お試しのDisney+1ヶ月~継続する?

2022/10/19 Wed

時間泥棒.

「1ヶ月¥200!」のお試しキャンペーンにつられて加入した「Disney+」
その契約がもうすぐ終わる.

そもそもなぜ加入したのかというと「Disney+独占配信!」ってのがめっちゃ多いため.特にマーベルスター・ウォーズ関連やね.

継続するか否か?  結論から言うと一旦解約.
サブスクは厳選しないとキリがない.

映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~ (光文社新書)

とりあえずこの一ヶ月の間に観たコンテンツの紹介.

※ ネタバレ注意

【マンダロリアン】

巷で大評判のこいつが観たくて加入したようなもの.
全話視聴済み.文句なしの大傑作.

秋分の雨とDisney+で『マンダロリアン』

もう主人公がカッコ良すぎる.
作中,素顔を晒したのはわずかに2回(たぶん).
ハードボイルド&ロードムービーはこうあるべしの手本.

ここぞというところでグローグーの活躍が期待外れなのも面白い.
最終話,ルーク登場からの無双シーンは鳥肌.

【ボバ・フェット】

一応「マンダロリアン」の続編.
前半は,Epi.Ⅵで死んだはずのボバが如何にして生き延びたか.
どこかの田舎の大名(?)になるまでの抗争と,砂漠の民との思い出シーンが交互に繰り返される.
正直退屈.

ただし後半でガラリとストーリー...というか主役が変わってしまう.

そう,マンダロリアン(マンド)の登場である.
それどころか,グルーグー,ルーク,アソーカまで出てくるのだ.
まるで『ガンダム種死』並の主役交代劇.
もちろん,後半の方が数倍面白い.

【オビ=ワン・ケノービ】

話が退屈過ぎて途中で挫折.
面白くなるの? これ?

【プレデター ザ・プレイ】

これまた高評価作品だったが,Kazchariには微妙.
まず時間配分に問題.
前半パートが退屈.
早くプレデターと戦え!
では,その肝心のクライマックスは...えっ? そんなんでいいの?

ある薬草(血止め用)を食べると血流が遅くなってプレデターのセンサーに認識されない(?)謎設定.
食べた本人も動けなくなるのでは?

戦闘シーンも,もっとネイティブ・アメリカンならではの攻略法はなかったのだろうか?
知恵と勇気と工夫というよりも,パワー勝負の域を出ない.

【スターウォーズ:クローン・ウォーズ】

ディズニーに買収される前のルーカス・フィルム作品.
そうか,クローンとの戦いでなく,クローンが活躍する短編集だったのねん.

もし実写で作っていれば恐ろしいくらいの予算がかかりそう(だからアニメ).
過去と続編をつなぐ小ネタが面白い.
デフォルメの効いたキャラデザインも元々の俳優さんにスゴク似ている.

ただし...展開が少々ワンパターン.

誰かが逃げる(か捕まる)⇒助けに行く⇒軽口で戦うジェダイ⇒救出⇒グリーパス将軍もしくはドゥークー伯爵は逃走.

結局,最終話まで観れなかったが「もういいや」となった.

【ターミネーター:ニューフェイト】

ターミネーター:ニュー・フェイト

駄作というより蛇足.
若いT-800とジョン・コナーなど,映像技術は目を瞠るものがあるが,ただそれだけ.
メカであるはずのシュワの老化と感情機能誕生には違和感しかない.ここも若いままにしておけば良かったのに.

ストーリー,キャラ設定がびっくりするくらい「1」「2」と同じ.
未来からの刺客は永遠に送られ続けるのだろうか? キリがない.

もう普通のタイムリープものでは,観衆は納得しない.
時代はマルチバースなのだ(それすら食傷気味になりつつある).

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を観た~そう来たか!

一か所だけ爆笑できたのが,シュワのアジトでヒロインからの「どうしてこんなに武器を用意しているの?」という問に(対ターミネーターだけでなく)「ここはテキサス州だ」と答えるシーン.

【ソー・ラブ&サンダー】

ソー:ラブ&サンダー 4K UHD MovieNEX

MCU作品としては,これの前作にあたる『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を鑑賞済み.

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を観た~そろそろ潮時

同じくMCUフェーズ4だが,特に今作とのつながりはない.
『MOM』を観て,もうMCUを追いかけるのはやめようと決めていたが,「ソーのキャラは好きだしぃ,予告だと作風をガラリと変えてきてるしぃ,どうせサブスクだしぃ」ということで鑑賞.

結論 ⇒ 劇場で観なくて良かった.
ナタリー・ポートマン,よく出たな.
ギャグとシリアスでどっちつかず.

ラスト.ぽっと出の「ラブ」役の子供,どう感情移入しろと?

【ローガン】

LOGAN/ローガン

これまた長期間続く「X-MEN」シリーズの主役キャラ.
その最後を描く作品.

本編のみならず,人気キャラのウルヴァリンはスピンオフ作品が多数作られているが,どれもこれもイマイチ.
この最終作品のみは,割りと評判高めだったと記憶していたが,これまで未視聴.

「Disney+」にラインナップされていたので視聴する.

感想は...うん.イマイチ.

展開がご都合的すぎる.
- ローガンの言動にずっとイライラさせられっぱなし.確かに本編でもイライラキャラだったが,今回はそれに老害がくっついている印象.
- ずっと咳き込み,足を引きずっている.
- 明らかに超能力で追跡されているのに,ベントン先生(懐かしい!)の家にお邪魔する危機感のなさ.結果ベントン家全滅で胸糞.
- 道路でぶっ倒れたローガンをクルマに乗せたのは誰? ローラには無理.
- ローラ役の女の子,あまりにも残虐な役のためか,この後の出演映画が心配.売れたのか?
-「国境を越えたら安全」の意味がわからん.それくらいで諦める組織なのか?

いずれにせよ,ローガン,チャールズとも,びっくりするくらいあっさりと死ぬ.ようするにカタルシスがない.
強敵(自分のクローン)と相打ちとか,愛情は芽生えたローラを守って...ではない.

ようするに,かつてのヒーローの老年期の活躍を描いた『スペース・カウボーイ』『トップガン・マーヴェリック』とは逆方法のアプローチ.

あれ? どこかで老害元ヒーローの映画観たぞ...あっ『スターウォーズEpiⅧ:最後のジェダイ』や!

こんなん見せられて,何に共感しろと?

つーことで,1ヶ月でこれだけ視聴.
『マンダロリアン』だけで¥200の価値以上.

そうそう即日配信してくれる『水星の魔女』はありがたいな.
Amaだと5日後やし.

Disney+は『マンダロリアン』の第3シーズンが開始されたら再加入かな.

それにしてもサブスクは恐ろしい.
まさに時間泥棒.

現在Kazchariが加入中のサブスクは以下の通り.

『Amazon Prime』

『kindle unlimited』

『Zwift』

『Apple Music』(UQモバイルユーザー6ヶ月無料プラン)

最後のAppleは無料期間が終わったら解約の予定.
Amaに比べるとインターフェイスが分かりづらい.

あっ,一番金を払っているサブスク,NHKを忘れてた!

色々言われているけど,大河と朝ドラの2枚看板,『鎌倉殿の13人』『舞い上がれ!』はめちゃくちゃ面白いですね.
払っている価値は...あるかな.

秋分の雨とDisney+で『マンダロリアン』

2022/9/23 Fri

あちこち大変.

秋分の日は,台風の影響で日本全国ほぼ雨模様.
ここ北海道道北も例外ではなく,朝から結構降っている.

