2つの『ザ・ハント』~極限状態

2022/3/31 Thu

共通点あり?

邦題が同じ『ザ・ハント』という映画を2本立て続けに観た.

1本目は『ザ・ハント ナチスに狙われた男』(2017年ノルウェー).
ちなみに原題は『DEN 12. MANN/THE 12TH MAN』

ザ・ハント ナチスに狙われた男(字幕版)

ナチスに支配されていた1943年のノルウェー。ナチスの抵抗勢力として活動していた12人の男たちは、1人を残して処刑された。生き残ったヤンはナチスの追跡から逃れるためスウェーデン国境を目指すが、極寒の雪山での逃走は死以上の苦しみが待っていた。ナチスの将校のカートはヤンを捕らえるため広大な山を包囲し、執念深く追跡する。もはやヤンに逃げ場は残されていなかった―

以下,ネタバレ.

戦争映画とSF映画は金がかかる.
ハリウッド超大作ならまだしも,その他の国で製作しようとすると,どうしても...見劣りする.
この映画も派手な戦闘シーンはない.
その分,痛い,寒い,空腹,不眠,不安,幻覚のオンパレード.
これでもかと主人公を苦しめる.

しかし,超人的な体力の主人公が,数々の奇跡的な偶然で生還するという都合の良いストーリーだが,なんと実話ベースらしい.
もちろんノルウェー人はノルウェー語,ドイツ人はドイツ語を話す.そのこだわりだけで加点.

人類はその歴史の中で環境を支配し,いかに自分たちが快適に過ごせるかを追求し続けてきた.
速く泳ぐため,速く走るため.暑さ寒さから逃れるために様々な機械を発明した.

食料も同様.

季節に関係なく,好きなものを好きなだけ食べられる世の中になった.
もはや「パンがなければお菓子を食べればいいのよ」という特権階級を皮肉るセリフは意味をなさない.

ところが,こうした“我慢しなくても良い”という事態は戦争になると一変する.
この映画を観ながら「困難な状況を耐え抜く力が主人公を救ったな」と考え続けていた.
その原動力は何だろう?
この主人公,なぜか仲間は元より,逃走中に出会った人々に好かれる.
それも才能の一種か?

もう1本は『ザ・ハント』(2020年アメリカ).
こちらの原題は『THE HUNT』そのまま.

ザ・ハント (字幕版)

広大な森の中で目覚めた12人の男女。ここがどこなのか、どうやって来たのかも分からない。あるのは巨大な木箱に納められた一匹の豚と武器の数々。すると突然銃声が鳴り響き、何者かに狙われる。武器を取り、逃げまどいながら、やがて彼らは気がつく。ネット上にはびこる噂、「人間狩り計画」―セレブが娯楽目的で一般市民を狩る“マナーゲート“が実在することを。

以下,ネタバレ.

この映画の特徴は3点.

1つはデスゲーム系のお約束を破っていること.

この種の映画の愛好者であればあるほど,予測を外される.
「あれ?」「なんで?」と思わせる展開は上手い(特に前半).
どこかで観たなぁこの構成...そうそう『キャビン』だ.

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もう1つは昨今のアメリカ(だけとは言えないけど)の状況,いわゆる分断社会が露骨にテーマになっていること.

社会に不満を抱える「プア・ホワイト」「動物虐待者」「陰謀論者」「差別主義者」がブチ殺されていく.

シナリオ的に面白かったのが,元々ジョークだった「金持ちが人狩りをしている場所がある」という都市伝説(ウソ)がマコトになってしまったこと.

そして,殺す側(金持ち側)が環境問題や人権問題,健康にやたら関心があるのが笑える.
思想が異なれば,相手に人権はなく,駆除対象らしい.
人体破壊などの過激描写というよりも,こうしたプロットのために上映禁止になったんやろな.

後は...実は”みんな大好き”ナーメテータームービーだったこと!

