アメコミ映画の限界?~『WW84』と『モービウス』

2022/12/16 Fri

最早,あっと驚く展開は期待できないのか.

Amazon Prime Videoにて,最近配信が始まったアメコミ映画を観た.
例によって,他人のレビューを読まずに感想を.

ワンダーウーマン 1984(字幕版)

原題は「WW84」
「Wonder Woman」だけでなく,「World War」のダブルミーニングというヤツやな.確かに1984年は冷戦真っ只中.

前作の『ワンダーウーマン』(2017)は映画館で観た.

「テンポが悪い」「クライマックスがわちゃわちゃ」「ラスボスのじいさんが微妙」などの残念ポイントもあったが,まずまずの良作.

舞台は現実とは別の世界線でのWWⅠ.
ロンドンの街並み,ベルギー(だっけ?)の前線など,設定の作り込みがスゴイ.変なところにこだわるなぁ...という印象(正しいかどうかは知らん).

ただし,敵がドイツ語を話さないのが問題.
ワンダーウーマンはせっかく300もの言語を操るという設定なのに,もったいない(シュメール語とトルコ語ネタはあった).

もちろん,DCキャラ最強とも言われる主人公はスーパー無双.
「もう,あいつだけでいいんじゃないか」と思わせてからの,仲間の協力という王道展開(もう一捻り欲しかったけど).

で,本作『WW84』

まず過去編の「デス・SASUKE」みたいな競技が面白かった.
ここで「ズルしちゃダメ」思想が身についたわけやね.

前作同様,舞台設定の作り込みがスゴイ.
80年代アメリカの微妙なカルチャー(特にファッション)がなんとも凝っている.

1984年と言えばロス五輪.
フライングマシンの開会式にカール・ルイス.

Kazchariは高校生.
未来はバラ色.
世間はうかれにうかれていた時代.

魔法の石にかけてしまった願いにより,前作で死んでしまった恋人復活.
現世に生きる別人に憑依という形なので,外見はまるで異なるけど,主人公の目にだけは昔のままという設定が面白い(某映画の最新作とは真逆やな).

『マトリックス レザレクションズ』を観た~続くのか?

それしても,アマゾンの戦士は不老という設定はもとからあったのだろうか?
波紋? 衣装はそれっぽい.

で,肝心のストーリーだが,前作に比べると評価が下がる.

恋人を復活させた代償がパワーダウン...ということやけど,場面上それが伝わってこない.
ドアがなかなか壊せないなどの描写はあったけど,続くのがエジプトのカーアクションやしな.
確かに前作のような無双ではなかったが,やや弱くなっただけで十分超人.
何も“失ってはいない”.
弱々しくなったシーン,例えば老化を入れるとか...

もしくは,全然活躍しなかった黄金クロスを着用中のみ復活,敗れそうになったが,願いを取り下げたので力を取り戻す...とかにすればええのに.

現大統領は明らかにレーガンっぽい.

石の力に支配されたヴィランは髪型や服のセンスからしてトランプ風.

そのヴィランが「なんでも願いを叶えたるわ」と全世界放送 ⇒ 大混乱.WW84!

そやけど...その願い事とやらがことごとく利己的なヤバい願いだらけ.
1人ぐらい,つーか,実際には平和を願う人の方が多いと思うけど,この辺はキリスト教的性悪説?

混乱後は「この争いを終わらせて!」という善人がいてもよさそうなものだが,矛盾した願いの場合,どう解決するのだろう?

何より致命的なのはキャンセルしたら元通り...結果,緊迫感なし.

脚本のツメの甘さやな.

エンドロールに出てきたアマゾネスっぽい人.
てっきり島に残してきたお母さんかと思ったが,昔のTVシリーズでWWを演じてた人らしい(Kazchariより上の世代向けサービスか).

マーベルに押され気味のDCヒーロー.
メインの『スーパーマン』『バットマン』はやや迷走中だが,この『WW』と『アクアマン』は評判もよく,続編も期待されている.
...と,観た後に知ったのだが,続編の『ワンダーウーマン3』が制作中止になったとのこと.

