『シン・エヴァ』公開前に(その2)~貞本版を再読

2021/1/24 Sun

人,いやKazchariの記憶はあいまい.

iPhone11 Pro

少し前に中田のYouTube大学に触発されて『シン・エヴァ』のネタを書いた.

『シン・エヴァ』公開前に

中田の考察動画では貞本エヴァ,いわゆる漫画版の内容についてほとんど触れていない.
Kazchariも「確か旧劇に沿った内容で終わらせたよなぁ...」程度の認識で,内容をほとんど忘れていた.
そこで,あらためてKindleで全14巻購入済みだった貞本版『新世紀エヴァンゲリオン』を再読してみた.

以下,何を今さらの貞本エヴァのネタばれ.

いやぁびっくりした.
まず,最終14巻は2014年11月発行
つまり貞本エヴァ最終巻は『Q』公開年,2012年の後に発行されている.
ただし内容的に『Q』とのからみはほぼない.

貞本エヴァのストーリーラインは基本的にTV版+旧劇場版を踏襲.
ここでもハブられるジェットアローン...

後半になると,新解釈や各キャラの過去や心情が盛り込まれている.

まずシンジくん,TV版よりやや明るい性格に変化.
モノローグパートもユーモアがある.
とは言え,NERVに来る前の暗い生活も追加.

加持さんの過去描写あり.
セカンドインパクト後,どういう生活をしていたのか追加.
それで今(29歳)の言動に肉付けしていく.
孤児になって軍の施設から盗みを働くとか,『創聖のアクエリオン』とかぶる(ただの偶然).
リツコ(たぶん)に撃たれて,死ぬシーンがちゃんとある.

キャラの大幅変更があったのがカヲルくん.
TV版よりだいぶ早めに登場(使途によるアスカの精神汚染前).
いきなり子猫を絞め殺すなど,理解不能の“嫌なヤツ”になっている.
と思いきや,“ヒト”らしい感情のゆらぎもある.
むしろ『Q』のカヲルっぽい?
まぁ,使徒は使徒.

旧劇で一番フラストレーションがたまるのが弐号機vs量産型の戦闘.
再生能力を備えた9体の量産型エヴァに蹂躙されてしまう弐号機.

観客としては,直前のシンジとミサトのからみもあって,初号機が間一髪で出撃し,量産型をバッタバッタと投げ飛ばしアスカを助ける...描写になると思いきや,映画ではシンジくんは何もできず,そのままサードインパクトの依代にされていまい,「うわーうわー」と叫ぶだけ...
貞本版では,そこが改善され,初号機がちゃんと戦います.
結局は量産機に追い込まれてしまうけどな.

そして一番の驚きはゲンドウ.
階段の下でやる気なく落ち込んでいたシンジを戦自の兵隊が銃殺しようとする.
それを助けるのはなんとゲンドウ.
右手に埋め込んだアダムからATフィールドを発現(!)し,シンジを救う.

でも,その後は唖然.

なんとシンジに対して「俺はユイの愛情を一身に受けるお前が憎かった」とかなんとかほざくんですよ.マジか?

そもそも,一般常識的に息子を愛さない夫を,その嫁さん認めますか?
認めるような家庭があったら機能不全の虐待家族では?

まぁ,ゲンドウがそういう人物だったということなのだろうけど,そうすると,そんなゲンドウに惚れたユイもどうかと思われる.
ようするにTVも映画も漫画も,ユイという人物の掘り下げが浅い気がする.

しかし,これでますます『シン・エヴァ』最新予告の13号機vs初号機は,実はゲンドウvsユイ(+シンジ)の可能性がKazchariの中で大幅にアップ.
つまり,エヴァとは「全人類を巻き込んだ夫婦ゲンカ説」が最有力候補に...

なんてこった.

これって,岡田斗司夫がかなーり前に冗談半分で言ってた説やん.

で,ラスト.
シンジくんはみんなが一つになる「人類補完計画」をやっぱり拒否し,個体としての人類再生を選択.

貞本版にアスカの頸を絞めての「ギモヂワルイ」はありません.

TV版にあった「パンを咥えて走る明るい綾波」ほどではないが,“その後”の世界は描かれる.

シンジは高校受験のために上京.
そこでケンスケやアスカと出会う.
季節は冬.雪が降っている.

おっ,そう言えば『シン・エヴァ』の少女時代らしきアスカも冬装束やったな.
やはり転生(?)後の世界が描かれるのか?

巻末のおまけ漫画が衝撃的.
なんとマリが登場する.
そして,先ほどキャラの掘り下げに不満があった,ユイの人となりが少しわかる.

というわけで,6年も前に完結していた貞本版で,割とすっきり片が付いていたのねん.

かようにヒトの記憶はあいまい.

とかなんとか書いてはいるが,そこはエヴァ.
こちらの予想をめちゃくちゃ裏切ってくる可能性も残っている.
そう,冒頭のパリでの戦闘も予告も全部ウソ!...だったりすると面白い.

この26年間,エヴァに関してはもうありとあらゆる考察がなされてきた.
また,ループ,転生,パラレルワールド,メタなどありとあらゆる可能性を用いたポストエヴァ的な創作物も作られ続けてきた.

『シン・エヴァ』はそれらを大きく上回ってくるか?

どのようなどんでん返しがあろうとも,「エヴァらしいね」と言われるに違いないが.

『シン・エヴァ』公開前に

2021/1/20 Wed

さようなら.全てのE.

iPhone11 Pro

新コロ感染拡大中のために,全世界数億人が楽しみにしていたであろう,「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開が再度延期になってしまった.

エヴァンゲリオン公式サイト

まぁ,往年のエヴァファンは延期慣れしているので「いつものことですよ」という声多数.
たいして失望もしていなかったりする.
「楽しみが先に延びた」という程度の認識.

これまでも,情報が小出しに公開されるのもエヴァの特徴.
その度にファンの考察合戦も熱をおびる.

Kazchariも予告や考察サイトなどを時々見る.
百花繚乱で面白い.
『シン・エヴァ』の内容については,細かな違いはあれど概ね以下のパターンが多いように思う.

(1)『序』⇒『破』⇒(予告にあった空白の14年)⇒『Q』⇒『シン』の4作でキレイに完結パターン.

(2)『旧劇』の続きが『Q』.『序』⇒『破』はパラレルワールド(転生).さらにTV版と漫画版のシンジくんら4人が一堂に介して「おめでとう」(おい).

一時流行った「notありなし」交互製作説はあまり聞かなくなったな.

岡田斗司夫ゼミで,試写会を観た人の感想が紹介されていた.

曰く「うん,実にエヴァらしい終わり方だった」.

誰も面白かったと言っていなかったのが気になるそうな.

さてそんな中,予定されていた日程(1/23)の公開直前大型企画として,中田敦彦がYouTube大学で「新世紀エヴァンゲリオン全力解説」を配信.

これ,マジですごかった.

覚悟の約5時間.

