ジョジョの奇妙な犬神家?~『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

2023/12/2 Sat

もしくはゲゲゲの岸部露伴.

近くのイオンシネマにて『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た.

株主優待で¥1,000(+ドリンク付き)はありがたい.

巷で話題のこの映画.
全くのノーマークだった.

大阪に住む(ヲタな)義妹が鑑賞し,いたく感動.
売り切れだったパンフレットを旭川で購入できないかとの依頼があった.

で,改めて確認してみると,予想外のスマッシュヒット.
あちこちで大評判らしい.
これは是非とも観に行かねば.

まずはKazchariの鬼太郎知識.

さすがに1960年代にスタートしたコミックではなく,アニメから入った.
Wikiによると,アニメはこれまで第6シーズンまで制作されている.

ゲゲゲの鬼太郎

さすがに1968年のモノクロは視聴していない(再放送はあるかも).
おそらく観ていたのは年齢的に1971~72年放送の第2シーズンだろう.

「鬼太郎と目玉おやじ」と言えば「野沢雅子+田の中勇」の組み合わせが刷り込まれている.

それにしても息の長いコンテンツだ.
結果,日本人なら大人から子供まで,誰もが目玉おやじ,猫娘,ねずみ男,こなきじじい,砂かけばばあ,ぬりかべを知っている.
一部『ドロロンえん魔くん』と混同する場合も...(ない)

そういや原作者の生涯が朝ドラになり,年末の総集編を観た記憶がある.

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衝撃的だったのが,2008年深夜アニメとして放送された墓場鬼太郎

墓場鬼太郎

かなりアレンジはされているが,雰囲気は原作通り.
不気味なキャラとダークな展開.
映像表現も実験的.
正義の味方でかっこいい鬼太郎しか知らない子供たちには見せられない内容(深夜です).

これを観る前までは,鬼太郎が片目なので「目玉おやじ=鬼太郎の左目」だと思い込んでいた(違います).

と言いつつ,この『墓場』,全話見たはずだが内容はあまり覚えていない.
ただ,主題歌の『モノノケダンス』はめっちゃ気に入って,iPodのお気に入りにin.

つーことで,ようやく今回の新作映画の話.

キャラ設定のベースである猫娘がやたらにかわいい第6シーズンは未視聴,『墓場鬼太郎』の内容は忘れている,原作コミック未読,それに映画の情報もカット,もちろん各感想サイトもシャットアウトしていたので,実に新鮮な気持ちで鑑賞.

感想は...えー,タイトル通りの「横溝正史あるいは岸部露伴シリーズっぽい話やなぁ」でした.

※ 以下,あらすじとネタばれです.

舞台は昭和31年.
巨大製薬会社を経営する龍賀家の当主,時貞が突然死.
時貞には後継ぎ候補の男子が複数いた.
長男の時麿,次男の孝三,娘婿の克典,そして娘の生んだ時弥(孫)である.

ただし,長男と次男は精神に問題を抱えているようだ.
孫はまだ幼い.
ゆえに娘婿の克典が跡目濃厚と思われた.
血液銀行の職員「水木」は,かねてより取引関係にある克典の当主就任祝い,および「M」と称される薬の秘密を探るため村を訪れることになった.

『千と千尋』ばりの怪しいトンネルを抜けると,中心に広大な湖を有する農村.

水木は謎の老婆ならぬ,美少女と少年に偶然出会う.
彼らこそ龍賀時貞の孫たちであった.

龍賀本家,分家一同が介し,そこで弁護士が時貞の遺言状を読み上げる...おおっ,ここまではモロに犬神家!
そこへ現れる白塗りの長男! スケキヨか!
これ完全に狙ってるよな.

案の定,遺言状は(無能と思われている)長男,時麿を後継者に指名していた.
場は紛糾し,親戚入り乱れての大乱闘となる.

結局,時麿が当主となり,何らかの儀式のため祠に入ることになった.
だが,翌朝,その祠にて片目に神具が突き刺さった時麿の死体が発見される.

隔絶された村社会.
そこを牛耳る古い因習の旧家.
跡目争い.
謎の死体.

正に横溝.
ここまでは超好みの展開.

そこへ,よそ者を捕まえたとの報告が.
このよそ者こそが鬼太郎の父,のちにゲゲ郎と称される人物である.
「自分は妻を探している.そしてこの村にたどりつた」と訳の分からぬ話をする.

ゲゲ郎は時麿を殺した犯人扱いされ,村長である長田の指示で斬首されそうになる.
この時点でこの村が治外法権であるとわかる.

それを見ていた水木が止めに入る.
座敷牢に入れられるゲゲ郎.
監視役に指名された水木とともに,その後起こる連続殺人事件を調査,解明していく...

という話.

PG-12指定の理由は,たぶん龍賀家一族の殺され方による.
これまた横溝ばりの何らかの見立てっぽい(だけで深い意味はあまりない).

そして,真犯人は〇〇だったという,現代のコンプラではなかなか厳しい設定(よくやった).
本人というよりも,文字通り“幽波紋”っぽいアレのせいだが.

一見被害者に見えて実は...という展開は別に珍しくないが(『夢幻紳士 怪奇編』にも似たような話があった),主役(?)の水木が誠実&不屈なキャラだったので,結果的に呪いが拡散せず,日本が救われたとも言える.
ここは水木の「激戦地の生き残り」という設定が活かされている.

映画鑑賞後,原作コミックをAmazon Kindleで検索.
unlimitedにでもなっていれば最高と思ってたら,なんと2年前に3巻まで購入していた(失念).

ゲゲゲの鬼太郎(1)

早速第1巻をダウンロードして読む.
へぇー,映画のエンドロールの挿絵はここから引用されてたんや.
文字通り前日譚だったんやね.
ただし,水木のキャラ造詣は全然違う.

この映画一番の話題はなんと言ってもゲゲ郎とその妻,つまり鬼太郎の母であろう.
そのビジュアルと関さん沢城さんボイスも相まって,原作の「ミイラ男とお岩さん」とのギャップがすごい.
なかなか強引な方法でうまくつなげたなぁ.

あれ? ここまでまともに感想書いてない.

前半の横溝展開は良かったが,後半の妖怪パートになると失速.
戦闘シーンの作画もキレイと言えばキレイなのだが,昨今の“ぶっとんでる”TVアニメのクオリティに見慣れているとそれほど目新しくはない.
巷で騒がれるほど,胸糞でも号泣展開でもないっつーか,Kazchariの感性にはあまり響かなかった.

例えば...

ゲゲ郎が「血液バンク=Mの供給源」に ⇒ 「不要だから」と,手足を切り落とされそうなる(『バビロン』か!) ⇒ となると,既に鬼太郎母もダルマ? ⇒ そんなん見たくないけど,これだけ“胸糞”と言われているからには...⇒ (発見後)あれ?普通やん.美人やったんが原作準拠のお岩さん顔になっているだけ?

と肩透かし(趣味悪すぎるやろ).

他の「目ぇ見開いて倒れている水木が死んでいなかった」とか,これまた胸糞要素と思われる「実は〇〇が〇〇に捧げられていた!」みたいな話も横溝ワールドではよくあるしなぁ.

ようするに,鑑賞前にハードルを上げ過ぎていたようだ.

本編の10数年後に鬼太郎と猫娘が村を再訪し,時弥の魂を解放.
始まりと終わりがキレイにつながった点はすっきりする.

結論.怪奇ミステリーとして普通に良作だと思います.

土曜夜の映画館には,不思議なことに会場にはなぜか女性の二人連れが目立った.
確かにバディムービーではある.
そっち界隈向けの需要もあるのか(他意はない)

そうそう,パンフレットはしっかり品切れでした.

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 パンフレット

Kazchari家,『ガルパン最終章第4話』を観に行く

2023/11/17 Fri

人類はここまできたか

iPhone11 Pro

金曜日の話.
仕事を終えてちゃっちゃと帰宅.
めずらしく,Kazchari家フルメンバー(4名)で映画に行く.
JKの娘は推しの”ダージリン”と同じ髪型だ.

