『LONG WAY UP』の感想(その4)「エクアドル&コロンビア編」

2020/11/20 Fri

国境超えは大変.

『Long Way Up』の感想その4は,エクアドルとコロンビア編.

米国に近づくにつれ,何やらゴミゴミしてきた.
都市化が進み,自然が減少.
これはこれで旅情感あり.

エクアドルに入国.
国内最大都市,グアナキルではスターウォーズ俳優として自撮り攻めにあう.
Kazchari的にはエクアドル=ガラパゴス島なのだが,この旅ではさすがに行かないらしい.
オートバイ関係ないしな.
そういやイグアスの滝もパスしてる.

ちなみにガラパゴスのダイビングツアーは軽く100万円コース
憧れの海であるものの,さすがに躊躇する価格.
100万あったら...『Emonda SLR』『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO』買うね!(いや,こいつらも値段的におかしい

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お次はコロンビア
コロンビアと言えば,麻薬と自転車選手
世界最大の麻薬組織,メデジンカルテルが(たぶん)滅んで,だいぶ観光しやすくなったそうな.
世界最悪の街の悪名はホンジェラスのサン・ペドロ・スーザに移ったか.
渓谷に建てられた教会とか,実に趣がある.

悪路の雨中走行が祟ったのか,ユアンのバイクが壊れた.
ハーレー本社に電話してアドバイスをもらうが打つ手なし.
精密機械ゆえ,コスタリカまで運び,技術者に修理してもらうことになった.
まぁ,この辺は個人旅行とは雲泥の差やな.

ここからは期待のダリエンギャップ越え.

コロンビアとパナマの国境にあるダリエン地峡は,パン・アメリカンハイウエイの未開通区間である.
ここは道路のない未開のジャングルという地形的な障害だけでなく,反政府ゲリラもしくは麻薬密売グループの巣窟とされる.
個人旅行でここを通過するのは自殺行為.
...のはずなのだが,まさかこんな本が出てるとは...

ダリエン地峡決死行 (わたしの旅ブックス)

毎回のアバンタイトルでは,バイクのまま陸路で突っ切るような印象もあり,まさか!と思っていたが,さすがに飛行機+船による移送になったようだ.

番組内では,この辺りの旅程やルートがごちゃごちゃして,何がどうなっているのかさっぱりわからん.
ユアンが輸送機に乗ったままパナマinするために“一時的に”作業員になりすましたり(いいのか?),旧ソ連製の小型飛行機の客室にバイクをそのまま載せたり,結局船の予約がどうなったのか,四輪組と二輪組はどうして別ルートになったのか,時間的にも空間的にも『TENET』なみに複雑(2回見ればわかる?).

まっ,コマけーことは船旅が予想以上に面白かったので良し.

国境超えトラブルはKazchariも色々と経験がある.
印象に残るものと言えば,まずカンボジア-ヴェトナム.

旅の回顧録~1993年のカンボジア(24)

『Long Way Up』でもチリとボリビア間やったかな.
ユアンのパスポートに問題発生.

まず,チリを米国のパスポートで出国.
緩衝地帯を走行後,ボリビアのイミグレーションで入国手続き.
しかし,米国人はビザが必要なので入国できないと断られる.
そこで,ユアンは英国パスポートを出す.
こちらはノービザで入れるのだが,チリの出国スタンプがないため,やはりボリビア入国不可.

そうそう,欧米人はなぜかパスポート何冊も持っている.
どこかの国のドミトリーで「♪今日はどれ使おうかなぁ~」と,5冊ぐらいパスポート見せびらかしている西洋人(?)を見たことがある.
二重国籍を認めない日本が珍しいのだろうか?
それにしても不思議な身分証明書やな.

結局,ユアンはUS$160で無事(?)入国できたようだ.
国境あるあるやね.

Kazchariも青年海外協力隊時代はパスポートを2冊持っていた.
普通のプライベート用(赤)と公用パスポート(緑)

この2冊の最大の違いは,公用パスポートは渡航できる国に制限があること.
ジャマイカからの帰国時,同期隊員と一緒に隣国のベリーズを旅したのだが,そいつが,ジャマ出国のスタンプを公用パスでしてしまったので,そのパスで入国を認められていないベリーズに入国できないという事態が発生した(Kazchariはプライベートパスポートを使ったのでセーフ).

税関でしばらくつかまり,色々と尋問され,数時間後ようやく解放.
そいつはその後,メキシコ-グアテマラ間の陸路国境でも問題を起こす(確か所持金を“正直に”申告したため).

まぁ,トラブル続きで楽しかった道中の紹介はいずれまた.

そう,空路より格段に面白いのが,陸路や海路国境超え.

旅の醍醐味やね.

『LONG WAY UP』の感想(その3)「ボリビア&ペルー編」

2020/11/19 Thu

ああテレフェリコ!

『Long Way Up』の感想その3.
ボリビアとペルー編について.
この地域は標高が高い.
ガソリン車(キャブ仕様)と違って,出力が落ちる事はないんやろな.
登りが多い分,電力は喰うか.

その2の感想では,かなり感傷的になり「ああ行きたい行きたい」「ああ戻りたい戻りたい」状態になってしまったが,実際中南米を旅するとなると,治安の問題は切っても切り離せない.

2002年からのジャマイカ滞在中も,2004年にヨメさんと中南米を旅した際も,特に犯罪には遭わなかった.
ブエノスアイレスの長距離バスステーションのターミナルで,すぐそばに座っていた現地の女性が,床に置いていたカバンをいきなり持っていかれたのを見た程度.

