モンキー125で下川町のカフェへ

2022/4/10 Sun

Love & Peace.

iPhone11 Pro

今日はモンキー125でツーリング.
さぁ,どこへ行こう...おっとその前にドラレコの位置を変更.

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これまではリアキャリアの裏側に逆さ付けしていたのだが,粘着力が弱いのかポロポロ落ちる.
幸いコードの固定をしっかりしているので落下⇒紛失はない.
ただブラブラしていては,いざという時の画像が取得できない.それでは意味がない.
ゆえにフェンダーの上に移設.
さすがツルピカ面.強力にくっついている.

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最初は海を見に行こうと思った.
でも,他に行ってみたい場所を思いついた.
先日放送された,Kazchariもエキストラ出演した『チャリダー』

NHK-BS『チャリダー』に出演&観た

その前半に,猪野さんがマイラさんと,下川の”とあるカフェ”を尋ねるというパートがあった.
そのカフェに行きたくなった.

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自宅を出発し,国道39号経由で40号へ.
そこからはひたすら北上.
法定速度で走っているとバンバン追い抜かれる.
まぁ,モンキーなのでこのトコトコ走行が良い.いざ,本気(トランザム!)を出せば...ヤメトコ.
結局,和寒のセイコマで小休止.

なぜか4Gの電波が悪く電子決済ができなかった.
やはり現金もまだ必要やな.

ここでナビ(iPhone7)をセット.
以前も書いたが,振動による故障を防ぐためツーリング時はスマホ2台持ち.
それをダンパーを介したマウントで固定.
ちなみにこの「iPhone7」も,ゲオで買った中古SIMフリー品である.

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この組み合わせが実に便利.

さて,そのナビ(Google MAP)は,まさしく,チャリダー収録時のロケ地である風連小中学校に向かうルートを示してくる.
そのまま向かっても面白くないので,面白そうな道に寄り道.

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やっぱりこのマフラーいいなぁ.

モンキー125のマフラー,これにしました

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で,懐かしのロケ地,風連小中学校着.
2ヶ月経って,雪もすっかりなくなった.

いただき画像 2/11撮影

日新地区を過ぎていよいよ下川町へ.
結構な距離走ったなぁ.ロードバイクやったらヘロヘロ.
「万里の長城はこちら」という,面白い看板を発見.
またしても寄り道.

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iPhone11 Pro レトロフューチャーな塔

うーん,なんとも言えない.
人口3,800人の町に,莫大な予算をかけて作るべきものだったのだろうか?

近くには「五味温泉」もある.
もう少し暖かくなったらタオル持参で来てみよう.

いよいよお目当てのカフェに向かう.

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噂には聞いて(見て)おりましたが,なかなかの佇まい.
大雪が降ると心配になる.

そう,ここはカフェ モレーナ

クルマが数台止まっていたが,それほど混んではいないようだ.
うわさの巨大犬と茶色いネコがお出迎え.

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中は意外に広い.
ぼっちなので,厨房すぐ前のテーブルに案内される.
拡大鏡やらなんやらが置きっぱなしなのが,風情をかもしだしている.
そう,懐かしいのだ.元バックパッカーには.

メニューは壁にピンどめされているとのこと.
ここはやはりカレーでしょ!っつーか,基本的にカレー2種類のみが食事メニュー.後はドリンクとケーキ.
「オニオンとひき肉のカレー」にした.いや,「カリィ」なのか?

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はい.出てきました.
一口食べて...美味い!と思わずつぶやく味.
これはオススメ.
やはり,これは「カリィ」.
最近できたというお店のホームページには,材料へのこだわりが書かれている.

『チャリダー』出演の話と,Kazchariも元パッカーであることを明かすと,マスターと話が盛り上がる盛り上がる.
年齢にして24,5歳差があるのだが,やはり似たような経験をしているものだ.

南米の魅力,アフリカのキツさ.
カオサンの「ジュライ」と「楽宮」,カルカッタの「パラゴン」「サルベーションアーミー」,ナイロビの「NEW KENYA LODGE」...何もかもみな懐かしく,そして楽しかった.

若者最大の武器は,文字通りの若さと怖いもの知らずの無謀さ.

若者は助けてもらい,許してもらえる.
自分がやりたいことに堂々と挑戦できる.
失敗してもやり直しが効くから.

そして,自分の中に(旅の)経験という資産が蓄積されていく.
こいつだけは決して暴落しない.

番組でも気づいていたが,ご主人は12年ほど前に脳卒中になり,左麻痺の後遺症が残ったとのこと.
実際,歩き方は相当ぎこちない.
かつては店内の段差で転ぶことも”あった”という.そう,過去形なのだ.
医師が驚くような回復ぶりを示したという.

特に左手の回復が素晴らしく,番組でも披露されていたがギターが引けるようになった.
リハビリとは「専門家に”してもらう”モノではなく,自分で”する”こと」を見事に具現化されている.

人間は「やりたいこと」「やらなければならないこと」があると...強い.

iPhone11 Pro マスターの著書
iPhone11 Pro 看板ネコのアーレスティ
iPhone11 Pro 見た目どおりの長毛種で,セーターが...かわいいのでヨシ.
iPhone11 Pro
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途中でお客さんもガシガシやってくるのだが,そのほとんどが常連さんっぽい.
(帰宅後,ヨメさん曰く「安否確認ちゃうか?」 ← おいおい)

Kazchariも,名刺をいただいたり,SNSの承認申請したりと,その仲間入り?
ここはもしかすると第二の「ルイーダの酒場」なのか?

ロードバイク練開始.目的地はルイーダの酒場ライド

2時間近く滞在後,帰路につく(最近このパターン多いな).
もちろん,往路とは異なるルートを選択.

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まだ15時頃なのだが,太陽の姿はなく,山中に入り両脇が雪状態でかなり寒い.
バイクウェアの下はセーターだけだったが,追加でウインドブレーカーを着込む.

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「冬期通行止」の看板が出てきた.
愛別に抜けるルートは通れるようだが,そこには1km越えの長いトンネルがある.
大丈夫とは思うが,凍結(転倒)回避のため,一旦国道に戻るルートを選択.
無事に帰宅するまでがツーリングなのだ.

途中,剣淵町の桜丘湖に寄る.
見事に全面凍結.
後,数週間で湖周辺は桜に覆われる.

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国道40号に戻ってからはひたすら南下.
気温はますます低下.
仕方がない.
塩狩峠のPAで,秘密兵器である「電熱ベスト」フォームにチェンジ!
ついでにグローブも「革」から「防寒テムレス」

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当麻町に入り,もうすぐ家か...と油断した頃,まさかの降雨
それも結構な激しさ.
この時期に夕立?

タンクバッグ,財布など濡れてはアカンものを,トップケースに放り込む.なんて便利!

♫ だけぇども,問題わぁ...レインウェアがない.
降水確率10%で降るか~!?

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旭川市内に入ると雨がやんだ.
んが,時スデにお寿司.
モンキー125の足回りはドロドロである.
明日は洗車やなぁ...

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つーことで最期に満タン給油.
本日の走行距離は213km.
消費ガソリンは...約3リットル.えっ?

ガソリン料金高騰の折,この驚異の燃費はありがたい.

それにしても,オートバイもチャリも2輪は楽しい.
でも,所有しているだけではダメだ.
旅に出るべし.なるべく遠くへ.

7h33m / 213.0km

正しい最期?~野田知佑の死

2022/4/5 Tue

もちろん直接の知り合いではありません.

先日,カヌーイストの野田知佑さんが亡くなった.

カヌーイスト・作家の野田知佑さん死去 84歳 愛犬「ガク」と各地を旅 著書「日本の川を旅する」など

原因は低血糖性脳症とのこと.
糖尿病,もしくはアルコール大量摂取による肝硬変がベースにあるのだろうか.

享年84歳.
別に早すぎる死というわけではない.

Kazchariの勝手な感想だが,驚いたのは野田さんが「病院で死んだ」という事実.
状況がわからないため,暴言を承知で言うなら「川」で最後を迎えてほしかった.