その映画は...『ガールズ&パンツァー最終章第4話』

全6話の最終章もいよいよ第4話.
前回は,フィンラン...もとい継続高校のシモヘイ...スナイパーによって,試合開始直後にあんこうチームが撃破されるところで終わる...というとんでも展開.引きが強すぎる.

ガールズ&パンツァー 最終章 第3話

そこから2年! ようやく第4話が公開となった.

さて,そのクオリティは...いや,もうとんでもない.
その白眉はなんと言ってもクライマックスの雪上戦.
戦車がゲレンデをあんな風に滑走するわけがない...みたいなリアリティラインはもうどうでもよくなるような,超ド級の作画でした.
最新のCGってあそこまでできねんなぁ...(『ゴジラ-1.0』もたいがいだったが)

今回は通常版で鑑賞したが,追って4DX版も上映予定とのこと.
ヨメさんは「酔うから絶対ムリ」と言っていた.

さすが2012年のTV版放送以来,10年以上人気の衰えない=稼げるコンテンツ.
そこに2年間の潤沢な時間が加わると,この完成度となる.

『ガルパン』は「戦車道」という架空の武道をテーマにした王道のスポコン・アニメである.
ストーリーは単純そのものだが,戦車のディテールや動き,小ネタが楽しすぎる.

なかでもKazchariがお気に入りなのが,モデルとなった国の特徴や文化を思いっきり誇張する演出.

今回の対戦相手である継続高校の学園艦がもろに「森と湖の艦」

フィンランドと言えば...まずは〇ーミンだ.
艦上にはしっかり”あの家”が建っていて,Kazchari家は大爆笑.

どう見てもスナフ〇ンなミカの声はスレッタのかーちゃんと同じだ(今日気づいた).

忘れちゃいけないのがもちろんサウナ
ちゃんとヴィヒタの説明付き(日本で使っている人を見たことがないが).
うーん,サウナに行きたくなってきたぞ.

仗助みたいな謎のリーゼント部員.後で調べるとレニングラード・カウボーイズというバンドの特徴らしい.
どっから拾ってくんねん,そんなネタ.

他にもペサパッロとか民族楽器の「カンテレ」,世界的奏者がいるらしい「アコーディオン」...
濃い,濃すぎるぞフィンランド.

そういや『かもめ食堂』という映画もあったな.

かもめ食堂

あとあれやね,フィンランド語は世界有数の習得困難言語としても有名.

呆れるほど難しいフィンランド語、そのわかりやすい一例

目的格の変化がエグイ.小林聡美スゲー.

実はKazchariはヨメさんとフィンランドに行ったことがある.
地球一周旅行の最後の訪問地がフィンランドだった.
ナーンタリのムーミン村に行こうと思ってたら,なんと8/15で営業終了.
フィンランドの夏は短すぎる.

2004年8月撮影 ロヴァミエミ.サンタクロースいました(マジ)
2004年8月撮影
2004年8月撮影
2004年8月撮影 おそらく個人の別荘.サウナ付き
2004年8月 キシリトール以外読めん
2004年8月 マクドのゴミ箱.KIITOS=ありがとう

日本から一番近いヨーロッパというふれこみだが,今は戦争のせいで遠回りだろうか.
やはり一度訪れた国は”他人”ではなくなるな.

次回はいよいよ決勝戦.

アリスがその名の通り(ルイス・キャロル?)「聖グロ」に入学したわけだが,彼女は大洗と劇場版で一度対決している.
さぁ,その焼き直しではない試合展開をどう見せてくるか?

ただし,第5話の公開はおそらく2年後.
その先の完結編に至っては2027年!?

今は若者でも,誰もが「ガルパンおじさん」になるぞ.

特別上映ゆえ,各種ポイント,レイト・子供割引も全く使えず,家族4人で¥6,400!
まぁ,その価値は十分にあるアトラクション映画でした.

旧作含め,『ガルパン』は何周しても飽きない.

オートバイ事故は増えているのか~そのファクト

2023/11/16 Thu

アブナイ趣味?

Kazchariは多趣味である.
現状,一番ハマっているのはもちろんチャリだが,次点はオートバイ

二輪免許を取ったのは19歳だったかな.
レッドバロンで中古の「VT250F」を買った.

ハセガワ 1/12 ホンダ VT250F(MC08) (1984) プラモデル BK14

だがしかし.このVT,1年も乗らずに事故で廃車にしてしまった.
懲りずにすぐさま「VFR400Z」を購入し,北海道を含む日本あちこちを走った.

オフ車に興味を持ち「NX-125」を追加.
林道およびキャンプツーリングにはまる.
せっかく限定解除免許があるのだからと,大型に乗りたくなり「V45-MAGNA」を購入.

その後いろいろあって,最終的には「XR-BAJA」だけを長期間所有.
北海道移住時にも“乗ってきた”(引っ越し荷物は別送).

そして新コロ禍.
海外旅行に行けなくなり,娯楽資金が余った.
で,「BAJA」から「モンキー125」に買い替えた.

モンキー125,納車!

モンキー購入時は「こいつでまたキャンツーだぁー!」と意気込んでいたのだが,その積載能力の無さ,および「チャリ+クルマ」の最強車中泊コンビの前に挫折.

結局,モンキーの主な用途は「日帰りサウナツーリング」となった.

モンキー125,カナダなサ活?

このようにKazchariは35年以上オートバイに乗っている.
転倒による骨折経験はあるが(アホです),命にかかわるような事故は起こしていない.

さて,この間,本ブログでも度々言及しているように,ライダーの意識は大きく変わった.
特に安全に関する意識だ.
メーカーの商品ラインナップも充実してきているように思われる.

それでも,オートバイ事故のニュースが毎日のように届く.
ブラウザがパーソナライズ化されていることもあるけどな.

オートバイ事故のざっくりとした“印象”は次の通り.

- 右直事故(オートバイ直進)
- 峠でのオーバースピード
- マスツーリング
- スーパースポーツ乗り

そして...50歳以上のおっさん.

あくまで“印象”なので,そのファクトが気になった.
そこで2022年のデータを警視庁が公開しているので覗いてみた.

二輪車の交通死亡事故統計(2022年中)

警視庁,つまり都内オンリーのデータなので,全国と比較するのは少々無理筋かもしれんがあくまで“傾向”ということで.

【死者数】

結論から言うと,バイク事故死者数は増えている,というより元に戻った.

全交通事故死者数の30%だそうな(40/132人).
歩行者(37%)の次となるが,オートバイ事故の場合,おそらく被害と自爆が混ざるはず.
ちなみに全国だと16.7%.田舎の峠より都会の方が危険?

その下のグラフも興味深い.
バイク事故による死者の割合は2018年がピーク.
新コロの影が忍び寄る2019年に落ち込み,その後の自粛ムードの蔓延とともに上昇.
2022年に新コロ前の状況に戻る.
これはいわゆるリターンライダーの事故?
それともバイクブームで免許取得したての新人さんだろうか?

【いつ事故るのか?】

出勤&退勤時で40%を占める.
まぁ,朝夕は混む上にみんな殺気立っているからなぁ.
これは旭川でも変わらない.走るのを避けたい時間.

一方でツーリングなどの娯楽時は18%と意外に少ない.
報道だとこちらの方の事故が多いように感じるが,これはニュースバリューの問題か.

【年齢層は?】

えー,やはりと言うか50~60代が圧倒的ボリューム.
これは印象通り.
道の駅でメットを取ると白髪だらけ.
Kazchariもそうだが,カラダよりも動体視力がやばい.
次の20代は経験不足と身体能力拡張からの慢心(偏見).

【事故累類型別】

単独事故が多い.
つまり衝突や転倒?

ニュースで目立つ右直事故は二番手.
Kazchariも交差点進入時は速度を落とすようにしている.
加えて,できるだけドライバーと目線を合わせること.

【致命傷部位】

やはりここですね.
己がどれだけ気を付けていても,相手の過失が原因のこともある.

死因の1位は頭部,2位は胸部の負傷.
もちろんヘルメットは100%かぶっているはずだが,胸部プロテクターの装着は任意.

