2024/1/30 Tue
真実は見えるか
世間では某変態ロボアニメ(ホメ言葉)が話題沸騰中.
ここまで放送が楽しみなコンテンツは久しぶり.
オリジナルゆえ何が起こるかわからない&放送時間中ずっと大爆笑.
第3話も期待を裏切らない“あたおか”ぶりだった.
公式サイトにはデスドライブスの目的が「各々の願う最上の『死』を成し遂げること」とある.
どう見ても,ブレイバーンも同種族っぽいので,彼(?)の目的が気になる.
スーパーロボとしての死に様と言えば...思い浮かぶシーンが多すぎる.
そんな“勇気爆発”はともかく,本日のネタは往年のサンライズ作品『太陽の牙ダグラム』(1981)である.
ブレイバーンの対極にある超ド真面目政治系ロボアニメ.
ガンプラの大ヒットを受け,その二番煎じを狙うべく,タカラが打ち出したプラモ化前提のリアルロボ.
しかしながら,その中身は主役の「クリン」やら「ダグラム」を差し置いて,キャラが立ちまくる「おっさん(下手したらじいさん)達の会議シーン」ばかりが目立つ稀有なアニメ.
「真の主役はラコック」に異論を唱える者はいなかろう.
ところが,なぜかタカラの目論見通りにプラモが売れに売れ,放送話数は驚愕の全75話.今では考えられん.
同時期の放送はトミノ御大の『戦闘メカザブングル』(1982).それに『超時空要塞マクロス』(1982)である.
言い換えれば「タカラ」vs「財団B」vs「イマイ」「アリイ」のプラモ戦国時代.
毎週大量に入荷される新製品を店で眺めるだけで心が満たされた.
さて,『ダグラム』に話を戻す.
一応リアル系ではあるのだろうけど,文系出身でロボアニメ初監督の高橋監督はロボにあまり興味がなかったらしい.
軍事的っぽい作戦内容はともかく,大型の人型兵器であるコンバット(CB)
アーマーの扱いが適当過ぎる.
現役戦車やヘリコプターベースの武骨な外観にも関わらず,“特に”ダグラムは飛んだり跳ねたり,どんだけ弾が当たってもほぼ無傷で完全無双.スーパーロボよりスーパーロボ.
一方のザクポジションのソルティック,いやラウンドフェイサーは,ダグラムに殴られたり,こかされただけで即爆発する.
ガンナー系は車高が高すぎて的にしかならん(デザートガンナーの動きは秀逸だったけど).
また,ダグラムだけならまだしも,バズーカ使いのチコに何機倒されたことやら...
しかも物語後半になるまで,ゲリラ側のCBアーマーはダグラム1機のみ.
なんだこのパワーバランス.
そして肝心のストーリーも...「ドナン・カシムを倒したぞ! デロイア勝利! 独立万歳!」みたいなすっきりした終わり方ではなく,関係各方面の政治的バランスを考慮した妥協案でなんとなくの条約締結...という現実的過ぎてそこにカタルシスはゼロ.
クリンも特におとがめなしに実家に帰るし(次の戦場を求めているような雰囲気はありつつ).
とまぁ,文句ばかり書いているようですが,当時めちゃめちゃはまってました.
後半の第43話「仕組まれた背信」あたりからぐいぐい引き込まれた記憶がある.
放送翌日はクラスのオタク仲間と考察が盛り上がったなぁ.
それに後番組の『ボトムズ』で有名になった高橋監督のポエム魂全開の予告ナレーション.
『ダグラム』でもその片鱗がうかがえます.
『ダグラム』と言えば,当時定期購読していた硬派論評系アニメ雑誌『Animec』のディスリ記事が有名.
ストーリーからキャラ・メカデザインまでボロカス.
今でも「(作監による)頬こけがない時のデイジーはかわいい」「ブロックヘッドは不細工すぎる」「村議会選挙レベルの政治劇」といった数々の暴言は覚えている.
まだ放送中にも関わらず,忖度無さ過ぎてよくサンライズとの関係がこじれなかったなぁと思う.
『ボトムズ』に比べると人気がなく,続編やらスピンオフやらが全然作られない.
そんな『ダグラム』も40周年を越え,とうとう真打が登場.
脈々とプラモを出し続けていたMax-Factoryと組んでのコミカライズである.
