Aal izz Well - 『きっと,うまくいく』を観た

2020/3/30 Mon

Everything’s gonna be all right!

きっと、うまくいく(字幕版)

Amazon Prime Videoにて『きっと,うまくいく』(2016)を観たでぇ,ヘイ,マスタル! いっそ原題も「3 idiots」じゃなくて「All is well」じゃなくて「Aal izz Well」でよかったのでは?

例によって,あらすじをコピペ.

日の出の勢いで躍進するインドの未来を担うエリート軍団を輩出する、超難関理系大学ICE。エンジニアを目指す天才が競い合うキャンパスで、型破りな自由人のランチョー、機械より動物好きなファルハーン、なんでも神頼みの苦学生ラジューの“三バカトリオ”が、鬼学長を激怒させ、珍騒動を巻き起こす。 抱腹絶倒の学園コメディに見せつつ、行方不明のランチョーを探すミステリー仕立ての“10年後”が同時進行。根底に流れるのは学歴競争。加熱するインドの教育問題に一石を投じ、真に“今を生きる”ことを問いかける万国普遍のテーマ。(C)Vidhu Vinod Chopra Production 2009.All rights reserved

以下,ネタバレ含む.

【良かった点】
・”努力は報われる”という普遍的テーマをストレートに
・反権威主義が心地よい
・創意工夫でたいていのトラブルは乗り越えられる(と思わせてくれる)
・基本的に悪人はいない(ヴァイラス先生もギリギリ)
・ラストシーンのロケ地がやたらにキレイ.あれ?『ROBOT』でも使ってた?
・“嘘も方便”とはインド人のためにある言葉

【ここはちょっとな…】
・やっぱ下品.小学生男子が喜びそうな下ネタのオンパレード.まっ,そこは文化の違い.
・3人の行動はやはり犯罪では? 処分も仕方ない.
・ランチョーに会いに行く日が,なぜかピアの結婚式当日
・チャトル(スネ夫的ポジション)の扱いがひどい.彼も外地生まれのヒンディー語が話せなかったマイノリティで,努力でのし上がった人なのに.ただ,なんだかんだでランチョー(ワングル)は契約してあげそう.

他人に迷惑をかけたくないと萎縮するよりも,やりたいことやって幸せになった自分を見て幸せになってほしい」というわがまま気質が最高! さすがB型大国インド(偏見です).

さて,新コロの攻撃によって,ヨドンヘイムな時世ですが,今こそ.この映画のテーマである「Aal izz Well」を唱えながら日々過ごしましょう.一方で「自分だけは大丈夫」という正常性バイアスが働きすぎて,何の防御もなく不用心に出歩くのもやめましょう.バランスよく過ごしていきたいものです.

…と,本日,志村けんが亡くなった.流れが変わる.

インド映画に関しては続きを書くつもり.

世界観の転換

2020/3/26 Thu

まさかここまでとは...
周辺に起きた,または現状起きている話題についていろいろ考察.

【『ザ・●●●●・レポート』を観た】

ザ・レポート (字幕版)

Amazon Prime Videoにて『ザ・●●●●・レポート』(2019)を観た.墨で消された●●●●には『トーチャー』=拷問が入る.あらすじをコピペ.

事実に基づいたスリラー作品.ある上院議員が,9.11テロ事件以後にCIAが行なった尋問プログラムについて調査を進めると,CIAがひた隠しにしていた残忍な行為の日常が明らかになっていく.

スリラー?という表現には違和感があるが,映画の内容は文句なし.なんだかんだでアメリカには良心が残っている.問題は色々あるもののヒーローの国,もしくは神の前に正直であらねば地獄行を信じている国だ.アメリカの行政や司法制度に詳しくないので,どういう経緯で主人公が調査をすることになって,どの程度の権限を持っているのか,結局どういう力学が働いてレポートの公表に至ったのか,正直理解しづらい映画ではある.ここでもアダム・ドライバー熱演.いい役者さんやね.
えー,言うまでもなく,当事者がごねまくっている身近な某国の政治スキャンダルと比較すると興味深い.誰か中の人からこういう告発がもっとされないものかな.まぁ,オリンピックも延期になったし,ほっといても自壊するかもしれんが.

【提案:学校の9月スタートはどうだろう?】
ご存じの方も多いと思われるが,南半球のオーストラリアやニュージーランドを除き,世界の先進国のほとんどの学校は9月入学.日本と同じ4月スタートはパナマぐらい
いっそ,このまま9月まで休校措置を続けて,日本も世界基準の9月入学(新学期スタート)にしたらどないだ? そうすれば,留学時などに生じる“空白の半年問題”が解決する.一斉変更の最初で最後のチャンスかも.まぁ,Kazchariも含む親が大変だが...

【海外に行けない】
旅行ばかりしている昔からの友人と,このコロナ禍の“前に”かわした会話.「世界は狭くなった」.
確かに飛行機にのれば,世界中どこでも,最低2日以内に入国はできる(たぶん).また,TVはもとよりネットによって世界が接続されさらに近くなった.しかし,今回の新コロのせいで,少なくと距離的・心的の双方で,再び遠のいた.
Kazchariはここ20年程,だいたい年に一度は一週間ほど海外旅行に出かけている.最近ではブログにも書いた去年12月のラジャ・アンパット(インドネシア).数か月後,もしくは数年後に再び渡航が解禁されたとしても,明らかに以前のような気軽さは消失しているような気がする.常に警戒態勢というか…わからんけど.

