ネタバレは安心・安全?

2025/1/31 Fri

2周目なら無問題

先日,友人達と興味深い会話をした.

集まったうちの一人が「小説を読んだり映画を鑑賞する際,あらすじやあとがき,もしくはネタバレサイトを先に見る習慣がある」と告白.

この行動ってまんまこれ.

『映画を早送りで観る人たち』を読んだ

一時期,非常に話題になった本.

コスパどころかタイパまで気にする世代および,それを可能にするコンテンツやガジェットの登場を解説.こうした傾向を非難するわけではなく,落としどころも上手い.

その実践者がこんな身近にいたとは.
確かに「YouTubeを倍速再生で観ている」という声は割と聞いていたし,ハウツー物や旅系など内容によっては配信者自身がおすすめすることもある.

ただ,「物語」が対象だとさほど多くはない...と思っていた.

その友人曰く,「ハラハラドキドキしたりするのが嫌,つまり安心が確保された中で読みたい.別に先にネタを知っても,“これ”が“あれ”につながるのがわかっていくので楽しいですよ」とのこと.

これは,先ほどの書籍にも記載がある.
もちろん,この考えを否定するわけではない.
ただKazchariとは“楽しむ”の基準が根本的に異なるようだ,との感想.

それを踏まえた上で,あえて言うなら.

「ゴールを知って,そこに向かうのは1本道,先人の歩いた道をトレースすること.一方で読み進めながら次の展開を考えることは,己の想像力を涵養することにつながる.最終的に作者の設定したゴールにたどり着けなくても,途中で生まれたいくつもの世界線,つまり可能性は,その後の人生,何かの機会に実を結ぶことがあろう.そう,ここまで来ると受け手ではなく,送り手/作り手に立場が変わっているとも言える」

と,反論(?)したが,ピンと来ないようだ.
ま,そやろな.これって信念対決

それにしても,最近はヒト,モノに限らず,対象に対する向き合い方が浅くなっていないか?
ながら”が当たり前になったというか.

よく見る風景として,スマホ画面を見ながらの食事.
ファミレスで座るカップル,家族全員がこの状態だったりする.
もちろん会話なし.

これは“味わう”の対極.
ただの栄養補給.
ここまで来ると,料理じゃなくても栄養補給カプセルでなんとかなりそう.
ヒトの脳は,マルチタスクできる構造をしているが,シングルタスクの方が生産性が高いという説もある.

マルチタスクは効率が悪い?シングルタスクが評価されてきている理由

昔はテレビを見ながら食事するのもどうか,という意見もあった.
えっ,その前に家族全員が揃って食卓を囲むことすらまれ?

いずれにせよ,インプット方法が雑すぎる.
食事も創作物もゆったりと味わう体験.
その方が血と肉になるのでは.

さーて,なんか新しい特典もらえるらしいし,『GQuuuuuuX』の2周目行ってこようか!

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX-Beginning-』を観た~開始0.5秒で泣ける

うん,ストーリーも小ネタもみんな知ってるけど,むっちゃオモロイわ!

...あれ?

iPhone15 Pro 中身がエグい

全ては夢の中~『GQX』の考察から

2024/1/27 Mon

みんなで騙されよう

テレビ番組の番宣映画としては異例の大ヒットとなっている『機動戦士ガンダムGQuuuuuuX-Biginning-』(以下『GQX』).

Kazchariもネット(サムネ)による不意のネタバレを回避するため,初日に鑑賞した.

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX-Beginning-』を観た~開始0.5秒で泣ける

「下手にネタバレすると,観ていない人に〇されそう」なレベルだったので,このブログのみならず,良識あるYouTuberさん達も核心には触れず,小出しに情報を発信していた.
これって珍しいパターンでは? それくらい力のある作品だった.

で,公開してから1週間以上経過し,公式もネタバレPVを打ち出し始めたため,界隈でも解説・考察動画やブログがバシバシアップされるようになった.

そのいくつかを鑑賞&拝読.

ポスターや画面の隅にちらりと映る小物,キャラのセリフ,ちょっとした表情から真意をくみ取り,パンフのスタッフ発言,または古今東西の名作のプロットを参考に『GQX』ワールドを解き明かし,今後の展開を予測する...

いやぁ,スゴイわ.
シャア!これが人の叡智だ!

Kazchariなんて単純に「ファーストのパラレルやろ.面白ければなんでもあり!」レベルで観てたけど,考察マニアの方々には超一級のミステリとなっている.

映像作品では一時期タイムリープ物が大ヒット.
有名どころでは『バタフライエフェクト』『まどかマギカ』など.

ついで『スパイダーマン:ノーウェイホーム』によって,マルチバースという概念(手法)が一般人に浸透.

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を観た~そう来たか!

では『GQX』も,単純に”マルチバース”で片付けていいのか?

前半と後半での絵柄の違いをどう説明する?(『スパイダーバース』では様々なルックのキャラが同居しているけど)

それに,1年戦争の描写と違いクランバトルにはまるでリアリティがない(民間人にMSの整備は無理?).

それらの疑問に対し,数名の方が『GQX』=「作中作」説をあげている.

要するに,前半の「ジオン勝利の物語」は,マチュ達の世界で広く読まれている「架空戦記小説」であり,実際には戦争は継続中,もしくは勝っていたとしてもシャアの活躍なんてなかったのが「現実」.
もしくは,後半のマチュパートこそが「物語」であり,正史の中で読まれているラノベ的書物である,という説.
「現実感がない」とつぶやく主人公.いわゆる「胡蝶の夢」的構成.

一番近い構成の創作物として,フィリップ・K・ディックの『高い城の男』をあげている人も数名.

さらには,当然ながら『GQX』そのものが物語=作り物であり,その世界を観ている我々も物語の一部...あぁキリがない.

カラーと言えば旧ガイナックス.
『エヴァ旧劇』で,映画を観ている観客(オタク)の実写画像を公開した前科もあるしな.

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に

かなり信ぴょう性が高い考察ではあるが,こうした一般視聴者が思いつくようなネタは外してきそう,”あの”カラーなら,さらに越えてきそうな気がする.

そうそう,『エヴァ』と言えば『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の公開前に「最初の「序」「破」「Q」は「NOT」ルートと「NOTなし」ルートを交互に上映している」という考察を上げている人がいて感心した.

「序」⇒ YOU ARE (NOT) ALONE. シンジ君は一人じゃない
「破」⇒   YOU CAN ADVANCE.  シンジ君は進める
「Q」⇒ YOU CAN (NOT) REDO.  シンジ君はやり直せない

確かに映画の内容と合致.
となると,NOT有り無しが逆転したルートもあるので「別の機会に映画化されるのでは?」と期待したが,『シン』は意外にも普通の続きモノだった.

正確には「全てのエヴァにさよなら」なので,「NOT有り無し交互説」も含んでいると言えば含んでいるのだが.

閑話休題.「作中作」に話を戻す.

「作中作」もしくは「劇中劇」作品の歴史は古く,Gemini先生に訊いてみると,『アラビアンナイト』『ドン・キホーテ』『カラマーゾフの兄弟』などが例として返ってきた.
映画だとクリストファー・ノーランの『インセプション』も該当(?).
夢の中で夢を見る夢.完全に頭のいい人向け映画.

インセプション(字幕版)

「作中作の代表」では検索にひっかからないけど,『GQX』は鈴木光司の『ループ』に近い物語構造だったりして.

