『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を観た~そう来たか!

2022/1/9 Sun

もはや単純な勧善懲悪モノは作れない.

※ 以下,ネタバレを含みます.

ここ最近,続編映画ばかりを劇場鑑賞してきた.

007『ノー・タイム・トゥ・ダイ』を観てきた

『マトリックス レザレクションズ』を観た~続くのか?

正直,両方ともKazcahri的にはイマイチのデキ.

そして公開されたのが,今回の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
言わずと知れた,マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画の1本である(27作目らしい).
結論から言うと,それはそれは素晴らしいデキ.
この作品以降のヒーロー物は,これを越えようとするなら,相当苦労するやろなぁ...

MCUも『アベンジャーズ エンド・ゲーム』でストーリー的に一度区切りがつき,この長大なシリーズを観続けるモチベーションが大幅に減退した.
ゆえに『シャン・チー』『ブラック・ウィドウ』『エターナルズ』も全てパス.
将来的に「Amazon Prime Videoにラインナップされたら観よう」レベル.
わざわざ「Disny+」に加入するのもなぁ...(最近の行き過ぎたポリコレ表現には違和感しかない)

ただし『スパイダーマン』の新作となれば話は別.
特に前作の『ファー・フロム・ホーム』がめちゃめちゃ気になるところで終わっている.

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム ブルーレイ&DVDセット(通常版) [Blu-ray]

「悪役にスパイダーマンの正体がばらされた!さぁ,どうする!?」からの~

この映画の公開が2019年.
もう3年近く前になるのか.

事前の情報で,正体がばらされて私生活がむちゃくちゃになってしまったピーター・パーカーが,Dr.ストレンジに「魔術でみんなの記憶を消してくれ」と頼みにいくとか.
しかし,その魔術が失敗し,別世界の怪人達が正史に転送されてしまった! さぁ大変!という話ということまでは知っていた.

公開2日目の土曜日.
いつものCINEPLEX旭川,4DX2D最終回で観てきましたァ.
席はお気に入りの6Cだ.
観客の入りは4割ほど.いつもの旭川クオリティですね.
ダウンジャケットを隣の5C(空席)に置いてたらスタッフに怒られた.

もちろん『ファー・フロム・ホーム』の直後からストーリーは始まる.
正体がバレて,政府やらマスコミやら民間人に追い回されるピーター.
このあたりはSNSで炎上した芸能人を皮肉っているなぁ.この描写に結構尺を取っていた.

罪に問われることはなかったが,ミステリオ殺害の疑いが晴れたわけではない.
ましてやミステリオ信奉者の恨みは買ったまま.

結果,あまりに騒がれ過ぎたおかげで,MJ,ネッドともどもMITを不合格になってしまう.
その社会の理不尽さに耐えきれずDr.ストレンジに泣きつく...という展開.

Dr.ストレンジの屋敷は寒気団が入り込んで凍結中.
シベリアがどうとか言ってたけど,これは5月公開予定の『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』と関連?

しかし,まぁ,Dr.ストレンジ,性格に難があるというか,堅い.
主演映画の時もこんなんだっけ?
おふざけ,というか子供っぽいキャラのピーターと良い対比になっている.
ただ,今回の話的には,このピーターの性格のおかげで大変な事件が起きてしまうのだが.

ピーターの無茶苦茶な要求のせいで記憶を消す魔術は失敗.
パラレルワールドからのゲートが開いてしまう(この時は気づいていない).

MIT合格のために,ロクに策も講じていなかったピーターにDr.ストレンジが激怒!
まず自分で努力しろ!と怒る(なんかタイミング間違えているけど).

で,ピーターはMITのエラいさんがクルマで空港に向かう所を捕まえ,なんとか合格にしてもらえるよう頼む.

そこへ現れるのが,懐かしのDr.オクトパス!
スターク社製のスパイダースーツにいちいち感嘆するのが面白い.
極めてコメディ色の強い戦闘シーンが続く(会話が面白い).これが最後,ああなるとはなぁ.

乗っ取られたナノスーツを乗っ取り返し,オクトパスを確保.
そこへ,最強の敵(このピーターには初見だが),グリーン・ゴブリンが現れる!

ここで,Dr.ストレンジの地下室に移動.
檻が用意されていて,その中にオクトパスが囚われている.

Dr.ストレンジによると,”ピーター・パーカー”の存在に呼ばれた他の世界のヴィランが,続々とこの世界にやってくるらしい.
既に入り込んだヤツラを探して捕まえろ!と無茶振り.
なんだかんだでピーターは,MJ,ネッドと組んで,5人(5体?)を無事確保.
ゴブリンはもちろん博士モードの時に自首.
これがまぁ,見事に旧3+2作のヴィラン(後で思い出した).

Dr.ストレンジは,秘石と魔術を利用した装置で,そいつらを元の世界に戻せるらしい(みたいなことを言ってた).
だが,ピーターは,この5人を元の世界に戻しても殺されるだけとわかっているのでDr.ストレンジの決定に逆らう.

そこから装置争奪戦スタート.

前作の『ドクター・ストレンジ』でもあった,上下水平垂直感覚めちゃくちゃ世界でのバトルが展開される.
この辺りの映像表現は凄まじい.ピーターの幾何が得意であることと,Dr.ストレンジを拘束する糸の張り方の関係がイマイチわからんが,こまけーことはいいんだよ.

最終的にピーターが装置を確保.
歴代まれにみるお人好しのヒーローは,この5人を人間に戻す,つまり善人に戻すことを第一に考えるようになる.
そうすれば元の世界に戻っても,殺されることはないだろうと...

