2024/12/12 Thu
思ってたんとちゃう
こそこそとZWIFT練中のKazchari.
走行中,右手はビブショーツのズボン部分につっこみ,なるべく揺れないようにする.
安静と固定が何より重要なのはわかっているが,保存療法を選んだ時点で肩の動きを完全に止めることは不可能(言い訳).
次回の診察で何を言われるやら.
さて,そんなZWIFTの友と言えばAmazon Prime Video.
大統領選前というベストな時期も重なって話題になった『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を観た.
映画館に観に行くつもりだったが,知らぬ間に上映終了.
その後1ヶ月も経たぬ間に配信スタートとは.
早い,早いよ!
ますます劇場へ足を運ぶ頻度が減ってしまいそう.
なんだかんだで劇場の音響と没入感は自宅鑑賞とは比較にならない.
でもコスパを考えると...判断が難しいところ.
それはさておき『シビル・ウォー』.
もしアメリカで内戦が再び起きたら...という概略だけを知った上で鑑賞.
例によって各種レビューは見ていません.
以下,ネタばれ.
始まってすぐに「思ってたんと違う」という感想.
内戦に至る経緯,政治的なかけひきは全く描かれない.
「大統領選の結果に不満を持った民衆が決起.それを大統領が武力で鎮圧して暴動から内戦へ.第三国の干渉がぁ,政府高官のかけひきがぁ」的な描写は一切なし.
あくまで一市民(カメラマン)目線で状況が伝えられる.
ラストもラストで,ワシントンDC攻略戦のごく一部を映すだけ.
予告でフィーチャーされる派手なドンパチシーンはここが最初で最後.
そもそも劇中で反乱をおこす「WF:Western Forces」軍はカルフォルニア州とテキサス州で構成されている.
使用している星条旗が★2つだけなのが芸コマ.
この2州,それぞれ民主党と共和党の牙城みたいな州.
それが協力して現大統領を〇〇するなんてありえない.
まぁ「(私は)どちら側でもありませんよ」もしくは「どちらもありえますよ」という制作者のメッセージか.
で,主役のカメラマン(リー)だが,どこかで見た女優さんやなぁ...と思ったらトビー・スパイディの時のMJさんじゃぁ,あーりませんか.
すっかり貫禄が付いて別人の様.
“これまで見過ぎたせいで病んでしまったベテラン戦場カメラマン”を熱演.
他国ならともかく母国の“最後”に立ち会った結果...
もう一人の主役は年齢不詳の新人カメラマン(ジェシー).
父譲りのフィルムカメラを使い,現像もハンディキットで行う.
この人もどこかで見たなぁ...と思ったら『エイリアン:ロムレス』(面白かった)のヒロインじゃぁあーりませんか.
ちょこっとWikiを見たら撮影時25歳くらい? 10代にしか見えない.
アシリパ役もできそう.
実はこの映画,「主役2人にベテラン記者の黒人じーさん(サミー),リーの同僚男性記者(ジョエル)を加えた疑似家族が1台の四駆に乗り込みワシントンDCを目指す.目的は大統領へのインタビューだ!」というロードムービーだった.
途中いくつかの町を通過するが,ほぼ無人.
パニック映画あるある的な放置車両だらけの高速道路や,巨大スーパーマーケットが映し出されるが,マジでゾンビとかに襲われそう.
いや,カネ(米ドル)が価値を失い,ガソリン,そして銃(暴力)が支配する世紀末感は正にゾンビ映画のフォーマットやな.
道中のクライマックスがWF兵(?)とのトラブル.
ここで有名なセリフ「どっちのアメリカ人だ?」という詰問をなんとか切り抜けたものの,疑似家族は“父”を失い,“夫”は自暴自棄になり(戻ってくるけど),“母”は精神の限界を迎える.
そして“子”たるジェシーは成長...というより感情を失ったかのように無表情で最前線を走る.
そこで歴史上,決定的な写真を撮る.
新たな時代の誕生に立ち会い,物語は終わる.
この先,どういう時代になるのか,誰にもわからない.
あえて右(ナショナリスト),左(グローバリスト)をボヤかしているからだ.
いずれにせよ市民間の「横」の分断を描いた映画だったような気がする.
で,少し前に同じくAmazon Primeで『ザ・メニュー』という映画を観た.
「食材はあなた」的なキャッチコピーだったので,てっきり『コックと泥棒,その妻と愛人』や『デリカッセン』のような料理系ホラーかと思っていたが,かなり違ってた.
以下,ネタバレ.
孤島にあるレストラン.
ここでは天才シェフによる,$1,000以上はする創作フルコース料理が提供されている.
とうてい庶民が払える額ではない.
ゆえに客は芸能界や金融など各方面での成功者たち.
軍隊のように統率のとれた料理人たちを率いるのは,シェフのジュリアン.
料理に極度の芸術性や調和を重んじる.
結果,出される料理も奇をてらったものばかり.
ジュリアンは言う「食べるのではなく,味わえ」(命令).
本来,我々が食事をするのは生きるため.
だが飽食の世では,豊かな者には単にステータスとなり,食本来の価値が忘れられがち.
食を通じて“生きていること”を味わう,ジュリアンはそうした料理を追求してきた.
...だのに「こ,このオレの料理を,毎回毎回,この俗物(成功者)どもは何の考えもなしに食いやがる.ゆるざん!」とトチ狂ってしまった.
ここは,命をないがしろにする者に鉄槌を下す『ソウ』シリーズに通ずるテーマかも.
もはやこの状況に我慢できなくなったシェフがとうとう限界突破.
自分と成功者どもを道連れに“最後の晩餐”計画を立てた...というストーリー.
この映画が面白いのは,サイコパスが一方的に犠牲者をいたぶり,”食材”にしてしまうような話ではないこと.
元々はハンバーガーを焼いていた下流のジュリアンは,ついつい上流になってしまった.つまり,彼自身も成功者(俗物)になってしまったので,その矛盾を解決するためには一緒に燃やされるべきという理屈.
当然,彼に心酔しているスタッフも一緒にボンである.
ポリコレ配慮なのか,スタッフにはアジア人やら黒人やらラテン系の役者を配置.まぁ,そこは気にならないかな.
助かるのは予定外で晩餐に参加することになったヒロインのみ.
娼婦だけどセレブではない.
ジュリアンに「どちら側につくか選べ」(どっちもタヒぬ)と迫られるが,機転を利かせて逃げ延びる.
他のゲストが割と従順なのは料理にお薬を盛られていたためかな.
つーことで,ややこしい表現だけど,こちらの『ザ・メニュー』は「縦」の分断を描いていると解釈.
かつて思想闘争と言えば,「右」か「左」かで語られることが多かった.
今も表面的にはそのままかも.
この状況に対し,「現代は左右ではなく,上下の闘いと化している」と誰かが言った.
付け加えるなら「上」が「右」と「左」の争いを仕掛け,上下の格差から目を背けさせようとしていると.
あまり語ると陰謀論と言われそうだが,最近話題の大統領選とか某県知事選の混乱状況を鑑みると,あながち...おっと,誰かが来たようだ.
つーことで,世相(特にアメリカ)を反映しているこれらの映画,おすすめです.思ってたんと違っても,知らんけど.