冷めないイデオン熱~TVシリーズの再視聴開始

2025/1/10 Fri

復活の♪イィデオ~ン

iPhone15 Pro 超合金魂

年始にYouTubeにて限定公開された『伝説巨神イデオン 劇場版』

『伝説巨神イデオン 劇場版』の配信

その興奮冷めやまぬ中,TVシリーズを再視聴することにした.
DVDも所有しているが,そこはサブスク時代.
「Amazon Prime Video」のリストにはないものの,以前こっそり加入していた「dアニメストア」にはしっかりラインアップされていた.

dアニメストアに加入~タイパ的にどうなのか

とりあえずZwiftの友として第1~3話までを視聴.
何度も見返した劇場版の「接触扁」に対し,おそらく2,3回しか観ていないのがTV版.
さて,今の視点で感想&考察すると...

時に1980年.
当時Kazchariは中学生.

友人に「面白いロボアニメがある」と教えてもらい,視聴を開始したのは確か第14話あたりだったと思う.
以前にも書いたが,関西での放送は水曜日の19時半から.
塾が終わる時間は非情にも19時半.
そこから数キロの道をチャリで飛ばしに飛ばして帰宅.
毎回,オープニングを見ることはできなかった.

ゆえに,最初の1クール分を鑑賞したのはレンタルビデオが普及してからだったと思う(もしかすると劇場版が先だったかも).
未視聴の話に関しては雑誌記事(アニメック!)で補完していた.

で,そんな本編だが,うむ.かなり面白い.
ただし,全話および劇場版までクリアした後だと,この冒頭パートには,まだまだ手探り感がある.

特にBGMに違和感.
故・すぎやまこういち氏による傑作ぞろいなのに使いどころが変.
場面に微妙に合っていない.

それに,なぜかサントラ集に未収録のものも散見される.
イデオン用ではなかった?

タイトル表示や予告で流れるBGMも後半とは異なる.
もちろん,後半の方がぴったり.

そして,言うまでもなく気になるのが作画.

特撮でもアニメでも最初の3話分くらいは,予算と時間をかけて丁寧なモノを作る.継続視聴者を確保するためだ.

その基準で言うと,気合いを入れるべきにも関わらず,デッサンの酷さや色パカの多さからも,時間的にかなり押してた感が伝わってくる.
今の基準だと作画崩壊と言われても仕方がない.
前作のファースト・ガンダムより退化しているくらい.

そんな中,湖川さんの描くキャラだけは飛びぬけている.
特にカララ!
キャラが美形でイデオンがかっこいい時,それは湖川作画と思って間違いない.

とまぁ,画はともかく,イデオンと言えば”濃密な”人間関係描写が売り.
濃密すぎて嫌味か罵り合ってばかり.
戦闘中,ずーっと赤ん坊に怒鳴り続ける主人公って,古今東西コスモだけでは?

そして,ベスは笑いすぎ.
イデオン=遺跡に,そこまでツボる要素はあるんか?
で,それをひっぱたくシェリルさん.
あれ? これってセイラさんの再来?

ただし「接触篇」と異なりベスの肉弾大活躍が見れます.
それにカララとのファーストコンタクトも,まさかの逆ナン?

そのカララさんだが...マジで諸悪の根源.
お嬢とは言え,あまりに軽率な言動.好奇心は身を滅ぼすを地で行くキャラ.
後にハルルねーさんが激怒するのも無理はない.

誰かが言ってたけど,やっちゃいけない行動を誰かがするから物語は成立する.
その通りやな.

そうそう,こうして見ると,ファーストとイデオンの冒頭ってプロットがよく似ている.
ジーンが暴走して,少年がよくわからないまま巨大メカに乗り込んで勝ってしまうとか,敵兵がゲリラ的に何度も潜入してくるとか.

皆殺しのトミノにふさわしく,地球側もバッフクラン側も,開始初っ端から人が死にまくる.
なぜか地球側のカービアンクロッサス(戦闘機)のパイロットの死に顔がやたら丁寧.なぜ?