『ループ』は,言わずとしれた大ヒットホラー『リング』3部作の最終章(スピンオフもあるけど).
初めて読んだ時は「なんじゃそら」と思ったが,「呪い」に整合性を求めるなら”あり”な設定かも.

現実世界においても,古文書や戦記物の記載はあくまで勝者の歴史.
真実とは限らない.
誰かが書いた「物語」が遠い未来では正史として採用されるかもしれない.

ちょうど先日の『べらぼう』第4話では公文書偽造シーンが出てきた.
アナログの方が改ざん記録が残らないため偽造しやすいかも.

まぁ,『GQX』も本放送が始まると新たな考察が乱立.
その後,謎が明かされるまでのお楽しみ期間ですね,今は.

最近はこうした複雑な構造を持つコンテンツが多くなったように思う.
やっか...いや,目が肥えてきた視聴者を満足させるのは大変.

いずれにせよ,公開日の1/17以来,『GQX』の前半パートのせいで,大量のおっさん達が夢を見せられ続けているのは確かである.

アイス・ブルベ2025のお見送りと最新ガンプラ

2025/1/25 Sat

仮定法現在完了

いただき画像

ウインターライドシーズンin直後の負傷で,いくつものチャリイベントを逃してしまった.

チャリダーKazchariは鎖骨骨折!

1つ目は年末恒例の「年忘れカミヒル」

2つ目は「びえいスノーサイクルフェスティバル」

嗚呼「第4回びえいスノーサイクルフェステイバル」...

そして,3つ目が本日開催の「アイスブルベ2025」である.

アイスブルベ2025

5年ぶりの開催.
その際の激闘はこちら.

ファットな2020アイスブルベ(100km)奮闘記

今回は残念ながらエントリーできなかったが,せっかくの地元開催.
ここはお見送りに行かねば.

朝5時に起床.

洗濯物干しや朝食を終え,クルマにてスタート地点の東川「せんとぴゅあ」に向かう.
それにしても雪がない.
少し広めの幹線道路だとアスファルトむき出し.
まるで3月初旬の印象.
実際,ここ数日は降雪もほとんどない.
異常気象と言ってよいのでは?

苫小牧なんて,積雪ゼロと聞く.
ロード,乗れるやん.

ただし,こういう道は日陰がアイスバーンになってたりするので,かえってキケンかも...うーん,走りてぇ.

7時半頃着.
早速,O西さんを発見.
他にも昨年の「旭川⇒宗谷岬」「函岳」でご一緒したAさんや,ランドヌ札幌のKaba3,いつの間にか正式に(?)中の人になったT夫さんなど,見知っている方々に挨拶.

前泊組は昨晩,相当飲んでいたらしく「二日酔いだー」と笑いながら話されていた.ブルベ前日の宴会は,酒に弱いKazchariには無理やな.

ブリーフィングを経て8時.
いよいよ100km組出発.
ファットとMTB,半々くらい?

iPhone15 Pro
iPhone15 Pro

眩しいくらいの好天.
これ,残雪がさらに解けて道路ザクザクやな.実に楽しそう.

iPhone15 Pro

で,その2時間後,10時には50km組出発.
前泊組のPikaさんも出走.こちらも「二日酔いだー」なそうな.スゴ.

「では,みなさんお気をつけて」と見送った後,クールに帰宅.

予想通り雪解けかなり進行.
スパイクタイヤの減りが心配.
外ライド復活は3月になると思うけど,その頃の路面はどうなっているのやら.

さて,午後からどうしますか?
先週映画見た勢いで買った,こいつでも作るか.

iPhone15 Pro

箱を開ける.

iPhone15 Pro

発売直後から話題の「箱を開けたら即ネタバレ」.
どこが?
Kazchariにはわからんかった.
で,ネットで検索.
こりゃ(老眼には)わからんわ.
もう1つのネタバレも...これではたして飛ぶ?(疑問)

冒頭数秒の衝撃に比べたらささいなバレやな.

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX-Beginning-』を観た~開始0.5秒で泣ける

そんなネタバレうんぬんの前に,このパーツの細かさよ!
これホンマにHGか? まるでRG.BANDAI,脅威のメカニズム!

で,”裸眼”で細かいパーツを組み立てる.
ニッパーで切って,カッターで削って,サンドペーパーで磨く.
この単純作業がマインドフルネス.

iPhone15 Pro

昼になった.
作業を中断し昼食にする.
”休日と言えばインドア”のJK娘も部屋から出てくる.
昨晩のうちに焼いておいたお好み焼きをつつく.

Kazchariと娘.
この二人が揃えば観るモノは決まっている.

YouTubeに接続して『電磁戦隊メガレンジャー』,その最終回!

噂には聞いていたが,何この「ザンボット3」展開!
ずーっと,ヤキモキしてたDr.ヒネラーが人類を憎む理由もここに来てようやく開示.
これってネットの誹謗中傷やん.
シボレナ似の娘を出すなら,ユガンデ似の息子も出したらよかったのに(おらんわ).
反省した瀕死のヒネラーが久保田博士と和解して,おっさん二人が手を握り合い,「フッ,お前に抱かれて死ぬのも悪くないな...(ガクっ)」「鮫島ぁぁぁ!」もありか(なんか最近見た)

いずれにせよ,高校生戦隊にふさわしい大団円.
リアルJK3の娘も泣いていた.

次はいよいよ靖子がメイン脚本の『ギンガマン』
未視聴なので楽しみだ.

その後,「ジークアクス」組み立て作業再開.

iPhone15 Pro

まだ途中.
見れば見るほど面白いデザインだ.
エヴァに似ていると言われればそうなのだろうけど,やはり違う.
特に脚部はこれまでにない構造.
ロボデザインって,もうネタ切れかと思ったけど,センスのある人のアイデアって無尽蔵やな.
宇宙世紀のMS...ではないけどな.

作業を覗いた息子曰く「浮いてるパーツが多い」.確かにその通り.

さて,来年こそはアイスブルベに出たいけど,開催されるのだろうか?

最近,様々なイベントが(主に人手不足で)中止に追い込まれている.
行けるときには行く,その姿勢の重要性を富に感じる今日このごろ...

iPhone15 Pro

『全修。』が面白い

2024/1/23 Thu

往年のファン向け?

1月開始の冬アニメ.
いわゆる1話切り,3話切りの話題が出てくる時期でもある.

さて,そんな大量配信されている冬アニメのうち,Kazchari家全員で鑑賞しているのが『Dr.STONE』(第4期)である.

Dr.STONE

家族で観る『Dr.STONE』

安定の面白さ.何より科学の勉強になる.
ストーリーも,いつの間にか敵キャラと和解して,倍々ゲームで仲間が増えていくジャンプ黄金パターン(『ダンダダン』もしっかり踏襲)

今期は分割3クールにて最終話まで放送するらしいが,本編最終回後の第27巻もアニメ化するのだろうか?
“アレ”まで作ってしまうと,科学ではなくファンタジーになってしまうけどな.

次回いよいよ登場すると思われるDr.ゼノ.
元ネタはメガレンジャーの「Dr.ヒネラー」だと思っているのはKazchariだけ?(たぶん)

で,本題.

確かに『Dr.STONE』は面白いのだが,「完結済みで原作あり」である.
先のストーリーまで全てわかっている.
未知の驚きという点では,原作なしのオリジナルに期待したい.

こいつは...いろんな意味で規格外だったけど.

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX-Beginning-』を観た~開始0.5秒で泣ける

今期冬アニメで気を吐いているのが,MAPPA制作のオリジナル作品の『全修。』

全修。

以下,あらすじ.

