Amazon Primeで『SAW X』~ヒトはなぜホラーを観るのか

2025/3/3 Mon

ソウいうとこだぞ

「エイリアン」同様の長期コンテンツである「SAW」シリーズの最新作,『SAW X』(2023)がAmazon Primeで配信されていたので観てみた.

SAW X

以下,ネタばれ.

—————————————————–

これまでのシリーズを全話視聴済みでの感想.

一言,凡作.

今回は「X」つまり第10作目なのだが,時系列的には「無印」や「Ⅱ」の間らしい.最近多いパターンだ(ボトムズ式)

『プロメテウス』を観た~一度目の再起動

ゆえにジクソウこと生前のジョン・クレーマーやら,最初の弟子のアマンダが登場する.
ただし,実写作品ゆえに二人とも老け具合が激しく,少々脳内補完が必要.

つーか,外見だけでなく性格も変わってない?
二人ともあんなに己の信念や行動に悩むキャラだっけ?(あいまい)
「感情的=演技」だったらわかるけど,地の場面でのやり取りから判断すると,そうではないような.

シリーズ名物のラストに謎解きというか,過去のちょっとしたセリフやシーンがフラッシュバックして,どんでん返しにつながるという演出は相変わらずなのだが,今回は(も?)あまりにも偶然の要素が多くて納得いかない.

特にクライマックスへの流れに顕著.

銃を取り戻したパーカーが,なぜ二人を脅してわざわざゲームに参加させるのかわからん.

ジョンはともかく,アマンダを生かしている理由も謎.
こういう場合,先に小物を片付けておく=ジョンに恐怖・苦痛を与えることになるのでは?

で,謎のメキシコ人少年.
なんで早朝から壁サッカー? ずっとあの場所に住んでいる?
セシリアが普通に英語で話しかけてたけど,あの子供って英語話せない設定じゃなかったっけ?

そして,ジョンと少年が受けるゲームは何の説明もなしに突然始まるし,他のゲームに比べると生存率高めで苦痛率低め.
そもそも大量過ぎる血は何の血?(家畜?)

何より問題なのは,ジョンが死んだわけではないのに,なぜか途中でゲームを放置して事務所に上がっていくセシリアとパーカー.
金が気になるとかなんとか言ってたけど不自然.
現金はセシリアの自宅から運んだかもしれんけど,ほとんどはどこかの口座にあるのでは?

ラストのセシリア放置も意味不明.
あの毒ガスは皮膚からは吸収されない?

まぁ,その前にパーカーもグルだと知っていたなら,あんなに回りくどく誘い出さずに,他のメンツ同様,拉致してゲームに参加させるのが自然と思われる.

要するに「そうせざるを得ない状況に誘導するシナリオになっていない」のだ.

実は少年は既に洗脳済みで,アマンダ同様の後継者ポジション.
当然カギ無しで手錠が開くことを知っているので,セシリアとパーカーが安心したところで一発逆転!みたいになるかと思ってた.

以上,あまりに“穴”が多く,練り上げられた脚本とは言い難い.
思えば第一作「無印」こと『SAW』は大傑作だったなぁ.

SAW

トリック,人間描写,演出,映像表現とも文句なし.

この映画の公開以降,いわゆるワンシチュエーション・サスペンスの後追い映画が大量生産された.

本家の「SAW」も続編が次々に作られ,Kazchariも追いかけたが,どこかの評論家は,

「最初は特上のうな重,次に並,量が少なくなって,うなぎが除去されてご飯にタレのみ,さらにはご飯もなくなって,容器に残ったタレの匂いを嗅ぐだけ」

と,続編の劣化を形容していた.正に言い得て妙.
その基準で言うなら今回の「X」は,もはや脳内にしか存在しない「妄想うな重」を食べている感(ちなみにメインヴィジュアルの目パイプも◯◯).

...とかなんとか言いつつも,結局,最後まで視聴した時点で負け.
なんだかんだで,ゲームのシーンはミラーニューロンのおかげで十分“痛さ”を感じられたし.

えっ?

そう言えば,なぜKazchariを含め,一部の人たちは”負の体験”となるホラー映画をわざわざ観るのか?

早速,Gemini先生に聞いてみた.

1.スリルと興奮
2.恐怖の克服
3.ストレス解消
4.社会的な共有
5.好奇心と探求心

とまぁ,わかるようなわからんような理由が並ぶ.
「SAW」の場合は単なるスプラッタではなく,ジグソウ独自の哲学やら,伏線ありのミステリー要素強めやし,「好奇心と探究心」要素は確かに強め.

一番納得いく理由が最後のこれかな.

6.生理的な反応

ホラー映画を見ると心拍数や血圧が上昇し,呼吸が速くなるなど,生理的な反応が起こります.これらの反応は快感や興奮と結びつきやすく,中毒性があるとも言われています.恐怖と快感が入り混じった独特の感覚を求めて,ホラー映画を見る人もいます

そっかぁ,中毒だったのかぁ.
ランナーズ・ハイと同じかぁ.

「でも,映画って非日常体験だから,何観ても同じじゃないの?」というわけでもない.

『SAW X』の前に観たのが『すずめの戸締り』
実は開始20分程でギブアップ.

すずめの戸締まり

理由?
主人公の言動が気持ち悪い(ムカつく)ことと,何と言ってもチャリの右側通行!あれは許せん!(創作だって)

Kazchariは恐怖や痛さではなく,不快感ではトリップできないようだ.

