2025/1/15 Wed
今はもうない
美瑛をホームライドエリアとするKazchariにとって,衝撃のニュースが飛び込んできた.
人気のシラカバ並木を伐採へ 観光客密集し通行に支障 オーバーツーリズムが問題 北海道美瑛町
このシラカバ並木自体には名称はなく,「セブンスターの木の隣」と呼ばれてたりする.
美瑛の丘をチャリ,またはオートバイで通過する際にはかなりの頻度で立ち寄っている.
これまで写真もずいぶん撮ったなぁ.何しろ画になる.
確かに新コロ前後の混み具合はすごかったが,近くに広めの駐車場もあるし,「クリスマスツリーの木」に比べればはるかにマシ.
記事には「日陰のせいで農作物に影響が」とかあるけど,それほど密集して生えているわけではない.
やはり観光客の畑への無断立ち入りが第一要因やろな.
農作物に害をもたらす細菌の侵入は農家にとっては命取り.
実際SNSには,季節関係なく周辺の畑に大量の足跡が残されている写真がアップされている.
そして,何より驚いたのは,この記事がアップされた翌日には,本当に伐採されてしまったこと.
超スピーディ.つまり,かなり前からの決定事項だったのだろう.
ネット上では「残念」もしくは「オーバーツーリズムめぇ」という怨嗟の声が渦巻いている.
「美しい風景の消失」というセンチメンタリズムはともかく,冷静に考えると,この並木に限らず,美瑛の丘そのものが自然の産物ではなく人工的に作られたものなのは確か.
原野だった場所を,入植された方々が苦労しながら切り開いた.
歴史をさかのぼると江戸時代から開拓がはじまっていたとのこと.
連なる山々を背景に,丘陵に沿った畑の四季それぞれの表情を美しいと感じるのは余所者,部外者だけか.
件のシラカバ並木も後から植えたか,周りの木を切ってできた機能前提な風景だろう(防風?).
要は,今回の伐採は自然破壊でも何でもない.
個人が自分の庭の手入れをしただけ,とも言える.
「景観ガー」と,周りがとやかく言うのはお門違いかもしれない.
2016年にも,同じく観光名所だった「哲学の木」が伐採されている.
既に老木だったらしいが,最終的には地主の方が観光客に業を煮やしての決断だったようだ.
以前,美瑛某所で働いていた知人の話によると,どうもお役所と農家のみなさんの仲はあまりよくないらしく,観光政策に対する意見がチグハグだそうな.
いずれにせよ,未来永劫,あの風景がなくなってしまったのは事実.
そして,シラカバ並木がなくなったところで,美瑛を訪れるインバウンド客が減ることはないだろう.日本,絶賛バーゲン中やしな.
見たいモノ,場所があるなら,行きたくなるのが人間.
好奇心は発展の原動力.
(マナーはともかく)合法なのだ.旅行者に文句言っても仕方がない.
受け入れ側の工夫が先手.
Kazchariがこれまで訪れた外国では,たとえ途上国であれ,ダイビングエリアにしても,その他の国立公園にしても,日本よりもかなり”管理”されていた気がする.
ガイド,事前レクチャー必須とか,期間限定とか,もちろん入場料を徴収するとか.
日本でこうした“管理”をきちんとやれている所は極わずか.
昨年あたり,富士山がようやく入山料を取るようになったっけ?
日本社会は性善説前提で成立している.
裕福だった頃の日本は,社会的ステータスの高い,ごく少数にしか外国からの旅先として認知されていなかった.
現地にて「日本に行きたいけど,高いんだろ?」とよく質問されたものだ.
時代は変わり,日本社会全体に余裕がなくなった.
損していることに耐えられない=プロスペクト理論が発動し,明らかに観光客=他者のふるまいに対する視線が厳しくなっている.
良くも悪くもホワイト社会は監視社会と紙一重.
さぁ,どちらを選ぶ?