【ブルベ『岡山1200km』中止!】
今年のGWに開催予定だった超長距離ブルベ『岡山1200km』が新コロのせいで中止に! 先日のアイスブルベ後の懇親会でも,確か3名ほど参加表明している方がいたなぁ...屋外で濃厚接触がない,大声も出さないイベントさえ中止とは...はっ!まさか8月の『納沙布1200km』も...うわーっ!

【食料品は大丈夫なのか?】
マスクや消毒液が店頭から消えて久しいが,それに比べると,不思議なくらい加工品も生鮮品も食料の生産・流通は止まっていない.さらに多少のリスクはあるものの,外食も普通(つまり選り取り見取り)に可能.
エラい人やインフルエンサーが「次は食料危機だ!」と叫んだら,買い占めが起こるのだろうか? 人類滅亡系のパニック映画でお約束の商店襲撃が発生するのか? Kazchari家は現在,何も動いていない.杞憂に終わればよいが...

【積み立て投資信託】
ここ数週間の日経平均およびダウの暴落で,ここ数年のインデックス投信で順調に増えていた資産がめっちゃ減った(泣).それこそウン百万円レベルの損害.まぁ定年退職時までバイ&ホールドし続ける予定なので今は何もしないつもり.これが長期投資の鉄則と信じて.

以上,小ネタブログでした.

『12モンキーズ』とタイムトラベルもの

2020/3/24 Tue

過去には飛べない.

12モンキーズ(字幕版)

Amazon Prime Videoにて『12モンキーズ』(1995)を久しぶりに観た.このご時世にぴったりの映画だが未見の人のために,一応あらすじをコピペ.

ブルース・ウィリス、ブラッド・ピット共演で贈るSFサスペンス。人類の99%が謎の細菌に感染し死滅した近未来からタイムマシーンによって現代に送り込まれた男が、人類死滅の原因を突き止めようと奔走するが…。監督はテリー・ギリアム。

最近,TVドラマver.も製作されているがそちらは未見.ファイナルシーズンまで,全てがPrime配信されたら観る予定.

以下,ネタバレ.

このあらすじ良い.そう,謎の細菌(ウイルスではない)の蔓延を阻止するではなく「原因を突き止める」にとどめている.そう,この映画はタイムトラベル物やねんけど,未来(主人公にとっては現在)を変えて良い方向に変えることが目的ではないという点が特徴的.これって意外に斬新では?

1995年の公開時,たぶん映画館で鑑賞したと思うのだが,その際は「ああ,ブラピが主犯と思わせて実は助手だったのかぁ.上手いなぁ.ブルース死んじゃってバットエンドかぁ.エンディングの”What a wonderful world”,皮肉が効いてるなぁ」程度のアホな感想しか持てなかった.ラストシーンで隣に座った未来の女医のセリフ「私は保険屋よ」の意味もわからなかった.当時は「この女医さん,パンデミック後の未来にも生き残るのかぁ」程度の認識.

今,考えるとこの女医も過去にタイムトリップしてて,ブルース・ウイルスが細菌奪取に失敗した,もしくは真犯人のバラマキを妨害しようとした際の“保険”という意味やろな.ようするに未来での特権的地位を失いたくない.細菌をコントロールして自分たちだけは安全なまま,下級国民どもを支配し続けるための,細菌の出所調査だったということだろう.握手によって彼女は細菌を手に入れて映画は終わる(諸説あります).いずれにせよ,デストピアはデストピアなのだ.

そういや監督のテリー・ギリアムは似たような傾向の大傑作『未来世紀ブラジル』も撮っている.こちらもバットエンド中のバットエンド.

Brazil (字幕版)

「未来を変えない」もしくは「どうやっても変わらない」物語にすれば,タイムパラドックス問題(有名なのは過去の自分を殺すとどうなるのか)が起こりにくいストーリーにできるなぁ.いずれにせよ,鑑賞後に様々な考察で楽しめる映画なのは間違いない.ブラッド・ピットの狂気の演技(左目のズレたコンタクト)も必見.おすすめです.

タイムトラベルは過去には行けないが,未来には行ける」と言われる.

有名なのは宇宙旅行におけるウラシマ効果.ブラックホールの超重力や光速ロケットによるウラシマ効果を表現した大傑作『インターステラー』.そのラストで自分より老いた娘と再会する場面は泣けます.

インターステラー [Blu-ray]

ガイナックスの『トップをねらえ!』も絵柄に似合わないハードSF設定が評価されている.ウラシマ効果による「オカエリナサイ」が名シーン.

トップをねらえ! Blu-ray Box

理論上,不可能とされる過去改変映画ではなんといっても『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が超有名.過去に行って今と未来を変える系だが,これはハッピーエンド.多くの人が映画史上最高傑作に挙げている.

少しマイナーだと『バタフライ・エフェクト』も良い.過去を変えたら現在がとんでもないことになってしまい.一番マシになるまで何度も何度も修正を試みるが...ロクなことにならない.Kazchari所有のプレミアム・エディションには劇場未公開のアナザーエンディングが収録.これがまぁ...超せつない.興味ある人は通常版の後に観ることをおすすめします.

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あっ,もちろん『ターミネーター』もあるな.1と2だけで後は蛇足やけど.他にも『ルーパー』とか思い出せるものもあるが,それらはまた別の機会に.でも映画以外のタイムトラベルもの最高傑作は「ドラえもんだらけ」(コミックス第5巻収録)でしょう.異論はいくらでも認める.「夏への扉」にはかなわないとか…(最後はネコつながりで)

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『オンリー・ザ・ブレイブ』を観た

2020/3/19 Thu

超危険な職業.