キャラと言えば,地球人側は,日本人風に「名字→名前」順.
一方バッフ・クランは「名前→名字」と西欧風.

こうした用語が逆転は他にも見られ,例えば「ワープ」が,

地球人 ⇒ デス・ドライブ
バッフ・クラン ⇒ 亜空間飛行

となったりとか.芸が細かい.

さて,お次はいよいよメカの話.

まずはイデオンだ.

肩のでっぱりが特徴的だが,箱型で,まるで戦隊ロボだし,分離後の形態も戦車やバス.
そもそもなぜ分離するのかわからない.
ソル・◯◯からイデオ・◯◯に変形すると武装や機動力が上がるが,3話までだとデルタ以外はバス形態のまま.

有名な話であるが,イデオンが「異星人の遺跡」とされたのは,デザイン完成後の後付け設定.バッフ・クランが伝説の巨神と信じなかったのは無理もない.

そのせいか,「サブシステムで操縦」「動力源はよくわからない」「なんでこんなにスキマだらけなんだ」とかのメタ発言が飛び交う.

多人数での操縦は斬新...と言いたいところだが,『ゲッター』などの先例もないことはない.
イデオンが特徴的なのは,各メカの乗員の役割が分かれているところ.
序盤はまだ適当だが,話が進むにつれて.

Aメカ ⇒ 動き
Bメカ ⇒ エンジン
Cメカ ⇒ 武器管制

となっていく.
こう考えると,イデオンは大きさといい,多数乗員といい,ロボというより戦艦ですな.

グレンキャノン(主砲)と対空機銃で全身を固めているというか...後で波動砲はつくし.
変形後はミサイルポッドの場所が変わってしまい,撃てなくなるなどの細かい演出がベネ.

「接触篇」だとイデオン復活後,すぐにソロシップも浮上してランナウェイしてしまうが,そこはさすがにTV版.
破壊された街やら宇宙船から物資を運び,ソロシップに積み込むという描写がある.
このあたりのリアリティは流石である.

恐ろしいことに,第3話の時点で,敵の重機動メカが全く登場しない.
そもそもOPにも出てこない.ロボアニメなのに.

どことなく『さらヤマ』の白色彗星軍のメカに似ている形の戦闘機とヘリコプターもどき,それに二足歩行メカによる白兵戦.
この後しばらくして,ようやく登場するのがメカ火星人にしか見えないギラン・ドゥ...Kazchariがスポンサー(トミー)の社長なら卒倒するな.

つーことで,今後の展開も楽しみなイデオンなのだが,実はもう一本,昨年末から,唯一完走していなかった宇宙世紀ガンダムを視聴し始めた.

それは...『機動戦士ガンダムZZ』

機動戦士ガンダムΖΖ

本放送時は10話ほどで挫折.その後レンタルでも挫折.
今回アマプラで再挑戦し始めたのだが...一行がシャングリラを出る前から挫折気味.
話も絵も演出も主題歌も,あまりにもひどすぎて正直観るのが苦痛.

いや,わかってるんですよ.
前半のコメディ路線が,徐々にいつものハード作劇に変わっていくのは.
そこまでの道のりが苦痛(とばせばいいやん).

実はイデオンも,放送当時は似たようなこと(前半は全然ダメ)を言われていたが,10話あたりから怒涛の展開.
一瞬たりとも見逃せなくなることはよく知っている.

しかし,その評判の悪い冒頭パートも,“アレな”作画を覗けば,ドラマとして十分見ごたえがある,と今回確信.

新年から江戸ざんまい~暴れん坊なべらぼう

2025/1/5 Sun

意図せず連続

かつてないほどダラダラ過ごしたお正月.
仕方なしに映像コンテンツ漬け.
それがようやく明日から仕事始め.例年より少しうれしいのが不思議.

最終日は時代劇2本を鑑賞.
まずは,4日にテレ朝系で放送されて話題になった『シン』もとい『新・暴れん坊将軍』

新・暴れん坊将軍

放送後の評判を聞いて,TVerで配信版を観てみた.
いまや絶滅危惧コンテンツの民放時代劇.
その昔は『水戸黄門』『遠山の金さん』『必殺仕事人』とかはよく観てたなぁ.

