『LONG WAY DOWN』の感想(その5)「ウガンダ~ルワンダ~タンザニア編」

2020/12/10 Thu

アフリカの明と暗.

ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンのアフリカ縦断バイク旅『LONG WAY DOWN』(LWD)をAppleTV+で視聴中.

今回はウガンダ-ルワンダ-タンザニア編の感想.

Kazchariはいずれも訪れたことはない.

ウガンダと言えばゴリラ
ゴリラと言えば,見た目によらず繊細な生き物.
知能が高すぎるゆえに,”うつ”にもなるそうな.
なので見学も1時間.
シルバーバック...なんとも気品がある.
動物園ではなく,野生で観てみたいものだ.

ウガンダと言えば,”食人大統領”アミンも忘れてはならない.
(本当の意味で)痛いシーンてんこ盛り.

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お次はルワンダ.
ルワンダと言えば,映画にもなった大虐殺.

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ルワンダにもカンボジア同様,頭蓋骨や衣服を展示した博物館がある.

何より悲劇的なのが「少年兵」の存在.
ゲリラが村を回って,子どもを拉致し,自分たちの陣営の兵士に育て上げる.
拉致の際は自分の親や知り合いを殺させたり,子どもの耳や鼻を削いで二度と故郷に戻れないようにする.
「残酷」という言葉だけで片づけてよいのだろうか?

アフリカでは,どの部族の人間がその国のトップになるかで,部族間の経済格差が広がってしまう.
ヨーロッパの植民地政策で分断される前も抗争はあったと思うけど,ここまで酷くはなかったと推測される.

「アフリカはなぜ貧しいのか?」という問いに際し,権力の腐敗や欧米(最近は中国)の資源争奪の思惑がからみ,民主主義が根付かないという意見の他にも,こうした状況に慣れきってしまった国民性をあげる評論家もいる.
曰く「金持ちになると,それを奪われるから(貧乏のままでいい)」という思考になるそうだ.

フィクサーつながりでルワンダの大統領,ポール・カガメと会談.
スタッフの「番組から政治的意図を排したい」とい意見もあったが映像で見る限り,ルワンダを経済的に立て直した至って温厚な人物風.
ただし,目は鋭い.
昨今ではその独裁ぶりが非難されているそうな.

なぜ欧米諸国はルワンダ大統領ポール・カガメの「独裁」を黙認し続けるのか?

ブルンジは行かず,次はタンザニア.
国境でもパスポート紛失騒ぎもあったが無事入国.
ああ既視感が...

一行は,これまた悪路を選択.
R1200GSの巨体が暴れまくる.

それにしても,ケニア以降は英語圏となり,民衆との接触や会話が増えた.
偏見かもしれないが,旧イギリス宗主国はわりと発展,旧スペインはまぁまぁ,旧フランスはぐちゃぐちゃという勝手なイメージがある.
(一応)議会政治を根付かせ自国化しようとしたのか,ひらすら略奪が目的だったのかの違いか.

そして,スタッフはタンザニアでようやく”普通の”サファリ体験.
なんとクルマから降りられる!?
うらやましい.

1990年のケニア旅,やっぱりタンザニアにも行けばよかった.
動物の生息数に圧倒的な差があるらしい.

当時,ケニア前半を一緒に旅したK君は,その後タンザニア側からキリマンジャロに登頂.
帰国後に山頂の写真をもらった.

K君からのいただき画像

この景色,見たかったなぁ.

ケニアでのサファリツアーは,事前ノープランで現地で決めた.
ナイロビの街中で声をかけられ代理店へ.
最初の店では,西洋人の旅行者がこちらを見ながら「やめとけ,やめとけ」と目配せしてたのが印象に残っている.

何軒かまわって,5日間US300ドルのプランで決定.

お金持ちはロッジサファリ.
我々バックパッカーはテントサファリ.

朝晩は寒かった.
雨が降ったらテント水没.
シャワーなしは辛かった.
途中でロッジのプールを借りてパンツ一丁で泳いだっけ.

もちろん景色は雄大.
満足感は高い.行って良かった.

今では考えられないが,持参したカメラは28mmの単焦点,Konica現場監督.
もちちろんフィルムだ.
一緒に参加したK君は,確かキヤノン一眼レフに望遠(300mm?)つけてたな.
もし今度サファリ行くなら,E-M1Xに300f4! 夢の組合せ...

ただし...あの風景は心に刻み付けるのが一番かもな.

1990年の大学卒業旅行後,内定していた某コンピュータ会社に入社した.
約3年働くものの,あまりの仕事のつまらなさに退職.
長い旅に出ようと決めた.
『深夜特急』や蔵前仁一の『ゴーゴー』シリーズの影響があったことは否めない.

最初のプランはケニアにあるスワヒリ語学学校の『星野スクール』に通うこと(今もある?).
実際に面接も受け,合格(許可?).
しかしながら思う所あって辞退.

結局1993年の1年間は東南アジアを旅して過ごすことになった.

もし,あの時,星野スクールに,ケニアに戻っていたらどういう人生が待っていただろう?

『LONG WAY DOWN』の感想(その4)「ケニア編」

2020/12/8 Tue

オフロード三昧.

ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンのアフリカ縦断バイク旅『LONG WAY DOWN』(LWD)AppleTV+で視聴中.

今回はケニア編の感想.
例によってKazchari自身の旅の思い出とクロスオーバー.

人生初の海外旅行先はケニアだった.

正確にはボンベイ(今はムンバイ)で1泊トランジットしたので,異国の文化を”強烈に”感じたのはインドが最初なのだが,旅としてはケニアにおける2週間が初.

時は1990年.
大学の卒業旅行の行先として,どうしてもアフリカに行きたかった.
その2年ほど前から,海外里親制度であるフォスターペアレント(フォスタープラン)を始めており,そのサポート先の子供が西アフリカのトーゴに住む「ザカール・アビボ」という少年だった.

プラン・インターナショナル・ジャパン

一月5000円の寄付.
フォスターペアレントの詳細は省くが,便宜上はある特定の子どもをサポートしていることになっているが,実際はその子の住む地域全体の生活改善のために,寄付金が使われるという触れ込みだった.

さらに,渡航費は自費となるが,とりあえず首都の空港まで行けば,現地スタッフがその子の村までアテンドしてくれるという取り組みもあり,ここはぜひトーゴに行ってみたくなった.
そして,ザカール君に「I’m your father」と言ってみたかった(アホですか)

トーゴ共和国の場所

まず問い合わせたのがアフリカに強い旅行代理店の『道祖神』

アフリカ旅行の道祖伸

もちろん当時は電話です.

Kazchari「すいません.西アフリカのトーゴに行きたいんですが,チケットっていくらですかぁ?」
道祖神「えーっと,トーゴですか...失礼ですがお客様,海外旅行はよく行かれますか?」
K「いいえ.今回が初めてですぅ」
道「えー,申し訳ありませんが,海外が初めての方に西アフリカはおすすめしません」
K「はい?」

今なら,いや,今でもこのスタッフの対応は理解できる.

