間ばかりになると,当時の世相や個人の思想を深く,鋭く反映した文化や芸術が受け継がれない.
実にもったいない.
好奇心より精錬潔白,ココロの平穏だけを望むのか?
こりゃ,悪意を持って接近してくる奴らにあっさりと騙されるわけやな.
子供らに嫌われようとも,Kazchariは伝え続けるでぇ.良いものは良いのだ.
世の中の汚い面も知ろう.
その中をサバイバルし,光をつかもう.
『Gレコ』のエンディングみたいになっちった.
ついでに言うと,Kazchariはゴダイゴの『銀河鉄道999』が好きだ.
特に2番冒頭の歌詞.
以前,記事にもした.
現状に満足していては,喜びは得られない.
そして自分の喜怒哀楽に向き合って,清濁併せ呑もう.