一応前後編やけど,中田自身はずっとワンカントでしゃべくりまくってる.
映画『1917』どころとちゃうで.

YouTube大学と言えば,古典,ビジネス書,健康本は元より,アニメ,漫画解説までバラエティに富むネタを提供していることで有名.
チャンネル登録者数は驚きの346万人.
収益どのくらいやねんやろ?
そのせいかどうかわからんけど,税金対策でシンガポールに引っ越すとかどうとか.
単純にうらやましい.

他人の本を紹介しているだけだの,解釈が間違っているだの,偏向しているだのとの批判もあるようだが,それは視聴者側の問題であって,鵜呑みにする方がどうかしている.
思索の幅を広げるネタを提供してくれるありがたいチャンネルである.

話をもとに戻す.

このエヴァ解説回.
なんでこんな狂気のボリュームになったのかというと,エヴァ未見の人も対象にしているから.

通常,エヴァの考察はTV版は元より,旧劇,新劇,漫画版,さらには他の考察動画までを一通り見ている人,つまり内容を知っている前提で進められることが多い.

しかし,この動画は違う.
TV版の第一話から丁寧に解説している.
さすがにジェットアーロンとか,マグマダイバーとか,ウイルス使徒の話はパスしてたけどな(わかってしまう自分が怖い).

思えば,26年前の本放送も途中からの鑑賞.
「ネルフ,誕生」からやったかな.
第拾九話の「男の戦い」がいろんなところで話題になっていて,あわてて友達に録画テープを借り,最初から一気見したのが懐かしい.
あの頃盛り上がっていたのはNIFTYの掲示板.
確か『エヴァンゲリオン邪推委員会』とかいうフォーラムがあって,その日の放送終了後はみんなが適当な考察を書きこんであーでもない,こーでもないと論争していたのが懐かしい.

第弐拾四話「最後のシ者」で最高の盛り上がりを見せた後,やってきた...伝説の最終二話
まさに放送事故.
このあたりの中田の渾身の解説,もう大爆笑.
色々と家事をしながらも約5時間,堪能させてもらいました.

そして,Kazchariの次の行動は...
(この動画にモロに影響されて)TV版のエヴァを最初から観ること!

現在Amazon Primeにて新劇は配信中だが,さすがにTVや旧劇は有料.

ふっふっふ,こんなこともあろうかと,当時の放送を録画した「VHSテープ」を残してあるのだ!
幸いデッキもまだ稼働中.
早速昨夜,3本ローラーを漕ぎながら鑑賞.
おお,4:3画面だ!

最近は新劇ばかり観ていたので,壱話と弐話でカットされた部分がものすごく新鮮.
少々アレな作画も含め,26年前の空気が蘇る.

いまだ上映日は決まっていないが,何らかのカタチでエヴァは未来永劫続くような気がする.
それこそ『ガンダム』のように.

本編の中身を知らず作詞されたという『残酷な天使のテーゼ』だが,ここまでの歴史だけでも十分「神話」たりうる.

さかのぼって『メカニック』を観た.

2021/1/13 Wed

ステイサムは同級生.

メカニック (吹替版)

「Amazon Prime Video」の検索・表示システムがアレなので,続編と気づかず,先に観てしまった『メカニック:ワールドミッション』
ツッコミどころ満載でなかなか楽しかったので,前作の無印『メカニック』も観ることにした.
劇場公開は2010年とある.

結論.

意外にシリアスな展開で,娯楽要素を増やしシリアス感が減った続編とは別物感あり.
あえて言うなら『ランボー』と『ランボー2』の関係に近い.
つまり別映画として観ても何も問題なし.

以下,ネタバレ全開でストーリーと感想(ほぼ実況).

この世界では,証拠を残さず事故死や病死に見せかける暗殺者を「メカニック」と呼んでいる...

まず,主人公アーサー(ステイサム)のプロ技を見せつけるシーンからスタートする.
プールで泳ぐ麻薬王を溺死に見せかけて殺害.
ターゲットが泳ぎ始めるまで水中でボンベ咥えて待機?
いやいや続編でもあったやん,ターゲットの行動把握シーン.
だから問題ない.

どこから侵入したかは不問.
おっ,プールで殺しって,続編にも引き継がれているなぁ.
実行後,アリバイ(?)作りのため,死体の手を持って泳いでいるように見せかけるのはさすがに無理がある.

ザル警備な屋敷から逃亡し,橋から飛び降りて川に着水.
ボートの縁をつかんで逃走.なぜ?
そもそもボートの人は仲間ではない?

街中のカフェで殺しの元「師匠(キーファー・サザーランド)」に会う.
師匠は車椅子に乗っている.自走しているので高齢というよりもアクシデントによる脊損?
息子のスティーブの話になる.
(カタギの)仕事を紹介したりしているが,人生うまくいっていないようだ.

ステイサムに新たな仕事の依頼が.
そのターゲットはなんと「師匠」だった.
「師匠」は組織の敵対勢力に買収されて情報を流し,味方のメカニックが5人ほど殺されたらしい.
「雇い主」からは裏切り者の「師匠」を消せとの指令が.
ここでステイサムはなぜか疑ったりしない.
他人を疑い出したらキリがない業界だから?

早速ミッションスタート.
「師匠」に狙われているから逃げろと電話連絡,逃走路を指示する.
車椅子で階段を降りるなど無茶な指示でたどりついた駐車場には,銃を構えたステイサムが.
ここで「師匠」は全てを察するが,特に言い訳もしない.
ステイサムもさほど躊躇せず引き金を引く.

先にネタバレすると,「師匠」も「雇い主」にはめられていたわけだが,何の弁解もなかったのは「師匠」にもやましい点があったから?
それとも,もう人生に飽き飽きしてて,「弟子」のステイサムに殺されることを本望に感じていたから?(ラストの展開からすると後者っぽい)
いずれにせよ,視聴者(Kazchari)側に違和感の残る演出(まぁこの手の映画あるあるですね).
この時に「師匠」特注の“白い拳銃”をステイサムが受け継ぐことになるのだが,一応これも伏線.

数日後「師匠」の墓前にて,例のダメ息子のスティーブがたたずんでいる.
ステイサム,声をかける.
不肖の息子である自覚はあり,親父に迷惑をかけ続けたことを悔やんでいる.
「クルマ強盗(ということになっている)に復讐してやる」と息巻いている.
何とも複雑な心境のステイサム.
スティーブをほっておけない的な感情が少し芽生えつつある.

さて,スティーブは宣言通り,自らを囮にしてクルマ強盗に襲わせようとする.
親父を殺した犯人...というよりクルマ強盗を消していけばいつかは犯人に...という無茶な論法.
意外に度胸のあるスティーブ,エサに引っかかった強盗をボコボコにし,もう少しで殺しかける.
そこへステイサムが登場し,強盗を逃がす.

ステイサム,そこまで覚悟しているならとスティーブを自分の弟子にし,暗殺のテクニックを伝授することを決意する.
たぶん,このまま無茶な行動をさせて,警察に御用になったり,返討ちに会って殺させなくないという心情が働いたのであろう...って,殺し屋の論理ですね.

