Flèche Hokkaido~おだってるJAPAN,かく戦えり(その2)

2024/6/15 Sat

焼肉と霧雨と

iPhone15 Pro

晴れ時々曇り.温度:23 ℃,湿度:68%,体感温度:23 ℃,風速:9.5km/時,風向:SSW

その1はこちら ⇒ Flèche Hokkaido~おだってるJAPAN,かく戦えり(その1)

まだ陽が高く暖かい.
特に防寒装備はせずにダウンヒル.

そこそこスピードも出てしまうが,ここは野生動物との接触事故頻発ゾーンである.
チャリだと鹿どころかキツネにぶつかっただけでも大惨事となる.
慎重に下る.リムブレーキやしな.

途中,Pikaさんの提案で「タウシュベツ川橋梁」に立ち寄ることに.
入口にチャリを停めて,100mほど森の中を歩く.
こういう時はやっぱりSPD

iPhone15 Pro

ここから橋を眺めるのはKazchariも初.
あぁ,こんなに遠いのか.

iPhone15 Pro

ファットな糠平湖上ライド(地獄篇)

音がして振り向くと鹿の親子がいた.

iPhone15 Pro

熊だったらブルベどころではない.

幌鹿峠と糠平温泉との分岐点まで下る.

iPhone15 Pro

糠平温泉街にある「ひがし大雪自然館」まで移動.

iPhone15 Pro
iPhone15 Pro

トイレ休憩後にチャリまで戻ると,Pikaさんが悲鳴.
なんとリアタイヤがズル剥け.中の繊維が覗いている.
この状態だと,いつバースト,いやその前にスリップしても不思議ではない.

タイヤ交換後,それほど距離は走っていないとのこと.
メーカー名は伏せるが,ちょっと耐久性に難ありと見た.
もしくは...例の八戸の「呪い」が継続しているのか?

オトナの修学旅行~BRM518あまちゃん200km!(その3)

やはり,ブルべは信頼と実績の「Continental GP5000」が安心ですな.

2本セット Continental(コンチネンタル) GRAND PRIX 5000 グランプリ5000 [並行輸入品]

以前に比べ値段が倍以上になったのが大問題だが.

そうそう,パーツ価格と言えば,日本への配送サービスがなくなってしまった“みんな大好き”「wiggle」が,いつの間にか国外配送復活.

wiggle

しかしながら以前に比べると品揃えが悪い上に高い.
上記「GP5000」の700×28cが2本でなんと120ポンド(+送料)もする.
海外から買う意味が全然無ぇ.

さて,現実に戻る.
まだまだ先は長く,Pikaさんの安全も気になるところ.
とは言え,ここでDNFするわけにも行かず(してもどうしようもない),次のPCを目指す.

やっかいなことに,この後,悪名高い“例の道”が控えている.
それは「芽登ダウンヒル」
快適走行の国道を左折して,まずは直登のヒルクライムから.

iPhone15 Pro
いただき画像

そしていよいよ始まる地獄.
別に急坂とか砂利が浮いているわけではない.
何しろこの道,道路の継ぎ目の高低差が激しく,かつその間隔が短いのだ.
ようするに常にドッカンドッカンと下から突き上げがくる.

十勝方面にありがちなのだが,冬期間の地面凍結によりアスファルトが変形,こうした波打ち道路を作る.ここは特にひどい.

iPhone15 Pro

今回は事前に知っていたため,腰を浮かせた“グラベル乗り”で衝撃を吸収しつつ走ったが,5年前の初見ではマジでびっくりした.
ランドヌールの中にも,ボトルが吹っ飛んだり,パーツが破損するケースが続出したらしい.

おまけに長い.
いつ終わるとも知れぬ波状道路.
ようやく記憶にある道路が少し狭くなる場所に到達.
「そろそろ終わるはず」と思いきや,今度は工事中でジャリの上に鉄板が敷いてある.

いただき画像

雨が降ってなくてよかった.
前方に黒い生き物を発見.
まさか...子熊!? ⇒ 猫でした.ただし黒猫だったので不吉.
その後は鉄板なしのグラベルになったりと,やはりハードな道だった.

iPhone15 Pro

国道に合流.
段差がマシになった道に,一同「ようやく文明社会に戻ってきた」と安堵.

さすがに国道は交通量多め.
確かこの付近に道の駅があったはず,と休憩を提案.
それは廃止された道の駅「足寄湖」

iPhone15 Pro

その昔,高台にあるレストランで食べた「鹿肉シチュー」が美味かった記憶がある.
それにしてもこの旧道の駅はレイアウトが悪すぎる.廃止も止むなし.

さて,次のPCはまだ先.
暗くなる前に急ぎましょう.
ありがたいことに追い風マジック継続中.
果てしなく続く直線道路を高速巡行.

いただき画像

徐々に夕闇が迫る中,本別町着.
時刻は19:00になろうとしている.
PCに寄る前に夕食に.

Google先生におすすめを訊く.

iPhone15 Pro

営業中かどうか不明な道の駅をうろうろしたりと,町内をしばし徘徊.
なんだかんだで「COWKING」という焼肉店に決定.

iPhone15 Pro

どうでもよいがこの「COWKINNG」「ガオキング」に聞こえて,脳内にアニキの歌う「百獣合体!ガオキング」がリピートして困る.

ブルベ中に焼肉? 通常ではなかなか考えられないメニューではある.
3人とも「カウキングカルビ焼定食」(¥1,650)を注文.
幸いなことに一人分ずつ皿に分けられた肉が出てきた.

iPhone15 Pro

さらに七輪焼きである.美味し.
これは良い.
タンパク質でパワー回復.
アルコールが飲めないのが残念だが,まだまだブルベは続くのだ.

iPhone15 Pro

夕食タイム終了.
店の外に出る.
すっかり夜だ.それに肌寒い.
ウインドブレーカーとレッグカバーを装着.

iPhone15 Pro

すぐそばの【PC2:184km地点 セイコーマート本別店】へ移動.
5年前のブルベではここで夕食を摂った.

缶コーヒーを購入.
町を離れ,いよいよ本格的な夜間走行に突入する.

店の外でKさんが一言.

「霧雨ですね」

確かに.
三国峠で会ったTraceの人たちも「帯広は霧で大変でした」と言っていた.
やはり,峠を境に天候が異なるようだ.

いずれにせよ,まだレインウェアを着るほどではないと判断.

チャリの前後ライトを点灯.
フロントは「OLIGHT RN1500」を最小ルーメン(300)で.

OLIGHT(オーライト) RN1500 自転車ライト

リアはキャットアイの単4電池仕様の「OMNI5」

キャットアイ(CAT EYE) セーフティライト [TL-LD155-R] OMNI5

ヘルメットにキャットアイの「HL-EL145」,リアにBikeguyを付ける.

キャットアイ(CAT EYE) 自転車用LEDライト ヘッドライト URBAN アーバン 前照灯 JIS規格 800カンデラ HL-EL145

Bikeguy トライスター充電式 LEDリアライト 防水 強力発光

信頼と実績のギアたちである.

ここからはしばらくKさんを先頭に走る.
本ブルベで最も寂しい地域である.

町と町の距離が遠い.
街灯もほとんどない.
振り向くと完璧な暗闇が広がる.
夜間なのに鳥の声が響く.

雲に覆われているのか,月も星も見えない.
晴れていれば頭上には満天の星.気分は宇宙の旅...なんやけどなぁ...残念.

霧雨がやがて小雨に.そう,明らかに雨に変わった.
路面も濡れている.
先ほどの芽登よりはマシだが,十勝クオリティの凸凹道路,油断すると水たまりに突っ込む.

こんな夜でもメリットはある.
ライトのおかげで後方から迫るクルマに気付きやすいのだ.
ゆえに危険な路肩ではなく,センターライン寄りを走れるしな.
メンバーとのおしゃべりもしやすい.

そんな暗闇の田舎走行中,前方に光が見えた.
クルマのハイビームにしてはまぶしくないし,光量も小さい.
横ではなく,前後に並んでいるようだ.
それになかなか近づいてこない.

そう,まさかのチャリ集団だった.
こんな時間,22:30過ぎに走るチャリと言えば...ブルベに違いない.

すれ違いざま互いに「がんばれぇ~」とエールを送る.
立ち止まらないのが“らしい”.

後で調べたところ,おそらく「炎上上等シャーマンズ」というチーム.
よりによってこの名前...だから雨なのか.

我々とは逆回り.
てことはこれから三国峠越え!? タフだ.

しばらく進んでPCでもなんでもない「セイコーマート士幌店」にピットイン.
暖をとる.
そう.もはや完璧に雨.予報が悪い方に外れた.

iPhone15 Pro

ウインドブレーカーでは対応できず,レインウェアに着替える.

モンベル U.L.サイクルレインジャケット

まさかこのような事態になるとは予測できず,レインパンツは持参せず.
ただし最強の対雨天グッズ,「オールラウンドソックス」を着用.
脚部の濡れは仕方がないが,少なくともシューズ内の防水は完璧である.

