2023/11/28 Tue
バイストン・ウェルに行きたいかぁ!?
往年のリアル(?)ロボットアニメ『聖戦士ダンバイン』が,サンライズ公式チャンネルにて毎週1話ずつ配信されている(いた).
公式チャンネルの無料配信はありがたいが難点もある.
おおよそ1クールごとに一旦中断.
数週間もしくは数か月後に再開.
すぐに続きが見たい人は,別途有料サブスク(dアニメストアとか)に加入せよ,ということなのだろう.
その『ダンバイン』も第1クール分が終了.
配信も,その物語的にも一区切りとなる.
Kazchariは1983年の本放送以来,40年ぶりの再視聴.いやぁ懐かしい.
当時Kazchariは高校一年生.
「なんでもいいから部活に入れ」という親に対し「(夕方放送のアニメが見たいので)ビデオデッキ買うてくれたら入るわ」と取引を持ち掛け,無事買ってもらった.
そう,TV番組をビデオに録画して観るという習慣が最初についたのが,この『ダンバイン』なのだ.
VHSデッキは,当時まだまだ高級家電.
それにテープも高かった.
120分テープが1本¥3,000くらいしていた記憶がある.
ゆえに3倍&一度見たら上書き録画がデフォルト.
保存というより,あくまで見逃した番組を後から見る用というスタンス.
テープの価格が下がると,放送中の「地獄CMカット作業」を経てのコレクション...という趣味も生まれるのだが,それはまた後のお話.
で,その『ダンバイン』の思い出と感想である.
先ほど述べた通り,録画したものを一度見ると上書きを繰り返していた.
ゆえに実質40年前に本放送を一度だけ見たきり.
それでも印象的なシーン(特にキャラの表情)やセリフは覚えている.
気合いの入った第一話「ここはいったいどこなんだ」,東京上空,レプラカーンの手を引きちぎるダンバイン,ハイパージェリル,「母親のお前が娘を殺したのか?」「力と狡猾さだ!さすれば勝つ!」,「シーラ・ラパーナ!浄化を!」などなど...(偏ってる)
今回『ダンバイン』を一週ごとの配信で観ることになったが,「あー,この本放送時と同じペースは悪くない」と思った.
理由はいろいろあるが,まずはその作画面から.
当時のTVアニメは作画監督によってキャラの顔が結構違う.
『ダンバイン』の場合,やはり湖川(ビーボォー)さん監督回が基準かつ最高峰.
もう飛びぬけて上手いっつーか,得意のあおりポーズで“骨格がみえる”キャラになっている.
何かのインタビューで湖川さんが「ダンバインのキャラはイデオンとザブングルの間を狙った」と言っていたのを思い出した.
特にマーベルは毎回気合を入れて描かれているような気がする.
まさに湖川美女直系キャラ.
それはともかく,作画監督ごとに違うキャラも次の話まで一週間空くとなんとか耐えられる.さすがに連続視聴だと違和感がえげつない(新訳Zは最悪).
お次はストーリー.
日本初の本格的西洋ファンタジー(風)アニメ.
しかもロボを出さなくてはならないという難度の高さ.
はたしてそれは成功したのか?(たぶん失敗).
まず,文明水準がよくわからない世界観に最初から最後まで困惑.
まぁ,オーラマシンはオーラ力が原動力なのは良いとして(良くないけど),この世界に電気はあるのか?
通信はどうなってる?
オーラマシンのコクピットの計器類は何のため?
実弾(ミサイル)はどうやって発射?(火薬?)
拳銃とか小銃も存在しているなぁ.
割と序盤にオーラ増幅器という便利機械が登場したせいで,わざわざ地上人を召喚する意味がなくなった.
各自勝手な言語を話しているけど,オーラ力のおかげで通じる謎設定.
物語後半の巨大戦艦群はどうやって作った? 技術のミッシングリング?
魂の安息の場所とは? そのわりには戦争ばかり.
地上とバイストン・ウェルを魂が行き来している?
輪廻転生? そんな描写あったか?
なぜフェラリオは水中生活?
いっぱい国が出てくるけど,全体でどれくらいの広さがあるのか?
夜があるということは自転している? 球体なのか?
一番気になったのは,リムルとトッドは相当高い位置から森に落下したが無傷.
どうなってんの? バイストン・ウェルは低重力なのか?
副読本や小説,あるいは本編の中で語られているかもしれないが,ここまでの話&うろ覚えでは,さっぱりわからん.
全滅エンドの最終回も,パラレルワールド,過去,未来,夢落ちでもなかった気がする.
結局なんだったんだ?
たぶん当初はバイストン・ウェルだけで物語を展開したかったはずだが,路線変更により後半は地上での大規模戦闘がメインに.
「東京上空」回だけならまだしも,後半はバイストン・ウェルはどうでもよくなっている.
ゆえに物語のバランス配分がかなりおかしい.
今回の13話までだと,人間関係をじっくり描きすぎて話そのものが全然進まない.
「逃げたけど城に戻る」「城に潜入したけど目的を果たせず戻る」「(少数の)敵が襲ってきてなんとなく撃退」が繰り返される.