オンリー・ザ・ブレイブ(字幕版)

Amazon Prime Videoにて『オンリー・ザ・ブレイブ』(2017)を鑑賞.あまりメジャーな映画ではないと思われるので(Kazchariの私見),あらすじをコピペ.

堕落した日々を過ごしていたブレンダンは、恋人が妊娠したことをきっかけに森林消防団へ入隊。地獄のような訓練の毎日を過ごしながらも、仲間との信頼を築き、彼らの支えの中で少しずつ成長していく。しかしそんな彼らを待ち受けていたのは、山を丸ごと飲み込むような巨大山火事だった―。

これだけ読むと,よくあるハリウッド映画の王道パターン.「はいはい,森林火災版の『バック・ドラフト』ね」と思いきや,全然違った.

以下,ネタバレ.

あの鎮火後のシーンでは,ほとんどの方が言葉を失うはず.「えっ,助かったんとちゃうの? 全員死亡? それって物語として...あれ,そういや実話って最初に出てた.がーん」と.

映画鑑賞の楽しみの一つに未知の職業体験があると思う.この映画の「森林消防隊」もまさにそれ.北米やオーストラリアの広大な森林に起こる大規模火災に立ち向かう専門職.日本にはなじみがない,というか必要ない職業.

この映画の中でも通常の建物火災消防士とは別種扱いになっている.また,森林火災の消火方法も初めて知ることができた.ヘリやセスナによる空中から散水も行われるが,木々そのものが燃料になるので,とんでもない速さで襲ってくる火の延焼進路を見定め,溝を掘り,木を伐り,意図的に燃やして延焼を食い止める.火で火を制するのだ.つまり,経験と知識と行動力が重視される超危険な職業ゆえ,「ホットショット」と呼ばれる一流クラスになるには厳しい認定審査を受ける必要がある.

最新の映画らしく炎のCGは素晴らしい.何の違和感もない.言い換えれば映像面における斬新さはない.
また,上映時間が2時間14分と長い上に,淡々と物語は進む.あらすじにある「地獄のような訓練」ってランニングと腕立て?
この手の映画の場合,誤解と諍いを乗り越えての友情(あることはあるが薄い)とか,火事に巻き込まれそうな家族を間一髪で助けたりとか,どっちの命を救うか問題や自己犠牲シーンなどがたいてい盛り込まれるが,それらもない.
代わりにあるのが「家庭と仕事の両立」的な一般人にもよくある悩み.各登場人物の掘り下げが浅く,20名の隊員のうち,主人公のブレンダンと隊長,副長以外,誰が誰やらよくわからない.見た目みんなマッチョやし.

もちろん「ヤーネルヒル火災」がクライマックスなのだが,そこにたどり着くまでの火災シーンは中途半端.古木の前の人間ピラミッド撮影シーンのためのシナリオ感が強い.ようするに災害パニック映画としては物足りなさが残る.

しかし,「実話」という重みの前には,これらの点は全て気にならなくなる.

そしてラスト.生存者1名のアナウンスに希望を託す家族.そこに現れたブレンダンを見た時の絶望感,一方のブレンダンも生き残ってしまった居たたまれなさに崩れ落ちる.ここは役者の演技力も相まってグッとくるシーンである.エンディングロールでは,ブレンダンおよび亡くなった消防士本人の映像が流れる.みな若い.

ヒーローとは,どこか壊れていないと,なれないものなのだろうか.単純に街と人を守りたいだけで,この様な危険な仕事に就けるものなのだろうか.どうして選んだのかも気になる.街や人を助けたいからやっている,その一言に尽きるのか…

アメリカ人と言えば,ヒーロー願望が強い国民性で知られている.そこで,気になったのがアメリカの職業別死亡率.

アメリカで最も危険な職業トップ10(2011年版)

消防士,ランキング上位かと思いきや,なんとトップ10外でした.
そらそうか.まず出動件数が多くない.また,危険に対すること自体が仕事なので,事前準備・装備・訓練は完璧ということなのだろう.日本でも消防士って圧倒的に待ち時間が多い職業(Kazchariのいとこは元消防士で,料理と訓練のコンボでガタイがどんどんデカくなった)やしな.

興味深いのは,日本や韓国の場合,肉体労働者よりも管理専門職の方が死亡率が高いらしい.原因はがんと自殺とか...

韓国・日本の管理専門職男性,欧州に比べて死亡率高い

2019年末のオーストラリア森林火災でも森林消防士が25人亡くなっている.
人間は脆く,フィクションのような超人はいない.常に死と隣り合わせ.それを最後に突きつけるリアル・ヒーロー映画でした.つーことで『オンリー・ザ・ブレイブ』オススメです.

『ヒトラーの忘れもの』を観た

2020/3/9 Mon

指先が震える.

ヒトラーの忘れもの(字幕版)

公式サイト(http://hitler-wasuremono.jp/)より

Amazon Prime Videoで映画『ヒトラーの忘れもの』(2016 デンマーク・独)を観た.

Uボート』に続いての戦争映画.
マイナーゆえ,Amazonからあらすじを引用.

