モンキー125,五味温泉に行ってみた

2023/3/22 Wed

荒野を渡る風

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昨夜『シン・仮面ライダー』を観てきて,なんだかんだで興奮冷めやらぬKazchari.

『シン・仮面ライダー』を観てきた~やりたい放題

あーでもない,こーでもないと頭の中に考察がうずまき,なかなか寝付けなかった.さすが庵野映画,スルメやな.

運良く翌日(22日)は年度末有給消化でお休みだ.

スマホ購入以来,天気予報アプリを色々と使ってきた.
個人的かつ感覚的に一番精度が高いのは「Yahoo天気」だと思う.

その予報によると本日は晴れ,最高気温12℃,降水確率0%だった.

EMONDAライドも捨てがたかったが,GARMIN先生によると「チャリは36時間ほど休みなさい」との指示.
わかりました.今日は脚を休めます.

つーことで向かうのは下川町-五味温泉.
サ活やな.

五味温泉

旭川より北部に位置するため,道路の凍結がやや心配ではあるが,この気温である.大丈夫だろう.

前回のツーリングとほぼ同装備.

モンキー125,2023年初ライド

チャリに比べると「汗」の心配をしなくて済むのが気楽.
それに防寒具も好きなだけトップケースに詰め込める.

スタート時の総走行距離は「5180km」

まずはいつもの定点観測地点で撮影.
道路の浮き砂が怖い.

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国道39,40号を経て道の駅「けんぶち」まで一気にライド.

インカムからはずっと「昭和ライダーメドレー」が流れている.

Best of 仮面ライダー 昭和仮面ライダー編

やっぱり『ロンリー仮面ライダー』は神曲.

それにしても,3月の北海道まだ寒いわ(当たり前).
自販機に「あたたかい飲み物」があるのが助かる.

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国道を離れる.
「北海道ツーリングの真髄は道道にあり」と誰かが言っていた.

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平日なのでトラック多め...かと思いきや.
交通量皆無.
まぁ,そういう道を選んで走っているわけだが.

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下川方面に向かう際,いつも通る風連町.
かつて熱きレースをした旧小学校.ついつい停まってしまう.

NHK-BS『チャリダー』に出演&観た

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で,五味温泉着.
初めてではない(はず).
以前,クルマで来た記憶がある.

時間は正午過ぎ.
こうした田舎の一軒温泉にありがちな食堂の営業時間が短い問題.
(約2時間の)サ活中に閉まってしまうため,先に昼食.

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「味噌野菜ラーメン」¥950也.
味は良いが,ラーメンも高級品になってきたなぁ.

これまた誰かが言ってたが,日本食のうち,ラーメンほど研究熱心な人が多い料理はないそうな.
となると,これくらいの値段が適正なのか?

さて肝心の温泉.
増築を重ねたのか迷路っぽい構造.
あれだな,旭温泉っぽい.

モンキー125,えんべつ旭温泉へ

浴室にin.
もちろんカラダを清め,少し湯につかりサウナ室へ.
もちろんドライサウナで3段席.
客少なめ.さすが平日.

例によって10分.
その後,冷水浴.たぶんシングル.

さて,ここでいよいよ長年の謎が明かされる.

みんな大好き「サウナイキタイ」情報によると...

サウナイキタイ「五味温泉」

ここのサウナでは「外気浴ができない」とある.
しかし,露天風呂はある.
どゆこと?

判明しました.
風呂はあっても,イスを置くどころか,腰を下ろすスペースすらないのだ.

結果,おっさん達が浴槽のふちのわずかなスペースに,体育座りしてじっと目を閉じている...というよくわからない図式となっていた.
露天風呂に張り出しのテラスかなにかを増設して,ととのいイスを置いたら完璧やと思うけどなぁ.土地余っているし.

てな感じで3セットクリア.ととのい50%くらい?
でも,外気浴には良い季節になってきた.

そして温泉にゆっくりつかる.

ここの温泉は全国でも珍しい「二酸化炭酸水素塩泉」らしい.飲用も可.
確かに独特の泉質.

2時間ほどの滞在.
重装備のライディングウェアを再度着用(ここは少しげんなり).

温泉を後にする.

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電柱も何もない雪の丘.
この季節ならではの風景.
風があったら冷凍庫.

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往路で使った国道40号ではなく,愛別に抜ける道道で帰る.
心配なのは道路やトンネル内の凍結.

前日のライドでもブラックアイスバーン見たしなぁ.

iPhone11 Pro 2023/3/21撮影

まっ,この陽気だと大丈夫でしょう.

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Googleナビを使っているけど,リアルタイムで道路状況とか表示されたら助かるのに.
近い将来実装されそうやけどな.

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今シーズンから使い始めたNEWヘルメット.

どっちのヘルメットSHOW~オートバイ編

前回のツーリングでは,すっかり忘れていたインナーバイザー機能.
今回はスタート時から使っているが,実に素晴らしい.
暗くなり過ぎることもない絶妙な減光.
もうサングラスは要らない.

さすがに夜間は危なくて使えないと思われるが,フロントバイザー自体が結構深く下ろせるので,目に嫌な風が入ってくることはなさそう.
やはり最新のヘルメットはスゲーな(こいつは安いし).

岩尾内湖着.

湖面はまだまだ凍結中.

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しばらくすると滝上への分岐地点.
しっかり冬期通行止め.恐ろしいほどの無人地帯.

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愛別方面に進むもトンネル登場.
「凍結注意」の看板.やめてくれ.

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戻るわけにも行かず,慎重に進入.
杞憂でした.

愛別ダムへ.
ゲートが開いており,ダム上が走行できた.

なんでわざわざ走ったか?
そら『シン・仮面ライダー』の影響.

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ここまで戻ってきたら,もういつもの自転車コース.
日が暮れる前にちゃっちゃと帰りましょう.

帰宅時のオドメーターは「5380km」
ちょうど200kmのツーリングだった.

毎回書いている気もするが,不思議なことにロードバイクより疲れているような...
いや,疲労の質が異なるのだ.

ロードバイク: 肉体⇒疲労,魂⇒高揚

オートバイ : 肉体⇒弛緩,魂⇒緊張からの解放

まっ,どっちも「魂」にとって有益ということで.ハビタット.

道路を横断する雪解け水のおかげで,例によって足回りの泥はねがひどい.
濡らしたタオルで拭いた後,コーティング剤.

やはり,モンキーはいいなぁ.
小さいながらのこの凝縮感.
メッキパーツも美しい.

つーことで洗車中,ヨメさんも仕事から帰宅.
家族4人で久々に「ココス」で外食することに.

最近の流行なのか,「ココス」もアプリ登録すると様々な特典クーポンがついてくる.
ファミレスなので単価高めだが,クーポン利用だと回転寿司より安くつくなぁ.

Kazchariは「カリブチキンジャンバラヤ」を注文.
写真が小さいせいなのか,Kazchariの老眼のせいなのか,もしくは思い込みのせいなのか,チキンライス付きなのにも関わらず,和食セット(白飯)を別に頼んでしまった.糖質過多だ(食べきった).

「ココス」と言えば配膳ロボ.
全てではないが,ロボがテーブルまで注文品を運んできてくれる.

タッチパネル注文に始まって,配膳ロボ...ますますヒトが不要っつーか会話をがなくても成り立つシステムに変わりつつあるなぁ.

客からは「味気ない」という声もあるらしいが.スタッフには好評とのこと.
他人とコミュニケーションを取るのは疲れるらしい.
まっ,接客業って,そのほとんどが感情労働やしな.
特に最近は変なクレーマー気質の客も多いし.

サウナに行ってリラックスしようぜっ!

帰宅.
映画館でもらったライダーカードの袋を開けてみる.

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「一文字」「クモオウガ」でした.
裏面の解説が面白い.”へーそうやったんや”的な.

てなわけで,貴重な平日有給休暇ライドでした.

EMONDAな就実も藤野も走れますライド

2023/3/21 Tue

こいつの走らせ方.

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晴れ時々曇り.温度:7 ℃,湿度:68%,体感温度:7 ℃,風速:4.4 km/時,風向:SSW

祝日である.

子供らも休みで家にいるのだが,もう放置してても大丈夫(のはず).
勝手に遊びに行きなさい.
一応,昼飯時には戻ると約束して,EMONDAでGo.

スキあらば乗りたい.
ちょうどそんな時期と季節である.

朝は相変わらず冷える.

それでも前回のライドに比べると,防寒具のレベルを一段階緩和.
バラクラバとオーバーシューズ・ソックスをやめた.