以前にも増してタイパ,コスパが重視される昨今.
Kazchariも,無意識的にそれらを鑑賞作品の選定基準にしている節がある.
コンテンツがあふれかえる今,つまらんと判断したモノはバシバシ切っていかないと,本当の良作には巡り合えないかもしれん.
その直感は研ぎ澄まされているか?

そういや4月から”みんな大好き”「Amazon Prime」が(実質)値上げとか.

アマプラ「広告なしは実質8割の値上げ」?従来が凄まじい低価格&内容リッチ

追加料金払わないと,コンテンツに広告が付くらしい.
TV放送ではないのだ.映画の途中でCM入ったら興ざめ.

にしても,いやらしい手口だ.
ほぼサブスク映画のシェアを独占した後にこの仕打ち.
でも...結局,追加料金,払ってしまうやろなぁ...おのれ,Amazon!

オデノカラダハボドボドダ!~三重苦

2025/2/27 Thu

ウゾダドンドコドーン!

体力には自信がある...あった.

睡眠時間こそ短めなものの(平均6時間弱),メシは(ジャンクではなく)三食ちゃんと摂っている.
筋トレも少しずつ再開してるし,Zwiftもほぼ毎晩実施.
呼吸器系に負担のかかる冬外ライドはいまだ自粛中.

なのに...どうしてこうなった!?

体調不良のため,昨日,本日と職場を休むことに.
現在,こんな状況である.

鼻水が止まらない ⇒ 鼻が詰まる ⇒ よく眠れない ⇒ 頭痛&倦怠感

...の生き地獄.幸い熱はない.

この状況に陥った原因として思い当たるのが,先日の屋根裏大掃除.

魔窟をなんとかせよ~Kazchari家クリーン作戦

すっかり油断して.マスクなどの防護処置を取らないまま,作業してしまった.
おそらく可視できない,あやしげなウイルスやらホコリが飛び交っていたと思われる.

その翌日(火曜日)は出勤したものの,少しでもうつむくと,鼻水がツーっと垂れてくる.くしゃみもひどい.
点鼻薬でごまかすも効果薄.

【第2類医薬品】 by Amazon ベルダサポートAG点鼻薬 30mL

これでは全然仕事にならん.
たぶん急性のアレルギー症状...と勝手に予測.
で,翌水曜日は職場を休み,久しぶりに耳鼻咽喉科クリニックを受診.

へぇ,最近は麻酔をした上で,内視鏡検査するんやぁ(それでも気持ちいいものではない).
加えてレントゲンも撮影.副鼻腔炎の検査?

結局,鼻の状態からアレルギーではなく「風邪でしょう」との診断.
漢方薬,抗生物質などの薬が大量に処方された(2週間分).

ここまで徹底して検査,処方されたので,診療代が結構な値段に...仕方がない.

にしても,Kazchariは現在,3つの医療機関を掛け持ち中.

まずは「歯」.

抜歯~君は生き延びることができるか?

風邪をひくと,そのウイルスが悪さをするのか,歯茎が腫れて痛い.

鎖骨骨折もまだ完治(骨癒合)していない.

Day64:骨折後9週経過と他山の石

まだ右側を下にした寝返りができない.
つまり左の鼻にたまった鼻水を右側に送ることができない.
口呼吸になってノドが乾き,起きてしまう...

Garmin様もお怒りだ(細いピンクが途中覚醒).

鼻,歯,肩と三重苦.
なんだかカラダ中ボロボロ.

もうじき3月.春である.
来月は良き月になりますように.

魔窟をなんとかせよ~Kazchari家クリーン作戦

2025/2/25 Tue

リニューアル

いつの日かと恐れ,いつの日かと夢見ていた屋根裏部屋の大掃除.
ココロが目覚めたので翼を広げて,ついに取り掛かることにした.

ヨメさんからも事あるごとに催促され続けていた案件である.

作業開始前はこんな感じ.

iPhone15 Pro

まるでゴミ屋敷である.
一体全体どうしてこうなってしまったのか?

VHSテープやら,ステレオコンポ,ぬいぐるみ,娘の小学校時代の教科書などの不要品はもちろん,購入品の外箱(パッケージ)も全て保管していたから.

なぜ外箱を?

いつの日か,オークションなどで売るためである.
特にコレクターズアイテムである「S.H.フィギュアーツ」「ROBOT魂」などのフィギュアは箱の有無で落札額が大いに変わる.
そして,梱包用段ボールも保存.
特に小さいサイズは有用である.

iPhone15 Pro

...と,後先考えずにぽんぽんと屋根裏に放り込んでいるうちに,ご覧のような魔窟と化してしまった.

だが,この状況についに終止符を打つ時がきた.
この魔窟を一掃.今後はモノを減らし,モノを増やさないと決意したのだ.

そのきっかけは...4月から娘が進学のために家を出るから.
そして,Kazchari自身の生活も数年後に大変化が生じることが決定したためである.

さらばやさしき日々よ,もう戻れない.
Kazchari家は生まれ変わるのだ.

つーことで,屋根裏部屋の掃除をスタート.
と言っても,解体作業のごとく,乱暴かつ無心に全てを捨てるわけではない.

売れるモノは売る.

ヤフオクで断捨離中

これまでは主に未開封品をオークションに出品していたが,それらのストックも底をつきつつある.
次はショーケースに飾っていたものにターゲット.

ここでパッケージを保存していたことが功を奏す.
手首や武器などの付属品も100均ケースで保管してある.

iPhone15 Pro

要するに...

屋根裏掃除 ⇒ 外箱発見 ⇒ 付属品を探す ⇒ 本体をショーケースから取り出す ⇒ 写真撮影 ⇒ オークション出品 ⇒ 落札 ⇒ 梱包用段ボールを探す ⇒ 発送

を繰り返すのだ.