海外初心者に,しかも個人旅行者に西アフリカは絶対に薦めへんな.
治安・疫病・物価・言語(仏語)・インフラなどあまりにハードルが高すぎる.
結局,『道祖神』としては「インド経由ケニア(ナイロビ)までの航空チケットは出しますので,そこから先はご自分で」ということになった.

そしてKazchariは,当時まだ国際線が飛んでいた伊丹空港からAir Indiaにて,バンコク経由でまずボンベイに降り立った.
丸一日インドにやられまくって,翌朝ナイロビへのフライト.
ようやく訪れたアフリカの第一印象というか,匂いは...腋臭でした.

ケニアの旅前半は空港で一緒になった日本人3人でつるみ,サファリへ.
後半は一人で沿岸のモンバサマリンディを旅した.

たまたま犯罪に会わなかっただけかもしれないが,あの頃のケニアはそれほど危険ではなかった.
ナイロビのナイトクラブスラムっぽい所にも出かけた.

その後かな.
ソマリアなど近隣国の内戦がひどくなり,難民や兵士がナイロビになだれ込み,テロ爆破事件も起きるなど,世界有数の犯罪都市になってしまったのは.

さて,ようやく『LWD』本編.
ケニア編は内容盛りだくさん!

【襲撃された小学校を訪問】
この事件の詳細を知ろうと,「ケニア,学校,虐殺」で検索したところ,他にもたくさんヒット...
部族抗争の結果やけど,学校は狙われやすい.
子どもを殺すのに躊躇がない.信じられない.

【象が住むロッジ】
有名な国立公園内だけでなく,こうした小規模なロッジがたくさんあんねんなぁ.
雰囲気がめっちゃ良い.
Kazchariはサファリ中はテントに泊まった.
敷地は有刺鉄線で囲われているだけ.
様々な動物の声が聞こえて,夜のトイレは恐怖.
ちなみに管理人はマサイ族だった.

Konica 現場監督 / 1990年2月21日

【わざとなのかの悪路選択】
ユアンの台詞がおもしろい⇒「効率よくバイクを壊しているみたいだ」
粉砂ダート&粘土ダートで転倒しまくり,押し歩きまくり.
さすがのパリ-ダカライダー,チャーリーは余裕の走り.
350kg超のバイク,扱える自信全くなし.

【どこもかしこも絶景】
道の状態はともかく,風景が素晴らしい.
単純に動物の数は少ないが,たまに見かけるのが良いのだろう.
さすがにライオンには会わなかったようだ.
そんなことより何より,サファリカーではなく自分のバイクで,好きな道を走るという行為!至福!

Konica 現場監督 / 1990年2月21日
Konica 現場監督 / 1990年2月21日
Konica 現場監督 / 1990年2月24日

【遊牧系の少数民族とともにキャンプ】
こういう商売っ気のない状態よし.
この民族,割礼の儀式があるとか.
痛そう.
一夫多妻&多産の文化
同行の医師による診察があったが,彼らはどこまで文明との接触があるのだろう?
薬の処方とか難しいやろな.

Konica 現場監督 / 1990年2月23日

この方たちは商売っ気満々.

【ケニアに住む友人の家へ】
美しい湖の傍に住むイギリス人(?)の友人を訪ねる.
個人のセスナで遊覧飛行.
何の商売してるんやろ.
そういやジャマイカでも,西洋人がむっちゃ山奥の豪邸に住んでいることがあった.
庭に「ポロ」用のフィールドがあるのにびっくりした.
一説によると競技用の馬や選手を本国から空輸するそうな.
贅沢というか,想像の範囲を越える生活をしている人は世界にたくさんいる.

このケニア編はアフリカツーリングのイメージまんまの回やったな.

そして一行はナイロビには寄らず,ウガンダ国境へ.
R1200GSのメンテした方が...

さて,Kazchariの1990年トーゴ行きはどうなった?
結局,行っていない.
さすがに航空機の手配や現地でのビザ取得などは初心者には無理(今なら大丈夫?).
そして帰国後,ザカール君の住むトーゴも内戦が勃発し,彼が行方不明になったとの連絡が入った.

E09 地球の歩き方 東アフリカ ウガンダ・エチオピア・ケニア・タンザニア・ルワンダ 2016~2017 (地球の歩き方E09)

しばらく更新されてない?
大丈夫なのか東アフリカ.

オフロードつながりでこの一冊.
本日より『弱虫ペダル』70巻配信開始!
色々物議をかもしたMTB編ですが,普通に面白かったのでは?

坂道君のチートぶりは相変わらずですが.
タイヤのあまり太くない,普通のMTBも欲しくなった.

弱虫ペダル 70 (少年チャンピオン・コミックス) Kindle版

『LONG WAY DOWN』の感想(その3)「エジプト~スーダン~エチオピア編」

2020/12/4 Fri

旅と旅行の間.

ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンのアフリカ縦断バイク旅『LONG WAY DOWN』(LWD)をAppleTV+で視聴中.

今回はエジプト-スーダン-エチオピアの感想.
いわゆるアラブ・アフリカからブラック・アフリカへと舞台が移っていく.

以前も書いたが,Kazchariはこの番組をDVDで一度観ている.
にもかかわらず,内容を全く覚えていない.

なんてこった.

いくらDVDが英語字幕のみだったとは言え,これほど濃いドキュメントの内容すら忘れてしまうとは...自分の脳に絶望するなぁ.

実はこの現象は読書にも起きており,ここ数年は読了した本の内容をすぐに忘れてしまう.
その一方で,20代の頃に読んだ書籍,漱石やヘッセの小説に関しては,あらすじは元より,場合によっては印象に残ったフレーズやセリフまで覚えている.

結論.

若い脳は感受性が非常に鋭い.
入力された刺激や新発見を,自分の糧として取り込もうとする機能が最高潮に発揮されているということだろう.
言い換えれば,年齢を重ねる=残り時間が短いゆえに,提示された情報を,将来活用する可能性がないと脳が自己判断しているのかもしれない.

寂しい話だ.

では,探求の精神を諦めるのか?
たとえ,その場限りの喜び,好奇心の充足だけでも良いではないか,つまり「同じ対象であったとしても毎回新鮮な経験ができる」と前向きに捉えるのが良いかもしれない.
実際,老人施設などのレクリエーションを「毎回同じでつまらない」とグチっているのは当人たちではなく,スタッフ側ということはままある.

閑話休題.

さて,エジプト編である.
『水曜どうでしょう』における大泉ポジション,ユアンのスケジュールの都合があるのか,例によって急ぎ足の旅.
悪天候だろうがなんだろうがガシガシ進む.
観光名所だらけのエジプトの滞在すらも短い.
それでもしっかりピラミッドの脇をBMWで走り,内部も見学.
ええなぁ.

