2025/3/7 Fri
いつものエイリアンですよ
Amazon Primeにて『エイリアン コヴェナント』(2017)を観た.
『プロメテウス』(2012)の完全な続編である.
しかしながら,前作どころか,これまでのシリーズを観ていないと“ちんぷんかんぷん”かと言えばそうでもなかったりする.
哲学的な部分はさておき,普通のSFアクションとしても楽しめる...かもしれない.
以下,ネタばれ感想.
例によって解説サイトとかは見ていないので,映像からのみの解釈です.
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「コヴェナント」とは「契約」のこと.
何の契約かというと,神がイスラエル(ユダヤ)人に約束の地を与えるとした件.現代に続く争いの原因でもある.
今作においては移民船の名称.
移民先の星が“約束の地”ということだろう.
まぁ,劇中においては前作でたどり着けなかった「創造主の星」にやって来てしまったわけだが.
時に2140年.
宇宙船コヴェナントは入植者2000人の成人と胎生,および15人のクルーを乗せて航行中.
何十年にも及ぶ長旅ゆえ,もちろん冷凍睡眠.
シリーズ恒例のアンドロイド,ウォルターはずっと起きていて,船内のメンテ作業を行っている.
劇中のセリフに「10年前のプロメテウス遭難事件」というのがあったけど,スリープ中の時間カウントはどうなっているのだろう?
太陽電池の蓄電中,フレアにさらされて船が破損.船内も大パニック.
マザーコンピュータの指示により,予定時間7年弱を残してクルー全員を冷凍睡眠から起こすことになった.残念ながら船長死亡(主人公ダニエルズの夫).
船の修理中,クルーの一人が「カントリーロード」の歌声を受信.
「現在地からすぐ近くの星に人類がいる? おまけに大気組成が地球とほぼ同じ? さらに7年間も寝てられるかー! よっしゃ,予定を変えて調査だぁ!」
と,リーダーシップがまるでない新船長(オラム)が決断.
発信元の星に向かうことになった.
うん? これっていつもの“行ったらあかん”パターン.
事業主(?)の地球の許可とかいらんのこれ?
で,その星に到着後,母船から分離したランチが惑星着陸.
びっくりするほど無防備な惑星探検隊.
大気構成だけを確認してノーヘルで出かけるとは...しかも徒歩!
未知の病原体とか気にしないのか? 生物学者もいるはずだが.
つーか未来でもGoPro健在.
案の定,エイリアン胞子を吸ってしまったメンバーが寄生され,いつもパターンで大パニックに.
あー今回は変態せずに即ヒト型で誕生するねんなぁ(と思ってたら違った).
ランチを失い母船へ帰還できなくなったメンバーを白エイリアンが襲う!
そこへ現れたのがジェダイ風のマントを着,”一応”安全な場所へ案内する前作の生き残りデヴィット(アンドロイド)だった.
前作ラストで首だけになったはずだが,誰が修理?
途中まで,首から下はてっきりショウ博士だと思っていました(DIO?)
生き残りのメンバーに「プロメテウス事件」の顛末をざっくり説明.
パニック状態のメンバーはさほど興味を持っていない.
さて,デヴィットはこの星で何をしていたか?
エイリアンの船をぶんどって創造主の母星に到着後,早速「エイリアンの素」である黒い粉を撒き散らして創造主達を全滅させる.
誕生したエイリアンやら死亡したショウ博士を解剖,研究して様々な変種を生み出す.
要は自分が新たな生命体の創造主=神になりたいようだ.
そこへやって来たのが飛んで火にいるコヴェナントの面々であった.
早速,船長を騙して寄生させる.
デヴィット自身はエイリアンに襲われないコツを会得している(猛獣使いみたいなもの?).
デヴィットは,自分と同じアンドロイドであるウォルターを「君もわかるだろ?」と,仲間に引き入れようとするが,後継機のウォルターは感情やら知性をダウングレードされており,デヴィットの申し入れを拒絶してバトルになる.
運動性能や耐久性が向上しているウォルター優位で戦闘は進むが...(わかりやすい伏線)
オラムから生まれたエイリアンは,あっという間になじみ深いいつもの黒くてゴツイ形態に進化.生き残ったメンバーを次々に襲う.
非戦闘員なはずのダニエルズによる,救出艇上での大激闘を経て,そいつをなんとか撃破.
無事に母船に戻る.
ここで終わらないのも,いつものパターン.
脱出寸前にフェイスハガーに襲われていたロープからエイリアン誕生.
もちろん船内で生き残ったメンバーを襲い始める.
過去作のオマージュなのか,リプリー風タンクトップ姿のダニエルズとテネシーは,ウォルターと協力し,“いつも通りに”エイリアンを宇宙空間に放りだすことに成功.
めでたしめでたし...と行かないのもいつものパターン.
生き残ったダニエルズが冷凍睡眠する間際,視聴者の90%以上が予測していた通り,デヴィットがウォルターに化けていたことが明かされる.
フェイスハガーの幼体を乗せたコヴェナント号は,本来の目的地へと向かう...ちゃんちゃん.
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というお話.
「エイリアンお約束シーン」のオンパレードで,ある意味安心・安全だ.
まぁ,最大の違いは今回初めて「アンドロイド勝利!」で完結していること.
これまでは暴走した果てに損壊,もしくは人間と共闘するパターンだったが,本作では自分の創造主(神)であるヒトを殺して,自分が新たな星で,新たな生物の神になる過程が描かれる.
そういやアンドロイドの動力源もしくはエネルギー源って何だろう?
シリーズを通して,それに関する描写ってあったっけ?
そもそも舞台となった創造主の星が,前作の「エイリアン製造の前線基地星」と雰囲気がそっくりで区別がつかん(アイスランドだっけか?).
見るからに不毛な土地.
小麦栽培しているという描写はあったけど,パンなどの食物は出てこない.
前半のジャングルは新鮮だが,動物はデヴィットが滅ぼしたらしい.
それでいて植物相も維持できるのか?
つーことで,ストーリーもルックも,その根源のテーマ(人類の起源)も前作と似すぎていて深化もなく,新鮮味をほぼ感じない映画でした.
だから,娯楽に原点回帰した『ロムレス』が作られたのだろうか?
もう残るは「エイリアン,地球に行く」しかないかぁ...と思ったら,既にプレデターと戦闘済みだった.
まぁとりあえず,久々にワーグナーが聴きたくなったのは確かである.