モンベル GORE-TEX オールラウンド ソックス

少し停まるだけでカラダが冷える.
早く動かして熱を産生しなければ.

一山超えて軽快にダウンヒル.
道の駅「しほろ温泉」への道道で右折に気付かずミスコース.
Kazchariが気づいてダメージを最小限に抑える.

Flèche走破のコツで気づいたことがいくつかある.

まずメンバーの「脚が揃っていること」が最重要.
ペースが異なるランドヌールに追いつくのも,合わせるのも大変.

次に「ルールに精通していること」
かなりややこしいので,経験者がリーダーを担うべき.

我がチームはPikaさんが先日,東京にてFlècheを経験済み.実に助かる.

そして...できれば「コース周辺の地理に明るいこと」
先ほどのミスもそうだが,コース経験者もしくは地元出身者がいるとかなりの確率でリカバリが効く.
これは手前味噌ながらKazchariの役割.
その強みがこの先の最終局面で生かされることになる.

で,とりあえずここでのミスを回避し,鹿追へ向かう.

遠くに見える鹿追は街灯の数も多く,まるで砂漠の中のオアシス.
プライベートやブルベで何度も訪れているので,コンビニの位置も把握している.

ところが...ルート通りに進むと,道の駅やコンビニのある中心街をスルーしてしまう.
街外れでそれに気付いたKazchari,一旦停止して二人と相談.
少し戻ってセブンで休憩するか,それともこのまま進んで次のPCである新得を目指すか...

Pikaさんの「残り16kmです.このまま行きましょう」との意見.
進軍を決意する.

長いようで短いようで長い16km.
しかも山越えだ.
雨も止まない.

それでも漕いでいればいつかは目的地に着くのが世の理.
新得町の明かりが見えてきた.

久々の信号ストップ.
新得のセブンイレブンと言えば,昨年,Kaba3ともオートバイ試走時に立ち寄ったな.

モンキー125,ふたたびブルベを走る!?

確かこのあたりにあったはず...
だが,なじみのセブンイレブン看板が見当たらない.
右折してしばらく進むと新得駅.
そこを過ぎて道は暗闇の中へと入っていく.

こ,これは確実に通り過ぎている.
Uターンし,先ほどの信号まで戻る.
そして目を凝らすと...角にあったのは,消灯して闇にたたずむ【PC3:269.8km地点 セブンイレブン新得町南店】の姿であった...

(その3)に続く  Flèche Hokkaido~おだってるJAPAN,かく戦えり(その3)

『魔改造の夜』に泣く

2024/3/1 Fri

二つの要素で

NHK総合にて不定期放送されている『魔改造の夜』
Kazchari家の視聴レギュラー番組の一つだ.

魔改造の夜-NHK

言うなれば『高専ロボコン』の大人版.
工科大学,BtoBの町工場,そして有名大企業などのエンジニアたちが,その知識と技術,意地とプライドをかけて,家電や玩具を(大人げなく)徹底改造し,番組が提示する無茶な課題をこなしつつ勝負する.

毎回非常に楽しませてもらっているが,単に課題をクリアした,勝った負けたでなく,その発想力に驚嘆することが多い.

番組では会場での試合だけでなく,思考や製作過程もしっかりと放送.
言うなれば成功するとは限らない『プロジェクトX』の様.

そして,忘れてはならないのがライバルチームへのリスペクト.
他チームの失敗を自己のように悔しがり,成功すればともに喜ぶ.
ベタと言えばベタなのだが,これは泣ける.

さて,先日放送された「魔改造」のテーマは,キックスケーターを改造して25mのロープ上を走らせるタイムアタック.

細かなレギュレーションはわからんが,ロープウェイのようにさかさまにぶら下げたり,タイヤにガイドを付けてロープから落ちないようにするのは禁止のようだ.
ただしタイヤを交換したり,溝をつけるのはあり.
そうそう,後はスケーターとして通常使用できる(足をのせれる)かどうかもチェックされる.

あくまでロープ上を自立させた状態で走らせなけらばならない.
当然だが走行中にロープはたわむ.
となると,バランスやパワーだけではなく重量との兼ね合いも重要となってくる.

Pナソニック(マジでこういう表記)のリーダーが「過去一難しい」とつぶやいていたのが印象に残る.

まずはキックスケーターをどう自立させるか.
自転車やバイクは速度を出して進むことで安定する.
かつ,ライダーが平衡バランスを取りつつ転倒を防いでいる.

ここで,理系出身でないKazchariでも思いつくのが「ジャイロ効果」である.

キックスケーターの中心に回転体を取り付ければ,ジャイロ効果によって車体は安定する.
もちろん3チームともこの機構を取り入れている.

通常思考であれば,独楽のような横回転がベストのように思われるのだが,参加チームの1社が参考にした書籍を見て,思わずうなってしまった.

そう,我が(ココロの)師,森博嗣『ジャイロモノレール』ではないか!

ジャイロモノレール (幻冬舎新書)

ジャイロ効果を上げるためには回転体を重くすると良い.
するとロープがたわんでしまう.
そこをバランスを保ちつつ駆け上がるには,縦回転の方が有利という記述を読み,早速採用していた.
森ファンとしては(なぜか)うれしい限り.

番組内で森先生のプロフィールにはほとんど触れていなかったが,書籍が紹介されたおかげで,またしても莫大な印税が先生の元に...ええなぁ.

さて,3つ巴のキックスケーター綱渡り決戦の結果は...あえて言いません.

ありえない映像が目の前に.
興味のある方はぜひご視聴を!
勝敗の行方を知らない方が堪能できます.

今なら「NHK+」でも視聴可(回し者か!?).

なんだかんだ言われているけど,やはりNHKの番組は質が高い.
まぁ,民法に比べると予算使い放題やしな.
昨年放送していた『大奥』の豪華さよ.

大奥

そんなわけで,スポーツおたくのヨメさんも号泣.
子供らも感動(理系を目指さないかい?).
Kazchariも涙目になりながら感嘆する,良コンテンツでした.

次回の放送(挑戦)も楽しみ.

『アビス』を観た~詰め込みすぎでは?

2024/2/29 Thu

ノンマルト?

そもそもの始まりは『ブレイバーン』

『勇気爆発バーンブレイバーン』がとりあえず面白い

最新話あたりではややないがしろにされてるっぽい設定だが,イサムが乗り込むブレイバーンのコクピットは謎の液体で満たされている.

最大の目的はパイロットへの負荷の緩和.
巨大ロボゆえ,そのちょっとした動きがパイロットに与える加速度や衝撃は強大.だが,パイロットは液体で包まれることによって保護されている.

そして,その謎の液体は酸素を含んでいる.
肺がその液体で満たされれば,直接酸素が供給されるという.
肺や肋骨の補強にもなり,マスクなどは不要となる...とまぁ,とぼけた解説をしているが,このシーンを見た誰もが「エヴァやん!」「LCLやん!」と思ったはず.

ところが,メタ発言だらけの気持ち悪いロボ,ブレイバーンはこう説明する.

「(それは)『アビス』みたいなものだ」

どうして宇宙からやってきたロボが,地球の古いアメリカ映画を知っているのだ?
事前に調べた?
それとも,やはりその正体は未来のスミスなのか?

なーんて考察はさておき,そのエヴァのLCLの元ネタが登場する『アビス』(1989)は,往年の深海SF映画である.
監督はあの娯楽映画(大型バジェット)の巨匠,ジェームズ・キャメロンだ.

公開当時,少し話題になったような...でも一部酷評されてたような...そんなあいまいな記憶.
いずれにせよKazchariは未視聴だった.

試しにAmazon Prime Videoをチェックしてみると,おおっ,ちゃんと無料配信されているじゃあ,あーりませんか!

アビス

つーことで例によってZwiftしながら鑑賞.
やたら長い映画なのでブツ切りで,観終わるまで3日くらいかかった.

以下,あらすじとネタバレ感想.

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

時は冷戦下のカリブ海.
謎の物体に遭遇したアメリカの原潜が,それを追走中に接触事故を起こして沈没してしまう.
アメリカ軍はSEALの特殊隊員を派遣して救助を試みるが,沈没地点が深海ゆえ,民間の石油採掘会社に協力を依頼する.

海上から潜水艇にて,ディープコアと呼ばれる移動式の採掘基地に向かうSEALと設計者のリンジー(エイリアンのリプリーっぽい)
彼女はディープコアのリーダー・バッド(めずらしく主役のエド・ハリス!)の元妻(もしくは別居状態)である.

採掘員たちはSEALと共同で潜水艦を発見し,艦内を捜索するも生存者はすでになし.
ただし捜索中に採掘員の一人が奇妙な生物と接触しパニックとなる.