1945年、ナチス・ドイツによる占領から解放されたデンマーク。ドイツ軍が海岸線に埋めた無数の地雷を除去するため、捕虜のドイツ兵たちが駆り出された。彼らは地雷を扱った経験がほとんどない。彼らを監督するデンマーク軍のラスムスン軍曹は、全員があどけない少年であることに驚くが、容赦ない暴力と罵声を浴びせる。
少年たちは祖国に帰る日を夢見て苛酷な任務に取り組むが、飢えや体調不良に苦しみ、地雷の暴発によってひとりまたひとりと命を落としていく。そんな様子を見て、ナチを激しく憎んでいたラスムスンも、彼らにその罪を償わせることに疑問を抱くようになる。
やがてラスムスンは、残された任務をやり遂げて帰郷を願う少年たちの切なる思いを叶えてやろうと胸に誓うようになる。しかしその先には思いがけない新たな苦難が待ち受けていた…(Amazon 商品紹介より引用)

以下,少々ネタバレ
“例によってクソな”邦題からは,どこかハートフルなドラマを想像させるが真逆.
原題はずばり『LAND OF MINE』.
Uボート』のラストシーンほどの救い難さはないものの,不条理極まりない悲劇が展開される.

劇中のセリフはドイツ語,デンマーク語,連合軍は英語.
これだけで1億点進呈.
戦争映画はやはり言語が重要.
ハリウッド製ベトナム戦争映画のほとんどは,北ベト兵やベトコン同士が英語で会話していてひっくり返った.

史実によると,戦後の地雷撤去作業に従事した捕虜2000人のうち,約半数が死傷したとのこと.
この映画では10代後半の少年がこの超危険な作業に従事させられている.

以前,アカデミー賞作品に『ハートロッカー』というアメリカ映画があった.
これは湾岸戦争時の爆弾物処理班の話だったが,ヘルメットやチョッキなど完全防備で作業にあたる.
何よりも知識・技術のある処理専門兵が主人公だ.

ハート・ロッカー Blu-ray

しかし,この『ヒトラーの忘れもの』はどうよ.

連れてこられた浜辺の地雷総数と埋没地点を記した地図はあるものの(正確ではない),区域ごとに人海戦術の手作業,つまり匍匐前進しながら,針金でつついて地雷を発見.砂を掘り返して(円型地雷の場合)蓋を開けて信管を抜く.
この作業を1時間6個のペースで行えという無茶ぶり.
場所によっては地雷が2個接続されており,信管を外してさぁ安心と持ち上げた途端...という描写もある.
この場合,地雷2個分の火力なので遺体の痕跡も残らない

映画では最終的に補充要員も含め,少年14名中4名しか生き残らない.
撤去が終わりようやくドイツに帰れると思いきや...という展開.

地雷と言えば,殺傷能力をわざと抑えて,四肢欠損程度にとどめ,受傷者の治療や看護に敵国のリソースを割けさせ,戦意を衰退させる目的もあると聞いたことがある.
一方,二次大戦中の運用目的は異なるようだ.
劇中で語られるのは,連合軍の海岸上陸阻止.
つまり明らかに破壊力の高いものが使われている.

テーマとしては戦争の残酷さ,およびデンマーク人軍曹の気づきと成長なのだろう.
しかし,一鑑賞者としては,なんといっても地雷撤去作業の緊張感が印象的.
登場人物と同様,観ている方も段々慣れてくる(最初の実弾訓練シーンが一番緊張する).

そこでドカーンが来るのだ.

良かった点
・ド派手な戦闘シーンは皆無だが,戦争の理不尽さは確実に伝わる
・ヨーロッパ映画らしい抑えた気味の演出.双子弟の自殺シーンは美しさすらある.
・グロが最低限(それでもキツい人にはキツイ)

ここはちょっとな
・軍曹と少年兵との交流展開が少々ベタ.
・14人は多すぎて誰が誰やら判別困難.それに掘り下げが薄く感情移入しにくい.
・長期の強制労働生活にしては衣服がきれい,病的に痩せてもいない.

現代日本に住んでいる限り地雷とは無関係だが,Kazchariはブログで以前書いたように,1993年のカンボジアにて地雷原の中で立ち往生したことがある.
あのリアルな現場にいてさえも能天気だった自分に今でも驚く.

規模の大小はあれど,戦争やらテロは毎日世界のどこかで起きている.
まるでそれを別次元のように,自分には直接関係しない事象のように感じている.
しかし,コロナのせいで,ここ数週間,一気に”災厄”とのシンクロ率が上がった気がする.

今のこの平和は意外にも脆い.

自分は幸いにもいい時代を生きてきたと思うが,娘と息子のこれからはどうなる?

空腹のあまりネズミの糞を食べながら,手作業で地雷撤去をする日が来るかもしれない.
たまに観る戦争映画は,未来の悪い方への想像を掻き立て,どう振る舞うべきかを考えさせてくれる.

いろいろやらかし中

2020/3/5 Thu

この閉塞感のせい?

OLYMPUS TG-5

昨今の引きこもり指令のせいか,Kazchari家はモノも人もやや壊れ気味.

ガスコンロの不具合
まず,設置6年目のガスコンロ(パロマ製)が壊れた.火がついてもすぐに消えてしまうのだ.メーカーに電話し訪問修理を依頼.吹きこぼれによるセンサー部の故障とのこと.パーツ交換,出張修理費込みで13000円也.痛い出費.

タイヤ交換失敗
凍結路面が融け,アスファルトの露出が目立ってきたので,ファットくんのタイヤ交換.スパイクからノーマルブロックタイヤへ.ついでに昨年のパンクでパッチシール修理した後輪チューブを新品に交換...したのだが,どういうわけか,その新品チューブが空気漏れ.組み込み中にまさかのパンク? トホホ.

瞬着白化現象
いつも使っているコンデジ『OLYMPUS TG-5』.ライド中の撮影ではフィシュアイ・コンバージョンレンズを装着していることがほとんど.

