2022/2/2 Wed
芸人さんの話ではありません.
昨年末,HDレコーダーの番組表をチェックしていて目を疑った.
なんと『ザブングル・グラフィティ』が地上波で放送されるとのこと.
これは要録画案件.
1983年7月9日に劇場公開された作品である.
内容としては,TVシリーズの(一応)総集編.
併映は『ドキュメント太陽の牙ダグラム』と『チョロQダグラム』.
ちなみに劇場には行かなかったなぁ.なんでやろ?
当時は毎年&毎日,TVでロボットアニメを放送していた夢のような時代.
その中でも,やはり頭1つ飛び抜けていたのが日本サンライズの作品群.
まずは富野カントクの『ザンボット3』『ダイターン3』『ガンダム』『イデオン』.夢中になった.
そして『ガンダム』『イデオン』の劇場版に続く(いや並行か?)富野作品が『戦闘メカ ザブングル』である.
本来は富野カントクではなく,別の人が担当する宇宙モノとして企画が進行.
色々ゴタゴタがあって,富野カントクが引き継ぎ,その際に設定を大幅に変更.
宇宙モノが,なぜか“西部開拓時代風SF活劇”になった.
それゆえ主役メカである「ザブングル」のデザインが,その世界観に絶望的にそぐわない.
ジェットエンジン+翼で空を飛んで変形合体なんて,いくらなんでもオーバーテクノロジー.
周りのメカがハンドメイドの土木系重機なので,浮きまくっている.
よくそのまま採用したなぁ.
HI-METAL R 戦闘メカ ザブングル ザブングル 約170mm ABS&PVCダイキャスト製 塗装済み可動フィギュア
その反動なのかどうかは知らんが,ロボアニメ初の主役メカが同型複数登場+途中交代は実に斬新.
特に後半の主役メカ「ウォーカー・ギャリア」のデザイン,設定はギリギリ世界観にマッチしている.
HI-METAL R 戦闘メカ ザブングル ウォーカーギャリア 約180mm ABS&PVCダイキャスト製 塗装済み可動フィギュア
そして,ザブングルのリアルver.とも言える「ブラッカリィ」にスタッフの意地を感じる.
HI-METAL R 戦闘メカ ザブングル ブラッカリィ 約185mm ダイキャスト&ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア
ストーリーは西部劇+『ナウシカ』もしくは『猿の惑星』.
冒頭のナレーション「惑星ゾラと言われる地球」が正確には「惑星ゾラと言われるようになった地球」だったとは気づかなかったなぁ(棒).
ザブングルの売りは,なんと言ってもその動き.
特に第一話にはたまげた.
明らかに『未来少年コナン』を意識している.
ただなぁ...そのクオリティは限られた数話のみ.
キャラデザイン+総作画監督の湖川友謙さん率いるビーボォーの担当回のみがズバ抜けていた.
まぁ,この時期のアニメは誰が作監かによって絵柄がバラバラなのがお約束(ああキリコ).
それに比べれば,昨今のアニメのキャラ崩壊なんてかわいいもんだ.
また,その後の富野アニメの悪癖である,最初は明るくても徐々に暗くなる展開も健在.
ソルトのエピソードとか,エルチの失明とか...元々そんなシリアスな話だっけ?
ただ全体的にはポジティブで元気なストーリー.
後の『キングゲイナー』と並び白トミノの代表作である.
さらにお気に入りのポイントと言えば,その主題歌である.
和田アキ子と声質がそっくりな串田アキラですよ! ギャバンですよ!
オープニングも素晴らしいが,Kazchari的にはエンディングの『乾いた大地』を神曲認定.
以前,ザブングルとかアニメとか全く興味にない友達が,Kazchariの部屋で,偶然この曲を聴いていたく感動していた.そう純粋に楽曲として素晴らしい.
もちろん,MIOの挿入歌も忘れてはならない.
イチオシは『忘れ草』.
TVでたまにやってる「アニソンベスト○○」とかに全くノミネートされないのは理解に苦しむ(ヲタクの戯言).
さて,その録画した『ザブングル・グラフィティ』を,先日,小学3年生の息子と観た.