新進気鋭のアニメーター,広瀬ナツコは監督として世に送り出した第一作(セラムンとスケバン刑事をミックスさせた内容)が大ヒット.
次回作「初恋」の制作に取り掛かっている.
多大なプレッシャーの中,コンテ作業がなかなか進まない.

ある日,たまたま口にした賞味期限切れのハマグリ弁当を食べて倒れてしまう.
やがて目が覚めると,ナツコはかつてファンだった映画「滅びゆく物語」の作品世界の中にいた.
タヒんでいないし,見た目も中身も本人なので“転生モノ”ではない,とナツコも言っている.

砂漠にて物語に登場するバケモノ(ヴォイド)に襲われるが,それを救ったのが勇者一行.以降,ナツコは勇者一行と行動を共にすることになる.

だが,物語の先の展開を知っているナツコは気が気でない.
勇者闇落ちの鬱展開を知っているからだ.

ナツコの予言(?)通り,大量発生したヴォイドが街を襲う.
立ち向かう勇者だが多勢に無勢.
それを救うべく自爆魔法を唱えようとするユニコーン.

その瞬間,たまたま現実から持ち込んでいた作画用タップが輝きをはなち,「描け!ナツコ!」とつぶやく.
ここからプリキュアの変身シーンのごとき超絶作画.
突如あらわれた作業机と作画用紙.
このピンチを救うには,何を描けば良い?

地平線の彼方から迫りくる,怒りに満ちた赤い目の昆虫っぽい大量の生物...こいつらを“薙ぎ払う”のなら...アレしかない!

そう,ナツコが描き上げたのは,日本人なら誰もが知る“あのアニメ”の,最近立て続けに「シン・〇〇」シリーズを手掛け,おたく四天王と呼ばれる“あのカントク”が描いたアレに似たナニカだった!

続く,2話,3話も同様の展開.
そうか,これってそういうアニメなのねん.
『SHIROBAKO』のような,アニメお仕事アニメと思っていたら大間違いだった.

ピンチの際,ナツコが(アニヲタであれば)誰もが知っているシーンを作画して,万事解決!
作り手の過去の名作,名場面への愛が伝わるアニメだった.

問題は,ナツコのおかげでオリジナルのストーリーが改変され,退場キャラが生きてたり,行動パターンが変わってしまっている(どこぞのBiginning?).

はてさて,ナツコの知っていた「滅びゆく物語」は一体どこへ向かうのか.次回「〇〇」.サービス,サービスゥ!

この作品,転生モノと言えばそうなのだが,クライマックスの作画バンクのノリ,何かに似ているなぁ...と思ったら「幾原邦彦」っぽい.

幾原監督と言えば『少女革命ウテナ』『輪るビングドラム』『さらざんまい』が有名.
そして,これら共通の特徴と言えば,決闘前やら説教前やら変身時に突如始まるミュージカル風演出.
印象的な画および音楽によって,(難解な)本編はともかく,そのシーンだけは忘れない,っつーか中毒性がある.生存戦略!

先ほどは作画バンクを「プリキュア」っぽいとしたが,やはり,こちらの雰囲気の方が濃厚...と,調べてみると『全修。』の監督さんて,幾原作品の関係者だった.

そのせいなのかどうかわからんが,「滅びゆく物語」パートの作画と,作画バンクシーンのクオリティの差がすごい.
バンクシーンと,その後の戦闘シーンへの熱量のかけ方に明らかに違いがある.
まぁ「滅びゆく」は昔の作品なので,ワザとなのかもしれん.

で,その『全修。』の最大のウリは,今回ナツコな何を,誰をオマージュして作画するのか,であろう.

第1話 ⇒ 巨神兵
第2話 ⇒ 板野サーカス(マクロスorアディゴ)
第3話 ⇒ なぜかタイガーマスク(孤児院つながり?)

なんでも「板野サーカス」は板野氏ご本人作画らしく,ネットで大盛り上がりだった.
この作品の本気度がうかがえるなぁ...とKazchariは感心してしまうが,好意的な感想だけではないらしい.

曰く「内輪ウケ」「古すぎてわからん」「話がつまらん」など.

実際「板野サーカスなんて知らん」というアニメ批評サイトがあってこっちがびっくりした(若い人?).
まぁ,『ジークアクス』の鑑賞者も,「ファースト見た事ない」勢が結構いるらしいけど(この動画の人,むっちゃ楽しそう).

元ネタが現状のままだと,おっさ...いや古参勢しか喜ばん作品になるかもしれん.
まぁ,それが視聴対象のマス層なら,狙いは大当たりということになるけど.

で,全12話だとして,残る9話分のオマージュ元を勝手に予想.

・金田風パース
・湖川風あおり顔
・安彦風筆ペン
・細田風影なし顔
・大友風街の倒壊
・押井風難解セリフ
・富野風電波セリフ
・サンライズ風パース(戦隊レッドで先行)
・エヴァ風心象風景
・松本零士風メーター
・タツノコ風びっくりどっきりメカ
・世界名作劇場風大自然
・もっとプリキュア風変身

あぁ,なんかわけわからんようになってきた.
要は何でもあり.予想を裏切ってくれる方が楽しい.

後は,本筋のストーリーに面白さ(ひねり)が出てくればいいなぁ.

何故,ナツコはあそこまで食いまくるのか?
エルフの裏切り(?)はどうなるのか?
現代に戻れるのか?
「初恋」の絵コンテは描きあがるのか?

こんな楽しい娯楽を(命を削って?)提供してくださるクリエーターに感謝.
その情熱が...うらやましいかも.

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX-Beginning-』を観た~開始0.5秒で泣ける

2025/1/17 Fri

お急ぎですか?

iPhone15 Pro

昨年末,突如発表された新ガンダムプロジェクト.
それが『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』である.

機動戦士Gundam GQuuuuuuX公式

本来,4月放送開始のテレビシリーズなのだが,最初の数話をまとめたモノが映画として劇場公開.いわゆる番宣だろう.

その公開日が本日1/17.
ネットがネタバレ祭りになる前に,このBig Waveに乗りましょう!

で,近くのシネコンに行ってきた.
2回目の上映.ポイント使って¥1,000で鑑賞.
さすが平日,客の姿もまばらだ(いつもの旭川だ)

以下,核心的なネタには触れませんが感想.
全く”素”で観たい人は回避して.

————————————————–

何を書いてもネタバレになるけど,ネタバレしたくないと思わせる作品はなかなかない(じゃぁ書くなよ).

情報統制がしっかりしていたはずだが,予告や海外サイトのミスによりバレてしまっている事項がいくつかあった.

まず,宇宙世紀モノであること.
正確にはパラレル,ifの世界.

どうやら主人公機とされているトリコロールのマシンはガンダムではない?
なぜなら本来の「RX-78ガンダム」は,ジオンに鹵獲されており,結果,1年戦争でジオンが勝利した世界軸らしい,とのこと.

予告に出てくる赤い(エルメスの)ビット,および海外リークの「赤いガンダム」がその鹵獲されたガンダムだろう.
そして,赤いMSということは...パイロットはあの人しかいねぇ!

他,「軍警」と書かれたザクが出てくる.戦後の統治?
「クランバトル」という違法なリアルバトルがコロニー周辺で行われている.

プラス,ネット界隈でまことしやかに流れているのが主人公=ハマーン説

ぐらいの知識+妄想で観たのだが...

本編は,その予測を遥かに越えていたァーッ!

ざっくり言うと,この映画は2部構成.

