Amazon Primeで『SAW X』~ヒトはなぜホラーを観るのか

2025/3/3 Mon

ソウいうとこだぞ

「エイリアン」同様の長期コンテンツである「SAW」シリーズの最新作,『SAW X』(2023)がAmazon Primeで配信されていたので観てみた.

SAW X

以下,ネタばれ.

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これまでのシリーズを全話視聴済みでの感想.

一言,凡作.

今回は「X」つまり第10作目なのだが,時系列的には「無印」や「Ⅱ」の間らしい.最近多いパターンだ(ボトムズ式)

『プロメテウス』を観た~一度目の再起動

ゆえにジクソウこと生前のジョン・クレーマーやら,最初の弟子のアマンダが登場する.
ただし,実写作品ゆえに二人とも老け具合が激しく,少々脳内補完が必要.

つーか,外見だけでなく性格も変わってない?
二人ともあんなに己の信念や行動に悩むキャラだっけ?(あいまい)
「感情的=演技」だったらわかるけど,地の場面でのやり取りから判断すると,そうではないような.

シリーズ名物のラストに謎解きというか,過去のちょっとしたセリフやシーンがフラッシュバックして,どんでん返しにつながるという演出は相変わらずなのだが,今回は(も?)あまりにも偶然の要素が多くて納得いかない.

特にクライマックスへの流れに顕著.

銃を取り戻したパーカーが,なぜ二人を脅してわざわざゲームに参加させるのかわからん.

ジョンはともかく,アマンダを生かしている理由も謎.
こういう場合,先に小物を片付けておく=ジョンに恐怖・苦痛を与えることになるのでは?

で,謎のメキシコ人少年.
なんで早朝から壁サッカー? ずっとあの場所に住んでいる?
セシリアが普通に英語で話しかけてたけど,あの子供って英語話せない設定じゃなかったっけ?

そして,ジョンと少年が受けるゲームは何の説明もなしに突然始まるし,他のゲームに比べると生存率高めで苦痛率低め.
そもそも大量過ぎる血は何の血?(家畜?)

何より問題なのは,ジョンが死んだわけではないのに,なぜか途中でゲームを放置して事務所に上がっていくセシリアとパーカー.
金が気になるとかなんとか言ってたけど不自然.
現金はセシリアの自宅から運んだかもしれんけど,ほとんどはどこかの口座にあるのでは?

ラストのセシリア放置も意味不明.
あの毒ガスは皮膚からは吸収されない?

まぁ,その前にパーカーもグルだと知っていたなら,あんなに回りくどく誘い出さずに,他のメンツ同様,拉致してゲームに参加させるのが自然と思われる.

要するに「そうせざるを得ない状況に誘導するシナリオになっていない」のだ.

実は少年は既に洗脳済みで,アマンダ同様の後継者ポジション.
当然カギ無しで手錠が開くことを知っているので,セシリアとパーカーが安心したところで一発逆転!みたいになるかと思ってた.

以上,あまりに“穴”が多く,練り上げられた脚本とは言い難い.
思えば第一作「無印」こと『SAW』は大傑作だったなぁ.

SAW

トリック,人間描写,演出,映像表現とも文句なし.

この映画の公開以降,いわゆるワンシチュエーション・サスペンスの後追い映画が大量生産された.

本家の「SAW」も続編が次々に作られ,Kazchariも追いかけたが,どこかの評論家は,

「最初は特上のうな重,次に並,量が少なくなって,うなぎが除去されてご飯にタレのみ,さらにはご飯もなくなって,容器に残ったタレの匂いを嗅ぐだけ」

と,続編の劣化を形容していた.正に言い得て妙.
その基準で言うなら今回の「X」は,もはや脳内にしか存在しない「妄想うな重」を食べている感(ちなみにメインヴィジュアルの目パイプも◯◯).

...とかなんとか言いつつも,結局,最後まで視聴した時点で負け.
なんだかんだで,ゲームのシーンはミラーニューロンのおかげで十分“痛さ”を感じられたし.

えっ?

そう言えば,なぜKazchariを含め,一部の人たちは”負の体験”となるホラー映画をわざわざ観るのか?

早速,Gemini先生に聞いてみた.

1.スリルと興奮
2.恐怖の克服
3.ストレス解消
4.社会的な共有
5.好奇心と探求心

とまぁ,わかるようなわからんような理由が並ぶ.
「SAW」の場合は単なるスプラッタではなく,ジグソウ独自の哲学やら,伏線ありのミステリー要素強めやし,「好奇心と探究心」要素は確かに強め.

一番納得いく理由が最後のこれかな.

6.生理的な反応

ホラー映画を見ると心拍数や血圧が上昇し,呼吸が速くなるなど,生理的な反応が起こります.これらの反応は快感や興奮と結びつきやすく,中毒性があるとも言われています.恐怖と快感が入り混じった独特の感覚を求めて,ホラー映画を見る人もいます

そっかぁ,中毒だったのかぁ.
ランナーズ・ハイと同じかぁ.

「でも,映画って非日常体験だから,何観ても同じじゃないの?」というわけでもない.

『SAW X』の前に観たのが『すずめの戸締り』
実は開始20分程でギブアップ.

すずめの戸締まり

理由?
主人公の言動が気持ち悪い(ムカつく)ことと,何と言ってもチャリの右側通行!あれは許せん!(創作だって)

Kazchariは恐怖や痛さではなく,不快感ではトリップできないようだ.

以前にも増してタイパ,コスパが重視される昨今.
Kazchariも,無意識的にそれらを鑑賞作品の選定基準にしている節がある.
コンテンツがあふれかえる今,つまらんと判断したモノはバシバシ切っていかないと,本当の良作には巡り合えないかもしれん.
その直感は研ぎ澄まされているか?

そういや4月から”みんな大好き”「Amazon Prime」が(実質)値上げとか.

アマプラ「広告なしは実質8割の値上げ」?従来が凄まじい低価格&内容リッチ

追加料金払わないと,コンテンツに広告が付くらしい.
TV放送ではないのだ.映画の途中でCM入ったら興ざめ.

にしても,いやらしい手口だ.
ほぼサブスク映画のシェアを独占した後にこの仕打ち.
でも...結局,追加料金,払ってしまうやろなぁ...おのれ,Amazon!

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