2024/1/16 Tue
感受性の衰え?
「趣味は何?」と聞かれたら,もちろん「自転車」と答える.
少し前なら「オートバイ」「ダイビング」,そして「読書」だった.
大学生の頃に,
「あのな,どうせ本読むんやったら,何十年,何百年間も人の評価に耐えてきた古典文学を読むべき!」
と,のたまう悪友に感化されて,古今東西の名作,いわゆる純文学を読みまくった.
確かに面白かった.
学校の「文学史」で名前だけを知っていた作者と作品がコネクト.
遠い時代,遠い場所の感性も価値観もまるで異なる人々の人生模様に,どうしてここまで心が揺さぶられるのか...結局ヒトの根底に流れるモノはみな同じということか.
なかでもその後の人生に多大な影響を与えてくれたのが「ヘルマン・ヘッセ」である.
ホンマ,彼には感謝してもしきれない.
まっ,夢見がちで神経質っぽいおっさんなので,隣にいたら嫌やけど.
圧倒的大傑作は『知と愛』.
両極端に答えはない.
人生は白か黒かではないのだ.
で,純文学の有名どころを一通り読んだ後はエンタメ作品に回帰.
世は何度目かのミステリーブーム.
宮部みゆきや綾辻行人が人気だった.
午後11時「寝る前に少しだけ読もう」っと,ページをめくった『火車』.
読了時,気が付けば朝を迎えていたのが,人生で最も強烈な読書体験だった.
綾辻行人を筆頭とした「新本格」と呼ばれる小説群は,コナン・ドイルやアガサ・クリスティー,横溝正史などのトリックをアップデート.
「読者に挑戦!」なスタイルがKazchariを魅了した.
代表作はやはり『十角館』かな.
とりわけ「叙述トリック」系は,作者と読者の知恵比べが楽しい.
いかに思い込みを廃し,描写の不自然さに気付き,過去の名作からプロットに仕掛けはないのかなどなど,思考しながら読み進める.
時間を忘れて物語世界にのめりこむとは,正にこのこと.
『葉桜の季節に君を想うということ』『ロートレック荘事件』『アヒルと鴨のコインロッカー』『ある閉ざされた雪の山荘で』etc..は特に印象に残っている.
とまぁ,しばらくは充実した読書ライフを送っていたのだが,それを邪魔するものが現れた.
そう,インターネットである.
デスクトップパソコンが中心の頃はまだ良かった.
やがてグラフィックや通信性能が著しく進化し,スマホやタブレットが登場.
映画にしろ,ドラマにしろ,視聴が手軽過ぎる.
結果,エンタメの享受が読書ではなく動画に置き換わってしまった.
受け身で,延々と好きな“刺激”を浴び続ける日々はまるで麻薬.
残念ながら圧倒的に心地よい.
読書の楽しみを忘れてはいかんと「Kindle Paperwhite」も購入し,小説も数冊ダウンロードしたが,紙の読書とはやはり何かが違う.
(コミックを除き)電子書籍による読書習慣は持続せず,気が付けば,絶望的なほど年間読書量が減ってしまった.
だがすべては言い訳.
たかだか道具・手段の一つに過ぎないインターネットではなく,読書習慣がなくなってしまったのは,年を重ね衰えてきたKazchari側に問題があるかもしれん.
うーん.これは違う気がする.
単純に視力や,実践できるかどうかといった功利的な問題ではないはず.
特に娯楽小説は当てはまらない.
やはり感受性が鈍感してしまったのだろうか.
活字情報のみから,イメージを広げるといった作業が困難になりつつあるのか.
また,空想の世界にのめりこみたい.
コミックや映像と違って,そのイメージは圧倒的に自由!
つーことで,2024年の目標としてチャリ関連だけでなく「読書の愉しみを取り戻せ」も掲げる.
リハビリとして,大好きな叙述トリック小説として有名だが,未読だった2作を連続して読んだ.
うーん.すっきりしない.
正直言うと,両作とも最後まで”トリック”には気付けなかったので,作者との知恵比べには負けたことになるが,真相を知った上でのカタルシスがなぜか来なかった.
まるで,ととのわなかったサウナのごとし.
よく練られたプロットで共に傑作なのは確かなのだが,なぜか乗れなかった.
ネタバレはできないが,再読するとあちこちにヒントが散りばめてあるので,フェアな小説ではある.
驚くことに前者には映像作品まである.
このトリックをどうやってヴィジュアル化したのだろう?
観るつもりはないのでレビューをチェックすると,完全に開き直り,最重要トリックは先にネタバレしているらしい.
それももう別の作品では?
つーことで,読書習慣を取り戻すためのリハビリは道半ば.
とりあえず,就寝直前,ベッドの中で読み進めることにしたおかげで,タブレット使用は控えることができた.
ブルーライトは安眠の敵.
むしろ,新作よりも再読の方が良いかもしれん.
過去と今での感性の違いを確認できる.
ところで読書ってデメリットあるのか?
読書はデメリットとメリット、どっちが大きい?ガチで本を読んで気づいたこと
「1-6」に激しく同意.
あれ?
感性ではなく記憶の問題なのか?