コミネ(KOMINE) バイク用 防寒フェイスマスク フリー 09-016

(フットマックス)FOOTMAX ロードバイクシューズカバー FXB016 [メンズ]

代わりにインナーキャップとシューズにトゥカバーを装着.

[スタビリスト] インナーキャップ ヘルメット バイク フリーサイズ 2枚 吸汗速乾消臭抗菌

バイクシューズカバー-サイクリングシューズカバー防風自転車オーバーシューズ男性女性用サーマルウォーマー用ハーフパームバイクシューズカバー

このトゥカバーが後で問題に...

雪解けが進み,ますます路面が走りやすくなってきた.

とは言え,ロードバイクが走る路肩には,冬の間埋もれていた砂利やゴミがたまっている.
これらはスリップやパンクの原因となる.

そのうちブラシの付いた清掃車が走ってくれるものの,それまで我慢.
こちらにできる対策としては,できるだけキレイでクルマの通行が少ない道路を走ること.

つーことで,ジグザグルートで旭川の有名絶景ポイント「就実の丘」に向かう.

そこへの道は冬季通行止め.
ゆえにいつオープンになるのかわからないのだが,世の中便利になった.

昨夜,SNSにバイクフォーラムの有志が「もう通行できます!」とアップしてくれていた.

空港を越え,丘へ向かう直線道路に入る.

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脇道も見事に除雪.
真っ直ぐ向かうのも面白くないので寄り道.

これが大正解!

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この時期限定の絶景が広がる.

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ここって飛行機フォトの穴場とちゃう?
滑走路の真正面.
残念ながら,iPhoneではこれが限界.

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400mmの望遠レンズで,良い画が撮れそう.

未舗装路はさすがに走れないので,元の道に戻る.

丘に向け,少しずつ斜度が上がる.

「ピュアクライミングバイク」という前提で購入したEMONDAだが,正直,坂が楽になったという実感はまだない.
大会用に軽量化した時のDOMANEの方が“軽く”感じる.

外乗り2回目.
こいつの乗り方がまだわかっていない気がする.
ポジションに違和感はないのだが...

さて,もうひとつ問題点が.

前回のライドでも「Assiomaのペダルにクリートがはまりにくいし,外れやすい」と書いたが,どうやらそれは誤解だったようだ.

ロードシーズンinライド~TREK EMONDA SLR7 First Light 実走レビュー

今日は防寒対策としてトゥカバーを装着している.
こいつがどうやら,クリートのかかと側のはまりを邪魔しているようだ.
ダンシングなどで荷重するとはまる.

ピンディングがはまらない=パワーロス.
今日も最初はその原因がわからず「LOOK(KEO)はあかん.SHIMANO用にしたら良かった...」と後悔していたのだが,カバーが原因とわかり,事前に引っ張るなどして調整するとカチっと.

ただし面倒だ.
ただ,季節的にこれからはカバー不要になる.
次回のライドでは外していこう.

つーことで,16%坂にやって参りました.

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ここから一旦下って,登る.

しっかりとSTRAVAのセグメントとなっているので,ちょっと踏んでみますか...と,登りに入ったは良いが...

全然登らん.

なんで?
ふと下を見ると,フロントアウター,リアは真ん中(5速)くらい?
ぐわー,完全にギアの選択間違ってる.
あわてて軽くしたが完全に失速.
そこからダンシングで踏み直してもアウト.

ゼイ,ゼイ,ゼイ...

このEMONDA,どれくらいの斜度に対し,どのギアでどう変化するのかまるでわかってない.
この後もいくつかの激坂で試してみたが,フロントは早めにインナーに落とした方が良いかもしれない.
まぁ,それすら怪しいが.
「まだまだ,こいつの走らせ方がわかってない」ということがわかった.

まぁ,それでもどこそこタイム出たんとちゃうかなぁ.
帰宅後のGarmin様のデータチェックが楽しみだ.

つーことで,就実の丘到着.
情報通り開通済み.ご褒美の快晴.

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美瑛側に降りる.

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雪解け水が道を横切る.
「また,汚れるなぁ...」と慎重に下る.

途中,木々によって日の当たらないカーブに差し掛かったのだが...

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明らかに濡れただけの路面とは光り方が異なる.
そう,見事なまでに凍結したブラックアイスバーンな状態.

このまま突っ込んでいたら,間違いなく転倒していた.

やはり普段からスノーライドもしているおかげ,かつ知っている道だけに路面状況が事前に把握できる!(自慢)

スパイク付きファットなら問題なく突入するが,EMONDAでは絶対無理.
かと言って引き返すのは嫌なので,かついで脇の雪山を通ることにした.

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カチカチに締まっているので,問題なく歩ける.
オートバイやと無理な行動やな.

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さて,難所をクリア.
美瑛のマチナカをパスし,丘の方へ.

時々現れるアイスバーンに注意.

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確かめてみたかった道がある.

それは「藤野農道」
昨秋,偶然会ったロード仲間に教えてもらった道.

秋の望岳台からのグループライド

知る人ぞ知る絶景ロード.
その後もプライベートで何度か走った.

冬季通行止めだが,今年の雪解けは早い.
つーことで,開通を確認.

はい.
しっかり全線通れます.

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十勝岳が美しい.
つーか,この白と青にガンダム...もとい,サンライズカラーの我がEMONDA.映える.

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下ったところで本日はタイムアウト.
白金温泉まではさすがに行けないので,帰路につく.

カロリーをかなり消費したので,セイコマで補給.
ファンタのプレミアムシリーズ! 今回は「とろけるもも」

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期待をこめて購入するが...プレミアムオレンジの再販を待てッ!

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後はゆっくりと帰宅.
前回の初ライドの感想でも書いたけど,平坦時の空力向上は明らか.
高速巡航が楽.

肝心の坂はやっぱりわからん.
ノーマルのBONTRAGERタイヤとチューブがイマイチ?
などと,満足な登りができない理由を色々と考えてしまう.

いや,一番の問題はエンジンじゃないの?

こんな時にはGoogle先生に相談.

スゴク勉強になる.
次回は前乗りでヘソを意識しフロントフォークの端を見る,かつ前後ギア比に気を使って走ってみることにしよう.

さて帰宅後,STRAVAにて「就実の丘ATTACK」セグメントのタイムを確認.

えっ? 29/226位? 全然あかん.
Kazchariってこんなに遅かったんや...いや,それにしてもかかり過ぎでは?

「もしかして...」と,セグメントのスタート地点を探るべく地図を拡大.

実はKazchariが思っていたよりも,かなり手前に計測スタートポイントがあった.途中で(写真撮影のために)止まりまくってたら,そらタイム伸びんわ.

次回は”ちゃんと”計測地点から本気出す!

iPhone11 Pro 洗車してあげました

で,洗車後の夜,『シン・仮面ライダー』を観に行くわけですよ.

『シン・仮面ライダー』を観てきた~やりたい放題

『シン・仮面ライダー』を観てきた~やりたい放題

2023/3/21 Tue

人間の自由のために

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少し出遅れたが,先日『シン・仮面ライダー』を観てきた.

脚本担当だった『シン・ウルトラマン』も含めると,シン・シリーズ四作目となる.

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観た

思った以上にウルトラマン~『シン・ウルトラマン』を観た

さて,その感想は...

※ 以下,ネタバレです.

まず感じるのは,これまでで一番クセ強め.
たぶん興行成績は苦労するやろなぁ.

例によって,公式サイトや個人レビュー動画の類を一切シャットアウトしたまま書いているので,勘違いや気づかなかった点が多々あるかと思われるがご容赦.

オリジナルの『仮面ライダー』は1971年放送開始.
Kazchariは当時4歳.
なんとなーく観ていた記憶あり.

熱中しだしたのは『V3』(1973)以降かな.
当時の特撮では『人造人間キカイダー』(1972)が一番好きだった.
ただ,どちらかと言えば『ウルトラマン』に代表される巨大ヒーロー派.

有名な話だが,初代『仮面ライダー』は当初怪奇路線だった.
話も暗いし,怪人は気持ち悪いし,人がバシバシ死ぬ.
何よりライダーが地味.

路線変更して明るめの作風へ.
それに,なんつっても主役の藤岡弘さんの不慮の事故による撮影不可からの,2号ライダー誕生が大きい.
一大ブームとなり,ライダーキックを真似る子供への注意喚起がなされるなど社会現象化した.

その後,定期的なライダー番組は昭和と平成の狭間である『RX』(1988)で一旦終了.
そして,2000年の『クウガ』で復活後は「平成/令和ライダー」シリーズとして,今も続く人気コンテンツとなっている.