これらに共通するのは「勧善懲悪」「お約束」からの安心・安定のワンパターン
だからお年寄りに受ける.最近の“衝撃展開”は少々やり過ぎ感あり.

で,17年振りの新作という『新』だが,予想以上に面白かった.

テーマはお世継ぎ問題.

史実を参考に吉宗の長男の家重(ジャニ?)には障害(脳性麻痺)がある設定.
言語不明瞭で片手麻痺.
一方,次男(本当は三男)の宗武は文武両道な”ゼンカイザー”だ.

吉宗は「長男継承の決まり」通り,家重を時期将軍にするつもりだが,宗武を推挙する家臣も多い.
さらには尾張徳川藩主の傾奇者”GACKT”までもが将軍の座を狙っている.
そこに漬け込み,戦乱の世の再来を目論む商人と老中&旗本の悪役連合...という構図.

城内では話せないうつけ者のフリをしていた家重だが,実は密かに言語訓練を続けており,その甲斐あって流暢に話せるようになっていた.

それだけにとどまらず,西洋式短剣レイピアの使い手にもなっていた! なんつー便利設定.

そして父の吉宗同様,江戸城を抜け出して街を徘徊.
会話を市中で学んだためか,なぜかべらんめぇ口調に.
まさかと思うが,家重で続編,作らへんよなぁ...

もちろん『暴れん坊』なので,クライマックスの”成敗な”殺陣シーンを経て最後はキレイに大団円.

CM前のGACKTの無駄な筋トレシーンがツボ.
まるで某埼玉系映画のノリ.

ネットでも話題になった日本酒タワー~江戸のホスト描写.
関西弁のチャラ男を演じるのは“仮面ライダーセイバー”だ.

GACKTもディケイドの主題歌歌ってたし,特撮ヒーロー祭り.
そういや上さまもオーズと共闘してたしな.

劇場版 仮面ライダーOOO(オーズ) WONDERFUL 将軍と21のコアメダル コレクターズパック【Blu-ray】

お次はNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』

べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~

吉宗の将軍在職期間は1716年から1745年.
次の家重が1745年から60年.

そして『べらぼう』の舞台となる10代将軍家治の治世は1760年から.
期せずして続きの時代を描いたドラマを連続で鑑賞することになった.

主役は”トッキュウ4号”と,またしても特撮ヒーロー.
今でも栄一役だった”メテオ”と区別がついていないのは内緒だ.

それはともかく,こちらも面白かった.

綾瀬はるかのスマホ案内から始まったので,てっきりコメディ&メタ路線なのかと思いきや,吉原舞台の中身はなかなか壮絶.

ネットで話題のAV女優を起用した全裸タヒ体.
理不尽に殴られまくる主人公.
田沼意次と言えばの賄賂.

そう,第1回からエロ・暴力・金という,どこぞのVシネ展開.
日曜8時の放送にしてはNHK攻めてます,つーか,今やNHKしかできない.
当然だが『暴れん坊』よりもセットや衣装が豪華だ.

それにしてもこれから1年間,このテンションで行くのか?
それともBPOや世間に負けてマイルド化してしまうのか.

保守派(戦国幕末)と女性と子どもにはウケなさそう...(誰が観るのだ?)
とりあえず視聴継続.

それにしても,『暴れん坊』も『べらぼう』も,200年の時を越えて世相を反映しているねぇ.
前者はホストの売掛問題,後者は規制のがれの◯春...
いつの世も人の欲は変わらぬ.

楽しいコンテンツが多すぎて,何を観るかの選択に迷う現代社会.
限られた時間をどう配分していくかが,考えどころ.
昔の作品も,変化した今の感性で見直したいしな.

1977年のホラー映画『サスペリア』を観た~大晦日の夜に

2025/1/1 Wed

思い出補正?

