思った以上にウルトラマン~『シン・ウルトラマン』を観た

2022/5/14 Sat

始まって5秒でヤラれました.

完全におっさんホイホイ映画でした.

以下,ネタバレです.

ザラブと言えばニセウルトラマン(ツリ目ではありません).
メフィラスと言えば巨大フジ隊員(今回は長澤まさみ).
そして最後かつ最強の敵と言えば...ゼ~ット~ンピコピコピコ(限りなく使徒).

安心してください.全部出ます.

オープンニングの絵の具かき混ぜからの『シン・ゴジラ』が破れての『シン・ウルトラマン』

その次が第一禍威獣,ゴメス
マ,マンモスフラワー!? ペギラ!?
誰得? ヲタ得! オレ得!

そうネロンガが出てくるまでは,人間(禍特対+自衛隊)が単独でこいつらを倒していたのだ(時々作戦失敗).

電気を食うネロンガに手を焼く禍特対.このままでは選挙区がやばい.
そこへ降ってくる火の玉.
全身銀色,かつその顔はいわゆるシワ顔のAタイプ.

スペシウム光線の発射ポーズ.左手をゆっくりと回してくるそのタメがたまらん.

その戦闘の際,子供をかばって死んでしまう主人公のシンジ.
彼を救うため”ウルトラマン”は,シンジと融合し地球に残ることになる.
人間と融合したので,身体に赤いラインが入り,顔がB(C)タイプに変化したのだろうか?

禍特対に新人,”長澤まさみ”が赴任.
少々ぶっとんだキャラ.
やたら自分や他人のお尻を触る.
説明口調で禍特対のメンバー紹介をしてくれる(石坂浩二ばりの親切さ).
この辺り,めちゃめちゃテンポが良い.

禍威獣対策テント内の雰囲気は『シン・ゴジ』っぽいが,日常パートはとぼけたギャグ多め.
その世界観,つながっているようでつながっていない絶妙な調整.
そやな,『マン』『セブン』も全然雰囲気違うしな.そんな感じ.

次はガボラ戦.
さすがにエヴァのあのBGM”は流れない.
その代わり,オリジナルの『マン』のBGMがガンガン流れる(肝心の主題歌がなかったけど).

カラータイマーはないけど,「エネルギーそろそろやばい」は赤いラインが緑に変わることで表現している.
一気に弱そうに見える.

次はザラブ星人戦.
なぜか裏側がスカスカなデザイン.
透明というわけでなく,元々そういう生命体なのか.
かの有名な「戦闘中,マスクの硬いところを殴ってしまい,ガチで痛がるウルトラマン」まで再現するとは...誰得? ヲタ得! オレ得!

次はメフィラス星人戦.
この映画の諸悪の根源.
これまで襲ってきた禍威獣たちは,太古の昔,外星人がこっそり地球(なぜか日本)に仕込んでおいた生物兵器であり,それを起動させたのがメフィラス星人だったのだ.
進化した人類に「オーバーテクノロジー(ベータカプセル)を提供するから,自分を上位存在(神)にしろ」という,「地球あげます」以上にやっかいな要求.
それをあっさり飲んでしまう日本政府.あれ,現代社会の構図と...ゴホンゴホン.

あれ,この設定どこかで...おお,最初はめちゃめちゃ面白かったのに,クライマックスで大コケした『正解するカド』っぽいぞ.

正解するカド

さらに人類が巨人化して生体兵器って...おお樋口監督の黒歴史『進撃の巨人』っぽいぞ.

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

その企みを阻止すべく活躍する禍特対.
ウルトラマンとメフィラスの一騎打ちはオリジナル通りに引き分けとなる.

その理由が面白い.
メフィラスが光の星からの使者を見,その目的に気づいたから ⇒ 「この星は終わりだ.帰ろっと」 

さて,その使者であるが,ゾフィーではなく「ゾーフィ」
胸のブツブツがなかったので,最初は「新マン(ジャック)」かと思った.
「なんか,治安の悪い星で,下っ端の監視員が変なことしとるでぇ」と様子を見に来たらしい.

そしてゼットン戦.
東京の空に浮かぶゼットン.巨神兵か.

一番びっくりしたのは,このゼットンを起動させたのは「正義の味方」であるはずの,ゾーフィ...っつか光の星の総意.
オリジナル通り,ウルトラマンの全ての攻撃をバリアーで跳ね返す.
そして火球攻撃.
まるでガトランティスの彗星帝国のようだ.

敗北するウルトラマン.

諦めかける人類(の上級国民).
その窮地を救ったのはペンシル爆弾ではなく,人類の叡智.
イデのごとくクサっていた〇〇隊員(名前忘れた)が大活躍.
ベータカプセル二度押しで,ゼットンの一兆度の火球を異空間に飛ばせることが判明.

実行するのは”覚悟”したウルトラマン.
”他人のために自分の生命を捧げる”行為が自分にもできる...これは宇宙では非常識な考えなのだろうか?

0.01秒でゼットンをふっとばしたウルトラマン.
異空間に飲み込まれないように必死で抗うが,残念ながら力尽きる.

不思議時空でのゾーフィとの対話.
そしてあの名言.

「そんなに人間が好きになったのかウルトラマン」

いや,ここは泣けますよ.
今回のゾーフィは都合よく”生命”を何個も持ってきていない.
ハヤタ...ではなく,シンジに生命を残し,空っぽのウルトラマンを分離.

シンジが目覚めたところで映画は終わる.
うん? もしかすると目覚めたのはウルトラマンかも...

エンディング後のオマケ映像は...なかった.
キレイまとまっているので続編は不要やけどな.

ホメてばかりでは何なので,残念な点を述べると,「人間が好きになる」過程が足りなかったような気がする.
シンジとウルトラマンが融合してからの日常パートや他の禍威獣との戦いがもう少し欲しかったな.
新海カントクばりの,BGMを流しながらのダイジェスト映像でもいいので.
バルタンとかダダとかレッドキングとかガラモンはひょっとして「2」に残してるんかな?

最初に,おっさん(しかも50代以上の特撮マニア)向けと書いたけど,オリジナルを知らない人でも十分楽しめる映画だと思います.
近いうちにもう一回行こう.

そやけど,よくぞ,これほどの内容を2時間にまとめたもんだ.
樋口カントクカントクの特撮への愛があふれる映画でした.

『セブン・シスターズ』を観た~これはなかなか斬新

2022/4/21 Thu

ディストピアなおそ松さん.

Amazon Prime Videoの「もうじき配信終了になる作品」にラインナップされていた『セブン・シスターズ』(2017年 米英仏ベルギー)を観た.
全くノーチェックだったが,あらすじを読んで視聴決定.
こうしたディストピア作品はKazchari的にどストライクだ.

セブン・シスターズ(字幕版)

世界的な人口過多と飢饉による食糧不足から、厳格な一人っ子政策が敷かれた近未来。そこでは二人目以降の子供は児童分配局によって親から引き離され、枯渇した地球の資源が回復する日まで冷凍保存される。セットマン家の七つ子姉妹は、唯一の身寄りである祖父によって各曜日の名前を付けられ、それぞれ週1日ずつ外出して共通の人格を演じることで30歳まで生き延びてきた。しかしある夜、〈月曜〉が帰宅しなかったことで、姉妹の日常は狂い始める。〈月曜〉に何が起きたのか? 誰かが当局に密告したのか? 何者かの裏切りにより当局に命を狙われる身となった姉妹は、力と知恵を合わせて残酷な運命に抗おうとする―。

以下,ネタバレです.

