奇跡の名作『海賊戦隊ゴーカイジャー』

2024/9/5 Thu

2011年.

スーパー戦隊シリーズをYouTubeにて無料配信中の東映公式チャンネル

複数の作品を同時配信しているが,Kazchari家でレギュラーなのは『電磁戦隊メガレンジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー』である.

『メガ』『カーレン』の後番組で,毎週木曜日の夜に2話ずつ更新.

毎回,JK3の娘と視聴後の感想で盛り上がっている.
ますますうちの娘の『トクサツガガガ』化が進んでいるようないないような...

トクサツガガガ(1)

特に屈指の感動回と名高い第10話「さよなら! 哀しみのアンドロイド」には号泣したらしく,同級生にも布教しだすハメに...大丈夫か? 下手すると友達なくすぞ.

まぁ,Kazchari的にはアンドロイド爆死後の問答無用のゼロ距離射撃,怒りのメガブルーがむちゃくそかっこよかった.その後のロボ戦も一撃必殺で心スッキリだ.

実は本放送時(1997年)は,とばしとばしでしか観ていなくて,噂にきく終盤のうつ展開の詳細は知らない.何やらザンボット風味とか.今から楽しみだ.

で,毎月曜日に更新されるのが『海賊戦隊ゴーカイジャー』
ちなみにKazchari的戦隊ベスト3は『タイム』『トッキュウ』そして『ゴーカイ』だ.これらは全話視聴.

『ゴーカイ』は世間の『ワンピース』ブームにあやかった企画であると同時に,『ゴレンジャー』から35番目にあたるいわゆるお祭り戦隊.

最大の売りはレンジャーキーというアイテムを使って,過去の戦隊メンバーに変身できること.

ネーミングセンスが抜群で,「ゴーカイ」は「Go!海!」「豪快」,そして戦隊名は偽物による変身ゆえ「海賊版」の意味も含んでいる.
ザンギャック,ワルズギル,インサーン,ダマラスと敵の名前も最高.
考えた人は天才か.

それに主役5人のキャラも立ちまくり.
赤の人はちょっとやらかしたんで,その後の人気はイマイチだが,青の人は今を時めく山田裕貴である.

えっ?シルバー? その件は後で.

第1話のアバンから34戦隊全員集合! かつ,短いカットながらそれぞれの特徴をとらえた演出.素晴らしすぎる.戦隊愛が炸裂.スーツも作り直した?

本編では劇中でゴレンジャーに変身した際,戦隊ガチ勢の保育士さんがいきなり解説しだすのが面白かった.
このノリで行くのかと思いきや,この回限りの演出.
以降の回で他の戦隊に変身した際も,たまたまそこに居合わせた一般市民による解説を期待したのだが...そこは残念.

ゴーカイジャーの当初の目的は地球を守るのではなく,(海賊だけに)あくまで宇宙最高のお宝を探すことが目的.
各スーパー戦隊の持つ“大いなる力”が関係しているらしく,その収集で物語が進んでいく.

で,おおよそ2話ごとに過去戦隊およびオリジナルキャストをからめていくわけだが,元々の構成ではせいぜい過去10年の作品に出演したゲストを呼ぶ予定だったらしい.
まぁ古い作品だと俳優業を引退されていたり,当時のイメージと違いすぎることなどを考慮したのだろう.

それは商品展開にも現れている.
玩具の「DXゴーカイオー」と合体する追加アイテムも,最近の戦隊からピックアップされている.

だがしかし.
放送年の2011年.あの東日本大震災が起きた.

で,有名な話であるが,ライダーや戦隊などの特撮出演経験のある俳優さんたちが,被災した子供たちへの語り掛けをSNSで行って話題となった.
その勢いのまま,全34戦隊のメンバーのうち最低1名は,本編や映画内でゲスト出演することになったという.ええ話や.

そして,本編も一週だけの順延で,すぐに再開された記憶がある.

おそらく震災直後の大混乱時に撮影したと思われるのが,第8話「スパイ小作戦」.
ほぼゴーカイガレオン船内と波止場の一部だけで物語が完結する.
ロケどころではなかったのだろう.
兄弟怪人役声優の檜山さんと千葉さんのやり取りが面白すぎる.

まぁ,ここまででも感動的な経緯なのだが,「ゴーカイ」は主題歌も素晴らしすぎる.

「この未曾有の国家的危機を全員で乗り越えて行こう」という状況にあまりにもピッタリ.
特に「傷だらけで前進するんだ」のところで(今でも)300%泣ける.
マイベスト特撮ソングの第1位やな.

そしてテーマである.
「特撮番組は教育番組」とよく言われる.
大人向けのドラマと異なり,役者人気頼みや事務所への忖度なしに,普遍的なテーマをさりげなくストーリーに落とし込むこんでいる.
おもちゃが売れていれば財団Bも文句を言わない(偏見).

「ゴーカイ」の場合,特に第2話が象徴的.

とある少年が,地球を守る気のないマーベラスからシンケンレッドのレンジャーキーを奪い,変身してザンギャックと戦おうとする.
「危険すぎる」と,他のメンバーはその少年を止めようとする.
だが,マーベラスは放置.まず一人で戦わせる.
もちろん,殺されるギリギリの段階で助けるのだが,特に心配するそぶりも見せず「戦いたいなら自分にできることをしろ」と少年を諭す.

そうそう,子供が挑戦する前に諦めさせようとする,もしくは先に手助けしてしまう大人のなんと多いことか.その子は永遠に成長しない.

ルソーも言っている.

子供を不幸にするいちばん確実な方法は、いつでも、なんでも手に入れられるようにしてやることである。

同意.
さらに「この星に守る価値はあるのか? どこにある?」と尋ねるマーベラスに対し,少年の「海賊なら自分で探せ」という返しも最高である.

とまぁ,細かい点を挙げるとキリがないのだが,「ゴーカイ」は良いエピソードの宝庫である.
ホンマ,あの年はマジで日本なくなると思ったもんな.
遠く離れた北海道ですらこれやから,現地の子供らの不安たるや...

こうして「ゴーカイ」はKazchariの中で奇跡の名作となっている.

引き続き配信が楽しみだが,懸念事項が1点.
言うまでもなく,ゴーカイシルバーの中の人の刑事事件である.
まさかと思うが,初登場シーンの前で配信停止とかないやろな.

まあ始まった以上,最後までするとは思うが...となるとサリーの回で,うちのヨメはん号泣待ったなし.

役者の不祥事と作品は別.
少なくともネット配信に関しては,そういう考えが強いと思われる.
視聴者が自ら選んで視聴するわけやし,至極当然の判断.

それにしても,やっぱり特撮は面白いな.
まぁ,中にはアレなのもあるので,手放しで礼賛するわけではありません.

『仮面ライダーBLACK SUN』,最終回まで観た~生きることが好きさ(えっ?)

ちなみに現放送中の『ブンブン』は未視聴.
最初の数話は視聴したけど,中身があまりにも普通過ぎて...すいません.その前の3作があまりにインパクト強すぎ.

「大きいお友達だから」というわけではなく,うちの息子にも不評.
そろそろ“一旦”卒業する頃かも.

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