イマドキの美麗アニメを観まくっているヤツの目に,40年前のロボアニメがどう映るのか楽しみ.
さすがに全50話のアニメを上映時間90分に収めるのは不可能なので,ホンマにエッセンスだけ,つまり“本編視聴済み前提”で作られている.
導入部分は割と尺を取っているが,以降は場面がバシバシ飛ぶ.
Kazchari自身も放送終了後,全話見返したことはないので,ほぼ40年ぶりの再視聴となる.
そう,当時,我が家にはまだビデオデッキがなかったのだ.
つまり本番のみの一発視聴が当たり前の時代.
しかしながら,今でもストーリーの割と細かいところまで覚えている.
この映画でピックアップされたシーンにも,たいてい見覚えがある.
中学生の“記憶力(ちから)”の成さしめる業だろうけど,他の理由として,当時購入したムック本や,プラモ製作のためにメカ設定画をアホほど眺めていたことが大きいと思われる.
つーことで本編の感想.
文字通りグラフィティ=落書きだった.
時系列ではあるものの,前後の話に関係なく名シーンが映し出されたり,突然,絵が止まり「これが動撮だ! 間に合わないとこうなっちゃう」とテロップが入る(息子混乱),
また,いわくつきの「トロン・ミラン」回の前には「関西のみなさん,おまたせ」のテロップが入ったりと,メタ的視点も取り入れられている.
※ この第27話は,甲子園の試合が延長になり,関西地方では放送休止になった.
一番驚いたのはラスト.
死んだはずのアーサー様が実は生きており,失明したエルチを「イノセントの技術で治してあげよう」と申し出るハッピーエンディングに変更されてる.
あれ? これって後年,悪夢の『新訳版Z』でも似たような...ゲホゲホ.
つーことで,少なくとも本編を一通り観ているKazchariおじさん的には満足.
懐かしいだけでなく,よくできた構成だと思う.
このラストの改変も“本来の”ザブングルらしくて良い.
で,息子はというと「ロボットの走り方が良かった」らしい.
おお,本質をついとるではないか.
そしていつものお約束会話.
息子「とーちゃん,このロボットのおもちゃ持ってんの?」
Kazchari「あたりまえやろ.超合金のザブングルもギャリアもあるわ!」
息子「ちょーだい! ちょーだい!」
Kazchari「アホか! 自分で稼いで買え!」
平和だ.
さて,そんなザブングルだが,他にも気づいたことがある.
先程,再視聴はしていないと言ったが,正確には,かなり前にレンタルDVDでTVシリーズの1枚目を借りた.
『ザブングル』は版権の都合なのかどうかはわからんが,財団B(EMOTION)ではなく,「タキ・コーポレーション」という会社からLD,DVD化されていた.
同じく版権を持っていた『イデオン』はマシだが,『ザブングル』DVDの画質のひどさは非常に有名.
妙に色合いが濃く,赤っぽいのだ.
悪名高い『千と千尋』のDVDよりひどい.
これは見れたものではないと,2枚目以降のレンタル視聴を断念した.
それが,今回の『ザブングル・グラフィティ』では見事に改善.
自然な色合いになっている.
発売が予定されているTV版のBlu-ray BOXは期待できるかも...
「戦闘メカ ザブングル」Blu-ray BOX PART-1
と言っても,いまや時代はサブスク.
「BANDAI CHANNEL」で全話配信中らしい.
これ以上加入先を増やしたくないので,「Amazon Prime Video」でも解禁してくれへんかな.
ガンダム系ばかりは飽きた.
さて,当時のサンライズアニメと言えば,高橋カントクの『ダグラム』『ボトムズ』『レイズナー』『ガリアン』『ガサラキ』路線も忘れてはならない.
『ボトムズ』人気は相変わらずだが,昨今,『ダグラム』も『ガンダム サンダーボルト』で有名な太田垣康男氏の新作マンガが発売されるなど,盛り上がりを見せている.
えー,でも『MOONLIGHT MILE』と『サンダーボルト』をちゃんと終わらせてからの方が...ゴホンゴホンオニャンコポン.