『ウシジマくん一気見スペシャル』は見たらあかん

2025/1/3 Fri

怖いもの見たさ

人気作ゆえ,その存在はもちろん知っていた.

ラーメン屋や散髪屋に置いてあったコミックをさらっと読んだことはある.
内容はだいたい知っているし,会話でネタ扱いしたこともある(他にも『カイジ』とかも).

その漫画は『闇金ウシジマくん』

闇金ウシジマくん(1) (ビッグコミックス)

年末年始恒例企画なのか,その『ウシジマくん』のコミックに声優さんが声をあてた”一気見スペシャル”なる動画がアップされていた(公式です)

何巻分になるのかわからんが,1エピソードで3時間半くらいある.
ヒマつぶし目的なら人生の無駄遣いだが,見る価値は...ある.
普通にコミック買って読むほうが早いけど.

今回読んだ(見た)エピソードは以下の2つ.

「フリーターくん編」

35歳のフリーターが主人公.
薄っぺらい見栄と自己否定感の同居がリアル.
中盤の「何よりも自信が欲しい」というココロの叫びが印象的.
しかしまぁ...(一応)豊かな経済大国と言われる日本で,よくもこれだけ地獄が続くもんだ.正に蟻地獄.
どこで間違えた?
ただ,最終的にはなんとなく希望がある終わり方...(そうか?)

Kazchariも,大卒後に入った会社を3年ほどで辞めて,アジア放浪の旅に出た.
帰国後に専門学校に入り直して,国家資格を得たことで,いわゆる氷河期だったにも関わらず社会復帰できたが,一歩間違えれば,この主人公のような人生になったかもしれない.
そう,”たまたま”運が良かっただけなのだ.

「洗脳くん編」

問題はこちら.
いやはや強烈過ぎる内容.
ホンマ,正月から読むもんとちゃうなぁ.
これだけヒトを鬱にする漫画もなかなかない.
読み終えた後の心身の疲労感がスゴイ.

下手なホラー映画よりも数百倍恐ろしい.

登場する人物は「フリーター編」と異なり,経済的にも人間関係的にもそこそこ恵まれていた.

そこへ現れた稀代のメンタリス...いや詐欺師の口車によって,どん底まで転落していく.
ヒトの脆さを極限まで見せつける漫画やな,これ.

クライマックスのウシジマくんのセリフ,

「誰かを守りてぇなら強くなれ」

「意志のない奴は悪い人間に利用されっぱなしだぞ」

「自分を救えない奴は他人なんか絶対に救えないぞ」

が至極名言.
ただし,このセリフが刺さる人間は,最初からこんな引き返せない状況には陥らない(はず).

「桐野夏生の『OUT』を読み終えた後の脱力感に似ているなぁ」と思ったら,なんと実話ベースとのこと.

北九州監禁殺人事件

なんとなく聞いたことがある事件だが,詳細は知らなかった.
Wikiで読むと,むしろ元ネタの方がエグイ.
あまりにも凄惨すぎて,”他人の不幸報道”が大好きなマスゴミも,報道に二の足を踏むほどだったそうな.ゆえに知名度がやや低め.

ノンフィクションで書籍化もされているが,読むのに強靭な精神力が要りそう.

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件―(新潮文庫)

単に「頭の悪い人たちの自業自得話」ではなく,「自分や家族がいつ落ちるかわからない穴があちこちに空いている」「「欲」はいとも簡単にヒトを狂わせる」と認識すること.

それがこうした胸糞話をあえて読む理由.
実際『ウシジマくん』動画にも「人生の教材になる」というコメントが散見される.

他のエピソードも公開されているが,”今年は”やめとこ.
もう十分落ち込みました.
これ以上,読む/見るのはメンタル的にヤバイ.

にしても...年始早々にこんなエグイ動画を公開してくるとは...ついついクリックしてしまったじゃあないか!(操作されてます)

正月らしく,ガンプラでも作って魂の浄化を図ろう.
そして,バランス取るためにこうした書籍も読む.

ダライ・ラマ365日を生きる智慧

今年も残り362日.丁寧に生きましょう.