Kazchariはその昔,野田さんが連載を持っていた『BE-PAL』を愛読していた.
名著『日本の川を旅する』他,野田さんの著作も数冊読んだ.

日本の川を旅する―カヌー単独行 (新潮文庫)

当然,日本の河川行政に対する野田さんの怒りにも共感.
また,川遊びを理不尽に禁止しまくる木っ端役人への罵倒も痛快だった.

そんな自由人だった方が病院で死んでしまった.
それは彼の本意だったのだろうか.

もう一人死に方を間違ったと思う人物がいる.

伝説のフリーダイバー,ジャック・マイヨールである.

彼の名前を一躍有名にしたのは映画『グラン・ブルー』(1988年仏・伊)だろう.

グラン・ブルー オリジナル版 -デジタル・レストア・バージョン- Blu-ray

主人公の名前はジャック・マイヨール.
演じるのはもちろん本職の役者だが,モデルしたジャック本人と同名にしている.

ちなみにこの主演俳優よりもブレイクしたのが「エンゾ」(これも実在の人物)役のジャン・レノである(なぜか今ではドラえもん...)

『グラン・ブルー』には様々なヴァージョンがあるので,観た人ごとに印象・感想は異なるかもしれない.

Kazchariの場合,やはり”あの”ラストの展開およびシーンが印象に残る.
ちなみに主人公がヒロインに惹かれたのは,彼女の顔がイルカに似ていたから...という解釈もある.そうかな?

そして,ジャック・マイヨール本人は既に亡くなっている.
その最後は,自宅での首吊り自殺である(2001年,享年74歳).
うつ病を患っていたのこと.
名声も孤独を払拭できなかったのだろうか.

これも当時,かなりショックだった.

自分の死に場所は自分で選びたい.
自分の死に方を自分で選べるとしても...自殺には反対.
周囲に対する負の影響が大きすぎる.

アニメも大人気の某コミックに「正しい死とは?」という問いがあるが,その答えは何だ?

最近『うらやましい孤独死』という本を読んだ.

うらやましい孤独死

この本は「理想の死」について現役医師が語る,いや問題を提起している.
どう考えるのかは読み手の自由.

Kazchariは,今は臨床から離れているが,病院,施設の両方で勤務したことがある.
先週まで,場合によっては昨日まで元気だった人が亡くなるという経験も何度かあった.

今や日本人の9割が病院で亡くなる.
とは言え,病院で死ぬのは決して最良の選択ではない.

酒好きな人が酒を飲みながら死ぬのは許されない.
寿司好きな人が寿司を食べながら死ぬのは許されない.
家に帰りたい(死にたい)と言っても戻れない.
さらには新コロのせいで家族の看取りすらできない.

在宅療養している本人が「延命治療はなしで」と言い残す,もしくは書き残していても,いざ,その時が来るとやはり救急車を読んでしまうのが家族.
そして搬送後は意識不明のまま,死ぬまでチューブにつながれてしまう.

この本の作者は述べる.

患者さんの人生は患者さん本人のものなのだ.
病気を治すのか治さないのか.
命の終わりをどう迎えるのか.
医療を使って命を永らえたいのか,命が短くなってもいいから好きなことをしたいのか.
そんな人生の大きな決断の決定権は,医師にあるのではない.本人にあるのだ.

孤独死を回避しようとするがゆえに,独居高齢者を地域から引き剥がし,施設や病院へ送り込むことは,じつはさらなる孤独を生じさせる連鎖になりかねない.

Kazchariにも”その日”はいつか必ずやってくる.
そしてそれは,それほど遠い未来ではない.
メメント・モリ.

2つの『ザ・ハント』~極限状態

2022/3/31 Thu

共通点あり?

邦題が同じ『ザ・ハント』という映画を2本立て続けに観た.

1本目は『ザ・ハント ナチスに狙われた男』(2017年ノルウェー).
ちなみに原題は『DEN 12. MANN/THE 12TH MAN』

ザ・ハント ナチスに狙われた男(字幕版)

ナチスに支配されていた1943年のノルウェー。ナチスの抵抗勢力として活動していた12人の男たちは、1人を残して処刑された。生き残ったヤンはナチスの追跡から逃れるためスウェーデン国境を目指すが、極寒の雪山での逃走は死以上の苦しみが待っていた。ナチスの将校のカートはヤンを捕らえるため広大な山を包囲し、執念深く追跡する。もはやヤンに逃げ場は残されていなかった―

以下,ネタバレ.

戦争映画とSF映画は金がかかる.
ハリウッド超大作ならまだしも,その他の国で製作しようとすると,どうしても...見劣りする.
この映画も派手な戦闘シーンはない.
その分,痛い,寒い,空腹,不眠,不安,幻覚のオンパレード.
これでもかと主人公を苦しめる.

しかし,超人的な体力の主人公が,数々の奇跡的な偶然で生還するという都合の良いストーリーだが,なんと実話ベースらしい.
もちろんノルウェー人はノルウェー語,ドイツ人はドイツ語を話す.そのこだわりだけで加点.

人類はその歴史の中で環境を支配し,いかに自分たちが快適に過ごせるかを追求し続けてきた.
速く泳ぐため,速く走るため.暑さ寒さから逃れるために様々な機械を発明した.

食料も同様.

季節に関係なく,好きなものを好きなだけ食べられる世の中になった.
もはや「パンがなければお菓子を食べればいいのよ」という特権階級を皮肉るセリフは意味をなさない.

ところが,こうした“我慢しなくても良い”という事態は戦争になると一変する.
この映画を観ながら「困難な状況を耐え抜く力が主人公を救ったな」と考え続けていた.
その原動力は何だろう?
この主人公,なぜか仲間は元より,逃走中に出会った人々に好かれる.
それも才能の一種か?

もう1本は『ザ・ハント』(2020年アメリカ).
こちらの原題は『THE HUNT』そのまま.

ザ・ハント (字幕版)

広大な森の中で目覚めた12人の男女。ここがどこなのか、どうやって来たのかも分からない。あるのは巨大な木箱に納められた一匹の豚と武器の数々。すると突然銃声が鳴り響き、何者かに狙われる。武器を取り、逃げまどいながら、やがて彼らは気がつく。ネット上にはびこる噂、「人間狩り計画」―セレブが娯楽目的で一般市民を狩る“マナーゲート“が実在することを。

以下,ネタバレ.

この映画の特徴は3点.

1つはデスゲーム系のお約束を破っていること.

この種の映画の愛好者であればあるほど,予測を外される.
「あれ?」「なんで?」と思わせる展開は上手い(特に前半).
どこかで観たなぁこの構成...そうそう『キャビン』だ.

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もう1つは昨今のアメリカ(だけとは言えないけど)の状況,いわゆる分断社会が露骨にテーマになっていること.

社会に不満を抱える「プア・ホワイト」「動物虐待者」「陰謀論者」「差別主義者」がブチ殺されていく.

シナリオ的に面白かったのが,元々ジョークだった「金持ちが人狩りをしている場所がある」という都市伝説(ウソ)がマコトになってしまったこと.

そして,殺す側(金持ち側)が環境問題や人権問題,健康にやたら関心があるのが笑える.
思想が異なれば,相手に人権はなく,駆除対象らしい.
人体破壊などの過激描写というよりも,こうしたプロットのために上映禁止になったんやろな.

後は...実は”みんな大好き”ナーメテータームービーだったこと!

おすすめナーメテーター映画10選 無敵のコマンドー?俺はただのコックだ。

もう,めちゃめちゃ強い主人公のクリスタル(ベティ・ギルピン)の表情が,やけにシュワルツェネッガーに似ていると思ったのはKazchariだけだろうか?
「ワタシはアフガン.あなたは?」「...州兵だ」のシーンが最高.

最後は女同士のキャットファイト(これもまぁ,フェミ...).
バトル中に「ちょっと休憩」というセリフはシリアス映画では初めて聞いた.

言うまでもなく,クリスタルだけが最後に生き残ったのは,何事に対しても冷静でいたためだろう.
誰の挑発に乗らず,状況を的確に判断し,自分で自分の道を切り開いていく.
ひたすらカッコよい.