そんな中,もしかしたら参加していたかもしれない自転車イベントが2つ.

1つは3年ぶり開催の第13回丘のまちびえいセンチュリーライド

2010年の第1回大会に参加したのが良い思い出.
60kmと100kmの2日間に分けて美瑛の丘を走りまわった.

もう初日から辛かった.
10月開催で寒い上に獲得標高もたいがい...まぁ当時は初心者レベル.
全然脚がなかった.

この大会には,その後も7,8年連続して参加.
当初はボトル,ライト,サコッシュなどの景品が良かったけど,徐々にしょぼく...おっとここまでだ.

「びえい」だけでなく「そらち」「中札内」などの道内グルメフォンドに出まくった後,脚力の上がったKazchariは,よりハードさを求めて「ブルベ」という底なし沼に足を踏み入れてしまうのだった.

いやいやいや,今日の天候と気温では,80km一本とは言え「びえい」も相当ハード.
FacebookやSTRAVAでは阿鼻叫喚の声が溢れている(大げさ).
ご苦労様でした.

そして,それに輪をかけて地獄なのがBRM923霧立400kmだろう.

https://randonneurssapporo.net/2022brm923kiritachi400/より

スタートからゴール時間となるであろう明日の朝まで,ずっと雨...
正直,エントリしなくて良かった...っつーか,根性なしのKazchariはDNSしてたやろうな.前科もあるし.

もうすぐ300kmブルベ~BRM528きのこの山参戦とベルの話

家族に「ワシが参加してへんから雨が降ったんやぁ~ 今年は天気の神様に愛されてるからなぁ~」と言ったら,白い目でみられました.
すいません.みなさんの無事のゴールを祈っております.

さて,そんな雨の日.

当然,ライドやツーリングに出かけるわけもなく,午前中はインターネッツで連続ドラマ鑑賞.

うっかり「Disney+」の一ヶ月お試しプラン¥200に加入してしまい,以前より観たかったマンダロリアンにドハマリしております.

これがまぁ,もう面白いのなんのって...
なぜにこの雰囲気で,本編Ⅶ~Ⅸが作れなかったのか...
今からでも遅くない.『ターミネーター』みたいに”アレ”はなかったことにして作り直せ!

まだシーズン2の途中までしか観ていない『マンダロリアン』のざっくりとした感想(印象).
本編SW(特にⅣ)がクロサワ映画の影響を受けているのは有名な話だが,この『マンダロリアン』はより明確にオマージュ.

もろ『七人の侍』なエピソードもあるしな.

クロサワではないが,チビ・ヨーダ(?)を連れての一匹狼のロードムービーって,『子連れ狼』やん.もちろん西部劇要素もふんだんにある.

時系列的にはエピソードⅥ「ジェダイの帰還」で帝国が滅んだ後のストーリー.

「反乱軍が新政府を作った.これで平和,バンザ~イ」とはいかず,辺境の地はまだまだ無法地帯.
人々はそれぞれの正義や信念の元,日々を懸命に生きている.

外見はかの「ボバ・フェット」とよく似ている主人公(賞金稼ぎ).
この世界では,共通デザインのアーマーを装着した者は「マンダロリアン」と呼ばれており,銃や格闘などの腕前にみなが一目置いている.

ストーリーが進むにつれ「マンダロリアン」は種族の名前ではなく,「ある教義を信じる者」であることが明らかになる.

主人公はその敬虔な信者.
かつて孤児になった時に助けられた恩義を忘れない.

それゆえのクソ真面目さが面白い.
最初は割りと不殺を貫いていたけど,チビ・ヨーダがからむと...怖い怖い.

主人公は決してマスクを取らない.
教義にて人前で素顔を晒してはならないとあるらしい.
今のところ,マスクを取ったのはケガの治療のための一度のみ.
役者さんも演技が大変やと思うけど,首の傾け方や”間”による感情表現が実に上手い.

この主人公の雰囲気はどこかで...と思ったら『ゴブリンスレーヤー』っぽいなぁ.

いや違う.

我らがキリコ・キュービーではないか!(変なポエムはつぶやかんけど).
無口で余計なことを言わない ⇒ かっちょええ...

外国ドラマにありがちな,ひきにひいて次のエピソードへ!という展開もなく,基本的に1話完結.無茶なドンデン返しや裏切りも,低レベルなギャグもない.
淡々と確実に話が進む.それがいい.

エンディングに差し込まれるイメージボードも素晴らしい.
そうそう,『スター・ウォーズ』はやっぱりこれっしょ!

つーことで『マンダロリアン』超おすすめです!
このクオリティを¥200で堪能できるとは...良い時代だ.

観終わったら次は『オビワン』かな.こっちは地雷らしいけど.

『ククルス・ドアンの島』を観てきた~ふむ...

2022/6/10 Fri

ロボアニメのリアリティ.

『シン・ウルトラマン』『トップガン マーヴェリック』に続き,2022年おっさんホイホイ第3弾こと『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を劇場で観てきました.

思った以上にウルトラマン~『シン・ウルトラマン』を観た

『トップガン マーヴェリック』を観た~ニンジャぁ!

さぁ,これらに続く傑作となるか!?

https://www.youtube.com/watch?v=JNvnkkri_qM

以下,ネタバレです.

映画開始早々,テロップが流される.

「この映画は1979年放送のTV番組「機動戦士ガンダム」1stシーズン第15話の翻案です」

翻案の意味を調べると「既存の事柄の趣旨を生かして作りかえること。特に小説・戯曲などで、原作の筋や内容をもとに改作すること。また、そのもの。」(goo辞書より)とある.

まぁ,それはそれで間違いないのだが,この作品,TV版(もしくは劇場版3部作)だけ知っている人には脳内に疑問符がわきまくる作りだった.

少なくとも,安彦監督の『THE ORIGIN』を読んでおかないとわけがわからない.

フルカラー版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN(1) (角川コミックス・エース) Kindle版

どうしてスレッガーさんがいるのか?
どうしてジムが実戦配備済み?
ガンタンクは?
他,少しずつズレてる各キャラの性格や口調(セイラさんが顕著)など.

面白いことに『THE ORIGIN』では,このエピソードはスキップされている.
つまり原作があるようでないような不思議な立ち位置のエピソードである.
まぁ「MSが美麗なCGで動いてたらええやん!」勢にはどうでもええ話やけどな.

全体の絵の雰囲気は既にアニメ化された『THE ORIGIN』シリーズと共通(そらそうだ).

機動戦士ガンダム THE ORIGIN シャア・セイラ編

さて,オリジナルの『ククルス・ドアンの島』は第15話という1クール目が終わったばかり,つまりかなり前半の話なのだが,この映画の設定ではジャブロー戦は終了,ホワイトベースはオデッサ戦後に宇宙に上がる,その間の出来事となる.

TV版では本編の進行に直接関係のない13話『再会,母よ』,14話『時間よ,とまれ』に続く”箸休め回”だった.
本放送でも観たが,この3話は一話完結の異質回だった.
週一で見るとあまり気にならへんけどな.
ちなみに13,14話は名作だと思う.

さて『ククルス・ドアン』と言えば作画崩壊.
そして「唐突なストーリー」「細身で鼻のやたら長いザクが正拳突きで戦う」「ガンダムがザクを海に放り投げる」などなど,リアリティを放棄したカオスな内容.ただ,メカに比べキャラの作画はそれほど崩壊していなかった印象.

さてようやく本編の話.

結論から言うと,特別興行料金¥1,900は高いかな.

まず良かった点.