開始直後,我らアラ還世代のおたくが,親の顔より見たあの画が,親の声より聞いたあのナレーションとあのBGMが流れるのだ.
これは泣かない方がおかしい.
マジで感動した.

そこから始まる前半パート.

なんだこれは!
一体何を見せられているんだ?

こ,この人は!
これ,まさかのアレやん!

これ現実なんやあ?
夢とちゃうやんなぁ?

脳の処理が追いつかない.
ニヤニヤが止まらない,かつ嬉し涙で目もうるうるしている.

ホンマこの時代に,この年齢まで無事に生きて,この映像を見れたことに感謝する.
神の存在? うん,今なら信じるね.

「オレたちのガンダムを作る!」という,かつての熱心なファンダムが作り手に回った時の超絶パワーを見せつけられた.

正直,後半パートだけなら「うん,まぁいつものちょっと奇をてらった今風のロボアニメだねぇ...ガンダムじゃなくてもええやん」という感想しか持てなかったように思う.

まだ映画を観ていない友人に猛烈に推薦したところ,「これ,完結してなくてTVアニメに続くやつ?」と質問された.
それに対して「いや,ある意味TVシリーズはいらん」と答えたけど,その友人も映画を観れば納得するであろう.

テレビも絶対観るけど.

————————————————–

で,帰りに家電店で「ジークアクス」買っちった.

まるで推し活.
ホンマは「トリコロールの〇〇〇〇」「赤い〇〇」が欲しいなぁ.
財団Bが出さないわけがないか.

つーことでX月からの本放送が楽しみだ.
期待しかない.

iPhone15 Pro

冷めないイデオン熱~TVシリーズの再視聴開始

2025/1/10 Fri

復活の♪イィデオ~ン

iPhone15 Pro 超合金魂

年始にYouTubeにて限定公開された『伝説巨神イデオン 劇場版』

『伝説巨神イデオン 劇場版』の配信

その興奮冷めやまぬ中,TVシリーズを再視聴することにした.
DVDも所有しているが,そこはサブスク時代.
「Amazon Prime Video」のリストにはないものの,以前こっそり加入していた「dアニメストア」にはしっかりラインアップされていた.

dアニメストアに加入~タイパ的にどうなのか

とりあえずZwiftの友として第1~3話までを視聴.
何度も見返した劇場版の「接触扁」に対し,おそらく2,3回しか観ていないのがTV版.
さて,今の視点で感想&考察すると...

時に1980年.
当時Kazchariは中学生.

友人に「面白いロボアニメがある」と教えてもらい,視聴を開始したのは確か第14話あたりだったと思う.
以前にも書いたが,関西での放送は水曜日の19時半から.
塾が終わる時間は非情にも19時半.
そこから数キロの道をチャリで飛ばしに飛ばして帰宅.
毎回,オープニングを見ることはできなかった.

ゆえに,最初の1クール分を鑑賞したのはレンタルビデオが普及してからだったと思う(もしかすると劇場版が先だったかも).
未視聴の話に関しては雑誌記事(アニメック!)で補完していた.

で,そんな本編だが,うむ.かなり面白い.
ただし,全話および劇場版までクリアした後だと,この冒頭パートには,まだまだ手探り感がある.

特にBGMに違和感.
故・すぎやまこういち氏による傑作ぞろいなのに使いどころが変.
場面に微妙に合っていない.

それに,なぜかサントラ集に未収録のものも散見される.
イデオン用ではなかった?

タイトル表示や予告で流れるBGMも後半とは異なる.
もちろん,後半の方がぴったり.

そして,言うまでもなく気になるのが作画.

特撮でもアニメでも最初の3話分くらいは,予算と時間をかけて丁寧なモノを作る.継続視聴者を確保するためだ.

その基準で言うと,気合いを入れるべきにも関わらず,デッサンの酷さや色パカの多さからも,時間的にかなり押してた感が伝わってくる.
今の基準だと作画崩壊と言われても仕方がない.
前作のファースト・ガンダムより退化しているくらい.

そんな中,湖川さんの描くキャラだけは飛びぬけている.
特にカララ!
キャラが美形でイデオンがかっこいい時,それは湖川作画と思って間違いない.

とまぁ,画はともかく,イデオンと言えば”濃密な”人間関係描写が売り.
濃密すぎて嫌味か罵り合ってばかり.
戦闘中,ずーっと赤ん坊に怒鳴り続ける主人公って,古今東西コスモだけでは?

そして,ベスは笑いすぎ.
イデオン=遺跡に,そこまでツボる要素はあるんか?
で,それをひっぱたくシェリルさん.
あれ? これってセイラさんの再来?

ただし「接触篇」と異なりベスの肉弾大活躍が見れます.
それにカララとのファーストコンタクトも,まさかの逆ナン?

そのカララさんだが...マジで諸悪の根源.
お嬢とは言え,あまりに軽率な言動.好奇心は身を滅ぼすを地で行くキャラ.
後にハルルねーさんが激怒するのも無理はない.

誰かが言ってたけど,やっちゃいけない行動を誰かがするから物語は成立する.
その通りやな.

そうそう,こうして見ると,ファーストとイデオンの冒頭ってプロットがよく似ている.
ジーンが暴走して,少年がよくわからないまま巨大メカに乗り込んで勝ってしまうとか,敵兵がゲリラ的に何度も潜入してくるとか.

皆殺しのトミノにふさわしく,地球側もバッフクラン側も,開始初っ端から人が死にまくる.
なぜか地球側のカービアンクロッサス(戦闘機)のパイロットの死に顔がやたら丁寧.なぜ?

キャラと言えば,地球人側は,日本人風に「名字→名前」順.
一方バッフ・クランは「名前→名字」と西欧風.

こうした用語が逆転は他にも見られ,例えば「ワープ」が,

地球人 ⇒ デス・ドライブ
バッフ・クラン ⇒ 亜空間飛行

となったりとか.芸が細かい.

さて,お次はいよいよメカの話.

まずはイデオンだ.

肩のでっぱりが特徴的だが,箱型で,まるで戦隊ロボだし,分離後の形態も戦車やバス.
そもそもなぜ分離するのかわからない.
ソル・◯◯からイデオ・◯◯に変形すると武装や機動力が上がるが,3話までだとデルタ以外はバス形態のまま.

有名な話であるが,イデオンが「異星人の遺跡」とされたのは,デザイン完成後の後付け設定.バッフ・クランが伝説の巨神と信じなかったのは無理もない.

そのせいか,「サブシステムで操縦」「動力源はよくわからない」「なんでこんなにスキマだらけなんだ」とかのメタ発言が飛び交う.

多人数での操縦は斬新...と言いたいところだが,『ゲッター』などの先例もないことはない.
イデオンが特徴的なのは,各メカの乗員の役割が分かれているところ.
序盤はまだ適当だが,話が進むにつれて.

Aメカ ⇒ 動き
Bメカ ⇒ エンジン
Cメカ ⇒ 武器管制

となっていく.
こう考えると,イデオンは大きさといい,多数乗員といい,ロボというより戦艦ですな.

グレンキャノン(主砲)と対空機銃で全身を固めているというか...後で波動砲はつくし.
変形後はミサイルポッドの場所が変わってしまい,撃てなくなるなどの細かい演出がベネ.

「接触篇」だとイデオン復活後,すぐにソロシップも浮上してランナウェイしてしまうが,そこはさすがにTV版.
破壊された街やら宇宙船から物資を運び,ソロシップに積み込むという描写がある.
このあたりのリアリティは流石である.