そやけど,よくもこれだけの内容を90分に詰め込んだなぁ.

さきほどの”ナーメテーター”のリンク先で紹介されていない映画では『サプライズ』も面白い.

サプライズ [Blu-ray]

つーことで,邦題は同じだが中身はまるで異なる『ザ・ハント』.両方ともオススメです.

『THE BATMAN』を観てきた~雨と夜と

2022/3/19 Sat

名探偵バットマン.

マーベルの「スパイダーマン」シリーズ同様,様々な俳優が主役を演じ,もはやパラレルワールド(今風だとマルチバース)だらけの「バットマン」

その最新作である『THE BATMAN』を観てきた.

むかーしのアニメ版やら,ジム・キャリーやらシュワルツネッガーやらジャック・ニコルソンの顔芸シリーズはとりあえず置いておく.

大人向けというか哲学的に「正義とは何か」をテーマにした最初の作品は,やはりクリストファー・ノーランの『バットマン ビギンズ』だろう.

バットマン ビギンズ (字幕版)

「誰も観たことがない映画を作る」を信条としている監督だが,『ビギンズ』の頃はまだおとなしかった.
そして,次に登場したのが『ダークナイト』という空前絶後の大傑作.

ダークナイト (字幕版)

劇場で観た.いやいや,もう呼吸するのがしんどいほどの緊迫場面が続く.
ヒーローには悪が必要.
バットマンにその存在矛盾を突きつける映画だった.
良くも悪くも,その後のヒーロー物,少なくともDCコミック原作の映画はこれを超えるかどうかが一つの指標となった.

その『ダークナイト』の続編『ライジング』は残念ながらイマイチ(特に核兵器の扱いがまたかよ的)だった.

ダークナイト ライジング (字幕版)

ここで一旦,ノーラン+クリスチャン・ベール主演のバットマン「ダークナイト」シリーズは終了した.

そして,その後は『スーパーマンvsバットマン』という,まるで『ウルトラマンvs仮面ライダー』のような無茶な対決作品が作られる.

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ちょっとガタイがよいだけの普通の人間と,神様みたいな宇宙人を戦わせてどうする?(中身はちょっと違ったけど).

問題はこの映画が「スーパーマン」の『マン・オブ・スティール』の続編となっている点.ややこしいわ.

結局(Kazchari的には)内容イマイチで「ワンダーウーマンお披露目!」の印象しか残っていない.

で,この世界線は『ジャスティス・リーグ』につながり,『アクアマン』という傑作が生まれるわけだが...それに別路線で『JOKER』も...おっと,この話はここまでだ.

つーことで,今回の『THE BATMAN』である.

※ 以下,ネタバレ.

全くノーマークだった.
恥ずかしい話だが,ネット上での高評価を知り劇場鑑賞した次第.

もちろん事前情報なし.
鑑賞後の現在も各種レビューは見ていない.
ゆえに勘違い,誤解釈もあると思われるがご容赦(誰に?).

結局,どの世界線とも無関係の独立した映画だった.
完全新作.

既に両親は殺されており,ブルース・ウェインは謎めいた隠遁生活を送っている.
しかあし,その正体はハイテクスーツと中二病的ガジェットに身を包み,日々(主に夜間)ゴッサムシティの平和を守る...というか,悪ガキ共を懲らしめる正義マンなのだった.

それにしても警察との関係性が不思議.
普通に一緒に捜査しているけど,協力はしてない.
証拠品を持ち出したり破壊したりとやりたい放題.
モーガン警部,甘すぎませんか?
彼の正体を知っていた? そんな場面はなかったけどな.

バットマンと言えば,別世界のクモ男と違ってひたすら陰キャ.
ふたりとも似たような悲劇を体験しているけどこの違いは何?

バットマンは革マスクをかぶる際,目の回りも黒くメイクするのだが,マスクオフ後もそれがそのまま残っているかのような常に疲れた表情.
能力者や強化人間ではないので,当然ながら体中キズだらけ.
そして,これまでになく無口.

ほぼ全編が夜,もしくは雨のシーンであることも相まって,画面がずっと淀んでます.

基本構成はハードボイルドな探偵小説.
正直,バットマンを主役にする必要はなかったかも.

ハデなアクションシーンはほとんどない.
ワイヤーやら小型ボーガンのようなガジェットは使うが,基本は肉弾戦である.
ただし,なんちゃって“ガンカタ”アクションあり(銃なし).

そして殺さない.
つーか,バットスーツの防弾性がとんでもなく高い.
ショットガンの近接射撃でも平気なのだ.
犯罪者たちもなぜか顔を狙わない.
革マスク一枚なのに,と終始疑問.

バットマンと言えば,上空からのマントを広げてのシルエット落下.
今回はなんとフライングスーツを着用し,警察署から逃走.
着地に失敗するが無傷!
大事なのはリアリティだよ!(露伴談)

探偵小説ゆえの黒幕探しは2本立て.
どちらも「えっ?」という犯人ではあるが,意外性はない.
つまり推理モノとしては面白くない.

警官汚職物によくあるパターンで,あまりに単純過ぎる.
検事長が自分の生命を犠牲にしてまでも,口にしなかった相手ってそれ?
「途中で“シロ”誘導してたやん!」と,つっこんだわ.

もう一人の犯人がナゾナゾ男の「リドラー」
バットマンではJOKER同様,おなじみのヴィラン?
その昔,ジム・キャリーが演ってたキャラやな.衣装と笑い方を覚えている(『マスク』と区別がつかない).

ヒロイン=キャットウーマンが出てくるけど,何かキャラの掘り下げが浅いな.
なぜこんなに格闘戦が強い?
前半で気になったのが,市長の殺害現場からアパートまでバットマンはあのマント姿でバイクに乗っていたのだろうか.目立つで.

と,まぁイマイチな点ばかりを列挙しているが,撮影は素晴らしかったです.
考え抜かれたフレームワーク.
写真を趣味にしている身としては,大いに参考になった.

肝心なのはここから.
この手の映画を見たまま述べてはいかん.
内に秘めたテーマを考察せねば.

1)「正義には悪が必要」論

『ダーク・ナイト』から続くテーマ.
リドラーがなんとなく語ってたけど,今回はそれがメインではない.

2)「復讐は何も生まない」論

勧善懲悪で終わらせない,またザコ敵であろうとも殺さないヒーロー描写が最近増えてきた.
ただ,その究極の描写をついこないだ『ノー・ウェイ・ホーム』でやっちまったしなぁ...しかも,あんな形で.

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を観た~そう来たか!

3)「親の罪は子が背負うべきか」論

日本だと,逆の「(犯罪者は)親の育て方が悪かった」説が幅を効かせている.
欧米の価値観では親と子は別人格なので,加害者(特に成人の場合)の親はあまり責められないと聞くけど,実際はどうなのだろう?

では,この映画で示された子の責任は?
父のトーマス・ウェインは家族の名誉を守るため,意図的ではないが”殺人”を依頼してしまった.
事情を知る(父親代わりの)執事は仕方がなかったと言う.
それを聞いても,ブルースは,やはり父の行いを許せない.
その償いがクライマックスの救助シーンにつながっていく.
自分の“これからの”行為によって,父の罪が消えるわけではないが,“これからの”人々は救える,いや救わなければならない.
そのために,今日もオレはこの街,ゴッサムシティを守る!的な.

4)「無敵の人たちの犯罪」論

リドラーのキャラ設定が正にそう.
バットマンをひたすら妬む.
そしてネットで焚き付けられた人々が,混乱に乗じて殺戮を開始する.

新コロ禍の日本でも,この「無敵の人」(たいてい中高年男性)による凶悪犯罪が複数発生した.
今後,この理不尽な犯罪は増えていくと思われる.

バットマン映画はどれも,このテーマを内包しているように思う.
それは「バットマン(ヒーロー)が何をしようが,欲望の街ゴッサムシティは変わらない」と.

ただし,今回の映画では「リニューアル」という言葉が何度も出てきた.
小手先の政策や改革ではなく,もっと根本的な変化が必要と訴えているのか,それは徐々に進行中のホワイト革命のことなのだろうか?