記事中にあるプロテクターの着用率8.9%とやらは事故者だけではなく,都内の全ライダー対象なのだろうか?
でもまぁそんなもんやろな.
原チャ乗ってるおばちゃんが,プロテクター付きのごついジャケットを着るとは思えん.

Kazchariもモンキー購入後,夏はプロテクター付きのメッシュジャケット,春秋は20年ものの3シーズンに別売りのプロテクターを着込んで走っている.

オートバイの胸部プロテクターを購入~KOMINE「SK-688」

このグラフでは言及されないが,普通のジーパンで乗る時も,膝パッドをかかさない.
125ccなので,とんでもないスピードで走ることはまずないが,事故は何がきっかけで起きるかわからない.

残るは,ソロツーとマスツーではどちらの方が危険か問題.
これって統計データあるのだろうか?

マスツーでの事故ニュースが流れると...

技能やマシンの性能さによって,各自ペースに合わせるのが大変 ⇒ あせって事故る

インカム会話に夢中 ⇒ 気が散って事故る

と言った意見がコメント欄にあふれる.
複合的な要因がからみあっているだろうから,何とも言えない.

ソロとマス,どちらもメリット,デメリットがあろう.
「シン」と「-1.0」のどちらか良いか論争に近い(そうか?).

『ゴジラ-1.0』を観た~時代やな

Kazchariはもう完全にソロツー派.

「バイクは孤独を楽しめる.そこが好きだ」(一文字隼人)

これからも安全に末永くオートバイに乗り続けたい.

冷静に考えると,頭の上に発泡スチロールをかぶっただけのチャリの方がよほど危険なのだが.

『ゴジラ-1.0』を観た~時代やな

2023/11/4 Sat

多大なプレッシャーの中で

久々に劇場で映画を鑑賞した.
話題の『ゴジラ-1.0』である.

新コロ禍がほぼ明けて日常生活が戻り,人々のインドア娯楽の需要がなくなったのか,はたまたサブスクの普及によって,劇場公開作がなかなか話題にならなくなった.

かく言うKazchariも『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の2本は劇場に足を運ぶつもりだったが,「そのうち」と思っているうちに上映が終わってしまった.
あまり客が入らなかったのだろう.

で,『ゴジラ-1.0』である.

当たりはずれの落差が激しい山崎貴監督.
伝説の『宇宙戦艦キムタク』『ドラ泣き2』『DQⅤ』“やらかし”は記憶に新しいところ(個人の感想です)

一方,『アルキメデスの大戦』のような傑作もある.

アルキメデスの大戦 Blu-ray 通常版

つーことで,前評判では「どっちの山崎や?」と喧々囂々だったが,いざ蓋を開けてみると試写会や初日興行で大絶賛評が続出.
これは早めに観に行って,Big Waveに乗るしかない!

公開二日目の最終回(20:30~)のチケットを購入.
さすが旭川,余裕で大スクリーンのいい席が取れたぜ!

で,鑑賞.
面白くないわけではなかったが,間違いなく比較されてしまうであろう大傑作『シン・ゴジラ』

Kazchari的には『シン・ゴジラ』の方が好みだった.

シン・ゴジラ

例によって,他者のレビューは一切見ずに感想.

※ 以下,いろいろネタばれ

舞台は1945~1947年の日本.
確か一作目の『ゴジラ』の公開(設定も?)は昭和29年だったので,それより前の時代.
つまり現代ではない=ロクな兵器がない.

『シン』と異なり米軍の協力(干渉)はない.
旧日本帝国軍の駆逐艦(タカオ!)や戦車は出てくるけど,これでどうやってゴジラを倒すのか?

おまけにゴジラは歴代最強レベル.
攻撃力というよりも無惨様なみに再生能力がえぐい.

「水圧&減圧作戦失敗後,口内特攻⇒爆破で頭部を吹っ飛ばす!」が作戦の要旨だが,とてもじゃないがこれで死ぬとは思えん.実際エンドロールでは...

ストーリーは以上です.

ドラマパート?
いや,長すぎる上にあまりのご都合に...うーん.

例によって邦画の悪い癖で説明セリフが非常に多い.
神木くんが島で起きたことを浜辺さんに告白するシーンとか.
詳細な説明必要?
観客は既に知っているのだ.

それに役者の過剰な感情&映画的表現.
ゴジラですら,わりと無表情・無痛覚な『シン』に対し,大砲が当たったら痛がるそぶりの『-1.0』

『-1.0』はあくまで逃げ惑う庶民視点.
政府も米軍もあてにならない.
ゆえに民間の力でゴジラを倒そう! おーっ!

例の伊福部マーチでテンション・マックス!

やばい.船の出力が足りん.
人情で船が集まったぞ!
みんなの力が合わされば,勝てるぞ! おーっ!
...王道っちゃあ王道.

一方の『シン』
住民視点の描写はほとんどなく,会議室や作戦本部でのおっさん達の会話劇で話が進む.
リアルシミュレーション&社会風刺的側面もあった.

何より『-1.0』を観ていて思うのは,ああ,最近の映画やなという点.

元々我々は玉砕=敗北の物語が好きなはず.
『新選組』『忠臣蔵』『特攻隊』をテーマにした作品は繰り返し作られ続ける.

山崎監督にしても『宇宙戦艦キムタク』で原作通りとは言え,『アルマゲドン』をやってしまった.
『アルキメデス』も大局にあらがえなかった主人公の物語である.

ところが今回の『-1.0』
主要なキャラは誰も死なない.
残酷描写を極力排し(冒頭の島ぐらい),それどころか確実に亡くなっている描写だったヒロインすら,実は生きてました演出.

機雷除去の4人組,小さな漁船で巨大な海洋生物と戦うなんて,まるで『ジョーズ』
一人足りないけどメンバー構成も船長,学者,警察(兵隊),海上をゴジラに追いかけられている構図,ボンベならぬ機雷を食わせる作戦もよく似ている.

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よって「こりゃ主人公以外は...」と思いきや...全員生還.

現実の社会情勢が不穏な分,創作物においてはハッピーエンドが求められているのだろうか.
また,全体的なテーマとして「戦争のおかげで精神的に死んだ人々のリベンジ」という側面も強いので全滅エンドはないか.

そういや,なんでゴジラは毎回日本,特に東京に上陸するんだっけ?
確かオリジナルの映画では,「太平洋戦争で亡くなった兵隊の怨霊が,ゴジラに乗り移っているので皇居を目指している」とかなんとか,そんな設定があったような(あいまい).

そういや重要なメカを忘れていた.
最終兵器「震電」だ.

機体の後ろにプロペラが付く,いわゆるプッシャー型.
プッシャー戦闘機と言えば『スカイ・クロラ』だな.
こういう試作機,異形のメカは男のロマン.

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神木隆之介は『仮面ライダーアギト』の子役.
浜辺美波は『シン・仮面ライダー』のヒロイン(主役?).

で,今回二人とも『ゴジラ』に出演ということで,残りは『ウルトラマン』ですね.
『シン・ウルトラセブン』待ったなし(意味なし妄想).

つーことで,『-1.0』がなぜここまで絶賛されているのか,正直よくわからなかったKazchariでした.

これからいろんな人のレビューを聴いたり,読んでみよう.
見方が変わるかな.

捨てたらアカン~映像作品の継承

2023/9/15 Fri

知能指数は1300!

Kazchariは医療系専門学校の教員をしている.
ゆえに疾患に関する講義を担当することもある.

座学にて,文字や写真だけで説明したとしても,学生もイメージをつかみにくいだろう.ゆえに,疾患をテーマにしたアニメや映画,ドラマを通じての視聴を薦めることが多い.

先日,脊髄小脳変性症(Spinocerebellar degeneration:SCD)について話す機会があった.
SCDをテーマにした有名なドラマがある.
それは2005年に地上波で放送された『1リットルの涙』である.

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放送後しばらくは「観たことがある」「内容は知っている」という声が多かったように記憶している.

