『Giro d’Italia 2020 Stage11』の感想

2020/10/15 Thu

NIKENってこけるんや.

『Giro d’Italia 2020 Stage11』は町から町への海岸沿い移動ステージ182km.

平坦=難易度カテゴリー1に毎回騙されるジロだが,逃げと集団がずっと同じタイム差で進行し,残り10km付近で捕まえ,各チームのスプリンターガチンコ勝負という,今大会にしては珍しい“普通の”ステージ.

優勝はまたしてもデマール
4勝目である.
ゴール直前,デマールを追うサガンは前の選手を避けるために一瞬でコース変更.
その動きにほれぼれするが,もしその時,後方から誰かが来てたら,また斜行失格になったかもしれんかったなぁ.

それにしてもデマール強い.強すぎる.
FDJのトレインも完璧.
クイックステップのそれを彷彿とさせるが,Sベネとやりあってもデマールが勝ちそうな気がする.ユアンですら負けそう.
絶好調時のキッテルグライペルカベンディッシュと戦わせたいものだ.
近い将来,過去の選手のデータを入力してヴァーチャルで勝負させることが可能に...って『パワプロ』か!(売れなさそう)

平坦よりの丘陵ステージでサガンがポイント稼ぐ⇒ド平坦でデマール勝って取り戻すの繰り返しになる?
ド平坦の方が獲得ポイントが大きいので,やはりデマール有利か.

このStage,個人的に最大の注目点はズバリYAMAHAのNIKEN!
なんと,コフィディスのビビアーニがロータリーのコーナーで,大会モーターサイクル,NIKENに後方からぶつけられて転倒してしまう.

今大会,スプリンターとして全く精彩を欠くビビアーニ.まさかモーターバイク事故にまで遭うとは...
カメラが映した事故直後の現場では,NIKENまで横倒しになっていた.

NIKENは3輪.
コーナーの安定性抜群.
キャッチコピーに「雨でも膝スリできる」とある.
ちなみにNIKEN=二剣が由来らしい.

去年のジロから見かけるようになった.
プロサイクリストであっても山岳では時速20km/h以下に落ちることもある.
曲がりくねった急坂を,低速でモーターサイクルを操るのはなかなか難しい.
NIKENはこういった場面で重宝されているようだ.

サイドカーと異なり,通常の2輪同様にリーンして曲がる仕組みなのだが,一見,絶対にこけなさそうに見える.
しかし,あらためて実車を見てみると,きっちりサイドスタンドも装着されている.

そうか,自立しないんやこいつ.

試乗経験者からは「足つき性が悪い(身長180cmでつま先立ちとか)ので立ちごけしそう」という声もある.

つまりこけなさそうに見えるけど,実はこけるのがNIKEN.

国際放送で転倒場面を世界中に発信されてしまったYAMAHAさん,Kazchariのように勝手に誤解していた一般人に「こけないとは言ってない」とか言ってそう.

このStage11はイタリアの超級クライマー,マルコ・パンターニの実家と終焉の地を通る.
パンターニについてコメントを求められた別府さん,あまり詳しくないといいつつ,失格処分となってしまったドーピング疑惑(ヘマトクリット値異常)について言及していた.
毎回そうなのだが,レース実況で過去のドーピング問題が話題になると,解説者がお茶を濁すのがお約束.

ドーピングと言えば,幻のツール7連勝,ランス・アームストロング.
一時代を築いた彼の姿を見て,ロードレースファンになった,競技を始めた,TREKを買った人が何万人もいたと推測する.
ランスの話題になった時も,たいていうやむやのまま終わる.
誰もがロードレースの黒歴史についてあまり語りたがらない.
「ドーピングはしていたと思ってたけど,その走りに感動した俺たちの気持ちに嘘はない」という心理状態なのだろうなと思う.