まっ運が良かっただけやろな.

これが,オートバイ旅になるとどうだろう.
もちろん,オートバイが盗まれたり,無人地帯で強盗に襲われるというのが最悪の事態だが,その他にもガソリンの入手やエンジントラブルが心配(パンク修理すらおぼつかない).

あぁ,ダメだ「行かない理由」を考え出すとキリがない.

とりあえず書籍やブログで旅行記を読み直そう.
そういや『珍夜特急2nd season』,途中で読むのが止まっていた.

珍夜特急 2nd season 7―ペルー・ボリビア― Kindle版

なんてことを観るたびに考えさせる『Long Way Up』.
ホンマ,毒番組やで.

さて,チリを抜けボリビアに入国した一行.
国の経済レベルに伴ってか,ボリビアの道路はよろしくない.
目的地のウユニ塩原に向かう道は,フカフカとガチガチが混ざる砂漠ダート.
以前のGSならともかく,ロードタイヤの電動ハーレーでよう走るわ~

ユアンはオフロードに慣れていない,チャーリーはこれまでの度重なる事故により,脚にボルトやらプレート固定しまくっているらしい.

すいません.
旅程がハードなほど観ている分には楽しいです.

苦労のあげく,ウユニ塩原着.
10月頃かな? 乾期だったこともあり,雨後の鏡面状態にならないのでそれほど時間をとっていない.

これまで都会を避けてきた一行だが,ボリビアでは首都のラパスに寄っている.
ラパスと言えば標高3640mという世界一高い場所に位置する首都で,すり鉢状の土地にへばりつくビルやら建物が有名.
おかげで街中は急坂だらけ.

とは言え,ユアン曰く「これまで訪れた中で最も楽しい街」らしい.
新市街と旧市街の移動もテレフェリコ(ロープウエイ)だし,確かに楽しそう(そこ?).

次はチチカカ湖を横断しペルーへ.

山岳地域を走っている際,片足のローディと出会う.
ペルーのパラリンピック代表選手らしい.
片足でチャリに乗るだけでも驚異だが,それでヒルクライム!? この標高で!? すごすぎる.
美瑛センチュリーライドでも日本人の片足オリンピアンに会った.
ええ,激坂で抜かされましたよ.

ペルーでは定番のマチュピチュを訪れる.
バイクを置いて,列車でふもとまで向かうのだが...これまた,うらやましすぎる.
夜明けの遺跡見学
地形上,仕方ないのかもしれないが,マチュピチュの全体像はいつも同じ構図.
それでもなかなか霧が晴れなくて,きれいに見れる日は少ないそう.
この旅のユアンとチャーリーは...とにかく運がいい.

Kazchariも写真や映像ではなくこの目で見てみたい.

ペルーのもう一つの謎遺跡と言えば「ナスカの地上絵」
定番のセスナによる遊覧.
お約束のゲボボ魔獣状態で見物どころではない.
この辺は『水どう』っぽい.

その他,欧米の番組っぽく,環境問題や少数民族の人権問題を上手く取り入れている.
ユニセフの活動も紹介されているが,押しつけがましくなく好感が持てる.

Kazchariもこの2国は行ったことが無い.
将来の楽しみにとってある.
余りに距離が遠く,10日程度の休みだと時差ボケ&高山病で悩まされたまま終了してしまうような気もする.

とは言え,世界で最もインスタ映えするスポットとして有名になったウユニ塩湖なんて,ここ数年,日本人観光客が大挙して押し寄せているそうな.
主に高齢者と若者.
時間があるのはわかるけど,金持ってるなぁ...
今,さくっと調べたら,ウユニ,マチュピチュ,ナスカ周遊の全コミツアーだと,11日間50万ほど.

うん? 意外に安い?(いやいや)
ラジャアンパットのダイビングツアーとそう変わらない.(おいおい)
もちろん個人手配&個人旅だとこの半額以下になるんやろうけど,時間が無限にあるパッカーならともかく,リーマンにはツアー参加が良いでしょう.

あれ? オートバイで行く話はどこへ?

『ソクラテスの人事』を読んだ

2020/11/18 Wed

これで選んで大丈夫?

少し前,YouTubeの岡田斗司夫ゼミ「Googleに入社するにはどうすればよいか」というネタが紹介されていた.

例えば,Googleの入社試験に,

「あなたは10円玉の大きさに縮められて,ミキサーの中に入れられました.もとの密度を保ったまま,あなたの質量は小さくなります.ミキサーの刃はあと60秒で動き出します.さて,どうする?」

という問題が出たそうな.
他にも,マイクロソフト

「富士山を動かすとしたらどうすればよいか」

なども有名.
一時期,こうした奇をてらった問題が,有名どころを含む様々な企業で出されたらしい.

ちなみにGoogle問題の模範解答は,

「元の密度を保っているので筋力は同じ.質量が軽くなっているので,ジャンプをすればミキサーから飛び出せる」

とのこと.
マイクロソフトの問題はいわゆるフェルミ推定
よって「頂上の土を削って横に動かす=水平移動」「盛り土をして高さを増す=垂直移動」のようなとんち解答ではなく,富士山のおおよその体積やら,トラックの台数,人員,期間やコストなどを論理的に概算し,実現方法を提示しなければ合格にならないらしい.