修業開始.

この手の映画って,ここのパートが重要だと思うのだが,少々雑.
基本的に射撃練習シーンばかりで,体術,変装術,暗殺アイテムの扱いなどのワクワクシーンがほぼ皆無.

一応,実施研修にて,目の前でスマートな殺しを見せるが,えっ? それだけ?

いよいよスティーブの初仕事.
「子犬を飼え」「同じカフェに3週間通え」などの謎指示をすんなり受けいれるスティーブ.
もちろんこれには意味があった.
今回は「身長2m,体重135kgのチワワと若い男好きな他組織のおっさんメカニックを事故にみせかけて殺せ」とハードル高めのミッション.
ターゲットに一般人と思わせ,声をかけさせるための子犬とカフェ通いだったのだが,遠回り過ぎるやろ.
しかも,組織に黙って新人の弟子に任せるって,ステイサムのプロ意識はどういう基準?

スティーブが“若い男”なのかどうかはさておき,とりあえず,この巨漢ゲイに目をつけられることには成功.
計画ではバーで飲み物に薬を入れての毒殺だったはずが,スティーブくん,どうもそれが卑怯に思えたらしく,憧れのステイサム先生同様のスマート絞殺にチャレンジ.
ここで「やめとけ.中二病か」と叫ぶで.

第一撃は見事に失敗し反撃をくらい乱闘へ.
あーおしゃれな部屋がぁー,家具がぁー.
身近の刃物や鈍器で反撃し,ボロボロになりながらもなんとか倒す.
仕上げに口の中に毒物をアンプルごとつっこんで終了.

※続編も同様だが,このシリーズ,基本的に暗殺が暗殺になっていません.

この弟子一人にはまかせておけんと思ったのか,次のミッションは二人でチームプレイ.
ここはアクションシーンを求める視聴者へのサービスパートやな.

今度は怪しい宗教指導者がターゲット.
いつものごとくザル警備の中を部屋に侵入,壁に潜伏.
どうやら説法前に麻薬(ケタミン)を使ってトランス状態になることが習慣化していたようで,正直いつ死んでもおかしくない状態.
ただし,ケタミンは暗殺のために用意したアドレナリンを中和してしまう(たぶん)ので計画が狂ってしまった.
ミッション中止を提言するスティーブンに,ステイサムはファイバースコープをノドにつっこみ窒息死を図る.

※このシリーズ,基本的に暗殺が暗殺になっていません.

脱出のタイミングを計るため,再び壁の中に隠れる二人.
異変に気付いた部下たちが部屋に乱入.
スティーブのミスで,ネジが壁の外に転がり,存在がバレてしまう.

ここからは銃撃&格闘戦.
主人公補正でステイサムとスティーブには弾が当たりません.
それにしても,この二人は覆面もせず,顔出しすぎ.
この世界では顔写真一枚あったら,すぐに検索されて身元がバレる設定やのにな.

なんやかんやでロープダイビングでビルから逃走.
別々の飛行機でアジトへの帰還を提案するステイサム.
何を今さら感.

さて,空港にてステイサムは「師匠」の裏切りによって死んだはずのメカニックを見かける.
不審を抱いて後をつける.
まぁ,だいたいこのあたりで真相に気づいてきたかも.
バスの中での質問から乱闘へ.
スーツケースの仕込み刃をかわし,バス内の備品を使って反撃.
もちろんその力量差からステイサム圧勝!
バスから放り出された敵はクルマに轢かれて死す.
大騒ぎの空港から悠然と立ち去る.

※このシリーズ,基本的に暗(以下,略)

自宅へ向かうボートが置いてある桟橋に着くと,舟番のおじさんがいない(わかりやすい描写).
そこへクルマでどやどやと乗り付けるザコ.
暗殺のプロ集団設定はどこに...
お約束通り,ちょちょいのちょいとステイサムに返り討ちにあう.
これまたお約束で,電話をかけると「雇い主」が出,ステイサムに脅され返されてしまう(死亡フラグ).

一方,先にアジトに着いていたジェームスはリビングにて,これまたザコ手下どもに囲まれている.
ステイサムから電話で隠し銃のありかを教えてもらうとザコどもを一掃(レベルあがりました!).

「殺られる前に「雇い主」を殺る」というステイサムに装備の準備を頼まれるジェームス.
クルマのガレージで,何と親父(師匠)の“白い拳銃”を偶然見つけてしまい,ステイサムを疑い始める.
どうしてそんな所に置いといたー!

記憶していた指輪のデザインから「雇い主」のボディガードの自宅を突き止め,その妻子をネタに.「雇い主」の居所を教えろと強迫するステイサム,
娘の手をミキサーにかけようとするシーン,今作のステイサムならやりかねん(やってないけど),と思わせるのは上手い.

ここからのクルマの中での,ステイサムとジェームスの会話が良い.
これから重要なミッションとなるが,二人の息が合っていないと成功しそうにない.
遠回しに遠回しに探りを入れるスティーブ.
バレていることに気付いているが,気付いていないフリをしているステイサム.
どちらかダイレクトに告白してしまえば,車中で殺し合いになりかねない.
ここは俳優の演技力が試される名場面ですな.

そこでKazchariは想像した.

ラストバトルで「雇い主」がジェームスに真相を話してステイサムを裏切らせようとするシーンがあって,でもここに至るまでの二人の思い出がよみがえっての葛藤,ステイサムも「お前ならオレを撃ってもいい」とかなんとか言って,スティーブが「撃てませ~ん」とかバナージるシーンを...

いやいや,全くそんなベタにならなくて良かった.

そんな妄想はさておき,「雇い主」のアジト着.
ビル内での銃撃戦かと思いきや,それはさっきやったということで,今回はド派手なカーアクションへ.
ステイサムと言えば,こっち...いや,今作は確か暗殺が本業...

ゴツい護衛車両数台でどこかへ逃げようとする「雇い主」.
まず,ステイサムが乗用車を護衛車両に横からぶつけて隊列を乱す.
すかさずフィークリフト付きトラックに乗り換えて,「雇い主」のクルマを追う.

前方から,盗んだバスを運転するスティーブが突撃!
挟み撃ちにあった「雇い主」のクルマはなんやかんやで横転.
そこへ銃を構えた無傷のステイサムとスティーブ.

もちろん情けない命乞いや,先ほどの妄想にあった「そいつが親父(師匠)のカタキだぁ!⇒葛藤」みたいな展開も全くなく,「雇い主」はあっさりハチの巣(どころか撃ち過ぎ).

※ここはアメリカの都市部です.どこが暗(以下,略)

さて,ここからいよいよクライマックス.

アジトに戻るクルマの中で今後について話す2人.
ステイサムは名前を変えて潜伏生活に入るという(ブラジルに行くわけですな).
スティーブは未定.一人でメカニックとしてやっていける?
相変わらず探り合いは続く.