2004年8月のエジプトはひたすら暑かった.
あまりの暑さに一緒に旅していたヨメさんがダウン.
カイロのゲストハウスからほとんど動けず.
Kazchariはそんなヨメさんを放置して,国立美術館でツタンカーメン像を見学し,バスを乗り継いでギザへ.
冷房の効いたケンタッキーからスフィンクスとピラミッドを眺め,いよいよ敷地内へ.
そう,有名な話だがピラミッドは街に隣接している,というより後から街が発展したのだが.

OLYMPUS CAMEDIA C5050Z / 2004年8月17日

メキシコに次いで,何しろ暑かった.
確実に40℃越え
2リットルのペットボトルを持ち歩いていたのだが,それを一気飲みできるレベル.
水が残り半分になると不安になるので雑貨屋に買いにいくのだが,エジプトはこうした生活必需品を買う時でさえボッてくるので油断できない(厳密には紙幣を渡してもおつりを返してくれない).
他の国ではありえないので,印象はあまりよくない国の一つとなってしまった.

カイロ観光の前には,紅海沿いのハルガダにてダイビング.
Kazchari的にはピラミッドより紅海の美しさ(固有種だらけ)が印象に残っている.

OLYMPUS CAMEDIA C5050Z / 2004年8月13日

さて,『LWD』の一行は一週間に一便しかないスーダン行のフェリーにバイクとクルマを乗せるためアスワンへ急ぐ.
人は別便らしく,ここで不思議というかテレビ番組ならではの行動.

ユニセフのバイク診療チームのメンバーと会談するため,いったん飛行機にてケニアに入国.
交流後,再びアスワンに戻ってくるという旅程.

うーん.

こういうシーンを見せられると,やはりこれは「旅」ではなく「テレビ番組」なのだとあらためて認識させられるな.
途中でトラブルがあっても「演出でしょ」「何とかなるんでしょ」という思いが頭をよぎってしまう.

さて,スーダンへ.
これまた南北に分断される前の撮影.
サハラ砂漠とまでは言わないが,十分な悪路

舗装路がほとんどなく,チャーリーはともかく,ユアンは転倒しまくって「オフロードは好きじゃない」とグチる.
そら,パワーはあるかもしれんけど,あの巨大なGSやもんなぁ.
無理な走行が祟ったのか,ユアンとクラウディオのBMWのサスペンションが砂漠の真ん中で壊れる.
予備パーツが一つしかないので,ユアンのバイクだけ修理し,クラウディオのバイクはトラックを探してきて搬送することに...って,これも個人旅行では無理な話.

一方,自転車で旅している人も数人登場.
10年以上母国を離れ,現在スーダンを自転車旅というだけで,もう十分“アレ”な人たちなのだが...なんてうらやましい.
その間,歯の治療とかどうしてるんやろ?(そこ!?)

首都のハルツームは大都会.
イラクの副大統領が同じホテルに投宿しているらしく,やや緊張感.
しっかりBMWの修理を行い,エチオピア国境に向かう.

ちなみにスーダンから南スーダンが独立したのは2011年.
現在世界で一番新しい国家だが,その内情は悲惨.
失敗国家の代名詞とされている.

ゼロからわかる南スーダン「国づくり大失敗」の真相

お次はエチオピア

乾いた砂漠は濡れたジャングルに変わる.
ブラック・アフリカの入り口.

ジャマイカに縁のあるKazchariとしては,エチオピア=ジャーことハイレ・セラシエ,帝国のラストエンペラー
日本人にはレゲエ&ドレッドヘア&マリファナというイメージしかないラスタマンだが,本来はラスタファリズムという宗教の教えを具現化しているのがラスタマン(ラスタファリ)なのである.

ラスタファリ運動

ようするに,アフリカから奴隷として連れてこられた我らは,この退廃・堕落したバビロン(ジャマイカ)を脱出して,ジャーが統治するザイオン(天国)たるエチオピアへ帰ろう運動.
ボブ・マーリーの歌詞にもバンバンでてくる.

まぁ,実際のジャマ人は大多数がプロテスタントなので,ラスタファリは少数派.
病院で活動していたKazchariもラスタファリの患者さんを複数人担当した.

Nikon COOLPIX E950 / 2004年3月18日

さて,現代のエチオピアは,ジャマ人たちが焦がれる天国なのだろうか?
あまりそんな印象はないなぁ(特に某国に忖度しまくりのテドロス,てめーのせいだ).

さて,『LWD』の一行は,あまりのタイトスケジュールのせいか,スタッフ間の諍いが目立ってきたようだ.
ハンディカムでユアンとチャーリーが愚痴をこぼしまくっているのだが,こういう描写って誰得?

結局,こうしたギクシャク関係も快適な(?)都会のアジアアベバでの休養を経てクールダウン.

エチオピアのシャシャマネにあるラスタ村を訪ね,長老にラスタの教えを聴くユアン.
目が少々イッテル長老の話に「こいつ,何を言ってんのか,さっぱりわかんねー」という表情がナイス.
その直後,長老が倒れて『LWD』の随行ドクターが治療するという展開へ.
ホンマ,ラスタの人たちって健康なのか不健康なのかよくわからん.

現地に入植し,花卉ビジネスを展開しているイギリス人(?)のプラントも見学.
2007年当時,既にSNSが浸透しており,このイギリス人たちも,ネットで一行のルートを予測し,幹線道路に“歓迎”の横断幕を張って,二人が気づくことに期待していた.
その目論見は大当たり(仕込みでなければ...).

将来,『LONG WAY in ASIA』(仮)が制作される際には,Kazchari実行してみるかな?
稚内から樺太に渡るルート設定だと,旭川通過もありうる?

ジャマイカ&レゲエ A to Z 2010年増補改訂版

『LONG WAY DOWN』の感想(その2)「イタリア~リビア編」

2020/11/30 Mon

貴重な映像.

ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンのアフリカ縦断バイク旅『LONG WAY DOWN』(LWD)AppleTV+で視聴中.

今回はイタリア半島を抜けて,チェニジア-リビアまでの感想.

ローマの渋滞を抜けてたどり着いたキャンプ場にて,二人はキャンピングカーのスイス人夫婦と出会う.
この夫婦,以前,南アからボツワナまでバイクで抜けたことがあるそうな.

いつも思うのだが,ヨーロッパ人はホンマに旅好き.
若い人より中年以降の方がアクティブな印象.
経済力がある上に,バカンス期間がやたらに長いのがうらやましい.

2019年GDP世界ランキング1~3位と言えば,アメリカ,中国,日本だが,金はあっても印象として社会に余裕がないように思える.
ちなみに4位以下はドイツ,インド(!),イギリス,フランス,イタリア,ブラジル(!),カナダの順.
へー,インドとブラジルって,もうこのランクにいるんや.