ディープコアに戻る捜索隊.
SEAL隊員はソ連との軍事的緊張を回避するため,軍の上層部から核による潜水艦の破壊命令を受ける.
こっそり潜水艇を操縦して潜水艦から核弾頭を持ち出すSEALのコフィ.
まぁ,このコフィさんが精神的に不安定でいろいろやらかしてくれる.

うん?
なんかここまでのプロットが『エイリアン2』(1986)とそっくりやな.
そうか,同じ監督やん.

エイリアン2

その頃海上ではハリケーンが発生.
海上の母艦とディープコアをつなぐケーブルを支えているクレーンが倒壊.
クレーンの基部が海溝に沈んでしまい,それに引っ張られたディープコアも危機一髪.
かろうじて崖際ぎりぎりで停止するが,ディープコアの損傷はひどく海上との連絡が途絶えてしまう.

そんな中,ヒロインは深海1000mでの基地外作業中,謎の光る生命体と接近遭遇.心を通わせる.

その生命体は水を操る能力を持ち,ディープコア内に侵入.
他の作業員とも接触を試みる.

その頃SEALのみなさんは核弾頭の起爆装置を調整中.
それを小型の無人潜水艇にしばりつけ,原潜に衝突させて爆破.隠滅を図ろうとする.

それに気づいた採掘員との間でトラブル.
結局コフィが核弾頭を持ったまま潜水艇のあるプールに立てこもる.

通路ハッチが封鎖されたため,深海1000m(たぶん)の中をTシャツ(!)で泳ぎ,外からの侵入を試みるバッド!
えーちなみに深度1000mの水圧は約100気圧(親指の爪に100kg)に,水温は2~4℃だそうな.
よくわからんけど,この環境で普通に潜って大丈夫なのか?

そう,何かリアリティに欠けるねんなこの映画.
動きがスムーズ過ぎて深海での出来事に思えない.
いや,それ以前に深刻な状況なのにそれが伝わってこないというか,閉塞感がイマイチ.

それはともかくプールにたどり着いたバッドはコフィとバトル.
軍人にはかなわず,仲間の助けもあったものの,結果的にコフィは潜水艇を奪って逃走.
それを(今度は)潜水服を着て追いかけるバッド.
そこへ別の潜水艇にのったリンジーも参戦.

激しい体当たり攻撃の中,コフィの潜水艇は圧壊.核弾頭付の小型潜水艇はさらに深海に落ちていく.

だが,傷ついたリンジーとバッドの潜水艇も浸水が止まらない.
脱出しなければヤバイ.
しかし潜水服と酸素タンクは一つだけ.さぁ,どうする!

助かる方法は1つだけ.
泳ぎの上手いバッドが,溺れて仮死状態になったリンジーを連れてディープコアまで戻ること.
この低温下,10分間ぐらいまでなら蘇生できるという判断からの選択である.
この映画で一番盛り上がったのがこの場面やったな.
まぁ,ぐちゃぐちゃ話してる間に早く行けーっ!とイライラもしたけど.

で,なんだかんだでディープコアにたどり着いたものの,なかなか生き返らなかったリンジーをバッドが愛のビンタで蘇生させる.なんか日本映画的.

てっきりこの場面で謎の生物がやってきてリンジーを蘇らせるのかと思った...と,それは次のバッドの時用に置いといたわけやな.

で,最後の任務.

バッドが核弾頭の処理をするため,無人潜水艇を探してさらに深海に下りていく.
ここで例の液体酸素が登場.
水中での視力確保用に特殊コンタクトまで装着する細かさ.
なんか適当なところとこだわるところのバランスがおかしいぞ,この映画.
うん? そこは『ブレイバーン』との共通点?

とんでもない速さで深度5000mまで降下していくバッド.
多少意識障害の症状があらわれるが,実際のところどうなのだろう?
その程度で済むのか?
あんな冷静な判断とスムーズな動きができるものなのだろうか?
ちなみに深度5000mは500気圧だ.

深海の水圧で人間はどうなるのか?行けない理由を詳しく解説

うーん,やはり科学的には正しくないようだ.
まぁ,そこは未来の潜水服とLCLもとい液体酸素がなんとかしてくれたとしても,その後の展開がなぁ...

ベタなどっちのコードを切るかイベントを経て,なんとか核弾頭の無力化に成功はしたものの,浮上してディープコアに戻るだけの酸素はもはやない.
死を覚悟したバッドの前に,例の謎の生命体が現れて水中都市に案内する.
わざわざ空気部屋を用意し,バッドとリンジーの通信を提示.
「アナタノユウキアルコウドウニカンドウシマシタ」的な雰囲気をかもす.

で,なぜか突然水中都市ごと浮上.
岸壁にひっかかってたディープコアを乗せたまま,巨大な都市が海上に出現.
人類びびるで.

生き残りの採掘員とSEAL隊員は何も気にせず外へ.
映画冒頭,「浮上時の減圧には3週間かかる」と言っていたのに,異星人もしくは深海人(?)の力で無問題とはテキトーにもほどがある.
バッドも無事に生還してリンジーと抱き合ってハッピーエンド.ジ・アメリカーンだな.

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

気になるのは,これって人類と異星人(もしくは深海人)とのファーストコンタクトなのに,その後どうなったのだ?
なぜ,今この時に姿を現したのか...展開が唐突過ぎる.

ああ,なるほど,この後,ウルトラセブン第42話,あの不朽の名作「ノンマルトの使者」につながるわけか.
「我々の勝利だ!海底も我々人間のものだ!!」うぅ...(涙)

つーことで,まぁ,色々と積み込み過ぎやなこの映画.
しかも,それがあまりうまくかみ合ってないとうか...正直,謎の生命体がいなくても成立する.

そして上映時間は140分
内容の割に長すぎる.没入できていればそうは感じなかっただろうけど.

この映画を観終わった後,海洋物つながりのせいか,おすすめに『沈黙の艦隊』が上がっていた.

沈黙の艦隊

「ほぉ,Amazon Original作品なのか.どれどれ」と第一話をチェック.
なんやこれ,むっちゃ面白いやん!
海外資本恐るべし.レビューはまた今度.

『激走戦隊カーレンジャー』で考えさせられた

2024/2/21 Wed

豊かさの基準

いやぁ,みなさん御覧になりましたか?
いよいよ佳境を迎えた『王様戦隊キングオージャー』の第49話.

正に“おくちアングリル”
ブラックコンドルのアレ同様,間違いなく伝説に残る回.

「これホンマに日曜の朝9時半からテレビでやっていいのか?」「劇場版を週一でやってどうする?」「何回目の最終回だ?」っつーくらい,驚愕のクオリティ.

映像もそうだが,ストーリーも秀逸.
言うなればアベンジャーズの『エンドゲーム』
敵味方入り乱れての大合戦+一人一人のキャラ立ても忘れない.
いやぁ,興奮しましたね.

残念ポイントを強いてあげれば,夏に公開されていた劇場版『王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン』がらみのネタが多いこと.

こいつを鑑賞済みでないと,イマイチその立ち位置がわからんキャラが数名存在.
しかも結構重要な役どころ.
Kazchari家は未視聴.それでもまぁ,長年の特撮鑑賞歴がモノを言って,脳内補完できるレベルではある.メインターゲットのお子様には厳しいだろう.

本来,夏の劇場版はお祭り企画のはず.
ライダーはともかく,戦隊映画は本筋と無関係だったり,前日譚だったり,パラレルだったり,限定もしくは新キャラやメカの顔見世だったりと,観ても観なくても支障ない内容がほとんどなのだが,どうやら『キング』は違っていたようだ.
こんなところまでMCUを真似なくてええのに.

いずれにせよ,ネット民を中心に「夏の劇場版+クライマックス3部作を再編集して,劇場で公開せよ!」という声が少なくない.
確かにあの超ド級の映像は大スクリーンで観る価値は十分にあろう.

ちなみにプロデューサー曰く,予算的には例年の戦隊と変わらないのだとか.
セットやロケ撮影より,グリーンバックCGの方がコストがかからないようになってきたか.
新コロ禍がもたらした数少ないメリットの一つかもしれん.
ロボの造形に関してはミニチュアの方が味わい深くて好みだが.

さて,トクサツ家族なKazchari家は,こんな感じで毎週大盛り上がりなのだが,戦隊モノの宿命として『キングオージャー』は2月で終了,3月には新番組がスタートする.

2024年は『爆上戦隊ブンブンジャー』
恒例の製作発表会見がYouTubeで公開された.

司会のおねーさんが一番楽しそうなのはさておき,当初,標準語だったレッドとブルーが(隠しきれずに)徐々に関西弁化していくのが面白かった.

スーツのデザインは...まっ,いつも通り慣れるでしょう.

で,ブンブン本編は久々のクルマモチーフ.
古くは『ターボレンジャー』『カーレンジャー』,近いところでは『ゴーオンジャー』以来か.

『ブンブン』に,そこはかとなく漂う昭和-平成くささというか『カーレン』臭.
特に悪役のネーミングセンスが懐かしすぎる.