さて大晦日の夜のこと.
階下ではヨメさんと子どもたちが「紅白」観ながら熱唱中.

Kazchariは部屋にこもってAmazon Prime Videoで映画を物色.
年末年始にふさわしいハートフルな映画とは真逆のこいつをチョイス.

それは,ホラー映画の金字塔『サスペリア』(1977)だっ!

サスペリア (字幕版)

48年前の映画ゆえ,いまさらネタバレ警報は不要と思われるが一応注意.

この映画には有名な要素が2点.

1つ目は「決してひとりでは見ないでください」という,一世を風靡した名コピー.
そやけど...実は一人で観たほうが良い?
そこまで怖くないっつーか,ツッコミどころ満載なので.
いや,逆に誰かと笑いながら観るのが正しいか(ホラー耐性がある人に限る)

2つ目はBGM.
一度聴いたら忘れられない不気味な音楽.
劇中でも「何かヤバイことが起きそうな時」に流れる.

以下,あらすじというかストーリー.

主人公はスージーという名のアメリカ人.
ドイツのバレエ名門校に入学するために,ニューヨークから飛行機に乗ってやってきた.空港から物語は始まる.

暴風雨の中,タクシーがバレエ学校に到着.
玄関ドアから若い女性が突如現れて「秘密...アイリス」と叫び,そのまま立ち去ってしまう.
その後,スージーがインターフォンで来校を告げるも,なぜか「そんなん知らんし」と拒絶される.
途方に暮れたスージーは街の(?)ホテルへ.

視点が変わって,先ほど学校を出ていった女学生パット
友人のアパートに駆け込み,悪態をつきながらも泊めてもらうことに.
窓の外に何かの気配を感じて覗き込むと...闇に光る目!
突然毛だらけの腕に顔をガラスに押し付けられて,パット変顔大会.
そして,無理やりベランダに引きずり出されたパットは,その謎の訪問者に胸をナイフで刺され,ステンドグラスから吊り下げられて縊タヒ.
彼女の友人もガラスや鉄骨が顔やカラダに突き刺さってタヒぬ.何がどうなった?

ここまでが導入.
例のBGMおよび,学校の壁の色,それに友人のアパートの部屋.変な壁紙と主に赤を基調とした極彩色.耳と目に不穏感MAX!

...とは言ってもそこは50年近く前の映像.演出上の狙いなのか限界なのか,肝心の血の色が鮮やか過ぎて不自然.絵の具感が...

翌日,学校を再訪するスージー.
学内は怪しい人物だらけ.
副校長,主任教師,盲目のピアニスト,下男パブロ,アルバート少年などなど.
パッドの死を受けて警察の聞き込みも始まっていた.
スージーも昨夜の玄関での出来事を警官たちに話す.

あぁ,ここで悪玉(副校長やら主任教師)に目をつけられたわけやね.

同級生らも曲者だらけ.
そしてやたら金に細かい.アメリカ人への皮肉?
最初は学外に住む先輩のアパートに同居する予定が,レッスン中に体調不良後,なぜか寮に強制入居.
怪しい医師の診察後「鼻血出たからワイン飲め」という謎理論で,しばらく流動食とワインの生活となる.

あぁ,ここで悪玉に監視下に置いておこうとされたわけやね.

この学校の寮部屋は変な作りで,隣室ともドア一枚でつながっている(たぶん).
で,スージーは隣のサラ(解説役)と仲良くなる.

ある夜,寮の各部屋に天井から大量のウジ虫が降ってくるというとんでも事件発生.
この映画,最大のキモチワルポイント.
何かの呪いかと思われたが,屋根裏の食料(?)が腐敗してウジが大発生したらしい.
仕方なく,寮生は全員ホールでベッドを置いて一晩過ごすことになる.
ここでスージーはサラから,旅行中と言われている校長の特徴的なイビキがカーテンの向こうから聞こえると言われる.
よくわからん.どういう状況?

あぁ,ここでボスキャラが幽体離脱して,スージーとサラに自分の存在を意識させたわけやね(たぶん違う).