- 本編が始まるまでのワクワク感
- キャラの作画(好みわかれそう)
- ガンペリー

後は...うーんな点.
やはり元々20分程度の小編を2時間にするには無理のある展開.
引き伸ばし感が半端ない.

肝心のメカ作画も...うんCG.軽い.
ディテールがMGやRGと共通なのでガンプラ感が強烈(売れるのかな?).

元々,安彦氏の描くメカはロボというよりキャラクター.
『めぐりあい宇宙』の太っちょゲルググの作画とか,他にない独特の味があった.
本作でもヒートホークをよけてカエルジャンプするガンダムに,そういった人間臭さがやや見られるもの「あー,普通のメカバトルやな」という印象.
懐古厨と言われようが手書きセルの迫力(重さ)には到底かなわない.

戦争に嫌気が差したドアンは軍を脱走,(おそらく)戦争孤児を引き取って,この映画ではアフリカ沖,カナリア諸島の小島に住んでいる.このあたりの直接的な説明はない.
TV版では少数だった孤児が,本作品では20人ほどに増殖.

その子どもたちとアムロとの交流が描かれるのだが,人数が多い分,それぞれにセリフがある.
あくまで印象だが,まるで舞台劇のように一人がしゃべって次,一人がしゃべって次という感じでやたらにお行儀が良いのだ.
しかもやり取りがダラダラと長い上に,たいして面白くない(これは他のキャラのギャグシーンも同様).
特に心に訴えかけるセリフもない(何かあったっけ?).
トミノ節の電波セリフもない(同じ牧歌路線のターンAだとキャラのやり取りが楽しい).

極めて普通.

そして何より気になったのが食事シーン.
量と種類,多すぎません?

この島,まるで硫黄島のような火山島.
森や草原のない灰の堆積した不毛な大地.
一応ドアンの「灰を取り除けば肥沃な土が」的なセリフがあるが,現状,食卓があれほど豊かになるような耕作地はない.

こうしたリアリティラインの崩壊はもう一つ.

どうしてアムロが頭と左上腕に包帯を巻いているのかわからない.
最初の対ドアン戦では,ヘルメットしているし,パイロットスーツ着込んでるし.どこをどうしたら,ああいうケガすんのやろ?

何か,食事シーンやから,気絶した人やから,と何も考えてない様な演出が気になる.

細かい?
そうかもな.

いや,ファースト・ガンダムはリアリティが大事.

そう,この映画にはなんと「アムロがガンダムで敵兵を踏み潰す」という衝撃シーンがある.
もちろん,これまでもライフルやらサーベルでジオン兵を殺しまくってはいるが,生身の人間,しかも踏み潰すというのは前代未聞では?
”オレ達のミカ”でもここまでしてなかった(はず).

このシーンも,ガンダム再起動してからの怒涛の展開のままクライマックスに流れるなら,まだわかる.
だが...問題はそのシーンの後,コアブースターが着陸失敗してジムが翔んでクビが取れたり,ヤギが逃げてカイやハヤトと戯れるというギャグ描写が入るのだ.しかも,牧歌的な止め絵とBGM付きで...なんだこれ.

そして最後の「あなたの戦争の匂いを消させてください」(⇒ザクをポイ)のナゾ場面はそのまま採用.

そもそも,これでドアンの問題は解決したのだろうか?
まだ戦争が終わったわけではないし,今後もジオン,連邦とも,この島にやってくるのでは?(ミサイル発射施設残ってるし)
そもそもドアンは密命による残置兵だったのか,脱走兵だったのかどっちなのだろう?

そやけど,よく考えれば実はシャアよりアムロを追い込んでたりする,最強のオールドタイプ(?)ドアンでした.

つーことで『ククルス・ドアンの島』,繰り返しますが¥1,900は高かったです...

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を観た~そろそろ潮時

2022/6/4 Sat

三つ目がとおる.

マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)の最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(以下MOM)を劇場で観た.

https://www.youtube.com/watch?v=G7kglI7eTm4

公開初日の『ククルス・ドアンの島』(以下CD ← いらんやろ)とどちらにしようかと迷ったが,MOMがどう考えても先に上映終了っぽいので優先.

鑑賞後の感想は...色々な意味で微妙.

MCUは前作(?)の『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』(以下NWH)があまりに素晴らしかったので,その直接の続きとなるMOMに大いに期待していた.

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を観た~そう来たか!

ちなみに作中,NWHへの言及はストレンジのセリフ一言のみ.
別宇宙のピーターを救うとかなんとか...はなし.

Kazchariのいつものレビューだと,ネタバレ全開であらすじに考察や感想を加えていくスタイルだが,MOMはそんな気にならない.

ようするにあまり面白くなかった.

映像はさすがにスゴイが,もう慣れてしまった.

ただでさえ“魔法”という何でもありの能力に「マルチバース」をプラスしてしまったもんやから,何でもありを越えて,今起きている事象や悲劇に何の意味ももてなくなってしまった.

ストレンジとクリスティーンの関係もピーターとMJにそっくり.

昔のSF映画では名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ターミネーター』を始め,過去に戻って未来を変える(変わる)話が多かった.
当然,こうしたストーリーには常にタイムパラドックスの問題がつきまとっていたわけだが,量子力学をベースにしたマルチバースの考えはその問題を解決したとも言える.
つまり過去をいじった時点で,別の宇宙が生まれる...という設定やな.

結果,映画の作劇は縦方向だけでなく横方向(多次元)への広がりをみせた.
それを最大限に生かしたのが『スパイダーバース』『NWH』だった.両方とも大傑作.

スパイダーマン:スパイダーバース (吹替版)

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だが,このアイデアは一発勝負.さすがに同じネタが続くと...またか,という気分.
百歩譲って,NWHの続きやから仕方がないとしても,どうしても納得いかないのは,本作のヴィランである「スカーレット・ウィッチ」の行動原理を知るためには『Disney+』配信のドラマ,『ワンダヴィジョン』を観ておく必要があるとのこと.なんだそりゃ.

いや,だいたいは過去作の記憶やMOM内のやり取りで,それぞれのキャラがどういう立場なのかわかるんですよ.
それでも配信オンリーのサブスクドラマで予習・補填しろというのはいかがなものかと...

Kazchariはもちろん『Disney+』なんて契約していない.
『NETFLIX』もだ.
ようするに『Amazon Prime』のみ加入.安いし,配信以外のサービスもお得.

それにしても,こうした限定配信をからめた商法ってどうなんやろ?
アメリカで成功しているから,日本でも同様の手法を採用しているのだろうけど.

つーことで,このMOM鑑賞後の感想は...「そろそろ潮時かな」でした.
追いかけるのに疲れました.
正直,MCUは『エンドゲーム』で終わってても何の問題もない(号泣ヨメさんの意見).

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例えるなら,『赫奕たる異端』以降のボトムズシリーズみたいな感じになりつつある.

褒める人は”サム・ライミらしさ”を称賛しているようだが,Kazchariは元々ゴースト系ホラーはあまり好みではない.
骸骨みたいなボロをまとった半透明な悪霊が飛び出してきて「わっ!」と驚かせたりするヤツですね(偏見).
スタンドぐらい「オラオラ」と闘って欲しいものだ.

ところで,最後に出てきたパープルアイシャドウのシャーリーズ・セロンは何者? 『エターナル』(未鑑賞)の人?
...とググるのがもう面倒くさいので離脱します.

結局,シリーズを微に入り細に入り研究しまくっている人向けになりつつあるのがMCU映画.
以降の作品は,何かとんでもない変化がない限り,少なくとも劇場での視聴はヤーメた...いや『ラブ&サンダー』は面白そうだ(おい).

https://www.youtube.com/watch?v=uQjj3epsd2s

つーことで,一応最後に言い訳 ⇒ Kazchari個人の感想です.好きな人,すんまへん.