だがしかし.
これはあくまで国全体の経済力を示すだけであり,格差が大きい社会では個々人の生活状況に直結しない.
1人当たりの名目GDPランキングだと1~3位は,ルクセンブルグ,スイス,アイルランドとなり,それ以下もヨーロッパ勢がずらっと並ぶ.
ちなみに日本は25位(アメリカ7位,中国69位)

そして一行はシチリア島へ.
先日の『Giro d’Italia』で見慣れた風景が映る.

舞台はいよいよアフリカ.
地中海を渡るフェリーで入国,つまり海路.
いいねぇ.
2004年にスペインからジブラルタル海峡を通ってモロッコに渡ったことがあるが,もうアフリカ!っつーだけでワクワクするな.

その後,チェニジア-リビア-エジプトと通過していくのだが,この番組は2007年に制作されている.
つまり「アラブの春」以前の旅となる.
今となっては貴重な映像かもしれない.

特にリビア
街のあちこちにカダフィ大佐の肖像が掲げられている.
40年以上,リビアを独裁統治していたカダフィが2011年に“革命”によって倒されるまで,リビアはどの様な国だったのか?

日本を含む西側の報道だと,独裁=悪で,住民は強権によって迫害されている...みたいな印象だが,実際はそうでもないらしい.
例えば以下のサイト.

「狂犬」カダフィー政権の42年の内情は?

まとめると,こんな感じ.

- 1955年に油田が発見され,カダフィの資産は14兆円あった.
- しかし,それはリビア国民にも分配されていた.
- 平均寿命74歳.
- 就学率もアフリカでトップクラス.
- 税金なし.電気,教育,医療も無料.

他のサイトでも,こんな記載が(URL不明).

- ガソリン,リッター10円
- ローン無利子
- 全国民に住宅提供
- 新婚夫婦には5万ドルの住宅補助金を支給
- 失業者には無償で家を支給
- 車購入の際,政府が半額を負担
- 農業を始めたい人に土地,家,家畜,飼料など全て支給
- 薬剤師になりたい人の経費全額無料
- 出産女性に5千ドルを支給
- 学校卒業後,仕事に就けるまで国が給与を支給
- 国民の25%が大卒資格者

どこのユートピアですか?

結局,「アラブの春」に便乗した反政府組織がカダフィ政権を転覆させ,彼は殺害されてしまったわけだが,当時からフランスやアメリカの陰謀説が絶えない.

「アラブの春」の正体 欧米とメディアに踊らされた民主化革命 (角川oneテーマ21)

そして,リビアはいまだに内戦状態(部族抗争)にあるらしい.

リビアで起こっていることを、これ以上ただ見ているだけではいられないから

世界は一面から見ただけではわからない.
80年近く独裁が続いている某隣国もひょっとしたら天国...それはさすがにないか.

堅実な暮らしをしているのか,チェニジアやエジプトより見た目に派手さはない.
こういう国は得てして,遺跡の保存状態がよい.
つまり観光資源は豊富.
とはいえ,新コロに関係なく,渡航困難な国の一つのまま...と思っていたら「歩き方」が出版されていた.

E11 地球の歩き方 リビア 2010~2011

旅程は戻るが,チェニジアには『スターウォーズEp.IV』のルークの家,タトーウィンのセットが残されている.
ユアン(オビ・ワン)がいても誰も気が付かない.
Ep.Ⅲのラストで訪れたのは別のセット?

リビアでは暴風の洗礼を受ける.
なのに砂浜でキャンプ.
うわぁ耐えれんわ.
でも,楽しそう.

チャーリーの毒舌&毒態度もお約束.
言いたいことをはっきり言っても嫌われないのが西洋風?

リビアのビザが下りなかったアメリカ人スタッフと合流するため,一行はエジプトに向かう.
おっ,ようやくKazchariが行ったことのある国が出てきた.

(その3へ)

アフリカ縦断旅『LONG WAY DOWN』の感想(その1)「イギリス~イタリア編」

2020/11/27 Fri

アフリカ編を再び.

ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンのバイク旅最新作『LONG WAY UP』を7日間の無料トライアルで観きれなかったため,600円払って一か月間延長した.
結果,12/20までAppleTV+を楽しめることになった.

そこで今度は,2007年のアフリカ縦断バイク旅『LONG WAY DOWN』(LWD)を視聴.

実はこの『LWD』に関しては,輸入盤のDVDを所有し,一度通して観ている.
ただ,残念なことに日本語字幕がなく(英語字幕あり),Kazchariの英語力では細かなニュアンスを追いかけることは不可能だった.

もちろんAppleTV+の放送ではしっかりと日本語字幕が付いている.
あらためて観ると,色々発見があって面白い.
というか,内容を大方忘れており,ほぼ初見状態.

(一応)二人の旅程を追いつつ,心にうつりゆくよしなしごとを,そこはかとなく書きつくろうと思ふ(徒然草か).

さて,旅は前回同様に準備段階から始まる.
2007年の旅なので画像や音声がややプア
これは仕方がない.

以前アップした『LWU』の記事では「旅の途中でユアンの奥さんが突然出てきて興醒め」という感想を書いたが,今回確認すると序盤のうちから合流することは既定路線でした.
失礼しました.
それでも不要やったと思うけどな(チャーリーも同意).

『LONG WAY UP』の感想(その5)「中米編」

旅は例によってロンドン市内に基地を作るところから始まる.
そして,通過するアフリカ各国のビザ取得などの事務手続き.

Kazchari自身はアフリカでの陸路国境越えは未経験だが,ビザ申請も大変で,さらには北や西アフリカのイミグレーションでは賄賂要求が横行しているとのこと.
想像するだけでも面倒くさい.
無事通過できたら話のネタになるけどな(ゲームクリア!)

アフリカと言えば,疫病・治安・不衛生で有名.
バックパッカーの間でも,「アフリカ行くなら30代が限界」などと言われていた.
それくらいキツイ.

思い起こせばKazchariの初めての海外旅行はケニア-インド-ネパール行(1989年)
今は知らないが,当時はアフリカの多くの国で黄熱病のワクチン接種,つまりイエローカードの所持が義務付けられていた.

後の青年海外協力隊参加時(2002年)には,黄熱病,A型肝炎,B型肝炎,破傷風,狂犬病,日本脳炎,ポリオ他のワクチン接種したように思う.
自分で打つと結構な料金.協力隊だと無料...おっと税金です.
この中で特に重要なのは狂犬病やな.
野良犬はマジ怖い.

そういえば,オーストラリアのカンタス航空が,海外からの搭乗に際し,新コロワクチン接種証明書の提出を義務づける予定とか.
まぁ,当然の処置でしょう.

出発数週間前のユアンの交通事故による腓骨骨折やら,スタート地点に向かう空港でのチャーリー暴言-逮捕事件(何があった?)を経ていよいよスタート.

今回の使用バイクは『BMW R1200GS Adventure』

文句なしにカッコよい.
個人的にバイクデザイン史上最高かも.