手間がかかるが,こうした作業は嫌いではない.
祖父の代からの商売人の血か?(あくまで不用品の出品なので儲けはほぼない)

もちろん同時に,文字通りのゴミは捨てていく.
小一時間で「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「プラゴミ」の40リットル袋が,どんどん満杯になっていく.

最初は引っかかっていた屋根裏部屋の扉もスムーズに開くようになった.
ただし,2階の廊下は室内干しの洗濯物もあるので大変な状況に.

iPhone15 Pro

大掃除あるあるだが,懐かしいモノが次々に出て来る.
あるいは買った覚えがないモノも.

これはパプアニューギニアを旅した時に,みやげ屋で買った彫像.
さすがに捨てたら呪われそう.

iPhone15 Pro

ずっと探していた高校時代に買ったエアブラシ用コンプレッサーも発掘.

iPhone15 Pro

千歳に「GUNDAM BASE」ができるらしい

使うのか? 使えるのか? 怯えるココロよ.
復活の塗装作業か?

で,作業に5時間ほどかけた状態がこれ.

iPhone15 Pro

ありゃ? 全然変わってねぇ.
そりゃそうだ.
プチプチや梱包材を捨てただけで,段ボールそのものの容積は変わらん.
大物はテープをはがして畳もう.

とりあえず,今日の作業はここまでとする.

発掘した「エルガイム」のプラモデルを出品したところ,早々に値が付いた.
40年前に購入した当時モノである.
接着要,塗装要,改造必須と,今のKazchariには相当ハードルが高い.

iPhone15 Pro

世間では物価高に悩む人が多いというが,趣味にかける金は別腹か.
明らかに業者さんによる落札もあるので,日本だけが市場とは限らんか.

断捨離とは正に家のダイエット.
何か快感になってきた.ミニマリストへの目覚めなのか? イデの導きか?

そして新たに軍資金は,今,一番没頭している趣味に注力するのだ...って,あれ? またモノが増えるのでは?

歴史は繰り返すが,個人の人生はやがて終焉を迎える.
その日を穏やかに待つ所存.

とあるニュース~ウクライナから

2025/1/18 Tue

朝のニュースで

先日のこと.
某国営放送にて「ウクライナの理学療法士,作業療法士が日本のリハビリテーション施設に研修にきている」というニュースが流れていた.

理由は,

「戦争被害により後遺症を患い,リハビリテーションを必要とする患者が増えている.しかし,ウクライナの医師やセラピストには十分な知識・技術がないから」

だそう.
ここまでは納得.

以下,食事しながら見ていたので一部意訳になっているかもしれんが,だいたいこんな内容.

「頸髄を損傷すると歩けなくなるので,後遺症の中でも特に社会復帰が難しいとされる」

うーん,これはどうだろう.
これは患者ではなく社会・環境側の問題.
車椅子,スロープなどの物理的な改善でどうにでもなりそうに思われる.
現状はそれどころではないだろうけど.

それよりも脳外傷などの認知障害,またはPTSDなどの精神疾患の方がより復学・復職は困難である.戦争だとこちらの方が問題になるのでは?(想像)

そして,

「日本とウクライナのリハビリの最大の違いは,障害評価の細かさにある」

はい?

「例えば第6頸髄(C6)の損傷を評価する場合,ウクライナでは手首を上に曲げれるか(背屈)だけで判定するが,日本の場合は手首を回せるかどうかなど,より細かく4段階で評価している」

まぁ,それはそうだけど,この評価はいわゆる「Zancolli」の分類である.

別に日本人が考えたわけでもないし,世界基準.
ウクライナのセラピストが知らない,というのはちょっと想像つかない.
まぁ,そうだったとしても,ウクライナ周辺には世界に冠たる福祉国家群,北欧諸国が揃っているではないか.

元々はNATOに加入するしないが戦争のきっかけだったはず.
なら,加盟国からの援助があっても良さそうなのだが.

まぁ,Kazchariが協力隊に参加していた2002年頃は,派遣国にポーランドやルーマニアなどの東欧諸国も含まれてたしな.
旧ソ蓮だったウクライナならもっと遅れている可能性もなくはないけど.

で,その評価を元に...

「患者は評価後,残された機能でクルマに乗れることがわかり,その練習をすることになります」

うーん,なんかこれもおかしい気がする.考え方が逆では?

患者さんの必要性や希望から,身体機能の評価や訓練,環境調整を考えていくのがリハビリの本質なのに,身体機能の評価からできることを決める?

完全なのか不全麻痺なのか,急性期か慢性期かで対応は異なるけど.
それにウクライナの患者さんが,どういう生活を求めているのか,全く出てこないし.

もちろん,受け入れ先の病院は多くの情報をちゃんと説明した上での,テレビ局側の編集内容なんだろうけど,なんかなぁ.

つーことで,偏向とは言わんけど.テレビや新聞の報道は内容が浅すぎて,その筋の専門家が見ると,なんだかなぁ...と思うことが多い.

ネットの場合,「あれ,おかしい?」と思えば,すぐに自分でググったり,場合によれば発信者に質問するなど,よりインタラクティブに行動できる(しやすい).
やはり基本的に受け身メディア,いわゆるオールドメディアは時代に合っていない.

まぁ,そんなヒネた見方はともかく,良いニュースなのは違いない.たぶん.

つーか,どうしてこの時期に日本に?

