2024/3/25 Mon
生還.
晴れ時々曇り.温度:21 ℃,湿度:82%,体感温度:22 ℃,風速:6.3km/時,風向:SSW
前回はこちら ⇒ 台湾一周(環島)ライド Day9 池上~花蓮(その1)
知らぬ間にジャングルに案内されていたKazchari.
こ,これはGoogle先生のスタンド(ザ・マップ)攻撃っ!
おかしいと思った時点で引き返せばよいものの,進んでいけばいつか道は切り開かれる=舗装路が現れると信じて前進する(iPhoneの画面上は道がつながってるッ!).
そして重量級とは言ってもチャリはチャリ.
オートバイと違って押し歩きもできるし,持ち上げたり,担ぐことも可能.
多少の悪路であってもなんとかなる!(と,思っていた時期がKazchariにもありました)
まだまだ道らしきだった頃.まだ大丈夫.進軍!
やがて,人道というか獣道へ.
車両が通った痕跡はない.
「フフン.ちょっとした冒険だな」と考える余裕がまだあった.
ちなみに平坦ではなく登り.
もはや乗ってこいではいられない.
押し歩く.暑い.
倒木発見!
なんのこれしき.チャリを倒せばくぐれるぜッ!
痛ッ.
トゲトゲの草がむき出しのひざ下を狙ってくるッ! 流血!
ぐわぁ~ ジャージがほつれたぁ~
そして完全に道が消失!
いや,よく見ろ.わずかに人が通った跡がある.押せ!押せ!
(もはや地獄のインパール作戦...)
いや,もちつけ.これは非常にマズイ状況かも...
チャリを置いて先にヒトだけで通れるかどうか確認しないと.
背の高さほどある草地を抜けたと思いきや,ついに目の前に垂直の壁が立ちはだかる.
高さは1.5mほど.
がんばれば,がんばればなんとかチャリを持ち上げることができそう.
これが最後...ここを越えても道がなければ引き返そう.
ポイント・オブ・ノーリターン.キリンは泣かないのだ.
ぜぇぜぇ...汗だくになりながらなんとか崖上に押し上げる.
地の利を得たぞ!(意味不明)
一応,人工物(コンクリート)補強がある.
ということはもう少し進めば,広い道路に出るはず...(懲りない)
と,喜んだのもつかの間.
その先には,鎖があっても不思議ではない,さらに急峻な崖がそびえていた.
この期に及んでもGoogle先生は「先に行け」と指示してくる.
青い道に△マークがついている.
ここは信仰を試される時...って,さすがにもうええわ.
膨大な時間と労力を費やした,この地獄の進軍もここらで撤退.
先ほどのコンクリ補強のところまで戻る.
1.5mの崖からチャリを降ろし,さらに先ほどの草地を押して,元の道へ引き返す...
やっとれんわ.
そこで諦めの悪いKazchariは最後のあがき.
なんとわずかに残る人が通った跡をたどり,別のルートを進む選択をした(く,狂ってる).
なんと,一か八かで選んだ抜け道,とっかかりは狭い獣道だったが,進むと徐々にまともな道幅になってきた.
倒木や生い茂る草もなくなり,あまつさえチャリに乗って,ダウンヒルができるほどに!
勝った! オレはこの緑の地獄から生還したぞ!
だが,しかし!
油断大敵&好事魔多し.
岩と岩の間にフロントタイヤを取られて見事に転倒落車!
スローモーションの中,古傷の左ひざをかばい,なんとか最小限の打撲で済ませる.
マジでやばかった.
こんな人里離れたジャングルで動けなくなったら,マジで人生終了やった.
カラダの次はチャリのチェック.
なんとボトルの蓋がいつの間にかなくなって,中の水もかなりこぼれている.
黒い方の水も後わずか.
まさかの水切れの危機?
パニアに挿していた日の丸も紛失.
後年,この場所で日の丸を見つけた人は何を思うだろう...
幸い,この旅最大のピンチはこれで最後.
しばらくすると人家が現れて一安心.
生き延びた...っつーか,ここって,さっき牛の放牧してたとこやん.
ジャングル内をぐるっと一周して戻って来ただけ...Google先生ぇ,どういうことっすか!?
素直に走って来た舗装路まで引き返し,国道に合流.
もうお腹いっぱいです.
本日の残りの行程はGoogle先生は全無視し,最短距離で花蓮を目指すことにする(やっと正気に戻った).
国道に戻るとエグイ日差しが突き刺さる.
水も心もとない.
ここは一刻も早くコンビニにピットインしたいところ.
何しろ冷たくて甘い飲料が欲しい.