翌朝.アルバート少年が,玄関先に結わえてあったピアニスト(ダニエル)の盲導犬に噛みつかれる事案発生.
主任教師が大激怒し,ダニエルが解雇される.
ダニエルは「こんな呪われたところ出て行ってやる」と捨て台詞を吐きながら退出.
このセリフによって「彼は何かに気づいていたこと」が悪玉にバレ,その夜,呪いによって操られた盲導犬がダニエルの喉を噛み切る事件が起きる.

サラはスージーに,以前パットから変な話を聞かされて,メモを託されたとを告げる.
そしてこの学校には謎の部屋があり,先生方(スタッフ)は夜な夜なそこで集会を開いているのではと推理.

あぁ,学校内でそんな話したら全部筒抜けやん.

だが,肝心のスージーはワインに入っている薬によって意識朦朧中.
サラの話も理解できない.
何者かの気配を感じたサラは部屋を出て屋根裏へ逃げ込むが,例の”光る目”よる待ち伏せを受ける.
命からがら鍵付きの部屋に逃げ込むが,ドアの外からナイフでカチャカチャと鍵を開けようとする追跡者.
適当な物で台を作り,高窓から脱出するサラ.
転落した先には細い針金だらけの謎の部屋.有刺鉄線(鬼畜!)かと思いきや普通の針金.
サラはその針金にからんで動けなくなる(なぜ?).
で,何者かにナイフで刺さてタヒぬ.

翌日,スージーは教師からサラが出ていったと告げられる.
不思議に思ったスージーは,サラの友人だった精神科医を訪ねて,これまでの出来事を相談.
別の教授の話を統合すると,そのバレエ学校はギリシャから来た「マルコス」という謎の人物によって創設された.
神学校も兼ねていた学校は評判となり大成功.
だが,一方でマルコスは魔女ではないかという噂もあった.
ある日火事が発生(放火?)してマルコスが焼タヒ.
学校はマルコスの教え子らが(魔女の力ともども)引き継いだ...らしい.
教授はスージーに「信じますか?」と尋ねるが,彼女は「まさか」と懐疑的.

あぁ,アメリカンやから,こんな話は信じないねんな.だから最後勝てたかも.

学校に戻るスージー.
なぜか自分以外の生徒はバレエ団の公演を見に行き誰もいない.
これはスージーを今夜亡き者にするための悪玉の策略か.
覚悟を決めるスージー.
薬の入ったワインや食べ物を捨て,サラの残した歩数のヒントで校長室までたどり着く.
おっと,その前にコウモリに襲われるイベントもあったな.既に悪玉には気づかれていた?

校長室は絨毯敷のため歩数のヒントが使えるのはここまで.
部屋を見渡し,パットの言葉「アイリス」から仕掛け扉を発見する.
怪しい廊下を通り抜けると,副校長やら教師などスタッフ一同が集会を開いていた.
「あのアメリカ娘を消せ!」とタイムリーな会議中.

ビビるスージー,後ずさると廊下の隅に切り刻まれ,手首を杭で打たれたサラのタヒ体を発見.
よく,ここで悲鳴を挙げないもんだ.
だが,さすがに悪玉連中に気配を気づかれ,パウロがライターを持ってこちらにやって来る!

奥の部屋に逃げ込むスージー.
カーテン越しに聞き覚えのあるイビキが聞こえる.
そう,実ははるか昔にタヒんだはずの校長兼創設者,魔女ことマルコスがそこにいたのだぁ!

男前のスージーは壊れたガラス細工の破片を手にカーテンを開けるが,そこには誰もいない.
マルコスの声が響く.

「はっはっはっ,アメリカ娘よ,よくここまでたどり着いたっ! ワシを倒す前に貴様の力をみせてもらうぞ!」(意訳)

とかなんとか,RPGのボスキャラのようなセリフとともに,タヒんでいたはずのサラが起き上がりスージーに襲いかかる,いや短い距離なのになかなか襲ってこない.
ここはゾンビ風ではなく,バレエダンサーなのだから踊りながらとかの演出が欲しかった(別にいらん).