最近は,さすがに「知らない」という学生が増えてきたので,配信しているサイトを紹介できるかどうか調べてみた.
結果,どこも取り扱っていなかった.
理由は(おそらく)主演女優の不祥事であろう.

とは言え,DVD-BOXは販売されているし,GEOやTSUTAYAでのレンタルは可能なのはまだ幸いと言える.

少し調べてみると視聴困難なドラマはけっこうある.

実は放送禁止?大人の事情で再放送できないと噂されているドラマ14選! 理由や視聴方法も解説

いずれにせよ,お手軽な配信での視聴に比べると,今やレンタルうんぬんは少々ハードルが高くなってしまったのは確か.

ただし...まだ視聴可能なだけマシなのだ.
例のウルトラセブン第12話なんて,新しい仕様のDVD/Blu-ray BOXが発売される度に「また未収録か!」と失望と怒りの声が渦巻くしな.

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放送困難な理由は数あれど,出演者の不祥事で作品そのものをお蔵入りにするかどうかは,以前から賛否両論ある.

放送すべき派の論理としては,いわゆる「作品には罪はない」というヤツやな.
Kazchariはどちらかと言えばこっち派.

確かに被害者の心情を考えるなら,知らず知らずに目に入ってしまうかもしれないTVでの再放送はまずいかもしれんが,対価を払ってわざわざ観る場合には解禁して良いのではと思う.

今一番ホットな某J事務所所属タレントの出演ドラマも,下手すると今後は再放送や配信が停止になる? 何だかそこまで行きそうなな叩かれ具合.

パソコンやスマホの普及により,エンタメを楽しむことが極めて個人的な行為になった.
家族,友達と同じモノを見て,感想を語り合う機会は減った.
流行歌? 何それ? で,紅白の選曲で荒れる.
”ヨコ”のつながりはすっかり怪しくなった.

では”タテ”はどうだろうか.
諸事情で視聴困難化,つまり過去からの文化遺産の継承まで断ち切ってしまうことにならないか?

昔からの知り合いにビデオマニアがいた.

そいつはテレビで放送された映画やドキュメント,エンタメ番組まで自分が気に入ったモノは何でもかんでもビデオ録画/保存していた.
6畳ほどの部屋を一つつぶして,VHSテープを数万本レベルで保管していたが,ある日,すべてを処分したとのこと.
その理由は「自分が撮りだめていた映像のほとんどは,サブスクやYouTubeで公開されるようになったから」だそうな.

それはそうかもしれないが,処分したテープには,もう2度と見れないお宝映像が混じっていたかもしれんな.
それはそれで諦める.
それぞれの心の中で(美化しつつ)再生し,後世に伝えましょう.

NHKの名作人形劇『プリンプリン物語』はオリジナルテープが紛失,一般人を対象に放送を録画したビデオテープの提供を願い出ていた.

緊急速報!『プリンプリン物語』残り1本に!!

アクタ共和国国歌の脳内再生が止まらないッ!

連続人形劇 プリンプリン物語 アクタ共和国総集編 前編 新価格版 [DVD]

話を元に戻すが,医療系なかでもリハビリテーションがらみで一番薦めたい映画はやはりこれ.

ガタカ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

色褪せぬ名作.
学生らと一緒に年に一度は鑑賞する.

dアニメストアに加入~タイパ的にどうなのか

2023/8/31 Thu

スキマはあるか

「2ヶ月間¥99」のキャンペーンにひかれて,アニメ専門のサブスクである「dアニメストア」に加入した.ちなみに通常料金は月¥550である.

要注意なのはAmazon Prime Videoを通してのキャンペーンなので,dアニメサイトやアプリからの登録では適用されない.ややこしいわ!

それにしても...Amazon Prime Videoはインターフェイスがひどすぎる.
無料と有料,それに他のサブスクなどがごっちゃごちゃで,目当てのコンテンツにたどり着くのが大変.
それに「無料」の文言でクリックしても,結局は他のサブスクサービスのお試しプランだったり(ようするに契約要),広告付きだったりとイライラする.

Amazonがらみじゃなかったら即解約レベル.

さて,肝心のdアニメだが,さすが専門チャンネルだけあって,内容は超充実.
懐かしい作品から最新作まで幅広いラインナップ.

最新作はAmazon Primeとかぶっていたり,追加料金が必要だったり(『天国大魔境』とか)するが,そもそもの契約目的が(ほぼ)旧作視聴なので問題ない.

で,早速Zwiftの友として何本か視聴.

以下ネタバレかつ,ディープなアニヲタでないとワケのわからない感想...

【ガールズ&パンツアー最終章第3話】(2021)

ガールズ&パンツァー 最終章 第3話

冒頭は大洗vs知波単の続きから.

特攻グセをカイゼンし,冷静になった大日本帝...じゃなかった知波単は強い.
後一歩のところまで大洗を追い詰める.
だがしかし.四号撃破後に浮かれてしまい油断.
万歳三唱中にフラッグ車を撃たれて散華.

ジャングル戦と特二式内火艇が見どころ.
水陸両用戦車って当時から存在しててんなぁ.知らんかった(非ミリヲタ)

続いてプラウダvs黒森峰
西住まほが不在の中,No.2だったエリカの活躍.
かませ犬にしないようスタッフの配慮が目立つ(決勝戦へのフラグ?).
気になったのは戦車道のルール.
撃破される前なら,試合中の車両乗り換えはOKなのだろうか?
これまでもあったっけ?

アンツィオvs聖グロリアーナ
えー,説明不要.

そしてサンダースvs継続高校.
継続は例のキャタピラ外し戦法でシャーマンを翻弄.
それでも多勢に無勢で追い込まれる.
だがしかし,どこからともなく飛んできた砲弾でサンダースのフラッグ車が撃破される.

ここで「フィンランド+狙撃」でピンと来る人はピンと来る.
そう,人類最強のスナイパー,“白い死神”こと「シモヘイヘ」(をモデルにしたキャラ)が登場.
ニュータイプ・シモヘイヘ,その逸話がカッコ良すぎる.

締めはその継続高校vs大洗の準決勝戦.
ゲリラ戦法で翻弄させられ,孤立したアリクイ号とあんこう号.
そこへ,シモヘイヘの砲弾が!
なんと大洗の要たる四号が撃破されてしまう.
ここでto be continued!

ちなみに第4話は今年10月に劇場公開と,やっぱり2年毎だった.
旭川での公開予定は今のところ無し.ムカっ

【境界戦機 極鋼ノ装鬼】(2023)

境界戦機 極鋼ノ装鬼

ザッピング中に偶然発見.
前作の無印『境界戦機』はク◯アニメとして有名.

日本が分割統治されている近未来(うん? ルルーシ...)
その世界観に全くそぐわないキャラデザ.特にマスコットAIがうざかった.
危機感の全くない主人公(とその周辺).二期ではよくわからない鬱展開.
メカデザインも微妙で,プラモが全然売れずワゴンの常連.
「工場のリソースをガンプラに回せ」と言われ続けた大爆死作品だったのだが...なぜに続編?

深読みすると,前作はこれ以上ないくらいの駄作だったので,スタッフによるリベンジ&リメイクか,と少し期待して視聴してみた.
結果 ⇒ えー,ダメです.
2話配信済みだが,話が全く面白くない.どうしてこうなった?
新主人公(?)もメカも魅力なし.
不思議なのはこのアニメ,15分で1話構成なのである.朝ドラ?
話の構成がブツ切れだと,視聴者を世界観に引きずり込むのは難しいのでは?

【ファイブスター物語】(1989)

ファイブスター物語

全編通しての視聴は初.

『ファイブスター物語』は知る人ぞ知る連載38年目にして,単行本はたった17巻という驚異のマンガ.
その最大の特徴は年表,つまり大筋のストーリー展開や結末が先に公開されていること.
ゆえにコミックも巻ごとに時代や場所,主役がコロコロ変わるという,大河ドラマのような構成になっている.
「作者存命中には終わらない」というのが大方の予測っつーか,それでもOKな作りになっている.