そう,この映画,ピーターの選択がことごとく裏目に出てしまう展開が基本.これまでのヤツもそうだっけ?

居候していたハッピーの自宅に残されていた,スターク製の分析装置を使って,人間に戻す薬や装置の開発を始める.
まずはオクトパスで試す.
成功! アームに人格を乗っ取られる前の善人博士に戻った.

さぁ次!とその時,ゴブリンが覚醒.

ウィレム・デフォーの顔芸も覚醒(健在)

エレクトロサンドマンをたぶらかして逃走! ついでにリザードマンも逃走!
ピーターとのガチバトルになるが,その時,メイおばさんがゴブリンに殺されてしまう...

これまでのヒーロー映画なら,復習を誓ったヒーローが最終的には敵をボコボコにして,(直接手をくださないまでも)敵が死んで終わり,みたいなパターンになるのがお約束だが,この映画はそうならない.

ショックのあまり,行方知れずになったピーター.
その一方,たまたまDr.ストレンジの指輪を手にしたネッドがゲートを開いてしまう.

そこから入ってきたのが『アメイジング』のピーターこと,『ハクソー・リッジ』で超いい人を演じたアンドリュー・ガーフィールドだ.おっさんになった.

もう一人も入ってきた『無印』のピーターこと,その後ヒット作になかなか恵まれないトビー・マグワイヤーだ.おっさんになった.

事前情報で,二人が出るとは知っていたけど,まさかここまでガッツリ出演するとは...

この後,今作のピーターも合流し,3人でそれぞれの怪人用の装置や解毒薬を作るのだが,もうこの3人の掛け合いが抱腹絶倒.
メタ映画じゃないのに,メタ的発言のオンパレード.
『リザレクションズ』に似ている? ハリウッッドではこういう脚本がブームなのか?

パラレルワールドの同一キャラが集合するというアイデアであれば,既に2018年公開のアニメーション映画『スパイダー・バース』でやっている.

スパイダーマン:スパイダーバース 4K ULTRA HD & ブルーレイセット(通常版) [4K ULTRA HD + Blu-ray]

こいつも実に楽しい映画だった.
ただし架空の作品からの登場である.

『ノー・ウェイ・ホーム』の場合,我々鑑賞者は旧3+2作を観ているのだ(観てない人もいるけど).
とりわけ『無印』の1作目と2作目をKazchariはよく覚えている.

スパイダーマン トリロジー ブルーレイ コンプリートBOX [Blu-ray]

2作目はヨメさんとメキシコのコスメル島にいる時に観た.
もちろん全編スペイン語吹き替えだが,列車を止めた後,素顔のまま車内をゆっくりと歩くシーンが印象に残っている.

スペイン語で「スパイダーマン」は「オンブレ・デ・アラーニャ」となる.おお,これってピーターが作ったリングネーム「ヒューマン・スパイダー」のオマージュか!(たぶん違う)

『アメージング』の方は細かいストーリーは忘れた.
トビー版の方が良かったなぁ...という感想だったことは覚えている.
糸の発射システムが機械式になったのが何か残念.

しかしながら,強烈に覚えているシーンがある.
パート2では,スパイダーマンが一歩及ばず,なんとヒロインが死んでしまうのだ.

アメイジング・スパイダーマン シリーズ ブルーレイ コンプリートBOX [Blu-ray]

しかし,このエピソードを覚えていた者は『ノー・ウェイ・ホーム』でめちゃくちゃ感想したはず.

アンドリュー・スパイダーが落下するヒロイン,MJを,今度はちゃんと助けるシーンがあるのだ.
この時のアンドリューの表情が素晴らしい.

思えば,トビー.スパイダーもゴブリンを助ける.いや,トム・スパイダーが殺してしまうのを妨害する.
最終決戦前のセリフにあったように「復讐は虚しい」ゆえ,憎しみの連鎖を断ち切るよう行動する.

そして,オクトパスも味方になり,スパイダーマンを助ける.胸熱.

そう,シン・エヴァではないが,それぞれのスパイダーマンが自分の世界でやったこと,やり残したことに落とし前をつけるストーリーになっているのだ.
誰や,こんなん考えたんは!
版権問題が解決したからとは言え,スゴ過ぎる神脚本.

これを見習って,誰か『スターウォーズ7~9』を作り直せ!

さて,最終的に別世界からのゲートを閉じるためには,ピーター・パーカー=スパイダーマンという記憶だけでなく,ピーター・パーカーという人間が存在するという記憶を全ての人から消す必要があるらしく,ピーター承諾の元,Dr.ストレンジがその魔術を実行する.

果たして,MJやピットも,ピーターのことを忘れてしまうのか...

この映画の題名は『ノー・ウェイ・ホーム』=家には帰れない.もしくは帰る家がない.
そう,かつての世界にピーターは帰れないまま映画は終わる.
バッド・エンドである.
さすがにこれでは終わらないと思うが,MCUの今後のリストに単独作品の名前がない.

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』続編、マーベル&ソニーが積極的に着手 ─ 「彼はいずれ再登場する」

とりあえず,こういう記事はあるけど,ぜひともハッピーエンドで終わらせて欲しいものだ.
このトム・スパイダーはそういうヒーローやし.

いつものやり方とは順番が逆になってしまったが,今晩から旧3+2作を再鑑賞しよっと!

つーことで,『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』,超絶おすすめです.

コメントを残す