あらすじに書かれている通り,この7つ子には英語のMondayからSundayまでの曜日が名前として付けられている.

あれ? この法則で名付けられた兄弟(姉妹)の話って,昔どこかで観たような...そうや!『てんとう虫の歌』やん!

OP,EDの映像を今観るとコンプラ的に不味いシーンが...

それはともかく,この映画,成功の可否は,主演のノオミ・パレスの演技力にかかっている.
顔がそっくりな7人をどう演じ分けるのか?
映画内では,服装や化粧,髪型などの外見および,その性格で個性をつけていた.ざっくりと整理すると...

Monday:黒幕.首相候補に不正献金.そして妹たちを亡き者にし,一人だけ“カレン”になろうとする.最後は銃殺.双子を妊娠していた(この子達は助かる).

Tuesday:茶髪.行方不明のMonday捜索中,分配局に捕まる.瞳認識キーのアジトに侵入するため片目をくりぬかれる.最期まで生存.

Wednesday:黒髪パーマの肉体派.常にサンドバッグを叩き,身体を鍛えている.指紋認証の銃を使うために,とっさに死体の指を切断して自分の指に固定するなど,判断力もある.分配局と追いかけ合いバトルの末,最終的に額を撃ち抜かれ転落死.

Thursday:リーダー.短髪黒髪.子供時代,アジトをこっそり抜け出してスケボー.その際,左人差し指先端を失う.バレないための連帯責任で他の6人も指を切断することに...ノオミ・ラパスの出世作『ミレニアム ドラゴンタトゥーの女』(スウェーデン版の方)のリズベットに雰囲気が似ている.

ミレニアム ドラゴンタトゥーの女(字幕版)

Friday:わかりやすいメガネっ娘.コッピュータヲタク.アクション映画における”椅子の人”役.アジトに踏み込んできた特殊部隊を爆殺するが,本人も焼死.

Saturday:ブロンド・ボブ.そしてツンデレ.Mondayがジェリーの恋人であることを突き止めるも,当局に踏み込まれて射殺.ただし,ジェリーのリングを経由して分配局ホストコンピュータへリンクさせるなど大活躍.死ぬ前に◯◯が体験できたし,一番かっこいい役かも.

Sunday:黒髪ロング.地味.アジト襲撃時に殺害される.活躍が少ない上,外見がMondayと紛らわしい.

つーことで,(月曜と日曜を除き)『おそ松さん』か!というぐらい個性的.

実際の多胎児も小さい頃は全く同じ外見でも,その後の環境や経験によって,微妙に違いが出てくるはず.
Kazchariの知っている双子姉妹は,互いに反発しているのか,片方がロング,片方がショートヘアにしていた.

それぞれの”カレン”が週一で仕事に出る時,妙に厚塗り化粧なのは,個性を消すためという設定だったのだろうか?

それにしてもノオミ・パレスの演技が素晴らしい.
役者冥利に尽きる仕事かも.
もちろん,複数人が同じ画面に映る際は,合成やスタントダブルを使っているのだが全く違和感なし.このあたりは最近の映画だ.
ただ,撮影時の手間がいかに壮絶だったかは想像がつく.

ストーリーに関して.

原題は『What Happened to Monday』
最期まで観ると,このタイトルがネタバレなのがわかる.
また,一人ずつ外の生活を始める際の最初の一人がThursdayなのだ.
そして最終的には,この2人のバトルで決着がつく.

それにしても...最初は首絞めプレイ好きのヘンタイかと思ったMondayの彼氏ジェリー.
実はいい人だった.
Thursdayに説得され,すぐに仲間になるのは少々唐突過ぎるけど.
まぁ彼に関して一番納得出来ないのは,やはりSaturdayとの◯◯.
さすがに別人とわかりそうなものだが.
その鈍感さは『キャッツ・アイ』の俊夫といい勝負.

また,グレン・クローズとウィレム・デフォーの顔がなぜか似ていると思ったのはKazchariだけ?
実はグレンはデフォーの妹で,7人娘とはおば,めいの関係にあるのかと思った.

ラストシーンの余韻が,カルトSFの名作『リベリオン』っぽい

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双方とも,根本的な問題は解決していない.
主人公たちの最後の表情(「これでよかったのだろうか?」)も同じ.

人口増加による食料不足を補うために,遺伝子組み換え食品が普及 ⇒ 多胎児増加という流れが将来的に起きそうで怖い.
今でも,知らないうちに口に入ってるんやろな.

ただし,一説によると,将来的にも地球の人口は爆発しないらしいけど.

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もうすぐ見放題終了のようですが,『セブン・シスターズ』オススメです.

『運び屋』を観た~晩年の生き様

2022/4/15 Fri

I could buy anything, but I couldn’t buy time.

作る映画がことごとく名作の監督はそうそういない.
だが,クリント・イーストウッドは正にその一人.
「男はこうあるべき」を徹底して,かつ客観視点で描く(もちろんアメリカ的だが).

今回はAmazon Prime Videoにて,その劇場公開最新作『運び屋(原題:THE MULE)』(2018 米国)を観た.

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イーストウッド演じるアール・ストーンは80代の男。家族と別れ、孤独で金もない彼に、事業差し押さえの危機が迫っていた。そんな時に、ある仕事が舞い込む。ただ車を運転すればいいだけの訳もない話だ。しかしアールが引き受けてしまったのは、実はメキシコの麻薬カルテルの“運び屋”だった。たとえ金銭的な問題は解決しても、そうとは知らずに犯してしまった過去の過ちが、アールに重くのしかかってくる。捜査当局やカルテルの手が伸びてくる中、はたして自らの過ちを正す時間は彼に残されているのか。

原題の「mule」はラバのこと.
ラバとはロバとウマの交雑種.
もっさりしたイメージの動物なので,ヨボヨボの高齢主人公を揶揄しているのかと思いきや,米スラングで「麻薬の運び屋」を意味するらしい.まんまやないかい.

以下,ネタバレ.

実際の出来事に着想を得たというストーリーは単純.

で,観終えた後の感想...これ自伝やな.
しかも遺作っぽい.
もちろん,イーストウッドが”運び屋”をやっていたわけではないが,劇中のセリフ一つ一つが自らに言い聞かせているようにしか思えない.

天下の大スターである.
アールのように,家族よりも仕事や社交が中心,言い換えれば自分優先で生きてきたことが想像できる.

調べるまで知らなかったのだが,イーストウッドは人生で2回の結婚.
(なぜか)6人の女性との間に,全部で8人の子どもがいるらしい.なんじゃそら?
ちなみに,この映画の娘役はその内の一人だそうな.

例によってZwiftしながら観ていたところ,一部で大爆笑してしまい,階下で寝ているヨメさんからクレーム.
何が面白いってアールの暴言の数々(「ニグロ」「タコス野郎」など)でしょう.
昨今の過剰なポリコレクソ喰らえで,アカデミー賞にノミネートされなかったのは当然.

暴言も暴言やけど,アメリカ人(メキシコ人も?)って,ホンマ年長者に敬意を払わない.アジア人との違いを感じる.