確かにわかりやすい“悪人”は自然と淘汰されるかもしれない.
でも...その代わりに失うものは何?

つーことで『THE BATMAN』.
全然スカッとはしませんが,とりあえず秀逸なカメラワークを堪能したい人にはオススメです.

マッサージ・ショッピング

2022/3/17 Thu

視点の違い.

「ドクター・ショッピング」という言葉がある.
ある医師の診断が気に食わず,次々と他の病院を受診し,”自分が”納得いくまで医療施設を転々とする行動のこと.

とある日の夕食.
Kazchari家はすき焼きだった.
その場合,テーブルへのはね対策としてコンロの下に新聞紙を敷くことになっている.

大手の日刊紙は取っていないのでタウン紙.
Kazchariの手元には「マッサージ特集」の記事が掲載されていた.

先月のマッサージから約一ヶ月経過.

エステざんまい~顔と頭と血と体

特に変わりはなく,姿勢矯正具なしでは肩こりは変わらずひどい.

柔道整復師が考えた 姿勢サポーター 姿勢ベルト 男女兼用 (Lサイズ)

この肩こりを改善してくれる”ゴッド・ハンド探求熱”が,再びムラムラと湧き上がってきた.

幸い翌日は年度末有給消化で平日休み.

ネットにて「マッサージ 肩こり 旭川」で検索.
すると,口コミ評価が高く,さらに自社ホームページも持っている雰囲気の良い店を見つけた.
料金は初回60分コースで¥5,600ほど.
いわゆる「10分¥1,000」の法則にほぼ従っている.

「少々高いけど,ここは試してみるか」と予約する.

予約時間に出向く.
10分前にドアを開けると「5分前から入店可能です」と追い出される.

なかなか厳しい.

「まっ,準備も色々あるのだろう」とクルマ内でしばし待つ.

4分前になったので再度入店.
すると今度は「クルマですか? どこに置かれましたか?」と周辺の俯瞰写真を見せられながら聞かれたので,駐車場所を伝えると「そこはダメです.こっちに停めてください」と移動を指示される.
仕方ないのでまたクルマに戻る.

最初に一度に言ってほしい.

ようやく入店.

早口で色々と説明されるが,マニュアル的というか,機械的でこちらの理解,反応を見ながら,という感じではない.
目線もあまり合わないので,ひょっとして視覚障害者?と思ったが違った.

この手の店は,施術前に薄手の服に着替えることが多いが,この店の場合は有料レンタルらしい.
Kazchariはこういうこともあろうかと上は半袖Tシャツで準備.
下はジーンズで,こっちは失敗した.

好感が持てるのは,肩こりの訴えに対し,いきなり患部を触るのではなく,まず座位姿勢の評価から入ったこと.
ここはこれまでの店とは違う.

肩や頸も動かす.
左右差だとか動きのぎこちなさを説明するものの,Kazchariに話しかけるわけではなく,空に向かって独り言を言っている感じ.
なんだかなぁ...

いよいよ施術開始.
振動,押し,ストレッチ,牽引など様々な手技の組み合わせ.

ここで思ったこと.
やはり施術者は男性の方が良い.
力が違う.
もちろん,力任せがベストとは思わないが,Kazchariの好みはこの強さ(痛さ)やな.

60分で終了.

痛みはない.
いわゆる揉み返しはなさそう(この時点ではわからんけど).
肝心のコリも”その時は”やや楽.

もちろん,一回の施術で即効果が出るとは思わない.
そのようなゴッドハンドの存在は信じていない.

ケンシロウによろしく(1) (ヤングマガジンコミックス)

※ 面白いです.あえて集英社じゃないのも◯.

だからこそ,リピーターの獲得が重要だと思う.
前回のような「今すぐ次の来店日を決めて(得だから)」という押しが”控えめ”だったのは良かった.
それに,施術のウデは確かなようだ.

だがしかし...以下は,あくまで個人的な意見.

ここ数回のマッサージ・ショッピングで実感したのは,やはり個人営業のこうしたマッサージ屋さんと,Kazchariの本業である作業療法とは考え方が根本的に異なるということ.

身体機能の評価はわかる.
これは必要.

しかし,その姿勢の悪さの改善を患者(クライエント)に伝えるのであれば,日頃の習慣,身体の使い方,既往歴,スポーツ歴などを聞いた上でアドバイスしないと何もならないと考えてしまう.
何よりも目標を尋ね,それを達成するには,日常生活において何をすればよいかクライエントと共に考えていく...という発想にはならない.
クライエントの自立を促し,その思考の枠組に沿ってより良き思考や行動を提示していく.
これが作業療法の考え方.
つまり,クライエントとの信頼関係構築が何より大事.

もちろん作業療法の対象は,医療管理下にあり,今後障害が残るか否かの瀬戸際,もしくは既に自立生活に支障がある方がほとんど.

「マチナカにわんさかある,リラックスを目的としたマッサージ店に来る一般人は,そんな深~い人間関係は求めてません」と言われればそれまでなのだが...

後はあれかな,こうしたマッサージ店って,無資格者(もしくは民間認定)が施術するグレーゾーン業務がほとんど.
次回,またマッサージ熱が湧いてきたら,今度こそ「あん摩マッサージ指圧師」などのプロ(国家資格)の施術を受けてみよう.

つーことで「注文の多いマッサージ店に行ってしまった面倒くさい客」の戯言でした.ちゃんちゃん.

『ブラックブック』と『ハンターキラー』~強運の主人公

2022/3/9 Wed

リアリティと娯楽.

こういう時こそフィクション.
ロシア映画『ロシアン・スナイパー』に続きAmazon Prime Videoにて戦争映画を鑑賞中.

『ロシアン・スナイパー』を観た~傷だらけの死の女

まずはオランダ人監督ポール・バーホーベンよる『ブラックブック』
公開時より非常に評判がよく,いつかは観たいと思っていた映画.

ブラックブック(字幕版)

1944年、第二次世界大戦時ナチス・ドイツ占領下のオランダ。若く美しいユダヤ人歌手ラヘルは、ドイツ軍から解放されたオランダ南部へ家族とともに逃げようとするが、何者かの裏切りによって家族をナチスに殺されてしまう。復讐のために名前をエリスと変え、ブルネットの髪をブロンドに染め、レジスタンスに身を投じる。そしてナチス内部の情報を探るため、ナチス将校ムンツェに近づき、彼の愛人となることに成功するが…。 果たして真の裏切り者は誰なのか?すべての鍵を握る”ブラックブック”とは?

以下,ネタバレ.

ポール・バーホーベンと言えば,何をおいても『スターシップ・トゥルーパース』
表向きはSFアクション.中身は戦争や全体主義への皮肉に満ち満ちた映画.
軍人にならなければ市民権は与えないッ!

さて,『ブラックブック』のヒロイン,ユダヤ人女性ラヘル(エリス)は何しろ強運.
彼女は銃を持って戦う兵士ではない.
女を武器にするあまりに雑なスパイ.
しかし,確実に死ぬような場面でも,機転と根性で乗り切る.
まるで異能生命体かジョースターの血統.
ようするに魅力的.

戦争映画としてはめずらしく,誰かを「絶対悪」としては描かない.
誰にでも事情がある.

難点としては,レジスタンスの作戦行動があまりに杜撰なこと.
それに裏切り,裏切られの脚本はスッキリしておらず,種明かし時もカタルシスは感じられない.

いわゆるブックエンド方式で,冒頭とラストがつながる構成なのだが,そのラストシーンが割と衝撃的.
ラヘルの安息の場は戦いの中にしかないのか?

ユダヤ人への迫害と戦後の立場逆転に関しては,やはり手塚治虫の『アドルフに告ぐ』が超傑作.

新装版 アドルフに告ぐ 1-4巻 セット

映画だと,ユダヤ人を“悪”に書くのは難しいやろな.

もう一本は『ハンターキラー 潜航せよ』
こっちは,ハリウッドな娯楽映画(イギリス製作).