ただしあまりに巨大な車体ゆえ,平均的な日本人の体格ではまず扱えない
平均以下のKazchariではなおさら...(泣)

たまーに極端にシートアンコ抜きした機体に乗っている(小さい)おぢさんを見かけるが...無理矢理感あり.
もちろん個人の自由です.
ひょっとしたらガストン・ライエ並みのテクを持っているかもしれんしな.

縦断と名乗るだけあって,出発点はスコットランド北端
これは後の『LONG WAY UP』にも引き継がれる.

スコットランド→イングランドを縦断しつつ家族との別れ.
そしてユアンが出資している小児ホスピスに立ち寄る.
『スター・ウォーズep.Ⅲ』(2005)の公開から間がないためか,オビ・ワンネタ多め

ドーバー海峡をユーロスターで渡りフランスへ.
フランス国内はほぼスルーし,モンブラントンネルを通ってイタリアへ.
コモ湖のそばにあるモト・グッチのファクトリーにBMWで立ち寄る.
バイクの組立工程のアナログぶりというか,手作り感がたまらん(品質は?)

そういや縦置きVツインが特徴的なモト・グッチのバイク,最近日本で見ないな.
一時期(と言っても80年代後半),モト・グッチの赤い『イモラV35』が女性ライダーに大人気だったように記憶している.

オートバイに夢中だった20代のKazchari.
片岡義男を筆頭に,オートバイが出てくる小説をむさぼるように読んだ.
その中でも特に印象に残っているのが,香咲弥須子の『終わらない夏』(1987年).

終らない夏 (角川文庫)

一風変わったふわふわ小説.あらすじは以下の通り.

理解のある夫とエアロビクスのインストラクターという仕事をもって、おだやかに暮す恵子。けれど、愛車イモラでのツーリングで謎めいた「風のような男」に出会ってから、恵子の心はゆれ動く。もう一度、会いたい。そのためだけにすべてを賭けて、オートバイを走らせる。そして―。青空の引き裂くような、光につつまれるような、バイク乗りの快感とともに、愛の高揚と決別を描いた、新鮮なバイクノベルの登場!

そうそうこんな内容の話やった.
最高なのはバイク小説にも関わらず,メカニカルな描写が適当なこと(ってけなしてるんかい!).
ラストシーンはまるでアメリカン・ニューシネマ.

そして,驚くべきはその後の香咲さんの人生.
えーっ,そっち!?

ホーリースピリットからの贈りもの (日本語) 単行本

つーことで,『LWD』を堪能しよう!

『LONG WAY UP』の感想(その6)「メキシコ&USA編」

2020/11/23 Mon

信頼と楽観と信念と.

『Long Way Up』の感想,その6はメキシコとUSA編
正直,感動というより少々不満の残るエンディングだった.

ビビりまくりの前置きの割には,妙にあっさりと通過してしまったメキシコ.
てっきりバイカー垂涎のルート,バハ・カルフォルニアを縦断すると思ってたけどな.

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見どころ満載の国なのにもったいない.
やはり,この旅(番組)のメインイベントは南米やったな.

それに,メキシコがやたらに危険危険と強調され過ぎているような印象.
実際の外務省の危険マップ上はこんな感じ(2020年11月現在).

Kazchariはメキシコをこれまでに3度訪問している.

2004年にユカタン半島(プラヤ・デル・カルメン,コスメル)を2回.
2016年にバハのラパスである.

特に2004年はツアーではない個人バス旅.
深夜バス内での荷物万引き事件に遭遇したものの,特に問題なかった.

『Long Way Up』の予定ルートでもオアハカとベラクルス州抜けたら,危険地帯を避けて北上できるのでは?
確かに夜間のバイク走行は危ないかもしれないが,日暮れまでにセキュリティの利いた高級ホテルにチェックインすれば良いだけの話では?

とは言え,超有名人ユアン・マクレガーを危険にさらすわけにはいかないということ?
バイク旅の時点で十分リスキーなような気もするが.

いすれにせよ,スタッフがグアテマラ滞在時から考えていた作戦というのが...

なんと!ローカルバスを改造,バイクを積み込めるようにして,夜間の休息・移動・充電を一度に済ませるという,まるでリアル『富豪刑事』もしくは中川財閥(byこち亀)のような金に糸目をつけない作戦(スゲー).
さらに!このバスの改造作業工程にやたらに尺をとるという謎展開

解せぬ.

この旅の主役はバイクでは?

一方で,バイク以上に目立つ存在の電動クルマ,リヴィアンはそのまま走行してて大丈夫なのだろうか?
このライトのデザインなんて,どうみても普通のクルマには見えん.

さらに驚いたのが,この改造バスの使用が(画面上)たった一晩だけだったこと(違ってたらすまん).

どんだけ金かけてんねーん!

まるで,バスの改造を見せたかったような展開で少々興ざめ.
このあたりの演出意図はよくわからん.

いずれにせよ,USA国境の町ファレスの手前で,バイクを下ろし,豪雨の中バラバラに走って互いを見失うなど,これまたよくわからない展開(GPSは?無線は?).
少々仕込み過ぎでは?

日本のワイドショーやバラエティなんかも,過剰に不安を煽るような演出が多いが,むこうもそう変わらん印象.
ドラマとまで言わないが,セミドキュメントやな.これやと.
メンタリストDaiGoによると,「人は不安になると消費行動が増す」らしいので,この番組を通して消費を活性化させる目的なのかと邪推する.

ファレスと言えば,これまた世界凶悪都市のひとつ.
『Long Way Up』視聴後,たまたま見つけたのがAmazon Prime Videoにあるこの2本.

ボーダーライン(字幕版)

エミリー・グラントが主役と思いきや...「えっ?そういう話なん?」的な展開.
重低音のBGMが並々ならぬ緊張感を醸し出す.
続編もあり.

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(字幕版)

こちらの方が面白い.

人と車両は手続き場所が別とかなんとかのややこしい手続きを経て,一行は無事USA入国.
ここからは...まぁ,特に面白くない.
最後はお約束の家族との再会および地元ライダーとのパレードラン

つーことで,全11話を見終わってしまった.
後半の娘登場やら駆け足展開がもったいなかったが,南米からパナマ上陸にかけては見どころ満載.
ここ数日,最大の楽しみでワクワクさせていただきました.

最後にユアンが「一週間も経てば,また次の旅の計画を立てたくなる」と話していた.
残るルートはもうアジアしかない.

オーストラリアから東南アジア,日本,中国を抜けてロシアの北極圏まで.
『Long Way Up2』か『Long Way Down2』,もしくは『Long Way in ASIA』?
中国へのビジネス展開を考えると十分ありえるルート.

Kazchariは,Project-ONEで組んだ自分のDomane SLR7に以下の言葉を刻んでいる.

Frank,Cool,No Fear

大好きな作家,森博嗣の言葉である.これが旅および人生におけるKazchariの信条

冒頭に上げた,

信頼と楽観と信念と.

は,メキシコ入国前に,プロデューサーのデイビットがつぶやいた言葉.
英語だと,

Trust,Optimism,Belief

となる.
これも良い言葉.