で,この映画は単行本第1巻の映画化.
監督は『うる星』で有名なやまざきかずお.
構図や光の表現が時代を感じさせる.
躍動感ある手書きアニメが心地よい.
ファティマをはじめとするキャラの表情がなんとも妖艶(目だな).
切り抜き動画でもよくピックアップされるクライマックスのKOGは迫力満点である.

と,全体的に悪くはないのだが,不満もある.
まず,冒頭の黒騎士vsレッド・ミラージュ戦がまるごとカットされていること.
戦闘どころか,レッド・ミラージュの影も形もない.

作画が大変?
いや,KOGですらグリグリ動かせたのだから問題ないはず.
やはりクライマックスのMH戦にかけて,徐々に盛り上げていく構成にしたかったのだろうか?

映画ゆえ,他にも場面の入れ替えやカットシーン&台詞もある.
仕方なしとは言え,続きは作る気なかったのだろうか?

アマテラスのキャラ造形が別人の様.
怖さと威厳が...
正直,コウ・ウラ...じゃなくて,ラインハルト声もイマイチ合っていない.
(Kazchari的には朴璐美ボイスで再生)

この映画,原作者である永野護の意向はどこまで反映されたのだろう?

ひょっとして後年作られることになる花の詩女 ゴティックメードが,徹底した永野イズムの塊なのは,この最初の劇場版の反省もしくは反動なのだろうか?

なんせこの『ゴティックメード』,公開まで内容は極秘(だったはず).
キーヴィジュアルのメカがMHじゃなかったので,誰もが別の世界の話だと思っていた.ところがフタを開けてみるととんでもないことに.

未だに慣れないGTM
ああ,でも『ツァラトウストラ・アプターブリンガー・パンツァー・カンプフロボーター』(長ぇ)と『D型・イーダー帝騎マグナパレス・デスティニーブリンガー』(こっちも長ぇ)はかっこよく見えてきたなぁ.

この作品はクリスの意向により,いまだに円盤化も配信もされていないので,“秘密”はまだ継続中とも言える.

...と,知ったかぶって書いてはいるが,Kazchariも『ゴティックメード』の本編を観たことがない.
たまにリバイバル上映されているが,近くて札幌やしなぁ.
時代は既に4K配信可能になったし,クリス先生,そろそろ許可を...

以上,ざっくりレビューでした.

ちなみに¥99キャンペーンは9/5までですぅ.

宇宙服とジェット機~現実が追いついた

2023/8/30 Wed

一気に進んだ感

宇宙に行くのも珍しくなくなり,あまり騒がれなくなってしまった昨今.
つい先日も日本人宇宙飛行士の古川さんが,国際宇宙ステーション:ISSに旅立った.

古川聡飛行士ら4カ国の宇宙飛行士が搭乗,宇宙船がISSにドッキング

いやホンマ,びっくりするぐらい話題にならない.

もはや,月もしくは火星に降り立たないと,かつてほどの熱狂はないのかもしれんなぁ.後は謎の地球外生命体の侵略とか(やめて).

とまぁ「あぁ,またステーションに行くんや...」とぼんやりテレビのニュース映像を見ていたら腰を抜かした.

なんだ,この宇宙服(与圧服)!?

SpaceXが有人宇宙船「Crew Dragon」と宇宙服を公開! かなり『インターステラー』だ

まるで,某ロボアニメの“ノーマルスーツ”ではないか?
さすがに「ファースト」とまでは言わないが「Z」レベルのスッキリ&ピチピチ感.

いわゆる生命維持装置とかはどこについてんのやろ?
まさか,船外活動もこれで?
だったら作業効率,めちゃめちゃ上がらん?
完全にノーチェックやったわ.

と,興奮状態だったが,よくよく調べてみると,2018年頃からこのスーツはスペースXの「クルードラゴン」搭乗用(つまり船内着)として開発されていたらしい.
さすがに船外作業は無理か.
「ヤマト」の乗組み員や「ウルトラ警備隊」みたいに,バイザー下げたら宇宙空間も可!とはならんな(まだ先).

それにしても...「クルードラゴン」の外見も,コクピットもやたらに洗練されている.
未来やなぁ.
まるでSF映画のセット.
現実とは思えん.

ここ数年の科学の進歩は加速度的.

Kazchariがこの世からいなくなるまで,どこまで見れる,楽しませてくれるのだろう?
その前にAIに支配される?

もう一つはバカ売れしているという「HondaJet Elite II」

最新型「HondaJet Elite II」を発表

いわゆるプライベートジェットだが双発エンジンに着目.
ボディではなく,主翼に設置してあるのだ.

ちょっとルッグン」っぽい?(←違う)

これにより,室内空間を広く取ることができ,騒音と振動と空気抵抗の軽減につながるらしい.揚力発生には不利らしいけど.

詳細は岡田斗司夫も推薦のこの動画が詳しい.

控えめに言ってかっこいい.
確かに『マクロス』シリーズに出ててもおかしくない.

値段は約10億円.
動画の言う通りヒカキンも買えるけど,年収80億の大谷だったらもっと余裕(今のプライベートジェットが4000万だっけ?).

全然身近でない宇宙服や飛行機はともかく,クルマもバイクも,そして我が愛するチャリも,素材の加工技術や空力学が進化して,ますます有機デザイン化.
全体に丸っこくなった.

https://www.bikebros.co.jp/catalog/3/999_81/より

この最近のと...

https://www.bikebros.co.jp/catalog/3/89_10/より

ならどっちが良い?

偶然のカタナ~キリンは泣かない

『マリグナント 狂暴な悪夢』を観た~中途半端やなぁ

2023/8/28 Mon

続編待ったなし?

今回のZwiftの友は『マリグナント 狂暴な悪夢』

例によってAmazon Prime Videoにて追加料金なしのサブスク配信中.
怯えているように目を見開き横たわる女性の赤いキーヴィジュアルがなかなかのインパクト.

マリグナント 狂暴な悪夢(字幕版)

さて,その中身は?

以下,あらすじとネタバレ感想.

ゴシック建築様の異様な施設.
ウィーバー医師が患者に関する所見をビデオに記録している.
そこに緊急事態発生を部下が告げに来る.

とある病室に走るウィーバー達.
室内は阿鼻叫喚.
複数のスタッフが“何か”に襲われていた.
“何か”には電気を操れる能力があるらしい.レッド・ホット・チリ・ペッパー!
(ただし,その能力で人を殺すわけではない)

麻酔銃を構える警備員も殺られた.
その銃を拾い“何か”を撃って眠らせるウィーバー

おとなしくなった“何か”は椅子に拘束される.
拘束バンドを巻かれる足元が映るが,その細さや靴下の柄から,その“何か”は少女であることが推察される.

しかし,半透明のカーテン越しに映るシルエットは化け物そのものであった.

...までがアバン.

この映画,上手いと思うのは少しずつヒントを小出しにして,観客に真相を考えさせるのが巧みなこと.
それは説明台詞ではなく,どこか意味深な映像であることが多い(オープニングとか).

数年後,お腹の大きな妊婦らしきマディソンが自宅に戻る.
ベッドには何やらだらしなさそうな夫らしい人物(デレク)が,寝そべりながらテレビを観ていた.
二人の会話から,マディソンが何度も流産を繰り返していることがわかる.
そして,このデレク,見事なまでのDV男で,ちょっとした諍いからマディソンを突き飛ばす(妊婦なのに!)
壁に後頭部をしこたまぶつけ,出血するマディソン
その後,速攻であやまりたおすデレクがいかにもなDV気質.

その夜.
1階のソファで眠るデレクが物音で目を覚ます.
やがて電気製品がついたり消えたりと異変が.
一瞬暗くなった後,明かりがつく.

そこには貞子並の黒髪ロングに黒いコートを着た化け物が立っていた.

デレクは首をネジられてタヒ亡

階下の異変に気づくマディソン
デレク同様,その何者かに襲撃を受ける.
隠れた部屋のドアごと吹き飛ばされて気絶.

この化け物は霊魂やら呪いではなく,物質として存在するようだ.

気がつくとマディソンは病院のベッド.
妹のシドニーが看病していた.
残念ながら子供は流産していた.

