2023/1/21 Sat
オレは完全に治ったらしい.
終活の一貫.
昔好きだった,もしくは印象的だった本や映画をもう一度シリーズ.
一時のブームかもしれんけど.
つーことで,今回はAmazon Prime Videoにて,過激なバイオレンス&エロで有名な本作(当時基準),『時計じかけのオレンジ』を視聴.
中学生の頃に観て大きな衝撃を受けた.
正直,ストーリーや思想に関しては理解できていた...とは言えない.
ズレた片目つけまつげ,真っ白い服にペニスガード,袖の目玉の異様なファッション.
歌いながら楽しそうに弱者をいたぶる.
「インナウト」「ハラショー」「デポチカ」など造語だらけのわけのわからんセリフのオンパレード.
なんじゃこりゃあ!
そしてキューブリックと言えば,その独特の映像.
代表的な広角シンメトリカル構図はキューブリックの真骨頂.
観ているだけでゾワゾワする(特に『シャイニング』).
以下,ネタバレ.
言及はされていないけど,近未来の英国.
街が荒廃したディストピア感満載.
住民のファッションやインテリア,ふるまいも狂気.
ストーリーは極めて単純.
4人グループで悪逆の限りを尽くしていた悪ガキ,アレックスはついに殺人を犯してしまい逮捕.
懲役14年の判決が出る.
2年ほど模範囚(のフリ)をしていたが,とある先進的な治療法(暴力衝動がなくなるらしい)を受ければ刑期が減ると知り志願する.
その治療法は「暴力的な映像を観続ける」というモノ.
拘束衣はもちろんのこと,ご丁寧に開瞼器まで装着し,瞬きすらさせない.
有名なシーンだ.
横に座って無表情で目薬を指し続ける助手がなんとも...
その結果,アレックスは自身に暴力衝動や性的欲望が起こると吐き気をもよおす体質に.
胸糞な最終検査に“合格”し無事出所.
すでに帰るべき自分の居場所はなくなっていた.
さらに,以前襲ったホームレスや,警官になった手下がアレックスに復讐.
ほうぼうの体で逃げ込んだのは,これまた自分が襲った夫婦の住んでいた家だった.
アレックスのせい半身不随になった老作家は,最初アレックスの正体に気づかない.
新しい治療の結果,非人間的になったアレックスを反政府活動の攻撃材料にしようと目論む.
しかあし,アレックスの「雨に唄えば」を聴いて,襲撃犯だったことに気づいてしまう.
何も知らないアレックスは,とんでもない形相でにらみ続ける作家と,マッチョな用心棒に囲まれて徐々に追い詰められていく.
そして,睡眠薬で意識を失う.
気がつくと屋根裏部屋.
大音響で流れる「第九」.
洗脳時にも使われていたこともあり,アレックスは大好きだった「第九」にも拒絶反応が出てしまう.
階下でアレックスが苦しんでいるのを観察する老作家とその他.
なぜか芸術的な構図.
アレックス,たまらず窓からダイブしてしまう.
気がつくと包帯ぐるぐる巻でベッドの上.
一命はとりとめた.
そこへアレックスに例の治療法を推進した政府の内務大臣が登場.
反政府勢力および世間への牽制のため「キミが更生したことを宣伝させてくれ.今後のキミの面倒は政府がみるから」と協力を願いでる.
しかあし,一度自殺を試みたことでアレックスの洗脳は解除され,元の暴力性を取り戻していた...という話.
もう最後の大臣が切った肉を,口をポカーンと開けて待っている時のアレックスの顔が腹立たしくて...全くスカッとしません.
「ヒトにとって暴力は快感」というのは事実らしい.
ただ法治国家で物理的に攻撃するのは,社会的地位を失うリスクが大きい.
そこでSNSやコメント欄を利用した個人への誹謗中傷が繰り広げられる.
ヒトを攻撃する時,脳内では快楽物質であるドーパミンがガシガシ分泌されているそうな.
つまり,暴力衝動は誰しもある.
それは生物である以上仕方がない.
自分を守るために他者を攻撃する.
でないと生き残れない=子孫を残せない.
その排除を「治療」と称して国家が管理する.
それは正しいのか?
思い越せば,暴力や恋愛を含む感情を抑制し,社会をコントロールする系の話ってSFだと定番.
名作『1984』とか.
ガンカタで有名な『リベリオン』もそう.
1971年製作の『時計じかけのオレンジ』は,こうしたディストピア系映像化のはしりだったということか.
先日,東京で強盗事件があった.
東京・狛江市 高齢女性強盗殺人事件“千葉の事件”捜査過程で発覚 関東で強盗事件相次ぐ【解説】
とはいえ,日本の治安が悪化したかと言えば,統計的には否定されているそうな.
ただ特徴的なのは,闇サイトを通じてその場限りの仲間を集めて犯行というのが現代風.
犯人間に繋がりがないので検挙しづらいのだろうか.
かつて協力隊員として住んでいたジャマイカ.
任期中,他の国に数週間(研修)旅行に行くことが可能なのだが,ジャマイカから他の国に行けても,他の国の隊員はジャマイカに来ることができない規定があった.
なぜなら治安が悪いから.
実際に住んでいるとそうでもない.
確かに首都のはスラム街があって,絶対に訪問するなと言及されていたけど.
Kazchariが住んでいた人口6000人の田舎町でさえ,全ての家の窓にグリル(鉄格子)があったなぁ.
平和が売りだった日本もやがて...窓グリルが標準装備になるのだろうか?
と,同時に思い出されるのが井上陽水の『傘がない』.
そうだよなぁ.
漠然とした未来や社会情勢への不安より,自分に直接関わる問題の方が重要.
Kazchariの場合は...ついにと言うかとうとう,親知らず以外の永久歯を抜く刻が来てしまったようだ.
昨日,歯医者で告げられた.
これが老いか...シクシクシク36.