麻薬組織のチンピラも,アールをバカにしたり脅したりとひどい扱い.
その脅しに全く動じない朝鮮戦争帰りの90歳.カッコよい.
かつてのマグナムぶっ放してた頃の,眩しそうな表情で睨みつける迫力は健在.
それでも下っ端の連中とは徐々に打ち解け(?),その功績から組織のボスの家に招待される.

「運び屋」業で得た大金で,豪華なピックアップトラックや似合わない金のブレスレッドを買い,農園を取り戻し,帰還軍人施設に寄付,若い女と遊ぶ.

それでも最大の心残りは家族関係の修復.
クライマックスで様々な偶然が重なり,完全に落とし前をつけることができた.
その奇跡の物語でもある.

アクションでもサスペンス映画でも,ましてや「ナーメテーター」ではないので,麻薬組織を壊滅したりしません.
少しだけ若者の更生を促すシーンもあるが,『グラン・トリノ』のように自らを犠牲にして云々もありません.
けじめとして刑務所に収監されて終わる.
そして...そこで再び農作業をするシーンで終わる.

人生の晩年に訪れた男の夢.
冒頭に上げたセリフが刺さる.

「なんでも買えるけど,時間は買えない」

いや,ホンマ,50を越えてこの台詞の突き刺さること.
これまでの人生,決して後悔はしてないけどな.
それにイーストウッド基準だと,Kazchariにもまだ35年ほど残されている.
この台詞,忘れないで生きていこう.

この映画のもう一つの名言はこれ.

Everything works out better than expected. ⇒ なんでも案外うまくいく.

そう,心配し過ぎも,焦り過ぎもよくない.
全てはバランス.
いい映画でした.

うん? なにげに前回観たサメ映画と共通点が多いな(どこが?).
メキシコ関連で舞台で有名人の実子の出演か.

『海底47m 古代マヤの死の迷宮』を観た~いろいろトッピング

レビューこそ書いていないが,同じく大傑作だった『ベイビー・ドライバー』とも似ている(どこが?).
こちらは強盗組織の「逃し屋」天才ドライバーが主人公.

ベイビー・ドライバー (字幕版)

ニックネームの「ベイビー」が,これほど似合う主人公はいない.

『海底47m 古代マヤの死の迷宮』を観た~いろいろトッピング

2022/4/14 Thu

久々に潜りてぇ.

ここ数年,海外旅行に行けていない.
言うまでもなく新コロのせいである.

一応,既に渡航は可能.
ただし3回のワクチン,自主隔離など手続きが色々と面倒(国ごとに異なる).
さすがに減客による経済的損失に耐えかねたのか,アジア各国はこれらの手続きを緩和し,開国へと方針転換しつつあるようだ.

日本はちょうど桜の季節.
外国人にとって一番魅力的なシーズンだったらしい.
観光業界にとっては完全なる機会損失.
誰がそうさせているのか?
「何も起きないことが最良」「事後の責任者不在」という日本人のメンタリティのせいか?

Kazchariは,新コロ前はほぼ毎年海外旅行に出かけていた.
その主な目的はスキューバ・ダイビングである.
目的がはっきりしている以上,現地で自力移動しつつ,あれこれ手配するのは面倒なので,パッケージツアーで参加していた.

2019年のラジャ・アンパットダイビングクルーズ(1)

旅の回顧録~2015年のコ・タオ

おっと,今日のネタは旅行記ではなく映画評だった.
先日Amazon Prime Videoにて『海底47m 古代マヤの死の迷宮(原題:47 Meters Down: Uncaged)』(2019 米英合作)を観た.

海底47m 古代マヤの死の迷宮(字幕版)

この作品は2017年公開の『海底47m』の続編らしいが,ストーリーのつながりは全くない.Kazchariは前作も視聴済み.

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うろ覚えだが「サメ観察のケージダイブ中,トラブルでケーブルが切れ,海底47mに着底.酸素が減る中,そこからの脱出を試みるが...」みたいな話だった.

ダイビングがらみのパニック映画と言えば,『オープン・ウォーター』も有名.

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これらは全て一大ジャンル「サメ映画」の亜流.
一般大衆には「海でパニック=サメに襲われる」が完全に刷り込まれている.
おかげで,ダイビングが趣味と言うと,必ず「サメは大丈夫?」と聞かれるハメになる.

つーことで,前置きが長くなったがやっと『海底47m 古代マヤの死の迷宮』の感想である.

以下,ネタバレ.

舞台はメキシコ・ユカタン半島.

まずオープニングが面白い.
主人公はいじめられっ子転校生のミア
プールに突き落とされ,ゆっくりと沈んでいくシーンをプール(水中)側から撮っている.
ミアには姉のサーシャがいるが,なぜか黒人.
両親が連れ子ありで再婚したという設定で,どうやらサーシャは愚鈍なミアにイラついている.(伏線,伏線

父の仕事は海底遺跡の調査.
忙しくてなかなか娘たちにかまってやれない.
今回も週末の約束を守れず,ミアとサーシャに「グラスボートによるサメ見学に行ってきたら」とすすめる.
あまり乗り気でない二人だが渋々行くことにする.
翌日港でボートを待っていると,サーシャの友人,アレクサニコールがクルマで乗りつけ「もっと面白い所に行こうぜぃ!」と二人を誘う.

Wikipediaで確認して驚いたのだが,なんと,サーシャはジェイミー・フォックス,ニコールはシルベスター・スタローンの娘!(大スターの娘にとんでもない仕打ち!).

4人はとあるセノーテの入り口へ.
父親の調査対象現場のようだ.

セノーテとは,ユカタン半島にある浸食によって陥没した穴に地下水が溜まった泉のこと.
深部では別のセノーテとつながっている.

劇中の女の子たちみたいに泉でちゃぷちゃぷも悪くないが,やはりここはタンク背負って洞窟ダイビングでしょう.

https://www.divenavi.com/cancun_cozumel/より

流れがないので透明度抜群.
水底から穴を見上げると光のシャワーが美しい.
淡水と海水でくっきりと層が分かれており,そこで視覚トリックが起きたりする.

Kazchariも2004年に潜った.
まだ水中カメラを持っていなかったので水中の記録はないが,記憶にはしっかり残っている.

さて,本編に戻る.
父親が残していたダイビング用具を勝手に借りて,4人で海底遺跡探検に向かおうという流れになる.
マイク付きのマスクが人数分用意されているが,なぜかフィンは置いてない.
砂の巻き上げ防止? 水中で進まんぞ.

その後潜航し,水中シーンになるが,セノーテダイブの美しさを見せることはない.
本来存在しない彫像や,サメの模型(CG?)を登場させる都合上,撮影はプールセットなのだろうか.

まぁ,その後はお約束.
ちょっとしたミスから遺跡を破壊してしまい,帰る道が塞がるわ,どこからともなく現れた盲目のホホジロザメに襲われパニックになり,エア残量に悩まされる”いつもの”展開となる.

もちろん最終的に登場人物のほとんどが死んでしまうのだが,セリフや構図(配置)から実にわかりやすく死亡フラグが立つ.
サスペンス映画は主人公たちが「助かった!」とホッとした瞬間が危ない,という正に王道展開.
そういう意味で安心・安定感のある脚本だ.
とは言え...エア保ちすぎでは?

