2024/3/23 Sat
至福の時
晴れ時々曇り.温度:24 ℃,湿度:85%,体感温度:27 ℃,風速:16.2km/時,風向:SE
前回はこちら ⇒ 台湾一周(環島)ライド Day7 墾丁~知本温泉(その1)
時刻は既に9時30分.
北上を開始する.
ここから愛と絶望の139kmが始まる.
もう寄り道していられない.
夜間走行はしたくない.
確実性をとり,Google先生の指示通り来た道を戻ることに.
※ちなみに「けんたさん」は東周りで北上したようだ.
なぜかモアイオブジェ.何つながり?
墾丁のメインストリート&リゾートエリアを通過.さらばだ.
信号待ち時,目の前を「環島」中っぽいサイクリストが通過.
この旅で初めて見た.
「追いつくかなぁ」と思ったが,なかなかの豪脚.
すぐに姿が見えなくなった.
そう,一見気軽に見えて「環島」はなかなかハード.
これに挑戦しようとする者は(日数にもよるが),普段から乗り慣れている者がほとんどのはず.
高雄行きと山越え方面の分岐路に差し掛かる.
コンビニを発見して小休憩.
徐々に気温が上昇してきた.
...だのに,なぁぜ台湾人ライダーはダウンを着るのか?
海を離れて内陸へ.
軍の駐屯地らしき場所に出る.
これは国共内戦時のオブジェかな.
どことなくゆるキャラ風味(いいのか?)
戦車もあった.
『ガルパン』推しの娘にLINEで送ると,大興奮していた.
そして,いよいよ山岳のスタートである.
渓谷だ.
しばらく進むと博物館風の建物が見えてきた.
「牡丹社事件紀念公園」らしい.
牡丹社事件とは,日本による台湾統治のきっかけとなった事件である.
正直,アジア近代史というか,日本と台湾の関係についてはあまり詳しくない,いやなかった.
博物館周囲の壁画を見れば,どういう事件かはなんとなく想像がつく.
帰国後,色々調べて知識を吸収中.
一度訪れた国の出来事は,もはや他人事ではなくなるのだ.
もう一つの有名な事件である「霧社事件」に関しては,映画のおかげで多少は知ってたけどな.
この門をくぐると激坂スタート.
たぶんSTRAVAセグメント.
久々の本格ヒルクライム.
斜度はだいたい7~8%くらい?
平地では気にならなかったSURLYの重さがズシッと脚にくる.
幸いこいつはフロント3枚.
リアも使い切って,一番軽いギアでゆっくりと登る.したたる汗.
足元にトロピカルなクモの死骸.
こういうのを見ると外国にいることを実感する.
とりあえずの頂上(?).
ここが惨劇の地,牡丹村らしい.
つかの間のダウンヒル.
水はまだあるが,カロリーになるモノが欲しい.
もちろん,こんな山奥にはコンビニもなければ自販機もない.
やがて街道沿いの街が見えてきた.
商店は...あった!
もうこいつさえあれば何もいらない神飲料,赤コーラを購入! 至福.
昼間からたむろってるおっちゃん達.
もちろん,日本人は大歓迎ムード.
つーか,ここに立ち寄る旅行者って,なかなかいないのでは?
知ってる日本語を懸命に思い出そうとされる.
それが難しい場合はスマホの出番.
こちらも翻訳アプリを駆使し会話.
楽しいね.
腹が減ってきたが,残念ながら食堂などの設備はないようだ.
もう少し進んでみる.
分岐点にて幸運にも食堂発見.
「ここがおそらく最後の食事ポイント」と,Kazchariのゴーストがささやく.
先にいた中年のお客さん,日本語が非常に流暢.
「私のお父さんとお母さんは日本人でした」と意味深な発言.
メニューの漢字から,中身を推測.
「咖喱」の文字を見つけたので注文.
しばらくすると「チキンカレー」っぽいモノが出てきた.
これが想像と違って,全然辛くなくて優しい味だった...って,たぶんボンカレーのルーを使っているような...美味ければヨシ.
(よく見ると,辛いのが苦手な人は先に言ってねみたいな注意書きが貼ってある)
美猫もいるし,おばちゃんも親切だし(水とチョコレートくれた),カレーも美味いしで良い所でした.
ココロも腹も満たされて,まだまだ続くヒルクライムに挑む.
暑いわ,しんどいわ,脚は終わりかけやらでゾンビ走法に徹する.
それにしても,西側とはまるで異なる台湾である.
あの高層ビル群やらごちゃついた商店街はどこいった?
そしてついに...
国道との分岐点にあるサイクルセンターに到着.
登りが終わった.
ここまで来ればこっちのものである.
満身創痍でボスキャラを攻略した感.