トランプさんが,ウクライナもガザも,戦争を終わらせようとしてるけど,戦後処理を考えた流れの一環なのだろうか?
はっ,もしくはUSAID解体に伴う,JICAへの補助金打ち切りの駆け込み予算消化?...(ピンポーン)おや,誰か来たようだ.

やはり面白い『魔改造の夜』~未完の美学

2025/2/14 Fri

大人げないのが至高

2/11,NHKにて『魔改造の夜』が放送された.
今回のお題は「脚立25m走」

地上波で現在もっとも熱い番組.
今回も実に面白かった.

魔改造の夜-NHK

番組史上,最も巨大な”生贄”である.
その動く様を見て爆笑しない者がいるだろうか.

改造ルールの縛りがキツイ.

車輪の取り付けはOKだが,車輪そのものの駆動は禁止.
脚立を寝かせてはならず,ラダーの開脚運動で前進させなくてはならない.

となると方法は二つに絞られる.

足を前後に開閉しての尺取虫方式か,左右に開閉してのスケート方式

前者を採用したのは1社.
懐かしのタミヤ工作セットのような動き.
重いだけに,ラダーを開いた時の衝撃が激しく,テスト中にアルミ製のボディが折れる事案が続出していた.
さらに,前後タイヤの跳ね返りも大きく,推進力をロス.

2社がスケート方式.
開脚装置の取り付け位置が異なる.
直進安定性の勝負になった.

優勝の行方は見てのお楽しみということで.

マイナーだったこの番組も,かなり話題になってきた.
放送翌日には各ニュースサイトでも取り上げられている.
企業が自社のサイトに「参戦記」を掲載する場合もある.
今回は番組制作,つまりNHK側へのインタビューが興味深かった.

企画会議にてプランが提出されると,工学系の専門家に意見を聞き,実現可能かどうかを確認.その後に種目決定・発表するそうな.

「開発期間1ヶ月半は短すぎないか?」との質問に対し,

「あまり長くすると,研究・実験を繰り返されてしまい,最適解が見つかってしまう.そうなると3チームとも似たモノが仕上がってしまう.そうならないためのギリギリのラインが1ヶ月半」

とのこと.

地球上の物理法則は不変なので,時間をかけると誰もが同じアイデアにたどりついてしまう.番組として面白くない.

ニッチな世界でのコモディティ化とも言える.
そうなると,その製品は進化しない.
多くの白物家電やテレビの性能差がほぼなくなった.
今やスマホすら,そうなりつつある.

出演した技術者からは「無難だと面白くない」「挑戦が大事」との発言が散見される.
試行錯誤の結果,未完成のまま,不確実状況での争いの方がドラマが生まれる.

もちろん,実際に商品化して市場に出すとなると,それは困るけど.
ただ,日本のモノづくりの停滞理由が「あまりにも完璧を求めすぎる姿勢」にあるという意見もある.

「スピード&即決が重要.失敗は後から修正すればヨシ」という某国のマインドに席巻されてしまうのは仕方がない...かも(偏見)

さて,個人的にブームが再燃している『アメリカ横断ウルトラクイズ』

「アメリカ横断ウルトラクイズ」の思い出

当時の放送もYouTubeでちょくちょく見かけるようになった.

マジで懐かしい.
コンプライアンス的に公式からの配信やDVD化は難しいだろうしな.

関連書籍も発刊されている.

史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989

とあるニュースのコメントで読んだため,真偽不明ではあるが,福留さんが以前,この様なことを言っていたらしい.

「大学のクイズ研究会が参加するようになって,司会者としては一気に冷めてしまった. 知識量はともかく,早押し練習もやって臨んでいるクイズ研究会とそれ以外の参加者ではレベルがあまりにも違いすぎる.初期は社会人参加者が 「これ以上欠勤したら仕事をクビになるかもしれない」 という不安を抱えながらニューヨークまで行っていた.作り手としてはそうした表情が面白かったのに,連中(大学生)にはそれがない」

これもある意味,クイズ番組のコモディティ化なのか.
攻略法,必勝法がわかれば勝負事は面白くない.

『魔改造の夜』もこのまま人気が継続すれば『SASUKE』のように,海外でライセンス番組が制作されるかもしれない.
そうなると,某国あたりが,とんでもない怪物を生み出しそうな気がする.

それはさておき,次回はトイレットペーパーを投げます!(意味不明)

抜歯~君は生き延びることができるか?

2025/2/13 Thu

Pullteeth.

いくつになっても歯の治療には気が滅入る.それが人の業.
歯石除去ならまだ良い.
残念ながら,今回は...抜歯である.

Day56:取り戻す日常~さらば鎖骨バンド

仕事を終え,18時予約の歯科医へ.
今回の処置の前はこんな感じ.

隣の歯と詰め物で連結されている以外は,見た目問題なし.
ただし奥から2番目の歯茎が時々腫れることがあった.
その際には,こいつを塗布.

【第3類医薬品】デントヘルスR 10g

前回の受診時にレントゲンを撮ると...

歯の土台が崩壊しており,さらにその奥には膿がたまって炎症を起こしているとのこと.
外からの処置ではどうしようもないので,抜歯する必要があるらしい.
で,とりあえずここまで削る.

本日の作業はここから.
いつもの医師ではなく,医大から来た口腔外科の医師が施術するそうな.
それって難しい手術だから? 怖くて聞けない.

前回の抜歯は4年前.

抜歯!抜歯!抜歯!

この時は子供の頃の記憶で,痛みにびびりまくっていたのだが,意外にあっさり.術後も痛みが継続することもなかった.医学の進歩か.