ちなみにKazchariは『クウガ』を至高として,次に『W』が好きだ.
他の作品も一通り視聴してきたが,令和2作目の『セイバー』(2020)以降はちょっと...
最近はスーパー戦隊がおもしろ過ぎる(※個人の感想です).

『ドンブラザーズ』から『キングオージャー』へ

さて,今回の『シン』はPG12,つまり「小さいお子様は親のフォロー付きで鑑賞下さい」基準.
ようするに平成令和のお祭りライダー映画と異なり,完全に大きいお友達がターゲット.

「大きいお友達用」と言えば,最近こんな◯◯が配信されていた.

『仮面ライダーBLACK SUN』,最終回まで観た~生きることが好きさ(えっ?)

今回の『シン』は,こいつの1億倍は面白かった.
やはりリメイク物は,監督や製作者が,オリジナルに対してどれくらい愛と情熱があるかが如実に現れる.
(庵野)カントクは自分の結婚式にて,燕尾服の代わりにライダースーツを着るぐらいの筋金入りだ.

監督不行届 (FEEL COMICS)

子供の頃にドはまりしていた特撮を後で思い出したり,人に説明する際,脳内補完され,オリジナルを美化,シャープ化してしまうことがよくある.

『シン』は脳内補完されたイメージと,オリジナルの古いままの両方が“奇妙に”混ざり合っている.
ようするに変な映画(ホメ言葉).

『電人ザボーガー』と並...並びません.

電人ザボーガー

その顕著な例が主人公のライダースーツ(防護服)である.
大きめの頭部(のぞき穴付き),余計な装飾一切なし,だらっとした姿勢...
単体では,決してかっこよくない.

まずはヘルメット...ではなくマスク.

ベルトが風を受けると,目が血走り顔に血管が浮き出る,どこぞの『テラフォーマーズ』っぽくなる.マスクはそれを隠すためでもある.
それに,かぶると生存本能=闘争本能が高まるとか.

他にもワイヤレス通信でアップデートできたり,映像を保存したりと実に便利なガジェット.
かぶると,口元のいわゆるクラッシャーが閉じるが,その状態でしゃべるもんやからモゴモゴと声が通りにくくなる(リアルだ).

ショッカーライダーとの戦いでマシンガンをゼロ距離でバカスカ撃ち込まれている時,本郷が「このままではマスクが保たない!」とか焦っていたが,元々首元がむき出しでは?(そこは言わない約束).

スーツも,昔のジャージ生地ではなく革っぽいが,当時のもっさり感が絶妙に再現されている.

事前情報で「あれは服ではなく,肉体が変化したもの」説も流れていたが,ちゃんと脱げます.
それどころか,長時間着たままだと匂うらしい.

生命維持は体内にある「プラーナ」という謎エネルギーを用いているので食事不要らしいが,汗はかくということ?
ルリ子に指摘され,下着姿になるシーンあり.

最近のライダー映画で客演した際の,胸のコンバーターが妙に浮いているスーツとは明らかに違う.
正直,今風アレンジしたスーツだと『仮面ライダー THE FIRST』(2005)の完成度が非常に高い.

仮面ライダーTHE FIRST & THE NEXT Blu-ray

カントクにとっては,怪人はともかく,ライダーに関してはオリジナルの姿がベストなのだろう.

一方で,怪人の造形はシャープで今風(サソリは除く).
作中,オリジナルの〇〇男,◯◯女という呼び名は,◯◯オーグに変更.

主な登場怪人は6体.

クモオーグ:ライダー第一話伝統のモチーフ.変に紳士的.素顔出ず.「そうか,空中戦だとこちらが不利に!」ドカーン!

コウモリオーグ:変身解除しないのか,できないのか,ずっとコウモリ顔のまま.確かにコウモリは様々なウイルスを媒介する.帽子に耳の切れ目が入っているがおしゃれ.

サソリオーグ:これは...まさかのあの人!? シークレットな大物キャラ.スゴイ役どころ.網タイツ戦闘員など,古き良き東映特撮のキャラやな.

ハチオーグ:『キル・ビル』? それにアジトの形状がマギ・システムにしか見えない.そこは投下されるエヴァ弐号機!っぽい構図.

カメレオン/カマキリオーグ:まさかの3種混合.『北斗の拳』の雑魚キャラにいそうな立ち位置.ルリ子より先に本郷を殺すべきでは?

チョウオーグ:ルリ子の兄のイチロー.「肉体と魂を切り離して,魂だけを平穏の地に閉じ込める」というショッカーの理想を実現しようとしている人類補完計画野郎.

ラストの変身で顔が半分に割れた! ⇒ こ,これはイチローだけにキカイダー01
そこから口吻らしいものが!    ⇒ イナズマン
ベルトにタイフーンが2つ!    ⇒ まさかのV3

と,かなり楽しませてくれたキャラ.
だってさぁ,ロボット刑事Kまでいるんやから,石森キャラつながりで,絶対にそう思うやん.
残念なことにダブルライダーとの最終決戦がイマイチで,そこがこの映画の減点ポイント.
もう少しカタルシスが欲しかったなぁ.

カメカマを除き,こいつらがショッカーの上級幹部らしい.
ナレーションでは最後にコブラオーグの名前も出てた.

ルリ子の説明によると,緑川博士は「この世界で最も成功した生命体はヒトと昆虫.だからかけ合わせた」らしいけど,それ以外のヤツらが多くないか?

さて,次にキャラ造形.

主人公の本郷猛.

頭脳明晰・スポーツ万能...だけどコミュ症.
演技が素晴らしく,常に震えながら話す.
棒読みっつーか,感情が全くこもっていない話し方.
そう,まるで『風立ちぬ』の時のカントクっぽい.

ぶったまげたのがPG12の理由と思われる冒頭の戦闘員との戦い.
とんでもない力を持った怪物が,生身の人間を殴るとどうなるのか,をリアルに再現.
文字通り”砕く”のだ.

もちろん,「トォー!」だとか「ライダァーキィーック!」などとは叫ばない.

ハチオーグに操られた民衆が迫ってきても,なぜかキャンプ用具を丁寧に片付けてから逃げる几帳面さ.
なぜか収納したコンテナは放置.

本郷はバイク好き...らしいが,尺の問題なのか,その描写は薄い.
サイクロン号の整備をしつつ話しかける,いやタンクをなでてうっとりする場面は欲しい.バイク乗りなら当然の行動.

逆に2号ライダーこと一文字隼人は陽キャ(だけど変人は変人).

「お見せしよう」の名台詞もちゃんと言ってくれる.
「クリアになった」が口癖.
一度は断ったチョウオーグとの最終決戦だが,本郷のピンチに駆けつける.お前はハン・ソロか.
一文字隼人は,本郷亡き後も「BATTA-ORG 01+02」,つまり水色マスクと白2本ラインの新一号+新サイクロンで今後もショッカーと戦い続けるのだッ!

ちょっと邦画の悪い癖で,心情を語るセリフ過多かな.
ラストシーンでの橋上走行.センターライン上ではなく,左側を走ってほしい(なんとなく).

さて,問題の緑川ルリ子である.

「私,用意周到なんで」が口癖.某外科医?
カントクはこういうキャラ付け好きやな(髪型含め).

「彼女は安野モヨコだ」とか,誰かが言ったら,また炎上しそう.

思えば,本編冒頭のカーチェイスの時から変.
相当高い崖の上から,バイクごと転落し地面に叩きつけられてもなぜか平気.
この時点で,てっきり改造済み(テントウムシオーグとか)かと思ったけど違ってた.

彼女も感情表現がおかしい.
母親はいないっつーか,緑川博士の精子を使って人工子宮で生まれたらしい.

本人曰く「私はショッカーのための電算処理人間」
あれ? この設定って...某コミックのファティマやん!

兄(イチロー)を慕う理由はよくわからん.

最初のセーフティハウスに向かう際,オート操縦の無人サイクロン号がついてくるシーンがある.
まるで犬のようだ...って,実はこの映画,テーマは洗脳と自由

持続可能な平和を願うショッカーの首領(?)イチローは人類補完計画を企む.
そのため,コウモリやハチオーグに人々を洗脳する計略を指示.
つまり個ではく統一された集団意志・行動を基本とした社会を目指している.
そこには苦しみはない=幸福だそうな.

カントク,相変わらずこの世界観好きやな.

一方,仮面ライダーは世界平和を目指しているわけではない.