おすすめナーメテーター映画10選 無敵のコマンドー?俺はただのコックだ。

もう,めちゃめちゃ強い主人公のクリスタル(ベティ・ギルピン)の表情が,やけにシュワルツェネッガーに似ていると思ったのはKazchariだけだろうか?
「ワタシはアフガン.あなたは?」「...州兵だ」のシーンが最高.

最後は女同士のキャットファイト(これもまぁ,フェミ...).
バトル中に「ちょっと休憩」というセリフはシリアス映画では初めて聞いた.

言うまでもなく,クリスタルだけが最後に生き残ったのは,何事に対しても冷静でいたためだろう.
誰の挑発に乗らず,状況を的確に判断し,自分で自分の道を切り開いていく.
ひたすらカッコよい.

そやけど,よくもこれだけの内容を90分に詰め込んだなぁ.

さきほどの”ナーメテーター”のリンク先で紹介されていない映画では『サプライズ』も面白い.

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つーことで,邦題は同じだが中身はまるで異なる『ザ・ハント』.両方ともオススメです.

リスのしっぽ

2022/3/30 Wed

クイズにならない.

Kazchari家には庭がある.

前面の庭は結構な広さがあり,冬場は雪捨て場として活躍.
気合入れれば”かまくら”の制作も可能!(しないけど)

裏庭には桜や白樺,紅葉樹を含む様々な木々が生い茂っており,春夏秋冬,様々な景色を楽しむことができる.

なぜか近所の家は敷地内の樹木を切り倒し,砂利を敷いていることが多い.
これは自然に囲まれていることが当たり前のネイティブ道民と,Kazchariのような移民との感性の違いであろうか?

それはともかく,樹木に囲まれているせいもあって住宅街にも関わらず,鳥や小動物の姿を窓越しに見かけることが多い.

子供らを含め一番人気はリスである.
特にここ最近よく見かけるようになった.

先日,HDに大量に撮りためていたNHKの『地球ドラマチック』を消化.
それがたまたま「大接近!リスの世界」という回であった.

地球ドラマチック「大接近!リスの世界」

例によって質の高い海外ドキュメンタリー紹介番組である.
非常に勉強...というかシンプルに面白かった.

やはり注意を引くのは,リスの最大の特徴である「しっぽの役割」

まず「樹上でのバランスを取る」というわかりやすい理由があるが,それだけではない.
例えば,アフリカのカラハリ砂漠には「ケープアラゲジリス」という種類が生息している.
こいつは,日中あまりの暑さのため,しっぽを背中から頭にかけてかぶせて全身を覆い,日よけとして使うという.
他にもコブラと戦う際には身体を大きく見せる威嚇行動に用いるとか.

面白いと思ったネタは人に伝えることにしている典型的なB型気質のKazchari.
視聴した翌日,講義を担当している学生(24歳)に,「ねぇねぇ,どうしてリスのしっぽはあんなに大きいの?」と,チコちゃん風に尋ねてみた.

その学生,「それはバランスを取るためですよね」と即答.
それ以外の答えが出てこない.
正解は正解だが,別の意味で”つまんねーヤツ”だった.

次にうちのアホ息子(9歳)に尋ねる.
曰く,
- ケンカの時,武器として使う(ヒートロッド)
- モフモフの毛でお互いをなでて”愛情”を表現する(小学生男子の表現なのか?)
- どんぐりを手から落とした時,しっぽで掴む(ゾウの鼻か)

その次に,寝起き直後で頭がウニっている春からJK娘(15歳)に尋ねる.
曰く,
- 寝る時の抱き枕にする
- 普段はネズミのような細いしっぽだが,一夜にしてモフモフになる(意味不明)
などなど.

とりあえず,若いほど想像力豊かに,様々な答えが出てくることがわかった.

で,ネットで検索してみると...なぜだかわからんが解説サイトが大量にある.

【シマリスの生態】奥が深い。尻尾が果たす5つの役割について解説。

リスの尻尾は抜けるの?しっぽが取れると再生するのか?

さすがにトカゲのごとき「しっぽ切り」は想像できなかったが,子供らの回答も”あながち”見当外れではなかった.