ゆえに今回も大したことなかろう...と思っていた時期がKazchariにもありました(フラグ)

まずは歯茎表面に麻酔を塗布.
これは注射時の痛みを避ける処置なのか?
で,しばらくして本麻酔注射.
もうカウントできないほど,打たれまくる.
痺れゆく唇.

医師「そろそろいいかな」とあの拷問器具(ペンチ)を取り出す(見えてないけど).

グッグッ...ガキゴキ...グネ(Kazchariのイメージ)

医師「ふぅ...抜けないなぁ.もう少し押しますねぇ」

グニュウ...グッ! ⇒ 「ウギャぁぁぁ~ くぁwせdrftgyふじこlp!」と,Kazchari絶叫(ココロの声).

医師「す,すいません.麻酔追加しますねぇ~」

コ,コロシテ...
以降,ココロを無にして楽しいことを思い浮かべながら,時が過ぎ去るのを待つ,いやっ,吹き飛ばすのだッ!

うぉぉぉっ!キング・クリムゾン!!

...ふぅ,終わった.

問題の歯を半分に割って抜歯.
その根本にはしっかりと壊死した組織が.

なぜ半分だけかと言うと,残った歯を土台にして歯を再建.
後の歯で固定する「ブリッジ」という手法を取るらしい.
下はイメージ図である(合ってる?)

つーことで無事完了.

死にそうな顔をしていたせいか,受付の方に「痛かった?」と聞かれる.
こ,これは,(ココロの)叫び声がもれていたのか!

iPhone15 Pro

治療費は¥1,200ほど.
意外に安かったが,この後の「ブリッジ」形成で支払いが増えるのだろうか?

次回の診療日を予約して帰宅.
麻酔が効いており,しゃべりにくい.

今日は「すき焼きうどん」
まずまず食べやすいメニューで助かった.

徐々に唇の感覚が戻ってきた.
同時に抜歯部分に痛み発生.

幸い鎖骨関係でロキソニンを大量にもらっているので,問題なし(そうなの?)

実はこちらの歯の治療が終わったら,次は反対(右)側...無限地獄.

ホンマ,歯のケアを怠ったことが人生最大の後悔である.

ヤフオクで断捨離中

2025/2/12 Wed

Let the buyer beware.

終活の一環として,過去に購入し積みに積んだフィギュアやプラモを,こまめにヤフオクに出品している.

転売目的ではないので定価以下の値付けからスタート.
入手困難な一品の場合,徐々に値が上がっていく.
さすがみなさん,お目が高い.

Kazchari自身,いずれも欲しいと思って購入したモノ達である.
落札商品の梱包時には,断腸の思いに苛まれることもあるが,断捨離には覚悟が必要なのだ.

せっかくなら高く買って欲しい.
ゆえに注目・入札してもらうために心がけていることがある.

まず送料を出品者,つまりKazchari負担にしている.
これだけで入札のハードルがぐっと下がる(たぶん).
まぁ,重量やサイズを考えて,毎回送料を決めるのが面倒というのが理由だが.

写真は簡易スタジオや照明は使わずiPhoneで撮影.
相手がどの様な機器で見るのかわからないので,ブレと構図だけ気にかけている.

何かの記事で,心理学的に「日曜深夜を入札締め切りにすると,落札額が高くなる」と読んだので,その時間に設定している.
締め切り寸前の入札者同士の攻防が楽しい.戦え...戦え...(趣味悪)

落札後はできるだけ早く配送して高評価をいただくのも大事.
少し前の〇ルカリのやらかしのせいで,匿名取引の信用度がガタ落ちしたしな.

そう,今でこそ匿名配送が標準だが,かつては直に住所・電話番号を聞いてやりとりしてた.
特にNifty-serveの掲示板(!)で売買していた頃は,自宅で手渡したり,町中の喫茶店で会って...てのもあった.
これって,相手に悪意があったらヤバイ事案.
今だと怖くてできない.

オークションサイトのシステムが整理されてきたためなのか,驚くような超高額商品が出品されていたりする.

先日もアクション映画の悪役が乗ってそうな「¥40憶の豪華クルーザー」や,「¥2,000万のヴァン・ヘイレンのサイン入りギター」とかがあって驚愕.
搬送方法とか支払いが気になるが,こうした高額商品をヤフオクで買う人って現実にいるのだろうか?

...という疑問を同僚と話していたところ,「そういうのって売る気はなくて,自分のコレクションの見せびらかしじゃないですかね?」との意見.

あー,その可能性もあるか.

そういや,かなり前に「タイムマシン」が出品されて話題になったなぁ.

ヤフオクの「どこでもドア」が話題だが過去には「タイムマシン」もあった

断捨離では,服の処分もよく話題になる.
ルール(?)として「1年間袖を通していない衣服は捨てよ!」が有名.

年中,同じ服ばかり着る傾向にあるKazchari.
このルールに従うと,捨てるべき服だらけになってしまう.
さすがにそれはもったいない(買わなきゃいいのに)

とは言え,ヤフオクやリサイクルショップで売っても二束三文.
希少フィギュアのような値付けは期待薄.

おや? そう言えば,うちの息子も成長してだいぶ大きくなってきた.

遺伝のせいなのか,年齢の割に小柄な息子だが,それなりに身長も伸びてきた.
試しにKazchariのパーカーを着せてみたところ,ほとんど違和感なし.
そうか,着なくなった服は一旦息子におしつ...いや,プレゼントすればええんや.
女子と違って,男の服はそれほど流行り廃りの波が激しくない.
現状本人にもあまりこだわりなし.
色気づいて,妙におしゃれに目覚めなければよいけど.

