2024/1/19 Fri
バーンバーンバンバーン
年が明けて24年冬アニメ(でいいのか?)も徐々にスタート.
『薬屋』や『フリーレン』のような鉄板継続作品はともかく,他の新作もちょこちょことチェック.
前シーズンの『Dr.STONE』や『SPY x FAMILY』に代わり,家族で楽しみにしているのは『姫様“拷問”の時間です』.
色々な意味で安心の仕上がり.
さすがに『魔法少女にあこがれて』は食卓では流せない.
そして,現在SNS上で最も話題なのが,久々のオリジナルロボアニメ『勇気爆発バーンブレイバーン』だろう.
先日,ようやくその第一話を視聴した.
えー,いろいろな意味で実によくできている.
ロボ好き界隈で大騒ぎになるのも納得.
Kazchariも視聴後,周囲の人間に「とにかく前情報を一切カットして(←ここ重要)観てみぃ」と強烈にすすめている.
このアニメは事前に“仕掛け”を知っているかどうかで,感想が変わる可能性がある.
地上波と配信に5日間ほどギャップがあるので,KazchariはYouTubeのサムネでネタバレをくらった上で視聴することになった.それでも十分面白かったけどな.
よくも悪くも人は情報や経験から,先の展開を予測しながら考えたり行動したりしている.
悪く言えば“思い込み”に支配されている.
そこを見事にひっくり返してくる.
何をいまさらなのでネタバレすると,まず公式サイトの当初の情報やPVが騙し広告だったこと.
そして第一話放送後にシレっと本編に即した内容に入れ替えるという用意周到さ.
タイトルがタイトルだけに「何かを偽装しているのでは」と疑っていた人も相当数いたらしいが,それが大当たり.
いずれにせよ,こうした手法が使えるのも,絶滅種であるオリジナル企画ゆえの特権.
つーことで本編.
前半パートはハード路線な軍事系リアルロボ.
『ガサラキ』を思わせる演習シーンや,『アーマードコア』風のCGで動かすことを前提としたゴテゴテカクカクなメカ.
米軍(ルイス)と自衛隊(イサミ)に所属する主人公らの『トップガン』っぽいやり取り(なぜトリコロールTシャツ?).
おっさん(特にイサミ)のキャラデザが昭和モブテイストなのに対し,なぜか女性キャラはみんな令和基準.
この時点で過去と現在,異質物の共存も確実に狙っている.
後半.
突如,宇宙から謎の円盤型兵器が襲来.
なすすべもなくやられる現用兵器.
(主役メカと思われた)TSすら全く歯がたたない.
そして異星人の巨大タワー型宇宙船からの総せん滅ビーム!
もう絶望しかない.
...とまぁ,ここまでは割と既視感あり.
リアルロボのあるある展開だと,戦闘中偶然落ちてしまった地下空間に,“こんなこともあろうかと”用意されていたオーパーツ的兵器(異星人の技術をミックス)を偶然見つけて乗り込んで反撃開始.とりあえず撃退には成功...で,第一話完.
ではなかった超展開.
主人公のピンチに宇宙から降ってきたのが,ここまでの世界観に全くそぐわない巨大でド派手なスーパーロボット.
古き良き勇者風味の,口あり,表情ありの自律型ロボ,ブレイバーンである.
異物感が半端ない.
勇者ロボと言えば,たいてい熱血系少年と強い信頼関係を築き正義の怒りで敵を粉砕.
しかし,今回のパートナーは初の実戦でびびりまくった角刈りのおっさんだ.
パニック状態のおっさんを脅して,半強制的にコクピットに格納.
操縦どころか協力すらしているかどうか怪しい状態.
戦闘中に大音量でテーマソングを流す...まさかの本人歌唱!(OPで表記)
必殺技の唱和をこれまた強要.
自己主張オンリーのブレイバーンはイサミの話を全く聞かない.
一方的に“想い”をぶちまける.
質問にもまともに答えない.
ノリとしては『グリッドマン』とか『ウルトラマンZ』さんと...少し似た系統.
いずれにせよ,この前半と後半でのどんでん返し展開は面白い.
あれ? 主人公が超兵器に乗り込み,圧倒的なパワーで反撃...結果だけ見れば従来のロボアニメの第一話やな.
いずれにせよ,終始リアルロボだったとしたら,キャラもメカも魅力がイマイチだし,逆にスーパーロボ感を前面に出してたら,『シンカリオン』のような小学生向けと思われてしまい,ここまで話題にならなかっただろう.
見る前のイメージを裏切る第一話と言えば,最近では『推しの子』が有名.
あれも一見アイドル物と思わせて,その実,芸能界の闇+SFサイコサスペンス.
主題歌が大ヒットして,そこから小学生女児も割と見ているらしいが,ええんやろか?
さて,手の内をばらしてしまった以上,第二話以降が勝負.
あまりにも続きが気になったので,配信日を待てず,先行の地上波放送を録画視聴することにした.
で,ついさっき,第二話「イサミィーーッ!そろそろだよな、イサミィーーッ!!」を視聴.
いやもうこのタイトルだけでもバカの極み.
ブレイバーンが話す言葉全てがギャグ.
まさかのロボ+G,そして理解不能なED.
第一話視聴後の懸念を軽々と越えてきた超一級の変態アニメだった.
多様性にもほどがある.
すっかりネットミーム化した「俺たちはいったい何をみせられているんだ」が,これほどフィットする作品はなかなかない(『ドンブラザーズ』以来).
実は『魔法少女にあこがれて』とどっちもどっちの“変態”勝負だったりする.
生理的に無理な人も多いかも.
昨今,ハリウッドやらディズニー映画がLGBTQをはじめとするマイノリティへの理解促進を前面に押し出し過ぎて,エンタメとしての楽しさが犠牲になっている.
結果,マジョリティおよび従来からのファン離れによって,興行収入の爆死が続いている.
なんで金を出してまで説教を聞かねばならんのだ? しかも旧コンテンツの中身を改悪してまで.
日本は昔から,そして今も多様性には寛容な国である.
少なくとも創作物においては.
そしてここまでエンタメとして昇華できる.
つーことで予測不能,まだまだどう転ぶかわからないブレイバーン.
今,一番楽しみな作品だ.