仮面ライダー・本郷猛は改造人間である.
彼を改造したショッカーは世界制覇を企む悪の秘密結社である.
仮面ライダーは人間の自由の為にショッカーと戦うのだ!

この超有名な前口上にあるように,平和ではなく自由を目指す.

この映画における,るり子のやり口はエグイ.

赤いマフラーを巻くシーンから始まって,アジトでの添い寝ツンデレ,一文字の開放,死に際のセリフ,遺言ビデオ...

本郷にしても一文字にしても「自由でなければならない」という逆洗脳を受ける...っつーか,まるでマキマさん? 支配の悪魔やん.

まぁ,現代っつーか,リベラル化した社会って「自己責任において自由でいなければならない」という洗脳下にあるかもしれんけどな.

あっそうか,この構図って,使徒(個体で完結)と人(共同体でなければ生きられない)のジレンマと同じやね.

カントクが,いつものテーマを,自分の大好きな仮面ライダーを使って,やりたい放題したことがものすごく伝わる映画でした.

エンドロールのメドレー.
『ロンリー仮面ライダー』がたまらん.

オススメです.

おっと,忘れてた.
これまた事前公開情報になかった立花さんと滝さん...なんだかファミリー化してる?

ここまで実績を作ると,もはや誰も止められない.
次の「シン」は何か?
一番作ってほしいのは『シン・ナウシカ』

『Good Night OPPY』を観た~感情移入せずにいられないッ

2023/3/9 Thu

最高の自撮り.

Zwiftの友としてAmazon Primeにて『Good Night OPPY』(2022)を観た.

おやすみ オポチュニティ

全くノーマークだった.

たんなるサイエンス・ドキュメントだと思って観始めたのだが,これがまぁ,まさかの感動超大作.
壊れゆくマシンに感情移入するなんて『攻殻機動隊SAC』のタチコマ殉職シーン以来...(さよなら,バトーさん.うう)

攻殻機動隊S.A.C. TRILOGY-BOX:STANDARD EDITION [Blu-ray]

さて,このドキュメントだけどドラマ(と言ってしまう)の主人公はNASAが開発した多脚型火星探査車,いわゆる「ローバー」「オポチュニティ」
「Opportunity」なので,愛称が「OPPY」となる.

同型機(そそるぜ)の「スピリット:Spirit」とともに,2003年7月に火星へ向けて打ち上げられた.2機は発射日を少しずらすことで着陸地点が違う場所になる.

着陸は2004年1月.ゆえに約7ヶ月の宇宙旅行.

当初は到着後90日間で活動終了と思われていたのが,なんと,スピリットは7年間活動.オポチュニティに至っては...とんでもない.

番組ではその開発過程から探査終了(機能停止)までを,関係者のインタビューおよび,CGによる再現映像で紹介している.

ただのマシンであるはずのローバーに対し,職員や関係者が抱く愛情や悲しみ.
過酷な環境ゆえに起こる数々のトラブル.
故障,スタック,砂嵐,システムエラー,バッテリー切れ...
(平均)約 225 億 54,6 万キロメートル離れた星にいる“彼女たち”を直接助けることは不可能.
人類は誰一人火星に行ったことはない.

彼女らに生命があるかのように心配し,世界最高峰の頭脳を持つスタッフが知恵を絞り解決を模索.
トラブル解消の暁時の喜び様は,視聴者にも,マシン相手であるという事実を忘れさせる.
まるで『宇宙兄弟』の日々人遭難エピソードのようだ.

ローバーのデザインも素晴らしい.
六本の脚,腕,羽(太陽光パネル),首と顔,それに目(レンズ)がちゃんとついており,まんまピクサーのアニメに出てきても違和感ない.
はっきり言ってカワイイ.
感情移入するのもさもありなん.

途中でメンテなどが一切できない状況であることを考えると,もっと無骨で無機質な形状になってもおかしくないのだが,その容姿はまるで生物.
河森氏あたりにデザインさせたら,アイボみたいに,もっととんがってかっこよく...とはならんか.

映像も素晴らしい.

もちろん,探査中のローバーを撮る者はどこにもいない.
送られてくる火星の写真を用いたCGにより,第三者目線で2台の活躍を紹介している.
全く違和感なし.
そりゃ最新技術で作られてるしな.

それだけに「認知症」(メモリが壊れ一度シャットダウンするとデータを消失してしまう)と「関節炎」(ホイールが回らなくなり,アームも十分に動かない)を患ったOPPYの最初で最後の自撮り写真が,リアルで泣ける.

解像度が低く,白黒でボケているが,紛れもないホンモノのポートレートである.
開発スタッフは実に13年ぶりに彼女の姿を見た.

オポチュニティはその晩年にかつて火星に水があった痕跡を見つけ,その後砂嵐に巻き込まれ,機能を停止する.実に15年の活動だった.

ちなみに,今現在もNASAのローバーが火星を探索中.

まず「キュリオシティ(好奇心)」
2012年8月着.

次に「パーサヴィアランス(忍耐)」
2021年2月着.

この2機,OPPYに比べるとゴツく,イカつくなった.
正に強化型.強そう.
太陽電池から放射性同位体熱電気転換器(原子力電池)へ.
こ,これは「ジャイアントロボ」

そして,パーサヴィアランスは脱着式のドローンを装備しているらしい.
こ,これは「電人ザボーガー」!
しかも,酸素の生成に成功したとか.スゲー.

いつか人類は火星に降り立ち,赤い大地に居住する日が来るのだろうか?

火星移住を考えるにあたっての火星のキホン~計画、環境、課題、Q&A~

火星モノの創作物で印象に残っているのは,まず『火星年代記』(1979)

火星年代記 THE MARTIAN CHRONICLES 日本語吹替音声収録 コレクターズ・エディション [DVD]

小学校の夏休みに,TVで一挙放映していたのを観た記憶がある.
学術系ではなくSF.
ラストで,水たまりに写った自分と家族の顔を見つめながら「ほら,火星人がここにいる」とつぶやくシーンが印象的(うろ覚え).

一方,リアル路線で書かれ映画化されたのが『The Martian:火星の人』(邦題:オデッセイ).

オデッセイ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

これは面白かった.
マット・ディモンのメンタル,ヤバすぎ.

ちなみに原作者のアンディ・ウィアーはベストセラー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も書いている.
こちらは現在,下巻を読書中.

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

実に面白い.
近々映画化だとか.
ロッキーのイメージ画がネットにいくつか上がっているが,もうタチコマにしか見えん.

うん?
火星ゴキブリことじょーじ? あーなんかそんなんもありましたね.

テラフォーマーズ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

1巻(だけ)は普通に面白い.

レトロフューチャーと未来の科学

2023/2/21 Tue

そんなのは古い.

朝,NHKのニュースにて「空飛ぶクルマ」の有人フライト実験を紹介していた.

「空飛ぶクルマ」人を乗せ高度30mまで浮上の試験飛行 大分

夢のある話で結構だが,あくまで浮上実験
日本における(?)実用化はまだまだ先だろう.
そういやずっと前から言われている「ドローンによる宅配便配達」って,どこまで進んでいるのだろう?

また「空飛ぶクルマ」が実用化されたとしても,人の手によるマニュアル操縦ではなく,自動で決められたコースだけを飛行するような気がする.
でないと危なくて仕方がない.
地上での自動運転すらまだ未解決.

しかし,先程のニュースに映った「クルマ」だが,果たしてこれは「クルマ」と呼んでよいのか?
少なくとも形状的に地上走行は無理っぽい.

その飛行試験を見ての子供の感想.

「ヘリコプターみたい」

あまりに正直な感想で笑える.

その昔,Eテレの『地球ドラマチック』で見た「トランジョン」はクルマ要素が強かったように思うが.

空飛ぶ自動車「Transition」、いよいよ2019年に発売–2人乗りで航続距離640km

かつて,SF映画やコミックで描かれたチューブ内を走るエアカーや,クルマの形状そのままで垂直上昇し,水平移動に切り替わる...やはりあれはレトロフューチャーどまりなのだろうか?

飛行機ではないが,クルマの形のまんまで潜水艇になる『007 私を愛したスパイ』(1977)のロータスには感動した.
実際は特殊撮影で潜行は不可能らしいけど.

フジミ模型 1/24 BOND CAR Submarine

「空飛ぶクルマ」に話を戻すと,現状「でっかいドローン化」が主流のようだ.
つまり現行技術の応用.

移動手段が馬からクルマになった要因,「内燃機関」の開発のようなエポックメイキングはからんでいない.

モノリス,飛行石,シズマドライブ,ナノミスハインなど,SF映画やアニメには画期的発明もしくはナニモノかにもたらされて,文明が進化するという描写が多い.

