『全修。』が面白い

2024/1/23 Thu

往年のファン向け?

1月開始の冬アニメ.
いわゆる1話切り,3話切りの話題が出てくる時期でもある.

さて,そんな大量配信されている冬アニメのうち,Kazchari家全員で鑑賞しているのが『Dr.STONE』(第4期)である.

Dr.STONE

家族で観る『Dr.STONE』

安定の面白さ.何より科学の勉強になる.
ストーリーも,いつの間にか敵キャラと和解して,倍々ゲームで仲間が増えていくジャンプ黄金パターン(『ダンダダン』もしっかり踏襲)

今期は分割3クールにて最終話まで放送するらしいが,本編最終回後の第27巻もアニメ化するのだろうか?
“アレ”まで作ってしまうと,科学ではなくファンタジーになってしまうけどな.

次回いよいよ登場すると思われるDr.ゼノ.
元ネタはメガレンジャーの「Dr.ヒネラー」だと思っているのはKazchariだけ?(たぶん)

で,本題.

確かに『Dr.STONE』は面白いのだが,「完結済みで原作あり」である.
先のストーリーまで全てわかっている.
未知の驚きという点では,原作なしのオリジナルに期待したい.

こいつは...いろんな意味で規格外だったけど.

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今期冬アニメで気を吐いているのが,MAPPA制作のオリジナル作品の『全修。』

全修。

以下,あらすじ.

新進気鋭のアニメーター,広瀬ナツコは監督として世に送り出した第一作(セラムンとスケバン刑事をミックスさせた内容)が大ヒット.
次回作「初恋」の制作に取り掛かっている.
多大なプレッシャーの中,コンテ作業がなかなか進まない.

ある日,たまたま口にした賞味期限切れのハマグリ弁当を食べて倒れてしまう.
やがて目が覚めると,ナツコはかつてファンだった映画「滅びゆく物語」の作品世界の中にいた.
タヒんでいないし,見た目も中身も本人なので“転生モノ”ではない,とナツコも言っている.

砂漠にて物語に登場するバケモノ(ヴォイド)に襲われるが,それを救ったのが勇者一行.以降,ナツコは勇者一行と行動を共にすることになる.

だが,物語の先の展開を知っているナツコは気が気でない.
勇者闇落ちの鬱展開を知っているからだ.

ナツコの予言(?)通り,大量発生したヴォイドが街を襲う.
立ち向かう勇者だが多勢に無勢.
それを救うべく自爆魔法を唱えようとするユニコーン.

その瞬間,たまたま現実から持ち込んでいた作画用タップが輝きをはなち,「描け!ナツコ!」とつぶやく.
ここからプリキュアの変身シーンのごとき超絶作画.
突如あらわれた作業机と作画用紙.
このピンチを救うには,何を描けば良い?

地平線の彼方から迫りくる,怒りに満ちた赤い目の昆虫っぽい大量の生物...こいつらを“薙ぎ払う”のなら...アレしかない!

そう,ナツコが描き上げたのは,日本人なら誰もが知る“あのアニメ”の,最近立て続けに「シン・〇〇」シリーズを手掛け,おたく四天王と呼ばれる“あのカントク”が描いたアレに似たナニカだった!

続く,2話,3話も同様の展開.
そうか,これってそういうアニメなのねん.
『SHIROBAKO』のような,アニメお仕事アニメと思っていたら大間違いだった.

ピンチの際,ナツコが(アニヲタであれば)誰もが知っているシーンを作画して,万事解決!
作り手の過去の名作,名場面への愛が伝わるアニメだった.

問題は,ナツコのおかげでオリジナルのストーリーが改変され,退場キャラが生きてたり,行動パターンが変わってしまっている(どこぞのBiginning?).

はてさて,ナツコの知っていた「滅びゆく物語」は一体どこへ向かうのか.次回「〇〇」.サービス,サービスゥ!

この作品,転生モノと言えばそうなのだが,クライマックスの作画バンクのノリ,何かに似ているなぁ...と思ったら「幾原邦彦」っぽい.

幾原監督と言えば『少女革命ウテナ』『輪るビングドラム』『さらざんまい』が有名.
そして,これら共通の特徴と言えば,決闘前やら説教前やら変身時に突如始まるミュージカル風演出.
印象的な画および音楽によって,(難解な)本編はともかく,そのシーンだけは忘れない,っつーか中毒性がある.生存戦略!

先ほどは作画バンクを「プリキュア」っぽいとしたが,やはり,こちらの雰囲気の方が濃厚...と,調べてみると『全修。』の監督さんて,幾原作品の関係者だった.

そのせいなのかどうかわからんが,「滅びゆく物語」パートの作画と,作画バンクシーンのクオリティの差がすごい.
バンクシーンと,その後の戦闘シーンへの熱量のかけ方に明らかに違いがある.
まぁ「滅びゆく」は昔の作品なので,ワザとなのかもしれん.

で,その『全修。』の最大のウリは,今回ナツコな何を,誰をオマージュして作画するのか,であろう.

第1話 ⇒ 巨神兵
第2話 ⇒ 板野サーカス(マクロスorアディゴ)
第3話 ⇒ なぜかタイガーマスク(孤児院つながり?)

なんでも「板野サーカス」は板野氏ご本人作画らしく,ネットで大盛り上がりだった.
この作品の本気度がうかがえるなぁ...とKazchariは感心してしまうが,好意的な感想だけではないらしい.

曰く「内輪ウケ」「古すぎてわからん」「話がつまらん」など.

実際「板野サーカスなんて知らん」というアニメ批評サイトがあってこっちがびっくりした(若い人?).
まぁ,『ジークアクス』の鑑賞者も,「ファースト見た事ない」勢が結構いるらしいけど(この動画の人,むっちゃ楽しそう).

元ネタが現状のままだと,おっさ...いや古参勢しか喜ばん作品になるかもしれん.
まぁ,それが視聴対象のマス層なら,狙いは大当たりということになるけど.

で,全12話だとして,残る9話分のオマージュ元を勝手に予想.

・金田風パース
・湖川風あおり顔
・安彦風筆ペン
・細田風影なし顔
・大友風街の倒壊
・押井風難解セリフ
・富野風電波セリフ
・サンライズ風パース(戦隊レッドで先行)
・エヴァ風心象風景
・松本零士風メーター
・タツノコ風びっくりどっきりメカ
・世界名作劇場風大自然
・もっとプリキュア風変身

あぁ,なんかわけわからんようになってきた.
要は何でもあり.予想を裏切ってくれる方が楽しい.

後は,本筋のストーリーに面白さ(ひねり)が出てくればいいなぁ.

何故,ナツコはあそこまで食いまくるのか?
エルフの裏切り(?)はどうなるのか?
現代に戻れるのか?
「初恋」の絵コンテは描きあがるのか?

こんな楽しい娯楽を(命を削って?)提供してくださるクリエーターに感謝.
その情熱が...うらやましいかも.

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