OLYMPUS フィッシュアイコンバーター TG-1,TG-2,TG-3,TG-4用 FCON-T01

商品説明にはないがTG-5,6でも使用可.昨日,このレンズを室内で床に落としてしまった.その際,レンズカバーが破損し割れた.破損部分を瞬間接着剤で修理.低粘性タイプのためか,毛細管現象でひび割れ部分全てに浸透.「これで大丈夫」と思い.乾燥を確認後,カバーをレンズに装着し就寝.翌朝見ると,レンズ側にも瞬着の白化現象が移ってたぁぁぁ! 指でこすっても洗剤で洗ってもとれない.「こっこれ,写りに影響せーへんか?」レベルで白く曇っている.絶望の中,そういやOLYMPUS製の便利クリーナーを持っていたことを思い出し...

ハイパークリーン 6310

手元にあるのはOLYMPUSブランドの『HYPER CLEAN 3310』だが,中身は同じようだ.OEM? 早速,使ってみると,なんということでしょう! 完璧とは言えないが,ほとんど曇りがとれた.助かったぜぃ.こんな良品を持っていたとは我ながらびっくり.にしても,ファットくんのチューブといい,この件といい,何か注意力散漫によるミスが最近目立つなぁ...

娘が泣いていた
中一の娘,もちろん休校+外出控え令によって引きこもり状態.スマホを持たせておらず,ゲームも『Wii-Fit』程度しかさせてない.あまりにヒマなのか,リビングに置いてあるデジタルフォトフレームとして活用中の『kindle fire』をネットにつなぎ,音源を自分のMP3プレーヤーにマイク録音して部屋で聴くという,なかなか涙ぐましい努力をしていた(生活音も一緒に入っていて微笑ましい).

Fire HD 8 タブレット (8インチHDディスプレイ) 16GB – Alexa搭載

それが我が家の“正義マン”こと息子(弟)の報告によって,一日中ずっとはまっていたことがヨメさんにバレることとなり,課題も進んでいなかったことと相まってとうとう禁止令が...さらに,昨夜久々にバレエ教室に行き,レッスンというより友達と会えたことがよほどうれしかったようで,終了後も中々帰宅しようとしなかった.
で,翌朝.全然起きてこようとしない娘の様子を見に行くと…「学校に行きたい...もうこんなんイヤヤ...シクシク」と泣いていた.うーむ.

息子もヒマそう
娘以上に時間のつぶし方がわからないはずの休校中の息子(小一).娘と一緒にWiiやロボトイ,レゴで一人遊び,Kazchari帰宅後はかなり激しい“戦いごっこ”と,それなりに忍耐強く生活しているが,こいつも学校に行きたいやろうなぁ...(学童保育は嫌らしい).家の庭(雪山)で遊んだらと言っても⇒「やだ」.じゃあ友だち誘ったら?⇒「いいの?」というわけで朝早くから近所の通学友だちの家へ.しばらくすると戻ってきた.「遊ぼって言ったのに,むーりーと言われた」そうな.念のためいつもの公園も見てみたが誰もいなかった.他の子どもらは引きこもっていても平気なのだろうか? 仕方なく,庭の雪山で一人遊びを始める息子であった.うーむ.

【こんな時こそ『Uボート』!】
先日は終末系,パンデミック系の映画がご時世にマッチしていて,今観ると感慨深いと書いたが,この引きこもり状態の心情にぴったりの映画と言えば...こいつがありました.

Uボート ディレクターズ・カット』(1999)

U・ボート ディレクターズ・カット(字幕版)

潜水艦映画にハズレなしと言われるが,その中でも,もう言わずと知れた超名作.5億点献上.全編ドイツ語.ラストシーンのやりきれなさは超一級! しかもD.C.なので上映時間3時間28分だ! 乗組員がどんどん壊れていく! 敵は一体何だ! 画面から漂う悪臭,澱み,焦燥感,閉塞感,絶望感に酔え!

こんな記事も発見.

潜水艦乗りの過酷な戦い(1):楽しみは食事だけ?蒸し暑くて臭い!毎日が極限状態の海中の密室

「原子力潜水艦は別」というオチがブラックです.

にしても,早くなんとかならんかね.雪解けが進み,暖かな日差しが届くようになれば(コロナが落ち着いていなくても)気持ちは多少晴れると思うのだが...

Amazon Prime シネマ・レビュー

2020/3/4 Wed

映画(+α)三昧.

OLYMPUS TG-5

本当は臨場感,没入感たっぷりの劇場鑑賞派なのだが現在自粛中.エヴァの新作公開日までに落ち着くと良いが...現状,ZwiftしながらのAmazon Prime Video鑑賞が続いている.

ディープインパクト』(1998)

ディープ・インパクト (字幕版)

コロナ報道が増えてきた頃,“終末物”としてオススメに並んでいたのが『ディープインパクト』.公開時期と内容が『アルマゲドン』と丸被り.ハリウッドは売れそうなネタの市場調査を徹底して行うので,たまにこういうことがあるらしい(途中で気づきそうなものだが).Kazchariの印象としては,真面目な『ディープ』,エンタメの『アルマ』というイメージ.で,その『ディープインパクト』だが,(今と比べ)都市破壊の特撮がしょぼいのは仕方がないとして...

【良かったかもしれない点】
- 津波に飲み込まれるヒロイン父娘のヴィジュアル
- まんまなウィーバー先生

【ここは...】
- 宇宙船による隕石爆破ミッションの適当さ
- アメリカ(の一部)だけの災厄にしか感じられない
- 世界滅亡数週間前なのに普通に営業しているタクシー

トレイン・ミッション』(2018)

トレイン・ミッション(字幕版)

リーアム・ニーソンを無理やり理不尽な状況に置いて,一見貧弱そうなおっさんが実は...の,いわゆるナーメテータームービー系の1本.リーアム・ニーソンと監督ジャウム・コレット=セラのコンビはこれで4本目.これの他には『フライト・ゲーム』のみ鑑賞済み.電車か飛行機かの違いだけでストーリーは酷似していた.