ようするに,何を答えてもたいてい正解してしまうのが「リスのしっぽの役割は?」というクイズでした.

ちゃんちゃん.

『新国立劇場バレエ団 くるみ割り人形』を鑑賞

2019/11/10 Sun

こうみえても

30年ぶりに生のバレエ公演を鑑賞した.

バレエを習っている中学生の長女とその友達,それにKazchariの3人で札幌までバス移動.
ただの付き添いというわけではなく,Kazchariは元々クラシック音楽好き.
公演そのものが楽しみである.

思い起こされるのは数年前,急な体調不良のヨメさんの代わりに,娘と二人で行った札幌ドームのB’zライブ.
あれは辛かった.
何が良いのかさっぱりわからん.
周りが立ち上がって盛り上がる中,ずっと席に座っていた.
浮いてたなぁ...

保有しているCDも圧倒的にクラシック音楽が多い(300枚くらいはある).
20代の頃は,いわゆる名盤と言われるCDを買いまくっていた.
今では全てMP3に変換してiPodに入れている.
HD占有率ではアニソンについで多いはず(3位はレゲエか).

さて,そのクラシック音楽,一番好きな作曲家はブラームスである.
特に『クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115』はたまらん.

もうね,偏屈独身中年男が人生を嘆いて嘆いて嘆きまくって最後には諦める...そんな曲.
私小説感たっぷり.

もちろん『交響曲第四番 ホ短調 作品98』も虚無感満載.
指揮者は定番中の定番,カルロス・クライバーが良い.
もうこの世にいないけど.

モーツァルト&ブラームス:クラリネット五重奏曲

ブラームス:交響曲第4番

今日の演目は,ブラームスと同時代の作曲家チャイコフスキーの『くるみ割り人形』
もちろんこの曲も大好きで,アンセルメ指揮のCDを聴き込んでおり,だいたいのフレーズは口ずさめる.

あっ,Kazchariは楽器の演奏できません.
楽譜も読めません.
ついでに音痴なので家族からは鼻歌禁止令が出ています.

チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71-全曲

旭川からの高速バスは昼前に札幌に着いた.

引率している2人がバレエ用品専門店に行きたいとのことで,買い物の間,店内の簡易イスで待機.
完全にアウェー状態.
女性下着専門店に放置されたようで居心地悪いにも程がある.

昼食後,13:15開場に合わせ,札幌文化芸術劇場hitaru着.

地図はあるものの行き方および存在が非常にわかりにくい.
まず建物の名称が「札幌市民交流プラザ」,その中に「札幌文化芸術劇場」「札幌文化芸術交流センター」「札幌市図書・情報館」が同居している.
地下鉄の出入り口からして「hitaru」の案内掲示がどこにもない.
不親切にもほどがある.

14:00開演.

チャイコフスキー・バレエの他の2作品『白鳥の湖』と『眠れる森の美女』に比べると『くるみ割り人形』は,演出・脚本の自由度が非常に高い.
もちろん曲は固定だが,今回はクララ=金平糖の精バージョン.
物語の中では夢(クララの妄想)の中で,王子に合わせてクララが自分を成長させた姿のように思える(違うかも).

音楽評論家のような表現はできないので,とりあえず...観に来て良かった.

久々のオケ生演奏は元より,選抜合唱団も素晴らしい.
肝心のバレエも,普段見ている娘のバレエ団の演技と比較すると,やはりプロの凄みを感じさせる(当然).
特に「アラビアの踊り」が印象に残ったなぁ.
遠心性収縮満載の運動はごまかしが効かない.

そう,やはりKazchariの着目点は出演者の体型・筋肉にある.
アスリートのそれは実に美しい.

てっきりボクサーやビルダー同様,体脂肪率一桁台?とか思って調べてみると,一流のダンサーでも世界標準でBMI18,体脂肪率17%前後らしい.
あれ,そんなに低いわけでもないなぁ.
見た目と数値は違うということか.

録画はもちろんご法度だが,ライブやスポーツ観戦,筋肉観察に双眼鏡は必携.

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