警察はDVの被害者だったというマディソンの犯行を疑っている.
捜査を担当する刑事は2名.
黒人女性のモスと,ちょっとアジア系(?)のショウだ.
この二人の関係が面白く,上司のモスの方が思考が単純,行動が軽率という珍しいパターン.
若いショウの方が慎重かつ大胆.ちなみにこの役者さん,ユンボのログリッチェにむっちゃ似ている.
もう一人,鑑識役かな? ログリッチェもといショウに惚れている若い女キャラもいるが特に活躍はしない.

さて,傷が癒えたマディソンは退院.
なんと恐ろしいことに,謎の怪物に夫が殺され,自分も襲われた元の家に戻って生活するらしい.その感覚がわからん.
案の定,その夜も怪奇現象が起こる.

場面は変わってシアトルの地下都市を案内する女性ガイド(名前忘れた).
仕事を終えて電灯を消すが,変な物音が.
なんやかんやで,例の化け物に拉致られてしまう.

気がつくとどこかの屋根裏部屋に監禁されていた.
なぜか殺されることなく,壁に縛り付けられている(食事とかトイレは?)
化け物は電気を操る能力により,ラジオを使って会話が可能.
なんやかんや言ってくるが,結局,ガイドさんはなぜ自分が拉致られたのか見当もつかない.

家の中でマディソンは奇妙な体験をする.
洗濯をしようとした際,突然,周囲の風景が崩れ全く別の場所に変容.
そこで見たのは,黒いコートを着た化け物が(老いた)ウィーバー医師を殺す姿.
マディソンはその世界に干渉できないし,向こうからも認識されないようだ.

ある日,この現象内で化け物が自分の正体をガブリエルだと明かす.
ずっとマディソンことエミリーと一緒に過ごしてきたと.
医師3人の仕打ちが許せないので復讐するらしい.
意味がわからないマディソン

さて,このような事象が再度起き,またしても殺人を目撃する.
モス&ショウに報告.
二人は半信半疑だったが,マディソンの言う通りの場所で死体を発見.

そしてマディソンは3人目の殺人を見る.
今度は現場に向かったショウ刑事と化け物のバトルが開始される,

いや,もうこのバトルにおける化け物,いやガブリエルの動きが見事だった.
手や足の関節・動きの違和感がなんともキモい.
背中が正面になっているのだ.

そう,ガブリエルの正体は,なんと正面がガンダム,背面がガンキャノンで有名なリボーンズガンダムだったのだぁ!

ROBOT魂[SIDE MS] リボーンズガンダム/リボーンズキャノン

※ しっかりプレ値.

二重人格(正確には違う)を物理的に表現するとは.
この発想はなかった.

いずれにせよ,ここで「そういうことか!」と膝打ち(Zwift中).
うーん,でもだとすると物語冒頭でマディソンを襲ったのは誰?
あれは一人芝居?

後,別の場所で殺人現場を“見ている”マディソンは魂だけの存在?
そこから,ガブリエルに乗っ取られた肉体の犯行を見ている?
...ということにしておこう.

殺された3人の医師とマディソンが関係者だったことを突き止めたショウ刑事.
催眠療法によって,過去の記憶を蘇らせようとする.

その場になんと,手足の拘束を外したガイドの女性が天井を突き破って落ちてきた.
そう彼女が監禁されていたのは,なんとマディソンの家の屋根裏だったのだぁ!

怪物=マディソンと思い込んだ(間違いではない)警察は彼女を逮捕.
あろうことか集団房に留置してしまう.
これが惨劇の始まりだった.

さて,姉が養子かつ精神的な病気だったことを知ったシドニーは,深夜の廃病院散策という,世界最恐レベルの肝試しに単独トライ.
特に何も起こらず,見事決定的な証拠となるビデオテープを発見する!

そう,ここまで何か既視感あるなぁと思っていたが,この映画,物凄くジャパニーズ・ホラーの影響受けてないか?
ロン毛の黒髪とかビデオテープとか,正にアレ.

リング

で,そのビデオテープにはとんでもない映像が!(どうして処分してない?)
なんとマディソンことエミリーガブリエルは,いわゆる双子の結合児だった.
と言っても,ほとんどの組織は共通.
マディソン(エミリー)の背中から頭部にかけてガブリエルが寄生しているような状態.
(アシュラテンプルのように手だけが生えている)
ただし脳は共通(ここはご都合設定).

なんだかわからんが,狂暴な性格な上,電気を操るガブリエルに恐怖したウィーバー博士らは,彼を「悪性腫瘍」扱いとし,その摘出手術を行う.

マディソン(エミリー)と共有している脳を除去するわけにはいかないので,頭蓋骨の奥に押し込んだのだ(えっ,そんなんでええの?)

で,そうやって封印されたガブリエルの自我が,デレクの暴力で後頭部を打ち付けられた瞬間に覚醒.
それが今回の悲劇の始まりだったのだぁ!

その頃,留置場に入れられたマディソンは,ヤンキー達からからまれてしまう(お約束)
引き倒されてケリを入れられるマディソン
「あ,アカン,それ以上やったらヤバイことに!」という視聴者の期待通りに,

剛力招来! サナギマンならぬガブリエルが覚醒!

エゲツない殺し方で監房内の留置者達を虐殺する.
この時のアクションもめっちゃ凝ってて,ちゃんと背中を正面にして戦っている.
すんげーこだわり.

ショウ刑事とのバトルは逃げ回ってばかりだったが,ここに来てようやく面白いアクションが見れた.監督の気合(趣味)が伝わる.

さて留置場を抜け出したガブリエルは警官相手にも怯まない.
署内で暴れまわる.

この場面,クリーチャーというよりも,むしろヒーローっぽく描写されていると思ったのはKazchariだけだろうか?

さて,シアトル警察を壊滅させたガブリエルが向かったのは,屋根裏に監禁されていた女性が入院している病院.
そう,この女性はなんとマディソン(エミリー)/ガブリエルを産んだ実の母親だったのだぁ! なんたる偶然!

彼女は15歳の時にレ〇プされ妊娠.
自分では育てられないからとウィーバー博士の施設に預けることにしたのだ.
ちなみに「レ〇プした男は怪物だった」という台詞があったように思うが,結局何者だったのだろう?

さて病院にて最終決戦.

ガブリエルシドニーと母を殺し,「オレの復讐が終わったぁ~」とかなんとか叫ぶ.

だがしかし,実はその直前,シドニーの必死の訴えにより目を覚ましたマディソンが脳を逆ハック,妹と母を殺したと思わせたのだぁ~!
あれですね.「愈史郎が鳴女経由で無惨様を謀った」パターンですね.

そして,ついにマディソンガブリエルを意識の奥に閉じ込めることに成功(なんか都合良すぎないか?).

正気を取り戻したマディソンが最後に言う.

「私はこれまで血の繋がりを欲していた.けど,私にはそれ以上の存在,家族がいる.シドニー,それがあなたよ」(意訳)とかなんとか.

ヒシッと抱き合う二人.そしてエンドロール.

...終わり.えっ終わり!?

なんだこりゃ.
全部投げっぱなしかい.
マディソンが罪に問われないはずはないやろ,これ.
最終局面で何をしにきたのかわからないショウ刑事の存在って?

ひょっとして.続編構想あり?
じゃないと納得いかん終わり方やな.

とは言え,劇場公開されたら足を運ぶ?
いや,そこまでは...っつー映画でした.

ただ既述の通り,伏線をあちこちに散りばめていて,視聴者にあーでもない.こーでもないと考えさせる構成はなかなか見事.

そして,なんと言っても,ガブリエルの動きっつーかアクションは高評価.
CGベースやと思うけど,不思議なキモカッコよさがある.
ボロボロの黒コートも,トロフィーを磨いた短剣もヴィジュアル的に映える.

Kazchariが構想するなら,マディソンはラストシーンの後,「私は罪をつぐなう」とかなんとか言って病院から逃走して闇に消える.

そして,何かをきっかけにガブリエルの意志を封印したまま,その優れた身体能力を利用できるようになる(シドニーを潰していたベッドを動かすなどの描写があったけど中途半端).