【良かったかもしれない点】
謎が謎を呼ぶ前半

【ここは...】
- 文学作品のフレーズの強引なねじ込み
- あまりにも偶然的要素に頼りすぎな犯人グループの計画
- 何のための脱線?
- 真犯人の唐突な告白.証人何人おんねん?

女神の見えざる手』(2018)

女神の見えざる手(字幕版)

これまためずらしいアメリカのロビイスト活動をテーマにした映画.銃規制法案を巡る攻防なのだが,あまり深刻にならず,スカッともせず,何かウンチク系お勉強マンガを見せられたような印象が残る.

【良かったかもしれない点】
ヒロインの怪演.『リーガル・ハイ』と『半沢直樹』の堺雅人を足して二で割ったようなキャラ造形

【ここは...】
ややネタバレ
法廷闘争の土壇場! ヒロイン危うし! 大丈夫.実はこっそり録画したライバルの犯罪を暴く証拠記録がありましたぁ~でどんでん返しパターンは止めてほしい.この手法やとなんでもありやん.

移動都市 モータル・エンジン』(2018)

移動都市/モータル・エンジン (字幕版)

莫大な製作費,宣伝派手にもかかわらず大コケした話題の作品.劇場公開時はパスした.えー,監督始め,この映画のスタッフは極度のジブリおたく? ヴィジュアルからキャラ設定まで誰がどうみても『ナウシカ』『ラピュタ』『紅豚』『ハウル』.Kazchariはプラス要素として『ザブングル』と『ガリアン』のサンライズ要素も入っているのではないかと邪推.

【良かったかもしれない点】
移動都市-ロンドンの動き

【ここは...】
- ヒロインの顔の傷,必要? ラスト何らかの方法で消えるのかと.
- サイボーグの話必要? てっきり味方になるのかと.
- トムに魅力がない.その友人(男女2人とも)必要? 行動パターンが謎.
- 要素を詰め込みすぎて,何がテーマなのかよくわからん.いかにも続編ありき(だった)?

次におまけの感想.先日最終回を迎えた…
騎士竜戦隊リュウソウジャー』(2019)

スーパー戦隊シリーズ 騎士竜戦隊リュウソウジャー Blu-ray COLLECTION 1

これは映画ではなくて,先週最終回を迎えたニチアサ特撮番組.前回の『快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』は大傑作.ただし玩具の売り上げはイマイチ.これまでも『ジェットマン』『タイムレンジャー』など,大きい友達に好評の戦隊は,メイン視聴者であるお子様がついて来れないので,玩具の売り上げが爆下げするジンクスがある.それを受けてのリュウソウジャー.外しようがない恐竜モチーフ.しかし...

【良かったかもしれない点】
ロボのデザインと財団Bのおもちゃのデキ(買ってないけど)

【ここは...】
- ラスボスが主人公に説得されて改心⇒ほぼ自壊.え?
- 「限られた人生で笑ったり,悔やんだりするから人生は素晴らしい」(意訳)というセリフをほぼ不老不死(に近い)リュウソウ族に言われても…(コウは209歳)ここは”うい”のセリフだろう.
- アスナがカナロに暴力をふるって,(リュウソウ族の?)子どもたちに「おねーちゃん怖い」と言わせて何のフォローもなし.アスナとカナロって,これまで何かからみありました? 100歩譲って,互いに信頼しあっているからこうした暴力も好意表現の一つとかなんとかを子どもが学ぶ,といったフォローすらない
- ワイズルーとクレオンはともかく,プレシャスが生き残る謎展開.
- 嗚呼,団次郎と永井大.
- 人類は完全に蚊帳の外

これ,思うんやけど,元々は恐竜モチーフではなくて『マジレンジャー』のような,おとぎ話に出てくる架空の生物,もしくはそれぞれが何かの属性を持った5体のドラゴンとのカップリングが企画されていたのではないだろうか? 財団Bから「わかりやすく恐竜にせよ」と横やりがあったのでは? また,スーツデザインは明らかに西洋騎士やねんから,異世界での国盗り合戦(敵はトランプ+城やし)で話を進めていくとか...「この材料でオレだったらこうする」妄想がしやすい戦隊,という点では評価できる.

なぜか『リュウソウジャー』の話が一番長くなってしまった.なんだかんだで文句ばかり言ってますが,映画を含む映像作品全般は総合芸術.いろいろな人の思いが積み重なって構築されているのは確か.裏事情も想像しながら観るとおもしろい.

なんとなく終末観

2020/2/28 Fri

さて,どう行動すべきか.

OLYMPUS TG-5

新型コロナウイルスの感染拡大予防のため,市内小中学校が休校となった.
当初は1週間の予定だったが,首相が全国の公立校全てに休校を要請したため,どうなるのかさっぱりわからん状況.

24日の祝日および有給取って休んだ昨日も,通常であれば子供らを連れて外出することが多いが,今回は人混みを避けるようにした.
結果,3人で丸一日自宅待機でレゴ三昧.

ヨメさんは祝日も含め通常勤務なので,外から持ち込む可能性もないではないが,そこは医療関係者,対策はしっかりしているので大丈夫でしょう.