しかし,この時のスティーブの行動が興味深い.
まず,例の“白い拳銃”をステイサムにわざとチラ見せ.
「落とし前をつけないと先に進めない」という決意めいた言葉を呟く.

ここから,スティーブによる師匠,ステイサムへの“お試し”が始まる.
立ち寄ったガソリンスタンドにて買い物にかこつけ,クルマから降りるスティーブ.
給油口からガソリンをわざと漏れさせ,ステイサムを火だるまにする作戦.

数回「これが最後だ.必要なモノはないか」と尋ねる.
ここ,実に良い.
スティーブの「凄腕の師匠を倒したいけど,倒したくない」的な二律背反心情があふれている.

もちろん,ステイサムもこれから自分が殺されることはわかっている.
自分の師匠,つまりスティーブの親父を殺してしまったことへの呵責もある.

スティーブ,拳銃でステイサムが乗るクルマを撃ち,爆発・炎上させる.

スティーブは1人で,まだ死体が転がるアジトへ戻る.
ステイサムを殺したことを後悔しているような悲しい表情.
ここはあれですな,2代に渡る師匠殺し後の後悔を重ね合わせているわけですな.

ふと思い立ったように,隠し扉が開く秘密のレコードをターンテーブルにセット.
そして,納屋にあったクラシックカーで旅立つスティーブ.
なかなかエンジンがかからない...まっまさか...

と,無事エンジン始動.
ここで一旦視聴者を安心させてからのぉー...ドカーン!

クルマも家も大爆発.
爆発の少し前,助手席に置いてある手紙に気づくスティーブ.

そこには「これを読んでいるということは,お前はもうじき死ぬ」と書かれていた.

読んだ後,スティーブがニヤリと笑う.
その表情は明らかに「やっぱり負けたか...」と語っていた.

後日,ガソリンスタンドの防犯ビデオに燃えるクルマから脱出するステイサムが映っていた...別にこのシーンはいらんけど,『ワールドミッション』でも同じ終わり方してたな.

はい.つーことで,能天気な続編よりも一作目の方がシリアスで面白かった..
ツッコミどころ満載なのはどっちもどっちですが.

色々,調べていて知ったのだが,『メカニック』という作品そのものがリメイクだったらしい.
オリジナルの主演はなんとチャールズ・ブロンソン.
髭に帽子でマンダムなブロンソンですよ.

こちらは未見だが,キャラ造形的にも適役.
偶然知ったが,こちらはラストシーンが異なるらしい.
ということは...ゲホン,ゲホン.

『メカニック:ワールドミッション』を観た

2021/1/11 Mon

こういう映画は貴重.

メカニック:ワールドミッション(字幕版)

まず,Amazonからあらすじをコピペ.

殺し屋稼業から足を洗ったビショップ(ジェイソン・ステイサム)のもとに暗殺の依頼が入る。
それは幼少期に暗殺者して一緒に育てられたクレインからだった。
彼は過去にビショップに見捨てられたことを恨んでいたため、一度は依頼を断るが、
ジーナ(ジェシカ・アルバ)を人質にとられ、やむなく復帰する。
ターゲットは武器商人として世界を裏で操る3人の巨大フィクサー。
やがてビショップは成功/失敗にかかわらず死が待つことを知る。
しかも、クレインはこの世でただ一人、ビショップの弱点を知る男だ。
果たして、超難関のミッションの行方は?そして、クレインの真の目的とは――?

あれ? これって続編やん.
ステイサムのヒットシリーズ『トランスポーター』の新作かと思ったわ.
別のシリーズやってんな.
でも,キャラ造形はほぼ同じ.
クルマの運転の代わりにやたらに泳ぐシーンがあるぐらい.

先日,Zwiftの友としてこの映画をチョイス(98分).
ホンマは別のを観ようと思っててんけど(『籠の中の乙女』),もう最初から不穏かつウツな展開でココロが折れそうになったので「戻る」ボタンを押した.

さて,この『メカニック:ワールドミッション』
原題は「Resurrection」.
つまり旧作から5年ぶりの「復活」ということか.

で,感想は...
もう冒頭からツッコミどころ満載!

- ハングライダーに上空から飛び乗って浮力は大丈夫なのか?
- あれだけ観光地のレストランでぶっ殺しまくったけど警察の捜査は?
- 自分のヨットも悪人ともども爆破!
- あれ?アジア系っぽい悪役女性の出番はあれで終わり?
- 港のコンテナ.てっきりスーパーカーが隠してあるのかと.
- お約束の複数パスポートと携帯電話とドル札は世界中のアジトに隠してあります.
- 写真だけで襲ってきた女性の身元判明.どこに接続した?
- タイの島(字幕ではリペ島)の風景は素晴らしい☆
- ジェシカ・アルバ.主人公を騙すのに,どうしてDV被害者のフリ?
- ジェシカ・アルバ,元々特殊部隊なので”時々”強い.
- ジェシカ・アルバ,部隊を抜けてカンボジアのNGOで孤児の支援.一人で?(同僚が殺された?)
- いずれにせよ,夫役の男を事故死させてしまうステイサム.またもやヨットを爆破!
- その前に船内捜索でジェシカの目的を知る.えっ?
- 島のオーナー.なぜかジェシカをステイサムのバンガローに寝かせる.
- 正体を知った,知らされた後もやたらに無防備なステイサム.
- そのジェシカ・アルバ,不自然に脱がない.
- タイの警察やらクラインの部下が島に来たのに,ステイサムとジェシカはいちゃいちゃ.
- 結局,捕まってしまい,クラインのアジトへ連行.爆弾付きの椅子に座らされるが何の意味が?
- マレーシアの絶海の孤島型刑務所に潜入するが,時間もないのになぜか凶悪犯に変装する手間.
- 爆弾やら,発火装置,サメ除けクリーム(!)などを刑務所に隠して持ち込むが,どうして取り上げられないとわかる?
- アフリカ人のボスを狙う隠しナイフ義手の男は誰?
- 結局,ステイサムがボスを殺すが,あの状況で事故死扱いは無理があるのでは?
- シドニーの武器商人はなぜか恥ずかしがり屋.ガウンを脱ぐとき手下に見ないように睨む.海パンはいてるやん.
- 化学変化で膨張する樹脂を使って,プールを破壊.事故死に見せかけ...って派手過ぎて事故になるのか?

(以下,略)

えーっ,こうやって書いているとキリがないので,興味がある方は是非ごらんください.
かように穴だらけの脚本ですが,笑って許せます.
まぁ,あれですな.セガール映画と同じ.

良かった点をまとめると...
- 007シリーズ並みの世界ロケ(ブラジル,タイ,マレーシア,オーストラリア,ブルガリア).
『ボーン・シリーズ』ほどではないにせよ,格闘,銃器,コンピュータの扱いはもちろん,身近な日用品を武器にしたり,おまけに語学も堪能など,なかなかのチートぶり.
- トミー・リー・ジョーンズの怪演.

前作の無印『メカニック』を観たら評価が変化するかも.
今度観てみよ.