早く次の旅に出たい.

『LONG WAY UP』の感想(その5)「中米編」

2020/11/22 Sun

今度は娘.

『Long Way Up』の感想その5は中米編.

通過国はパナマ-コスタリカ-ニカラグア-ホンジュラス-グアテマラ
南米編に比べ,妙にあっさりと通過した印象.
あまりネタがなかった?

そして,前作の『Long Way Down』でも(個人的に)大不評だった演出を,またしてもやらかした.

それは,テコ入れだったのか何なのかわからんが,東アフリカあたりでユアンの奥さんが合流し,しばらく一緒に走るというエピソードのこと.
おかげで男二人旅のストイックさが台無し.
不評なのはKazchariだけで,他の人は受け入れたのだろうか?

第一作『Long Way Round』におけるユーラシア極東編のあの悪戦苦闘の絶望感が大好きなので,家族との交流などという軟弱路線は不要っ!

そこで思い出すのが,バックパッカーの永遠のバイブルこと沢木耕太郎の『深夜特急』の件.

深夜特急(1~6)合本版(新潮文庫)【増補新版】 Kindle版

Kazchariもこの本のおかげで会社辞めて,東南アジアを1年ほど旅してしまいました.

旅の回顧録~1993年のカンボジア(1)

この『深夜特急』は1996から98年にかけて,3部構成でTVドラマ化された.
主人公の“僕”こと沢木耕太郎役を王騎将軍(大沢たかお)が演じていたのですよ.ココココ
当然だが旅行記のドラマ化ゆえ,全て現地ロケ.

劇的紀行 深夜特急 [DVD]

さすがにアフガニスタンには入国できなかった(原作のここのパート面白い)ものの,全般にデキが良く,毎回放送を楽しみに観ていた.
倉庫を探せば当時録画したVHSテープが出てくるはず.

しかし...第三部のヨーロッパ編にて,原作にないシーンをねじ込んだおかげで全てが台無し!
これまで積み上げてきた一人旅ならではの自由や不安,孤独感や寂寥感を全て破壊しやがった.おのれ松嶋ぁ!
別に松嶋菜々子が悪いわけでなく,完全にスポンサーか事務所のゴリ押しやろな.

話を『Long Way Up』に戻す.
つーことで,今回は奥さんに代わり,ユアンの娘がコスタリカで合流.
この娘さん,実は訳ありで『Long Way Round』ウランバートルに立ち寄った際,ストリートチルドレン保護施設にいたのをユアンが養女に迎え入れたという経緯がある.
現在17歳ぐらいかな.
ブラピとアンジェのところもそうだが,西洋人のセレブがアジアの孤児を養子にする例は多いようだ.

米国の養子縁組制度

国際養子縁組制度の今.年間50人以上の日本人がアメリカで養子に?

とまぁ,環境や人権問題を旅の途中で取り上げるのも番組の趣旨なので,先の『深夜特急』ほどコンセプトとかけ離れているわけではないが,ストイックな男バイク旅を望むKazchariとしてはちょっと萎える.
ただし,娘さんの「どうして選ばれたのが私だったのかわからないが,今はものすごく幸せ」という言葉には考えさせられる.
偶然が偶然を生んで“いま”があることを改めて認識する.

さて,例によって本編とKazchariの旅の思い出を融合合体.

【パナマ】
ユアンは壊れたバイクをハーレー本社の技術者に見てもらうためコスタリカのサンホセに先行.
チャーリーは1人(+カメラマン)でパナマ運河を観に行く.
Kazchariもパナマシティから列車で運河を訪れたことがある.
その時も巨大タンカーを間近に見ることができた.
デカイです.
運河は,現在さらに拡張されているようだ.

Nikon COOLPIX E950 / 2003年9月8日撮影

初めて知ったのだが,チャーリーの父親のジョン・ブアマンは映画監督で『テイラー・オブ・パナマ』という映画を撮っている.
2001年の公開.たぶん観てない.日本ではコケた?

テイラー・オブ・パナマ [DVD]

【コスタリカ】
自然の宝庫コスタリカ.
バイクの一行はほとんどスルー.
2003年に訪問したが,Kazchariの目当てはカエル.
そうコスタリカと言えば,『水どう』で有名な極楽鳥の他,カラフルなヤドクガエルが有名.
ガイドさんを雇ってジャングルの奥へ.

Nikon COOLPIX E950 / 2003年9月12日

何気に手のひらにのせているが,もしキズがあったら...アウトらしい.

【ニカラグア】
Kazchari未訪問.
協力隊の同期によると「超つまらん国」らしい.
ただし,以下の本によると内戦で国が荒れに荒れたものの,中米は珍しい平和国家のひとつ.

世界244の国と地域 197ヵ国と47地域を旅の雑学とともに解説 (地球の歩き方BOOKS)

番組中では火山を紹介.
これは見てみたい.

【ホンジェラス】
これまたKazchari未訪問国.
これまた同期隊員によると...イマイチな国らしい.
驚いたのはサン・ペドロ・スーラに行く旅程になっていたこと.
ここは言わずと知れた“世界治安悪い都市ランキング”で常にトップを競り合うマッドマックスな町.
番組では,近くの町のUNICEFを訪問している.
今ではややマシになったが,以前は昼夜間問わず,子どもは外に出れなかったそうな.
理由は「殺されるから」
わけわからん.

【グアテマラ】
この辺りから麻薬ギャングがらみの話が増えてくる.
夜間走行を避けるべき地域がある.

Kazchariは2004年に訪問.
その際は隣国ベリーズから陸路国境を越えて入国.
ちなみにグアテマラはベリーズを独立国家として認めておらず,地図上はグアテマラの一部扱い.
ティカル遺跡を見物した後,これまたバスに乗って陸路でメキシコに抜けたのだが(チアパス州),たぶん外務省的にはヤバイ地域やったと思う.
だいたい国境地域はそういうもの.

Nikon COOLPIX E950 / 2004年4月10日 グアテマラーメキシコ国境

バイク組+娘一行は湖のそばでキャンプしたりしていたが,その間,四輪組は来るべきメキシコ通過に備え,無茶な計画を準備中であった.

次回はいよいよクライマックス.
文句も言っているけど,面白い(うらやましい)旅である点は揺るがない.

もうじき終わってしまうのが何とも寂しい.

『LONG WAY UP』の感想(その4)「エクアドル&コロンビア編」

2020/11/20 Fri

国境超えは大変.

『Long Way Up』の感想その4は,エクアドルとコロンビア編.

米国に近づくにつれ,何やらゴミゴミしてきた.
都市化が進み,自然が減少.
これはこれで旅情感あり.

エクアドルに入国.
国内最大都市,グアナキルではスターウォーズ俳優として自撮り攻めにあう.
Kazchari的にはエクアドル=ガラパゴス島なのだが,この旅ではさすがに行かないらしい.
オートバイ関係ないしな.
そういやイグアスの滝もパスしてる.