旭川では有名なとんかつ屋の経営者が感染後,店の名前を公表し休業したことが話題になった.
この方の他人に迷惑をかけたくない男気が評価されるとともに,日本人はこの手の話が好きやから,終息後は人気店になるんやろなぁといらぬ邪推もしたくなる.

一方で,クルーズ船で働いていた医療関係者(とその家族)が差別されるとか,人込みで喘息で咳き込んでいた人がいきなり罵倒されるなどの話も出回っている.
こういうのがエスカレートすると,原作版『デビルマン』のような不信感の増大から悪魔狩りへ,そして人類滅亡へという悪夢のシナリオ.
そうならないことを望むが,いずれにせよ,今回の災厄は東日本大震災並みに人々の意識を変えるような気がする.

今回のウイルス騒動が始まる少し前にKindle Unlimitedにて,一色登希彦の『日本沈没』を読んだ.
小説ではなくコミックである.
全15巻全てがUnlimitedで公開されていたので一気読みした.

日本沈没 1巻

何しろものすごい熱量のコミックであった.
確かにイマドキの液タブマンガと比べると画は荒いし,キャラ設定は途中で崩壊するし,ストーリー展開も全然スマートではない.
でも,それが日本沈没(ようするに地震と津波)という未曽有中の未曽有災害の中,そりゃ人がここまで壊れるのもさもありなん...という説得力がある.
小松左京の原作小説も何十年か前に読んだが,むしろ藤岡弘主演の映画版が印象に残っている(アルマゲドンもどきの草薙くんのアレより数倍面白い).

【東宝特撮Blu-rayセレクション】 日本沈没

そのおぼろげな記憶からでも,このコミック版は,「あれ?こんな話だったっけ?」的な描写だらけで,“日本が沈む”というプロット以外はほぼほぼオリジナル.
時代も現代(2000年ぐらい?)に変更されている.
前半は割と冷静に緻密に描いているのだが,後半にかけては,話の整合性やバランスを無視した叩付けるような怒涛の展開.
地震で壊滅状態の首都ではデビルマンな描写!
しかもこの作品,阪神淡路後,東日本の前の作品というのが感慨深い.
なぜこのコミック,あまり話題にならなかったのだろう?
クセが強すぎるから?

ラストはSF的(クラーク『幼年期の終わり』っぽい).
難民となる日本人が海外に散り散りになるのだが,その受け入れ条件と求められる”ふるまい”がちょいと理想的すぎるかなぁ...
全編,かなり政治的メッセージも多いので抵抗ある人いるかも.

著者の一色さんの作品では他に競馬漫画の『ダービージョッキー』,オートバイ漫画の『モーティブ』がUnlimitedで公開されている.
後者のみ読んだが,これまた熱い.
高校生が読んだら人生変わりそう.

いずれにせよ,何となく終末観漂う今日この頃,こうしたコミックや映画はいかがだろうか.
楽しめるかどうかはともかく,平時に鑑賞するのとはまた違った体験ができるかもしれません.

『ER 緊急救命室』配信開始!

2020/2/13 Thu

Amazon Prime Videoは時間泥棒.

ER緊急救命室(吹替版)

最近,海外医療ドラマの最高峰,ER 緊急救命室の配信が開始された.ご存じの方も多いと思うが,この番組,めちゃくちゃ長期シリーズである.50分×25話×シーズン15,つまり単純計算で全部観ると約312時間!(プラス番外編もあり)

NHKの放送時,よく観てたなぁ.こまめにVHSやDVDに保存(見返さないのに).ちょうどその頃は急性期病院に勤務してました.医者ではないのであそこまで忙しくないものの,何か仕事のモチベが上がるドラマだった.医療者側,患者側その他の登場人物の生きざまがグイグイと胸に迫ってくる壮絶なストーリー展開.嫌でも生きるとは何か,死とは何かを考えさせられる.
同時に,アメリカには絶対に住みたくないと思わせる効果も抜群.銃,貧困,差別,酒,ドラッグ,移民,ジェンダー,エイズ,宗教,戦争などのアメリカが抱える問題てんこ盛り.それにドラマとは言え,凄まじいパワハラ業界.公私ともども,どうしてここまで互いに不寛容?(一方で超ドライ).病む人続出しそう.出演者の降板劇も残酷.あぁグリーン先生...

それでも見ごたえたっぷりなドラマなのは間違いない.
視聴方法としては,“誰か買うねん”的な豪華90枚セットのDVD-BOXもあるが,こういうのって,いわゆる老後のお楽しみグッズ.買ったはよいがだいたい本棚の守護神になりがち.

ER緊急救命室 シーズン1-15 DVD全巻セット

ところがネット配信になると話は別.iPadさえあれば家中どこでも,何をしてても鑑賞可能! 字幕版と吹替版の両方があるが,このドラマに限っていえば絶対に吹替版をおすすめ.治療シーンでは超早口の専門用語が機関銃のごとく繰り出されるので,字幕ではついていくのが困難なのだ.

Kazchariも20数年ぶりに絶賛ドはまり中.ここ一週間でシーズン1をクリアした.特に印象的なエピソードは第19話「生と死と」やね.TV放送の時も感じたが,これだけ緊迫感のあるドラマはそうそうない.もう怖くて怖くて...ヨメさんも,この回だけは見れないらしい.

24 -TWENTY FOUR- (吹替版)

実は,Kazchariは海外ドラマが苦手で,最後まで見通したのは『24 -TWENTY FOUR-』ぐらい.評判の良い『ウォーキングデッド』や『メンタリスト』は数話で挫折した.

というわけで,『ER』づいてる昨今ですが,たまたま海外ドラマあの人は今的なサイトを見つけて,今のお顔を拝見.