それにしても,日ごろお世話になっている「Amazon Prime Video」はコンテンツが多く楽しめるのだが,何しろ検索がし辛い.
例えば「映画」項目をクリックしても,視聴できる全ての作品が網羅されていない.
つまり,題名を知らなければ目当ての作品を見つけにくいという謎仕様.

さらにNHKやHULUなど他の配信サービスとも連携しているせいで,「あった!」と思ったら別料金だった時のがっかり感も半端ない.
もう”無料の”Prime Video専用で良いのでは?

歯痛大戦&2020年の思い出(10~12月編)

2021/1/5 Tue

いっそ思い切って,スケート靴でガツンと.

今日も歯痛との闘いは続く.
「ロキソニンで誤魔化せ」と言われても,副作用で胃が荒れるしな,この薬.

タイムスリップ物や漂流物,監禁物の映画で気になるのが,登場人物たちがキレイすぎること.
特に(最近の)日本映画はリアリティを欠く.

実際だと,服装の汚れは元より髪型や体臭が相当キツくなると思う.
Kazchariもかつてのアジア旅で,4日間程風呂なし生活を体験したが,それはもう自分が嫌いになるぐらい臭くなった.

以下の本でも印象に残っているのが,その悪臭描写だったりする.

恋するソマリア (集英社文庫)

逆にこっちの本はそこが弱かった.
ノンフィクションではなくあくまで小説やけどな.

砂漠の影絵 (光文社文庫)

両方とも面白いです.

ただ,不潔さに関しては慣れればなんとかなりそうだが,虫歯,歯痛はどうだろうか?
現代社会でさえ,すぐに解決せず,こんなに悩ましい.
当時だとロクに治療せず,抜け落ちるにまかせることになるか.
まぁ,昔の人は寿命が短いし,生物として考えれば咀嚼できなくなった時点でアウトなので,逆に悩まなかったのかもしれんが.

こうした点を含めてリアルに描いていた最高峰がトム・ハンクス主演の『キャスト・アウェイ』だろう.

キャスト・アウェイ [Blu-ray]

今日の昼食も辛かった.
はぁー,奥歯で肉を咀嚼する日はいつになることやら.

つーことで,2020年の思い出,残りの3ヵ月分である.

【10月】

2020年最大の健康問題は頸コリだった.
例年デスクワークの割合が増える春休みあたりに,症状が悪化するルーティンはあったが,新コロによるリモート業務が激増したことで夏を越えて秋になっても,“コリ”収まらず.

止むにやまれず整形受診やらマッサージ,鍼灸を経てようやくたどり着いたのがこの肩甲帯バンド

柔道整復師が考えた 姿勢サポーター 姿勢ベルト 男女兼用 (Lサイズ)

現在も愛用中.
休日はしていないが,いつ不要になるのか未定.

もう一つ,購入は5月だったが,毎晩愛用している(表現がアレだが)のがこいつ.

NIPLUX NECK RELAX

現在レベル8.
頸の筋肉のギューっ感が心地よい.
究極の安眠装置.

その他,10月と言えば,ジロの全ステージレビューもした.
GCNオンデマンド観ながら.
実にドラマチックなグランツールだった.

GCNレースパスで『Giro d’Italia 2020 Stage1』

【11月】

なんと言っても,ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンによる12年ぶりのバイク旅『LONG WAY UP』(Apple TV+)の視聴が印象に残る.

復活の旅番組『LONG WAY UP』

Kazchari自身も思い入れ深い中南米.
これまた視聴レビューしながら,かつての旅を思い出すのが楽しかった.

えっ? その後続けて再視聴したアフリカ縦断『LONG WAY DOWN』レビューが途中?
はい.やはりユアンの奥さんが登場して以降は書く気が失せました.
旅程は途切れていないけど,旅情は途切れたというか...
覚えてなかったけど,なんと実母まで登場しててんな.
日本のTV番組にありがちな演出と思っていたが,英国もそう変わらんことが判明.

ただ,南アフリカの話題としては,今は亡き『クレイジー・ジャーニー』で知った白人キャンプ(White Squatter Camp)の存在にびっくり.
貧しいゆえ,黒人の家にドロボーに入る白人がいるとは...知らなかった.

この2番組視聴後はAppleTV+の更新はせず.
iPad購入検討時に,『AirPods Pro』の空間オーディオ機能について知った.

AirPods Pro や AirPods Max で空間オーディオを体験する

それはぜひとも体験してみたいが,「AppleTV+」はコスパが悪すぎる.
定額+個別のコンテンツ料って...
ただでさえ『AirPods Pro』って30000円もする.
素直に映画館に行く方が満足できそう.

あっ,でもApple製品購入後は1年間無料視聴できるから,信者は心配する必要ないか.

Apple AirPods Pro

【12月】

有機ELテレビ『Panasonic VIERA TH-55HZ1000』の購入.
ホンマ,給付金のおかげで良い買い物した.

有機ELテレビを購入~Panasonic VIERA TH-55HZ1000

パナソニック 55V型 4Kダブルチューナー内蔵 倍速表示 有機EL テレビ Dolby Atmos(R)対応 VIERA TH-55HZ1000

パナのキャッシュバックキャンペーン(30000円!)で,予想以上に安く買えたのも幸運だったが,何といっても映像の美しさに大満足.
これまでのプラズマ→液晶乗り換えだったらここまで満足できなかったかも.

『Nintendo SWITCH』の画面も文句なしにキレイ.
アニメ『進撃の巨人』のオープニング,立体機動の動きがとんでもない!

だがしかし.
現状,唯一の欠点を発見.
パネルが薄すぎて『Wii』のセンサーが取り付け不可!
両面テープだけだと落ちてしまう.

「Wiiなんて全然してへんやん」というヨメさんの声はとりあえずスルー.
センサー側の面積を拡張したりといろいろ工夫中.

以上,2020年の印象的な出来事シリーズでした.

今年はブルベ・レース参戦ネタが書きたいものである.

大晦日とRapha#Festive500

2020/12/31 Thu

今年最後の達成感.

特に意識せず参加表明したSTRAVAイベント「Rapha#Festive500」
ようするに12/24のクリスマスイブから12/31までに500km走れば良いらしい.
従来は実走のみ認められるようだったが,このご時世(今回限りかもしれないが)である.ヴァーチャルもOKとのこと.
道民としてこれは助かる.

賞品?

キャニオンの自転車があたる抽選への参加資格がもらえる.
まぁ,当たらんわな.
ようするに”じこまん”の世界.

29日終了の時点で残り230km.
おっ,これは何とかなるかなぁと,まず30日に3本ローラー+Zwiftで140kmほど走破.

Zwift中はAmazon Primeで映画『YESTERDAY』を観た.

イエスタデイ (字幕版)

かわぐちかいじのマンガにも同じネタ(ビートルズがいない世界)の話があるが,特にパクったパクられたというわけではないらしい.
Kazchariは特にビートルズに思い入れがないので,小ネタにもあまり笑えず...微妙.
ただし「『white album』はポリコレ的にやばい」には笑った.