現状,常温核融合とかどうなってるんやろ?
超電導技術はMRIか.

日常,体感できる変化は通信速度の爆速化が身近.
ようするにスマホの進化が一番身近かな.
まぁ,これも既存の物理法則の拡大ではある.

つーことで,気になったので,この先に登場するであろう最新科学の成果をGoogle先生に聞いてみた.

実現可能性の高い、未来の科学技術10選

あれ?「空飛ぶクルマ」が入ってない.
空を飛ぶならパーソナル・ジェットパックの方が実用的?

『マンダロリアン』の第三シーズンが楽しみだ.

秋分の雨とDisney+で『マンダロリアン』

『ドクター・スリープ』から『IT』へ

2023/2/15 Wed

原作と監督と.

少し前,3本ローラーの友として『ドクター・スリープ』(2019)を観た.

ドクター・スリープ(字幕版)

映画史上に残る大傑作『シャイニング』(1980)からの39年ぶりの続編ということで,楽しみにしていたのだが,最初から最後まで「思ってたんとちゃう」という感想が拭えなかった.

心理的にグイグイ来る上質なホラー映画が,CG満載の陳腐な異能力バトルモノに変貌していた.

だがしかし.

この映画には裏事情があって,原作者のスティーブン・キングは映画の『シャイニング』を大酷評.監督のキューブリックをずっと恨んでいたらしい.

シャイニング (字幕版)

一方で,自分の原作に忠実な『ドクター・スリープ』は大満足&絶賛しているそうな.

こんな話,どこかで聞いたなぁ...って,そうや!押井守の『ビューティフル・ドリーマー』やん.

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [デジタルリマスター版] [Blu-ray]

これまた世紀の大傑作.
おっさんになって観ると,“あの頃”を思い出して泣ける.

ちなみに現在放送&配信中の令和版『うる星やつら』,Kazchariは最初の数話で早々に脱落.
メガネ(=千葉繁)がいないだけで,これだけつまらなくなるとは...(原作準拠なので仕方がない)

うる星やつら

それはさておき,『ドクター・スリープ』視聴後,おすすめに上がってきたのが同じくキング原作の『IT/イット “それ”が見えたら,終わり.』(2017)である.

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(字幕版)

長らく完結編の『IT/イット THE END“それ”が見えたら,終わり.』(2019)しか配信されていなかったので,視聴をパスしてきたが,これを機会にこの2本を連続で観てみることにした.

20年以上前に,あのレンガ=分厚い原作も読んだが,あまり印象に残っていない.
基本的に翻訳モノは苦手なせいもあるけど.

合本 IT【文春e-Books】 Kindle版

で,まず『IT/イット “それ”が見えたら,終わり.』の映画レビューである.
いわゆる「CHAPTER 1」.
何を今さらのネタバレで.

時代は1990年.

言うまでもなく最初からキング節全開.
「アメリカの寂れた田舎町」「校内ヒエラルキー」「悪ガキ」「いじめ」そして「夏休みのちょっとした冒険」って...おそらく世界で最も有名なキング原作『スタンド・バイ・ミー』と舞台設定がそっくり.

スタンド・バイ・ミー (字幕版)

もちろんあっちはリアル,『IT』はファンタジーやけど.

それしても,今も昔も憎悪うずまくデリーという街は色々ひどすぎて住みたくない.
ペニー・ワイズの誘拐&子供殺しの他にも.登場人物たちが毒親を殺しまくる.
ああ,ニッポンは平和でいい国だなぁ...

ところで,ペニー・ワイズの攻撃って物理なん? 精神なん?
被害者側の妄想が現実化してしまうタイプ?
そのあたりが適当なので,モヨってしまう.

個人的にこの映画の一番の楽しみ方は全編に漂うJOJO感.

デリーの街の雰囲気もそうだが,キーとなる「井戸の家」とか,スタンドっぽいペニー・ワイズやその手下どもの攻撃とか...むっちゃ杜王町してるやん!
そう,“みんな大好き”第4部の日常に潜む恐怖を存分に描いているのだ.

なんかキャラの言動もそれっぽい(特にリッチー).
つーか,荒木飛呂彦先生も,どこかの媒体で「キングの大ファン」と公言してたはず.

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

パクリ...ではなくリスペクト?

参考までにJOJO第四部の連載期間は1992年~1995年.
スティーブン・キングの原作が翻訳されて出版されたのは1991年.

「あぁ,こりゃ荒木先生,忙しい連載の合間を縫って,原作読んだなぁ.それでヴィジュアルイメージを第4部に落とし込んだのかー」と勝手に想像.

と,思ってたら,1990年にTVドラマ版が製作されていたらしい.
Kazchariは未視聴だが,先生はこちらを観られたのだろうか?(※個人の想像です)

そして,ラストシーンで「これが恐怖か...」とつぶやきつつ穴の底へ落ちていくペニー・ワイズ.
これもどこかで見たなぁ...って,『仮面ライダーW 運命のガイアメモリーAtoZ』の,エターナルの最後のセリフ「これが死か...」と同じやん!
さすがにこれは無関係か?

引き続き『IT/イット THE END“それ”が見えたら,終わり.』,つまり「CHAPTER 2」を鑑賞.

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり.(字幕版)

時は(もちろん)27年後の2016年が舞台.

こっちは...全然あかん.
何これ?

CHAPTER1と同じ展開を,27歳分老けたおっさん達が騒ぎ,逃げ惑いながら,なんとなく気合と根性と思いつきでペニー・ワイズを倒しただけ.
万能感が肥大した相手に,罵詈雑言で戦うって...ネットリンチの暗喩?

前作は子供が恐怖を克服して必死に戦う(=成長)から,まだ見れたが,これはないわー.
で,とってつけたように影の薄かったスティーブンの手紙で感動させるようと...するかー!

気になったのは,40歳になった登場人物たち,誰にも自分の子供がいない.
記憶を失ったとは言え,27年前のトラウマ(子供が消える)を引きずっているから?

いずれにせよ,こっちは不要.
完全に時間の無駄だった.
原作もこんなんだっけ?

不快の排除,残酷への耐性

2023/2/14 Tue

きれいは汚い,汚いはきれい.

先日のこと.
同僚の息子さんが通う小学校の教諭が「チェンソーマンを見てはいけません」とおっしゃったそうな.

ひどい話である.
年配の教諭らしいが,一体どの様な半生を歩んできたのやら.

ここは「先生(大人)に言われたからではなく,自分で見てから判断せよ」「友達が見ているからと無理に合わせる必要がない」とか言うべきだろう.

それとも「勘違いした監督のせいでアニメのデキがひどいから原作を読みなさい」というマニア視点からのお達しなのか?(←絶対ない)

もし三者面談などで,Kazchariの目の前でこの発言しやがったら(サブカルファン代表として)徹底的に論破してやる...と,昨今のホワイト化社会には違和感しかないが,世の中は着実にこの流れ.

以前の記事でも書いたが,ルパン三世の最新作(?)でも,ルパンと次元はタバコ吸わないし,不二子はバイクに乗る際にヘルメットをかぶる.

3本ローラーの友~最近観た映画やドラマのざっくりレビュー

これに関しては『カリ城』で次元が「そろそろおっぱじめるか」と吸い殻を捨てるシーンも,以前は全く気にならなかったのに,今見ると「もやっとする」という意見すらあるそうだ.
古い世代の人間ですらも毒されている感がある.

元々,実写ドラマでは「警察がうるさいから」と,逃走する強盗犯もシートベルトをちゃんとするので最近のコンプラ事情のせいとは一概に言えないが...ってアニメやで,ファンタジーやでルパンは.

だがしかし,問題はそこではない.

Kazchariの子供時代(昭和)のテレビなんぞ,エログロナンセンスのオンパレード.
『ウィークエンダー』の再現フィルムは完全にAVやし,『ドロロンえん魔くん』やら『妖怪人間ベム』なんてトラウマもの,『まいっちんぐマチコ先生』はセクハラ,『8時だよ全員集合』はお下品,ドラマもいじめやらレイ◯やら陰惨極まりないものだらけ.

でも...しっかり見てた(から知っている).

うちの親はあまりうるさくなかった.
まぁ「見るな」と言われたとしても,こっそり見てたやろな.

そして歪みもせず,ちゃんとした(?)オトナになり,人生を楽しめている.

幼少期に快/不快を含む,様々な感情に触れていないと,将来的に自身の感情に気づきにくくなる,または処理できなくなるオトナになるのでは?
純粋培養は辛いだけ.