ハシリヤンサンシーターデコトラン(元ネタはMADMAXだろう),イターシャヤイヤイ・ヤルカー(元ネタは某ハムスター)とか...
デザインは某“炎の漫画家”.毎回の苦魔獣(怪人)も担当されるのだろうか?

『ゼンカイジャー』『ドンブラザーズ』そして『キング』と,いろいろな意味で規格外戦隊が続いたので,いよいよ原点回帰か...と思わせて,最高のコメディ戦隊『カーレン』風味になるのなら,それはそれで歴史に名を残すかもしれん.

それにしても次回で第48作ですよ.
日本で生まれ育った人なら「知らない」「観たことがない」はほぼ皆無ではなかろうか? 知らんけど.

さて,『ブンブン』の放送開始間近をうけてか,YouTube公式にて『カーレン』の配信がスタートした.

放送年は1996年(平成8年)である.
話題の『不適切にもほどがある!』の過去編は1986年が舞台なので,そこからちょうど10年後の世界になる.

1996年の世相はこちら ⇒ 【図解・社会】平成を振り返る、1996年10大ニュース

世は相変わらず緩めコンプラ(対令和基準)
おそろしくテンポが良い.
なんか短いなと思ったら,この時期の戦隊は放送時間が25分しかない.

関西では金曜日の夕方に放送.
飛ぼ飛びで鑑賞.続きで『ガンダムX』を観てた記憶がある.

昔の戦隊らしく,顔出しのセクシー女性敵幹部が健在.
本業(?)もそっち系らしい.
『ゴーオン』の及川奈央といい,クルマ戦隊の伝統なのか?

普段の乗り物はゴーカート.
今では走行シーンの撮影は私有地限定になっているが,当時はまだ公道を使っているようだ.もちろん許可は取ってあるのだろうけど.

で,このゴーカートはどう見てもミニ四駆
いうまでもなく1996年の大ヒット玩具である.
ちなみに映像作品も『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』が一番人気.

一般人の襲われ方も気合いが入っている.
みんなJACの人なのか?

2話まで視聴したが,まだロボが出てきません.
そのかわり必殺の合体バズーカが登場.
マニュアルがちゃんとビニールカバーされているのが芸コマ.

有名タレント枠はエド山口さん.
主人公たちが勤める会社の,金にうるさい社長役である.
そう,カーレンジャーは正義の味方の前に一介のサラリーマンなのだ.

『カーレン』と言えば有名なシーンがある.
宇宙人ダップによって,無理やりカーレンジャーにさせらそうな主人公.
こんな安月給で働かされて,かつ正義のヒーローなんてやってられるかと,それぞれの給料を曝露する.

曰く,19万3000円(レッド:テストドライバー),21万円(ブルー:デザイン),17万5000円(グリーン:営業),20万2000円(イエロー:整備士),20万円(ピンク:庶務).いずれも税込み.

よくネタにされているが,真面目に考えると怖い話.
新入社員としては高くないっつーか,職種によっては28年経った現代とほとんど変わらんのでは?
そして,当時は今より物価が安く,消費税も3%だった.

2022年の給料を調べてみる.

【2022最新版】自動車整備士の平均年収は?年収アップする方法

ビッグマックは¥280が¥480になった.

マクドナルドのビッグマック価格推移一覧【ビッグマック 値段 推移 日本】

「失われた30年,日本人は給料が上がらず物価だけが上昇した」と言われているが,まさか『カーレン』が証明してしまうとは.

ちなみに当時のKazchariは会社を辞めて専門学校で勉強中.つまり無職.
90年~92年のリーマン時代は,手取りで月平均22万ほどだったので,カーレンジャー達よりは恵まれていたかも.

そうそう『カーレン』と言えばエンディングの『天国サンバ』も有名.

戦隊ソングで唯一のザコ戦闘員目線の楽しい曲っつーか,これって令和のブラック企業で働く人にも刺さらへん?

逆にラーメンをおごりたくなる.
昔は安かったしな.

『ダグラム』は好きかい?

2024/1/30 Tue

真実は見えるか

iPhone11 Pro

世間では某変態ロボアニメ(ホメ言葉)が話題沸騰中.
ここまで放送が楽しみなコンテンツは久しぶり.
オリジナルゆえ何が起こるかわからない&放送時間中ずっと大爆笑.

『勇気爆発バーンブレイバーン』がとりあえず面白い

第3話も期待を裏切らない“あたおか”ぶりだった.
公式サイトにはデスドライブスの目的が「各々の願う最上の『死』を成し遂げること」とある.

勇気爆発バーンブレイバーン

どう見ても,ブレイバーンも同種族っぽいので,彼(?)の目的が気になる.
スーパーロボとしての死に様と言えば...思い浮かぶシーンが多すぎる.

そんな“勇気爆発”はともかく,本日のネタは往年のサンライズ作品『太陽の牙ダグラム』(1981)である.
ブレイバーンの対極にある超ド真面目政治系ロボアニメ

ガンプラの大ヒットを受け,その二番煎じを狙うべく,タカラが打ち出したプラモ化前提のリアルロボ.

しかしながら,その中身は主役の「クリン」やら「ダグラム」を差し置いて,キャラが立ちまくる「おっさん(下手したらじいさん)達の会議シーン」ばかりが目立つ稀有なアニメ.
「真の主役はラコック」に異論を唱える者はいなかろう.

ところが,なぜかタカラの目論見通りにプラモが売れに売れ,放送話数は驚愕の全75話.今では考えられん.

同時期の放送はトミノ御大の『戦闘メカザブングル』(1982).それに『超時空要塞マクロス』(1982)である.
言い換えれば「タカラ」vs「財団B」vs「イマイ」「アリイ」のプラモ戦国時代.
毎週大量に入荷される新製品を店で眺めるだけで心が満たされた.

さて,『ダグラム』に話を戻す.

一応リアル系ではあるのだろうけど,文系出身でロボアニメ初監督の高橋監督はロボにあまり興味がなかったらしい.

軍事的っぽい作戦内容はともかく,大型の人型兵器であるコンバット(CB)
アーマーの扱いが適当過ぎる.
現役戦車やヘリコプターベースの武骨な外観にも関わらず,“特に”ダグラムは飛んだり跳ねたり,どんだけ弾が当たってもほぼ無傷で完全無双.スーパーロボよりスーパーロボ.

一方のザクポジションのソルティック,いやラウンドフェイサーは,ダグラムに殴られたり,こかされただけで即爆発する.
ガンナー系は車高が高すぎて的にしかならん(デザートガンナーの動きは秀逸だったけど)
また,ダグラムだけならまだしも,バズーカ使いのチコに何機倒されたことやら...

しかも物語後半になるまで,ゲリラ側のCBアーマーはダグラム1機のみ.
なんだこのパワーバランス.

そして肝心のストーリーも...「ドナン・カシムを倒したぞ! デロイア勝利! 独立万歳!」みたいなすっきりした終わり方ではなく,関係各方面の政治的バランスを考慮した妥協案でなんとなくの条約締結...という現実的過ぎてそこにカタルシスはゼロ.
クリンも特におとがめなしに実家に帰るし(次の戦場を求めているような雰囲気はありつつ).

とまぁ,文句ばかり書いているようですが,当時めちゃめちゃはまってました.
後半の第43話「仕組まれた背信」あたりからぐいぐい引き込まれた記憶がある.
放送翌日はクラスのオタク仲間と考察が盛り上がったなぁ.

それに後番組の『ボトムズ』で有名になった高橋監督のポエム魂全開の予告ナレーション.
『ダグラム』でもその片鱗がうかがえます.

太陽の牙ダグラム・次回予告一覧

『ダグラム』と言えば,当時定期購読していた硬派論評系アニメ雑誌『Animec』のディスリ記事が有名.
ストーリーからキャラ・メカデザインまでボロカス.
今でも「(作監による)頬こけがない時のデイジーはかわいい」「ブロックヘッドは不細工すぎる」「村議会選挙レベルの政治劇」といった数々の暴言は覚えている.
まだ放送中にも関わらず,忖度無さ過ぎてよくサンライズとの関係がこじれなかったなぁと思う.

『ボトムズ』に比べると人気がなく,続編やらスピンオフやらが全然作られない.
そんな『ダグラム』も40周年を越え,とうとう真打が登場.

脈々とプラモを出し続けていたMax-Factoryと組んでのコミカライズである.
作者は『機動戦士ガンダムサンダーボルト』で有名な太田垣康男先生.

何を思ったか『サンボル』の連載が途中なのにも関わらず,突如『太陽の牙ダグラム』のコミカライズをスタート.

Get truth 太陽の牙ダグラム(1)

最初は限定キット付の書籍版のみで,kindle版がなかなか発売されなかった.
発売されたらされたらで,付録なしで1冊¥1,260もした.
それがようやくポイントアップ(26%)キャンペーンの対象となったため,既刊の3巻までをダウンロード.
一気読みした.