こうした,企業の一見風変わりな入社試験を集めた『ソクラテスの人事』という番組がNHKで2009年に放送されていた(岡田斗司夫も出演).
先日それをまとめた書籍を読んだ.

ソクラテスの人事 (日本語) 単行本

全部で36問掲載されていたが,特に面白かったものをピックアップ.

「江戸時代にタイムスリップしたあなた.偶然持っていた〇〇を使って商売を始めたところ大成功します.その〇〇とは何ですか?」

「次の文のA,B,Cに適切な言葉を入れなさい.
就職活動といえば(A)
(A)といえば(B)
(B)といえば(C)
(C)といえば地球である.」

「「こだま」「ひかり」「のぞみ」に続く次世代新幹線の列車名を日本語で10案考えなさい」

「火星人はどんな生活をしていると思いますか.イラストにして説明してください」

「「風は吹けば桶屋が儲かる」の論理展開の要領で,「ロングのヘアスタイルがはやると牛丼が98円になる」にたどり着くまでに必要な間の出来事を4つ書きなさい」

「サザエさんの新キャラクターを登場させてください.そのキャラクターが登場する回のストーリーもお答えください」

「今,南米で「パケレレ」というスポーツが大ブレーク中です.「パケレレ」を日本に紹介する時のキャッチコピーを考えてください」

「人生最大の失敗をブログに書くとします.そのタイトルを考えてください」

「あなたの家の中で一番使いにくいものは何ですか.もしそれをあなたが作る立場だったら,どういう方法で解決をしますか」

「2グループに分かれて寸劇を作りなさい.お題は「幸せを感じる瞬間」」

「「がんばれ」に替わる言葉を考えてください」

「あなたは世界〇〇賞グランプリを受賞しました.受賞記念スピーチをお願いします」

「ピースに代わる記念撮影のポーズを考えてください」

「あなたは社長です.新入社員に向けてメッセージをお願いします」

頭の体操にちょうど良い.
企業が求めているのは柔軟な発想力.
どれもこれもフェルミ推定とまではいかないが,面接官を納得させるロジカルシンキングが必要.
最悪な解答は「わかりません」「できません」「思いつきません」だそうな.

Kazchari(一応教員)の担当講義で使えそうだ.
今時の若者は...という言葉は使いたくないが,無口&消極的な学生が増えているのは実感している.
感情表現は苦手(したくないだけ?)かもしれないが,業務上,論理的思考に弱いのは困る.
今度試してみよう.

ただし...2013年頃になると,採用試験において,少なくともフェルミ推定のような奇問のは意味ないのでは,という意見も出てきたそうな.

「地頭力」試すのは時間の無駄だった グーグル人事責任者、衝撃の告白

ようするに,「「質問を解く力」と「業務で発揮できる能力」との関連性が不明」ということらしい.
採用したヤツが使えなかったんやろなぁ...

では「試験問題を作らせる」という課題はどうだろう.

「重要なことは答えることではない,問うことである」
「人は,どう答えるかではなく,何を問うかで評価される」
(森博嗣:臨機応答・変問自在より)

この観点で考えると『ソクラテスの人事』で紹介されていた中では,以下が優れているのではないだろうか.

「あなたは採用担当者です.次の世代を担うユニークな人物を採れと上司から言われました.面接試験でどんな質問をしますか」

『LONG WAY UP』の感想(その2)「アルゼンチン&チリ編」

2020/11/16 Mon

羨望しかない.

ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンの中南米縦断バイク旅『LONG WAY UP』AppleTV+で視聴中.

ようやく全行程の1/3を視聴完了.
アルゼンチン&チリ編やね.
サンティアゴやブエノスアイレスなどの大都会は避けて地方都市をつなぐ旅程.
当然,道の状況はあまりよくない.
ウシュアイアからしばらくは雪景色(凍結は大丈夫なのか?).
北上するにつれ,荒涼とした岩砂漠へ.
もちろん未舗装.
あの短いサスとロード用タイヤでよう走るわ.
実に楽しそう.

それにしても...絶景に次ぐ絶景.
そのあまりに美しい風景に感情が揺さぶられる.
撮影技術も進歩した.
中でもドローンを駆使した映像が素晴らしい.

そうやなぁ...やっぱり南米(チリ,アルゼンチン,パラグアイしか訪れていないが)は景色,食い物,人,全てが良かった.

今回の旅の目玉は電動バイク&クルマの旅であること.

ゆえに充電切れの不安が常にある.
ようやく街にたどり着き,民家やホテルの電源に接続しても,電圧の関係なのか,うまくいかないことが頻繁に起こる.

サポートカーも砂漠の真ん中で充電切れの他,システム異常によるブレーキロックなど,トラブルだらけ.

バイクもクルマもガソリン車以上に気温や風,スピードや路面状況(登り!)による電力消費の差が激しいようだ.
ホテルの中にバイクを持ち込み温めると電力が復活するとか,クルマのスリップストリームを使うとか...その問題解決方法も番組として楽しめる(無事にゴールするとわかっているからだろうけど).

何よりあの過酷なルートで,あの“ハーレー”が壊れないのが何より驚異.

そういや電動だと排気量という概念がなくなる.
今後電動バイクが増えてきたら,グレードはどう表現するのだろう?
ワット数? バッテリー容量?

ここでKazchariの電動バイク体験記を.

2018年に石垣島を旅した時,現地で電動スクーターを借りた.