修羅場をくぐり抜け,”覚悟”したヒロイン,最期はサメに(なぜか)甘咬みされている姉を助ける.
武器は発煙弾? あれが水中で当たって効果あるのか?
おまけに自分も甘咬みされるが,無事脱出のハッピーエンド.

いじめっ子の前で食い殺されるバットエンドになるかと,一瞬思った.

つーか,あの盲目のサメはどこから現れたんや? しかも複数.
なぜお父さん達はこれまで襲われなかった?

などなどツッコミどころもあるが,まぁまぁ面白い映画でした.
残念ながらセノーテダイビングの絶景風景は皆無なので,宣伝にはならん.
ラストバトルは海の色からして,カリブ海っぽかったけどな.

最期にメキシコの治安について.
ユアン・マクレガーの南北アメリカ大陸縦断ツーリング『LONG WAY UP』では,やたらメキシコの治安の悪さが強調されてたなぁ.

『LONG WAY UP』の感想(その6)「メキシコ&USA編」

メキシコシティやグアテマラとの国境地帯(チアパス州)とか,どんだけ無法地帯扱い.昔はやたら暑いだけで危ない雰囲気はなかったけどな.

今も昔もユカタン半島,つまりマヤ文化圏は別格.
平和な世界やった(2004年の情報).
カンクンは都会過ぎてスルーしたけど,コスメルイスラ・ムヘーレス,そしてセノーテがあるプラヤ・デル・カルメン...何もかもみな懐かしい.

Nikon Coolpix950 / 2004年4月13日撮影 一応リュックは前抱え(中南米旅の基本)

あれ? 結局旅の話になってしまったよ.

正しい最期?~野田知佑の死

2022/4/5 Tue

もちろん直接の知り合いではありません.

先日,カヌーイストの野田知佑さんが亡くなった.

カヌーイスト・作家の野田知佑さん死去 84歳 愛犬「ガク」と各地を旅 著書「日本の川を旅する」など

原因は低血糖性脳症とのこと.
糖尿病,もしくはアルコール大量摂取による肝硬変がベースにあるのだろうか.

享年84歳.
別に早すぎる死というわけではない.

Kazchariの勝手な感想だが,驚いたのは野田さんが「病院で死んだ」という事実.
状況がわからないため,暴言を承知で言うなら「川」で最後を迎えてほしかった.

Kazchariはその昔,野田さんが連載を持っていた『BE-PAL』を愛読していた.
名著『日本の川を旅する』他,野田さんの著作も数冊読んだ.

日本の川を旅する―カヌー単独行 (新潮文庫)

当然,日本の河川行政に対する野田さんの怒りにも共感.
また,川遊びを理不尽に禁止しまくる木っ端役人への罵倒も痛快だった.

そんな自由人だった方が病院で死んでしまった.
それは彼の本意だったのだろうか.

もう一人死に方を間違ったと思う人物がいる.

伝説のフリーダイバー,ジャック・マイヨールである.

彼の名前を一躍有名にしたのは映画『グラン・ブルー』(1988年仏・伊)だろう.

グラン・ブルー オリジナル版 -デジタル・レストア・バージョン- Blu-ray

主人公の名前はジャック・マイヨール.
演じるのはもちろん本職の役者だが,モデルしたジャック本人と同名にしている.

ちなみにこの主演俳優よりもブレイクしたのが「エンゾ」(これも実在の人物)役のジャン・レノである(なぜか今ではドラえもん...)

『グラン・ブルー』には様々なヴァージョンがあるので,観た人ごとに印象・感想は異なるかもしれない.

Kazchariの場合,やはり”あの”ラストの展開およびシーンが印象に残る.
ちなみに主人公がヒロインに惹かれたのは,彼女の顔がイルカに似ていたから...という解釈もある.そうかな?

そして,ジャック・マイヨール本人は既に亡くなっている.
その最後は,自宅での首吊り自殺である(2001年,享年74歳).
うつ病を患っていたのこと.
名声も孤独を払拭できなかったのだろうか.

これも当時,かなりショックだった.

自分の死に場所は自分で選びたい.
自分の死に方を自分で選べるとしても...自殺には反対.
周囲に対する負の影響が大きすぎる.

アニメも大人気の某コミックに「正しい死とは?」という問いがあるが,その答えは何だ?

最近『うらやましい孤独死』という本を読んだ.

うらやましい孤独死

この本は「理想の死」について現役医師が語る,いや問題を提起している.
どう考えるのかは読み手の自由.

Kazchariは,今は臨床から離れているが,病院,施設の両方で勤務したことがある.
先週まで,場合によっては昨日まで元気だった人が亡くなるという経験も何度かあった.

今や日本人の9割が病院で亡くなる.
とは言え,病院で死ぬのは決して最良の選択ではない.

酒好きな人が酒を飲みながら死ぬのは許されない.
寿司好きな人が寿司を食べながら死ぬのは許されない.
家に帰りたい(死にたい)と言っても戻れない.
さらには新コロのせいで家族の看取りすらできない.

在宅療養している本人が「延命治療はなしで」と言い残す,もしくは書き残していても,いざ,その時が来るとやはり救急車を読んでしまうのが家族.
そして搬送後は意識不明のまま,死ぬまでチューブにつながれてしまう.

この本の作者は述べる.

患者さんの人生は患者さん本人のものなのだ.
病気を治すのか治さないのか.
命の終わりをどう迎えるのか.
医療を使って命を永らえたいのか,命が短くなってもいいから好きなことをしたいのか.
そんな人生の大きな決断の決定権は,医師にあるのではない.本人にあるのだ.

孤独死を回避しようとするがゆえに,独居高齢者を地域から引き剥がし,施設や病院へ送り込むことは,じつはさらなる孤独を生じさせる連鎖になりかねない.

Kazchariにも”その日”はいつか必ずやってくる.
そしてそれは,それほど遠い未来ではない.
メメント・モリ.

2つの『ザ・ハント』~極限状態

2022/3/31 Thu

共通点あり?

邦題が同じ『ザ・ハント』という映画を2本立て続けに観た.

1本目は『ザ・ハント ナチスに狙われた男』(2017年ノルウェー).
ちなみに原題は『DEN 12. MANN/THE 12TH MAN』

ザ・ハント ナチスに狙われた男(字幕版)

ナチスに支配されていた1943年のノルウェー。ナチスの抵抗勢力として活動していた12人の男たちは、1人を残して処刑された。生き残ったヤンはナチスの追跡から逃れるためスウェーデン国境を目指すが、極寒の雪山での逃走は死以上の苦しみが待っていた。ナチスの将校のカートはヤンを捕らえるため広大な山を包囲し、執念深く追跡する。もはやヤンに逃げ場は残されていなかった―

以下,ネタバレ.

戦争映画とSF映画は金がかかる.
ハリウッド超大作ならまだしも,その他の国で製作しようとすると,どうしても...見劣りする.
この映画も派手な戦闘シーンはない.
その分,痛い,寒い,空腹,不眠,不安,幻覚のオンパレード.
これでもかと主人公を苦しめる.

しかし,超人的な体力の主人公が,数々の奇跡的な偶然で生還するという都合の良いストーリーだが,なんと実話ベースらしい.
もちろんノルウェー人はノルウェー語,ドイツ人はドイツ語を話す.そのこだわりだけで加点.