ジロ・デ・イタリア2022の感想

2022/6/2 Thu

世界で最も美しく,過酷なレース

https://news.jsports.co.jp/cycle/blog/kurimura/2021/11/32022.htmlより

5/29で全21ステージ終了した今年のジロ・デ・イタリア.
例によってJSPORTSオンデマンドを1ヶ月だけ契約.

全ステージ,スタート時からライブで鑑賞.
ゴール時間はだいたい深夜12時過ぎ.もちろん...時々楽車(寝落ち)
そして観きれなかった分は翌朝にクリアというルーティンを21日間(休息日もあるけどな).

よく言われるが,視聴する方もなかなか大変なのがグランツール.
時間も体力も削られてしまうのだ.
プラス今年は花粉症が辛かった(まだ継続中).

さて,2022年第105回大会の感想.
全力で走った選手の皆さんには申し訳ないが,一視聴者からすると,イマイチ盛り上がりに欠けた大会だった.

確かに19ステージまで,”マリア・ローザ”カラパスと2位のヒンドレーの差はわずか3秒.
ドラマチックなタイム差で,実際,20ステージの「BORA大作戦+カラパスバッドデイ」で,大逆転ドラマが生まれたのだが...

全世界配信◯グソで後世に語り継がれる2017年のデュムラン(大)

ここ10年のレースで最高峰.ライブで観ることの価値を知らしめた80km独走の2018年のフルーム.

初山の一人逃げやミケルアンヘルロペスの観客ドツキ事件など優勝者以外が目立った2019年のカラパス.

トンプガンナの爆走と最終ステージ・タイム差0の2020年のゲイガンハート.

ダニマルに鼓舞され必死の形相で走り,別のステージでは極寒の山岳を独走(しかも中継中断)した2021年のベルナル.

これらの激闘に比べると,2022年はやけにあっさりしてたなぁ.

その理由を考えてみる.

1)ユアン,ギルマイ,イエーツ,アルメイダ,ミケルアンヘル・ロペスなど有力どころが次々とリタイヤしていき,早いうちから優勝候補が絞られてしまった.

2)カラパスにマリアローザが移ってから,総合勢の消極的なレースが目立った.

3)コルク事件.

4)マチューのセオリー無視の走りは確かに最高だったが,その結果他チームの事前の作戦が成り立たなくなりグダグダ(想像).

5)天気が良すぎた.雨が降ったのは半日のみ.

6)雪が降り積もる一級山岳でのレース...が観たかった.

と,なんだかんだで不満も多いが,それでも放送終了後のロスもあった.
早速,YouTubeの「LIVE CYCLING」に総集編動画が続々とアップされている.
まずはMVPのマチュー!

iPadの映像を横目でチラチラ観ていた,うちのJKが「レースのことは全然わからんけど,イタリアの風景の中を,自転車が生き物のように走り抜ける構図は,ホンマ好き」とのこと.
ほほぉ,さすが写真を趣味にしているだけのことはあるな,我が娘よ.

後,あれやねJSPORTSの実況・解説陣のやり取りは相変わらず面白い.
フランスから本格リモート参戦の別府さんのコメントは新鮮だったし,辻啓さんの「ジェノバはどう見ても神戸三宮ですね」で大爆笑.

てなわけで,自転車動画を色々検索していると,意外なチャンネルがひっかかった.

宇多丸さんと言えば,ユニークな視点からの映画批評が真骨頂.
ナーメテーター映画という言葉は,この番組から誕生した.

一見自転車レースに無関係な宇多丸さん.近頃は「F1」から始まって,乗り物系に興味が出てきたらしい.
で,通な人をゲストに呼んでの,ロードレース入門解説回である.

「ウルトラ団体競技」「風景がキレイ」に関してはアグリーできる内容だが,レースについては「スプリントステージのゴール」が中心だったのは仕方がないか(サンキュータツオさんはサガンファンらしい).

もちろん最後には関連映画の紹介.

フランス製アニメの『ベルヴィル・ランデブー』が気になる.
いつか視聴したい.

さて,いずれにせよ...次は「ツール」だ!

『トップガン マーヴェリック』を観た~ニンジャぁ!

2022/5/27 Fri

はーいうえぃ・とう・ざ・でんじゃーぞーん.

”行く行かない音頭”をずっと踊っていた300kmブルベ「きのこの山」
「降るのか,降らんのかどっちや~」とヤキモキし続け,アプリごとに異なる天気予報を見比べるのにも疲れ...結局DNSすることにしました.

エントリーブルベ初のDNS...宿とか予約してたら行ってたけどな.

つーことで気を取り直して映画でも観に行って,夜は『ジロ』を楽しむか(シクシクシク36).

映画はもちろん,本日より公開の『トップガン マーヴェリック』だッ!

以下,ネタバレ.

オリジナルは1986年公開.
確か梅田の映画館で当時の彼女と一緒に観たなぁ.

トップガン (字幕版)

衝撃だった.

何がって?
もちろん,滑走路で戦闘機と並走するGPZ900ですよ!
ノーヘルでかっ飛ばすトム・クルーズが何しろカッコよかった.
そう,あの頃のKazchariはバリバリのバイカーだったのだ.

一方の主役たる「VF-1Jバルキリー」...ではなく「F-14トムキャット」
確かに美しい機体だが,肝心の戦闘シーンの迫力は今ひとつ(に感じた).
何か同じような構図が多くて飽きてしまったのだ.
当時の撮影技術の限界だとは思うけど.

とは言え,ディープヲタクの岡田斗司夫によると,斬新かつ画期的だったそうな.

そして待ちに待った『マーヴェリック』
本来は2019年の公開予定だったが,新コロのせいで延期に次ぐ延期.
そう,我々は3年待ったのだ.

今日は札幌前泊のつもりで午後から年休を取得.
昼からの4DX席を購入した.
シネプレックス旭川の金曜日は会員ディのため,¥2,100だった(安い).

座席は安定のC-7.
映画スタート.

最初に流れてくるのは,耳に馴染みのあるエレキのBGM.
映るのは空母の甲板.おいおいデジャヴか!?

そして...ダメ押しに『DANGER ZONE』が流れる.
やたらにカッコよい発進シークエンスと甲板作業員のジェスチャー.
何もかも懐かしい.だけど新鮮! 「最高」の言葉意外思いつかない!

なんだこのおっさん泣かせのオープニングは?

砂漠の真ん中にある倉庫で飛行機をいじるトム.
うん? 現役引退して隠居暮らしか?
と,思わせてからの~ あのGPZ,ニンジャぁ~!
どこまで泣かせんねん!

公開時のポスターで話題になった,革ジャンから日本国旗が消えている件(某国への配慮?).
安心してください.
しっかり日の丸写っています(公開国ごとに修正?).同盟国のまま.

向かうのは実験機「SR-72 Dark Star」の格納庫.
引退どころか,バリバリの現役パイロットだった.
(久しぶりに見た)エド・ハリスの「ドローン使うからもうパイロットいらね」方針に反旗を翻し,最高速チャレンジ.
新記録のマッハ10.2を達成したところで機体爆散.
もちろんトムは生きている.
もうこの辺りから,この映画の基本方針を理解した.
こいつは,おっさん向けのファンタジー映画だ.

さて,またしても命令違反のトムだが,司令官に出世したアイスマン(ヴァル・キルマー)のおかげで今回も命拾い.
古巣のトップガンの教官役に任命される.

