『Giro d’Italia 2020 Stage18』の感想

2020/10/23 Fri

世紀の大混戦へ.

『Giro d’Italia 2020 Stage18』は「通れるかどうかわからん」と直前までいわれ続けたステルビオ峠越えの山岳決戦の日
幸い天候に恵まれ予定通りのルートでスタート.
さらに,かねてからの噂通り,コース変更によってStage20の難度が(一応)下がったので,このStage18が「チマコッピ」「クイーンステージ」の両方を兼ねることになった.

とんでもない絶景のステルビオ.
旅行パンフなんかでよく使われる上から下からのつづら折れ.
この北側から登るのは久しぶりらしく,“頭のおかしい”ヒルクライム映像がたっぷりと楽しめる.
標高2758m,気温は3℃,もちろん雪の壁である.
スタート地点(といっても既に標高800mらしいが)との風景の違いが面白い.
イタリア北部って落葉樹が少ないのか,樹木は森林限界までほとんど緑のままやな.
日本のような美しい紅葉は見られない.

前日のStage17が「面白くない」だの「やる気あんのか」だのと,そのレース展開を阪神ファン並みにディスっていたのだが,このStage18は正真正銘めちゃくちゃ面白かった!

優勝はサンウェブのヒンドレー
若手の山岳アシストがINEOSの攻撃に対し最後まで残った.

戦略的に正しい方法(ようするに牽かない)にて,ゲイガンハートをゴール前スプリントで下す.
エース(ケルデルマン)を救うのか,自分がゴールを採るのかの葛藤.
チーム監督の指示がどういうモノだったかはわからないが,このあたりの心理戦がロードレースの醍醐味やね.
激坂での防寒ジャケットの着方は要練習,と両手離しすらできないKazchariが申しております.

そして,マリア・ローザのアルメイダはステルビオでついに失速.
Stgae15でもそうだったが,集団から遅れてもズルズルと後退せず,必死の形相でなんとか食らいつく走りは素直に感動する.
今後絶対に“もっと”強くなる選手とみた.
マリア・ローザを失ったとはいえ,アルメイダの最大の武器はそのTT能力.
残念ながら距離は短い(15km)ものの,最終日に何かが起こる?(優勝はトップガンナやろうけど

そのアルメイダからマリア・ローザを奪ったのが太陽戦隊ケルデルマン
後方から追ってきたビルバオやフルサンに抜かれた後,全く反応できなかったところから実況解説陣も思わず絶叫!
こりゃ大幅にタイム失うと思いきや,ペース走法に切り替え,ゴール時には総合一位のポジションをGetしていた.
「TTには自信がある」と言っているので,Stage20の山岳決戦後のタイムが楽しみ.
そう,敵はINEOS!

さて,そのINEOSは意外!ゲイガンハートの大躍進!
G撤退後,まさかこの最終局面で総合ベスト3に食い込んでいると誰が予想できただろうか?
何よりもそれを支えるアシスト陣の活躍が目覚ましい.
このStage18ではローハン・デニスがV-Max発動
TTスペシャリストとは最強のルーラーでもある.

そしてINEOSにはもう一人,世界最速のTTマシンもいる.
おまけに二人とも山で簡単にヘタレないことは証明済.
Stage20のちょっと緩めの山岳コースでは,往年のINEOS軍団総攻撃が見られるはず.
ところで,ゲイガンハートってTTどうやったっけ?
ちょっと調べてみたら2018のドーフィネ第三ステージのTTで優勝してるやん...ってチームTTかい!

終わってみれば1位から3位までなんと15秒差
残るステージは平坦-山岳-TTとバラエティに富んでいる.

Stage19はド平坦なので,「サガンvsデマール最後の闘い」が見どころになると思うが,もしかして総合勢が何かを仕掛けたら,それはそれで観ている方は超楽しい.

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