人類はその歴史の中で環境を支配し,いかに自分たちが快適に過ごせるかを追求し続けてきた.
速く泳ぐため,速く走るため.暑さ寒さから逃れるために様々な機械を発明した.

食料も同様.

季節に関係なく,好きなものを好きなだけ食べられる世の中になった.
もはや「パンがなければお菓子を食べればいいのよ」という特権階級を皮肉るセリフは意味をなさない.

ところが,こうした“我慢しなくても良い”という事態は戦争になると一変する.
この映画を観ながら「困難な状況を耐え抜く力が主人公を救ったな」と考え続けていた.
その原動力は何だろう?
この主人公,なぜか仲間は元より,逃走中に出会った人々に好かれる.
それも才能の一種か?

もう1本は『ザ・ハント』(2020年アメリカ).
こちらの原題は『THE HUNT』そのまま.

ザ・ハント (字幕版)

広大な森の中で目覚めた12人の男女。ここがどこなのか、どうやって来たのかも分からない。あるのは巨大な木箱に納められた一匹の豚と武器の数々。すると突然銃声が鳴り響き、何者かに狙われる。武器を取り、逃げまどいながら、やがて彼らは気がつく。ネット上にはびこる噂、「人間狩り計画」―セレブが娯楽目的で一般市民を狩る“マナーゲート“が実在することを。

以下,ネタバレ.

この映画の特徴は3点.

1つはデスゲーム系のお約束を破っていること.

この種の映画の愛好者であればあるほど,予測を外される.
「あれ?」「なんで?」と思わせる展開は上手い(特に前半).
どこかで観たなぁこの構成...そうそう『キャビン』だ.

キャビン スペシャル・プライス [Blu-ray]

もう1つは昨今のアメリカ(だけとは言えないけど)の状況,いわゆる分断社会が露骨にテーマになっていること.

社会に不満を抱える「プア・ホワイト」「動物虐待者」「陰謀論者」「差別主義者」がブチ殺されていく.

シナリオ的に面白かったのが,元々ジョークだった「金持ちが人狩りをしている場所がある」という都市伝説(ウソ)がマコトになってしまったこと.

そして,殺す側(金持ち側)が環境問題や人権問題,健康にやたら関心があるのが笑える.
思想が異なれば,相手に人権はなく,駆除対象らしい.
人体破壊などの過激描写というよりも,こうしたプロットのために上映禁止になったんやろな.

後は...実は”みんな大好き”ナーメテータームービーだったこと!

おすすめナーメテーター映画10選 無敵のコマンドー?俺はただのコックだ。

もう,めちゃめちゃ強い主人公のクリスタル(ベティ・ギルピン)の表情が,やけにシュワルツェネッガーに似ていると思ったのはKazchariだけだろうか?
「ワタシはアフガン.あなたは?」「...州兵だ」のシーンが最高.

最後は女同士のキャットファイト(これもまぁ,フェミ...).
バトル中に「ちょっと休憩」というセリフはシリアス映画では初めて聞いた.

言うまでもなく,クリスタルだけが最後に生き残ったのは,何事に対しても冷静でいたためだろう.
誰の挑発に乗らず,状況を的確に判断し,自分で自分の道を切り開いていく.
ひたすらカッコよい.

そやけど,よくもこれだけの内容を90分に詰め込んだなぁ.

さきほどの”ナーメテーター”のリンク先で紹介されていない映画では『サプライズ』も面白い.

サプライズ [Blu-ray]

つーことで,邦題は同じだが中身はまるで異なる『ザ・ハント』.両方ともオススメです.

『THE BATMAN』を観てきた~雨と夜と

2022/3/19 Sat

名探偵バットマン.

マーベルの「スパイダーマン」シリーズ同様,様々な俳優が主役を演じ,もはやパラレルワールド(今風だとマルチバース)だらけの「バットマン」

その最新作である『THE BATMAN』を観てきた.

むかーしのアニメ版やら,ジム・キャリーやらシュワルツネッガーやらジャック・ニコルソンの顔芸シリーズはとりあえず置いておく.

大人向けというか哲学的に「正義とは何か」をテーマにした最初の作品は,やはりクリストファー・ノーランの『バットマン ビギンズ』だろう.

バットマン ビギンズ (字幕版)

「誰も観たことがない映画を作る」を信条としている監督だが,『ビギンズ』の頃はまだおとなしかった.
そして,次に登場したのが『ダークナイト』という空前絶後の大傑作.

ダークナイト (字幕版)

劇場で観た.いやいや,もう呼吸するのがしんどいほどの緊迫場面が続く.
ヒーローには悪が必要.
バットマンにその存在矛盾を突きつける映画だった.
良くも悪くも,その後のヒーロー物,少なくともDCコミック原作の映画はこれを超えるかどうかが一つの指標となった.

その『ダークナイト』の続編『ライジング』は残念ながらイマイチ(特に核兵器の扱いがまたかよ的)だった.

ダークナイト ライジング (字幕版)

ここで一旦,ノーラン+クリスチャン・ベール主演のバットマン「ダークナイト」シリーズは終了した.

そして,その後は『スーパーマンvsバットマン』という,まるで『ウルトラマンvs仮面ライダー』のような無茶な対決作品が作られる.

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 アルティメット・エディション アップグレード版 (4K ULTRA HD&ブルーレイセット)(2枚組)[4K ULTRA HD + Blu-ray]

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ちょっとガタイがよいだけの普通の人間と,神様みたいな宇宙人を戦わせてどうする?(中身はちょっと違ったけど).

問題はこの映画が「スーパーマン」の『マン・オブ・スティール』の続編となっている点.ややこしいわ.

結局(Kazchari的には)内容イマイチで「ワンダーウーマンお披露目!」の印象しか残っていない.

で,この世界線は『ジャスティス・リーグ』につながり,『アクアマン』という傑作が生まれるわけだが...それに別路線で『JOKER』も...おっと,この話はここまでだ.

つーことで,今回の『THE BATMAN』である.

※ 以下,ネタバレ.

全くノーマークだった.
恥ずかしい話だが,ネット上での高評価を知り劇場鑑賞した次第.

もちろん事前情報なし.
鑑賞後の現在も各種レビューは見ていない.
ゆえに勘違い,誤解釈もあると思われるがご容赦(誰に?).

結局,どの世界線とも無関係の独立した映画だった.
完全新作.

既に両親は殺されており,ブルース・ウェインは謎めいた隠遁生活を送っている.
しかあし,その正体はハイテクスーツと中二病的ガジェットに身を包み,日々(主に夜間)ゴッサムシティの平和を守る...というか,悪ガキ共を懲らしめる正義マンなのだった.

それにしても警察との関係性が不思議.
普通に一緒に捜査しているけど,協力はしてない.
証拠品を持ち出したり破壊したりとやりたい放題.
モーガン警部,甘すぎませんか?
彼の正体を知っていた? そんな場面はなかったけどな.

バットマンと言えば,別世界のクモ男と違ってひたすら陰キャ.
ふたりとも似たような悲劇を体験しているけどこの違いは何?

バットマンは革マスクをかぶる際,目の回りも黒くメイクするのだが,マスクオフ後もそれがそのまま残っているかのような常に疲れた表情.
能力者や強化人間ではないので,当然ながら体中キズだらけ.
そして,これまでになく無口.