つーことで,終活・断捨離に限らず,この物価高を乗り越えるために節約ライフを継続すべし(何か大事なものを失わなければよいのだけど...)

DIE WITH ZERO

Day64:骨折後9週経過と他山の石

2025/2/11 Tue

It is not how old you are, but how you are old.

まずは月曜日の話から.

午前中は出勤.
職場では風邪もしくはインフルが流行っている.
感染までとはいかずとも,咳こむ音もよく聞こえる.
賛否両論あるが,常時マスクによって口呼吸となり,かえって風邪をひきやすくなっている説がある.

マスクは「口呼吸」にご用心!かぜなどの感染症にかかりやすくなるかも!?

Kazchariは(基本)マスクしない派で絶好調.
ちなみにインフルの予防接種も受けていない.
運が良いだけである.代わりに骨折したけど.

チャリダーKazchariは鎖骨骨折!

どっちが迷惑?

さて,昼からは有給取って帰宅.

整形外科受診前に,娘を連れて市役所にて事務手続き.

春から家を出る娘のために,ネットにて銀行口座を作ろうとしたところ,マイナンバの「署名用電子証明書暗証番号」入力ができなかった.
そう,マイナンバ作成時,娘は15歳未満だったので,その暗証番号を設定できなかったのだ.

手続きは無事終了.
これで口座を作れる.もちろん「Hapitas」経由で.



これから3月にかけて,こうした細々とした手続きが増えて行くのだろう.
進学ゆえに自立というわけではないが,親離れ/子離れの第一歩感あり.

娘を家に送り届けて,お次は整形外科へ.

14時過ぎに受付し,その後待つこと3時間!
経過順調.仮骨の影が濃くなってきた.
次は2週間後で良いとのこと.
これまた日常生活にまた一歩近づいた.
もちろんKazchariにとっての日常とは「チャリの外乗り」
プロトコル上は3/2で12週経過なので,スポーツが解禁される予定.

さて,例によって診察時間そのものは3分もないが,特に不満があるわけではない.
日本の医療費は安すぎるのだ.
ゆえにちょっとしたことで患者が来院する.

今回も待合にいる際,高齢男性が「足がむくんだので診てほしい」と受付へ.
「それは整形ではなく内科へ行って下さい」とスタッフが説明するものの,しばらくゴネる.

他にも「さっきは1時間待ちと言ったくせに,なんでこんなに時間がかかるんだ!」とキレるじーさんとか.
そんなに元気やったら病院に来るなっつーの.

いやはや,日本社会の縮図やな.他山の石としたい.

夜はZwift.
先週までの3本ローラーと違って,距離は稼げないが標高は稼げる.
この2ヶ月ほどの強制休息でヒルクライム能力,どうなったかなぁ...
こればっかりはリアル登攀しないとわからん.

さて,翌11日は紀元節こと建国記念日.
祝日の中で規定理由が最もあいまいな日.
一応,神武天皇の即位日とされているが,ほぼ伝説上の人物やしなぁ.
まぁ,休みは休み.

神武天皇が即位したのは、本当に「2月11日」なのか? 最初は別の日だった「紀元節」が、1年で変更された謎の経緯。

午前中はラグビー関連イベントに参加する息子の送迎.
無事に送り届けた後...さぁ,どうする?

鎖骨バンドが取れて以来,3回目の「サ活」にしませう.そうしませう.
つーことで,いつものスーパー銭湯へ.
10時の開店前に到着したので,駐車場にてしばし待機.
まさか,休日に開店前の銭湯に並びをいれる日がやってくるとは...まるで隠居生活.

開店.
すでに結構な人出.みんなヒマなのか?(オマエモナー)

カラダを清めた後,サ室へ.
サウナinサウナが有名な場所だが,行くのは高温室の最上段席.無事get.

ここでも昨日に引き続いて老害じーさんが.
知り合いとみればやたら声をかけるじーさんが,ずっと大声で話している.
内容丸聞こえ.
延々と健康の話.
もしくは「自分の考え方がいかに正しいかを同意してもらおう」的会話ばかり.
新コロ禍だったら,誰かが注意してモメてたかもしれん.

まぁ,こうやって,老害じーさん達の悪口をツラツラ書いているKazchariも老害一派かもしれんけど.
とりあえず,人を以て鑑と為そう.

メンターになる人、老害になる人。

家族で映画体験~『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

2025/2/8 Sat

Your future is whatever you make it, so make it a good one.

Kazchariは映画が好きである.

きっかけはもちろんテレビ放送.
昔はほぼ毎日,各局で放送があった.
荻昌弘,水野晴郎,淀川長治など,名調子の解説陣が懐かしい(年がバレる).
ただし,ネタバレ大王こと〇村淳,テメーはダメだ.

10代の頃,実家のテレビはブラウン管で,サイズもせいぜい20インチほどでモノラル音声.吹き替えかつCMがガシガシ入る.
周囲では家族の生活音が聞こえ,黒電話もテレビの横にあったりする.
そして...長い映画はカットされる.

かように,今と比べると酷い鑑賞空間なのだが,名画『ニュー・シネマ・パラダイス』は妹の部屋のタンスの上に置いてあった14インチテレビが初見.”それでも”大いに感動した.

こうしたテレビ放送の何が良いって,事前に全く知識や興味なく,たまたま観た映画がとんでもない名作だったりすること.
文字通り自分の世界が広がっていく感覚がする.あぁ,刻が見える...