ここで再びバイクシーン.
駆るのはなんと「Kawasaki Ninja H2」,ニンジャぁ~!

まだあった”例の”バーに行く.
そこで女主人(ジェニファー・コネリー)に会うのだが...誰?
さすがにケリー・マクギリス(62歳)は出せなかったか.

この女主人って,前作オマージュだらけの,この映画のために作られた役やな.たぶん.

そこへ登場するのが,トップガンを優秀な成績で卒業したエリート中のエリートパイロット.
難攻不落の某国のウラン貯蔵庫を爆破(爆撃)するために集められた12名である.
トムは彼らを鍛え,内6名を選出するための教官として呼ばれたのだった.

そのパイロット達の中に,グリーン先生...ではなく”グース”の息子”ルースター”がいた.
親父の死亡事故の件,および母(メグ・ライアン)に頼まれてトムが海軍への願書を破棄したことを恨んでいる.
まぁ,こうしたわだかまりはこのての映画あるある.
ちなみに前作の回想シーンがオリジナルのまま.みんな若い.

目玉のドッグファイトシーンはこれまたスゴイ.
4DXだとジェットコースター.
何でもコクピットにIMAXカメラを持ち込んで,さらに本物の俳優さんも乗り込んでの撮影だったそうな(吐きまくり...).
『MADMAX 怒りのデスロード』のように爆音上映会やらへんかな?

そらそうだ.
トムと言えばジャッキーチェンの意思を継ぎ(違う),なるべくノースタントで危険な撮影をするので有名.
出演者に”させない”理由がない.

典型的な俺様キャラの”ハングマン”(声が中村悠一)やら,ポリコレ準拠の黒人,女性,ラテン,アジア系を揃えたメンバー.
お約束のゴタゴタからの結束.いいですよ,この辺りはありがちでも.
そんな中,神業的な操縦技術で若者たちを圧倒するトム様.
それはさすがにやり過ぎでは...おっさんファンタジーだからおK.

撮影時,トムは57歳.
老けやすいと言われる西洋人にしては非常に若く見える(キアヌほどではないが).
この後,ビーチバレーならぬ「ビーチアメフト」シーンがあるのだが,しっかりと裸を披露.
やや重力に負けてはいるが,マッチョなボディを隠さない.
(さすがにその後のベットシーンは前作に比べるとあっさり)

それにしても,この爆破作戦.
何かとそっくりと思ったら,まるでエピソード4のデス・スター攻略戦.
レーザー誘導ミサイル,崖超え,ピンポイント目標,対第五世代戦闘機空中戦など完全なる無理ゲー.
フォースが使えないと死ぬ.

シミュレーションを繰り返すが,なかなか成功しない.
そんな中,トムを擁護し続けていた司令官アイスマンが死亡.
後ろ盾がなくなったトムは教官をクビになってしまう.

落ち込んだトムはジェニファーに泣きつく.
「諦めずにあなたのできることをやりなさい」的なことを言われ,取った手段は...

これまた命令違反で,デス・スター...ではなくウラン貯蔵庫爆破シミュレーションを最速タイムでクリア.
実力を見せつける.
これにはトムをクビにした上官も絶句.
教官に呼び戻す...どころか,なんと編隊長に任命!
そんなん,最初からトム様にしといたらええやん!(おっさんファンタジーやからおK...なのか?)

いよいよ,空母にて某国へ向け出撃.
甲板エレベーターの「F/A-18スーパーホーネット」とトム様の並びシルエットのかっちょええこと!

やはり目立っていた6名が選出され発進.
作戦通り,まずトマホーク攻撃で滑走路を破壊.
「ホーネット」4機もシミュレーション通り渓谷を抜け,トム様の導きで爆撃成功.

しかし,予測通りGに耐え,山の稜線を出たところから誘導ミサイルの総攻撃を受ける.
回避運動やチャフばらまきでミサイルをかわすが,ルースターがやばい!
トムはルースターをかばって被弾⇒墜落してしまう.

相手にするにはヤバすぎる「第五世代」敵機が迫ってくるため,誰もトムの救助には行けない.
空母からも帰還命令が出ている.

当然のごとく,脱出済みのトム様.
雪原で目を覚ます.
そこへ現れるザ・共産圏ヘリ,ハインド
絶体絶命のピンチだが,もちろんトム様に弾はあたらないッ!

「いよいよここまでか!」の瞬間,ルースターのホーネットがハインドを撃墜! まぁ,わかってたけどな.
ルースターのホーネットはミサイルで撃墜⇒脱出.
敵国の地上に取り残された二人.
さてどうする?

このまま敵の地上部隊との戦闘になったりすると,別の映画になってしまう(ミッション…)
そ,そうか,最初の方の作戦説明場面でわざわざ”アレ”の映像と話をしていたのは,このための伏線か!

もう,ここからは爆笑!
この映画のメインテーマである”おっさんファンタジー”全開である!

最重要ネタバレ!
トムがグースの息子とトムキャットに乗って戦うのだ!
まさか,こんな,ありえない胸熱展開が待っていようとは!

『トップガン』の続編制作の話を聞いた時,「まさかもうトムキャットは出さへんやろな.さすがに古すぎて最新戦闘機とのドッグファイトなんて成り立たへんでぇ」と思っていた時期がKazchariにもありました.
それを,こういう形でやってしまうとは! なんという神脚本!(ファンタジーやけどな)

もちろん,トムの神がかった操縦で「第五世代」敵機を2機撃破.
この時の,後方席に座るルースターとの会話が面白いっつーか,グースとの会話そっくり.

ようやく海上に抜けるものの,またしても敵機に遭遇.
ミサイルもバルカンもチャフも切れ,正真正銘の大ピンチ.

ここを救うのはもちろん,生意気キャラのハングマンだ!
彼が敵機を撃墜し,無事空母に帰還.
上官,甲板作業員,パイロットたちから称賛を受ける.
うん? これまたデジャブ.

場面は最初の砂漠の工場に戻る.
今度こそ引退?

ヨットの旅から帰ってきたジェニファーと,ポルシェの前でキス.
もう,完璧にポスター構図.
還暦手前のおっさんとは思えんかっこよさ(しつこい).

大満足のうちに映画終了.
びっくりするぐらい,前作とストーリー展開が同じだが,まとめると「『トム・クルーズ』および『トムキャット』というオールディーズが,若者や最新鋭機にケンカを売って勝ってしまう映画」

「リアル戦争中に不謹慎」だとか,「トムのありえない強さでリアリティが」とかの感想はどうでも良い.
これ以上ない,究極のおっさんファンタジー・ムービー.
超オススメです.できれば4DX推奨.

思った以上にウルトラマン~『シン・ウルトラマン』を観た

2022/5/14 Sat

始まって5秒でヤラれました.

完全におっさんホイホイ映画でした.

以下,ネタバレです.

ザラブと言えばニセウルトラマン(ツリ目ではありません).
メフィラスと言えば巨大フジ隊員(今回は長澤まさみ).
そして最後かつ最強の敵と言えば...ゼ~ット~ンピコピコピコ(限りなく使徒).

安心してください.全部出ます.

オープンニングの絵の具かき混ぜからの『シン・ゴジラ』が破れての『シン・ウルトラマン』

その次が第一禍威獣,ゴメス
マ,マンモスフラワー!? ペギラ!?
誰得? ヲタ得! オレ得!

そうネロンガが出てくるまでは,人間(禍特対+自衛隊)が単独でこいつらを倒していたのだ(時々作戦失敗).

