『世界一過酷なレース:エコチャレンジ フィジー大会』を観た

2020/8/27 Thu

ヒドすぎて笑うしかない.

世界一過酷なレース:エコチャレンジ フィジー大会

番組内容を紹介.

World’s Toughest Race: Eco-Challenge Fiji.本作は人気リアリティ番組「サバイバー」の制作者が放つ、世界規模の壮大なアドベンチャーレース。世界中から集まった66チームがフィジーで熱い戦いを繰り広げる。司会のベア・グリルスが11日間、選手たちを心身共に限界まで追い込んでいくレースを紹介する。ベテランチームにとっての目標は優勝だが、大半のチームにとっては完走することにある。 “世界一過酷なレース”を戦い抜く力があることを自分自身と世界に証明するためだ。

獲得標高が異常なブルベ豪雨・雪中ライドなど,過酷な環境に身を置き,そして無事に戻ってきた時,SNSなどでつぶやく言葉がある.

「ヒドい」「死ぬかと思った」「二度とやらん」

実はこれらはホメ言葉である.
主催者がいればそのルーティングを称え,プライベートであれば「楽しかった」と同義となる.

しかしだな,それにも限度がある.
それが今回,Amazon Prime Videoで観た『エコチャレンジ フィジー大会』
平和な大会名だが,その中身はとんでもない.
”最恐のアドベンチャーレース”とは正にこのこと.
大会そのものは2019年開催.新コロ騒ぎの前である.

そもそもアドベンチャーレースとは,スタートからゴールまで3日以上かかる超長距離レースのこと.山,ジャングル,沼,川,湖,海はては洞窟や海底など,世界各地(秘境)の自然を舞台に無茶なコース設定を無茶な方法で行う,超サバイバルなオリエンテーリング
主な移動手段はトレッキング,マウンテンバイク,パドリング(カヌー/SUP),ロープワーク(滝登り,降下)など.
いつ事故っても,いや,いつ死んでもおかしくないような展開が延々と続く.
心身ともに極限まで追い込まないと,勝負うんぬん以前に完走すら危うい

その中でも「エコチャレンジ」は特にスーパーハード.
観てる分には文句なしに面白い.

視聴中,「マジか」と何回つぶやいたことか.
45分×10回の放送なので,ボリュームもたっぷり.
全員とはいかないが,各チームメンバーの掘り下げもしっかりできている.
60歳越えの参加者もいるし,それに失聴者やアルツハイマー者もいる.
ヒューマンドラマとしてもよくできている.

スタートは,まず川から外洋までカヌーを漕ぎ,別の島へ移動.そこからトレッキングというコース.
この初日のコースすら事前告知されず,選手にとっては全く未知.
その後も,先ほど挙げたありとあらゆる移動手段で,ひたすらゴールを目指す.
もちろん途中にはメダル収集イベントチェックポイントキャンプ(強制休憩)があり,タイムアウトも設定されている.

一番エグかったのは300mの滝クライミング直後の川の遡行.
深いので泳ぐ必要があるのだが,その水温はなんと11℃!
もちろんドライスーツのような便利グッズはない.
低体温症にかかる者もいる.
実際,ここでかなりのチームがリタイヤした.

リタイヤと言えば,1チーム4人構成だが,うち最低1人は女性,かつ“全員で”ゴールする必要がある.
つまり,そこでドラマが生まれる.
誰か一人がリタイヤしそう...さぁ,他のメンバーはどうする?といった具合.

エグイのはコースだけではない.
制限時間内にゴールおよびチェックポイントにたどり着くには,睡眠時間を極限まで削る必要がある.
つまり体力・気力回復の最大の手段を使えない.遅れているチームほど厳しい.
いやぁ,400や600のブルベで寝るか寝ないか悩むのがバカバカしくなる.

日本のアドベンチャーレース界の第一人者,田中正人さんも出場している.
今回はAmazonとMGMが番組制作に入るので,配信開始前にブログなどで,レース内容を報告する行為は一切禁止だったそうな.

チームイーストウインド プロダクション

ネタばれになるが,このレースで日本チームはリタイヤとなった.
メンバーのうち2名が「塹壕足」になってしまったようだ.
まぁそうなるやろなぁ...

さて,これだけ極限まで自分を追い込んで苦労しまくった挙句の賞金は...言っちゃなんだがたった10万ドル.スタッフや機材費などを考慮するとせいぜい選手一人200万円くらいでは?

もちろん,賞金目当てに参加する人はまずいない気がする.
途中途中で参加者のインタビューがはさまれるが,異口同音に「生の充実」「生の実感」を参加理由として挙げる.
つまり真波くんだらけ.

「GRIT」という言葉がある.
自己啓発本などでよく使われるが「やり抜く力」という意味である.
アウシュビッツの生き残りから,軍隊の特殊部隊員まで,どの様な困難,肉体的精神的苦痛の限界に達しても,くじけない強固な思考・意志のことである.
これがないと,過酷なアドベンチャーレースでは,まず完走できない.

では,そのやり抜く力,GRITを身に付けるにはどうすれば良いのか?
ある困難なことを一定期間(最低2年)し続けることらしい.
うーん,そう解釈してしまうと生まれつきの才能のような気もしてくる.

アドベンチャーレースはともかく,来年の『納沙布岬1200』では,GRITが発動しますように.

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