エコーチャンバーのごとく,好きなモノだけを選んでいると己の好みが固まってしまう.思いがけない新発見.人生にはトキメキが欲しい.
特に深夜枠は,様々な意味でケシカラン映画が多くて...けほんけほん.

もちろん劇場での鑑賞も欠かせない.
「東映まんが祭り」から始まって,劇場版『ヤマト』を経由し,『ガンダム』では徹夜並びを経験.
大学時代の『ロボコップ』のオールナイトが懐かしい.4周くらい観た(寝た)

そして,レンタルビデオ時代へ.
過去に見逃した古今東西の名作をクリア.

今ではレンタルが配信に代わり,ここぞという作品では劇場に赴く.

映画は総合芸術であり,傑作,駄作とも人生を豊かにしてくれる最高の素材であることに,異論を唱える者はいないであろう(※個人の感想です)

ヨメさんも映画好きなせいか,双方のDNAを受け継ぐうちの子供らも結構観ている方なのでは?
ただし,どうも作品に偏りがあるようで,アニメや邦画コメディなど,ライトなモノがほとんど(それが普通)
ホラーまで観ろとは言わんが,もう少し深みのある作品にも接してほしいと考えている.

まぁ,古くからの友人であるカジポンの,息子に対する映画英才教育は...少々アレだが(他意はない).

文芸ジャンキー・パラダイス

そんな中,2/7の「金曜ロードショー」にて,久々に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が放送された.

バック・トゥ・ザ・フューチャー (字幕版)

もちろんネットでも配信されているが,今回,新声優(宮野&山寺)による吹き替えということでリアタイ視聴することに...というのは実は建前.
Kazchariの子供時代と同じ様な体験をさせてみたい,が理由.

リビングで家族4人が揃って,同じ番組を観る状況がレアとなっている昨今,Kazchari(父親)が珍しく猛プッシュするので,娘,息子とも9時前にテレビの前に(しぶしぶ?)座った.

で,その『BTTF』(こんな略し方最近知った)である.
おそらく,世界各国で好きな映画アンケートを取れば,間違いなくトップ10に食い込むであろう映画史上に残る大傑作である.

公開は1985年.確か映画館で見たな.
その後も何度も視聴している.
観る度に小ネタに気付き感心する,ホンマ楽しい映画だ.

多元宇宙論(マルチバース)がまだマイナーな時代.
タイムパラドクスについては,とりあえず無視.

ただし,冒頭の「全ての時計が25分遅れ」の意味がわからん.
駐車場でアインシュタインを1分の未来に送る実験の前に,ドクは一週間どこかに行っていた?

今回の新発見.
お母さん役の方の演技がエロ...ではなくマジで上手い.
Kazchariも昔は「なぜ偶然会ったばかりで,しかも父親が跳ねただけ(!)の男の子に,そこまで惹かれるのか」がさっぱりだったが,今なら理由がなんとなくわかる.

そう,うちのヨメさんと息子との関係を日々見ているからだ.
仲が良すぎて,毎日毎日懲りずに口喧嘩している.
なのに,この映画の間は二人してベッド上,布団にくるまりながら鑑賞している.
全ての親子関係に当てはまるわけではないと思うが,まことしやかに流れる「母親にとって息子は理想の恋人」論を具現化している.
アメリカでもそうなのだろうか?

そういやこんな図式の映画は他にも...そう,『さびしんぼう』や!

さびしんぼう

奇しくもこの映画の上映年も1985年で『BTTF』と同じ.
スゴい偶然である.シンクロニシティ?

Kazchariはこの『さびしんぼう』にも思い入れがある.
ノスタルジック映画の金字塔,尾道三部作としての完成度も高いが,特にテーマ曲であるショパンの練習曲第3番,いわゆる「別れの曲」は初めて好きになったクラシック音楽.

ショパン・アルバム

今では膨大な数となってしまったCDコレクションの最初の一枚が,この『ホロヴィッツ・ショパンアルバム』だった.

で,興奮必至のクライマックスの落雷シーンを経て,空飛ぶデロリアンを見送った後,息子に「どこのシーンが一番良かった?」と尋ねる.

「うーんとね,映画の最初でスピーカーの爆音で吹っ飛ぶところ!」

そこ!?

さて,有名な話だが,続編である『BTTF』の「Ⅱ」「Ⅲ」は,「Ⅰ」の予想だにしなかった大ヒットを受けて,後付けで設定をこねくり回して作られた.
決して面白くないわけではないが,「Ⅰ」の完璧過ぎる脚本の前では見劣りする.まぁ「Ⅱ」も観るけど.

それにしても,4K有機液晶だと,80年代映画も異常に画質がキレイ.まるで別物.
ブラウン管時代のレトロなざらざら画面も味があるがっつーかそっちが脳内で再生されてしまう.

さて,我が子らよ,今回の映画体験はどうだったかな?
昔の映画も捨てたもんとちゃうやろ.いや,むしろ最近の...(以下,略)
ともかく,この勢いで,人類の財産たる名作を見まくるのだ!

...翌日の夜,『翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~』のテレビ放送を大笑いしながら観ているヨメ,娘,息子がいた.

翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~ 通常版 [Blu-ray]

いやぁ,映画って本当に素晴らしいですね.サイナラ,サイナラ

『ハプニング』を観た~植物の逆襲

2025/2/7 Fri

As you sow, so you reap.

3本ローラーの友として選んだ昨夜の映画は...M・ナイト・シャマラン監督の『ハプニング』(2008)である.

ハプニング (字幕版)

シャマランと言えば,大傑作『シックス・センス』(1999)が有名.
公開時には劇場で鑑賞した.