ただ,ルーザとリムルの“あの”場面は凄まじかった,
はったり? いや違う,ショウが引かなければあのまま娘を殺しかねない緊迫感.
後の展開を知っているだけに.
そのルーザの行動を非難したショウが,東京にて実の母親と...
ホンマ,まだまだイデオン的な肉親の愛憎劇を引きずってますなぁ.
そう,全体のストーリーはボヤーっとしてるが,部分部分のキャラ同士の駆け引きは実に面白い.
ちょっとした台詞,しぐさ,目線などでキャラの感情を表現している.
脚本が秀逸な時の大河ドラマを見ている感じ.
一介の高校生にはわからん演出やな.
ちなみに同時期の放送はあの『装甲騎兵ボトムズ』.
あちらは完全に異世界.よりファンタジー要素強め.
そういや高橋監督って,次々作の『機甲界ガリアン』で西洋系ファンタジーやってたな.
これは『ダンバイン』が中途半端に終わったことへの,サンライズによるリベンジだったのだろうか?
で,メカ好きには肝心かなめのオーラバトラーについて.
今でこそ,ザ・オーラバトラーたる主役メカ「ダンバイン」のデザインだが,初見時の衝撃は悪い意味ですごかった.
まず友人から「おい,Kazchari! ザブングルの次のロボ見たか? なんかタイムボカンみたいやぞ! むっちゃ変な形や」という話を聞いた.
た,確かに同感だった.
これまでのどんなロボとも異なるデザイン.
ようするに,あまりに虫.
だがしかし,慣れればその何とも言えない異様な形状がカッコよく見えてくるから不思議だ.
もちろん財団Bから発売されたプラモも買ったが,えー,これがまたデキがなんとも...特に顔.
あまりの出来の悪さに,途中で新規造形パーツに変わったはず.
当時の技術では,有機生命体風のロボをプラモで再現することは不可能だった.
当時,ロボと言えばダイナミック系,大河原系,ぬえ系などが主流.
ダンバインのデザイナーの宮武さんは「ぬえ」の人なのだが,マクロスとはラインが全く異なる.
他の初期オーラバトラー「ドラムロ」「ダーナ・オシー」ももろに虫.
なぜか「ビランビー」は魚っぽい.
一般的にはカッコ良さよりも,嫌悪感の方がやや勝る(たぶん).
よく企画通ったな,これ.
案の定,おもちゃが売れずメインスポンサーのクローバーがつぶれ,バンダイに番組継続の命運が託されたのは有名な話.
宮武さんが抜けて出渕さんが後を引き継ぐ.
「ボゾン」「バストール」「ゲド」はまだ虫っぽさがあるけど,「レプラカーン」や「ビアレス」は恐竜(怪獣)やな.牙生えてるし.
「ライネック」はちょっとだけ虫.
「ズワァース」は真っ黒でよくわからんけど,まさかG?
うん.今でも名前がスラスラ出てくるなぁ.
ヲタクの記憶力は恐ろしい.
それにしてもこいつらは内燃機関ではなく,オーラ力(無限?)が動力源のはず.
なのに,どうして切られたら爆発するのだろう?
現在の感覚だオーラバトラーはどういうデザインになるのだろうか?
ある意味リメイク作品に登場する「ナナジン」とか「オウカオー」ってどうだったっけ?
いずれにせよ,こいつらはやりすぎ.キモイ.
リーンの翼
おっと,後期主役メカ「ビルバイン」のことをすっかり忘れてた.
あれはもはや生物モチーフではなく鳥型のロボ.
「昆虫を捕食する」から?
今も昔も違和感しかない.
世界観に合わなかった主役の「ザブングル」が,よりマッチした「ウォーカーギャリア」になった前番組の『ザブングル』と逆パターン.
番組終了後に発刊された『オーラファンタズム』にて,オーラバトラーの何体かは出渕さんによって,より生物的にリファインされた.
その中では,やっぱ「サーバイン」が一番かっこええな.「ヴェルヴィン」は相変わらずロボとしてはOK.
配信が始まってまもなく,突然,プレミアムバンダイから完全新作金型の1/72ダンバインが発売!
一次受注は逃したが,来年二次で無事get!(ようするに手元にまだない)
最近のバンダイのプラモは恐ろしいほどデキがよい.
2次元のウソと思われたポーズが不思議なほど自然に決まる.
腰が妙に細いのが気になるけど,サムネのRobot魂よりもかっこいい.
もちろん二番手発売の「ビランビー」(意外!)も予約済み!
この2体,どう仕上げてやろうか.
やはりツルツルの外装は解きパテでザラザラにしたい.
元は怪獣の皮膚なんでしょ? この装甲って.
後は関節の処理やなぁ.
以上『ダンバイン』40年目の感想(?)でした.
1もしくは2クールの尺で,ひたすらテンポよく,飽きさせないように無理矢理にでも衝撃展開を組み込む昨今のアニメとはまるで異なる作劇.
コスパ&タイパ重視のイマドキのファンの目にはどう映るのだろう?
配信再開したら最後まで,いや26話くらいまでは覗けますぅ.