サイクルセンターは台湾あちこちにある.
ウォーターサーバーで水の補給ができる.素敵.
日本だとジュースの自販機が...(贅沢)
そしてウルトラご褒美のダウンヒル開始!
ここからは天国.
こんなに楽しい時間はなかなかない.
ご覧ください! この美しい道を!
永遠に続くかと思われる極上のダウンヒル.
しっかりレーン区分もされていて安心感も半端ない.
なんで日本の道はあんなにボコボコなのだ?
ついに海,東海岸に到着ぅ!
色が,海の色が超絶に美しい.
肝心の風向きは...なんと追い風だッ!
このクソ重いSURLYでAve.30km/h越え!
止まるのがもったいないシチュエーションだが,調子に乗っているとハンガーノックor脱水.
東海岸は町が少ない=補給個所も少ないのだ.
コンビニを発見してピットイン.
ちらっと映るプリン.
この物価高の台湾において20元(¥100)という良心価格.
サイズも味も「Bigプッチンプリン」とクリソツ.
この旅の間,何個食べたことか.
アート爆発な台湾.
キレイな浜辺にはオブジェが点在する.
めずらしく市街地.
歩道橋すらアート.
例によってGoogle先生が気をきかせて,街中のオススメポイントに案内してくるが,さすがに今日はシカト.
細かい脇道は全部パスして,国道をひたすら北上する.
またしてもオブジェ.
ついつい止まってしまう(えっ,さっきの決意は?)
東海岸は決して平坦ではない.
結構なアップダウンである.
交通量も多い.
うむ.
この辺りですらこんな状況なら,噂の「花蓮-宜蘭」間の崖沿いルートはやはり避けた方が無難かも.
驚いたのは「歩き環島」の人を何人も見かけたこと.
マジで四国のお遍路並みのブーム?
互いにサムズアップで励まし合う.
最後の峠を越えて下りきった場所.
いやぁ,疲れた.
後方の道を見る.
よう走ってきたなぁ...人力を最高の効率で推進力に変換する夢のマシン,やっぱりチャリはスゴイわ.
この地点から本日の宿まではまだ20kmほど残っているのだが,文字通りヤマは越えた.
相変わらずの追い風基調の中,知本温泉エリアを目指す.
途中,G-Mailにて宿のオーナーから「今どこですか? 何時に到着ですか?」という確認メールが届く(中国語を翻訳).
何か不思議なメールやなぁ...と思ったが,「5時過ぎには着くと思います.チャリで行きます」と返しておいた.
後で謎が解ける.
今日のホテル「Chihpen Hot Spring Hotel」はいわゆる通常の宿ではない.
簡単に説明するなら,集合住宅の一室を借りる...ようなシステム.
どうやらフロントのようなモノは存在せず,各部屋のオーナーと契約する形式になっているようだ.不動産投資みたいなもの?
で,国道を離れて少し山側に進むとようやく知本温泉街が現れた.
Google先生の指し示す建物付近でうろちょろしていると「自転車で来た日本人」という目印で気づいたのか,オーナーの李さんが声をかけてきた.
互いに翻訳アプリを駆使.説明を受けつつ部屋に案内される.
ドアを開けて感嘆の声を上げてしまった.
なんつー広さとキレイさ!
もちろん温泉の出る浴槽付きだ!
うれしさに涙が出た.
これで1泊1,500元(¥7,500).
何も言うことはありません.
李さんが去った後,汗だくで異臭を放つウェアを脱いでお湯をはる.
そして...Amazon Prime で『姫様』を鑑賞しつつまったり入浴.
太ももの日焼け跡がエグイ.
たっぷり2時間は入浴.
その後,外に食事に出かける.
ホテル周辺の環境が素晴らしく,食堂の他にコンビニまである.
例によって9時閉店のようなので,急いでこの食堂に入る.
メニューに「蝦」の文字を見つけたので「久々に海鮮食うか」と注文.
ニンニクが効いていて美味し.エビも殻ごといただきました.
コンビニでビールとつまみ,明日の朝食を買って2階の部屋に戻る.
1階ロビーにチャリを置く.
一応チェーンロックしたが,台湾では盗まれる気配は全くない(楽観的?)
まぁレンタル品なので,限りなく現地のチャリっぽく見える.
自前のDOMANEやったらこうはいかんな.
部屋の前の廊下.
前後とも広大.
ホラー映画『シャイニング』っぽい...不気味.
もちろん,寝る前にもう一度入浴.
歓喜のあまりスケキヨ遊び.
(安心してください.わいせつ物は写っていません)
つーことで,苦労の甲斐あって至福の時を過ごせた7日目でした.
明日はチェックアウトの11時まで動きません(もったいない).
Day8に続く.