『Giro d’Italia 2020 Stage11』の感想

2020/10/15 Thu

NIKENってこけるんや.

『Giro d’Italia 2020 Stage11』は町から町への海岸沿い移動ステージ182km.

平坦=難易度カテゴリー1に毎回騙されるジロだが,逃げと集団がずっと同じタイム差で進行し,残り10km付近で捕まえ,各チームのスプリンターガチンコ勝負という,今大会にしては珍しい“普通の”ステージ.

優勝はまたしてもデマール
4勝目である.
ゴール直前,デマールを追うサガンは前の選手を避けるために一瞬でコース変更.
その動きにほれぼれするが,もしその時,後方から誰かが来てたら,また斜行失格になったかもしれんかったなぁ.

それにしてもデマール強い.強すぎる.
FDJのトレインも完璧.
クイックステップのそれを彷彿とさせるが,Sベネとやりあってもデマールが勝ちそうな気がする.ユアンですら負けそう.
絶好調時のキッテルグライペルカベンディッシュと戦わせたいものだ.
近い将来,過去の選手のデータを入力してヴァーチャルで勝負させることが可能に...って『パワプロ』か!(売れなさそう)

平坦よりの丘陵ステージでサガンがポイント稼ぐ⇒ド平坦でデマール勝って取り戻すの繰り返しになる?
ド平坦の方が獲得ポイントが大きいので,やはりデマール有利か.

このStage,個人的に最大の注目点はズバリYAMAHAのNIKEN!
なんと,コフィディスのビビアーニがロータリーのコーナーで,大会モーターサイクル,NIKENに後方からぶつけられて転倒してしまう.

今大会,スプリンターとして全く精彩を欠くビビアーニ.まさかモーターバイク事故にまで遭うとは...
カメラが映した事故直後の現場では,NIKENまで横倒しになっていた.

NIKENは3輪.
コーナーの安定性抜群.
キャッチコピーに「雨でも膝スリできる」とある.
ちなみにNIKEN=二剣が由来らしい.

去年のジロから見かけるようになった.
プロサイクリストであっても山岳では時速20km/h以下に落ちることもある.
曲がりくねった急坂を,低速でモーターサイクルを操るのはなかなか難しい.
NIKENはこういった場面で重宝されているようだ.

サイドカーと異なり,通常の2輪同様にリーンして曲がる仕組みなのだが,一見,絶対にこけなさそうに見える.
しかし,あらためて実車を見てみると,きっちりサイドスタンドも装着されている.

そうか,自立しないんやこいつ.

試乗経験者からは「足つき性が悪い(身長180cmでつま先立ちとか)ので立ちごけしそう」という声もある.

つまりこけなさそうに見えるけど,実はこけるのがNIKEN.

国際放送で転倒場面を世界中に発信されてしまったYAMAHAさん,Kazchariのように勝手に誤解していた一般人に「こけないとは言ってない」とか言ってそう.

このStage11はイタリアの超級クライマー,マルコ・パンターニの実家と終焉の地を通る.
パンターニについてコメントを求められた別府さん,あまり詳しくないといいつつ,失格処分となってしまったドーピング疑惑(ヘマトクリット値異常)について言及していた.
毎回そうなのだが,レース実況で過去のドーピング問題が話題になると,解説者がお茶を濁すのがお約束.

ドーピングと言えば,幻のツール7連勝,ランス・アームストロング.
一時代を築いた彼の姿を見て,ロードレースファンになった,競技を始めた,TREKを買った人が何万人もいたと推測する.
ランスの話題になった時も,たいていうやむやのまま終わる.
誰もがロードレースの黒歴史についてあまり語りたがらない.
「ドーピングはしていたと思ってたけど,その走りに感動した俺たちの気持ちに嘘はない」という心理状態なのだろうなと思う.

Kazchariは2013年からツール他を観ているので,特別な感慨はない.
チャリ素人ながらランスの名前は知っていたし,著書『ただマイヨジョーヌのためでなく』も読んだ.
告白後も書籍『偽りのサイクル』『シークレット・レース』を読み,映画『疑惑のチャンピオン』も観た.

ただマイヨ・ジョーヌのためでなく (講談社文庫)

偽りのサイクル 堕ちた英雄ランス・アームストロング (日本語) 単行本

シークレット・レース (小学館文庫) (日本語) 文庫

2009年の復帰さえなければ,そのまま伝説の名選手で今も堂々と話題にされていたのだろうか.
最近,この映画がAmazon Prime Videoにアップされていた.

ランス・アームストロング ツール・ド・フランス7冠の真実

トップライダーと呼ばれていた選手はほぼ全員が有罪.
そしてUCIもグル.

そして,ランスが嘘を告白してからまだ10年も経っていない.

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