残りの時間は『ツール・ド・フランス2018』.

ツール・ド・フランス2018 スペシャルBOX(Blu-ray2枚組)

さて,31日の朝で残り90km.
昨日長距離走った割には体調すこぶる快適.
まず午前中に3本ローラーで約20km.

次に自宅2階部分の大掃除.
今年最後ということでファットくんでの外走行も加えたかったが,気温の低さと午後から荒れる予報にモチ低下.

おまけにアホ息子の宿題のサポート役を仰せつかり,時間がなくなっていく.

結局,14:20,残り70kmのZwiftスタート.
昨日もそうだったが,あまりにハードなコースだと挫折する可能性があるので,基本的に平坦コースをチョイス.
前も走ったけどマヤ遺跡の新コースがなかなか良い.

Zwift中はAmazon Primeで映画『ハドソン川の奇跡』を観た.

ハドソン川の奇跡(字幕版)

デンゼル・ワシントン主演の映画にも似たような話があるが,特にパクったパクられたというわけではないらしい.
脚色されまくった上記とは違い,こちらのトム・ハンクス版は監督がイーストウッドだけあって超超リアル思考.
泣けはしないが,静かな感動がある.
プロがプロの仕事した.
当たり前のことなのだが.

約2時間後休憩&補給.
レーパンを履き替える.
Zwift長距離ライドはこれがポイントやね.

つーことで,目標を少し越えたあたりで終了.
無事500km達成!
ずっとTTポジションだったせいか肩回りバキバキ.
シャワー後,ヒマそうな息子にマッサージを頼む.

MYTREXマイトレックス トータルボディケア マイトレックス リバイブ MYTREX REBIVE MT/BY-RB20G[ハンディ 振動 マッサージ マシン]

OLYMPUS TG-5

これで今年は走り納め.

STRAVAによると以下の総括.

距離:17331.9km(2019は16795km)
時間:720時間(約30日!)

ブルベ壊滅の年にしてはまぁまぁかな.
こういう記録にヴァーチャルを含むのはずるいかもしれんが.

さて,年越しそばを食べて今年最後のブログをアップして,いつも通り寝ますかね.

『LONG WAY DOWN』の感想(その5)「ウガンダ~ルワンダ~タンザニア編」

2020/12/10 Thu

アフリカの明と暗.

ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンのアフリカ縦断バイク旅『LONG WAY DOWN』(LWD)をAppleTV+で視聴中.

今回はウガンダ-ルワンダ-タンザニア編の感想.

Kazchariはいずれも訪れたことはない.

ウガンダと言えばゴリラ
ゴリラと言えば,見た目によらず繊細な生き物.
知能が高すぎるゆえに,”うつ”にもなるそうな.
なので見学も1時間.
シルバーバック...なんとも気品がある.
動物園ではなく,野生で観てみたいものだ.

ウガンダと言えば,”食人大統領”アミンも忘れてはならない.
(本当の意味で)痛いシーンてんこ盛り.

ラストキング・オブ・スコットランド [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

お次はルワンダ.
ルワンダと言えば,映画にもなった大虐殺.

ホテル・ルワンダ [Blu-ray]

ルワンダにもカンボジア同様,頭蓋骨や衣服を展示した博物館がある.

何より悲劇的なのが「少年兵」の存在.
ゲリラが村を回って,子どもを拉致し,自分たちの陣営の兵士に育て上げる.
拉致の際は自分の親や知り合いを殺させたり,子どもの耳や鼻を削いで二度と故郷に戻れないようにする.
「残酷」という言葉だけで片づけてよいのだろうか?

アフリカでは,どの部族の人間がその国のトップになるかで,部族間の経済格差が広がってしまう.
ヨーロッパの植民地政策で分断される前も抗争はあったと思うけど,ここまで酷くはなかったと推測される.

「アフリカはなぜ貧しいのか?」という問いに際し,権力の腐敗や欧米(最近は中国)の資源争奪の思惑がからみ,民主主義が根付かないという意見の他にも,こうした状況に慣れきってしまった国民性をあげる評論家もいる.
曰く「金持ちになると,それを奪われるから(貧乏のままでいい)」という思考になるそうだ.

フィクサーつながりでルワンダの大統領,ポール・カガメと会談.
スタッフの「番組から政治的意図を排したい」とい意見もあったが映像で見る限り,ルワンダを経済的に立て直した至って温厚な人物風.
ただし,目は鋭い.
昨今ではその独裁ぶりが非難されているそうな.

なぜ欧米諸国はルワンダ大統領ポール・カガメの「独裁」を黙認し続けるのか?

ブルンジは行かず,次はタンザニア.
国境でもパスポート紛失騒ぎもあったが無事入国.
ああ既視感が...

一行は,これまた悪路を選択.
R1200GSの巨体が暴れまくる.

それにしても,ケニア以降は英語圏となり,民衆との接触や会話が増えた.
偏見かもしれないが,旧イギリス宗主国はわりと発展,旧スペインはまぁまぁ,旧フランスはぐちゃぐちゃという勝手なイメージがある.
(一応)議会政治を根付かせ自国化しようとしたのか,ひらすら略奪が目的だったのかの違いか.

そして,スタッフはタンザニアでようやく”普通の”サファリ体験.
なんとクルマから降りられる!?
うらやましい.

1990年のケニア旅,やっぱりタンザニアにも行けばよかった.
動物の生息数に圧倒的な差があるらしい.

当時,ケニア前半を一緒に旅したK君は,その後タンザニア側からキリマンジャロに登頂.
帰国後に山頂の写真をもらった.

K君からのいただき画像

この景色,見たかったなぁ.

ケニアでのサファリツアーは,事前ノープランで現地で決めた.
ナイロビの街中で声をかけられ代理店へ.
最初の店では,西洋人の旅行者がこちらを見ながら「やめとけ,やめとけ」と目配せしてたのが印象に残っている.

何軒かまわって,5日間US300ドルのプランで決定.

お金持ちはロッジサファリ.
我々バックパッカーはテントサファリ.

朝晩は寒かった.
雨が降ったらテント水没.
シャワーなしは辛かった.
途中でロッジのプールを借りてパンツ一丁で泳いだっけ.

もちろん景色は雄大.
満足感は高い.行って良かった.

今では考えられないが,持参したカメラは28mmの単焦点,Konica現場監督.
もちちろんフィルムだ.
一緒に参加したK君は,確かキヤノン一眼レフに望遠(300mm?)つけてたな.
もし今度サファリ行くなら,E-M1Xに300f4! 夢の組合せ...

ただし...あの風景は心に刻み付けるのが一番かもな.

1990年の大学卒業旅行後,内定していた某コンピュータ会社に入社した.
約3年働くものの,あまりの仕事のつまらなさに退職.
長い旅に出ようと決めた.
『深夜特急』や蔵前仁一の『ゴーゴー』シリーズの影響があったことは否めない.