石垣島の電動レンタルバイク

うろ覚えだが,台湾メーカーが今後の日本本土への展開を考えて,島で試験運用中だったように思う.
有名どころの観光地にバッテリーステーションがあり,2リットルのペットボトルより二回りは大きいバッテリーを交換しながら走りつなぐ.
満タンで80kmは走る.
狭い島なので充電切れの心配はまずない.

OLYMPUS TG-5 /2018年9月22日
OLYMPUS TG-5 /2018年9月22日
OLYMPUS TG-5 /2018年9月22日

大きな声では言えないが,「ブーストモード」なるものが付いていて,これを発動させると50ccのスクーターより明らかに速い(その分電力消費も激しい).
内燃機関の排気音ではなく「ウィーン」というモーター音が独特.
番組中の電動ハーレーも同じような音がしている.
(名物の)エンジンの振動はほぼなさそう.

さっき,久々に公式サイトを見たら,中古車を販売しているようだ.
もちろん走行は石垣島内に限る.
そらそうだ.
バッテリーステーションが必要やし.
本体だけでなく月々バッテリー使用料も別途かかる.
ガソリン車とどっちが得?

それにしても...番組を観ながら考えてしまう.

世界あちこちを旅してきたが,レンタルバイクなど単発的な場合を除き,飛行機,バス,列車など公共交通機関を利用しての旅がほとんど.

楽で安全だが,自由に自分のルートを線でつなぐオートバイ旅の方が何倍も楽しいのは間違いないだろう.
あっ,そういや2010年にボルネオ島1500kmをバイクで横断するツアーに参加したことを思い出した.
あれも実に良い思い出.

昨日は冬支度の一環として,HONDA XR-BAJAのバッテリーを外し,車庫の奥深くに入れた.
今年はもう乗らない.
いや,正直に言う.
今シーズンは一度も乗らなかった.

もちろん自賠責も任意保険代も払っている.
年3万ほど.

なぜ乗らなかったのか.
理由はわかっている.
自転車が楽し過ぎるのだ.

オートバイには19歳の頃から乗っている.
一周こそしていないが,それこそ日本中出かけた.
豪雨や暴風の中,雪山,猛暑の中を走り,満天の星の下でキャンプをし,見知らぬ人と話した.
何よりオートバイは造形的に美しい.

オートバイは乗らなければ朽ちていく.
サスはへたり,オイルがにじみ,ガソリンが腐り,サビが浮く.

『LONG WAY UP』を観る前は,本気で手放すことを考えていた.
今,その気持ちが揺らいしまっている.

死ぬまでに達成したい目標が,また一つできてしまったかもしれない.

そう,オートバイで南米を走りたい.

OLYMPUS CAMEDIA C5050Z / 2004年7月20日 チリ-アルゼンチン国境にて

復活の旅番組『LONG WAY UP』

2020/11/14 Sat

感無量.

iPhone11 Pro

往年の旅番組が2つ復活した.

一つは『水曜どうでしょう』

まず今年の4月に「赤平にあるミスターの土地(?)にどうでしょうハウスを建てるという企画」が放送された.
2017年に撮影開始,つまり3年がかりの長大作品だった.
そして...見事に最後騙されました.
これはこれで実に面白かった.

水曜どうでしょう 北海道で家、建てます(2019新作)

『水曜どうでしょう最新作-最終夜』を観た

しかしながら,この番組の真骨頂はやはり,おっさん4人によるウダウダ旅にある.
現地人との交流なし! 観光地に行ってもロクに景色も見もせずボケとツッコミ.
基本的に狭い車内で3人(+嬉野カメラマン)のどうでもいい会話,そして,たまーに出る名言を楽しむ番組.

そのあたりはスタッフも承知しているのか,「家づくり」と並行してちゃっかりと海外旅行に出ていた(2018年収録).

ということでその2作目の新作が10/28から放送開始.
今回はパリinしてアイルランドを目指す.
ヨーロッパ制覇のリ・リベンジとともに,“とてつもなくつまらなかった”アフリカ旅のリベンジも兼ねていると推察.

水曜どうでしょう 2020最新作

そこで毎週期待を込めて視聴中なのだが...
正直...つまらない.
まっ,こちらは最終夜まで観終わってからレビューしよ.

もう一つは知る人ぞ知る『LONG WAY UP』
オビワン・ケノービこと俳優ユアン・マクレガーと友人のチャーリー・ブアマン(ダカールに出場!)のモーターサイクル旅行のドキュメントである.
なんと言ってもそのスケールがスゴイ.

第一作の『LONG WAY ROUND』(2004)はイギリスを出発し,ヨーロッパ,ロシア(モンゴル),海を渡ってアラスカ,カナダ,アメリカにゴールと地球を横断する旅.
マシンはBMW-R1150GSである.

ユアン・マクレガー 大陸横断バイクの旅/Long Way Round [DVD]

第二作の『LONG WAY DOWN』(2007)はイギリス発,イタリア経由でアフリカに渡り,そのまま南下.南アフリカにゴールという地球縦断の旅.
マシンはBMW-R1200GSである.

ユアン・マクレガー 大陸縦断バイクの旅/Long Way Down [DVD]

日本ではWOWOWで放送されていたようだ.
視聴環境がなかったKazchariは海外版のDVDセットを購入.
『ROUND』は日本語字幕付き,『DOWN』は英語のみ(旅番組なので状況はだいたいわかる)だった.

随行するカメラマンもいるし,国境越えなどのややこしいポイントでは,クルマのスタッフが待機している.
何より出発前の準備やら,旅行中も何かとサポートするバックオフィスも存在する.
純粋な意味での“旅”や“冒険”とは言い難い点もある.