これは素晴らしい.

ただし,TV版視聴済みが前提の内容.
そうでないと何が何だかさっぱりかも.
特に2⇒3巻で急に話がとぶ.

まずクリンがいい.
ちゃんと主人公している.
あとがきの対談にもあるが,年齢を少し上げて20歳過ぎの大学生風に.
結果,頭身が上がり,言動も大人っぽくなった.
自らの信念のため,父や兄に歯向かう覚悟がダイレクトに伝わる.
例の肩掛けパンツの半裸コスチュームは変化ないけど.

一番の衝撃はデイジーのキャラ変.
見た目,性格とも完全に太田垣ヒロイン化.

デイジーと言えば,誰もが気になる薄幸感漂う頬コケ.
コミック版デイジーにはありません.ついでに眉毛もカット.
まるでバッフクランのような骨格デス.
そもそも男の世界,太田垣作品に「萌えキャラ」は不要.

そしてみんな大好き「ラコック&デスタン」が早くもいい仕事しています.
そう,物語を先導しているのは彼らなのだ.

で,次にロボ.

うん? ダグラムをはじめ,CBアーマーはやっぱり飛んでいる!
だが大丈夫.着地時には姿勢制御バーニアをむっちゃ吹かしている.問題ない.

それにTVのような無敵の存在ではない.
「やられるかも」という危機感が常にある.

胴体,手足をユニットごとに簡単に分解⇒輸送できるのも面白い.
ゲリラが運用中なのだ.これが正しい.

ヘッドのキャノピーデザインは変わらないのに,バランス調整のせいかちゃんとヒーローロボっぽく描かれている.
ようするに設定画よりも,アニメ本編よりもかっこよい.

これはラウンドファイサーも同様.
そして作者推しのビッグフット
TV版での登場は少なく,ブロックヘッドブッシュマンに比べると目立たないメカだが,コミックでは大活躍.ダグラムを追い詰める.

もちろん,オリジナル設定のライバルキャラ,トラビス&アウラもいい味を出している.
こういうライバルキャラの存在は重要.

つーことでやたらに面白い本作だが,このまま再アニメ化とかならんかな.
あとがきには“夢”として語られているけど.

まぁ,イマドキの若者が『ダグラム』のような重厚なドラマに興味を持つとは思えんので,そこまでのムーブメントにはならんか.

コミック版の読者も80%以上は,“あの頃”,まだビデオ普及率が低かったため,強制リアタイを強いられ,テレビにかじりついて観ていた世代だろう.つまり50代...

で,このブログでロボを取り上げる時は,プラモやらフィギュアをサムネにするのが常なのだが,なんとうちにはダグラム関係のグッズが何一つなかった.
スコープドックはあふれているというのに!

昔はあまりCBアーマーには惹かれなかったということ?
デザインは好きだけど,買うまでに至らなかったか.
最初期の1/48ダグラムは買った記憶があるけど,たぶんそれ1個だけやな.
たぶん,ウォーカーマシンとバルキリーに資金(こづかい)が流れていたのだろう.

それにしてもMax-Factoryのダグラムキット,むっちゃかっこええな.

COMBAT ARMORS Get truth 太陽の牙ダグラム MAX27 1/72 ダグラム Ver.GT 1/72スケール 組み立て式プラモデル

最大の問題である股関節の可動もクリア...と言いたいところだが,さすがに「朽ちダグラム」ポージングは無理のようだ.

もちろん,ビッグフットもVer.GT.

COMBAT ARMORS Get Truth 太陽の牙ダグラム MAX28 1/72 ビッグフット Ver.GT 1/72スケール 組み立て式プラスチックモデル M01331

いずれにせよ,第4巻も楽しみ.
だが『サンボル』もいよいよクライマックス.

機動戦士ガンダム サンダーボルト(22)

腱鞘炎は大丈夫ですか,先生?

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』を観た~令和最新版

2024/1/27 Sat

これで良かったのか?

iPhone11 Pro

最近のエンタメはメインターゲットをかつての少年(もしくは子供)にしているものが多い.いわゆる「大きいお友達」やな.
実際,最近ヒットしているもの,例えば『鬼太郎』『ゴジラ』もそう.

ジョジョの奇妙な犬神家?~『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

『ゴジラ-1.0』を観た~時代やな

新規層もゼロではないだろうけど,元のオリジナル(ネタ)を知っている,体験済みの方が楽しめるのは間違いない.洋画も同じか.

『トップガン マーヴェリック』を観た~ニンジャぁ!

1/26に公開となった『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』もまさにそれ.
無印の放送は2002年,続編の『DESTINY』は2004年.
つまり20年ぶりのシリーズ最新作となる.

世界的な大人気作だけに期待値高め.
ネットやらなんやらでネタバレを食らう前に,このBigWaveに乗ることにした.
まずはこれまでのストーリーの復習.

ガンダムSEED,予習&復習

無印はともかく『DESTINY』は消化不良甚だしい.
このもやもやを吹き飛ばしてくれることを期待して,公開日の20:40の回に出かける.
地元のCINEPLEXは久々に超満員.『エヴァ』の初日と同等.

いつも通り脚をのばせる前方通路の席を選んだが,左右とも巨体のおっさんが着席.仕方がない.

で,いよいよ上映開始である.

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

以下,ネタバレ.

例によって他人のレビューや考察は未見なので間違いや誤解はご容赦.
全般に辛口.あの内容で「あり」の人は読まないでください.

我々は20年経ってみなおじさんになった.
その間,様々な経験をし成長しました.

しかし,この映画のキャラは見た目の変化がない.
せいぜい『DESTINY』から2年後くらいの世界?
そうそう,女性キャラたちがみんな口紅をつけている.
何か...下品(個人の感想です).

問題なのは見た目だけでなく,思考や行動にも変化がない.

それにつられてか,驚くほどストーリーに進展もない.
DESTINYプランを提唱しただけで消されてしまったデュランダル.
その彼を信奉する国家(ファウンデーション)が策謀をめぐらし(これもよく見た展開)再びプランを実行しようとする.

彼らはコーディネイターのアップグレードverである「アコード」による統治を企んでいる.理屈はわからんが,このアコードとやらは人の感情や記憶(?)に干渉できるらしい.

その能力によってラクスやキラがダマされて協定違反やら仲違いさせられる.
平和維持軍のコンパスはアークエンジェルが墜とされ,出資者にも見捨てられる.

そやけど,こんな”特殊能力”による人の心のすれ違いって安易すぎやしませんか? ドラマになっていない.

特に前半パートのファウンデーションでのラクスのNTRシーン.
何回,似たような画を見せられるんやろ?

これまた何度繰り返すのかわからん精神・性格破綻の悪キャラ軍団「ブラックナイツ」に,新製品「ライジング・フリーダム」「イモータル・ジャスティス」があっさりと撃墜される.
弱すぎてプラモの売り上げが心配だ.いいのか財団B

で,そのピンチを救うべく,おそらくこの映画最大のサプライズであろう赤い「ズゴック」に乗ったアスラン登場.
ただし...乾いた笑いしかでない.
そう,必然性のないファンサービスは冷めるだけ.

結局新造艦「ミレニアム」にイツメンが茶番を経て乗船.
その後は真田さんばりの「こんなこともあろうかと」的な早口技術者キャラが大活躍.誰?

さらには,これまた都合よくデータ取りのために復元された「ストフリ」「インパルス」「デスティニー」をオーブが用意.

うーん.本来ならめちゃめちゃ燃えるシーンのはずやのになぜだろう? 全然あかん.
『トップガン・マーヴェリック』でF-14登場時は大興奮やったんやけどなぁ.なぜだ?

これまたお約束の”攻撃詐欺”のオーブに向けて,レクイエム発射.
大ボスの(見た目)子供女帝.どう考えても無理のある挑発にのって照準を変えてしまう.アコードってアホなのか?

宇宙に上がってからのクライマックスはMS大運動会.

ここで,本作登場メカについての感想.

まずは謎のHONDA推し(そこ?).
ほぼまんまの「GOLDWING」「HAWK11」が登場.
世界観から思いっきり浮いてます.キラは旧車好き?

TV版ではザク,グフ,ドム,ビグザム(デストロイ)を出しました.
今回,ギャン,ゲルググ,ズゴックまで出しました.
となると...ラスボスはジオング!...にはならなかった.
何の印象も残らない地味なラスボス.白っぽいシナンジュ

なぜわざわざ旧式のデュエルバスター
ミーティア装着すればおっさんは喜ぶ?

ズゴックにキャバリアーですか.ドラグナーですね.
で,目的は?
そのアスラン,フリーダムのピンチに2度も現れるわけですが,なんとその中身はジャスティスだった!
仕掛けは面白いけど,作画が雑で一瞬でジャスティスに変化したかのように見える.
せっかくなら,装甲が1枚1枚パージされるとか,ガッチャンガッチャンと変形するとか,いっそ巡行形態のイージスが現れるとか...もったいない.