ハンターキラー 潜航せよ(字幕版)

ロシア近海で1隻の米海軍原子力潜水艦が姿を消した。ジョー・グラス艦長率いる攻撃型原潜“ハンターキラー”は捜索に向かった先で、無残に沈んだロシア原潜を発見、生存者の艦長を捕虜とする。同じ頃、地上ではネイビーシールズ精鋭部隊の極秘偵察により、ロシア国内で世界を揺るがす壮大な陰謀が企てられていることが判明する。未曾有の緊急事態を回避するため、ハンターキラーには限りなく0に近い成功率の任務が下る。それは、絶対不可侵の水中兵器ひしめくロシア海域への潜航命令でもあった。グラスは任務遂行のため、シールズとタッグを組み、禁断の作戦実行を決断するが……。世界の運命は、一隻の潜水艦に託された――。

以下,ネタバレ.

一時期のウイル・スミスが地球を救いまくっていたように,最近世界(特にアメリカ)を救いまくっているのがジェラルド・バトラー.

今回の映画ではSPではなく,謎の原潜艦長.よって肉弾戦は封印.
過去に何かあったようだが,その辺りは何故かボヤかされている.

昔から「潜水艦映画に外れなし」とよく言われる.
有名どころでは『U-ボート』『K-19』『クリムゾン・タイド』『レッド・オクトーバーを追え』などなど.

ついでにKazchariは『蒼き鋼のアルペジオ』も好きだ.
サメ映画同様,もはや一つのジャンル...というほど作品数は多くないけどな.

音を頼りの隠密戦闘がたまらん.
画面から臭ってくるような閉塞感がたまらん.
圧潰寸前のギシギシ音がたまらん.

潜航シーンで身体が斜めになるSmooth Criminalなポージング.
潜水艦映画で初めて見た気がする.

さて,この『ハンターキラー』は,鉄板の潜水艦モノに地上戦=シールズ成分をまぶしている.
設定てんこ盛りの割に上映時間が長くない(122分)せいか,各登場人物の掘り下げが不足気味.

ちなみにこの映画のプロットは,どういうわけだか戦争がしたくてたまらないロシアの国防大臣が,大統領を監禁して軍を掌握.
自作自演のロシア原潜の沈没工作をアメリカの攻撃に見せかけ,米ロ開戦の口火を切ろうというまどろっこしいストーリー.

ジェラルド・バトラーの原潜アーカンソーは撃沈された友艦の調査に出向き,(内部から)破壊されたロシア原潜から艦長を救う.

一方,米軍はロシアの不穏な動きを探るため,4人のデルタフォースをロシア国内に潜入させる.
その際,偶然にもドローンで“たまたま”クーデターを目撃&録画(タイミング良すぎ)
秘匿回線を使って米国に送信し,あっという間に事情が筒抜けとなる.
爆笑もののご都合展開.

そのままシールズにはロシア大統領の保護を,アーカンソーには彼らの救出命令が下される...って,その場で思いついたかのような無茶苦茶適当な作戦.いいのかそれで?

そういえば,このジェラルド・バトラー艦長もラヘルに劣らず,相当強運の持ち主.
駆逐艦からのロケット,魚雷は直撃しないし,根拠のない信頼で敵が敵を裏切って助けてくれるし.
読める展開で安心して見ていられる(その分ハラハラ感に欠く)

ヒステリックな幹部(ゲイリー・オールドマンの無駄遣い),現場を信頼する冷静な上司と分析官,出撃前に彼女の写真を眺める死亡フラグ立てまくりの新兵...ってこいつは助かったか.

ステレオタイプなキャラだらけで意外性は皆無.

てっきり,最初に助けたロシア原潜の一人が爆破工作員でアーカンソーがヤバイことになる,と予測してたけどハズれた.

さらに大統領が女性,原潜のクルーに黒人,アジア系,女性通信士を配置しているところはポリコレ準拠か.

アクション映画としては,まずまずのデキなのだが,この映画には最大の欠点がある.
それは言語.
「洋画は字幕派」のKazchariとしては,ロシア人同士の会話が英語なのが非常に気になる.
一方で,米兵に対しては「ワタシエイゴワカリマセン」なのが変.
ここでリアリティが超絶ダウン.

場面や相手によって,ヘブライ語,オランダ語,ドイツ語,英語を使い分けていた『ブラックブック』とのギャップがスゴイ.
こうした言語へのこだわりって,映画全体を「娯楽」か「リアリティ」にするかの境目やと思う.

『ハンターキラー』は完全に前者.

さて,これを書いている3/9現在も,ロの国とウの国は戦争継続中.
テレビやYahooのトップに上がるような記事では,ロの国を非難する論調ばかりだが,Kazchariが購読しているメルマガには,別の見方を提示している.

田中字の国際ニュース解説

世の中はフェイクだらけ.

思考停止と言われても仕方がないが,何が真実なのか判断できない.
おそらく,戦後も一般庶民には何が起こったのか知らされないままだろう.

数年後,この戦争をテーマに映画が作られるかもしれない.
果たしてそれは娯楽かリアリティか?

Not even justice,I want to get truth.

『JUNK HEAD』を観た~情熱があれば

2022/2/25 Fri

究極のブンドド.

男の子のソフビ怪獣によるごっこ遊び.

女の子のシルバニアファミリーによるごっこ遊び.

そして...大きなお友だちによるブンドド遊び.

ロボやライダーのフィギュアだらけのKazchari部屋.
普段はディスプレイケースに飾ったままのことが多い.
たまーに取り出して“ブンドド”...ではなく,ポーズや武装を変えて再陳列する.

iPhone11 Pro / 2022年1月20日撮影

間違っても,こいつらを使って「映画」を撮ろうとは思わない.

世の中にはいわゆる「ストップモーション・アニメ」という映画ジャンルが存在する.
少しずつポーズを変えて,1秒あたり約24コマ撮るという.

その最も有名かつ成功した映画は『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』だろう.

ナイトメアー・ビフォア・クリスマス コレクターズ・エディション(デジタルリマスター版) [Blu-ray]

この作品はストーリーも面白く音楽も素晴らしい.
セルアニメやCGにない独特の動きもクセになる.
ただし,セット,人形作り,撮影に恐ろしく時間がかかるのは想像通り.

そんなストップモーション・アニメで,最近話題になったのが『PUI PUI モルカー』...ではなくて,これ.

JUNK HEAD(字幕版)

Amazon Prime Videoで配信中の『JUNK HEAD』である.
以下,あらすじを引用.

環境破壊が止まらず、もはや地上は住めないほど汚染された。人類は地下開発を目指し、その労働力として人工生命体マリガンを創造する。ところが、自我に目覚めたマリガンが人類に反乱、地下を乗っ取ってしまう。それから1600年──遺伝子操作により永遠と言える命を得た人類は、その代償として生殖能力を失った。そんな人類に新種のウイルスが襲いかかり、人口の30%が失われる。絶滅の危機に瀕した人類は、独自に進化していたマリガンの調査を開始。政府が募集した地下調査員に、生徒が激減したダンス講師の“主人公”が名乗りを上げる。地下へと潜入し、〈死〉と隣り合わせになることで命を実感した主人公は、マリガンたちと協力して人類再生の道を探る。今、広大な地下世界の迷宮で、クセ者ぞろいのマリガンとの奇想天外な冒険が始まる!(C) 2021 MAGNET/YAMIKEN

製作期間はなんと7年.
クレジットを見ると,監督,撮影,脚本,パペット製作などのスタッフ名のほとんどが「堀貴秀」で埋め尽くされている.そう,ほぼ一人で製作しているのだ.なんという情熱.
まるで『鷹の爪団』

さて,本編の感想(ネタバレ)

これがもしマンガやアニメだったら...その“ルック”からして,よくあるディストピア物.
弐瓶勉の世界観に似ている.
下層に降りていく展開には『メイド・イン・アビス』感もある.

しかし,ストップモーション・アニメにしたことで,独特の世界観がかもしだされている.そして,何よりも宣伝で言うところの,作者の「熱意と狂気」(ホメ言葉)がヒシヒシと伝わってくる.
ようするに好きです.

全体にかなりグロい.
“キモカワ”という言葉もあるが,そういうのではなく単にキモイ.