ほぼ全編が夜,もしくは雨のシーンであることも相まって,画面がずっと淀んでます.

基本構成はハードボイルドな探偵小説.
正直,バットマンを主役にする必要はなかったかも.

ハデなアクションシーンはほとんどない.
ワイヤーやら小型ボーガンのようなガジェットは使うが,基本は肉弾戦である.
ただし,なんちゃって“ガンカタ”アクションあり(銃なし).

そして殺さない.
つーか,バットスーツの防弾性がとんでもなく高い.
ショットガンの近接射撃でも平気なのだ.
犯罪者たちもなぜか顔を狙わない.
革マスク一枚なのに,と終始疑問.

バットマンと言えば,上空からのマントを広げてのシルエット落下.
今回はなんとフライングスーツを着用し,警察署から逃走.
着地に失敗するが無傷!
大事なのはリアリティだよ!(露伴談)

探偵小説ゆえの黒幕探しは2本立て.
どちらも「えっ?」という犯人ではあるが,意外性はない.
つまり推理モノとしては面白くない.

警官汚職物によくあるパターンで,あまりに単純過ぎる.
検事長が自分の生命を犠牲にしてまでも,口にしなかった相手ってそれ?
「途中で“シロ”誘導してたやん!」と,つっこんだわ.

もう一人の犯人がナゾナゾ男の「リドラー」
バットマンではJOKER同様,おなじみのヴィラン?
その昔,ジム・キャリーが演ってたキャラやな.衣装と笑い方を覚えている(『マスク』と区別がつかない).

ヒロイン=キャットウーマンが出てくるけど,何かキャラの掘り下げが浅いな.
なぜこんなに格闘戦が強い?
前半で気になったのが,市長の殺害現場からアパートまでバットマンはあのマント姿でバイクに乗っていたのだろうか.目立つで.

と,まぁイマイチな点ばかりを列挙しているが,撮影は素晴らしかったです.
考え抜かれたフレームワーク.
写真を趣味にしている身としては,大いに参考になった.

肝心なのはここから.
この手の映画を見たまま述べてはいかん.
内に秘めたテーマを考察せねば.

1)「正義には悪が必要」論

『ダーク・ナイト』から続くテーマ.
リドラーがなんとなく語ってたけど,今回はそれがメインではない.

2)「復讐は何も生まない」論

勧善懲悪で終わらせない,またザコ敵であろうとも殺さないヒーロー描写が最近増えてきた.
ただ,その究極の描写をついこないだ『ノー・ウェイ・ホーム』でやっちまったしなぁ...しかも,あんな形で.

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を観た~そう来たか!

3)「親の罪は子が背負うべきか」論

日本だと,逆の「(犯罪者は)親の育て方が悪かった」説が幅を効かせている.
欧米の価値観では親と子は別人格なので,加害者(特に成人の場合)の親はあまり責められないと聞くけど,実際はどうなのだろう?

では,この映画で示された子の責任は?
父のトーマス・ウェインは家族の名誉を守るため,意図的ではないが”殺人”を依頼してしまった.
事情を知る(父親代わりの)執事は仕方がなかったと言う.
それを聞いても,ブルースは,やはり父の行いを許せない.
その償いがクライマックスの救助シーンにつながっていく.
自分の“これからの”行為によって,父の罪が消えるわけではないが,“これからの”人々は救える,いや救わなければならない.
そのために,今日もオレはこの街,ゴッサムシティを守る!的な.

4)「無敵の人たちの犯罪」論

リドラーのキャラ設定が正にそう.
バットマンをひたすら妬む.
そしてネットで焚き付けられた人々が,混乱に乗じて殺戮を開始する.

新コロ禍の日本でも,この「無敵の人」(たいてい中高年男性)による凶悪犯罪が複数発生した.
今後,この理不尽な犯罪は増えていくと思われる.

バットマン映画はどれも,このテーマを内包しているように思う.
それは「バットマン(ヒーロー)が何をしようが,欲望の街ゴッサムシティは変わらない」と.

ただし,今回の映画では「リニューアル」という言葉が何度も出てきた.
小手先の政策や改革ではなく,もっと根本的な変化が必要と訴えているのか,それは徐々に進行中のホワイト革命のことなのだろうか?

確かにわかりやすい“悪人”は自然と淘汰されるかもしれない.
でも...その代わりに失うものは何?

つーことで『THE BATMAN』.
全然スカッとはしませんが,とりあえず秀逸なカメラワークを堪能したい人にはオススメです.

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』がとうとう始まった!

2022/3/10 Thu

今回も安定の異例づくし.

https://www.tv-asahi.co.jp/donbro/より

みんな大好きスーパー戦隊シリーズ第46作目暴太郎戦隊ドンブラザーズが始まった.
しかしまぁ,毎年毎年あれやこれやと趣向を凝らしてくるもんだ.
財団Bの企画室,楽しいやろうなぁ...(いや,たぶんすごいプレッシャー

それはともかく,今回の『ドンブリーズ』...ではなくて『ドンフレグランス』...ではなくて『ドンブラザーズ』,早くもカオス.

まず,第一話で主役側の5人が揃わない.
登場はレッド(モモタロウ),イエロー(オニ),ピンク(キジ)の3人のみ.
残り2人は人間体すらない.

モノローグありのイエロー(オニ)が主役っぽい展開.
しかもJK漫画家(盗作疑惑)で,彼氏ありで,性格に難あり.
そしてまさかの強制変身で,男に足蹴にされる.なんじゃそりゃ.

世界観の説明を全くしない.
メガネをかけると真実が見える,名画『ゼイリブ』のオマージュか?
まさか子供番組に社会風刺ネタを取り込んでくるとは思えないが...オレたちの”俊樹”ならやりかねん.

ゼイリブ 4Kレストア版 ULTRA HD [Blu-ray]

敵?もしくはライバルの脳人(ノート)の変身体がライダー...というよりウルトラマン.
こちらも一応「鬼狩り」をしているので,主人公たちと敵は共通?
『ルパパト』のような構成?

一方,その鬼たちは過去戦隊オマージュ.
今回は「騎士竜鬼」.言うまでもなくリュウソウジャーのデザイン要素が組み込まれている.
脳人が倒すと消滅.
ドンブラが倒すとギア化 ⇒ 黒カイトが集めている?

さて肝心のレッドも怪しいっつーかヤバイ.
神輿+踊り子は毎回登場?
ゴーカイチェンジ...ではなくアバターチェンジして白ゼンカイザーになる.
そこは「リュウソウジャー」とちゃうんや.
とりあえずレジェンド路線継続か.

ピンク...はよくわからんが,さすがにあのプロポーションで戦闘には無理がある.
CGとバストアップの繰り返しでごまかしている感.
そのうちしれっと人間体型に戻すのでは?
次回登場のブラック(SD犬)はどうする?

ロボの戦闘空間が『電光超人グリッドマン(特撮版)』風.
脳人の世界?

レッドの鳥モチーフバイクが「せっちゃん」っぽい.
ジュランは声なし?

そして怪しさ満点のカイト.
白ゼンカイザーはギア化してるし,なぜ黒?

つーことで,超ハイテンポで謎バラマキ過ぎの第一話でした.

ちなみにうちのアホ息子(9歳)の感想は「ワケわからん」.

春からJKの娘,アラフィフのヨメさんも「ワケわからん」.

