『スマホ脳』を読んだ~なかなかの衝撃

2021/3/10 Wed

人間は現代社会に適応するようには進化していない

スマホ脳 (新潮新書)

近ごろ話題の書籍を読んだ.
図書館で一か月くらい待ったかな.

スウェーデンの精神科医がスマホ依存症について警鐘を鳴らす書である.

ざっくりまとめるなら,我々はスマホ(タブレット)を使う度,いやすぐそばにおいておくだけで,脳内では快楽物質であるドーパミンがドバドバ放出されている.
これはギャンブル依存症と全く同じ.個人の意思では抗えない.

「期待」つまり「この扉(リンク)の向こうには何があるのだろう」という誘惑の前にヒトは無力.
なぜなら,その欲望に従った個体だけが生き残って来たのだから.

スマホで一番恐ろしいのは,究極の財産である時間を奪われること.

現在の20歳が80歳になる頃には,人生の5年間をSNSに費やす計算になり,そのうちの3年近くがフェイスブックに充てられる.

SNSは「承認欲求」どころか,もっと根源的なポジションにある「生存欲求」を刺激する.
なぜなら,狩猟採集民族にせよ,農耕民族にせよ,生き残るためには情報が不可欠だった.それは噂レベルでも良い.
そして,その集団内において自分の評判を常に気にするようにもプログラミングされている.なぜなら,その集団内で“役立たず”と判断されれば殺されてしまうから(集団維持のため).
古代社会における最大の死因は,事故や病死ではなく殺人だった.

さらに,スマホ依存は睡眠不足.運動不足につながる.
不規則な生活は「うつ」への入口.
こうして患者が増えていく...

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といった内容.

かつて日本の研究者(?)が『ゲーム脳』という言葉を提唱したが,主観だらけ,かつ科学的根拠のなさから,大バッシングを受けたような記憶がある.

しかし本書は違う.
様々な実験結果からのエビデンスを示している.

スウェーデンと日本はIT教育に関して似た関係あるらしい.
それは,幼児にスマホやタブレットを与えることに抵抗が少ない国民性.

しかし,幼少期から二次元でのパズルゲーム(だけ)をさせていると,空間認知・構成などに問題が生じ,論理的な思考ができなくなってしまうというデータがある.
やはり,自分の手を操作し,積み木を掴んで硬さや重さを感じ,実際の空間で組み立てる経験が必要と説く.

今,現在大人であればまだマシ(別の言い方だと変化しにくい)のだが,子供への影響は深刻と言わざるを得ない.

そして成人には依存症へのきっかけとなる悪魔の機械.
脳に与える数々の影響を計算した上でハードやソフトが開発されている.
たぶんKazchariも,中高生時代にこんな楽しいおもちゃがあったら,どっぷりはまってたやろなぁ...なくて良かった.

とは言え,今や生活インフラとして欠かせないものであることも事実.
使いたくないけど,使わざるを得ないという点ではクルマに近いかも.

実はこの『スマホ脳』の内容,Kazchari家にとって実にタイムリー.
ヨメさんのガラケーの不調やら,auから格安スマホへの乗り換えキャンペーンやらが重なって,Kazchariに続き,ヨメさんと中二病の娘もUQ Mobileでのスマホデビューが決定したのだ.

二人とも2020年モデルの「iPhone SE」を購入.
現在,細々と設定中.
ここで悩むのが,娘のスマホ運用.
完全放任だと,依存症まっしぐらになるのは間違いない.
本人の自制心なんぞ無意味なことは『スマホ脳』に書かれている通り.
物理的な隔離が必要.
そこで,ネットの情報を基にして考えたのが,以下のスマホルール.

【Kazchari家のスマホルール】

(1)勉強時間および試験前の集中期間はスマホを預かります.
   平日:17:30~夕食,21:00~はリビングに戻すこと

(2)成績が下がったら次のテストまでスマホ没収!

(3)スマホ置き場は基本的にリビング

(4)食事中のスマホ禁止(外食含む)

(5)アプリの勝手なインストールはあかん

(6)SNSでつながるのは直接知っている人だけ

※ あなたのスマホ代は,とーちゃんとかーちゃんが払っていることを忘れずに.

もちろん暫定版.
さて(互いに)どこまで守れることやら...

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