それでも,ユアンのような世界的俳優が決して安全とは言えないルートをガチで走る.
転倒他のトラブルにもめげず(いや,グチは多い)進む姿は,その過酷さを同時体験している気分にさせる十分なインパクトを有している.
(モーター)バイク乗り必見のドキュメントである.

それにしてもBMW-GSのカッコよさ!
この番組が相当売り上げに貢献したらしい.
Kazchariも190cmぐらい身長があったならぁぁぁぁ!

そして,第二作発表後12年経過.
満を持して『LONG WAY UP』が放送開始!
「オーストラリア⇒東南アジアルート」かと思いきや,より過酷なアルゼンチン(ウシュアイア)⇒ロサンゼルス!の中南米縦断だった!

これは視聴せずにいられるだろうか? いいや限界だ,観るね.

LONG WAY UP 大陸縦断バイクの旅

この『LONG WAY UP』AppleTV+独占配信.
9月スタートなので既に全話配信済み.
早速,アプリをiPhoneとiPadにダウンロード.
「iPhone11Pro」を買ったときに付いてきた視聴1年間無料権をすっかり失念していて,既に期限切れだったため,1週間のお試し入会.
1話50分の全11話.
時間的に大丈夫かな?
まぁ,一カ月のサブスクが600円やし,見逃した『ランボー・ラストブラッド』もあるし,少し延長してもええかなと考え中.

で,昨日から見始めたのだが,いやぁ,もう素晴らしいの一言.
第3話の時点でパタゴニアを爆走中なのだが面白過ぎる.
今回のマシンはなんと,撮影当時も,そして今現在も未発売のハーレー・ダビッドソンのLiveWire.

Harley Davidson Livewire

まさかの電動モーターサイクル!
その試作品を本社がカスタム.
充電満タン時の走行距離200kmほど.
当然インフラどころか民家すらまれな場所を走ることになるので,充電ステーションの設置から準備を始める.
なんつースケール.

それでも充電できないトラブルが早くも頻発.

Kazchari夫婦は2004年の7月頃,南米を旅していた.
ウシュアイア,プンタアレナス,あの国境,あのフェリー...何もかもみな懐かしい.
ヨメさんと二人して狂喜乱舞.

撮影技術の進化も伴い,もう絶景のオンパレード!
もう続きが楽しみで仕方がない.
このブログでも随時感想をアップしていく予定.

とりあず,第2話でのユアンの名言.

「ウシュアイアは偶然訪れることはない町.旅人はここを目指してくる」

Nikon COOLPIX950 / 2004年7月18日

NHK『光秀のスマホ』のアプリが最高

2020/11/6 Fri

FUMI!

なんとなーく録画予約していた『光秀のスマホ』(NHK-G)を観た.

光秀のスマホ

いやぁ,めちゃくちゃ面白かった.
歴女の長女と観てて,二人して大爆笑.
後編の4~6話は見逃してしまったけど,ご安心下さい.
今でもYouTubeのNHK公式NHK+見逃し配信で視聴可!(11/11まで)

今夏放送された,同じような発想の以下の番組は...のために炎上してしまったようだが.

「ひろしまタイムライン」でNHKが再釈明「配慮が不十分だった」

こちらはさすがに戦国時代,しかも光秀が主役なので大丈夫(秀☆吉だとヤバイかも).

マジで全編スマホ画面のアップ.
光秀と信長は声のみ.
秀☆吉はFaceTimeならぬ,OmoteTimeの画面に登場するが,接続の度に(出世して)服装が豪華になっていくのが面白い.

内容を解説するのは無粋というものだが,特に笑えたのは以下(ネタバレ)

戦国ニュースで自分が話題になっていないと落ち込むわ,フォロワー数気にするわ,娘のたまからはハートポーズビデオが送られてくるわ,秀☆吉からはエロ浮世絵が送られてくるはわ,信長の悪口は裏アカで投稿するわ(もちろんお約束の誤爆あり),不味い投稿のLINEならぬFUMIのスクショをさらされてしまうわ,信長に直接フルボッコされてスマホの画面が割れるわでもう大変.

1話あたりたった5分! 逆にそれ以上はキツイか.

小ネタの中でもスマホのホーム画面に並んでいるアプリの名称が秀逸.
「石垣積む積む」やってみたいぞ!

これはぜひとも幕末編の制作もお頼み申す.
龍馬暗殺のLIVE中継とか...悪趣味?

...と,笑って観てはいたが,よく考えれば,現代人って毎日毎日,膨大な時間を浪費してこんなやり取りを日がな一日中してる事実に気付き,恐ろしくなった.

そこで,デジタル断ちとまではいかないが,自分のスマホの通知表示やら着信音を全てオフにした.
呼び出されるのではなく,自分から確認行動を起こす,これだけでもスマホによる支配からは少々抜け出せるかも(気のせいです).

そやけど,今さらブログや,SNSでの交流を切るのは難しいやろな.

長生きを妨げる最大の要因は”孤独”という研究結果も出ている.
これってKazchariのような「ぼっち好き」でも当てはまるのだろうか?
「ぼっち好き」という性格傾向でありつつも「家族がいる」「会話が必要な仕事をしている」のでバランスがとれているのが現状なのか.

後者が消えた時,どうなるのだろう?
SNSに没入してしまうのだろうか?