今回の大虐殺を,人知れず悪を倒して償うとかのダークヒーロー的展開にしたいところ.
まぁ,これもこれでありきたりのプロットかもしれんけど.

おおっ,父親の正体が秘密のままやん.
こいつをラスボスにしてと.
最後はもちろんガブリエルも復活して,二人(?)が力を合わせてって...アレルヤ&ハレルヤ?

MG 機動戦士ガンダム00 ガンダムキュリオス 1/100スケール 色分け済みプラモデル

つーことで,なんとなく00な『マリグナント 凶暴な悪夢』の感想でした.

それにしても電気を操る能力って必要だったのだろうか?

『ザリガニの鳴くところ』を観た~強肉弱食

2023/8/9 Wed

彼女が愛したのは...

サスペンス映画の視聴が続く.
本日のZwiftの友は『ザリガニの鳴くところ』(2022)である.

ザリガニの鳴くところ

原題は「Where the Crawdads Sing」なので,そのまんま? いや「歌う」?
こんな意味不明の邦題,よく日本の配給会社が許したな.
オリジナル尊重は最近の傾向?

原作小説があるようだ.

ザリガニの鳴くところ Kindle版

で,「おすすめ」にアップされていた&変なタイトルに惹かれて再生.
なぜか吹替版しかない(Kazchariは字幕派)

もちろん予備知識ゼロで鑑賞.

以下,あらすじとネタバレ感想である.

1960年代,アメリカ南部(ルイジアナあたり?)の湿地帯.
まずはその豊かな自然がたっぷりと映される.
肝心のザリガニはいたっけ?

20mはある見晴台のすぐそばで,若い男性(チェイス)の死体が発見される.
警察が捜査.
死体周辺に足跡もなく,手すりにも指紋がない(誰かが証拠隠滅をはかった?).
事件性を感じた警察は,森の中で一人暮らしをしている通称「湿地の娘(カイヤ)」に疑いの目を向ける.
ちょっとしたボートチェイスの末,カイヤは逮捕される.
事件のことについてほとんど話さないカイヤに対し,陪審員裁判が行われる.
検察の求刑は一級殺人の罪で死刑.

ここで場面は10年ほど遡る.

湿地帯の森の中に住む子沢山の家族.
まず,母親と子どもたちの微笑ましい交流が描かれるが,そこに登場するのがDVオヤジ.
戦争帰りのPTSDなのかわからんが,些細なことで妻や子供を怒鳴り散らし,さらには暴力を振るう.

やがて,我慢の限界に達した母親は失踪.
続いて姉や兄も次々と家を出て,幼いカイヤと父親だけが取り残される.

近くに黒人夫婦が営む雑貨屋がある.
学校にすら行かせてもらえないカイヤを色々と気にかけてくれる.

この夫婦,当初はオヤジだけでなくカイヤへの態度もやたら慇懃.
原語ではどうなっているのかわからんけど,アメリカ南部の差別性,保守性を表現する秀逸な場面だ(時代が進むと少しずつ変化してくる).

やがて父親もどこかへ去る(この後は出てこない).
小学生(?)のカイヤだけが一人で暮らすことになる.
湿地で採れるムール貝を雑貨屋に売ることで,なんとか生計を立てている.

数年後,美しく成長したカイヤは,森の中で鳥の羽根が切り株に立てられているのを見つける.時には各種生活用品も添えられていた.

それは幼い頃に何度か見かけた青年,テイトの仕業だった.
カイヤに会うため,森に通い詰めるテイト
読み書きのできないカイヤに字を教える.
なんだかんだで仲良くなっていく二人.
カイヤがその気になっても,なぜか一線は越えないテイト(怖かった?).

テイトカイヤの観察眼や画才に驚嘆し,出版を薦める.

しかあし,都市部の大学に合格したテイトはしばし町(湿地帯)を離れることに.
「数カ月後の独立記念日には戻ってくる」と言い残す.

はい.当然テイトは数ヶ月どころか数年間,現れません.
ベタな「木綿のハンカチーフ」ですな(あれ,ついこないだも書いたような).

数年が過ぎ,以前に比べると湿地帯にも多くの人が訪れるようになった(ついでに開発業者).
その中にいかにもなチャラい青年,チェイスがいた.

なんだかんだでチェイスの誘いに乗るカイヤ
見た目と違い,チェイスも割りと礼儀正しくて,カイヤがこばめば手を出さない律儀な面もある.
かろうじてキリスト教保守の価値観が残っているのか?
もしくはテイト同様,「こいつに手を出すとヤバイかも」という躊躇があったのか.

ただ,チェイスの性格についてはところどころ描写されており,カイヤの絵の扱い方や◯◯◯のシーンに,彼の身勝手さや粗暴さが表現されている.

うん,わかりやすい映画だ.

大学を卒業したのかまだ研究生なのかわからんが,テイトが湿地帯に帰ってきた.
チェイスと遭遇.彼の正体に気づきカイヤのことで諍いが起こる(おっと,ミスリード).

テイトは未練がましくカイヤに近づき,チェイスは悪いヤツだと告げるが,それはさすがにかっこ悪いぞ(♪けんかをやめて~)

滞納していた固定資産税を支払うために,図鑑の出版を企むカイヤ
原稿を送ったところ,思った以上に評価されて無事出版にこぎつける.

名前が世に出たため,離れ離れだった兄(軍人)とも再会.
おおっ,徐々に話が良い方へ.

...と思いきや,カイヤ,なんだかんだでチェイスの正体に気づく.
別れ話を持ち出しても,しつこく迫るチェイスを拒絶するが,逆に殴られてしまう.
そう,チェイスはかつてのDVオヤジと同じタイプだったのだ(あるある).

なんとかしてチェイスから逃れ,静かに暮らしたい吉良吉影...じゃなかったカイヤ.しかし,この湿地からは何が何でも離れたくない.

で,場面は法廷に戻る.

結局,検察の主張が無理筋だったのと,弁護士の有能さにより陪審員は無罪の評決.

ここからは怒涛の展開.

テイトとも和解して結婚(裁判の時,お腹を触ってたけど...あれは?)
湿地の家にて静かに年を重ねていく二人.なんか『ターンA』の最終回っぽいな.

やがて老婆となったカイヤ
森の奥から現れた若かりし母の幻を見ながら,水に浮かぶボート上で息を引き取る.

遺品整理をする老テイト
とある画帳を開くと,そこにはチェイスの似顔絵と,殺害現場から持ち去られたとされる貝の首飾りがはさんであった.
そして全てを察するテイトだった...

終わり.
えっ,終わり!?

謎解きの答えとしては,法廷にて弁護士が「こんなことは不可能でしょう!」と説明していたことが実行されたということやろな.

他には,出版社の社長に話した「自然には善悪の概念はない」「時には弱者が強者にかつこともある」が,彼女の行動理念なのだろう(決意表明か).

サスペンス物としてはイマイチ感が拭えないが,とりあえず回想で殺人場面を再現しない点は良かったな.完全に蛇足.

そもそも”サスペンス”として作られていないように思える.
むしろ人生哲学.

結局,カイヤが愛情を向けるのはヒトでなく,自然=湿地そのものやったんやろなぁと解釈.

つまり(ナードっぽい)テイトや(ジョックスっぽい)チェイスという正反対のタイプに惚れるあたり,彼女にとって人間も純粋に観察対象.
これまで画帳に描いてきた湿地の生き物と同じレベルかもしれん.

残されたチェイスの似顔絵.
彼との関係を考えると,普通そんなん残しますか?
あまりにも冷静過ぎる.
そこに感情はないのかもしれない.

「湿地帯で静かに暮らす」という最大の幸福を邪魔する者は,何がなんでも排除する.という決意の下に行われた犯罪なのだろう.
テイトも無理に湿地からカイヤを引き離そうとすればヤバかったかも.

そやけど...演出のせいか,どうしてもカイヤに同情っつーか,感情移入できない.
少女時代から服も顔も小綺麗やし,何よりずっと健康そう.
コミュ症・人嫌いと言っても生活に支障をきたすレベルではないし.