ちなみにガラパゴスのダイビングツアーは軽く100万円コース
憧れの海であるものの,さすがに躊躇する価格.
100万あったら...『Emonda SLR』『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO』買うね!(いや,こいつらも値段的におかしい

TREK Emonda-SLR7 e-tap(80諭吉)
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400 F4.5 TC1.25x IS PRO(110諭吉)

お次はコロンビア
コロンビアと言えば,麻薬と自転車選手
世界最大の麻薬組織,メデジンカルテルが(たぶん)滅んで,だいぶ観光しやすくなったそうな.
世界最悪の街の悪名はホンジェラスのサン・ペドロ・スーザに移ったか.
渓谷に建てられた教会とか,実に趣がある.

悪路の雨中走行が祟ったのか,ユアンのバイクが壊れた.
ハーレー本社に電話してアドバイスをもらうが打つ手なし.
精密機械ゆえ,コスタリカまで運び,技術者に修理してもらうことになった.
まぁ,この辺は個人旅行とは雲泥の差やな.

ここからは期待のダリエンギャップ越え.

コロンビアとパナマの国境にあるダリエン地峡は,パン・アメリカンハイウエイの未開通区間である.
ここは道路のない未開のジャングルという地形的な障害だけでなく,反政府ゲリラもしくは麻薬密売グループの巣窟とされる.
個人旅行でここを通過するのは自殺行為.
...のはずなのだが,まさかこんな本が出てるとは...

ダリエン地峡決死行 (わたしの旅ブックス)

毎回のアバンタイトルでは,バイクのまま陸路で突っ切るような印象もあり,まさか!と思っていたが,さすがに飛行機+船による移送になったようだ.

番組内では,この辺りの旅程やルートがごちゃごちゃして,何がどうなっているのかさっぱりわからん.
ユアンが輸送機に乗ったままパナマinするために“一時的に”作業員になりすましたり(いいのか?),旧ソ連製の小型飛行機の客室にバイクをそのまま載せたり,結局船の予約がどうなったのか,四輪組と二輪組はどうして別ルートになったのか,時間的にも空間的にも『TENET』なみに複雑(2回見ればわかる?).

まっ,コマけーことは船旅が予想以上に面白かったので良し.

国境超えトラブルはKazchariも色々と経験がある.
印象に残るものと言えば,まずカンボジア-ヴェトナム.

旅の回顧録~1993年のカンボジア(24)

『Long Way Up』でもチリとボリビア間やったかな.
ユアンのパスポートに問題発生.

まず,チリを米国のパスポートで出国.
緩衝地帯を走行後,ボリビアのイミグレーションで入国手続き.
しかし,米国人はビザが必要なので入国できないと断られる.
そこで,ユアンは英国パスポートを出す.
こちらはノービザで入れるのだが,チリの出国スタンプがないため,やはりボリビア入国不可.

そうそう,欧米人はなぜかパスポート何冊も持っている.
どこかの国のドミトリーで「♪今日はどれ使おうかなぁ~」と,5冊ぐらいパスポート見せびらかしている西洋人(?)を見たことがある.
二重国籍を認めない日本が珍しいのだろうか?
それにしても不思議な身分証明書やな.

結局,ユアンはUS$160で無事(?)入国できたようだ.
国境あるあるやね.

Kazchariも青年海外協力隊時代はパスポートを2冊持っていた.
普通のプライベート用(赤)と公用パスポート(緑)

この2冊の最大の違いは,公用パスポートは渡航できる国に制限があること.
ジャマイカからの帰国時,同期隊員と一緒に隣国のベリーズを旅したのだが,そいつが,ジャマ出国のスタンプを公用パスでしてしまったので,そのパスで入国を認められていないベリーズに入国できないという事態が発生した(Kazchariはプライベートパスポートを使ったのでセーフ).

税関でしばらくつかまり,色々と尋問され,数時間後ようやく解放.
そいつはその後,メキシコ-グアテマラ間の陸路国境でも問題を起こす(確か所持金を“正直に”申告したため).

まぁ,トラブル続きで楽しかった道中の紹介はいずれまた.

そう,空路より格段に面白いのが,陸路や海路国境超え.

旅の醍醐味やね.

『LONG WAY UP』の感想(その3)「ボリビア&ペルー編」

2020/11/19 Thu

ああテレフェリコ!

『Long Way Up』の感想その3.
ボリビアとペルー編について.
この地域は標高が高い.
ガソリン車(キャブ仕様)と違って,出力が落ちる事はないんやろな.
登りが多い分,電力は喰うか.

その2の感想では,かなり感傷的になり「ああ行きたい行きたい」「ああ戻りたい戻りたい」状態になってしまったが,実際中南米を旅するとなると,治安の問題は切っても切り離せない.

2002年からのジャマイカ滞在中も,2004年にヨメさんと中南米を旅した際も,特に犯罪には遭わなかった.
ブエノスアイレスの長距離バスステーションのターミナルで,すぐそばに座っていた現地の女性が,床に置いていたカバンをいきなり持っていかれたのを見た程度.

まっ運が良かっただけやろな.

これが,オートバイ旅になるとどうだろう.
もちろん,オートバイが盗まれたり,無人地帯で強盗に襲われるというのが最悪の事態だが,その他にもガソリンの入手やエンジントラブルが心配(パンク修理すらおぼつかない).

あぁ,ダメだ「行かない理由」を考え出すとキリがない.

とりあえず書籍やブログで旅行記を読み直そう.
そういや『珍夜特急2nd season』,途中で読むのが止まっていた.

珍夜特急 2nd season 7―ペルー・ボリビア― Kindle版

なんてことを観るたびに考えさせる『Long Way Up』.
ホンマ,毒番組やで.

さて,チリを抜けボリビアに入国した一行.
国の経済レベルに伴ってか,ボリビアの道路はよろしくない.
目的地のウユニ塩原に向かう道は,フカフカとガチガチが混ざる砂漠ダート.
以前のGSならともかく,ロードタイヤの電動ハーレーでよう走るわ~

ユアンはオフロードに慣れていない,チャーリーはこれまでの度重なる事故により,脚にボルトやらプレート固定しまくっているらしい.

すいません.
旅程がハードなほど観ている分には楽しいです.

苦労のあげく,ウユニ塩原着.
10月頃かな? 乾期だったこともあり,雨後の鏡面状態にならないのでそれほど時間をとっていない.

これまで都会を避けてきた一行だが,ボリビアでは首都のラパスに寄っている.
ラパスと言えば標高3640mという世界一高い場所に位置する首都で,すり鉢状の土地にへばりつくビルやら建物が有名.
おかげで街中は急坂だらけ.

とは言え,ユアン曰く「これまで訪れた中で最も楽しい街」らしい.
新市街と旧市街の移動もテレフェリコ(ロープウエイ)だし,確かに楽しそう(そこ?).

次はチチカカ湖を横断しペルーへ.