恐ろしいことに,第3話の時点で,敵の重機動メカが全く登場しない.
そもそもOPにも出てこない.ロボアニメなのに.

どことなく『さらヤマ』の白色彗星軍のメカに似ている形の戦闘機とヘリコプターもどき,それに二足歩行メカによる白兵戦.
この後しばらくして,ようやく登場するのがメカ火星人にしか見えないギラン・ドゥ...Kazchariがスポンサー(トミー)の社長なら卒倒するな.

つーことで,今後の展開も楽しみなイデオンなのだが,実はもう一本,昨年末から,唯一完走していなかった宇宙世紀ガンダムを視聴し始めた.

それは...『機動戦士ガンダムZZ』

機動戦士ガンダムΖΖ

本放送時は10話ほどで挫折.その後レンタルでも挫折.
今回アマプラで再挑戦し始めたのだが...一行がシャングリラを出る前から挫折気味.
話も絵も演出も主題歌も,あまりにもひどすぎて正直観るのが苦痛.

いや,わかってるんですよ.
前半のコメディ路線が,徐々にいつものハード作劇に変わっていくのは.
そこまでの道のりが苦痛(とばせばいいやん).

実はイデオンも,放送当時は似たようなこと(前半は全然ダメ)を言われていたが,10話あたりから怒涛の展開.
一瞬たりとも見逃せなくなることはよく知っている.

しかし,その評判の悪い冒頭パートも,“アレな”作画を覗けば,ドラマとして十分見ごたえがある,と今回確信.

新年から江戸ざんまい~暴れん坊なべらぼう

2025/1/5 Sun

意図せず連続

かつてないほどダラダラ過ごしたお正月.
仕方なしに映像コンテンツ漬け.
それがようやく明日から仕事始め.例年より少しうれしいのが不思議.

最終日は時代劇2本を鑑賞.
まずは,4日にテレ朝系で放送されて話題になった『シン』もとい『新・暴れん坊将軍』

新・暴れん坊将軍

放送後の評判を聞いて,TVerで配信版を観てみた.
いまや絶滅危惧コンテンツの民放時代劇.
その昔は『水戸黄門』『遠山の金さん』『必殺仕事人』とかはよく観てたなぁ.

これらに共通するのは「勧善懲悪」「お約束」からの安心・安定のワンパターン
だからお年寄りに受ける.最近の“衝撃展開”は少々やり過ぎ感あり.

で,17年振りの新作という『新』だが,予想以上に面白かった.

テーマはお世継ぎ問題.

史実を参考に吉宗の長男の家重(ジャニ?)には障害(脳性麻痺)がある設定.
言語不明瞭で片手麻痺.
一方,次男(本当は三男)の宗武は文武両道な”ゼンカイザー”だ.

吉宗は「長男継承の決まり」通り,家重を時期将軍にするつもりだが,宗武を推挙する家臣も多い.
さらには尾張徳川藩主の傾奇者”GACKT”までもが将軍の座を狙っている.
そこに漬け込み,戦乱の世の再来を目論む商人と老中&旗本の悪役連合...という構図.

城内では話せないうつけ者のフリをしていた家重だが,実は密かに言語訓練を続けており,その甲斐あって流暢に話せるようになっていた.

それだけにとどまらず,西洋式短剣レイピアの使い手にもなっていた! なんつー便利設定.

そして父の吉宗同様,江戸城を抜け出して街を徘徊.
会話を市中で学んだためか,なぜかべらんめぇ口調に.
まさかと思うが,家重で続編,作らへんよなぁ...

もちろん『暴れん坊』なので,クライマックスの”成敗な”殺陣シーンを経て最後はキレイに大団円.

CM前のGACKTの無駄な筋トレシーンがツボ.
まるで某埼玉系映画のノリ.

ネットでも話題になった日本酒タワー~江戸のホスト描写.
関西弁のチャラ男を演じるのは“仮面ライダーセイバー”だ.

GACKTもディケイドの主題歌歌ってたし,特撮ヒーロー祭り.
そういや上さまもオーズと共闘してたしな.

劇場版 仮面ライダーOOO(オーズ) WONDERFUL 将軍と21のコアメダル コレクターズパック【Blu-ray】

お次はNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』

べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~

吉宗の将軍在職期間は1716年から1745年.
次の家重が1745年から60年.

そして『べらぼう』の舞台となる10代将軍家治の治世は1760年から.
期せずして続きの時代を描いたドラマを連続で鑑賞することになった.

主役は”トッキュウ4号”と,またしても特撮ヒーロー.
今でも栄一役だった”メテオ”と区別がついていないのは内緒だ.

それはともかく,こちらも面白かった.

綾瀬はるかのスマホ案内から始まったので,てっきりコメディ&メタ路線なのかと思いきや,吉原舞台の中身はなかなか壮絶.

ネットで話題のAV女優を起用した全裸タヒ体.
理不尽に殴られまくる主人公.
田沼意次と言えばの賄賂.

そう,第1回からエロ・暴力・金という,どこぞのVシネ展開.
日曜8時の放送にしてはNHK攻めてます,つーか,今やNHKしかできない.
当然だが『暴れん坊』よりもセットや衣装が豪華だ.

それにしてもこれから1年間,このテンションで行くのか?
それともBPOや世間に負けてマイルド化してしまうのか.

保守派(戦国幕末)と女性と子どもにはウケなさそう...(誰が観るのだ?)
とりあえず視聴継続.

それにしても,『暴れん坊』も『べらぼう』も,200年の時を越えて世相を反映しているねぇ.
前者はホストの売掛問題,後者は規制のがれの◯春...
いつの世も人の欲は変わらぬ.

楽しいコンテンツが多すぎて,何を観るかの選択に迷う現代社会.
限られた時間をどう配分していくかが,考えどころ.
昔の作品も,変化した今の感性で見直したいしな.

『伝説巨神イデオン 劇場版』の配信

2025/1/4 Sat

涙が止まらない

iPhone15 Pro

1982年公開.
この映画を観るのは何回目だろう?
20回は越えているはず.
ストーリーはもちろんのこと,セリフもほぼ完璧に覚えている.

そんなイデオンの劇場版を,サンライズチャンネルが2025年1月3日から配信.
数日前からネット界隈は大騒ぎ.

アニメ系YouTuberさん達も,次々と同時視聴企画を立ち上げている.
まぁ,Kazchariはそういうのに興味ないので,しっぽりとぼっち鑑賞.
そもそも「発動篇」の最中にキーボード打つヒマはない.

今の美麗な映像に見慣れている若い世代には,どのように感じられるのだろう?
人の業をこれだけ濃密に描くアニメは他にない.
ちなみにうちの(おたくな)JK娘は無関心である.

以下の記事に書いた通り,KazchariはDVDもBlurayも所有.

『イデオン』デザイン考(その1)

要は,あえてネット配信でなくても,いつでも鑑賞できる環境にあるのだが,何せ内容が内容だけに鑑賞後の疲労はかなりのモノ.覚悟が必要.
おそらく『ウシジマくん』より重度化する.

『ウシジマくん一気見スペシャル』は見たらあかん

てなわけで,この一部界隈限定のBigWaveに乗りつつ,配信での鑑賞後に感想まとめ動画を楽しむことにした.
1月3日にはZwiftしながら「接触篇」,翌4日に「発動篇」を観る.

まずは「接触篇」の感想っつーか印象

TV放送37話分をたった84分にまとめるという,とんでもない荒業.
総集編をガンダムみたいに3部構成なんかにしてしまうと,不入りによる「二度目の打ち切り」があるためそれは避けたい,ということで取られた措置らしい.