最初のプランはケニアにあるスワヒリ語学学校の『星野スクール』に通うこと(今もある?).
実際に面接も受け,合格(許可?).
しかしながら思う所あって辞退.

結局1993年の1年間は東南アジアを旅して過ごすことになった.

もし,あの時,星野スクールに,ケニアに戻っていたらどういう人生が待っていただろう?

『LONG WAY DOWN』の感想(その2)「イタリア~リビア編」

2020/11/30 Mon

貴重な映像.

ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンのアフリカ縦断バイク旅『LONG WAY DOWN』(LWD)AppleTV+で視聴中.

今回はイタリア半島を抜けて,チェニジア-リビアまでの感想.

ローマの渋滞を抜けてたどり着いたキャンプ場にて,二人はキャンピングカーのスイス人夫婦と出会う.
この夫婦,以前,南アからボツワナまでバイクで抜けたことがあるそうな.

いつも思うのだが,ヨーロッパ人はホンマに旅好き.
若い人より中年以降の方がアクティブな印象.
経済力がある上に,バカンス期間がやたらに長いのがうらやましい.

2019年GDP世界ランキング1~3位と言えば,アメリカ,中国,日本だが,金はあっても印象として社会に余裕がないように思える.
ちなみに4位以下はドイツ,インド(!),イギリス,フランス,イタリア,ブラジル(!),カナダの順.
へー,インドとブラジルって,もうこのランクにいるんや.

だがしかし.
これはあくまで国全体の経済力を示すだけであり,格差が大きい社会では個々人の生活状況に直結しない.
1人当たりの名目GDPランキングだと1~3位は,ルクセンブルグ,スイス,アイルランドとなり,それ以下もヨーロッパ勢がずらっと並ぶ.
ちなみに日本は25位(アメリカ7位,中国69位)

そして一行はシチリア島へ.
先日の『Giro d’Italia』で見慣れた風景が映る.

舞台はいよいよアフリカ.
地中海を渡るフェリーで入国,つまり海路.
いいねぇ.
2004年にスペインからジブラルタル海峡を通ってモロッコに渡ったことがあるが,もうアフリカ!っつーだけでワクワクするな.

その後,チェニジア-リビア-エジプトと通過していくのだが,この番組は2007年に制作されている.
つまり「アラブの春」以前の旅となる.
今となっては貴重な映像かもしれない.

特にリビア
街のあちこちにカダフィ大佐の肖像が掲げられている.
40年以上,リビアを独裁統治していたカダフィが2011年に“革命”によって倒されるまで,リビアはどの様な国だったのか?

日本を含む西側の報道だと,独裁=悪で,住民は強権によって迫害されている...みたいな印象だが,実際はそうでもないらしい.
例えば以下のサイト.

「狂犬」カダフィー政権の42年の内情は?

まとめると,こんな感じ.

- 1955年に油田が発見され,カダフィの資産は14兆円あった.
- しかし,それはリビア国民にも分配されていた.
- 平均寿命74歳.
- 就学率もアフリカでトップクラス.
- 税金なし.電気,教育,医療も無料.

他のサイトでも,こんな記載が(URL不明).

- ガソリン,リッター10円
- ローン無利子
- 全国民に住宅提供
- 新婚夫婦には5万ドルの住宅補助金を支給
- 失業者には無償で家を支給
- 車購入の際,政府が半額を負担
- 農業を始めたい人に土地,家,家畜,飼料など全て支給
- 薬剤師になりたい人の経費全額無料
- 出産女性に5千ドルを支給
- 学校卒業後,仕事に就けるまで国が給与を支給
- 国民の25%が大卒資格者

どこのユートピアですか?

結局,「アラブの春」に便乗した反政府組織がカダフィ政権を転覆させ,彼は殺害されてしまったわけだが,当時からフランスやアメリカの陰謀説が絶えない.

「アラブの春」の正体 欧米とメディアに踊らされた民主化革命 (角川oneテーマ21)

そして,リビアはいまだに内戦状態(部族抗争)にあるらしい.

リビアで起こっていることを、これ以上ただ見ているだけではいられないから

世界は一面から見ただけではわからない.
80年近く独裁が続いている某隣国もひょっとしたら天国...それはさすがにないか.

堅実な暮らしをしているのか,チェニジアやエジプトより見た目に派手さはない.
こういう国は得てして,遺跡の保存状態がよい.
つまり観光資源は豊富.
とはいえ,新コロに関係なく,渡航困難な国の一つのまま...と思っていたら「歩き方」が出版されていた.

E11 地球の歩き方 リビア 2010~2011

旅程は戻るが,チェニジアには『スターウォーズEp.IV』のルークの家,タトーウィンのセットが残されている.
ユアン(オビ・ワン)がいても誰も気が付かない.
Ep.Ⅲのラストで訪れたのは別のセット?

リビアでは暴風の洗礼を受ける.
なのに砂浜でキャンプ.
うわぁ耐えれんわ.
でも,楽しそう.

チャーリーの毒舌&毒態度もお約束.
言いたいことをはっきり言っても嫌われないのが西洋風?

リビアのビザが下りなかったアメリカ人スタッフと合流するため,一行はエジプトに向かう.
おっ,ようやくKazchariが行ったことのある国が出てきた.

(その3へ)

『LONG WAY UP』の感想(その6)「メキシコ&USA編」

2020/11/23 Mon

信頼と楽観と信念と.

『Long Way Up』の感想,その6はメキシコとUSA編
正直,感動というより少々不満の残るエンディングだった.

ビビりまくりの前置きの割には,妙にあっさりと通過してしまったメキシコ.
てっきりバイカー垂涎のルート,バハ・カルフォルニアを縦断すると思ってたけどな.

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見どころ満載の国なのにもったいない.
やはり,この旅(番組)のメインイベントは南米やったな.

それに,メキシコがやたらに危険危険と強調され過ぎているような印象.
実際の外務省の危険マップ上はこんな感じ(2020年11月現在).

Kazchariはメキシコをこれまでに3度訪問している.

2004年にユカタン半島(プラヤ・デル・カルメン,コスメル)を2回.
2016年にバハのラパスである.

特に2004年はツアーではない個人バス旅.
深夜バス内での荷物万引き事件に遭遇したものの,特に問題なかった.

『Long Way Up』の予定ルートでもオアハカとベラクルス州抜けたら,危険地帯を避けて北上できるのでは?
確かに夜間のバイク走行は危ないかもしれないが,日暮れまでにセキュリティの利いた高級ホテルにチェックインすれば良いだけの話では?

とは言え,超有名人ユアン・マクレガーを危険にさらすわけにはいかないということ?
バイク旅の時点で十分リスキーなような気もするが.

いすれにせよ,スタッフがグアテマラ滞在時から考えていた作戦というのが...

なんと!ローカルバスを改造,バイクを積み込めるようにして,夜間の休息・移動・充電を一度に済ませるという,まるでリアル『富豪刑事』もしくは中川財閥(byこち亀)のような金に糸目をつけない作戦(スゲー).
さらに!このバスの改造作業工程にやたらに尺をとるという謎展開

解せぬ.