声優の変わったカガリ.
宇宙までストライクルージュは何しに来た? 姿さえ見せない.

そして本作最強のディステニー
あぁ,TVでずっと不遇だったシンへの罪滅ぼしですか.
そっちじゃなくて人としての成長をちゃんと描いてほしい.
なんか変に丸くなってて別人の様.
「俺が弱かったのはジャスティスだったせいだ.こいつならぁ!」って,これ一応ガンダムやんなぁ? リアリティは?

で,隠し続けていたキラ搭乗の決戦兵器は...バックパックだけの交換したフリーダムでした.
いや,額にハイメガキャノン(っぽいナニカ)が付いたか.
ラクスが『クロスアンジュ』ばりのピチスーツと操縦姿勢で搭乗し,合体後はフリーダムのコクピットに乗り込んで「石破ラブラブ天驚拳」ですか.そーですか.
これ『Gガン』

そもそも,ファウンデーションは「コスモバビロニア」っぽいし,淫乱ギャン子(名前忘れた)はクエスっぽいし...何か過去ガンダムの変なオマージュ多め.あっ『ヤマト』も.

他に気になったのは,うるさすぎる場所テロップ.
国名とか都市名ならまだわかる.
「広間」とか「庭」とか「格納庫」までいちいち表示する意図は何?
RPGではないのだ.見ればわかる.
親切心?
説明過多もここまできたか.
それとも庵野カントクの真似?
あの読ませる気のない高速テロップはあくまで演出だと思うが.

つーことで,今回も最後までなぜ「ディスティニープラン」がダメなのか納得のいく説明はなかった.

現実世界でも「努力も才能」であることが明らかになりつつある.
無責任に「夢を追え」「あきらめるな」「がんばれ」と鼓舞し続けて,結果的にその子を不幸にする事例もある.
本人納得の上での適材適所の提示すらあかんのだろうか?
愛だの,未来だの,可能性だのでごまかされる層だと思われているのだろうか? 我々(おっさん)は?

確かに今回ような選民思想バリバリ集団による統治は問題かもしれんが,いっそプランそのものが一度実行された世界を描き,作り手が具体的な問題点を提示すべきでは?
TV版から数十年後,キラやらアスランの子孫がその理不尽に抗い,伝説のMS,シードガンダムに搭乗する!
もちろん未だに謎のままの「宇宙クジラ」「種割れ」の解説もよろしく.

結論.

この映画には新しいモノが何もなかった.
これは旧劇エヴァのごとく「お前らいつまでもロボアニメ見てるんじゃねぇ」というメッセージなのか?

時を経た人気作品の続編としては『マトリックス・レザレクションズ』が挙げられる.

『マトリックス レザレクションズ』を観た~続くのか?

映画としての好みはともかく,監督の性別変更やら,その後の世相の反映など,新しい価値観を取り入れようとした点は評価できる.

今回の『SEED FREEDAM』に近い映画というなら『復活のルルーシュ』かなぁ.つまり,あってもなくてもよいファン(妄想)ムービー.

それにしても,上映終了後の劇場の雰囲気が微妙やったなぁ.
まるで『エヴァQ』の再来.

話は変わるがこの劇場,上映スケジュール表に独自基準で「3歳以下でも鑑賞可能マーク」を付与してるけど,なんと『ゲ謎』にそのマークが.
大丈夫なのか?

「環島」の準備~宿とカードとeSIM

2024/1/20 Sat

出発まで2ヵ月を切りました.

昨年に思いつき,着々と準備してきた台湾一周こと「環島」計画.
その出発日が近づいてきた.

環島~台湾に行きたし

航空チケットは既に手配.
チャリのサドルバッグなど,装備を新調.

そろそろどういう日程で周るか,お金はどうするのか,そして現代文明にかかせないネット接続はどうするのかを検討する時期となった.

ツアーでもなければ,身軽なバックパッカー旅行でもない.
自前のチャリを持っていくので事前手配が必要なのだ.

今回は海外飛行機輪行ゆえ(初)シーコンを持参するつもり.

単体だけで10kg近い上に巨大.
とてもじゃないが持ち歩けない.
ライド中は空港かホテルで預かってもらう必要がある.

まぁ,これに関してはソフトバッグも同様やけど.

ゆえに台湾到着日と出発前夜は同じホテルにするのが良い.
台湾通の知り合いに紹介されたのがここ.

メイ ルームズ タイペイ メイン ステーション

台北駅近くの立地.
オーナーさんにもSNSで連絡をした.
日付が良かったのか,朝食付きドミトリーで¥3,300と格安(たぶん).

到着日は夕方なので地下鉄で移動できそうだが,台湾からの帰国便は早朝なのでタクシー手配要やな.
普通のタクシーって,シーコンサイズ運べるんやろか?

そういやドミトリーの海外宿って久しぶり.
その昔,パッカーしてた頃の第一選択はドミやったなぁ.
何しろ安かった.

思い出に残るのはボンベイ(ムンバイ)のサルベーションアーミー
確か一泊¥90ぐらいだったはず(35年前の話なのであいまい).
ただし,もれなくカラダに「かゆみ」「赤い斑点」がついてきます.

で,その翌日以降は行き当たりばったり.
飛び込みか「Booking.com」やらで検索.
ざっと確認したところ,大都市を除けばそれほど高くないようだ.

大雨が降ったら停滞したいしな.
昔は気に入った町でよく「沈没」したもんだ(タイのノーン・カイとか).

途中で出会うであろう,他の旅人からの情報も重要.
良いねぇ,そういうの.

お次はお金,つーか「カード」について.

これまたその昔は「トラベラーズ・チェック」なるものがあってだなぁ...って,もはや完全にオワコン.
1年単位の旅だと,日本円で80万円ぐらいの分厚い”ドル”T/Cを持ち歩いてた.
懐かしい.
現金よりレートが少し良いのと,万一紛失しても再発行してもらえる...というのがウリ.
ただし,実際に盗難に遭って再発行を申請した立場からすると...その手続きは超大変で超面倒くさい.

その後の旅ではクレカで現地ATMからのキャッシングが主流になった.
確かに便利であるがトラップも.
たまーに,機械にカードが吸い込まれたまま戻ってこないという事例を見聞きした.
恐ろしい.
日本ならともかく,まずどこに電話して,どのように説明して,さらにはいつ解決するのかわからん.

つーことで,万一に備え複数枚の携帯は必須だった.

こうしたATMやクレカの普及に伴ってT/Cの需要は低下.
日本では2014年に廃止になったらしい.

で,そのクレカだが3枚程度の持参プラス,あらたに旅行用にデビットカードを作ることにした.
手数料が安いのと,万が一無くした(吸い込まれた)場合のダメージの少なさを考慮.
色々調べてみると,デビットならこれが良さそう.

台湾旅行におすすめのクレジットカード3選!手数料や注意点も

早速,申し込んだ.
手数料¥1,200は仕方ないとして,結構本人確認作業が大変だった.
マイナンバー,便利なんか不便なんかよくわからん.

で,最後に現地でのネット接続のための「SIM」について.

もうこっち方面に関してはすっかり情弱.

元々は...空港についたらSIMカード販売店に行って,日数分のモノを購入.
例の針金でほじほじ.
元々入っているSIMを抜いて新しいのを挿し,店の人にスマホを渡してアクティベイトしてもらう...というイメージだった.

だがしかし.
時代は「eSIM」
もはや上記のような物理作業は不要.
アプリをダウンロードして,登録・入金すれば空港到着次第すぐにつながる.
未来や...

KazchariのiPhone11も,もちろん対応!(と最近知った)

trifa

また昔話になるが,ネットがない時代,情報収集は口コミ,もしくは宿に置いてあるノートが頼りだった.

おっと『地球の歩き方』を忘れていた.
バンコクのカオサンや国境付近の宿には,来た国,行く国の『歩き方』が一通りそろっていた.
「地球のダマし方」だの「迷い方」だのと悪口も言われてたが,仕方がない.
情報は生もの.紙の本では限界があるのだ.

昔の『歩き方』は小口や天がド派手な青色で,めちゃめちゃ目立っていた.
道端で読んでいるとすぐに日本人とばれ,インドあたりではカモ目当ての怪しいヤツらの標的となっていた.

通はむしろ『LONELY PLANET』を使ってたな.
英語の勉強にもなったし,読み物として単純に面白かった.

つーことで,頭の中は久々の”自由旅行”で一杯.

YouTubeには,チャリでの「環島」を含む台湾旅行動画が多数アップされている.
そこから情報を得るのもありやけど,見すぎると新鮮味がなくなりそうで怖い.
ほどほどにしないと.

先の話にはなるけど,これは気になる.