だが,あらためて鑑賞すると,「接触篇」の破綻のないつながりの良さに驚く.
正にトミノマジック.後の『新訳Z』と比較...したらあかん.

そして少ないながらも新作カット部分の美麗なこと.
特に月基地攻防戦まわりは素晴らしい.

バルメ・ブラム・ザンに続くズロウ・ジック隊の編隊にガルボ・ジックが混じっているが,こまけーことはいいんだよ.

確かによくできた”総集編”ではあるが,もちろんベストなのはTV版を観ることなのは言うまでもない.どうしても省略ゆえの不満点がある.

特に裏主人公ことギジェまわりの描写が圧倒的に足りない.
結果,シェリルがあーなってしまう理由に説得力を欠く(リンのタヒもオミットされてるし).
モエラの戦タヒもなぁ...「誰やねんこいつ」なのに,急にフィーチャーされすぎ.

コスモの大人への態度が,敬語になったりタメ口になったりとバラバラなのが思春期っぽくてヨシ.
それにしても,カララ狙撃事件後のセリフ改変はなぜ?

TV :みんなが立派に見える
映画:異星人も俺達と同じくらい立派

クルー同士,まだ互いをよく知らないから?

まぁ,何よりも本筋は”スペースランナウェイ”なわけでして,ソロシップの惑星探訪がイデオンの魅力.

絡んでくるバッフクランの軍人達もそろいもそろって個性派揃い.
双子の悪魔とか,グハバとか,ルククとか面白すぎる.

星巡りの間,地球人とバッフクランはずーっとイデに監視されていたわけで,その過程をすっとばしてしまうと「イデの試し=人類審査会」の意味が薄まってしまう.
そういう意味では,監督がインタビューで「映画のイデオンは失敗です,起承転結で一番大事な承がない」と言ったのは正にその通り.

インターミッションの「セーリング・フライ」は...歌詞こそ井荻(=トミノ)節だけど,イデオンには合わない気がする.

で,いよいよ「発動篇」

いや,もう何ていうか...
もちろん壮絶極まりない展開なんやけど,もう湖川キャラの表情や動きの演技が凄まじすぎて,人ってここまで「絵」に情念こめらるんやと思い,じわじわ来る.この熱量は何だ?

思い出補正も含めて言うが,やはり未だにこれを越えるアニメ作品は存在しない.福井晴敏の言うところの”絶対イデオン基準”ってヤツやな.

何度見ても新しい発見があるが,芝居という意味でベストなのは,妹を射殺したハルルが,父であるドバと面会するシーン.
これはもう超一級の舞台芸術.

「(発動篇の)主人公はドバ総司令」に異論を唱えるものはいないであろう.
もうね,セリフと感情が真逆だったり,混ざったり,弱音吐いたり,本音を吐露したりといった人の感情の起伏全てが詰まっているキャラによる劇中屈指の名シーン.
時を重ねて人の親となったKazchariに刺さる刺さる.
ちなみにうちの娘はそこまでの業は背負ってません.

このシーンに限らず,この映画,カララとハルルの描写への力の入れ具合が半端ない.
で,責任の一旦であるベスの方の描写は割とあっさりしている.
TV版だと熱血シーンがちょこちょこあるのでもう少しバランス取れてるけど.

もう1場面上げるとしたら,カーシャの「そうよ,みんな星になってしまえ!」からの,ホンマにバッフクランの軍艦や重機動メカが,イデオンガンにヤラれて星になってしまう場面への切り替え.
すぎやま楽曲とも相まって,ここの悲壮感は半端ない.
ここで泣けない人とは友達になれんな.たぶん.

そう,イデオンは何しろ音楽が素晴らしい.

伝説巨神イデオン オリジナル・サウンドトラック 総音楽集

このブログも久々にサントラを聴きながら書いているのだが,何故か年齢を重ねると,大仰な映画版よりTV版の方が刺さるようになったなぁ.
その素晴らしい楽曲を世に送り出されたすぎやまこういち氏も他界されてしまった.

かように完璧な作品なのだが,強いて挙げるなら冒頭のワイプ(TV38話)と本編の39話部分も完全新作で見たかったところ.
40話以降の完全新作パートと比べてしまうと,どうしても見劣りがする.

イデオンは明確な悪役や倒すべき敵が不在.
全滅(自滅)からの再生物語ではあるけど,次の人類もまたイデの審査会にご招待されるわけで,いつになればこの輪廻から抜け出せるのか...とまぁ,やはり宗教っつーか,仏教アニメと言われても仕方がないが,何度も見返したい超名作なのは確か.

つーことで,近い内にBlurayでもう一回見よう.

「タヒ」とはイデオンが見れなくなることと同義.

それぐらい凄まじい作品.

配信は1/5で終了.急げ!

スパイ(?)映画2本~『M:I デッドレコニングPART1』と『劇場版 SPYxFAMILY CODE: White』

2024/1/2 Thu

スパイとは?

ヒマだーッつーか,(チャリで)出かけられないのが辛い.
やっぱりヒトは動物,動いてナンボやな.

カラダが鈍りまくっていく...と,嘆いても仕方がない.
ヨメはんと子どもらは3人で初詣に出かけたので,リビングの大型テレビがフリー.ここは大音響で映画鑑賞ですな.

まずは『M:I デッドレコニング PART1』

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング 4K Ultra HD+ブルーレイ[4K ULTRA HD + Blu-ray]

劇場公開時は見逃してしまった.アマプラでは未だに課金要.

『PART2』の公開も近い(2025年5月)というのに,早くフリーにしてほしい...と思ってたら,洋画のネトフリにはあった.さすがだ.

最近の作品ゆえ,前回の『サスペリア』のようなあらすじ&ネタバレ全開ははばかられるので,ざっくりとした感想のみで.

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『M:I』の1作目は1996年の公開.うわ,もう29年前か.

本シリーズにしてはオープニングシーケンスが地味.
潜水艦のメンバー,誰がトムの変装なのかとずっと考えてた.

本編開始.
もうね,シリーズが長すぎてキャラの相関関係がよくわからない.
チームの2人はともかく,誰が誰を殺してて,それがいつのシーズンで,理由は何だっけ?

ヴィランのガブルエルって誰だっけ?
主要な女性キャラが3人ほど出てくるけど,グレースは新キャラだとして他の2人って何者?

ラストの列車シーンからは急に脚本が雑に.
なんでパラグライダーが用意されてんの? 見つけるのも偶然すぎる.
東洋系の女殺し屋,いつどうやって車両の端まで? さらに大人2名を引きずり上げる体力が残っているとは思えないケガ(しかも実はタヒんでないとか).

「まぁ,こまけーことはいいんだよ」な大バジェット作でした.

観光客だらけのヴェネチアのカーアクション撮影とかよく許可とれたな.
BMWから黄色のフィアット500(ルパン!)に乗り換えるシーンがあるのだが,演出上てっきり右ハンドル車にすると思ってた.
一昔前なら日本車やったはず.

そやけど...仕方ないとは言え,(トムも含め)役者がみんな年寄りばかりなのはどういうこった.
もちろん撮影上はスタンドダブルなんだろうけど,高齢者の殴り合いを見せられても,何かイマイチ.

そういや最近,アクション系の新しいスターって生まれていないような.
Kazchariのようなオールドファンは往年のスターが出るだけで喜ぶかもしれんけど,業界には新陳代謝が必要.