うちのJK娘は,将来映像系の仕事に就きたいらしく,大学も関連学部を狙っている.
だからこそ(Kazchari基準で)クリエイティビティに富む良質なコンテンツを多々薦めているのだが,「残酷シーンある? じゃあダメ」と完全拒絶.

例えば,現代の教典に等しい大傑作『進撃の巨人』なんて,コミックもアニメにも全く手を付けない.

進撃の巨人(1) (週刊少年マガジンコミックス)

進撃の巨人

『水星の魔女』も例のハエ叩きを見たくないからと12話はパス.プロローグもアウト.

機動戦士ガンダム 水星の魔女

さらには昨今のタイムリープ物随一の傑作『サマータイムレンダ』
先日,「面白いから」と詳細な内容を教えずに見せたところ,一話のラストシーンで「二度と見ない」と脱落.なんじゃそら.

サマータイムレンダ

うちの10歳の息子ですらほぼ同様.
ロボ好きなので,これまた才能あるオタ監督に大金を渡して自由にさせたら,とんでもない映画を作りやがったの『パシフィック・リム』を見せた.

パシフィック・リム(字幕版)

冒頭のエヴァ+マジンガーっぽい発進シークエンス.
あのBGMと相まって,何度見ても大興奮のKazchariと異なり,息子は妙に冷めた表情.
おかしい.ここで感動しない男子に育てた覚えはないのだが.

挙げ句のはてに,ジプシー・デンジャーのコクピットが吹き飛ばされて主人公の兄貴が死亡.
それを見て「とーちゃん,オレもうだめだ,見ない」とのたまいやがる.
息子曰く,アニメだと平気だが実写の人間はダメらしい.軟弱かっ!

と,こういう子供らだが,なぜか『ガルパン』『鬼滅の刃』は平気.
あのレベルまでシチュエーションやキャラをデフォルメしないと,感性が受け付けないのだろうか.

問題の根は深い.
こうした認識だと,先人が残した数々の芸術作品も「汚いから」「残酷だから」「暴力的だから」という理由だけで鑑賞を拒絶し,作品の真髄に触れないままスルーしてしまうのではなかろうか?
こうした人間ばかりになると,当時の世相や個人の思想を深く,鋭く反映した文化や芸術が受け継がれない.

実にもったいない.
好奇心より精錬潔白,ココロの平穏だけを望むのか?
こりゃ,悪意を持って接近してくる奴らにあっさりと騙されるわけやな.

子供らに嫌われようとも,Kazchariは伝え続けるでぇ.良いものは良いのだ.

世の中の汚い面も知ろう.
その中をサバイバルし,光をつかもう.
『Gレコ』のエンディングみたいになっちった.

ついでに言うと,Kazchariはゴダイゴの『銀河鉄道999』が好きだ.
特に2番冒頭の歌詞.

以前,記事にもした.

ゴダイゴ『銀河鉄道999』English ver.

現状に満足していては,喜びは得られない.

そして自分の喜怒哀楽に向き合って,清濁併せ呑もう.

『閃光のハサウェイ』を読んでみた~第二部以降を勝手に予想

2023/2/9 Thu

やってみせろよ!

先日,『閃光のハサウェイ』(閃ハサ)のTVエディション全4話の放送が終了した.

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 【4K ULTRA HD Blu-ray】

Kazchariは本作を劇場で鑑賞済み.
Bluray販売前提あるあるの特別上映とやらで,¥1,900だったのが,なぜか悔しい.

長大な宇宙世紀エピソードの一本,さらに3部作の第一部ということで,完璧に途中から始まり途中で終わる.
まずいないと思われるが,もし一見さんがいたら面食らったやろな.
いや,いわゆるガンダム“ニワカ勢”にもキツイかもしれない.

かく言うファースト世代のKazchariも,鑑賞直後の満足度はあまり高くなかった.
理由は...何だろ,あまりに地味に思えたからだ.

現状の最新作『Gレコ』ほどではないが,富野節全開の電波セリフが飛び交うやり取り.
感情を抑えに抑えた登場人物たち.
丁寧だが画面が暗すぎて,何が起きているのかわからない戦闘.

言うなれば,これまでにない大人なガンダム.
ダニエル・クレイグの『007』っぽく,ハリウッドというより欧風テイスト.

印象に残るのは,ストーリーよりも,ダバオ市街戦での,降り注ぐ火花,仲間に拾ってもらうため街と海岸沿いをさまようハサウェイなどのヴィジュアル.
美しく,実に上品.

ただし,陣羽織もしくは被り物デザインのクスィーとペーネロペーはどうにも好きになれない.

その後,早々にAmazon Prime Videoで配信が開始.
2回観た.

そこで気づいた.
このアニメ.スルメ的に噛めば噛むほど味が出る.
まるで複数回鑑賞を念頭に置いて作られているようだ.

そこで,その前日譚にあたる劇場版『逆襲のシャア』(逆シャア)を再鑑賞.

U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

そのボツシナリオを小説化した富野御大の小説『ベルトーチカ・チルドレン』(ベルチカ)を読了.

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン (角川スニーカー文庫)

さらには,さびしうろあき氏作画のコミック版『ベルチカ』(全巻)『閃ハサ』(1巻)も読んだ.

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン(1) (角川コミックス・エース)

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(1) (角川コミックス・エース)

そして,今回のTVエディションの放送である.
細かなカットや追加シーンもあるにはあるが,「これは」といった大変化はない.
歓迎したいのは,個人宅の小さい画面での視聴を考慮したのか,夜の場面が明るくなったこと.
特に第四話クライマックスの戦闘シーンで,その恩恵が大きい.

いずれにせよ,今ではすっかりお気に入りのガンダム作品になった.
2作目の公開が実に待ち遠しい.今度も¥1,900払います.

さて,その2作目は公開日未定.
タイトルも『サン・オブ・ブライト』という仮称である.

スタッフによると主戦場となるオーストラリアのロケハンが難しいため,製作が遅れているそう.
すげーな,実写映画みたいやな...って,ジブリ映画も押井映画も現地ロケハンは入念に行うらしい.

そして,大まかなあらすじは知っていたが未読だった角川スニーカー文庫の『閃ハサ』の原作(上中下)を読んでみることにした.

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(上) 機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ (角川スニーカー文庫)

まず上巻.

もうびっくりするくらい映画と変わらない.
セリフもほぼ同じ.

小説なので,キャラの心情も文字起こしされているのだが,アニメではそれらを表情やしぐさ,それに声優の演技でカバーしている.
素晴らしい.
最近の説明過多の実写邦画も見習うべき.
監督や脚本家がいかに原作を読み込んでいるのかがわかる.

小説には美樹本晴彦氏のイラストも収録されている.
ハサウェイはまんま(当然)だが,ケネスはアニメよりおっさん,逆にギギは幼い.
ふたりともアニメ版の方がイメージに合う.

で,中巻.

そもそも3部作の真ん中は作りが難しいとされる.
唯一無二の成功例は『スターウォーズ 帝国の逆襲』だろう.
ちなみにKazchariの劇場版SWランキングは順に「Ⅴ>Ⅲ>Ⅳ>Ⅱ>Ⅵ>Ⅰ>Ⅶ>Ⅸ>(越えられない壁)>Ⅷ」である.

中巻ではオエンベリにおける反地球連邦ゲリラの虐殺事件が中心に描かれる.
ただし,ハサウェイ達が到着したのは事後.
映画的には,連邦側(キンバリー隊)によるエグい所業の描写がありそう.

ハサウェイがからんでいないので,ペーネロペーによるヴァリアント撃沈はナレーションのみ.

ギギは香港での快適な(?)愛人暮らしを捨て,ケネスの部隊に合流し,ニュータイプ能力っつーか,持ち前の洞察力で隊を勝利に導いて女神化.
エアーズ・ロック見学中に,ギギはマフティー側へ.
ハサウェイと再会して中巻は終了.

映画的にはここで主題歌inか.

これだと,90分保たせるのは大変かもしれない.
監督も「第二部は原作と最も話が変わる」と語っている.
他にも「富野要素を省いたけど,やっぱり追加した」「まだ絵コンテもできていない」などの発言もあり迷走中.
こりゃ今年の公開は無理やな.

で,勝手に第二部以降の追加要素を考えてみた.

1)新メカ投入⇒ガンプラ化

ただでさえ登場MSの少ない本作品.
財団Bが黙っていないだろう.

そこでMSVの大量投入が期待できる.
『UC』のMS大運動会の再来やな.