特に敵のクリーチャー群.
『バイオハザード』...いや『サイレント・ヒル』
その昔,ギーガーの『エイリアン』のデザイン,特に幼体が“モロ”と評されたのがかわいいほどの”モロ”.
モザイクかけての排泄シーンもあり,生理的嫌悪感を覚える...人によるかな.
たぶん,うちの娘とか,見た瞬間に停止ボタン押しそう.息子は爆笑するかも.

人間(態)側のキャラは,地下生活が長い人の特徴を出すためか,ATパイロットのようなゴーグルを装着している者が多数.

主人公は将来の我々たる(一応)人類.
なんとか生き残って地上で暮らしているが,生命そのものは永遠でも,身体は腐ちてしまうのか,機械化が進んでいる.
仕事はヴァーチャル空間でのダンス教師だが,もはや身体的接触は危険とされているのか,非効率とされているのか,可能な限り”ふれあい”を廃した世界に生きている.

なぜか冒険がしたくなった主人公は,地下調査員に立候補する.
永遠の命に飽きたのだろうか?

彼を中心に話は進んでいくが,どうにも感情移入がしにくい.
もちろん,今の現代人とは思考・行動パターンが違ってて当然なのだが,作劇中,記憶をなくしたり,言葉をなくしたり,外見が変わったりで統一性がなく,あまり魅力を感じないのだ.
キービジュアルの「白いロボ」で通せば良かったと思う.

一方,サブ主人公たる3バカトリオはキャラが立っている.
最後は“シーザーァァ!”してしまうけど.わかりやすい死亡フラグやったな.

異世界感を出すために架空の言語も作っている.
字幕付きだが,これはなくてもよかったかな.
その方がこの世界に浸れそう.
そう考えると,一切字幕なしにした『クウガ』グロンギ語はすごかったなぁ.

さてさて,肝心のストーリーだが...これが残念ながらイマイチ.

「化け物に襲われる ⇒ 逃げる ⇒ 落ちる ⇒ 壊れる ⇒ 修理される ⇒ 化け物に襲われる」のワンパターン.

そして,尻切れトンボで突然終了.
あれ? 生命の木は?

ただ,少し調べてみると,何やら3部作構想らしく,続編で真相が明らかになるそう.
少し前まで,製作資金稼ぎのクラウドファンディングも行われていた.

「Junk Head 1」の続編「 Junk Head 2」制作支援のお願い。

今では終了しているが,220万円ぽっちで大丈夫なのだろうか?
Amazom Prime Video配信後だったら,もっと集まりそうな...(Kazchariも支援したい)

作者がTwitterでやらかしたらしいけど,これも資金が集まらなかった原因?

女性の観客を「奇女・珍女」扱い SF映画『JUNK HEAD』監督がツイートも謝罪「差別はしてないけど区別してた」

エンディングでは製作・撮影風景が流される.
ジャンクパーツで作られたセットや小物に,見知ったパーツはないか探してしまう.
S.F.3.D,ホルニッセ裏面のゴッドマーズ頭部のように(わからん).

こうした巨大ジオラマだと,YouTubeのガンプラ動画にもスゴイのあるなぁ.

自分のフィギュアでコマ撮りアニメなんて作る情熱は持ち合わせていないが,別の方法でトライする気は満々.

うちの職場の専門学校はもうじき卒業式.

卒業生に対し,在校生や教員からメッセージビデオを送る伝統がある.
ありきたりな言葉で寒~い空気が流れるのも面白くないので,Kazchariは自分の子供らと一緒に,毎回ピタゴラスイッチの「こんなことできません」風動画を作ることにしている.

【ピタゴラスイッチ】こんなことできませんの簡単なやり方・撮影のコツを紹介!

いや,違うな.
Kazchari家は出演するだけ.
撮影・編集は在校生の役割.

できた動画は,家族の思い出.
ヒドいセンコー(死語)だ.

話がそれましたが,『JUNK HEAD』ワールドの狂気にはまりたい人,オススメです.

息子がわからん~ウパシの森にて

2022/2/23 Wed

高いところが好きなのか.

OLYMPUS TG-5

うちの息子は小学校入学直後,たった一週間で担任から呼び出しをくらった.

「授業中に全然落ち着きがない.家庭での様子を聞かせてくれないか」とのこと.

ははぁ,これがいわゆる“発達障害早期介入”ってヤツやな.
学級崩壊を防ぐために,ヤバそうな児童には先手を打って,家庭との連携を...云々的な行動だろう.

で,ヨメさんと出向いた.
向こうは担任とスクールカウンセラーのタッグ.
最初は黙って聞いていたが,もううちの息子を(ほぼ)否定するので,段々と腹が立ってきた.

Kazchariも職業柄,発達心理学系の知識があるので,理論的に反論.

「まず,入学一週間でうちの子供の特性を理解しているつもりなのがおかしい.それにさっきの話に友達関係の話が全く出てこない.個人だけを観て,集団力動からの考察が全くないのはなぜ?もう少し様子を見てから,”問題児童”と判断すべきでは?」

と,あくまで穏やかに“提案” ⇒ いわゆるモンペやな.

とまぁ,親バカな面はさておき,そんなうちのアホ息子も,最近は落ち着き,学校から呼びだされることはなくなった(今でも時々...話は聞きますが...ゴホンゴホン).

ただうちの息子,「自閉症スペクトラム」や「注意欠陥多動性障害(ADHD)」とまではいかずとも,感覚の過敏さがあるのは否めない.
実際,運動会の50m走スタート時のピストル音が怖くて,先生に耳を抑えられていたし,打ち上げ花火もダメだし,自宅でもヨメさんや長女(姉)がスポーツ観戦で大騒ぎしていると「うるさい!」とキレる.

昨今,成長してもこういう傾向を示す人が「大人の発達障害」と呼ばれることが増えた.

また,別の少々異なる概念として「自分はHSP(Highly Sensitive Person)なんです」とカミングアウトする人もいる.

「HSP」とは,定義的に以下の特徴がある人をいう.

1) 深く情報を処理する ⇒ 疲れる

2) 過剰に刺激を受けやすい ⇒ 五感刺激に過度に反応

3) 共感しやすい ⇒ 他者(物語も含む)に没入しすぎる

4) 心の境界線がもろい ⇒ 他者の気分や思考に引きずられる

5) 自己否定感が強い ⇒ ネガティブ思考

【http://www.madreclinic.jp/pm-top/pm-symptom/pm-symptom-22/】より

これらは疾患ではなく,”とある傾向”という捉え方が適切だろう.
うちの息子は,少なくとも,現状(2)はあてはまる(あてはまっていた)か.

で,話は変わって2/23(祝).

息子と二人で,東川町内のウィンターイベント会場である「ウパシの森」にでかけた.
昨年はチャリで家族と現地集合だった.

ウパシの森,現地集合ライド

ウパシの森ふたたび~ファットバイクに試乗!

今年も日・祝のみの開催で,息子は既にヨメさんと2回来ている.
その際に買ったアクティビティ用のチケットが余り,それを使い切るため,Kazchariが引率の役目を仰せつかった.

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息子の一番のお目当ては「ツリーイング」
前回,前々回ともいたく気に入ったらしく,これがしたいがために3回めの訪問となった.

さてアホ息子.
着くやいなや「ツリーイング」会場を目指すが,既に40分の順番待ち.
ボードに名前と電話番号を書き,別のアクティビティへ向かう.

今年もファットバイク試乗会あり(無料).

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去年の「SPX」(?)とは別のモデル.
作りは...ルック仕様?
乗ってみたかったが,息子が乗れるサイズではないので断念.
ただ,近くのベンチに座って観察していると,結構人気というか興味をひくのか様々な人が試乗していた.
買いましょう! 買いましょう! 変態の世界にようこそ!

時間になったので「ツリーイング」会場へ.
インスタラクターも3度目ともなれば,息子の顔と名前を覚えていた.
息子も前回,前々回で指導された「安全結び」他,注意事項も覚えており,ほめられて満更でもない様子.

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登る高さを選ぶ.
もちろん,一番高い位置まで登れるロープを選択.