ストーリーの根幹は「デジタル(AI)よりもアナログ」
これって『TOPGUN』でも言ってたトムの映画撮影ポリシーと同じやん.

ちなみにデジタルはハッキングなどのソフト的な面だけではなく,ハード的にもヤバイらしい.

記録メディアの寿命ランキング

『PART2』でどこまで掘り下げるのやら.
にしてもトムさん,スパイなのに素顔出し過ぎでは?

次は『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』

劇場版 SPY×FAMILY CODE: White

スパイつながりで,最近配信になったこれを視聴.
アニメも全シーズンクリアし,原作も既読っつーか全巻買ってます.

SPY×FAMILY 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

こっちもざっくり感想.

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今回の劇場版は原作者が全面的に協力しているそうで,非常に手堅い仕上がり.
要はよくも悪くもTVシリーズと同じノリ.

見ごたえのあるラストの飛行艇バトルは明らかに『未来少年コナン』のギガントのオマージュでしょう.
「ヨルvsターミネーター」も含め,制作者が気合い入れて描いている感が伝わる.

ただし,どう考えても◯ンコネタで引っ張りすぎ.
変な妄想パートも含め『クレヨンしんちゃん』かと思った.

そもそも原作は連載開始時では年少の読者をターゲットにしてなかったと思う(母役=殺し屋はあえりえない).
アニメ化によって予想外に低年齢層にウケたため,劇場版ならではの緩和措置か.

それにしても,悪役とその部下はいつどうやって飛行艇から脱出したのだろう? 謎である.

これまた「まぁ,こまけーこと」はともかく楽しめました.

で,ここからは原作の話.
14巻時点で未だに獲得したステラの数が1つとは...『キングダム』並に展開が遅い.いや,70巻を越えても1国すら統一できていないあっちよりはマシか.

まだまだ先は長そうだが,勝手に最終回を予想.

何らの事件によって,ロイドはスパイ,ヨルは殺し,アーニャはテレパスの能力をそれぞれ失い,普通の家族として末永く暮らしましたとさ...にはならんか.
昨今のホワイト社会だと,ヒトを殺めた人間にはそれ相応の罰が必要...という考えが主流.
となると,互いの正体・素性を知った上でのバッドエンド,もありうる.
そういやアーニャの出生の秘密みたいなエピソードに入りそうやしな.

もしくは最近多い「あれから数年後」パターン.
ある事件の後,ロイドとヨルは行方不明.
平和になった世界で,アーニャと次男は結婚して子どもに恵まれている.
ある日,アーニャは路上で初老の夫婦とすれ違う.
既に能力を失っているため,何か胸騒がするが,誰かはわからない...

つーことで,変装が便利過ぎるスパイ(?)映画2本でした.

やはりスパイ物だとダニエル・クレイグの『007』シリーズが好み.
ストイックな内容もいいが,毎回オープニング映像が素晴らしい.
特殊アイテムや変装シーンがほとんどない武闘派スパイやな.
もう,ダニエル主役の新作はないけど,次の007はどうなる?

1977年のホラー映画『サスペリア』を観た~大晦日の夜に

2025/1/1 Wed

思い出補正?

さて大晦日の夜のこと.
階下ではヨメさんと子どもたちが「紅白」観ながら熱唱中.

Kazchariは部屋にこもってAmazon Prime Videoで映画を物色.
年末年始にふさわしいハートフルな映画とは真逆のこいつをチョイス.

それは,ホラー映画の金字塔『サスペリア』(1977)だっ!

サスペリア (字幕版)

48年前の映画ゆえ,いまさらネタバレ警報は不要と思われるが一応注意.

この映画には有名な要素が2点.

1つ目は「決してひとりでは見ないでください」という,一世を風靡した名コピー.
そやけど...実は一人で観たほうが良い?
そこまで怖くないっつーか,ツッコミどころ満載なので.
いや,逆に誰かと笑いながら観るのが正しいか(ホラー耐性がある人に限る)

2つ目はBGM.
一度聴いたら忘れられない不気味な音楽.
劇中でも「何かヤバイことが起きそうな時」に流れる.

以下,あらすじというかストーリー.

主人公はスージーという名のアメリカ人.
ドイツのバレエ名門校に入学するために,ニューヨークから飛行機に乗ってやってきた.空港から物語は始まる.

暴風雨の中,タクシーがバレエ学校に到着.
玄関ドアから若い女性が突如現れて「秘密...アイリス」と叫び,そのまま立ち去ってしまう.
その後,スージーがインターフォンで来校を告げるも,なぜか「そんなん知らんし」と拒絶される.
途方に暮れたスージーは街の(?)ホテルへ.

視点が変わって,先ほど学校を出ていった女学生パット
友人のアパートに駆け込み,悪態をつきながらも泊めてもらうことに.
窓の外に何かの気配を感じて覗き込むと...闇に光る目!
突然毛だらけの腕に顔をガラスに押し付けられて,パット変顔大会.
そして,無理やりベランダに引きずり出されたパットは,その謎の訪問者に胸をナイフで刺され,ステンドグラスから吊り下げられて縊タヒ.
彼女の友人もガラスや鉄骨が顔やカラダに突き刺さってタヒぬ.何がどうなった?

ここまでが導入.
例のBGMおよび,学校の壁の色,それに友人のアパートの部屋.変な壁紙と主に赤を基調とした極彩色.耳と目に不穏感MAX!

...とは言ってもそこは50年近く前の映像.演出上の狙いなのか限界なのか,肝心の血の色が鮮やか過ぎて不自然.絵の具感が...

翌日,学校を再訪するスージー.
学内は怪しい人物だらけ.
副校長,主任教師,盲目のピアニスト,下男パブロ,アルバート少年などなど.
パッドの死を受けて警察の聞き込みも始まっていた.
スージーも昨夜の玄関での出来事を警官たちに話す.

あぁ,ここで悪玉(副校長やら主任教師)に目をつけられたわけやね.

同級生らも曲者だらけ.
そしてやたら金に細かい.アメリカ人への皮肉?
最初は学外に住む先輩のアパートに同居する予定が,レッスン中に体調不良後,なぜか寮に強制入居.
怪しい医師の診察後「鼻血出たからワイン飲め」という謎理論で,しばらく流動食とワインの生活となる.

あぁ,ここで悪玉に監視下に置いておこうとされたわけやね.

この学校の寮部屋は変な作りで,隣室ともドア一枚でつながっている(たぶん).
で,スージーは隣のサラ(解説役)と仲良くなる.

ある夜,寮の各部屋に天井から大量のウジ虫が降ってくるというとんでも事件発生.
この映画,最大のキモチワルポイント.
何かの呪いかと思われたが,屋根裏の食料(?)が腐敗してウジが大発生したらしい.
仕方なく,寮生は全員ホールでベッドを置いて一晩過ごすことになる.
ここでスージーはサラから,旅行中と言われている校長の特徴的なイビキがカーテンの向こうから聞こえると言われる.
よくわからん.どういう状況?

あぁ,ここでボスキャラが幽体離脱して,スージーとサラに自分の存在を意識させたわけやね(たぶん違う).

翌朝.アルバート少年が,玄関先に結わえてあったピアニスト(ダニエル)の盲導犬に噛みつかれる事案発生.
主任教師が大激怒し,ダニエルが解雇される.
ダニエルは「こんな呪われたところ出て行ってやる」と捨て台詞を吐きながら退出.
このセリフによって「彼は何かに気づいていたこと」が悪玉にバレ,その夜,呪いによって操られた盲導犬がダニエルの喉を噛み切る事件が起きる.