そして主役2機への追加装備かフォームチェンジ,もしくはMG販売?

さらに,後の時代におけるMS小型化につながるナニカの事情.
アナハイムの衰退からサナリィの攻勢も.

2)ブライト家の事情

ブライトの出演は確実.
小説にもミライとの会話もあるけど,プラスαが欲しい,
いくらなんでもレストラン経営は唐突では?
そして『ベルチカ』後のハサウェイの軍隊生活.
やがて,反連邦テロリストになっていく様をじっくりと描くのではないか.

ちなみにコミック版冒頭にマンサンとかクワック・サルヴァーとの会話シーンおよび,クスィー受領前(月に上がる前)のダバオでの戦闘が追加されている.
第二部でも使えそう.

3)ケリア他,マフティー仲間との交流

第一部の最後にぽんと出てきた短髪赤毛のケリアさん.
その髪型の理由(コミック版にある)と恋人になったエピソード.
ギギのメイスさん煽りよりも重要.
他のメンバーとの交流も欲しい.タンカー2隻で対地球連邦テロとか...

で,いよいよ(下)こと第三巻へ.

ここは第二部の展開次第でガラリと変わるかも.
もしかして生存ルートあり?
さすがにないと思うけど,劇場版『Z』の例もあるしな(Kazchariは否定派).

下巻冒頭の夜,ハサウェイは据え膳食わずに,ギギと小難しい話を展開.

ギギとキンバレー隊の解放と逃亡のくだりはあまり面白くない(盛り上げにくい).

で,いよいよ見せ場のアデレード決戦.
次々に殺られるマフティーのメッサー,
エメラルダは死に,ガウマンは生き延びるが,映画ではどうなる?

ペーネロペーとの最終決戦.
ビームバリアという謎兵器の射程に追い込まれるクスィー.
画的に地味になりかねん.

墜落し,レーンに無理やりコクピットを開けられる.
そこには全身にやけどを負ったハサウェイ.
拿捕されてしまう.

そして...ここからはドラマ的に最大の見せ場.

看護師との交流.
ケネスとの会話.
間に合わないギギ.
何も知らないブライト.

さすがにここは変えないで欲しい.

ハサウェイとブライトが親子だったことは,軍の正当性,士気向上のために利用される.
この小説のスゴイところは,最後の最後までブライト自身の言葉が一切書かれていないところ.
さすがの富野さんも書けなかったのか?
超難題だが,アニメではどうする?

そして,ラスト,身の危険を感じニホンへ向かうケネスとついていくギギ.
ここでギギの上巻での発言が回収される.上手い!

つーことで,原作小説を元にした第二部以降の勝手な予想でした.

それにしても,ニホンのアニメ,ホンマに画がキレイになったなぁ.
CGにしてもかつてほどの違和感はほぼ消失.
その分,内容が問われる時代とも言える(ああ『アバ2』...).

マフティーの主張は「地球環境保全のために,全ての人類は宇宙に出るべき」である.
そのため,地球在住の特権を得ようとする支配層を粛清するというテロ行為に出る.

さらに,この違いが大きいと思われるのが『逆シャア』と『ベルチカ』でのハサウェイの「罪」である.
クエスを撃ったのは映画だと(アムロの恋人の)チェーン,小説だとハサウェイ自身.
『閃ハサ』の前日譚は『ベルチカ』.
ゆえに何度もうなされるし,幻覚もみる.

ハサウェイは既に壊れている.
これは処刑を告げられた際の達観にもつながっている.
生への執着は非常に薄い(叫びそう...という表現はあるが).

劇場版の『閃ハサ』は,ダバオの風景,特に海の描写が恐ろしいくらい美しい.
タクシーの運ちゃんも言っていたが,この風景を見せられて,地球汚染と言われても...とハサウェイ(や視聴者)の信念を乱す目的もある?

「地球はそれほどヤワではない.人間がヤワなだけ」という不都合な真実.

一方で宇宙世紀105年ではコロニーの老朽化が問題になっているらしい.
人工物には限界がある.

地球に残るも,宇宙に行くも地獄.
人類は滅びるしかないのか?
水星(『水魔』)もしくは木星(『クロスボーン』)に移住?
順当に火星(『鉄血』)か?

『ガンダム』とはまだまだ長い付き合いになりそうだ.楽しませてくれる.

んが,実は『イデオン』の方が好きという事実は認めなければなるまいが.

3本ローラーの友~最近観た映画やドラマのざっくりレビュー

2023/2/3 Fri

向き不向き.

iPhone11 pro

冬の間,Kazchariは4台の自転車を室内保管している.

TREK TCT5000 ⇒ ベッド脇に設置した3本ローラー用.
Specialized FATBOY ⇒ 通勤&外ライド用で玄関土間に駐輪.
TREK DOMANE SLR7 ⇒ スマートトレーラー『Tacx Neo Smart』に装着.Zwift用.
TREK EMONDA SLR7 ⇒ 自室に縦設置.

うち,DOMANEは毎年恒例のオーバーホールで現在ドック入り.
仕上がってくるのに10日ほどかかるらしい.

帰ってきたTREK DOMANE SLR7~3度目のオーバーホール

うちのスマートトレーナー『Tacx Neo Smart』は初代モデルで,11速のギアを付けている.

つまり...

TCTは10速モデルなので不適応.
EMONDAは12速の上,スルーアクセルなので不適応.

となる.
まぁ,スプロケ交換したり,オプションのシャフトを購入すれば,こいつらもTacxに装着できないわけではないらしいが,正直,面倒である.

結論.

「12月に納車したものの,外ライドはまだ無理」なEMONDA+3本ローラーでポジション調整したり,身体を慣らすことした.
これまでもお試し的に2,3度乗ったが,タイヤの減りが嫌で避けていたのだ.

アガリの一台~TREK EMONDA SLR7 First Light

Kazchariのトレーニングルーティンはだいたい21時から22時の1時間ほど.
Zwiftならともかく,3本ローラーを1時間漕ぐのはひたすら退屈.

3本ローラーは寝室,ベッド横に設置してある(コケても安心だ)
テレビを見ながら漕いでいたが,レイアウト的に視線が右方向となり,ポジションが崩れてしまうためあまり利用したくない.

つーことで,正面に一脚+テーブルで作ったスタンドにiPadをのせて「NHK+」「Amazon Prime Video」などのサブスクを鑑賞するパターンに落ち着いた.

iPhone11 Pro

SLIK 一脚兼簡易三脚 スタンドポッド STAPOD

Actnow 三脚スタンド 対応 テーブル 台座

そして3本ローラーは何しろうるさい.
iPadのスピーカーだと何も聞こえない.
よってワイヤレスイヤホンで接続.
Kazchariは安定と安心のAnkerを使用中.

Anker Soundcore Liberty Air 2

さて,このような環境下,最近鑑賞した映画やドラマのざっくりレビュー.

以下,ネタバレ含みます.

【インビクタス 負けざる者たち (字幕版)】

イーストウッド映画に外れなし.
ただし『ミリオンダラーベイビー』『グラントリノ』など,鑑賞後,そのあまりの内容の重さ・深さにメンタルが「どよーん」と落ち込むことがあるのだが,こいつはそうでもなかった.予想以上にシンプル.

実話なので,いきなりテロを起こしたりはできないからそこは仕方がない.
Kazchariはラグビーに興味ないけど,まずスポーツ映画としてよく出来ている.

そして,南アと言えばアパルトヘイト.
とは言え,差別反対を声高に訴える映画ではない.
その主張は静かだが強い.

マンデラが収監されていた刑務所および独房が映し出される.
ここで27年間過ごしたのだ.
その劣悪な環境下で捨て鉢にならず,自己を律して生き続ける.
凄まじい人生としか言いようがない.

一番好きな場面は,決勝戦のスタジアムの外で,空き缶拾いの黒人少年と白人のタクシードライバーが,試合進行とともに徐々に打ち解けていくシーン.ベタやけどな.

先程は「落ち込まない」と書いたものの,「旅行者の犯罪遭遇率300%(つまり1日に3回犯罪に巻き込まれる)」という,いささか大げさな悪評が絶えないヨハネスブルグ.
訪れたことはないが,それは今も変わらないらしい.

【2023年】ヨハネスブルグの治安情勢まとめ!旅行者が注意すべき危険ポイント

【ルパン三世VSキャッツ・アイ】

『vsコナン』以上に無茶なコラボと言われた本作.
まず物語として,前半は割りと面白かったけど後半がなぁ...
結局,真犯人のおっさんが何者なのか,何が目的なのかイマイチわからん.
スペシャルの割にはスケールが小さい.
それに,銭形の扱いが残念.

