『伝説巨神イデオン 劇場版』の配信

2025/1/4 Sat

涙が止まらない

iPhone15 Pro

1982年公開.
この映画を観るのは何回目だろう?
20回は越えているはず.
ストーリーはもちろんのこと,セリフもほぼ完璧に覚えている.

そんなイデオンの劇場版を,サンライズチャンネルが2025年1月3日から配信.
数日前からネット界隈は大騒ぎ.

アニメ系YouTuberさん達も,次々と同時視聴企画を立ち上げている.
まぁ,Kazchariはそういうのに興味ないので,しっぽりとぼっち鑑賞.
そもそも「発動篇」の最中にキーボード打つヒマはない.

今の美麗な映像に見慣れている若い世代には,どのように感じられるのだろう?
人の業をこれだけ濃密に描くアニメは他にない.
ちなみにうちの(おたくな)JK娘は無関心である.

以下の記事に書いた通り,KazchariはDVDもBlurayも所有.

『イデオン』デザイン考(その1)

要は,あえてネット配信でなくても,いつでも鑑賞できる環境にあるのだが,何せ内容が内容だけに鑑賞後の疲労はかなりのモノ.覚悟が必要.
おそらく『ウシジマくん』より重度化する.

『ウシジマくん一気見スペシャル』は見たらあかん

てなわけで,この一部界隈限定のBigWaveに乗りつつ,配信での鑑賞後に感想まとめ動画を楽しむことにした.
1月3日にはZwiftしながら「接触篇」,翌4日に「発動篇」を観る.

まずは「接触篇」の感想っつーか印象

TV放送37話分をたった84分にまとめるという,とんでもない荒業.
総集編をガンダムみたいに3部構成なんかにしてしまうと,不入りによる「二度目の打ち切り」があるためそれは避けたい,ということで取られた措置らしい.

だが,あらためて鑑賞すると,「接触篇」の破綻のないつながりの良さに驚く.
正にトミノマジック.後の『新訳Z』と比較...したらあかん.

そして少ないながらも新作カット部分の美麗なこと.
特に月基地攻防戦まわりは素晴らしい.

バルメ・ブラム・ザンに続くズロウ・ジック隊の編隊にガルボ・ジックが混じっているが,こまけーことはいいんだよ.

確かによくできた”総集編”ではあるが,もちろんベストなのはTV版を観ることなのは言うまでもない.どうしても省略ゆえの不満点がある.

特に裏主人公ことギジェまわりの描写が圧倒的に足りない.
結果,シェリルがあーなってしまう理由に説得力を欠く(リンのタヒもオミットされてるし).
モエラの戦タヒもなぁ...「誰やねんこいつ」なのに,急にフィーチャーされすぎ.

コスモの大人への態度が,敬語になったりタメ口になったりとバラバラなのが思春期っぽくてヨシ.
それにしても,カララ狙撃事件後のセリフ改変はなぜ?

TV :みんなが立派に見える
映画:異星人も俺達と同じくらい立派

クルー同士,まだ互いをよく知らないから?

まぁ,何よりも本筋は”スペースランナウェイ”なわけでして,ソロシップの惑星探訪がイデオンの魅力.

絡んでくるバッフクランの軍人達もそろいもそろって個性派揃い.
双子の悪魔とか,グハバとか,ルククとか面白すぎる.

星巡りの間,地球人とバッフクランはずーっとイデに監視されていたわけで,その過程をすっとばしてしまうと「イデの試し=人類審査会」の意味が薄まってしまう.
そういう意味では,監督がインタビューで「映画のイデオンは失敗です,起承転結で一番大事な承がない」と言ったのは正にその通り.

インターミッションの「セーリング・フライ」は...歌詞こそ井荻(=トミノ)節だけど,イデオンには合わない気がする.

で,いよいよ「発動篇」

いや,もう何ていうか...
もちろん壮絶極まりない展開なんやけど,もう湖川キャラの表情や動きの演技が凄まじすぎて,人ってここまで「絵」に情念こめらるんやと思い,じわじわ来る.この熱量は何だ?

思い出補正も含めて言うが,やはり未だにこれを越えるアニメ作品は存在しない.福井晴敏の言うところの”絶対イデオン基準”ってヤツやな.

何度見ても新しい発見があるが,芝居という意味でベストなのは,妹を射殺したハルルが,父であるドバと面会するシーン.
これはもう超一級の舞台芸術.

「(発動篇の)主人公はドバ総司令」に異論を唱えるものはいないであろう.
もうね,セリフと感情が真逆だったり,混ざったり,弱音吐いたり,本音を吐露したりといった人の感情の起伏全てが詰まっているキャラによる劇中屈指の名シーン.
時を重ねて人の親となったKazchariに刺さる刺さる.
ちなみにうちの娘はそこまでの業は背負ってません.

このシーンに限らず,この映画,カララとハルルの描写への力の入れ具合が半端ない.
で,責任の一旦であるベスの方の描写は割とあっさりしている.
TV版だと熱血シーンがちょこちょこあるのでもう少しバランス取れてるけど.

もう1場面上げるとしたら,カーシャの「そうよ,みんな星になってしまえ!」からの,ホンマにバッフクランの軍艦や重機動メカが,イデオンガンにヤラれて星になってしまう場面への切り替え.
すぎやま楽曲とも相まって,ここの悲壮感は半端ない.
ここで泣けない人とは友達になれんな.たぶん.

そう,イデオンは何しろ音楽が素晴らしい.

伝説巨神イデオン オリジナル・サウンドトラック 総音楽集

このブログも久々にサントラを聴きながら書いているのだが,何故か年齢を重ねると,大仰な映画版よりTV版の方が刺さるようになったなぁ.
その素晴らしい楽曲を世に送り出されたすぎやまこういち氏も他界されてしまった.

かように完璧な作品なのだが,強いて挙げるなら冒頭のワイプ(TV38話)と本編の39話部分も完全新作で見たかったところ.
40話以降の完全新作パートと比べてしまうと,どうしても見劣りがする.

イデオンは明確な悪役や倒すべき敵が不在.
全滅(自滅)からの再生物語ではあるけど,次の人類もまたイデの審査会にご招待されるわけで,いつになればこの輪廻から抜け出せるのか...とまぁ,やはり宗教っつーか,仏教アニメと言われても仕方がないが,何度も見返したい超名作なのは確か.

つーことで,近い内にBlurayでもう一回見よう.

「タヒ」とはイデオンが見れなくなることと同義.

それぐらい凄まじい作品.

配信は1/5で終了.急げ!

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