ど,どうするスージー!

だが,その時,不思議なことが起こった.

雷によって見えないはずのマルコスの”輪郭”が光で浮かび上がった(なぜ?).
スージーは狙いを定めて,ガラスの破片をマルコスの喉を突き刺す!

全身やけどの姿をさらしたマルコスは大絶叫!
同時に副校長や教師,パウロの悪玉チームも何故か血まみれに.
やがて館内の家具や備品が飛び散りまくり,壁にヒビが入り,火事が発生.
マルコス・パワーのぼ,暴走!?

崩れゆく建物を脱出するスージーだが,なぜかその顔は満足げ.怖いわ.

で,エンドロールで映画は終わり.

------------------------

この映画の公開は1977年.Kazchariは10歳である.

さすがに劇場では観ていないはず.
となると,テレビの洋画劇場かな.
たとえ昔でも21時台に流すのは無理な内容だが,どうだろう?
もしくはレンタルビデオか?

いずれにせよ,何らかの方法で観たことだけは覚えている.
いや,正確にはラストの燃え盛る建物をバックに,主人公がやたら清々しく去っていくシーンだけかな.

で,今観ると...
うーん.なんか中途半端なアドヴェンチャーゲームを見せられた気分.

脚本が支離滅裂で行き当たりばったり.
ミステリーとしても弱い.「犯人はヤス」(意外性)もない.

何しろ,なぜ被害者が殺されるのかがわからない.
誰も学校の秘密にはっきりと気づいていないし,誰かに訴えようとしたわけでもない.
そもそも呪いによって病気にしたり,動物を操ったりできるのに,直接手を下して警察沙汰にするのも謎.

バレエ要素はなんだったのか? 神学との関連は?
せめて,この世ならぬ不思議な振り付けダンスシーンがあって,生贄を捧げるとか,タヒ者を蘇らせる儀式のような場面が欲しい...って,それは『死霊の盆踊り』

肝心のホラー,スプラッタ要素は...
まぁ,当時はこれが最大級の表現だったのだ.

で,気になったのはドイツが舞台なのに,誰もドイツ語を話さないこと.
つーか,その前にイタリア人監督のイタリア映画やのに,なぜドイツ?
「言語にこだわる映画は名作」の原則から外れている.

『13人の命』を観た~知識と経験

資本・市場の関係かな?

何やら文句ばかりなので良かった点もいくつか.

スージー役のジェシカ・ハーパーさん.
飛び抜けて美人というわけではないが,大人でもなく少女でもない不思議な雰囲気.
当時で28歳!?
今もご存命です.

そして,やはり外せないのが美術関係.
建物内外装の模様と色.これってもちろんセット?
こんなとこ住んでたらおかしなるわの派手さ.

そしてライティング.
赤が印象的.
また,これから襲われるサラにずっとグリーンのライトが当たっている.
そうした細かい演出がベネ.

これがイタリア人ならではの美的センスってヤツか.

つーことで,40年以上前に観た記憶あいまいな映画を見直すのも悪くない.
思い出補正に気づくことが多そうやけど.

そういやこの映画には『2』もある.

どうやら,こいつは訳アリで,無印の大ヒットによって監督の過去の無関係な作品を『2』ということにして上映したそうな.
こっちは観たことがない.

そして,無印の方は2018年にはリメイクされている.

サスペリア(2018)

なんか...どういうリメイクだ,これ? 現代舞踊?
まぁ,いわゆる名作ホラーってリメイクされがちやな.
機会があればこっちも観てみよう.

ちなみにオリジナルの『サスペリア』はアマプラ配信は終了してしまったので,Blurayはこちら.

ちなみに正月の朝,口笛でサスペリアのメインテーマをエンドレスで吹いていたら,ヨメさんに「気分が悪くなるからやめろ!」と怒られた.

さすが,50年経ってもホラー屈指の名旋律は名旋律...いや違う,単に下手で不快になるからだそうな.シクシクシク36.