サラはスージーに,以前パットから変な話を聞かされて,メモを託されたとを告げる.
そしてこの学校には謎の部屋があり,先生方(スタッフ)は夜な夜なそこで集会を開いているのではと推理.

あぁ,学校内でそんな話したら全部筒抜けやん.

だが,肝心のスージーはワインに入っている薬によって意識朦朧中.
サラの話も理解できない.
何者かの気配を感じたサラは部屋を出て屋根裏へ逃げ込むが,例の”光る目”よる待ち伏せを受ける.
命からがら鍵付きの部屋に逃げ込むが,ドアの外からナイフでカチャカチャと鍵を開けようとする追跡者.
適当な物で台を作り,高窓から脱出するサラ.
転落した先には細い針金だらけの謎の部屋.有刺鉄線(鬼畜!)かと思いきや普通の針金.
サラはその針金にからんで動けなくなる(なぜ?).
で,何者かにナイフで刺さてタヒぬ.

翌日,スージーは教師からサラが出ていったと告げられる.
不思議に思ったスージーは,サラの友人だった精神科医を訪ねて,これまでの出来事を相談.
別の教授の話を統合すると,そのバレエ学校はギリシャから来た「マルコス」という謎の人物によって創設された.
神学校も兼ねていた学校は評判となり大成功.
だが,一方でマルコスは魔女ではないかという噂もあった.
ある日火事が発生(放火?)してマルコスが焼タヒ.
学校はマルコスの教え子らが(魔女の力ともども)引き継いだ...らしい.
教授はスージーに「信じますか?」と尋ねるが,彼女は「まさか」と懐疑的.

あぁ,アメリカンやから,こんな話は信じないねんな.だから最後勝てたかも.

学校に戻るスージー.
なぜか自分以外の生徒はバレエ団の公演を見に行き誰もいない.
これはスージーを今夜亡き者にするための悪玉の策略か.
覚悟を決めるスージー.
薬の入ったワインや食べ物を捨て,サラの残した歩数のヒントで校長室までたどり着く.
おっと,その前にコウモリに襲われるイベントもあったな.既に悪玉には気づかれていた?

校長室は絨毯敷のため歩数のヒントが使えるのはここまで.
部屋を見渡し,パットの言葉「アイリス」から仕掛け扉を発見する.
怪しい廊下を通り抜けると,副校長やら教師などスタッフ一同が集会を開いていた.
「あのアメリカ娘を消せ!」とタイムリーな会議中.

ビビるスージー,後ずさると廊下の隅に切り刻まれ,手首を杭で打たれたサラのタヒ体を発見.
よく,ここで悲鳴を挙げないもんだ.
だが,さすがに悪玉連中に気配を気づかれ,パウロがライターを持ってこちらにやって来る!

奥の部屋に逃げ込むスージー.
カーテン越しに聞き覚えのあるイビキが聞こえる.
そう,実ははるか昔にタヒんだはずの校長兼創設者,魔女ことマルコスがそこにいたのだぁ!

男前のスージーは壊れたガラス細工の破片を手にカーテンを開けるが,そこには誰もいない.
マルコスの声が響く.

「はっはっはっ,アメリカ娘よ,よくここまでたどり着いたっ! ワシを倒す前に貴様の力をみせてもらうぞ!」(意訳)

とかなんとか,RPGのボスキャラのようなセリフとともに,タヒんでいたはずのサラが起き上がりスージーに襲いかかる,いや短い距離なのになかなか襲ってこない.
ここはゾンビ風ではなく,バレエダンサーなのだから踊りながらとかの演出が欲しかった(別にいらん).

ど,どうするスージー!

だが,その時,不思議なことが起こった.

雷によって見えないはずのマルコスの”輪郭”が光で浮かび上がった(なぜ?).
スージーは狙いを定めて,ガラスの破片をマルコスの喉を突き刺す!

全身やけどの姿をさらしたマルコスは大絶叫!
同時に副校長や教師,パウロの悪玉チームも何故か血まみれに.
やがて館内の家具や備品が飛び散りまくり,壁にヒビが入り,火事が発生.
マルコス・パワーのぼ,暴走!?

崩れゆく建物を脱出するスージーだが,なぜかその顔は満足げ.怖いわ.

で,エンドロールで映画は終わり.

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この映画の公開は1977年.Kazchariは10歳である.

さすがに劇場では観ていないはず.
となると,テレビの洋画劇場かな.
たとえ昔でも21時台に流すのは無理な内容だが,どうだろう?
もしくはレンタルビデオか?

いずれにせよ,何らかの方法で観たことだけは覚えている.
いや,正確にはラストの燃え盛る建物をバックに,主人公がやたら清々しく去っていくシーンだけかな.

で,今観ると...
うーん.なんか中途半端なアドヴェンチャーゲームを見せられた気分.

脚本が支離滅裂で行き当たりばったり.
ミステリーとしても弱い.「犯人はヤス」(意外性)もない.

何しろ,なぜ被害者が殺されるのかがわからない.
誰も学校の秘密にはっきりと気づいていないし,誰かに訴えようとしたわけでもない.
そもそも呪いによって病気にしたり,動物を操ったりできるのに,直接手を下して警察沙汰にするのも謎.

バレエ要素はなんだったのか? 神学との関連は?
せめて,この世ならぬ不思議な振り付けダンスシーンがあって,生贄を捧げるとか,タヒ者を蘇らせる儀式のような場面が欲しい...って,それは『死霊の盆踊り』

肝心のホラー,スプラッタ要素は...
まぁ,当時はこれが最大級の表現だったのだ.

で,気になったのはドイツが舞台なのに,誰もドイツ語を話さないこと.
つーか,その前にイタリア人監督のイタリア映画やのに,なぜドイツ?
「言語にこだわる映画は名作」の原則から外れている.

『13人の命』を観た~知識と経験

資本・市場の関係かな?

何やら文句ばかりなので良かった点もいくつか.

スージー役のジェシカ・ハーパーさん.
飛び抜けて美人というわけではないが,大人でもなく少女でもない不思議な雰囲気.
当時で28歳!?
今もご存命です.

そして,やはり外せないのが美術関係.
建物内外装の模様と色.これってもちろんセット?
こんなとこ住んでたらおかしなるわの派手さ.

そしてライティング.
赤が印象的.
また,これから襲われるサラにずっとグリーンのライトが当たっている.
そうした細かい演出がベネ.

これがイタリア人ならではの美的センスってヤツか.

つーことで,40年以上前に観た記憶あいまいな映画を見直すのも悪くない.
思い出補正に気づくことが多そうやけど.

そういやこの映画には『2』もある.

どうやら,こいつは訳アリで,無印の大ヒットによって監督の過去の無関係な作品を『2』ということにして上映したそうな.
こっちは観たことがない.

そして,無印の方は2018年にはリメイクされている.

サスペリア(2018)

なんか...どういうリメイクだ,これ? 現代舞踊?
まぁ,いわゆる名作ホラーってリメイクされがちやな.
機会があればこっちも観てみよう.

ちなみにオリジナルの『サスペリア』はアマプラ配信は終了してしまったので,Blurayはこちら.

ちなみに正月の朝,口笛でサスペリアのメインテーマをエンドレスで吹いていたら,ヨメさんに「気分が悪くなるからやめろ!」と怒られた.

さすが,50年経ってもホラー屈指の名旋律は名旋律...いや違う,単に下手で不快になるからだそうな.シクシクシク36.