走るKazchariと『TAROMAN』

2023/8/25 Fri

マイナスに飛び込め

高校時代,Kazchariは陸上競技部に所属していた.
種目は5000mと駅伝である.

なぜか中学時代は美術部だった.
体育の授業で球技系はからきしダメだったが,なぜか1500mだけ妙に速く,その特技を活かすため高校から本格的に走ってみることにした.
「運動部はモテる」というデマに踊らされたのは秘密だ.

うちの高校は夜学もあったので,6時前にはきっちり帰宅する必要があった.
結果,放課後の練習時間は90分程度.

古い記憶なので正確ではないのだが,その短い時間中に準備体操,3000mのアップ,200m7本などのインターバル,1000mのダウン,片付けなどハードなメニューがギチギチに詰まっていた.

今と違って練習メニューの科学的な根拠も怪しい.
栄養学の知見もなかった.
根性論が支配する世界だった(たぶん).

それでも私立の強豪校ひしめく大阪府の駅伝大会にて,一介の公立高校が10位に食い込んだのは奇跡と言えよう(2年上の先輩は5位だった).

その駅伝の最終日,次走者にタスキを渡して倒れ込んだKazchariは大号泣.
それを見た周りの人たちは「完全燃焼したのがうれしかったんやろなぁ...」と解釈していたらしい.

本当は違う.

「これでもう走らなくて済む」という歓喜の涙だったのだ.
三年間の部活漬けは辛くて辛くて...腰やらなんやら故障しまくってたしな.
それに大してモテなかったし.ブツブツ

そやけど,高校時代に運動に打ち込んだことは後悔していない.
50半ばを過ぎて,健康,体力,それに気力(好奇心を含む)を維持できているのは,このハードな部活経験(基礎体力!)のおかげだろう.

先月,大阪に帰省した際にモノレールの車窓から見た「太陽の塔」.
あのアヴァンギャルドな建築物も陸上部時代の思い出と密接に繋がっている.

Kazchari家,西へ

ガチな運動部あるあるだが,休息日も完全に休むわけではない.
メニューが少し軽くなる日という認識.
我が陸上部の休息日メニューは,学校近くにある「万博公園」内のジョギングだった.

起伏のある芝の上を90分程度走りまわるクロスカントリー.
これが足腰の鍛錬に良い(らしい).

年中通して走っていたが,やはり日差しの下,緑生い茂る夏の走りが一番思い出に残っている.
大阪の40年前は今ほど暑くなかった気がする.

これもあいまいな記憶だが,「太陽の塔」のすぐそばも走ったように思う.
芸術にはうとい体育会系の高校生.
「デカイ」「目がイッた変なおっさんの変なデザイン」という印象しかなかった.

海洋堂 アートプラ ARTPLA 太陽の塔 1/200スケール 未塗装未組立 プラスチックモデルキット

1970年の万博開催の年,Kazchariは3歳.
後の映像体験による刷り込みかもしれないが,あの場に自分もいた記憶がわずかにある(連れて行ったとの親の証言あり).

さて,これまではさほど「太陽の塔」をはじめ,岡本太郎には全く関心がなかったのだが,それが一変したのが2022年放送のNHK『TAROMAN』である.

TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇

今更とぼけるのも何なので,未見の人に番組内容をざっくりと説明する.

「芸術は爆発だ」のフレーズで有名な岡本太郎を完全無敵にリスペクトした70年代特撮“風”番組.
現代の技術にて当時のセット,ファッション,ノリ,映像を完璧に再現している.
しかも円谷プロ全面協力である.

再放送を一度したきりの幻の名作と言われていたが,全39話のうち,10話分のみがフィルム修復され,この度,奇跡の放送...という体で作られた番組である.
こんな凝った設定と潤沢な制作費.なんだかんだでNHKしかできへんやろな.

主役のTAROMANはシュールレアリスム星からやってきた.
日本で一番有名な宇宙人っぽい銀色ボディに赤ライン.
マスクは「太陽の塔」の習作「若い太陽の塔」から.
ボディと手のひらには「目」がついている.

TAROMANは正義の味方でも悪の手先でもない.
ゆえに「奇獣」と呼ばれる岡本太郎デザインの怪獣と戦ったり,戦わなかったり,遊んだり,自爆したりとやりたい放題.ただし全て真剣.
一見,“でたらめ”に見えるが,その行動原理は,全て岡本太郎の言葉や思想に忠実に従っているのだ!(それ自体が”でたらめ”推奨なのだが)

この番組の面白さは,実に表現し辛い.
観てもらうのが一番なのだが...ターゲット層はどこにあるのかは謎.
Kazchari的にはめっちゃ気に入ったので,久々にBlu-rayの購入も本気で考えるほど.

TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇 [Blu-ray]

本編だけならYouTubeでいつでも観れるし...と購入保留中.
レビューによると,サカナクションの山口さんによる(嘘)思い出もちゃんと収録されているとのこと.悩むねぇ.

そして,2023年,TAROMANが再び帰ってきた!
その名も「帰ってくれタローマン」

帰ってくれタローマン「タローマン大統領」| 岡本太郎式特撮活劇

これまた「劇場版」(わざわざシネマスコープ!)やら教育番組のミニコーナーで放送された(体の)追加フィルムを復刻.
これもまた...(こだわりが)すごかった.クリエイターの情念が爆発!

さて,なぜTAROMANこと岡本太郎が今になって推されているのか.
それは2025年の大阪万博開催が近づいているからであろう.

本ブログでも以前,そのマスコット「ミャクミャク」に関する記事を書いた.

2025大阪・関西万博のロゴマークッ!

この時は単にデザインの新規性だけに注目してしまったが,ここにもうひとつの視点を加えたい.

発表時に物議をかもした「ミャクミャク」のデザイン.
改めて見ると岡本太郎イズムの継承と思えなくもない.

https://www.expo2025.or.jp/overview/character/より

「赤い団子をつなげて,目玉を入れれば,誰がどう描いてもミャクミャク」にしか見えない.
しかも,微妙に違うので決して模倣にはならない(強引?).
この不定形が魅力.
正解はあるけどない.こんなデザインはなかなかないのでは?

「同じことを繰り返すなら,タヒんでしまえ」
そう,岡本太郎も言っていた.

比較するのは東京五輪のミライトワ
複雑すぎて誰も描けない ⇒ 「似てない」「下手」という感想が生まれる.
ついでに言うならほとんどの人は名前すら知らない...

その点,ミャクミャクはきれいじゃないし,うまくないし,ここちよくない.
一周回って実に優れたデザイン&ネーミングと再評価.

まぁ,それはともかくとして開催そのものが爆発...いや雲散霧消しそうだが.

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iPhone11 Pro / 7月20日撮影

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