【あの人は今】ER緊急救命室で活躍したキャストたちの今

みんなむっちゃ老けたなぁ...(オマエモナー( ゚Д゚)/)

出世頭のロス(ジョージ・クルニー)を始め,現在もドラマ中心に活躍している方が多いが,グリーン先生(アンソニー・エドワード)って,若い頃は『トップガン』(1986)のグースだったとは...気づかなかった.まだ髪の毛あります.

フォーガットン [DVD]

『ER』降板後では,何と言っても『フォーガットン』(2004)でしょ.この映画,まさに超展開中の超展開! 誰も予測できない.一部マニアの間では“バビューン”と言われています.おすすめ.

『奇跡の2000マイル』を観た

2020/1/23 Thu

ロードムービーは難しい

奇跡の2000マイル(字幕版)

Amazon Prime Videoで映画『奇跡の2000マイル』を観た.もちろんZwiftしながら2日に分けて.

この映画の前に,ロバート・レッドフォード主演の『ロング・トレイル!』を鑑賞.80歳になろうかという名優の,いや,じいさんの旅に共感.後半に少しだけ事件が起こるが全体にゆるーい雰囲気で話が進む.基本的には毎日同じことの繰り返し.長旅ってこうでしょう.主人公のつぶやきはレッドフォード自身のそれなのだろうか.

で,この『奇跡の2000マイル』(原題:『TRACKS』)の話である.こちらはノンフィクション小説がベース.70年代.オーストラリア在住の20代前半の女性が人生に悩み,家族や故郷から離れて(あくまで国内ですが),ラクダを調教し,その後,7ヵ月の砂漠横断にチャレンジする話.

原作『ロビンが跳ねた―ラクダと犬と砂漠 オーストラリア砂漠横断の旅』は1990年に邦訳が出版されているものの現在絶版.Amazonでは上下巻の上だけ読んだ人のレビューが一つだけアップされていたが,これがまぁ不評.元々文才がない上に前半は愚痴が延々と続き,単なる旅日記になっているそうな.まぁ想像つくわな.原書はkindleで入手可能.試しに市立図書館のサイトで検索をかけた所,蔵書していた.とりあえず借りてみよう.読み切れる自信がないけど.

Kazchariはオーストラリアに行ったことはない.PNGで知り合ったオートバイおたくのJamesから,いつでも遊びに来いと言われているのだが,何故か興味がわかない未踏の地.

バックパッカー間で一世を風靡したかの有名な落書きがある.

金の北米 女の南米
耐えてアフリカ 歴史のアジア
何もないのがヨーロッパ 問題外のオセアニア
豊かな青春,惨めな老後

こいつのせいかもしれない.Kazchariはこの落書きが書いてあったとされるバンコク楽宮旅社に1993年に泊まったことがあるが,それはまぁ味のあるホテル(というより牢獄)でした.一階の北京飯店のメシは美味かった.パッカー達のたまり場がチャイナタウン(楽宮,ジュライ)からカオサンへ移行する時期だった.

昔話はさておき,以下,映画の内容に触れます.

【良かったかもしれない点】

・わざとらしい感動を狙っていない.
・映画的というより,ところどころで写真的な構図が美しい.
・砂漠映画だがあまり空撮に頼っていない
・人恋しさからつい〇〇してしまう気持ちはわかる
・しかし,カイロ・レン(ことアダム・ドライバー)がアップの時には,なぜか顔にハエがたかる.“うざい”の暗示?
・アポリジニの案内人役が素晴らしい.
・海.
・エンディングロールで原作者の写真が映される.もちろん女優さんより重装備.ついでによりオーラがある.

【ここはちょっと...】

・邦題が良くない.距離を出した方が印象に残るから? 欧米の書籍や映画の原題って素っ気ないモノが多い.読む側,観る側の想像力にまかせるってことか.
・そもそもオーストラリアってキロ表示じゃなかったっけ? 昔は違う?
・はたしてこれは一人旅なんだろうか? 登山物やったらアウト.
・どうしてラクダに乗らず,歩くのだろう? 乗り心地の問題?
・ノースリーブ,パレオ,サンダル,帽子無し,サングラスなし.この服装で砂漠旅?
・暑さと寒さがあまり伝わらないのはなぜ? 寒暖の差が激しいと思うのだが.
・主役の顔がキレイ(美人という意味ではない).汗かかない.渇きに苦しむ場面がほとんどない.日焼けも翌日完治.
・犬事件後,裸でうろつくシーンは事実? いきなり脳内ファンタジー路線?
・途中のバイクライダーの意味は?(スズキ400で記録を作る云々とか言っていたが)

どこまでが演出で,どこまでが原作に忠実なのかわからないが,結局,この主役って何者なのだろう?

父親は冒険家(研究者?),母親は自殺,愛犬と引き離され,(心配はしてくれる)友達はいるけど,親しみは全く見せない.計画性があるのかないのかよくわからない.知恵と工夫で乗り切った描写も特にない.最終的に何かを悟った感もない.この主役にどう共感しろと?

ようするに,登場人物の心情を含めストーリーへの没入感はおいといて,美しいビジュアルを観るのが目的なら満足いくかも.当時のナショナルジオグラフィックに掲載された写真は素晴らしい.本映画撮影時のイメージボード集(?)も販売されている.

Inside Tracks: Robyn Davidson’s Solo Journey Across the Outback

『奇跡の2000マイル』,ラストの砂漠と海の対比はオススメです.

ちなみに,現時点で最強のロードムービーはこれだと思います.

世界最速のインディアン