作者は『機動戦士ガンダムサンダーボルト』で有名な太田垣康男先生.
何を思ったか『サンボル』の連載が途中なのにも関わらず,突如『太陽の牙ダグラム』のコミカライズをスタート.
最初は限定キット付の書籍版のみで,kindle版がなかなか発売されなかった.
発売されたらされたらで,付録なしで1冊¥1,260もした.
それがようやくポイントアップ(26%)キャンペーンの対象となったため,既刊の3巻までをダウンロード.
一気読みした.
これは素晴らしい.
ただし,TV版視聴済みが前提の内容.
そうでないと何が何だかさっぱりかも.
特に2⇒3巻で急に話がとぶ.
まずクリンがいい.
ちゃんと主人公している.
あとがきの対談にもあるが,年齢を少し上げて20歳過ぎの大学生風に.
結果,頭身が上がり,言動も大人っぽくなった.
自らの信念のため,父や兄に歯向かう覚悟がダイレクトに伝わる.
例の肩掛けパンツの半裸コスチュームは変化ないけど.
一番の衝撃はデイジーのキャラ変.
見た目,性格とも完全に太田垣ヒロイン化.
デイジーと言えば,誰もが気になる薄幸感漂う頬コケ.
コミック版デイジーにはありません.ついでに眉毛もカット.
まるでバッフクランのような骨格デス.
そもそも男の世界,太田垣作品に「萌えキャラ」は不要.
そしてみんな大好き「ラコック&デスタン」が早くもいい仕事しています.
そう,物語を先導しているのは彼らなのだ.
で,次にロボ.
うん? ダグラムをはじめ,CBアーマーはやっぱり飛んでいる!
だが大丈夫.着地時には姿勢制御バーニアをむっちゃ吹かしている.問題ない.
それにTVのような無敵の存在ではない.
「やられるかも」という危機感が常にある.
胴体,手足をユニットごとに簡単に分解⇒輸送できるのも面白い.
ゲリラが運用中なのだ.これが正しい.
ヘッドのキャノピーデザインは変わらないのに,バランス調整のせいかちゃんとヒーローロボっぽく描かれている.
ようするに設定画よりも,アニメ本編よりもかっこよい.
これはラウンドファイサーも同様.
そして作者推しのビッグフット!
TV版での登場は少なく,ブロックヘッドやブッシュマンに比べると目立たないメカだが,コミックでは大活躍.ダグラムを追い詰める.
もちろん,オリジナル設定のライバルキャラ,トラビス&アウラもいい味を出している.
こういうライバルキャラの存在は重要.
つーことでやたらに面白い本作だが,このまま再アニメ化とかならんかな.
あとがきには“夢”として語られているけど.
まぁ,イマドキの若者が『ダグラム』のような重厚なドラマに興味を持つとは思えんので,そこまでのムーブメントにはならんか.
コミック版の読者も80%以上は,“あの頃”,まだビデオ普及率が低かったため,強制リアタイを強いられ,テレビにかじりついて観ていた世代だろう.つまり50代...
で,このブログでロボを取り上げる時は,プラモやらフィギュアをサムネにするのが常なのだが,なんとうちにはダグラム関係のグッズが何一つなかった.
スコープドックはあふれているというのに!
昔はあまりCBアーマーには惹かれなかったということ?
デザインは好きだけど,買うまでに至らなかったか.
最初期の1/48ダグラムは買った記憶があるけど,たぶんそれ1個だけやな.
たぶん,ウォーカーマシンとバルキリーに資金(こづかい)が流れていたのだろう.
それにしてもMax-Factoryのダグラムキット,むっちゃかっこええな.
COMBAT ARMORS Get truth 太陽の牙ダグラム MAX27 1/72 ダグラム Ver.GT 1/72スケール 組み立て式プラモデル
最大の問題である股関節の可動もクリア...と言いたいところだが,さすがに「朽ちダグラム」ポージングは無理のようだ.
もちろん,ビッグフットもVer.GT.
COMBAT ARMORS Get Truth 太陽の牙ダグラム MAX28 1/72 ビッグフット Ver.GT 1/72スケール 組み立て式プラスチックモデル M01331
いずれにせよ,第4巻も楽しみ.
だが『サンボル』もいよいよクライマックス.
腱鞘炎は大丈夫ですか,先生?