「お父さんですか? 奥さんと息子さんから色々聞いてます!」って,一体何を!?

「見て,見て,ボクってスゴイでしょ」オーラを出しながら,自分の力で登っていく息子.確かに躊躇どころか容赦もない.
高所は全く平気なようだ.

子供もたくさん並んでいたため遠慮したが,Kazchariも体験すりゃよかったかな(ヨメさんは前回やったそう).

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しばらくすると,次の予約待ちしていた男の子3兄弟が登場.

ご両親とイントラさんの話を小耳にはさむと小6,小4,小2の兄弟のようだ.
一番上の六年生のにいちゃん,ヒョロッとしていているが身長は結構ある.
ハーネスを付け,イントラさんに指導されつつ登攀開始.

するとうちのアホ息子が頭上から,

「あー新人が入門してきたぁ~」と煽る,煽る!

一瞬,場がシーンとなったのを,息子,声が小さくて聞こえなかったと判断したのか,もう一度,

「新人が入ってきたぞ~」と再度叫ぶ.アホなのか?

息子よ,その発言は不味い.
そのにーちゃん,見るからに年上やで.
おとなしそうな子やったから良かったけど,気の強い子やったらケンカになるで.
今日でなくても,いつかボコボコにされてまうで.
後で言い聞かせんと.

もちろん,Kazchariはその場では無視.
むしろ,

「そや! ここはその小6のにーちゃんにがんばってもらわな! 行けぇ!ササっと登ってうちのアホ息子をガツんと言わしたったれ!」...と心の中でにーちゃんを応援する.

しかし...残念ながらこのにーちゃん,力も技もイマイチだったようで,息子の高さにたどり着く前に諦めてしまった.トホホ.

OLYMPUS TG-5
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最高点に達したので降りる.
降りるのはサポート付きで一瞬.
よくできている.

OLYMPUS TG-5

それにしてもたくましくなったなぁ.
男の子らしくて良い(ポリコレ違反).

Kazchariはどちらかと言えば高所は苦手.
飛行機や高層ビルは大丈夫だが,観覧車となると好きではない.
バンジーほど度胸のいらなさそうな,このツリーイングは楽しそうだ.

イントラの方も言っていた.「僕も観覧車だめですね.やはり自分でコントロールできないと怖いです」.⇒ 正論

ちなみに「ツリーイング」は,夏になると隣のキャンプ場でもやっているそうな.

「今度はおとーさんも一緒に.ぜひ,自転車でいらしてください」って.なんでKazchariがチャリヲタなのを知っているのだ?(情報源はわかるけど)
まっ,行くけどな.チャリで.

その後,「スノーバナナボート」に並びを入れる.
30分ほど待って乗る.
『Insta360』発動!

Insta360 ONE X2
Insta360 ONE X2
Insta360 ONE X2
Insta360 ONE X2

そして,最後にバギー.
去年はKazchariが運転しての二人乗りだったのだが,今年は一人で運転したいとのこと.

iPhone11 Pro

足,浮いとるがな.

1回の乗車で2周できるのだが,曲がりの強いカーブで壁にぶつかって2回ともスタックしてしまう.
追い越し禁止なので,後続のバギーも止めてしまい大渋滞.
スタッフに助けられて,出発地点まで戻る.

降車後,「ちゃんと運転せなあかんで」と伝えると,バツの悪そうな顔で「ごめん...」と謝る.
その素直さはいいぞ,息子よ.

帰宅後の食卓にて.
ヨメさんに息子の様子を聞かれたので,「ツリーイング」での”煽り”エピソードを話すと,これまたプライドを傷つけられたのか不満顔.

えーか,息子よ.
散々ビッグマウスをたたいた後で負けるほどカッコ悪いことないで.
勝ちたかったら(相手の実力を見定めた後)黙って,さりげなくや.

iPhone11 Pro

沢木耕太郎『一号線を北上せよ』を読んだ~そして1993年へ

2022/2/20 Sun

旅に復讐されるかも.

iPhone11 Pro

このブログを初めた頃,旅の回顧録~1993年のカンボジアというテーマの連載(?)をしていた.

これは,1993年の1月から10月にかけて行った東南アジア旅の記録で,当時の日記を元にして書いた.
そのオリジナルは,今はなき「Nifty Serve」のミステリー小説スレッドにアップしていた文章.

当時のカンボジアは長らく続いた内戦が終了し,通常選挙がようやく行われるなどなかなかの混乱具合.
選管ボランティアの日本人青年が殺害されるなどの事件もあった.

国中あちこちに地雷が埋まっており,観光するのも命がけ.
夜間には銃声.
今思うに,よくふらふらと出歩いてたもんだ.

人類史上最大の愚行の一つ「カンボジア大虐殺」に関しては,この映画のアプローチがすごい.

消えた画 クメール・ルージュの真実

こうした世界の負の側面を目の当たりにするなど,20代にああした行きあたりばったりの旅をしたことは,今の人生に大いに役立っていると思う.
この後,結局長年の夢だった協力隊への参加も実現できたしな.

この『1993年のカンボジア』は国境を越えて,ヴェトナムに入国したところで終わっている.

もちろんその後も旅は続いた.

サイゴン(ホーチミン・シティ)から,バスや列車を乗り継いでハノイまで6週間かけて北上.
カンボジアほどのインパクトはなかったけど,これまたエキサイティングな経験だった.

Kazchariが初めて海外に渡ったのはいわゆる卒業旅行.
1989年のケニア-インドーネパール旅だった.
この時の期間は1ヶ月ほど.
全てが新鮮そして強烈だったが,所詮短すぎた.

そして就職.
その会社を辞め,帰国日を決めない無期限旅行を決意させたのは2冊の本がきっかけである.

一冊は蔵前仁一の『ゴーゴー・アジア』.

新ゴーゴー・アジア(上巻)

もちろん,前作の『ゴーゴー・インド』も読了済み.
蔵前の一連の著作のおかげで,世の中にはこんなに楽しい旅の仕方があるのだと知った.

もう一冊は,より人口に膾炙する名著,沢木耕太郎の『深夜特急』である.

深夜特急(1~6)合本版(新潮文庫)【増補新版】

いまさら解説しようがない.
この本のおかげで,何万,何十万の若者が旅立ってしまったことやら...
有名な話だが,第1便,第2便(文庫版では1~4巻)と第3便の間には,6年間の刊行ブランクがある.
東南アジアやらインドが含まれる1,2便の方が旅のネタには事欠かないはずなのだが,Kazchariは第3便のヨーロッパ編が一番おもしろかった.
作者自身の文章力の向上ゆえかな(なぜ上から?).

大沢たかおのTVドラマも話題になった(VHSで保存している).
松嶋菜々子の登場にはズっこけたが.

さて,沢木耕太郎である.
その最大の魅力は,もう沢木節としか言えない独特の格調高い文体にある.
特に,ボクシングというスポーツを,ここまで詩的に昇華させた作家はなかなかいないのでは?

その影響力は凄まじく,一時スポーツライターをやってた”五体不満足”な人も,その文体をマネしていた記憶がある.

沢木の著作はかなりの数を読んでいるが,今回図書館でたまたま手にとったのがこちら.

一号線を北上せよ~ヴェトナム街道編 (講談社文庫)

珍しく未読だった.
文庫版の表紙には「ヴェトナム街道編」と書かれているが,単行本にはそのような表記はない.
「一号線」「北上」と聞いて,すぐに「あっヴェトナムのことだ」とわかるのはパッカーのみであろう.

内容は沢木のプライベートと取材旅行記であるが,ヴェトナムだけでなく,「キャパのパリ」「フォアマンのアメリカ」「檀一雄のポルトガル」「アルペンスキーのアルプス」「酒場のマラガ」(Kazchari命名)も含まれた短編集である.
Kazchariはポルトガルとスペインも訪れたことがあるので,懐かしく,楽しく読ませてもらったが,やはり白眉はヴェトナム編の2本である.

奥付をみると,2000年あたりの旅のようだ.
Kazchariは1993年の訪問だったので,若干のズレがある.