とあるキャラクターの死

2020/9/28 Mon

宇宙歴800年6月1日2時55分.

銀河英雄伝説 本伝・第3期

【※ 以下『銀河英雄伝説』(旧)のネタバレ】

『Tour de France 2020』のせいでしばらく中断していたが,『銀河英雄伝説』(旧)の視聴を再開した.
ようやく本伝・第3期(第55~86話)もクライマックス.
久し振りにアニメ観ていて涙腺がゆるみましたよ.

古参の「銀英伝ファン」には常識だったのかもしれないが,Kazchariは全く素の状態で鑑賞していたため,主人公の死にはホンマにびっくりした.

そこまでの流れはざっとこんな感じ.

イゼルアローン要塞に立てこもる「共和国軍(あえて呼称)」ラインハルトの帝国本軍が迫る.
例によって数的不利を戦略・策略によって補うヤン・ウェンリー!...とまぁ,このあたりはいつもの展開(古いアニメゆえ,戦闘シーンは相変わらず地味)
劣勢気味でイライラおよび働き過ぎのカイザー・ラインハルトが病気になって一時停戦.
少し落ち着いた後,共和国軍のリーダーたるヤンに直接会談が申し込まれた.
「罠かもしれない」「いやカイザーはそんなことしない」との議論がなされたが,例によって楽天的なノリで,ヤンはその会合に応じることとなった.
少数の護衛とともにイゼルアローンを離れるヤン...

確かに死亡フラグは立ちまくっている.
何より第3期エンディングの映像(過去の写真を見るユリアン)もそうだし,第82話「魔術師,還らず」という題名や予告はそのまんま.
でもなぁ,さすがに主人公をなぁ...まるで小説版ガンダム

ヤン・ウェンリーは神レベルというか,クウガの五代雄介と並ぶ最強クラスの”いい人”
とは言え,Kazchariが泣いたのはヤンの最期ではなく,その後のユリアンがヤン夫人のフレデリカに,夫の死を伝えるシーンである.

そのフレデリカのセリフで泣けました.

第一の波.

「あの人はこんな死に方をする人じゃないの.年老いて昔の武勲を知る人も少なくなって,毎日日向に置いた揺り椅子に揺られて静かに本を読んでいる.そんな日常の中であるひ孫が呼びに来ても返事がない.陽だまりの中で静かに眠るようにいつの間にか...それがそんな死に方こそがあの人にはふさわしいと信じていたのに...」

第二の波.

「立派ですって?私は立派なんかじゃないわ!本当言うとね,私は民主主義なんて滅びてもいいの! 全宇宙が原子に還元したってかまわない! あの人が私の傍らで半分眠りながら本を読んでいてくれたら...」

政治的指導者に就く公の自分の決意と私的感情の爆発(ハマーン様...ではなく榊原さんさすがである).
戦争という大局の中の死であるが,あくまで個人においては,たった一人のかけがえのない人がいなくなってしまった圧倒的な喪失感.
Kazchariにもそう遠くない将来に訪れる,もしくは誰かに与えてしまう感情やねんなぁ...この”死”というやつは.

ユリアンがストーリーの主軸だった現地球の描写が不味すぎたおかげで,ヤン殺害の主犯である地球教のファンタジックすぎる存在は,いまだに納得いかない.
ただし,第4期や外伝は未鑑賞.
もう少し掘り下げられるのだろうか.
今後の展開も楽しみ...やけど,この流れやとラインハルトもたぶん...やろなぁ.

さすがに視聴後2.3日経つと,所詮創作された人物の死という冷めた自分も顔を出してきたが,この回を鑑賞した日は一日中,引きずっていたなぁ.

そしてこの週末はリアルな世界でも有名女優の死があり,『半沢直樹』の最終回では「生きてればいいじゃない」というセリフがあり,死に関する話題が様々なタイミングで重なった日だった.

『Tour de France 2020』の視聴環境

2020/9/2 Wed

何がしたいのやら.

OLYMPUS Tg-5

ようやく始まった『Tour de France 2020』
KazchariはJSPORTSオンデマンドを,開催中の8~9月の2か月間だけ契約するつもりで視聴中.
2015年大会から続けている習慣なので6回目か...今年は2ヵ月に渡るのでやや損した気分ではある.

基本的にiPadのJSPORTSアプリで視聴.
洗濯物を干しながら,台所仕事しながら,トイレにこもりながら,風呂に入りながらと,いつでもどこでも観ている.全くタブレットにはまいったぜぃ!

だいたいロードレースは長すぎる(サガンに同意).
スタートからゴールまでの英語コメンタリーをフルに観ると約5~6時間
途中から始まるJSPORTSの日本語解説付きでも3~4時間は付き合うことになる.

常に観てないと観終わらない.
とは言え,日をまたぐ前には一旦終了.
翌朝午前中になんとかゴールまで観る!が習慣化している.

ここでついつい結果を知る前にネットを覗いてしまうと,うっかり「第〇ステージは〇〇の勝利」なんてネタバレに遭遇してしまう.
幸いマイナースポーツゆえ,Yahooのトップ記事になることはめったにないが.

先ほど“ながら視聴”が多いと書いたが,その最たるものが,“Zwiftしながら”である.
選択コースはもちろんフランス,もしくはパリやね.
シャンゼリゼは石畳の振動がキツイけど.