そしてKazchariは...「商業的に大丈夫だろうか?」

おひろめ配信時に,確か最年長で元銀行マンのピンク俳優さんが「僕たちのせいで戦隊の歴史にピリオドが打たれるかも...」と言っていたのが気になる.
あれ,冗談ではなかったりして.

とりあえず次回も楽しみ.

公式Youtubeで配信中.便利な時代だ.

https://www.youtube.com/watch?v=OPUeGyqI330

『ブラックブック』と『ハンターキラー』~強運の主人公

2022/3/9 Wed

リアリティと娯楽.

こういう時こそフィクション.
ロシア映画『ロシアン・スナイパー』に続きAmazon Prime Videoにて戦争映画を鑑賞中.

『ロシアン・スナイパー』を観た~傷だらけの死の女

まずはオランダ人監督ポール・バーホーベンよる『ブラックブック』
公開時より非常に評判がよく,いつかは観たいと思っていた映画.

ブラックブック(字幕版)

1944年、第二次世界大戦時ナチス・ドイツ占領下のオランダ。若く美しいユダヤ人歌手ラヘルは、ドイツ軍から解放されたオランダ南部へ家族とともに逃げようとするが、何者かの裏切りによって家族をナチスに殺されてしまう。復讐のために名前をエリスと変え、ブルネットの髪をブロンドに染め、レジスタンスに身を投じる。そしてナチス内部の情報を探るため、ナチス将校ムンツェに近づき、彼の愛人となることに成功するが…。 果たして真の裏切り者は誰なのか?すべての鍵を握る”ブラックブック”とは?

以下,ネタバレ.

ポール・バーホーベンと言えば,何をおいても『スターシップ・トゥルーパース』
表向きはSFアクション.中身は戦争や全体主義への皮肉に満ち満ちた映画.
軍人にならなければ市民権は与えないッ!

さて,『ブラックブック』のヒロイン,ユダヤ人女性ラヘル(エリス)は何しろ強運.
彼女は銃を持って戦う兵士ではない.
女を武器にするあまりに雑なスパイ.
しかし,確実に死ぬような場面でも,機転と根性で乗り切る.
まるで異能生命体かジョースターの血統.
ようするに魅力的.

戦争映画としてはめずらしく,誰かを「絶対悪」としては描かない.
誰にでも事情がある.

難点としては,レジスタンスの作戦行動があまりに杜撰なこと.
それに裏切り,裏切られの脚本はスッキリしておらず,種明かし時もカタルシスは感じられない.

いわゆるブックエンド方式で,冒頭とラストがつながる構成なのだが,そのラストシーンが割と衝撃的.
ラヘルの安息の場は戦いの中にしかないのか?

ユダヤ人への迫害と戦後の立場逆転に関しては,やはり手塚治虫の『アドルフに告ぐ』が超傑作.

新装版 アドルフに告ぐ 1-4巻 セット

映画だと,ユダヤ人を“悪”に書くのは難しいやろな.

もう一本は『ハンターキラー 潜航せよ』
こっちは,ハリウッドな娯楽映画(イギリス製作).

ハンターキラー 潜航せよ(字幕版)

ロシア近海で1隻の米海軍原子力潜水艦が姿を消した。ジョー・グラス艦長率いる攻撃型原潜“ハンターキラー”は捜索に向かった先で、無残に沈んだロシア原潜を発見、生存者の艦長を捕虜とする。同じ頃、地上ではネイビーシールズ精鋭部隊の極秘偵察により、ロシア国内で世界を揺るがす壮大な陰謀が企てられていることが判明する。未曾有の緊急事態を回避するため、ハンターキラーには限りなく0に近い成功率の任務が下る。それは、絶対不可侵の水中兵器ひしめくロシア海域への潜航命令でもあった。グラスは任務遂行のため、シールズとタッグを組み、禁断の作戦実行を決断するが……。世界の運命は、一隻の潜水艦に託された――。

以下,ネタバレ.

一時期のウイル・スミスが地球を救いまくっていたように,最近世界(特にアメリカ)を救いまくっているのがジェラルド・バトラー.

今回の映画ではSPではなく,謎の原潜艦長.よって肉弾戦は封印.
過去に何かあったようだが,その辺りは何故かボヤかされている.

昔から「潜水艦映画に外れなし」とよく言われる.
有名どころでは『U-ボート』『K-19』『クリムゾン・タイド』『レッド・オクトーバーを追え』などなど.

ついでにKazchariは『蒼き鋼のアルペジオ』も好きだ.
サメ映画同様,もはや一つのジャンル...というほど作品数は多くないけどな.

音を頼りの隠密戦闘がたまらん.
画面から臭ってくるような閉塞感がたまらん.
圧潰寸前のギシギシ音がたまらん.

潜航シーンで身体が斜めになるSmooth Criminalなポージング.
潜水艦映画で初めて見た気がする.

さて,この『ハンターキラー』は,鉄板の潜水艦モノに地上戦=シールズ成分をまぶしている.
設定てんこ盛りの割に上映時間が長くない(122分)せいか,各登場人物の掘り下げが不足気味.

ちなみにこの映画のプロットは,どういうわけだか戦争がしたくてたまらないロシアの国防大臣が,大統領を監禁して軍を掌握.
自作自演のロシア原潜の沈没工作をアメリカの攻撃に見せかけ,米ロ開戦の口火を切ろうというまどろっこしいストーリー.

ジェラルド・バトラーの原潜アーカンソーは撃沈された友艦の調査に出向き,(内部から)破壊されたロシア原潜から艦長を救う.

一方,米軍はロシアの不穏な動きを探るため,4人のデルタフォースをロシア国内に潜入させる.
その際,偶然にもドローンで“たまたま”クーデターを目撃&録画(タイミング良すぎ)
秘匿回線を使って米国に送信し,あっという間に事情が筒抜けとなる.
爆笑もののご都合展開.

そのままシールズにはロシア大統領の保護を,アーカンソーには彼らの救出命令が下される...って,その場で思いついたかのような無茶苦茶適当な作戦.いいのかそれで?

そういえば,このジェラルド・バトラー艦長もラヘルに劣らず,相当強運の持ち主.
駆逐艦からのロケット,魚雷は直撃しないし,根拠のない信頼で敵が敵を裏切って助けてくれるし.
読める展開で安心して見ていられる(その分ハラハラ感に欠く)

ヒステリックな幹部(ゲイリー・オールドマンの無駄遣い),現場を信頼する冷静な上司と分析官,出撃前に彼女の写真を眺める死亡フラグ立てまくりの新兵...ってこいつは助かったか.

ステレオタイプなキャラだらけで意外性は皆無.

てっきり,最初に助けたロシア原潜の一人が爆破工作員でアーカンソーがヤバイことになる,と予測してたけどハズれた.

さらに大統領が女性,原潜のクルーに黒人,アジア系,女性通信士を配置しているところはポリコレ準拠か.

アクション映画としては,まずまずのデキなのだが,この映画には最大の欠点がある.
それは言語.
「洋画は字幕派」のKazchariとしては,ロシア人同士の会話が英語なのが非常に気になる.
一方で,米兵に対しては「ワタシエイゴワカリマセン」なのが変.
ここでリアリティが超絶ダウン.