シックス・センス (字幕版)

映画冒頭で,主演のブルース・ウィリスによる「この映画にはある秘密があります。まだ映画を見ていない人には、決して話さないで下さい」というキャプションが表示される.

こんなん言われたら,勘ぐりながら鑑賞するやん.おかげで途中で「もしかして」と気づく人が多かった.
その有名なネタはともかく,スプラッタではない心理的な恐怖演出や画がなかなか良い.ちょいジャパニーズ・ホラー風味.
そして,この作品の公開後「実は〇〇〇でした」系の映画がしばらく続いた気がする.

で,この大ヒットにより,一気にメジャーにのし上がったシャマラン監督.
頻繁に新作を公開するが...なぜだか,Kazchariは全然観ていない.

賛否両論が多く,ストーリーのさわりを聞いても「不条理かつ超常現象的なナニカが起こり,よくわからんような解決策が示されて終了」というイメージが邪魔をして劇場に足を運ぶに至らなかった.

そういや,少し前に配信で『オールド』観たな.

オールド

うん.確かにイメージのまんまの展開だった.

それはさておき『ハプニング』に話を戻す.
ネタバレ...っつーか,これってミステリのようでミステリではない.
劇中で明言されたわけではないが犯人(原因)は植物なのだ.

以下,あらすじ.
古い映画だが一応ネタバレ注意.

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ニューヨークのセントラルパークから,それは始まった.
突如,人々の動きが停止または後ろ歩きをするようになり,ヘアアクセサリで自分の首を刺したり,ビルから飛び降りたり,拳銃で頭を撃ったりと何らかの方法で次々に自タヒを決行する.
この異常現象は米国北東部から始まり,徐々に拡大.

主人公のエリオットは,妻と友人,その娘の4人で避難する.
ただし友人とは途中で別れる.
友人は娘をエリオットに託し,自分の妻がいる別の町へ向かうが,案の定,ナニカに感染して自タヒしてしまう.

エリオットは途中,米兵他,他の町から逃げて来た人々と合流.
クルマを捨てて西へ逃げるが,種子販売業者の言葉や状況から分析し,どうやら植物が突如何らかの有害化学物質を散布し,それを吸った人は自己破滅願望に歯止めがかからず自タヒしてしまうと推測.
さらに,数が多いほど,植物は敵意を感じるらしく,それを避けるべく少人数(5人ほど)での移動を提案する.

途中で知り合った学生2名と計5人で避難し,民家数軒にたどりつく.
それぞれが象徴的.

一軒目は全てが作り物のモデルハウス.大勢の人がやってきて”感染”⇒自タヒ.
二軒目は立てこもる住民の家.無理に押し入ろうとした学生2名が射殺されてしまう.
三軒目は電気も通ってない田舎の一軒家.一人暮らしの老婆が住んでおり,口は悪いものの食事と部屋を提供される.

最後の老婆が曲者で,かなりボケてます.
翌朝,エリオットの姿を見ると激高して家の外へ.
突如”感染”し,窓ガラスに頭をつっこんで自タヒ.

妻と友人の娘の姿を探すエリオット.
伝声管がつながる離れにいることがわかる.
だが今は感染の可能性があるので,互いに外に出て合流できない.

タヒを覚悟したエリオットと妻,友人の娘は,過去のちょっとした浮気(?)の懺悔をし,どうせタヒぬならと最後は一緒にと,思い切って外に出る.
抱き合う二人だが何も起きない.いつのまにかこの厄災は終了していたのだ.

数カ月後,和解したエリオット夫妻.妊娠が発覚し喜ぶ二人だが,アメリカでは再び厄災が再開しようとしていた...

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ちょっと異質なパニック映画.
まぁ,いわゆるシャマラン構文.

自然災害が原因のパニック映画の場合,主人公一人の力でどうにかなることは,まずない.
家族など身の回りの人間だけを救うのが精一杯.
物語終盤では災害・厄災が収束し,さぁこれから復興だ!というプロットで終了することが多い.
『ハプニング』はバッドエンドだけど.

こういう映画って表層のストーリーを追うだけではなく,何を象徴しているのかの視点で考える必要がある.
やはり3軒の家がキーなのか?

モデルハウス ⇒ 虚構
銃の家    ⇒ 恐怖
ババアの家  ⇒ 狂気

タヒに至る要因? イメージ? 現代社会への風刺?
何か違うなぁ.わからん.

パニック物にしてはめずらしく,この映画では人間同士争わない.
ゆえに極限状態における「人間って醜い」「一番怖いのは人間」というありがちな場面はない.

むしろ,主人公の二人は,この大規模な厄災中も,過去のちょっとした行き違いについて,悶々と悩んでいる.
人類が滅ぶかどうかの瀬戸際でも,人の悩みは個人的な人間関係に尽きるということか.

実はベタなエコロジー物で「植物との共生関係を考えなおせ」がテーマだったりして.
もちろん,植物=異文化のメタファで,今の多様性社会を先取りしていたのか.

食べる・食べられるだけの関係ではない! 多種多様な方法で連鎖する「自然のネットワーク」の神秘

まぁ,色々解釈できるプロットはともかく,画作りそのものは結構好みである.

自然なヒトの画角というか,遠景から,極自然に何事もなかったかのように自決するヒトを眺めている場面が多い.
オーバーアクションではなく,淡々とした自タヒの演出は,独特の不気味さがある.

この映画の公開から十数年後,世界中が謎のウイルスに覆われ,人の意識や行動様式が根本的に変化する厄災が実際に起こってしまう.
そう,少し予知的な作品でもあるのだ.