一見して,旅のシステムがかなり整ったようだ.
当時のタイと同程度か.
沢木の旅からさらに20年近く経った今では,どうなっているのやら...
Wifiも当たり前やろうしな.
そういや,ここしばらく,ヴェトナムってかわいい小物だとかグルメやらで,女性にも人気の旅先だった.
新コロが全てを破壊したけど..

ここで思いついた.

『旅の回顧録~1993年のカンボジア』の続き,つまり『1993年のヴェトナム』をリライトしようと.
まぁ,30年近く前の旅行記に何の情報的価値もないが,しょせんブログなんて単なる個人の歴史.
SNSではないので,即時性とか気にするものでもない.

ただし,本書『一号線~』にこんな記述がある.

「旅は繰り返すものではないし,繰り返せるものでもない.それを知りながら旅をなぞろうとすると必ず手痛いしっぺ返しを受ける.旅に復讐される,といってもいい.」

実際に再訪するのでもなく,文章で追憶するのも同様なのだろうか?
当時の日記を読むと,どうしようもなく,あの頃(の自分)に帰りたくなることがある.
でも,同じ瞬間は,もう二度と起こり得ない.
全ては過去.もう取り戻せない.

そう,『ブレードランナー』のレプリカント,ロイの最後のセリフのような心境になる.

一方で,沢木はこうも書く.

「旅先で覚えたその痛切な思いは,決して消え去ることはない.私たちの体のどこかに眠っていて,必要な時に呼び覚まされることになるはずなのだ.」

いいなぁ.その通りだろう.
この文章だけでごはん3杯はいけそう.
『深夜特急』本編と比較すると,『一号線~』は”帰ってきた人向けの本”なのだろう.

とかなんとか色々それっぽいことを言ってますが,これもまた”終活”の一貫として,『旅の回顧録~1993年のヴェトナム』,近日スタート!
全く需要はないだろうけど,それでいいのだ.

以下,余談.

Kazchari家では『水曜どうでしょう』の何度目かの再放送を夕食時に視聴している.
ちょうど今放送中なのが「原付日本列島制覇」という回で,東京から高知までカブで向かうという企画.
2010年の放送なのだが,鎌倉付近を通過する際,大泉がカメラに向かって「いざ!鎌倉!」と吠えるシーンに震えた.
まるで,未来を予言したかのようなセリフ.

ご存知の通り『水どう』は2002年にレギュラー放送を終えるのだが,その最後の旅がカブによるベトナム縦断1800キロなのだ.
正に一号線を北上...ではなくハノイ発で南下する旅やけどな.

またしてもシンクロニシティ発動?

Kazchari的に,今ヴェトナムが熱い!

映画『マネー・ショート』を観た~知らないことを知っていると思い込むのが厄介なのだ

2022/2/18 Fri

What gets us into trouble is not what we don’t know.
It’s what we know for sure that just ain’t so.

何も知らないことが厄介なのではない.
知らないことを知っていると思い込むのが厄介なのだ.
マーク・トゥエイン

Kazchariは一応投資活動をしているが,いわゆる「ほったらかし投資」であり,金融についての知識は非常に乏しい.
「めちゃめちゃ利息の良い定額預金」程度の認識である.
トレーダーのように一日中モニターに張り付いて日々の平穏を乱すような生活はしたくないので,これで十分.
正にローリスク・ローリターンで絶賛運用中.

そんなKazchariが手を出してしまったのが,Amazon Prime Videoで配信中の映画『マネー・ショート』である.

例によって,3本ローラー練しながらの鑑賞なので,通しではなく,ブツ切れで.
元々この映画は長い.

マネー・ショート 華麗なる大逆転 [Blu-ray]

以下,あらすじ.

実話に基づき、4人のアウトサイダーを描いた物語。大手銀行、メディア、政府が否定した世界経済の破綻を予見した男たちによる大胆な投資は、銀行のいかがわしい闇を浮かび上がらせた。そこには人間も物も、何もかも信じられない世界があった。

鑑賞後,一言...

「話の筋がさっぱりわからん」

似たようなアルファベット3文字の金融用語の乱舞に頭が混乱.
そもそも邦題が悪い.
「華麗なる大逆転」ってなんだ? そのようなスカッとさわやかな話ではないぞ.

とは言え,「意識高い系」「選ばれし者」だけに向けられているというわけではなく,エンタメ性にもちゃんと配慮している.

例えば,話の途中でいきなり登場人物が“第四の壁”を越えて,観客(我々)に話しかけてくる場面があり,難しい専門用語をたとえ話で解説してくれる.
特にカジノにおける「合成CDO(合成債権担保証券)」の説明は非常にわかりやすかった.

さらに,実在の登場人物を超一流俳優が演じているので,彼らの緊張感のあるやり取りから,この後,何かとんでもないことが起こるであろう,サスペンス風味の表現も素晴らしい.
それに,揃いも揃って変人だらけで,全員キャラが立ちまくり.
彼らを観ているだけでも面白い.

そこで,冒頭に上げたマーク・トゥエインの言葉である.
有名なソクラテスの「無知の知」と大意は同じだろう.

この言葉は誰に向けて発せられたのか?

一つはもちろん劇中の金融バブルに踊らされた人たち.

もう一つは我々,観客であろう.

この映画を「さっぱりわからん」「つまらん」「駄作」と切って捨てるのはまだマシ.
「ほほぉ,何かややこしい金融用語が飛び交ってるけど,オレは”だいたい”わかるぜぃ.きっとこんな意味に違いない.深いなぁ...(何が?)」で済ませてしまうのが一番厄介.

とは言え,わからんもんはやっぱりわからんので,ここはやはり解説サイトの力を借りよう.
鑑賞後すぐに,こんな作業をするのは『TENET』以来やな.

『TENET』をネットの力で解釈

とりあえず,Google先生による検索上位サイトを片っ端から熟読.

億万長者も夢じゃない!? 《4000億稼いだ男たち》の実話には 「お金稼ぎのヒント」がいっぱい!

観る前にこれを知れば『マネー・ショート』がもっと面白くなる!5つの経済用語

マネー・ショート~”リーマンショック”を予期した4人のアウトローたちの葛藤

映画『マネーショート』からリーマンショックを解説~第16回インターン勉強会~

金融用語に振り回されない!どこよりも分かりやすい『マネー・ショート 華麗なる大逆転』解説

このように,解説サイトが山のようにある.
全く便利な世の中だ.
『2001年宇宙の旅』が今,公開されたとしたら,どれほどサイトが乱立するのやら.

つーことで一通り閲覧しました.
なるほど.
ようするに,住宅ローン債権が破綻した場合の保険に対して空売りを仕掛けていたわけだな.
金融用語や構成の全てを理解したとは言わないが,誰が何のために動いていたのかが見えてきた.

ただ,最終的に大金を稼いだ主人公たち.
リーマン後のアメリカ社会を見て,誰も彼もが複雑な顔で苦痛に満ちており,決して大喜びしていない.
Win-Looseのゼロサム・ゲームにおける勝利は(まともな感性を持っていれば)むなしいだけのかもしれない.

それに結局は誰も逮捕されず,不公正な仕組みはなおも残っている.
あれ? これって某国の某事件と一緒のような...

いずれにせよ,以前の記事にも書いたけど,今後の教育に金融リテラシーを取り入れるべきなのは間違いない.
公的機関が行わないのなら,各家庭の責務となろう.
そうでないとダマされる.

小学生にIT教育は必要?~それよりは...

いや,逆に知らない方が幸せという考えもある.
実際,リーマンショックの際,先進国の中で最も被害を受けなかったのは,投資よりも預金率が圧倒的に高い日本(の庶民)だけだったという話もある.
皮肉にも,冒頭文の「知らないことが厄介ではない」を具現化したのかもしれない.

余談だが,この映画,時折変な日本推しの場面がある.
ラスベガスの日本食レストランでの鉄板焼や歌謡曲(徳永英明らしい)など.
2006年頃はまだ日本が,アメリカの金融市場に影響力を持っていた証なのだろうか.

つーことで,映画『マネー・ショート』,各サイトにて金融用語について一通り予習してからの鑑賞をオススメです!