2022/5/4 Wed
男の子が育つ.
高熱源体とともに極狭空間にいたためか,テント内ではさほど寒さを感じず就寝できた.
朝5時前,外は既に明るい...と言いたいところだが,曇天時折小雨.
風も強い.外はやはり寒い.
「午前中雨」の天気予報通りである.
その予報を信じるのであれば,昼過ぎからは晴れるらしい.
さあ,考えろ.
予定通り,本日の登山を決行するか,確実に晴れる明日に延期するか...
いつもの朝飯(なんでもかんでもホットサンドメーカー)を食いながら思考していると,息子も起きてきた.
「寒い寒い」とブチブチつぶやいていると,息子が「サッカーすれば体があたたまるよ」となかなか気の利いたことを言う.
空気を抜きまくって,全然飛ばないようにしたボールで,1時間ほどサッカー&キャッチボール&プロレス.
確かに温まったぞ,息子よ.
9時になった.
山には雲がかかっているが,海方向は晴れつつある.
決意し,本日アポイ岳に登ることにした.
登山用の装備を整え,まずはインフォメーションセンターへ向かう.
途中のアスレチックエリアで遊びまくる息子.
なかなか進まん...
「とーちゃん,昨日のターブ代も払いなよ」と念押しする息子.
「マジメか!」ではなくて,人として正しい行動だな,息子よ.
受付の女性に「すいません.やっぱりタープ立てることにしました.2泊分で¥600です」と支払う.
受付の女性,驚いた顔で一言.「マジメですね...」そうなんすよ.
マジメついでに登山情報を入手.
「山なので天候についてはっきりしたことは言えませんが,2時までに頂上にたどり着けなければ下山してきてください」とのこと.
何より重要なのが”クマ”に注意すること.
ふふふ,こんなこともあろうかと熊鈴もちゃんと持参しているのだ.
息子のリュックに装着する.
クマよけと言うより,息子の位置(生存)確認としての役割か.
さて登山開始である.
街をあげて「ジオパーク・アポイ岳」を推しているだけあって,案内板を始め,色々親切.
道に迷うことはまずなさそう.
まずはクルマが通るような広い林道からスタート.
入山届けに記帳.
川を渡って登山道開始.
おっと,ブラシで余計な泥を落としてと.
以下,まずは五合目までのフォト.
やたらに元気な息子.
最近,ずっぽりとはまっている『仮面ライダーオーズ』の話を延々としている.
言葉を3つ並べて,「拳銃!ライフル!戦車!(ゲラゲラゲラ)」などと一人で笑っている.
何が面白いのかさっぱりわからん.
Kazchari的には3つの言葉と言えば,仕事柄「桜!猫!電車!」を想起してしまう.
それにしても子どもは面白い.
突然フロー状態になって飛ぶように山道を駆けたかと思うと,次の瞬間にハンガーノックになって「もう無理...」と愚痴る.
あらかじめ買っておいた羊羹やジャムパンを食わせると,急速にHPを回復.
また走り出す.
これの繰り返し.不思議だ.
この当たりからガスってきた.そして強風.
晴れ予報はいずこへ...
ここまで来れば後少し.
おおっ,ついに頂上着.
景色は残念だが,この達成感こそ登山の醍醐味.
「しんどくなったり,もう下りたくなったら言いやぁ」と息子にあらかじめ伝えておいたが,諦めずによくぞここまで登ってきた.
おそらくここまでの高さを登ったのは人生で始めてのはず.
エライぞ,息子よ!
もうしばらく佇んでいたかったが,ご覧のような天候である.
何も見えない.
さらには雨も降ってきた.
下山を開始しよう.
登りとは異なり,「ウラお花畑ルート」を使う.
と言っても,シーズンはまだ.
笹っぽい植物の合間を,細い登山道が続く.
息子「本当にこの道で合ってんの?」 ⇒ 合ってるって!(たぶん...)
下れば下るほど,植物層が変わる.
雑木林に入り,何度目かのハンガーノック状態になる息子.
ここで秘密兵器「カロリーメイト」を渡す.
「おい! 息子! これを喰え!」(アンクのマネ)
「とーちゃん,これマズい」 さよか.
いずれにせよ,復活した息子.
うまい具合に天気も回復.太陽のめぐみを浴びる.
♫チャーラチャラララララ~ チャラチャララ~(セブンのBGM)
この登山のハイライトである馬の背.
シーズンになると尾根の両サイドが高山植物で埋まるそうな.
そうでなくても絶景は絶景.
晴れになってよかった.
山の方を見ると登っていく人の姿が何人か見える.うらやましい.
まっええか.こればかりはどうしようもない.
入山届を出すところ.
約5時間で往復した.
看板前で決着をつける(何の?)最後の戦い.
そして仲直り.
キャンプサイトに戻る.
Kazchari的には「もう温泉の食堂で食うたらええやん」と息子に提案するが,断固拒否.
結局「キャンプやから外(自炊)!」という息子のド正論に負け,様似町のコープまで買い出しに行くことにした.
せっかくなので,今はなき日高本線の終着駅,様似駅を見学.
今では観光案内所になっていた.
仕方がない.
これが時代の流れ.
鉄道は衰退する.
町も衰退する.
何より,人が減っていく.
それが日本.
テントサイトに戻り,まずはパック飯を温める.
手前の皿には焼きそば.もちろん惣菜だ.
フライパンで「王将の冷凍餃子」を焼く.
水も油も不要.実にキャンプ向き.
しかも,しっかり王将の味だった.
今後の定番にしよう.
今日のメインディッシュは「サーモン丼」.
これが意外に美味かった.
やはり海沿いだから? いや,サーモンは関係ないか.
ここの温泉も今晩でお別れ.
露天風呂もあるので,明るいうちにも入りたかったなぁ.
入浴後,寒空の中,スナック菓子+ビールという不健康な夜食(と言っても8時だが).
Kazchari「今日の山,どうやった」
息子 「下りは楽しかった」
Kazchari「ほな,また山登りするか?」
息子 「絶対いや」
いやいや,息子よ.
今日はしんどいかもしれんが,ふと思い出される登頂達成感とこの心地よい疲労感がクセになるのだよ.
次回はもっと高い山に連れてってやろう.
今はとりあえず...眠れ.
(その3へ)