だが...補給地点たる町には全然たどり着かない(台湾東側の特徴).
やがて「舞鶴」という名の丘を登る.
うん? なんか日本っぽい名前だ.
このあたりは「舞鶴観光茶園」.
石碑の漢字を解読すると,やはり統治時代に日本人が開拓したコーヒー園のようだ.
コーヒーに適している=お茶の栽培にも良い土地らしく,今では名産地になっている.
しばらく進むと本格的なカフェを発見.
ここを逃せば休憩場所はしばらくなさそう...ではなくもう限界.
ピットインしないとタヒぬ.
さすが観光農園.
店員のおねーさん達は英語完璧.
メニューを見せてもらい「摩卡咖啡厅」ことカフェモカ(150元)を注文.
何が何でも冷たくしてほしかったので「iceプリーズ! coldプリーズ!」と何度も連呼.
「わかった,わかった」と,おねーさんを苦笑させる.
で,「テラスの方が景色がいいわよ」とのアドバイス.
運ばれてきたカフェモカは...人生最高に美味だった.
ついでに持ってきてくれた冷水をがぶ飲みし,しばし休憩.
おそらく本日はこの旅一番の暑さ.
ジャングルライド+ここまでの登りで消耗した体力をできるだけ回復させる.
落ち着いて店内を眺めれば,結構な品揃え.
漂うお茶の良い香り...普通の旅行なら一品,買ってたな.
つーことで,店員のお二人に,たいそう大げさにお礼を伝え,再スタートする.
正にオアシスでした.
舞鶴茶園のシンボルはやっぱり「鶴」だった.
で,北上を続けると北回帰線モニュメントを通過.
もう写真からして暑そう.
そうそう”こんなこともあろうか”と予備として持参していた日の丸2号をパニアに装着.
ようやくセブンを発見.
先ほどのカフェでは飲み物だけだったので,これが昼食となる.
「炒飯」と「赤コーラ」と「バナナ」.何も言うことはない.
完全に独立した自転車レーン.
安心の「環島1號」標識.
花蓮の街が近づいてきた.
左側の林が日差しをやわらげてくれる.
それでも暑い,暑すぎる.
熱中症を避けるため,ガソリンスタンドのトイレにて,頭から上半身,前腕にかけて水道水をぶっかける.
日本ですら,ここまで濡らしたことはない.
気化熱を利用した冷却法だが,あっと言う間に乾いてしまう.
国道に並走する自転車道を走る.快適.
ようやく花蓮に到着.
久々に大きい都市だ.
退勤ラッシュはまだなのか交通量少な目.
いや,東側だから元々人口が少ない?
えーと,長すぎる電動チャリ.
花蓮の町中をグネグネと曲がり,駅前近くの本日の宿「Hualien Bird’s House Hostel」にようやく到着.時刻は17時だった.
ドアを開けてフロント前にチャリを入れようとするが,「10時までは外に置いてくれ.その後は中に入れとくから」とのこと.
そのご主人,何やら食事中で「チキン食うか?」という,うれしい申し出.
「ほ,欲しいけど,めっちゃ疲れてる.とりあえずシャワー浴びてからもらうわ」と2階の部屋に引っ込む.今回もシングルである.
このまま横になったら,疲労のあまり速攻で寝てしまいそうな激動の一日だった.
で,シャワーを浴びてホールに戻ると,チキンどころかご主人の姿が消えていた.自宅(もしくは自室)に帰ってしまったようだ.
ここに来る途中に目を付けていたコインランドリーまで歩く.
洗濯物と,ついでに汗だくになったリュックも放り込んで,さぁ食事だ.
(チキンも食いそびれたし)腹減った.
少し歩いて通りに出ると,ファミレスっぽい店が何軒か並んでいる場所を発見.
ちょうどメニューが出ていた,この店に決める.
豚肉の野菜炒め定食...っぽいモノを注文.
小鉢やらドリンクもついて300元(約¥1,500).
うん,店の雰囲気も味もセット内容も,それに値段もファミレス的.美味し.
残念ながら量が少々物足りなかったので,帰りにコンビニにて夜食を購入.
今日はさすがにアルコール(パイナップル・ビール)も許されるでしょう.
ちゃんと牛乳も飲んでたんぱく注入.
それにしても...今日はマジでやばかった.
山で遭難する人の心理状況ってこうやねんやろなぁ.
いわゆる「コンコルド効果」もしくは「正常性バイアス」てヤツやな(そうか?).
さぁ,天気予報によると明日は雨.
さすがに疲労のピーク.
休息日にしますか.
Day10へ続く. ⇒ 台湾一周(環島)ライド Day10 花蓮の休息