電気を食うネロンガに手を焼く禍特対.このままでは選挙区がやばい.
そこへ降ってくる火の玉.
全身銀色,かつその顔はいわゆるシワ顔のAタイプ.

スペシウム光線の発射ポーズ.左手をゆっくりと回してくるそのタメがたまらん.

その戦闘の際,子供をかばって死んでしまう主人公のシンジ.
彼を救うため”ウルトラマン”は,シンジと融合し地球に残ることになる.
人間と融合したので,身体に赤いラインが入り,顔がB(C)タイプに変化したのだろうか?

禍特対に新人,”長澤まさみ”が赴任.
少々ぶっとんだキャラ.
やたら自分や他人のお尻を触る.
説明口調で禍特対のメンバー紹介をしてくれる(石坂浩二ばりの親切さ).
この辺り,めちゃめちゃテンポが良い.

禍威獣対策テント内の雰囲気は『シン・ゴジ』っぽいが,日常パートはとぼけたギャグ多め.
その世界観,つながっているようでつながっていない絶妙な調整.
そやな,『マン』『セブン』も全然雰囲気違うしな.そんな感じ.

次はガボラ戦.
さすがにエヴァのあのBGM”は流れない.
その代わり,オリジナルの『マン』のBGMがガンガン流れる(肝心の主題歌がなかったけど).

カラータイマーはないけど,「エネルギーそろそろやばい」は赤いラインが緑に変わることで表現している.
一気に弱そうに見える.

次はザラブ星人戦.
なぜか裏側がスカスカなデザイン.
透明というわけでなく,元々そういう生命体なのか.
かの有名な「戦闘中,マスクの硬いところを殴ってしまい,ガチで痛がるウルトラマン」まで再現するとは...誰得? ヲタ得! オレ得!

次はメフィラス星人戦.
この映画の諸悪の根源.
これまで襲ってきた禍威獣たちは,太古の昔,外星人がこっそり地球(なぜか日本)に仕込んでおいた生物兵器であり,それを起動させたのがメフィラス星人だったのだ.
進化した人類に「オーバーテクノロジー(ベータカプセル)を提供するから,自分を上位存在(神)にしろ」という,「地球あげます」以上にやっかいな要求.
それをあっさり飲んでしまう日本政府.あれ,現代社会の構図と...ゴホンゴホン.

あれ,この設定どこかで...おお,最初はめちゃめちゃ面白かったのに,クライマックスで大コケした『正解するカド』っぽいぞ.

正解するカド

さらに人類が巨人化して生体兵器って...おお樋口監督の黒歴史『進撃の巨人』っぽいぞ.

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

その企みを阻止すべく活躍する禍特対.
ウルトラマンとメフィラスの一騎打ちはオリジナル通りに引き分けとなる.

その理由が面白い.
メフィラスが光の星からの使者を見,その目的に気づいたから ⇒ 「この星は終わりだ.帰ろっと」 

さて,その使者であるが,ゾフィーではなく「ゾーフィ」
胸のブツブツがなかったので,最初は「新マン(ジャック)」かと思った.
「なんか,治安の悪い星で,下っ端の監視員が変なことしとるでぇ」と様子を見に来たらしい.

そしてゼットン戦.
東京の空に浮かぶゼットン.巨神兵か.

一番びっくりしたのは,このゼットンを起動させたのは「正義の味方」であるはずの,ゾーフィ...っつか光の星の総意.
オリジナル通り,ウルトラマンの全ての攻撃をバリアーで跳ね返す.
そして火球攻撃.
まるでガトランティスの彗星帝国のようだ.

敗北するウルトラマン.

諦めかける人類(の上級国民).
その窮地を救ったのはペンシル爆弾ではなく,人類の叡智.
イデのごとくクサっていた〇〇隊員(名前忘れた)が大活躍.
ベータカプセル二度押しで,ゼットンの一兆度の火球を異空間に飛ばせることが判明.

実行するのは”覚悟”したウルトラマン.
”他人のために自分の生命を捧げる”行為が自分にもできる...これは宇宙では非常識な考えなのだろうか?

0.01秒でゼットンをふっとばしたウルトラマン.
異空間に飲み込まれないように必死で抗うが,残念ながら力尽きる.

不思議時空でのゾーフィとの対話.
そしてあの名言.

「そんなに人間が好きになったのかウルトラマン」

いや,ここは泣けますよ.
今回のゾーフィは都合よく”生命”を何個も持ってきていない.
ハヤタ...ではなく,シンジに生命を残し,空っぽのウルトラマンを分離.

シンジが目覚めたところで映画は終わる.
うん? もしかすると目覚めたのはウルトラマンかも...

エンディング後のオマケ映像は...なかった.
キレイまとまっているので続編は不要やけどな.

ホメてばかりでは何なので,残念な点を述べると,「人間が好きになる」過程が足りなかったような気がする.
シンジとウルトラマンが融合してからの日常パートや他の禍威獣との戦いがもう少し欲しかったな.
新海カントクばりの,BGMを流しながらのダイジェスト映像でもいいので.
バルタンとかダダとかレッドキングとかガラモンはひょっとして「2」に残してるんかな?

最初に,おっさん(しかも50代以上の特撮マニア)向けと書いたけど,オリジナルを知らない人でも十分楽しめる映画だと思います.
近いうちにもう一回行こう.

そやけど,よくぞ,これほどの内容を2時間にまとめたもんだ.
樋口カントクカントクの特撮への愛があふれる映画でした.

『セブン・シスターズ』を観た~これはなかなか斬新

2022/4/21 Thu

ディストピアなおそ松さん.

Amazon Prime Videoの「もうじき配信終了になる作品」にラインナップされていた『セブン・シスターズ』(2017年 米英仏ベルギー)を観た.
全くノーチェックだったが,あらすじを読んで視聴決定.
こうしたディストピア作品はKazchari的にどストライクだ.

セブン・シスターズ(字幕版)

世界的な人口過多と飢饉による食糧不足から、厳格な一人っ子政策が敷かれた近未来。そこでは二人目以降の子供は児童分配局によって親から引き離され、枯渇した地球の資源が回復する日まで冷凍保存される。セットマン家の七つ子姉妹は、唯一の身寄りである祖父によって各曜日の名前を付けられ、それぞれ週1日ずつ外出して共通の人格を演じることで30歳まで生き延びてきた。しかしある夜、〈月曜〉が帰宅しなかったことで、姉妹の日常は狂い始める。〈月曜〉に何が起きたのか? 誰かが当局に密告したのか? 何者かの裏切りにより当局に命を狙われる身となった姉妹は、力と知恵を合わせて残酷な運命に抗おうとする―。

以下,ネタバレです.

あらすじに書かれている通り,この7つ子には英語のMondayからSundayまでの曜日が名前として付けられている.

あれ? この法則で名付けられた兄弟(姉妹)の話って,昔どこかで観たような...そうや!『てんとう虫の歌』やん!

OP,EDの映像を今観るとコンプラ的に不味いシーンが...

それはともかく,この映画,成功の可否は,主演のノオミ・パレスの演技力にかかっている.
顔がそっくりな7人をどう演じ分けるのか?
映画内では,服装や化粧,髪型などの外見および,その性格で個性をつけていた.ざっくりと整理すると...

Monday:黒幕.首相候補に不正献金.そして妹たちを亡き者にし,一人だけ“カレン”になろうとする.最後は銃殺.双子を妊娠していた(この子達は助かる).

Tuesday:茶髪.行方不明のMonday捜索中,分配局に捕まる.瞳認識キーのアジトに侵入するため片目をくりぬかれる.最期まで生存.