四国一周・台湾一周サイクリングを ダブル達成した方へ

さて,お次はフル装備での重量チェックやな.
LCCなのでサイズや重量オーバーにはうるさいはず.

『勇気爆発バーンブレイバーン』がとりあえず面白い

2024/1/19 Fri

バーンバーンバンバーン

年が明けて24年冬アニメ(でいいのか?)も徐々にスタート.
『薬屋』『フリーレン』のような鉄板継続作品はともかく,他の新作もちょこちょことチェック.

前シーズンの『Dr.STONE』『SPY x FAMILY』に代わり,家族で楽しみにしているのは『姫様“拷問”の時間です』

姫様”拷問”の時間です

色々な意味で安心の仕上がり.
さすがに『魔法少女にあこがれて』は食卓では流せない.

魔法少女にあこがれて

そして,現在SNS上で最も話題なのが,久々のオリジナルロボアニメ『勇気爆発バーンブレイバーン』だろう.
先日,ようやくその第一話を視聴した.

勇気爆発バーンブレイバーン

えー,いろいろな意味で実によくできている.
ロボ好き界隈で大騒ぎになるのも納得.
Kazchariも視聴後,周囲の人間に「とにかく前情報を一切カットして(←ここ重要)観てみぃ」と強烈にすすめている.

このアニメは事前に“仕掛け”を知っているかどうかで,感想が変わる可能性がある.
地上波と配信に5日間ほどギャップがあるので,KazchariはYouTubeのサムネでネタバレをくらった上で視聴することになった.それでも十分面白かったけどな.

よくも悪くも人は情報や経験から,先の展開を予測しながら考えたり行動したりしている.
悪く言えば“思い込み”に支配されている.
そこを見事にひっくり返してくる.

何をいまさらなのでネタバレすると,まず公式サイトの当初の情報やPVが騙し広告だったこと.
そして第一話放送後にシレっと本編に即した内容に入れ替えるという用意周到さ.
タイトルがタイトルだけに「何かを偽装しているのでは」と疑っていた人も相当数いたらしいが,それが大当たり.

いずれにせよ,こうした手法が使えるのも,絶滅種であるオリジナル企画ゆえの特権.

つーことで本編.

前半パートはハード路線な軍事系リアルロボ.

『ガサラキ』を思わせる演習シーンや,『アーマードコア』風のCGで動かすことを前提としたゴテゴテカクカクなメカ.
米軍(ルイス)と自衛隊(イサミ)に所属する主人公らの『トップガン』っぽいやり取り(なぜトリコロールTシャツ?).
おっさん(特にイサミ)のキャラデザが昭和モブテイストなのに対し,なぜか女性キャラはみんな令和基準.
この時点で過去と現在,異質物の共存も確実に狙っている.

後半.
突如,宇宙から謎の円盤型兵器が襲来.
なすすべもなくやられる現用兵器.
(主役メカと思われた)TSすら全く歯がたたない.

そして異星人の巨大タワー型宇宙船からの総せん滅ビーム!
もう絶望しかない.

...とまぁ,ここまでは割と既視感あり.
リアルロボのあるある展開だと,戦闘中偶然落ちてしまった地下空間に,“こんなこともあろうかと”用意されていたオーパーツ的兵器(異星人の技術をミックス)を偶然見つけて乗り込んで反撃開始.とりあえず撃退には成功...で,第一話完.

ではなかった超展開.

主人公のピンチに宇宙から降ってきたのが,ここまでの世界観に全くそぐわない巨大でド派手なスーパーロボット.
古き良き勇者風味の,口あり,表情ありの自律型ロボ,ブレイバーンである.
異物感が半端ない.
勇者ロボと言えば,たいてい熱血系少年と強い信頼関係を築き正義の怒りで敵を粉砕.

しかし,今回のパートナーは初の実戦でびびりまくった角刈りのおっさんだ.
パニック状態のおっさんを脅して,半強制的にコクピットに格納.
操縦どころか協力すらしているかどうか怪しい状態.
戦闘中に大音量でテーマソングを流す...まさかの本人歌唱!(OPで表記)
必殺技の唱和をこれまた強要.

自己主張オンリーのブレイバーンはイサミの話を全く聞かない.
一方的に“想い”をぶちまける.
質問にもまともに答えない.
ノリとしては『グリッドマン』とか『ウルトラマンZ』さんと...少し似た系統.

いずれにせよ,この前半と後半でのどんでん返し展開は面白い.

あれ? 主人公が超兵器に乗り込み,圧倒的なパワーで反撃...結果だけ見れば従来のロボアニメの第一話やな.

いずれにせよ,終始リアルロボだったとしたら,キャラもメカも魅力がイマイチだし,逆にスーパーロボ感を前面に出してたら,『シンカリオン』のような小学生向けと思われてしまい,ここまで話題にならなかっただろう.

見る前のイメージを裏切る第一話と言えば,最近では『推しの子』が有名.
あれも一見アイドル物と思わせて,その実,芸能界の闇+SFサイコサスペンス.
主題歌が大ヒットして,そこから小学生女児も割と見ているらしいが,ええんやろか?

さて,手の内をばらしてしまった以上,第二話以降が勝負.
あまりにも続きが気になったので,配信日を待てず,先行の地上波放送を録画視聴することにした.

で,ついさっき,第二話「イサミィーーッ!そろそろだよな、イサミィーーッ!!」を視聴.
いやもうこのタイトルだけでもバカの極み.
ブレイバーンが話す言葉全てがギャグ.

まさかのロボ+G,そして理解不能なED.
第一話視聴後の懸念を軽々と越えてきた超一級の変態アニメだった.
多様性にもほどがある.

すっかりネットミーム化した「俺たちはいったい何をみせられているんだ」が,これほどフィットする作品はなかなかない(『ドンブラザーズ』以来).
実は『魔法少女にあこがれて』とどっちもどっちの“変態”勝負だったりする.
生理的に無理な人も多いかも.

昨今,ハリウッドやらディズニー映画がLGBTQをはじめとするマイノリティへの理解促進を前面に押し出し過ぎて,エンタメとしての楽しさが犠牲になっている.
結果,マジョリティおよび従来からのファン離れによって,興行収入の爆死が続いている.
なんで金を出してまで説教を聞かねばならんのだ? しかも旧コンテンツの中身を改悪してまで.

日本は昔から,そして今も多様性には寛容な国である.
少なくとも創作物においては.
そしてここまでエンタメとして昇華できる.

つーことで予測不能,まだまだどう転ぶかわからないブレイバーン.
今,一番楽しみな作品だ.

読書習慣を取り戻せ!~叙述ミステリー

2024/1/16 Tue

感受性の衰え?

「趣味は何?」と聞かれたら,もちろん「自転車」と答える.

少し前なら「オートバイ」「ダイビング」,そして「読書」だった.

大学生の頃に,

「あのな,どうせ本読むんやったら,何十年,何百年間も人の評価に耐えてきた古典文学を読むべき!」

と,のたまう悪友に感化されて,古今東西の名作,いわゆる純文学を読みまくった.

確かに面白かった.
学校の「文学史」で名前だけを知っていた作者と作品がコネクト.

遠い時代,遠い場所の感性も価値観もまるで異なる人々の人生模様に,どうしてここまで心が揺さぶられるのか...結局ヒトの根底に流れるモノはみな同じということか.

なかでもその後の人生に多大な影響を与えてくれたのが「ヘルマン・ヘッセ」である.
ホンマ,彼には感謝してもしきれない.
まっ,夢見がちで神経質っぽいおっさんなので,隣にいたら嫌やけど.

圧倒的大傑作は『知と愛』

両極端に答えはない.
人生は白か黒かではないのだ.

で,純文学の有名どころを一通り読んだ後はエンタメ作品に回帰.

世は何度目かのミステリーブーム.
宮部みゆき綾辻行人が人気だった.

午後11時「寝る前に少しだけ読もう」っと,ページをめくった『火車』
読了時,気が付けば朝を迎えていたのが,人生で最も強烈な読書体験だった.

綾辻行人を筆頭とした「新本格」と呼ばれる小説群は,コナン・ドイルやアガサ・クリスティー,横溝正史などのトリックをアップデート.
「読者に挑戦!」なスタイルがKazchariを魅了した.
代表作はやはり『十角館』かな.

とりわけ「叙述トリック」系は,作者と読者の知恵比べが楽しい.
いかに思い込みを廃し,描写の不自然さに気付き,過去の名作からプロットに仕掛けはないのかなどなど,思考しながら読み進める.

時間を忘れて物語世界にのめりこむとは,正にこのこと.

『葉桜の季節に君を想うということ』『ロートレック荘事件』『アヒルと鴨のコインロッカー』『ある閉ざされた雪の山荘で』etc..は特に印象に残っている.

とまぁ,しばらくは充実した読書ライフを送っていたのだが,それを邪魔するものが現れた.

そう,インターネットである.