懸案のキャラデザはどちらの作風にも似せないパターン(つってもルパンはシーズンごとに顔が違うけど).
今風な画で統一され,さほど違和感はない.

ただし問題は声.
もはや栗田貫一すら老人声(劣化とは言わない).
ましてや「泪」を除き,オリジナルのままのキャッツ陣は...
確かにみなさんプロの声優さんである.
でもなぁ...
思い切って新キャスで良かったのでは? キャラデザも違うし.

そうそう,Kazchariの記憶に間違いがなければ,ルパンと次元の喫煙シーンがなかったはず.時代やな.

【ライト/オフ(字幕版)】

「出るぞ~出るぞ~からのバン!」系のびっくりホラー映画.
アバン(?)の縫製工場でお父さんが襲われるシーンが,いや,ここだけが怖かった.
不安定なローラーに乗りながら観る映画とちゃうなぁと思いつつ,続きを鑑賞.

徐々に”びっくり演出”にも慣れ,何より”ナニカ”の正体がわかり,その造形を見せてしまう.
結局,ダイアナは物理的に存在? それとも観念的な存在?(明らかに前者としての描写)

もしかして「その正体はお母さん自身でしたぁ」とかいう展開かとも思ってたけど,ダイアナはダイアナで実体化.

そして「こんなん,どうやって倒すねん」からの母の犠牲エンド.
しかあし,肝心の母と娘の過去を含む親子の交流がほとんど描かれなかったせいもあって,母親の決断に感情移入できない.

「アイデアは面白い.けど設定の詰めが甘い」と思わせるもったいない映画だった.

似た系統のホラーだと『IT FOLLOWS』の方が好み.これは後を引く.

映画『IT FOLLOWS』を観た~それはアレで感染する

大奥(NHKオンデマンド)】

現在,NHK火曜日10時枠で放送中.
面白いっつーか,NHK大暴走.
莫大な予算と資産(セットや衣装)をぶっこんだ映画クオリティのSF時代劇.
こりゃ民放かなわん.

ストーリーは漠然と知っていたし,テレビや映画でもやっていたことは知っていたが興味はなかった.
「どうしたいのかわからない大河よりもはるかに面白い」という噂を聞いて視聴開始.見事にはまった.

何しろ全ての役者が素晴らしい.
特に...斉藤由貴はバケモノか.

吉宗→家光→綱吉と,某FSSなみに時間軸が移動する構成も興味深い.

原作コミック完結に付き,大政奉還まで映像化するとのこと.
楽しみだ.

つーことで,いい時代やな.
退屈させない...って,前回のデトックス話はどこいった!?

ぼっちライドは退屈なのか?

それにしても室内ライドとは言え,EMONDA速いわ.

気のせいではなく,TCT5000とは平均速度が全然違う.
諸事情によって,TCTはフロントインナー縛りのせいもあるけど.

EMONDAはBB周りの剛性感とDi2のチェンジが心地よい.
これが価格と機材進化の差ってヤツか.

昨年のモンキー125,つまり舗装路での初実走は3/25となっている.

モンキー125,2022年シーズンスタート!

オートバイが走れるならロードバイクもOKのはず.
うーん,まだまだ先やな.

ぼっちライドは退屈なのか?

2023/2/1 Wed

孤独と孤高.

いつも“刺さる”ネタを提供してくれる「cbnblog」
少し前の記事に興味深いモノがあった.

「はじめてぼっちロングライドするんだけど退屈しないか心配」という危惧に寄せられた意外なアドバイスとは

まぁ,この質問自体がKazchari的にはナンセンス...ではある.
100kmも走れば,様々なものを観察できるし,自己と向き合うこともできる有意義な時間そして何より...自由だ.

この質問(?)に寄せられた回答が面白かった.

「あなたは退屈してみたほうが良いことがあるかもしれない」

「サイクリングは私が覚醒中に唯一スクリーンを見ていない時間です」

この2つには共通点がある.
デジタルデトックスの重要性だ.

我々は普段の生活において,睡眠以外の時間を埋めるためか,常にモニターを見続けている.

ここで思い出されるのが名作『1984』

1984 HDニューマスター版 [Blu-ray]

いわゆるディストピアがテーマ.
『時計じかけのオレンジ』のレビューを書いた時にも少し紹介した.

数十年ぶりシリーズ~『時計じかけのオレンジ』を観た

数十年前,初めて『1984』を観た時のインパクトは忘れられない.

舞台は近未来の全体主義国家.
人々は実在の怪しい“ビッグブラザー”と称される絶対権力者に支配され,常に監視されている.
この世界では,基本的にどこを向いても「テレスクリーン」と呼ばれるTVモニターが設置されている.

テレスクリーンからは,政府発信の映像や音声が常に流され続けており,勝手に電源を切ることはできない.
一方で監視カメラの機能もあり,国民の一挙手一投足,全ての情報が国家に送られている.

そこに抗う一般人の奮闘(?)を描く話...なのだが,これ以上ないくらいのバッドエンドは鳥肌.

余談だが,この作品をリスペクトした『未来世紀ブラジル』と内容がよくごっちゃになってしまう.

未来世紀ブラジル [Blu-ray]

こちらはビジュアル的にも,その狂気がパワーアップしている.
デ・ニーロも出ています.

さて,こんな常に監視されるモニターだらけの世界って嫌やなぁ...と思っていたけど,2023年現在,まさにこの世界が現実化している.
しかも,人々は自ら進んで膨大なコンテンツの消費に多大な時間を費やしている.

デジタルデトックス~無料快楽コンテンツの罠

非難・批判する気はない.
Kazchariの生活もかなりひどいものだ.

起床後,洗濯物を干しながらYouTube.
台所の洗い物をしながらYouTube.
仕事の半分はPCでデスクワーク.
帰宅後はブログ書き.
Prime Videoを観ながらZwift.
風呂上がりは大腿のマッサージをしながらYouTube.

絶賛依存中.

若い頃にインターネットという究極の娯楽がなくて,本当に良かったと思う.
”退屈”のあまり,海の向こう,山の向こうを想像し,気になり,実際に行ってみた(一面もある).

そして旅先では何もしない時間も尊い.

ダイビング旅では海外のリゾートに滞在する.
空き時間にビーチやプールサイドでリクライニングに寝そべりながら目を閉じる.
視覚でなく,肌で南国の太陽を感じる.

インプットもアウトプットもなし.
ひたすらインナースペースへ.

「幸福だ」という言葉が頭をよぎる(『太陽がいっぱい』か!)

デジタルだけに言及してしまっているが,デトックスには他者,つまり日々の人間関係も含まれるだろう.

ここ数年,新コロのせいで「ソロ◯◯」「一人◯◯」が流行った.

こういう言葉がわざわざ取り上げられるということは,ぼっち=マイナーという証なのだろう.
Kazchariの周辺でも「一人ではどこへも行けない」というヒトが老若男女問わず多数存在する.

Kazchariはぼっちが好きだが,人嫌いというわけではない.
たまーのグループライドやイベント参加は楽しいと思う.

秋の望岳台からのグループライド

冬のキトウシ・キャッスルライド

たまーの,”ノン・ぼっち”だから価値がある.

Kazchariの愛読書にリチャードパックの『イリュージョン』がある.

イリュージョン (集英社文庫)

名言のオンパレードで事あるごとに読み返している.

特に以下は「ぼっち」を考える上で重要.

「やりたいことだけをだな,やり続けていくと,類は友を呼ぶの法則に従って,俺達から何かを学ぼうと思う人達を引きつける,そして俺達もまたその人達から何かを学ばなくてはいけない」(p155より引用)

いやもう,掛け値なしに素晴らしい.
ここに「ぼっち」の本質がある.

ただし,この本は訳者の村上龍のクセっつーか,意訳&創作部分が前面に出すぎており,そこが批判されることもある.

Kazchariも気になったので,別の訳者の同パートを読んでみたら全く違っていてびっくり.

イリュージョン 悩める救世主の不思議な体験 (集英社文庫)

よくも悪くもこの新訳版は冗長というか,原文に忠実過ぎ?
ホンマは原著を読むのがええんやろうけど,結局は頭の中で日本語に訳してしまうしな.

話がだいぶそれてしまった.
ようするに「孤独と孤高は違う」という話でした.

あれやね,『ぼざろ』のぼっちとりょう先輩みたいなもんか.

ぼっち・ざ・ろっく!

さぁ,今度の週末,いやいやこれからも,どこへ行ってやろうか.