ただし,”ながらZwift”の場合,一台しかないタブレットを使えないので,各デバイスの割り当てに悩む.
現時点での振り分けは以下の通り.

iPad ⇒ Zwift(アプリ)
iPhone ⇒ Zwift Companion(アプリ)
PC(Panasonic Let’s Note J10)⇒ JSPORTS オンデマンドサイト

残念ながら,ノートPCのモニタは画面が小さすぎる.
臨場感を得るため,HDMIケーブルでBENQの24インチモニタにつないでいる.
理由はよくわからないが,このモニター,スピーカー付きにも関わらず,PCからのHDMI接続では音が出ない.
よって,PCのジャックから長いケーブルを使ってイヤホンを接続して聴いている.ようするにケーブルが増えて邪魔.

また,先日までこのノートPCをチャリの近くに設置できなかったため,色々不都合(Zwift中にPCがいじれない)があったのだが,今回のAmazonタイムセールにて,こんなのを買った.

Actnow 三脚スタンド 対応 テーブル 台座 プロジェクター や ノートパソコン を固定 台 省スペース

カメラ用三脚に装着するテーブルですな.
こいつのおかげで手が届く位置にPCを設置できるようになった.
しっかりとした作りで,大きめのPCは元より,プロジェクタの重量にも十分耐えられそう.
もちろんトレーナー使用時の専用台も販売されているが,何しろ高い.

NinoLite B120 自転車 室内サイクリング専用デスク 高さ調整可能 タブレット ipad スマホ ノートパソコン 補給ドリンクボトル対応 滑り止め付トレーナーテーブル

そもそも置く場所がない.
結果,現状こんな感じで「Zwiftしながらツール」を楽しんでます.

OLYMPUS TG-5

おお,画面だらけで,株トレーダーロボのコクピットのようだ!
「ここまでPCが近いと,モニターの意味ないじゃん」というつっこみは無しで.

この台は,別の部屋に設置している3本ローラー練でも重宝.
部屋のレイアウト的に右前方にテレビがあるので,視線をそちらに向けたままこぐことが多い.
体幹バランスを鍛えることが主目的の3本ローラー練では,右方向を注視することになるポジションはあまりよろしくはないはず.

しかし,なんということでしょう!
この台を使えば正面にモニターを置くことができるのです.

OLYMPUS TG-5

台の設置に,当初はVelbonの重量級三脚を使っていたが,もう少し軽く小さくても使えそうなので,こっちを試してみた.

SLIK 一脚兼簡易三脚 スタンドポッド STAPOD

先日のAmazonタイムセール祭りでは,他にも”あるモノ”を買ってしまった.
届き次第,この台ともども“アレ”を試そう...ふふふ.

『Tour de France 2020 Stage1』感想

2020/8/30 Sun

観ていてヒリヒリする.

ついに8/29から開催の『Tour de France 2020』
KazchariもJSPORTSを契約したので,3週間じっくり楽しむつもり.
毎年の風物詩ですな.今年は2ヵ月遅れやけど.

昨夜はその第一ステージ.
20:35開始とのことで,ネットに接続するがいきなりサーバーダウン! 大丈夫かJスポ!

で,10分後ぐらいに接続OKとなり無事観戦.
これがまぁ,悪天候に見舞われ大落車祭り.
総合系,スプリント系問わず有力選手が次々と...
まさにサバイバル.まるでアドベンチャーレース.

いつも読ませていただいてる「Bike News Mag」では以下の記事をアップしている.

2020ツール初日の負傷者リスト

その最大原因は
せっかくのリゾート地なのにスタート時は曇天.
やがて結構な降りとなり路面ツルツル化

白線が滑りやすくなるのはもちろんのこと,海岸沿いというのも影響しているのでは?
沖縄の道路も滑りやすいことで有名.
暑さでアスファルトが劣化していたり,塩分の結晶が付着している,それに摩耗しやすい珊瑚(石灰岩)を使っているからだそうな.
ニースも最初の2条件はあてはまる?

それに比べると,北海道の舗装路なんてガラス片が混じってるしな.
おかげで絶対すべらない!...じゃなくてパンクするし,こけたら危ないわ!

コースレイアウトもひどい.
街中クリテリウムにしても狭いわ,急カーブだわ...

とまぁ,環境面の問題が大きいものの,ある意味それは平等(運まかせ).

むしろ選手個人のメンタリティの問題が大きい.
新コロのせいで春のクラシックレースが軒並み延期もしくは中止.
グランツールにしてもジロとツールの順番が入れ替わってしまった.
結果,レース勘が戻ってないそうな.

この感覚はド素人のKazchariでもわかる.
3月のロードはじめの時はなんか変やしな.ローラーとは違う.

それに実績が欲しいため無理をする.
プロは集団で走ったり,かけひきが必要.
プロトン(集団)からは,レース中ずーっと焦りを含んだ神経質さを感じる.
前哨戦の『クリテリウム・ドーフィネ』も落車だらけやったし.
焦ったアスタナのミケル・アンヘルロペスの自爆にはびっくりした(なぜか,彼はいつもフルネームで呼ばれる).

今,この記事をYoutubeのサッシャ,栗村コンビの第一ステージ解説を観ながら書いている.

https://www.youtube.com/watch?v=QqU6E6t5yh8&t=8994s

初心者の女子アナにロードレースの解説をしながらの放送.非常にわかりやすい.
第一ステージは様々な媒体で無料放送されていたようだが,中身が中身だけに”ひく”人もいたかもしれんなぁ.
これでレースファン増えるのだろうか?