Wednesday:黒髪パーマの肉体派.常にサンドバッグを叩き,身体を鍛えている.指紋認証の銃を使うために,とっさに死体の指を切断して自分の指に固定するなど,判断力もある.分配局と追いかけ合いバトルの末,最終的に額を撃ち抜かれ転落死.

Thursday:リーダー.短髪黒髪.子供時代,アジトをこっそり抜け出してスケボー.その際,左人差し指先端を失う.バレないための連帯責任で他の6人も指を切断することに...ノオミ・ラパスの出世作『ミレニアム ドラゴンタトゥーの女』(スウェーデン版の方)のリズベットに雰囲気が似ている.

ミレニアム ドラゴンタトゥーの女(字幕版)

Friday:わかりやすいメガネっ娘.コッピュータヲタク.アクション映画における”椅子の人”役.アジトに踏み込んできた特殊部隊を爆殺するが,本人も焼死.

Saturday:ブロンド・ボブ.そしてツンデレ.Mondayがジェリーの恋人であることを突き止めるも,当局に踏み込まれて射殺.ただし,ジェリーのリングを経由して分配局ホストコンピュータへリンクさせるなど大活躍.死ぬ前に◯◯が体験できたし,一番かっこいい役かも.

Sunday:黒髪ロング.地味.アジト襲撃時に殺害される.活躍が少ない上,外見がMondayと紛らわしい.

つーことで,(月曜と日曜を除き)『おそ松さん』か!というぐらい個性的.

実際の多胎児も小さい頃は全く同じ外見でも,その後の環境や経験によって,微妙に違いが出てくるはず.
Kazchariの知っている双子姉妹は,互いに反発しているのか,片方がロング,片方がショートヘアにしていた.

それぞれの”カレン”が週一で仕事に出る時,妙に厚塗り化粧なのは,個性を消すためという設定だったのだろうか?

それにしてもノオミ・パレスの演技が素晴らしい.
役者冥利に尽きる仕事かも.
もちろん,複数人が同じ画面に映る際は,合成やスタントダブルを使っているのだが全く違和感なし.このあたりは最近の映画だ.
ただ,撮影時の手間がいかに壮絶だったかは想像がつく.

ストーリーに関して.

原題は『What Happened to Monday』
最期まで観ると,このタイトルがネタバレなのがわかる.
また,一人ずつ外の生活を始める際の最初の一人がThursdayなのだ.
そして最終的には,この2人のバトルで決着がつく.

それにしても...最初は首絞めプレイ好きのヘンタイかと思ったMondayの彼氏ジェリー.
実はいい人だった.
Thursdayに説得され,すぐに仲間になるのは少々唐突過ぎるけど.
まぁ彼に関して一番納得出来ないのは,やはりSaturdayとの◯◯.
さすがに別人とわかりそうなものだが.
その鈍感さは『キャッツ・アイ』の俊夫といい勝負.

また,グレン・クローズとウィレム・デフォーの顔がなぜか似ていると思ったのはKazchariだけ?
実はグレンはデフォーの妹で,7人娘とはおば,めいの関係にあるのかと思った.

ラストシーンの余韻が,カルトSFの名作『リベリオン』っぽい

リベリオン-反逆者- [Blu-ray]

双方とも,根本的な問題は解決していない.
主人公たちの最後の表情(「これでよかったのだろうか?」)も同じ.

人口増加による食料不足を補うために,遺伝子組み換え食品が普及 ⇒ 多胎児増加という流れが将来的に起きそうで怖い.
今でも,知らないうちに口に入ってるんやろな.

ただし,一説によると,将来的にも地球の人口は爆発しないらしいけど.

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

もうすぐ見放題終了のようですが,『セブン・シスターズ』オススメです.

『運び屋』を観た~晩年の生き様

2022/4/15 Fri

I could buy anything, but I couldn’t buy time.

作る映画がことごとく名作の監督はそうそういない.
だが,クリント・イーストウッドは正にその一人.
「男はこうあるべき」を徹底して,かつ客観視点で描く(もちろんアメリカ的だが).

今回はAmazon Prime Videoにて,その劇場公開最新作『運び屋(原題:THE MULE)』(2018 米国)を観た.

運び屋(字幕版)

イーストウッド演じるアール・ストーンは80代の男。家族と別れ、孤独で金もない彼に、事業差し押さえの危機が迫っていた。そんな時に、ある仕事が舞い込む。ただ車を運転すればいいだけの訳もない話だ。しかしアールが引き受けてしまったのは、実はメキシコの麻薬カルテルの“運び屋”だった。たとえ金銭的な問題は解決しても、そうとは知らずに犯してしまった過去の過ちが、アールに重くのしかかってくる。捜査当局やカルテルの手が伸びてくる中、はたして自らの過ちを正す時間は彼に残されているのか。

原題の「mule」はラバのこと.
ラバとはロバとウマの交雑種.
もっさりしたイメージの動物なので,ヨボヨボの高齢主人公を揶揄しているのかと思いきや,米スラングで「麻薬の運び屋」を意味するらしい.まんまやないかい.

以下,ネタバレ.

実際の出来事に着想を得たというストーリーは単純.

で,観終えた後の感想...これ自伝やな.
しかも遺作っぽい.
もちろん,イーストウッドが”運び屋”をやっていたわけではないが,劇中のセリフ一つ一つが自らに言い聞かせているようにしか思えない.

天下の大スターである.
アールのように,家族よりも仕事や社交が中心,言い換えれば自分優先で生きてきたことが想像できる.

調べるまで知らなかったのだが,イーストウッドは人生で2回の結婚.
(なぜか)6人の女性との間に,全部で8人の子どもがいるらしい.なんじゃそら?
ちなみに,この映画の娘役はその内の一人だそうな.

例によってZwiftしながら観ていたところ,一部で大爆笑してしまい,階下で寝ているヨメさんからクレーム.
何が面白いってアールの暴言の数々(「ニグロ」「タコス野郎」など)でしょう.
昨今の過剰なポリコレクソ喰らえで,アカデミー賞にノミネートされなかったのは当然.

暴言も暴言やけど,アメリカ人(メキシコ人も?)って,ホンマ年長者に敬意を払わない.アジア人との違いを感じる.

麻薬組織のチンピラも,アールをバカにしたり脅したりとひどい扱い.
その脅しに全く動じない朝鮮戦争帰りの90歳.カッコよい.
かつてのマグナムぶっ放してた頃の,眩しそうな表情で睨みつける迫力は健在.
それでも下っ端の連中とは徐々に打ち解け(?),その功績から組織のボスの家に招待される.

「運び屋」業で得た大金で,豪華なピックアップトラックや似合わない金のブレスレッドを買い,農園を取り戻し,帰還軍人施設に寄付,若い女と遊ぶ.

それでも最大の心残りは家族関係の修復.
クライマックスで様々な偶然が重なり,完全に落とし前をつけることができた.
その奇跡の物語でもある.

アクションでもサスペンス映画でも,ましてや「ナーメテーター」ではないので,麻薬組織を壊滅したりしません.
少しだけ若者の更生を促すシーンもあるが,『グラン・トリノ』のように自らを犠牲にして云々もありません.
けじめとして刑務所に収監されて終わる.
そして...そこで再び農作業をするシーンで終わる.

人生の晩年に訪れた男の夢.
冒頭に上げたセリフが刺さる.

「なんでも買えるけど,時間は買えない」

いや,ホンマ,50を越えてこの台詞の突き刺さること.
これまでの人生,決して後悔はしてないけどな.
それにイーストウッド基準だと,Kazchariにもまだ35年ほど残されている.
この台詞,忘れないで生きていこう.