場面や相手によって,ヘブライ語,オランダ語,ドイツ語,英語を使い分けていた『ブラックブック』とのギャップがスゴイ.
こうした言語へのこだわりって,映画全体を「娯楽」か「リアリティ」にするかの境目やと思う.

『ハンターキラー』は完全に前者.

さて,これを書いている3/9現在も,ロの国とウの国は戦争継続中.
テレビやYahooのトップに上がるような記事では,ロの国を非難する論調ばかりだが,Kazchariが購読しているメルマガには,別の見方を提示している.

田中字の国際ニュース解説

世の中はフェイクだらけ.

思考停止と言われても仕方がないが,何が真実なのか判断できない.
おそらく,戦後も一般庶民には何が起こったのか知らされないままだろう.

数年後,この戦争をテーマに映画が作られるかもしれない.
果たしてそれは娯楽かリアリティか?

Not even justice,I want to get truth.

『イデオン』デザイン考(その3)

2022/3/2 Wed

その時,イデが発動した.

iPhone11 Pro

一応このブログは,チャリネタが中心.
そんな中,意外にもアクセス数が多いのが「『イデオン』デザイン考」と題した2本.

『イデオン』デザイン考(その1)

『イデオン』デザイン考(その2)

今も新作が延々と続くガンダムならともかく,イデオンですよ.
どういう人が,どういう興味を持ってここにたどり着いているのだろう?

もちろん「絶対イデオン基準」(by福井晴敏)なる言葉があるくらい,根強い(おっさん)ファンがいるのは承知.
放送当時15歳だったKazchariが,初めて創作物の持つパワーに打ちのめされた作品だった.

1982年の劇場版の公開をもって,作品そのものは完全に終了.

「伝説巨神イデオン」劇場版 Blu-ray(接触篇、発動篇)

もちろんこのBlu-rayは持ってます,つーかDVDも買ってたりする.
ちなみに劇場では3回観た.途中経過の試写会にも行った.懐かしい.

ガンダムのように続編や派生作品が展開されるわけではない.
続編,リメイクの噂も一切ない.

ただ昔の雑誌インタビューで富野カントクが「いつか『リング・オブ・イデオン』を作りたい」とか言ってたような...劇場版『Z』のデキを鑑みるに...ヤメテーッ!

そんなイデオンだが,今でも時折,新規造形の立体物が発売される.
その最新作(?)は『threezeroX竹谷隆之イデオン』である.

threezeroX竹谷隆之 伝説巨神イデオン イデオン ノンスケール ABS&PVC&POM&亜鉛合金製 塗装済み可動フィギュア

昨年12月に発売予定だったが,なんやかんやで今年の9月発売に延期されたようだ.

発売に至った背景はこの記事に詳しい.

イデオンが鬼才・竹谷隆之のアレンジでアクションフィギュア化! 「threezeroX竹谷隆之 イデオン」発売記念インタビュー「接触篇」──ロボ好き声優・泰勇気がその魅力に迫る!

竹谷氏と言えば,財団BのSICシリーズが有名.
主に東映系特撮ヒーローを,生物系デザインはより有機的に,メカ系デザインもそれなりにウネウネとリモデリング.
時には独自解釈が過ぎてもはや別物(最近のは抑え気味).
Kazchariも嫌いじゃないので,数体コレクションしている.

で,その新作イデオンの価格は驚愕の¥132,000!
定価ベースなら伝説の「νガンダム 解体匠機」より高いやん!(絶賛価格高騰中)

METAL STRUCTURE 解体匠機 逆襲のシャア RX-93 νガンダム

Kazchariはトイ・コレクターでもある.

長女がまだ幼少だった頃,誕生日やクリスマスのプレゼント選びのため,久々に訪れた「トイザらス」で初期フィギュアーツ「仮面ライダーW」を手にとったのが運の尽き.
以降,すっかり15以上対象のハイエイジトイにはまってしまった.

とは言え,さすがに昨今の価格高騰にはついていけず,せいぜいフィギュアーツの新作主役ライダーだけを購入してきた.つまり1年に1回だけのペース.

コレクター気質~SHF『セイバー』買っちった

この法則に従うなら最新作『リバイス』の場合,2体分買う必要がある.
それをきかっけにコレクター引退宣言.

つーことで,終活の一貫としてヤフオクでコレクション整理中.
これは永久保存!と買ったはずのものにも容赦ない.
興味のある人は検索し,入札ご検討下さい(宣伝).

さて,話を「竹谷イデオン」に戻す.
さすがにこの値段だと...なので,買う予定は全くない.
もし,金銭的に余裕があったとして,欲しいかと言えば...どうだろう?

以下,公開されている画像からの感想.
実物を目の前にするとまた異なるかもしれんけど.

今回のアレンジだが,SICっぽいうねうね感は健在.
それでもイデオンにしか見えない.
カラーリング変えたらわからんかも.

アレンジの方向性は仏像+アールデコ?
モーターヘッドっぽさや“オーガニック的な”アンチボディの雰囲気もある.
つまり永野護

全身の細かいディテールも生物感っつーか,”柔らかい金属感”が出ている.
腰回りの甲殻類的な気持ち悪さも良い.
末端肥大気味で,実際のサイズ(肩高46cm)に限らず巨大感はめちゃくちゃある.

イデオンゲージは3つあるが,ノバについているのは開きそうにないし,バスタのは反転してグレンキャノンにはならなさそう.

あまり目立たないけど,特徴的なのが6本指.
神秘性の表現? もしくは古○つ○先生リスペクト?

話は変わるが,指の本数が多い多指症の方はけっこういる.
日本の場合,新生児のうちに切断するらしいが,インドあたりでは幸運の印とされ,残している方も多いそうな.
Kazchariもジャマイカにいたころ,数名見たことがある.
もっとも,全ての骨が揃っていて,まともに動かせる人は少ないらしいけど.

この形状の割に可動性は優秀.
もちろん合体変形はしない設定っぽい.

後は...デカイ.
それに,たぶん重い.
イデオンとしてこの重量感は外せない要素.
悪く言えば邪魔だが,こうしたトイに13万円払う人は,そんなこと気にしないか.

総じて,これまでイラスト上でありがちだった「異星人のメカは本来こうあるべき」を3次元化したトイの最高峰,であるのは間違いない.

この「竹谷イデオン」で新作,もいくはリメイクを妄想してみる.
ここまで有機的デザインにしてしまうと,バッフ・クラン側のメカを鋭角に,無機物風にしないとバランスが取れない.
ロボアニメには,生物っぽいのは敵メカ,角ばっているのは味方という法則がある(『超時空世紀オーガス』はあえて逆にした).

いっそのこと,バッフ・クランと地球の立場を入れ替えるのはどうだろう.
イデオンを手に入れるのがバッフ・クランで,地球がイデオン奪取を図る...これはこれで面白そうだ.
メタバース流行りやしな.

こいつの後『FAイデオン』見ると,普通すぎて...
確かYouTubeのレビューでも”普通”という声が多かったはず.
結局,Kazchariもスルー中やし(まだ買えます).

超合金魂 伝説巨人イデオン GX-92 伝説巨神イデオン F.A.

機会があれば第4弾として,サムネにある「イデプラ」の雑感かな.
ちょうどアオシマの旧キットを押し入れから発掘したし,最近買ったスーパーミニプラもあるし.
近いうち,オークション行き?