「町の住民から虐げられている」と訴えるが,そんな描写もほぼない.
せいぜい聞こえよがしに陰口をたたかれる程度.

このあたりの不幸描写が弱いので,カイヤにイマイチ共感できなかったのかも.

レビュー評価は高めなので,まっ,好みの問題でしょう.

そうそう,これも以前アップした『フロッグ』のように,キャラをジョジョ絵にしても馴染む気がする.特に7部あたりの絵柄がぴったり!

Amazon Prime Videoで『フロッグ』を観た~脳内変換すると楽しめるゾ

つーことで,サムネの主演女優さんの表情にビビッ!っと来た人にはオススメです.

『ラストナイト・イン・ソーホー』を観た~途中から別の映画?

2023/8/6 Sun

えっ? そうなん?

続く雨の日曜日.
Zwiftの友,Amazon Prime Videoにて『ラストナイト・イン・ソーホー』という映画を観た.

ラストナイト・イン・ソーホー

これまたサスペンス映画つながりで「おすすめ」にアップ.
前回の『フロッグ』よりはメジャー? 題名は聞いたことがあった.

Amazon Prime Videoで『フロッグ』を観た~脳内変換すると楽しめるゾ

これまた一切前情報なし.
鑑賞後っつーか,途中で「えっ?そっち系!?」と声に出た.

以下,あらすじとネタバレ全開の感想.

原題はまんま『LASTNIGHT in SOHO』

この映画を観るまで「ソーホー」は地名じゃなく,芸術家やIT起業家などが済むエリアを表す一般名詞だと思ってた(ニューヨークのソーホー(South of Houston Street)と区別がついていない).

舞台は現代のロンドン.
ど田舎に祖母と住んでいたエロイーズ(エリー)が,ロンドンのデザイン学校に合格し,上京するところから物語は始まる.

導入部分で既に明かされているが,エリー“あっち系”,つまり霊が見えるらしい.
ただし田舎にいる時は,幼少期に自殺した母親の霊のみを認識していた.

髪型,服装とも野暮ったく,タクシーの運ちゃんの軽口にも過剰に反応.
後にBFになる黒人のジョンにも警戒心露わ.
おまけに寮のルームメイトのジョカスタは,ジョジョの『ストーンオーシャン』に出てきそうな不良&性悪女で,エリーはマウントを取られまくり,徹底して馬鹿にされる.

ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン

この時のジョカスタの陰口「あの子(エリー),今年中に自殺するわよ」がわりと伏線.

寮生活に嫌気がさしたエリーは,学校の掲示板で「入居者募集」のメモを偶然見つけ,ソーホー地区のアパートに引っ越すことにした.

高齢の女家主は長年この家に住んでおり,屋根裏部屋を若い娘に貸して生計を立てていた.
「禁煙」「男連れ込み禁止」「夜中の洗濯禁止」の条件を提示.
いかにもな雰囲気漂うこの部屋が気に入ったエリーは早速引っ越す.

就寝時.隣のフランス料理店の「赤青白」ネオンの点滅が引鉄になったのか,エリーの霊感能力が覚醒.
気がつくと,エリーは60年代のソーホーにいた.
ただし,タイムスリップではない.
過去に飛んだのはあくまで霊体(意識)だけという設定.

その世界でエリーはやたらに目が大きなブロンド美女(サンディ)に憑依していた(操れない).
鏡には元の自分の姿が映っている(他の人には見えない).

このサンディ,最初はてっきりエリーが超絶メイクで変身した姿かと思っていたが,よく見ると別人.いくらなんでも目の大きさが違いすぎる.

だとすると誰?

芸能界に憧れてロンドンに上京したけど,夢破れて自ら命を絶った母親?
でも年齢が合わないし,写真は残っているのに気づかないのも変.

ネタバレだが,まさか今も生きている人物だったとは...

サンディは当時最先端のダンスホールやクラブなど,当代きっての歓楽街として名を馳せたソーホーを巡る.
日本でいうところの渋谷みたいな? 知らんけど.
やり手のプロモーター,ジャックに目をつけられたところで,エリーは目を覚ます.

元々,60年代の音楽やらファッションに目がないエリー
早速,デザインの授業にてサンディの着ていたピンクのドレスをオマージュ.
講師にベタ褒めされる.

その夜も60年代のソーホーへ.
サンディジャックの手引でクラブ歌手としてデビューできそう.

ますます過去にドはまりしていくエリー
リアル世界でも,アンティーク衣料店でサンディの着ていた高価なビニール製の白コートを買う.

うん?

これってもしかして,純粋な田舎娘の転落話?
まさかの女性版『木綿のハンカチーフ』

サンディの人生とリンクして,借金まみれになって,夜のアルバイトからのお薬,売春というお約束ルート?
あの伝説の胸糞映画『ミスターグッドバーを探して』的展開?(※この映画,配信どころか未だにDVD化されてない)

ミスター・グッドバーを探して [VHS]

だとしたら面白いかも...と,ここまでは思っていました.

ただなぁ,後半からは...

予想通りサンディは,ジャックに良いように利用されて転落していく.
歌手・ダンサーとしても大成せず,結局カラダを売るハメになってしまう.

同時にリアル世界のエリーもどんどん情緒不安定に.
昼間でも,サンディを買った男たちの幻覚が見えるようになり,日常生活がままならなくなっていく.

気分転換にと,ジョンに連れ出されたハロウィンパーティ.
チーム・ジョカスタに変なお薬を飲まされたエリーは,霊感感度マックス.
不安のあまり,ジョンを下宿先に連れ込むが,ベッド上でなんとサンディがジャックに殺される幻覚を視る.
恐怖のあまり,よくわからないまま突き飛ばされるジョン
可哀想なジョンは大家にバレて家を追い出される.

エリーは警察に駆け込み,「昔,サンディという女性が殺された.捜査してほしい」と訴えるが,何のことやらわからない警察はエリーを病気(統合失調症)扱い.

リアル世界ですら,サンディの姿が見えるようになってしまったエリー
図書館にて過去の事件の調べ物中,男たちの幻覚とジョカスタの区別がつかなくなり,刺し殺そうとしてしまう.
さすがに「もう無理.ロンドンにはいられない」と田舎に帰ることを決意.

ジョンと一緒に下宿先に向い,大家に退去する旨を伝えるが...
実はサンディの正体は...はい.もう言わなくてもわかりますね.

後半の,のっぺらぼうの男たちに襲われる様子はほぼゾンビ映画.
たぶんフェミ的には,弱みにつけこんでサンディを弄んだ男たちが諸悪の根源だー! 言うなれば性暴力反対映画だー!...なんだろうけど,監督/脚本家のスタンスがよくわからない.

チーム・ジョカスタエリーをいじめるしな(女の敵は女?).

そもそも真犯人もあの人だし.
それに,殺されて壁に埋め込まれた男たちのエリーへの訴えは「助けて」だったりする.

ラストシーンには,リアル世界でサンディとにっこり笑い合うシーンがある.
なんやろ? 自分を殺そうとした老サンディ過去サンディは別人という認識なのだろうか?

それやったら別人設定の方がよくね?

それにサスペンス映画という割には,主人公が謎を解決するのではなく,全部犯人の告白やしな.
最初からヒントを小出しにするとか,老サンディの不気味さを強調するとか...

要所要所で,姿を全く見せず電話だけの田舎のばーさんが気になって,てっきり「サンディ=ばーさん説」も頭に浮かんだけど,そっちの方が面白くないか?
で,元刑事のリジーが祖父だったとか(ベタか).

ひょっとしたら,ストーリーはどうでもよくて,ロンドンのあの時代を知っている人なら大いに楽しめる『三丁目の夕日』的ノスタルジア映画だったのだろうか?(60年代つながりで)

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その時代・風俗に疎いKazchariにはどの方向にも吹っ切れていない,中途半端な映画だったという印象.

後はあれやね.
都会で一人暮らしを始めた一人娘が闇落ちしないかと,親をビビらせる映画としては超優秀.
おおっ,そう考えると見事なホラーだ.