山岳地域を走っている際,片足のローディと出会う.
ペルーのパラリンピック代表選手らしい.
片足でチャリに乗るだけでも驚異だが,それでヒルクライム!? この標高で!? すごすぎる.
美瑛センチュリーライドでも日本人の片足オリンピアンに会った.
ええ,激坂で抜かされましたよ.

ペルーでは定番のマチュピチュを訪れる.
バイクを置いて,列車でふもとまで向かうのだが...これまた,うらやましすぎる.
夜明けの遺跡見学
地形上,仕方ないのかもしれないが,マチュピチュの全体像はいつも同じ構図.
それでもなかなか霧が晴れなくて,きれいに見れる日は少ないそう.
この旅のユアンとチャーリーは...とにかく運がいい.

Kazchariも写真や映像ではなくこの目で見てみたい.

ペルーのもう一つの謎遺跡と言えば「ナスカの地上絵」
定番のセスナによる遊覧.
お約束のゲボボ魔獣状態で見物どころではない.
この辺は『水どう』っぽい.

その他,欧米の番組っぽく,環境問題や少数民族の人権問題を上手く取り入れている.
ユニセフの活動も紹介されているが,押しつけがましくなく好感が持てる.

Kazchariもこの2国は行ったことが無い.
将来の楽しみにとってある.
余りに距離が遠く,10日程度の休みだと時差ボケ&高山病で悩まされたまま終了してしまうような気もする.

とは言え,世界で最もインスタ映えするスポットとして有名になったウユニ塩湖なんて,ここ数年,日本人観光客が大挙して押し寄せているそうな.
主に高齢者と若者.
時間があるのはわかるけど,金持ってるなぁ...
今,さくっと調べたら,ウユニ,マチュピチュ,ナスカ周遊の全コミツアーだと,11日間50万ほど.

うん? 意外に安い?(いやいや)
ラジャアンパットのダイビングツアーとそう変わらない.(おいおい)
もちろん個人手配&個人旅だとこの半額以下になるんやろうけど,時間が無限にあるパッカーならともかく,リーマンにはツアー参加が良いでしょう.

あれ? オートバイで行く話はどこへ?

『LONG WAY UP』の感想(その2)「アルゼンチン&チリ編」

2020/11/16 Mon

羨望しかない.

ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンの中南米縦断バイク旅『LONG WAY UP』AppleTV+で視聴中.

ようやく全行程の1/3を視聴完了.
アルゼンチン&チリ編やね.
サンティアゴやブエノスアイレスなどの大都会は避けて地方都市をつなぐ旅程.
当然,道の状況はあまりよくない.
ウシュアイアからしばらくは雪景色(凍結は大丈夫なのか?).
北上するにつれ,荒涼とした岩砂漠へ.
もちろん未舗装.
あの短いサスとロード用タイヤでよう走るわ.
実に楽しそう.

それにしても...絶景に次ぐ絶景.
そのあまりに美しい風景に感情が揺さぶられる.
撮影技術も進歩した.
中でもドローンを駆使した映像が素晴らしい.

そうやなぁ...やっぱり南米(チリ,アルゼンチン,パラグアイしか訪れていないが)は景色,食い物,人,全てが良かった.

今回の旅の目玉は電動バイク&クルマの旅であること.

ゆえに充電切れの不安が常にある.
ようやく街にたどり着き,民家やホテルの電源に接続しても,電圧の関係なのか,うまくいかないことが頻繁に起こる.

サポートカーも砂漠の真ん中で充電切れの他,システム異常によるブレーキロックなど,トラブルだらけ.

バイクもクルマもガソリン車以上に気温や風,スピードや路面状況(登り!)による電力消費の差が激しいようだ.
ホテルの中にバイクを持ち込み温めると電力が復活するとか,クルマのスリップストリームを使うとか...その問題解決方法も番組として楽しめる(無事にゴールするとわかっているからだろうけど).

何よりあの過酷なルートで,あの“ハーレー”が壊れないのが何より驚異.

そういや電動だと排気量という概念がなくなる.
今後電動バイクが増えてきたら,グレードはどう表現するのだろう?
ワット数? バッテリー容量?

ここでKazchariの電動バイク体験記を.

2018年に石垣島を旅した時,現地で電動スクーターを借りた.

石垣島の電動レンタルバイク

うろ覚えだが,台湾メーカーが今後の日本本土への展開を考えて,島で試験運用中だったように思う.
有名どころの観光地にバッテリーステーションがあり,2リットルのペットボトルより二回りは大きいバッテリーを交換しながら走りつなぐ.
満タンで80kmは走る.
狭い島なので充電切れの心配はまずない.

OLYMPUS TG-5 /2018年9月22日
OLYMPUS TG-5 /2018年9月22日
OLYMPUS TG-5 /2018年9月22日

大きな声では言えないが,「ブーストモード」なるものが付いていて,これを発動させると50ccのスクーターより明らかに速い(その分電力消費も激しい).
内燃機関の排気音ではなく「ウィーン」というモーター音が独特.
番組中の電動ハーレーも同じような音がしている.
(名物の)エンジンの振動はほぼなさそう.

さっき,久々に公式サイトを見たら,中古車を販売しているようだ.
もちろん走行は石垣島内に限る.
そらそうだ.
バッテリーステーションが必要やし.
本体だけでなく月々バッテリー使用料も別途かかる.
ガソリン車とどっちが得?

それにしても...番組を観ながら考えてしまう.

世界あちこちを旅してきたが,レンタルバイクなど単発的な場合を除き,飛行機,バス,列車など公共交通機関を利用しての旅がほとんど.

楽で安全だが,自由に自分のルートを線でつなぐオートバイ旅の方が何倍も楽しいのは間違いないだろう.
あっ,そういや2010年にボルネオ島1500kmをバイクで横断するツアーに参加したことを思い出した.
あれも実に良い思い出.

昨日は冬支度の一環として,HONDA XR-BAJAのバッテリーを外し,車庫の奥深くに入れた.
今年はもう乗らない.
いや,正直に言う.
今シーズンは一度も乗らなかった.

もちろん自賠責も任意保険代も払っている.
年3万ほど.

なぜ乗らなかったのか.
理由はわかっている.
自転車が楽し過ぎるのだ.

オートバイには19歳の頃から乗っている.
一周こそしていないが,それこそ日本中出かけた.
豪雨や暴風の中,雪山,猛暑の中を走り,満天の星の下でキャンプをし,見知らぬ人と話した.
何よりオートバイは造形的に美しい.

オートバイは乗らなければ朽ちていく.
サスはへたり,オイルがにじみ,ガソリンが腐り,サビが浮く.

『LONG WAY UP』を観る前は,本気で手放すことを考えていた.
今,その気持ちが揺らいしまっている.

死ぬまでに達成したい目標が,また一つできてしまったかもしれない.

そう,オートバイで南米を走りたい.

OLYMPUS CAMEDIA C5050Z / 2004年7月20日 チリ-アルゼンチン国境にて