この映画のもう一つの名言はこれ.

Everything works out better than expected. ⇒ なんでも案外うまくいく.

そう,心配し過ぎも,焦り過ぎもよくない.
全てはバランス.
いい映画でした.

うん? なにげに前回観たサメ映画と共通点が多いな(どこが?).
メキシコ関連で舞台で有名人の実子の出演か.

『海底47m 古代マヤの死の迷宮』を観た~いろいろトッピング

レビューこそ書いていないが,同じく大傑作だった『ベイビー・ドライバー』とも似ている(どこが?).
こちらは強盗組織の「逃し屋」天才ドライバーが主人公.

ベイビー・ドライバー (字幕版)

ニックネームの「ベイビー」が,これほど似合う主人公はいない.

『海底47m 古代マヤの死の迷宮』を観た~いろいろトッピング

2022/4/14 Thu

久々に潜りてぇ.

ここ数年,海外旅行に行けていない.
言うまでもなく新コロのせいである.

一応,既に渡航は可能.
ただし3回のワクチン,自主隔離など手続きが色々と面倒(国ごとに異なる).
さすがに減客による経済的損失に耐えかねたのか,アジア各国はこれらの手続きを緩和し,開国へと方針転換しつつあるようだ.

日本はちょうど桜の季節.
外国人にとって一番魅力的なシーズンだったらしい.
観光業界にとっては完全なる機会損失.
誰がそうさせているのか?
「何も起きないことが最良」「事後の責任者不在」という日本人のメンタリティのせいか?

Kazchariは,新コロ前はほぼ毎年海外旅行に出かけていた.
その主な目的はスキューバ・ダイビングである.
目的がはっきりしている以上,現地で自力移動しつつ,あれこれ手配するのは面倒なので,パッケージツアーで参加していた.

2019年のラジャ・アンパットダイビングクルーズ(1)

旅の回顧録~2015年のコ・タオ

おっと,今日のネタは旅行記ではなく映画評だった.
先日Amazon Prime Videoにて『海底47m 古代マヤの死の迷宮(原題:47 Meters Down: Uncaged)』(2019 米英合作)を観た.

海底47m 古代マヤの死の迷宮(字幕版)

この作品は2017年公開の『海底47m』の続編らしいが,ストーリーのつながりは全くない.Kazchariは前作も視聴済み.

海底47m [Blu-ray]

うろ覚えだが「サメ観察のケージダイブ中,トラブルでケーブルが切れ,海底47mに着底.酸素が減る中,そこからの脱出を試みるが...」みたいな話だった.

ダイビングがらみのパニック映画と言えば,『オープン・ウォーター』も有名.

オープン・ウォーター [DVD]

これらは全て一大ジャンル「サメ映画」の亜流.
一般大衆には「海でパニック=サメに襲われる」が完全に刷り込まれている.
おかげで,ダイビングが趣味と言うと,必ず「サメは大丈夫?」と聞かれるハメになる.

つーことで,前置きが長くなったがやっと『海底47m 古代マヤの死の迷宮』の感想である.

以下,ネタバレ.

舞台はメキシコ・ユカタン半島.

まずオープニングが面白い.
主人公はいじめられっ子転校生のミア
プールに突き落とされ,ゆっくりと沈んでいくシーンをプール(水中)側から撮っている.
ミアには姉のサーシャがいるが,なぜか黒人.
両親が連れ子ありで再婚したという設定で,どうやらサーシャは愚鈍なミアにイラついている.(伏線,伏線

父の仕事は海底遺跡の調査.
忙しくてなかなか娘たちにかまってやれない.
今回も週末の約束を守れず,ミアとサーシャに「グラスボートによるサメ見学に行ってきたら」とすすめる.
あまり乗り気でない二人だが渋々行くことにする.
翌日港でボートを待っていると,サーシャの友人,アレクサニコールがクルマで乗りつけ「もっと面白い所に行こうぜぃ!」と二人を誘う.

Wikipediaで確認して驚いたのだが,なんと,サーシャはジェイミー・フォックス,ニコールはシルベスター・スタローンの娘!(大スターの娘にとんでもない仕打ち!).

4人はとあるセノーテの入り口へ.
父親の調査対象現場のようだ.

セノーテとは,ユカタン半島にある浸食によって陥没した穴に地下水が溜まった泉のこと.
深部では別のセノーテとつながっている.

劇中の女の子たちみたいに泉でちゃぷちゃぷも悪くないが,やはりここはタンク背負って洞窟ダイビングでしょう.

https://www.divenavi.com/cancun_cozumel/より

流れがないので透明度抜群.
水底から穴を見上げると光のシャワーが美しい.
淡水と海水でくっきりと層が分かれており,そこで視覚トリックが起きたりする.

Kazchariも2004年に潜った.
まだ水中カメラを持っていなかったので水中の記録はないが,記憶にはしっかり残っている.

さて,本編に戻る.
父親が残していたダイビング用具を勝手に借りて,4人で海底遺跡探検に向かおうという流れになる.
マイク付きのマスクが人数分用意されているが,なぜかフィンは置いてない.
砂の巻き上げ防止? 水中で進まんぞ.

その後潜航し,水中シーンになるが,セノーテダイブの美しさを見せることはない.
本来存在しない彫像や,サメの模型(CG?)を登場させる都合上,撮影はプールセットなのだろうか.

まぁ,その後はお約束.
ちょっとしたミスから遺跡を破壊してしまい,帰る道が塞がるわ,どこからともなく現れた盲目のホホジロザメに襲われパニックになり,エア残量に悩まされる”いつもの”展開となる.

もちろん最終的に登場人物のほとんどが死んでしまうのだが,セリフや構図(配置)から実にわかりやすく死亡フラグが立つ.
サスペンス映画は主人公たちが「助かった!」とホッとした瞬間が危ない,という正に王道展開.
そういう意味で安心・安定感のある脚本だ.
とは言え...エア保ちすぎでは?

修羅場をくぐり抜け,”覚悟”したヒロイン,最期はサメに(なぜか)甘咬みされている姉を助ける.
武器は発煙弾? あれが水中で当たって効果あるのか?
おまけに自分も甘咬みされるが,無事脱出のハッピーエンド.

いじめっ子の前で食い殺されるバットエンドになるかと,一瞬思った.

つーか,あの盲目のサメはどこから現れたんや? しかも複数.
なぜお父さん達はこれまで襲われなかった?

などなどツッコミどころもあるが,まぁまぁ面白い映画でした.
残念ながらセノーテダイビングの絶景風景は皆無なので,宣伝にはならん.
ラストバトルは海の色からして,カリブ海っぽかったけどな.

最期にメキシコの治安について.
ユアン・マクレガーの南北アメリカ大陸縦断ツーリング『LONG WAY UP』では,やたらメキシコの治安の悪さが強調されてたなぁ.

『LONG WAY UP』の感想(その6)「メキシコ&USA編」

メキシコシティやグアテマラとの国境地帯(チアパス州)とか,どんだけ無法地帯扱い.昔はやたら暑いだけで危ない雰囲気はなかったけどな.

今も昔もユカタン半島,つまりマヤ文化圏は別格.
平和な世界やった(2004年の情報).
カンクンは都会過ぎてスルーしたけど,コスメルイスラ・ムヘーレス,そしてセノーテがあるプラヤ・デル・カルメン...何もかもみな懐かしい.

Nikon Coolpix950 / 2004年4月13日撮影 一応リュックは前抱え(中南米旅の基本)

あれ? 結局旅の話になってしまったよ.