映画『ワンダーウーマン3』製作中止

なんでやろ?
まさか,ポリコレ要素が足りないとかそんな話?(推測)

で,続けて次のアメコミ映画へ.

モービウス (字幕版)

これもイマイチだった...

『スパイダーマン』『ザ・フライ』『キャプテン・アメリカ』他をコンクリートミキサーに入れてぶちまけた感じ.

ネタ切れ感満載.

コウモリの怪人...と言えば,言わずと知れたDC陣営の『バットマン』.
あちらはあくまで普通の人間.
特殊スーツやら変なガジェットで強化しているだけ.

こっちの『モービウス』は変身型.
自分で制御が難しいという点ではヴィラン扱い?

いずれにせよ,その能力がよくわからん.

身体が頑丈になる ⇒ なぜ?
力が強くなる   ⇒ なぜ?
動きが速くなる  ⇒ なぜ?
空が飛べる    ⇒ 翼(膜)はないけど? もしかして連続ジャンプ?

次に食料(血液)問題.

自分の病気を治すために,コウモリのDNAを自分のDNAに結合する方法を考えた.

コスタリカに行き,吸血コウモリを大量に捕獲(なにやら不思議な方法).

ラボにコウモリの飼育槽を作る.

血清を作成しマウス実験を繰り返す
失敗したと思ったがついに成功!(このマウスがこの後どうなったかの描写はない)

人目を避けるためか,海上のタンカーにラボを作り人体実験.
なぜか傭兵が護衛?

自分に血清を注射.
あるある展開の無意識暴走.
なぜか傭兵を皆殺し(この時点でヴィラン側確定?).

自分のラボに戻る.
ブルー=人工血液だとパワーイマイチで効果持続時間が短い
レッド=本物.パワー全開で効果も長続き...でいいのか?

よくわからんのだが,変身そのものは不随意か随意でどちらでも可能でOK?

こっそりコウモリ男化した幼なじみ(マイロ)に殺されてしまうヒロイン(なぜか吸血はされない).
助けに来た主人公に血を口移しでもらった後,吸血される.
”レッド”補給.その結果,それまで押され気味だったマイロと互角に戦えたわけだが.

それでも負けそうになった瞬間,なにやら不思議なことが起こって,大量のコウモリが仲間に.
吸血コウモリってコスタリカの洞窟にしかいないはずでは?

ラストシーンでは,死んだと思われたヒロインがまさかの覚醒.
途中で,コウモリ男が,よくある吸血鬼パターンになってしまった.

いつものMCU映画同様,エンドロール中の予告画像にヴァルチャー(マイケル・キートン)が登場.
こいつはトム・ホランド版スパイダーマン第一作『ホームカミング』(2017)のヴィラン.

空が割れて彼が現れたということは,今回の『モービウス』はどの『スパイダーマン』の世界が舞台?
もしかして,噂に聞く『アメイジング』のパート3に続くとか?

全くのNo情報で鑑賞したので,このシーンでようやく『モービウス』もMCUファミリーの一員であるとを知った.
増々広がる世界観...と言えば聞こえがよいが,やはりついていけなくなっている.

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を観た~そろそろ潮時

まぁ,大傑作『ノー・ウェイ・ホーム』の続編となれば話は別.
こっち方面は追いかけたい.

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を観た~そう来たか!

残念ながらKazchari的には低評価だった『WW84』と『モービウス』.
そやけど,ある程度の人気があり,今後も続々と新キャラクターが登場することを考えると,こうしたアメコミ映画の人気は未だに高い,ということだろう.

つまり,限界を迎えたのはKazchariの脳...が適切.

いすれにせよ,もはやヴィランを倒して終わりというのは許されない世界.
日本のニチアサ特撮もそうなっている.
これは良いのか悪いのか.

前首相が殺害されてから,何かの重しが取れたかのように,暗黙の了解だったはずの様々な不正が暴かれつつある.
それで世の中すっきりしつつあるかというと...
むしろ分断が進んだ気がする.

現実に正義も悪もない.
映画は世相の反映.

となると...やっぱ『ワンパンマン』がスッキリしてて最高やな.

ワンパンマン

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