デスクトップパソコンが中心の頃はまだ良かった.
やがてグラフィックや通信性能が著しく進化し,スマホやタブレットが登場.
映画にしろ,ドラマにしろ,視聴が手軽過ぎる.
結果,エンタメの享受が読書ではなく動画に置き換わってしまった.

受け身で,延々と好きな“刺激”を浴び続ける日々はまるで麻薬.
残念ながら圧倒的に心地よい.

読書の楽しみを忘れてはいかんと「Kindle Paperwhite」も購入し,小説も数冊ダウンロードしたが,紙の読書とはやはり何かが違う.

(コミックを除き)電子書籍による読書習慣は持続せず,気が付けば,絶望的なほど年間読書量が減ってしまった.

だがすべては言い訳.
たかだか道具・手段の一つに過ぎないインターネットではなく,読書習慣がなくなってしまったのは,年を重ね衰えてきたKazchari側に問題があるかもしれん.

老後は読書できない⁉︎老化で本が読めなくなった原因3つと対策2つ

うーん.これは違う気がする.
単純に視力や,実践できるかどうかといった功利的な問題ではないはず.
特に娯楽小説は当てはまらない.

やはり感受性が鈍感してしまったのだろうか.
活字情報のみから,イメージを広げるといった作業が困難になりつつあるのか.

また,空想の世界にのめりこみたい.
コミックや映像と違って,そのイメージは圧倒的に自由!

つーことで,2024年の目標としてチャリ関連だけでなく「読書の愉しみを取り戻せ」も掲げる.

リハビリとして,大好きな叙述トリック小説として有名だが,未読だった2作を連続して読んだ.

うーん.すっきりしない.

正直言うと,両作とも最後まで”トリック”には気付けなかったので,作者との知恵比べには負けたことになるが,真相を知った上でのカタルシスがなぜか来なかった.

まるで,ととのわなかったサウナのごとし.

よく練られたプロットで共に傑作なのは確かなのだが,なぜか乗れなかった.
ネタバレはできないが,再読するとあちこちにヒントが散りばめてあるので,フェアな小説ではある.

驚くことに前者には映像作品まである.

このトリックをどうやってヴィジュアル化したのだろう?

観るつもりはないのでレビューをチェックすると,完全に開き直り,最重要トリックは先にネタバレしているらしい.
それももう別の作品では?

つーことで,読書習慣を取り戻すためのリハビリは道半ば.
とりあえず,就寝直前,ベッドの中で読み進めることにしたおかげで,タブレット使用は控えることができた.
ブルーライトは安眠の敵.

むしろ,新作よりも再読の方が良いかもしれん.
過去と今での感性の違いを確認できる.

ところで読書ってデメリットあるのか?

読書はデメリットとメリット、どっちが大きい?ガチで本を読んで気づいたこと

「1-6」に激しく同意.

あれ?
感性ではなく記憶の問題なのか?

映像作品の戦犯?

2024/1/12 Fri

総合芸術の罠

アニメ制作会社「SUNRISE BEYOND」が消滅というニュースが飛び込んできた.

バンダイナムコフィルムワークスがSUNRISE BEYONDを吸収合併、事業を継承

一般的に知られた企業ではないのでYahooなどではトップニュースにはならない.
古くからのアニヲタなら,この会社の前身であるXEBECの名の方がピンとくるだろう.
『機動戦艦ナデシコ』『蒼穹のファフナー』を制作した会社だ.

その「SUNRISE BEYOND」が,この度なくなる原因となってしまった作品が『境界戦機』である.2021年放送のロボアニメ.

境界戦機

これがまぁ見事なまでに〇〇アニメ

大国に分割統治された日本を解放するため,主人公がレジスタンスとなって戦う...という,一部『コードギアス』に似たプロットだが,何しろ緊迫感がなかった.

まず不思議なのが,支配=奴隷国家なのに,国民は極めて平和な日常を送っている描写の数々.
町もほとんど破壊されておらず,コンビニやレストランも通常営業,ホームセンターの商品も潤沢.
途中で温泉にも入ってなかったっけ?
レジスタンスだけが「カイホウダー」「クツジョクダー」と大騒ぎ.

致命的なのは主人公とマスコットキャラの魅力の無さ.
シリアスな設定と相いれない,うざいゆるキャラ風AI.
戦う動機がよくわからない優柔不断な主人公は二期開始早々,いつの間にか闇落ちしてて,しかもその原因の説明をやたらにひっぱるから,グタグダ展開が延々と続く.確かこのあたりで視聴を切ったはず.

その後も,2023年になって,いきなり15分程度の続編なのかサイドストーリーなのかよくわからない映像配信があったり(これもつまらんかった)と,謎のコンテンツ展開.

まさに迷走.

割と褒められるのがメカデザインだが,少なくともKazchariは好みではなかった.
とりわけ主役メカの関節形状.
工業的には正しいなのかどうかしらんが,あれでカッコよいポージングは無理なのでは?

HG 境界戦機 メイレスケンブ 1/72スケール 色分け済みプラモデル

財団Bが提供するロボアニメは『ガンダム』以降,プラモの販促を兼ねている.
つーことで,『境界』も主役メカだけでなく,それこそ『ダグラム』並みに輸送ヘリやらトレーラー,はてはヒロイン・フィギュアまで商品展開していたが,模型店ではどれも駄々余り.
「棚の守護神」「ワゴンセールの常連」となっていた.

ガンプラ品薄(転売)問題の時期とも重なっていたこともあり,「生産レーンをガンプラに回せ!」という声も多かったそうな(真偽不明).

本編がおもしろくないと,商品が売れるはずはずがない.
むしろ「30MMシリーズ」のデザインラインで登場させた方が良かったのでは?

BANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ) 30MM bEXM-33T ヴォルパノヴァ (タンク Ver.)

どうしてこうなった?

ささやかれるのが「SUNRISE BEYOND」社長,O氏のやらかしである.
この方,サンライズ制作のロボアニメにかなり関わっている.
主な作品は以下の通り(抜粋).

- ガンダムSEED(制作進行)
- ガンダムSEED DESTINY(制作進行)
- ゼーガペイン(制作デスク)
- ガンダム00(制作デスク)

うん.ここまではまだ良い.

- ガンダムAGE(プロデューサー)
- ガンダムビルドファイターズ(プロデューサー)
- ガンダムビルドファイターズトライ(プロデューサー)
- ガンダム鉄血のオルフェンズ(プロデューサー)
- ガンダムビルドダイバース(プロデューサー)
- 境界戦機(エグゼクティブプロデューサー)

なかなか味わい深いラインナップである.
ようするにプロデューサーになってから,アニヲタから”戦犯”扱いされるようになったわけやな.

まず『AGE』がダメダメ.
これはレベル5のあの社長のせいとも言えるが.

もろにガンプラ販促アニメである『ビルド』系は観ていないのでよくわからん.

そして『オルフェンズ』
よく言われるように第一期(~25話)までは面白かった.
二期はギリギリ対MA戦までかなぁ.
鈍器で殴りまくるバルバドスだけがやたらかっこいい.
終盤は全く納得いかーん.

そして「SUNRISE BEYOND」の社長=エグゼクティブになった後に作ったのが『境界』ですか...

Wikによるとこの方,東大法学部出身.
別に(逆)差別するわけではないが,この仕事で良かったのか?

つーことで,これらの作品の失敗の根源,つまり戦犯はこのO氏とされているわけだが,以前からプロデューサーの質ってそんなに注目あびてたっけ?
プロデューサーと言えば,サムネのようないつもセーターを肩かけで巻いて,シャツの袖をまくっているチャラいおっさん...いつからこんなイメージがついた?

一昔前,80年や90年代だと,注目を浴びる,つまりその作品の質に責任を持っていたのは総監督と作画監督だったような気がする.
つまり「富野作品」「押井作品」,作画なら「安彦回」「湖川回」などという判断.
例外的に『ヤマト』だけは西崎プロデューサーが前面に出てたか.

やがて脚本家と声優が注目されるようになり,失敗作の場合はプロデューサーまでが問題に.

ジブリの鈴木プロデューサーが前面に出,業界アニメ『SHIROBAKO』や朝ドラの『なつぞら』で制作現場の裏側が暴かれる.

SHIROBAKO

ファースト・ガンダムの頃は,いかにしてトミノ御大がスポンサーを騙...いやごまかして,自分のやりたいことを実現していったという話もよく話題になる.

資本が巨大化すると”絶対に失敗できない圧”によって,クリエイターよりも上層部の権限が強くなるのかね.
で,その権限を持つ人のセンスがアレだと,こうなるわけやな.

「制作委員会方式はあかん」と岡田斗司夫もよく言っているな.

まぁ,制作委員会方式でも面白いモノもあるしな.
即断は禁物.

世の中には『境界戦機』が大好きという人もいるかもしれん.
『死霊の盆踊り』『デビルマン』『ピンチランナー』『北京原人』にすら熱狂的なファンが...あっ,比べたら失礼か(どっちに?)