この旅の主役はバイクでは?

一方で,バイク以上に目立つ存在の電動クルマ,リヴィアンはそのまま走行してて大丈夫なのだろうか?
このライトのデザインなんて,どうみても普通のクルマには見えん.

さらに驚いたのが,この改造バスの使用が(画面上)たった一晩だけだったこと(違ってたらすまん).

どんだけ金かけてんねーん!

まるで,バスの改造を見せたかったような展開で少々興ざめ.
このあたりの演出意図はよくわからん.

いずれにせよ,USA国境の町ファレスの手前で,バイクを下ろし,豪雨の中バラバラに走って互いを見失うなど,これまたよくわからない展開(GPSは?無線は?).
少々仕込み過ぎでは?

日本のワイドショーやバラエティなんかも,過剰に不安を煽るような演出が多いが,むこうもそう変わらん印象.
ドラマとまで言わないが,セミドキュメントやな.これやと.
メンタリストDaiGoによると,「人は不安になると消費行動が増す」らしいので,この番組を通して消費を活性化させる目的なのかと邪推する.

ファレスと言えば,これまた世界凶悪都市のひとつ.
『Long Way Up』視聴後,たまたま見つけたのがAmazon Prime Videoにあるこの2本.

ボーダーライン(字幕版)

エミリー・グラントが主役と思いきや...「えっ?そういう話なん?」的な展開.
重低音のBGMが並々ならぬ緊張感を醸し出す.
続編もあり.

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(字幕版)

こちらの方が面白い.

人と車両は手続き場所が別とかなんとかのややこしい手続きを経て,一行は無事USA入国.
ここからは...まぁ,特に面白くない.
最後はお約束の家族との再会および地元ライダーとのパレードラン

つーことで,全11話を見終わってしまった.
後半の娘登場やら駆け足展開がもったいなかったが,南米からパナマ上陸にかけては見どころ満載.
ここ数日,最大の楽しみでワクワクさせていただきました.

最後にユアンが「一週間も経てば,また次の旅の計画を立てたくなる」と話していた.
残るルートはもうアジアしかない.

オーストラリアから東南アジア,日本,中国を抜けてロシアの北極圏まで.
『Long Way Up2』か『Long Way Down2』,もしくは『Long Way in ASIA』?
中国へのビジネス展開を考えると十分ありえるルート.

Kazchariは,Project-ONEで組んだ自分のDomane SLR7に以下の言葉を刻んでいる.

Frank,Cool,No Fear

大好きな作家,森博嗣の言葉である.これが旅および人生におけるKazchariの信条

冒頭に上げた,

信頼と楽観と信念と.

は,メキシコ入国前に,プロデューサーのデイビットがつぶやいた言葉.
英語だと,

Trust,Optimism,Belief

となる.
これも良い言葉.

早く次の旅に出たい.

劇場版『鬼滅の刃』無限列車編を観た

2020/11/2 Mon

原作は絵コンテ.

現在大ヒット中の『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』を観にいった.
おそらく興行成績で『千と千尋』を抜くのは時間の問題と思われる.
平日の朝一上映だったのだが,結構な人出.
客層は意外にも中年層が多い(なぜか小学生っぽい子もチラホラ).

Kazchariは原作コミック22巻まで読了.
なぜかジャンプの最終回掲載号が家にあるのだが,まだ読んでいない.
アニメもAmazon Primeにて全話視聴済み.

鬼滅の刃

以下,感想.

結論.
非常によくできている.
時間を十分にとった丁寧な作り.
特に斬撃シーンの表現は掛け値なしに素晴らしい.

『無限列車編』ということで尺の2/3は下弦の鬼魘夢および夢との戦い(葛藤)なのだが,この映画の白眉はやはり煉獄さんと猗窩座との一騎打ちであろう.
初期の予告ではあまり宣伝しないのも上手い.
このパート,原作では結構あっさりしていて,気が付いたら煉獄さんがあちこちにダメージを負っているコマにさっと移行する.

正直,原作は個性的ではあるものの,いわゆる画力がなく,コマ運びもそれほど上手くないので,ところどころで唐突感がある.
特に戦闘描写に関してはTV版も含めアニメの方が圧倒的.
映像化後,人気爆発というのもよくわかる.

そうやねぇ,この映画だけやったら煉獄さん一勝もしていない(炭治郎視点はともかく).
最初のザコ鬼との戦闘も夢の中の出来事やしな(印象づけるために2匹に増えた)…という話を娘にしたら,煉獄さんの(ジャンプに掲載された)スピンオフを読め!と怒られた.

とまぁ,映像作品として一級なのだが,気になる点も.
煉獄さんの死が悲しいというのはわかるが,よく考えれば3人組にしても我々観客にしても,それほど思い入れがあるキャラにはなりえない.
台詞はカッコいいし,正義の味方として圧倒的に正しい行動なのはわかるけど.

奇しくも,Eテレで絶賛放送中だった『未来少年コナン』が今週最終回を迎えた.
Kazchari家では(初視聴の)ヨメ,娘.息子も夢中になって観ていた.
どうしても比較してしまうのが宮崎駿演出との比較.
ちゃんと“絵”でキャラの心情を表現する.しかも,あの少ない線と考え抜かれた構図で.
そう『鬼滅』に限らず,現代の邦画はセリフが多すぎる.

ちなみにKazchariが一番好きなシーンは,ハイハーバーの美しく静かな庭でモンスリーが物思いにふけるシーン.
そこへコナンが現れる.
続くモンスリーの表情と第一声が「そう,ラナは無事なのね」…素晴らしい.

と,こんな比較しても仕方ないけどな.

それはそれ,これはこれ.
一応,Kazchari個人の感想です(と断りをいれておこう).

にしても一見さんお断りの「途中で始まって途中で終わる話」にこれほど人気があるのは驚異的やね.
しかも後のストーリーも公開済み.

今後はTVシリーズで第2期以降を放映するより,2~3年に一回の劇場版公開が良いと思う.
『ガルパン最終章』も成功しているようだし.

実写版? 絶対にやめてくれ.

つなぎ映画単独でも満足という映画のくくりでは『STAR WARS 帝国の逆襲』が名作.
ただし,その後どうなるのかは誰も知らなかった(Kazchariは『ジェダイの帰還(復讐)』は好きではない).

スター・ウォーズ エピソードV/帝国の逆襲 [Blu-ray]

『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』もつなぎの作品.
こちらは一度観た切りであまり内容覚えてないなぁ.
でも,もう一度シリーズを通して観たい.

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔 [Blu-ray]

結末も知っている,かつ面白いアニメでは『機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士』BGM・効果音がクソの特別編は断固省く).

機動戦士ガンダムII 哀・戦士編 [DVD]

話が脱線しまくりですが『劇場版・鬼滅』,映画館で見る価値は十分にあります.昨今「キメハラ」という言葉もあるらしいけど,オススメです.