今晩は第二ステージにして,いきなり総合がからむ山岳の山場.
とりあえず天気回復してほしい.

『世界一過酷なレース:エコチャレンジ フィジー大会』を観た

2020/8/27 Thu

ヒドすぎて笑うしかない.

世界一過酷なレース:エコチャレンジ フィジー大会

番組内容を紹介.

World’s Toughest Race: Eco-Challenge Fiji.本作は人気リアリティ番組「サバイバー」の制作者が放つ、世界規模の壮大なアドベンチャーレース。世界中から集まった66チームがフィジーで熱い戦いを繰り広げる。司会のベア・グリルスが11日間、選手たちを心身共に限界まで追い込んでいくレースを紹介する。ベテランチームにとっての目標は優勝だが、大半のチームにとっては完走することにある。 “世界一過酷なレース”を戦い抜く力があることを自分自身と世界に証明するためだ。

獲得標高が異常なブルベ豪雨・雪中ライドなど,過酷な環境に身を置き,そして無事に戻ってきた時,SNSなどでつぶやく言葉がある.

「ヒドい」「死ぬかと思った」「二度とやらん」

実はこれらはホメ言葉である.
主催者がいればそのルーティングを称え,プライベートであれば「楽しかった」と同義となる.

しかしだな,それにも限度がある.
それが今回,Amazon Prime Videoで観た『エコチャレンジ フィジー大会』
平和な大会名だが,その中身はとんでもない.
”最恐のアドベンチャーレース”とは正にこのこと.
大会そのものは2019年開催.新コロ騒ぎの前である.

そもそもアドベンチャーレースとは,スタートからゴールまで3日以上かかる超長距離レースのこと.山,ジャングル,沼,川,湖,海はては洞窟や海底など,世界各地(秘境)の自然を舞台に無茶なコース設定を無茶な方法で行う,超サバイバルなオリエンテーリング
主な移動手段はトレッキング,マウンテンバイク,パドリング(カヌー/SUP),ロープワーク(滝登り,降下)など.
いつ事故っても,いや,いつ死んでもおかしくないような展開が延々と続く.
心身ともに極限まで追い込まないと,勝負うんぬん以前に完走すら危うい

その中でも「エコチャレンジ」は特にスーパーハード.
観てる分には文句なしに面白い.

視聴中,「マジか」と何回つぶやいたことか.
45分×10回の放送なので,ボリュームもたっぷり.
全員とはいかないが,各チームメンバーの掘り下げもしっかりできている.
60歳越えの参加者もいるし,それに失聴者やアルツハイマー者もいる.
ヒューマンドラマとしてもよくできている.

スタートは,まず川から外洋までカヌーを漕ぎ,別の島へ移動.そこからトレッキングというコース.
この初日のコースすら事前告知されず,選手にとっては全く未知.
その後も,先ほど挙げたありとあらゆる移動手段で,ひたすらゴールを目指す.
もちろん途中にはメダル収集イベントチェックポイントキャンプ(強制休憩)があり,タイムアウトも設定されている.

一番エグかったのは300mの滝クライミング直後の川の遡行.
深いので泳ぐ必要があるのだが,その水温はなんと11℃!
もちろんドライスーツのような便利グッズはない.
低体温症にかかる者もいる.
実際,ここでかなりのチームがリタイヤした.

リタイヤと言えば,1チーム4人構成だが,うち最低1人は女性,かつ“全員で”ゴールする必要がある.
つまり,そこでドラマが生まれる.
誰か一人がリタイヤしそう...さぁ,他のメンバーはどうする?といった具合.

エグイのはコースだけではない.
制限時間内にゴールおよびチェックポイントにたどり着くには,睡眠時間を極限まで削る必要がある.
つまり体力・気力回復の最大の手段を使えない.遅れているチームほど厳しい.
いやぁ,400や600のブルベで寝るか寝ないか悩むのがバカバカしくなる.

日本のアドベンチャーレース界の第一人者,田中正人さんも出場している.
今回はAmazonとMGMが番組制作に入るので,配信開始前にブログなどで,レース内容を報告する行為は一切禁止だったそうな.

チームイーストウインド プロダクション

ネタばれになるが,このレースで日本チームはリタイヤとなった.
メンバーのうち2名が「塹壕足」になってしまったようだ.
まぁそうなるやろなぁ...

さて,これだけ極限まで自分を追い込んで苦労しまくった挙句の賞金は...言っちゃなんだがたった10万ドル.スタッフや機材費などを考慮するとせいぜい選手一人200万円くらいでは?

もちろん,賞金目当てに参加する人はまずいない気がする.
途中途中で参加者のインタビューがはさまれるが,異口同音に「生の充実」「生の実感」を参加理由として挙げる.
つまり真波くんだらけ.

「GRIT」という言葉がある.
自己啓発本などでよく使われるが「やり抜く力」という意味である.
アウシュビッツの生き残りから,軍隊の特殊部隊員まで,どの様な困難,肉体的精神的苦痛の限界に達しても,くじけない強固な思考・意志のことである.
これがないと,過酷なアドベンチャーレースでは,まず完走できない.

https://www.youtube.com/watch?v=Fj27OenpAas

では,そのやり抜く力,GRITを身に付けるにはどうすれば良いのか?
ある困難なことを一定期間(最低2年)し続けることらしい.
うーん,そう解釈してしまうと生まれつきの才能のような気もしてくる.

アドベンチャーレースはともかく,来年の『納沙布岬1200』では,GRITが発動しますように.