Kazchariは2013年からツール他を観ているので,特別な感慨はない.
チャリ素人ながらランスの名前は知っていたし,著書『ただマイヨジョーヌのためでなく』も読んだ.
告白後も書籍『偽りのサイクル』『シークレット・レース』を読み,映画『疑惑のチャンピオン』も観た.

ただマイヨ・ジョーヌのためでなく (講談社文庫)

偽りのサイクル 堕ちた英雄ランス・アームストロング (日本語) 単行本

シークレット・レース (小学館文庫) (日本語) 文庫

2009年の復帰さえなければ,そのまま伝説の名選手で今も堂々と話題にされていたのだろうか.
最近,この映画がAmazon Prime Videoにアップされていた.

ランス・アームストロング ツール・ド・フランス7冠の真実

トップライダーと呼ばれていた選手はほぼ全員が有罪.
そしてUCIもグル.

そして,ランスが嘘を告白してからまだ10年も経っていない.

『Giro d’Italia 2020 Stage10』の感想

2020/10/14 Wed

これぞスーパースター.

『Giro d’Italia 2020 Stage10』は今大会で一番面白かった.

なんとなく重苦しい雰囲気のまま経過してしまった第一週.
優勝候補であるの早々のリタイアが,総合勢の動きを保守的にしてしまった.
「TTで逆転されることがないなら,第三週の山まで勝負は待てばよい」的な思考がプロトンを支配してるような,してないような...

一方,“走りながらの休息日”になることが多い平坦ステージが超高速になるなど,予想外の展開も見られたりした.

そんな休息日明けのStage10では,出走前にとんでもないニュースが伝えられた.
総合優勝候補のクライスヴァイク,もう一人の“登れるスプリンター”ことマイケル・マシューズがともに新コロ感染でDNS
さらにはスタッフに感染者が出たチームもあり,結局,ユンボミッチェルトンがチームごとレースを去ることになった.

ある選手がSNSで曝露していたように,ツールに比べてジロの感染予防対策は不十分で,同じホテルに複数チームが泊まり,さらには朝食のビュッフェも一般客と同席など,感染しない方が不思議な状況らしい.
この適当さかげんが,イタリアらしいと言えばらしいのだが...

それでも,約140名がStage10をスタートした.
見るからに選手が減ったプロトン.
逃げの打ち合いがしばらく続くが,様相が変わったのは,超強力なガンナサガンが抜け出してからである.
数名が二人を追いかけて6人ほどの逃げメンバーが構成された.

徐々にタイム差が広がり,あわてる集団.
中でもポイント賞争いがかかるFDJのデマールはサガンを行かせたくない.
今日のステージでの逆転はないものの,優勝されてしまうと差が一気に縮まってしまう.
ゆえにデマール本人も先頭に立ち,FDJ総出で集団を引きまくる.
休日明けで休みたい総合勢チームの恨みの声が聞こえてきそう.
「これも全てサガンってヤツのせいなんだ...」

逃げ集団もローテーションが上手く回り,集団との差が縮まらない.
やはりサガンへのリスペクトがあるためだろうか?
中間スプリントポイントも誰にも邪魔されず,サガンがなんなくGet.

猛追していたFDJ,追走を諦める.
ほっとする集団.
補給やトイレタイムなど,ほんわかした雰囲気が流れる.
この後,逃げグループとは4分以上のタイム差が生まれる.

レースは後半のギザギザ部分に突入.
後半には20%近い激坂区間があるが,日本にあるような住宅街にポンと現れるタイプ.
そこをサガンが遅れることなくこなしていく.
”登れるスプリンター”の面目躍如である.
このあたり,クラシックレースの走りの様.

「サガンはもうダメだのなんだの」と,ツール以降,このブログでも悲観的な見方をしていたが…すいません反省します.
スターとは何かを忘れていました.
トレインを活用した集団スプリントではなく,個人戦で勝つのが実にサガンらしい.
YouTubeでの歴代レース紹介サイトで,一時期なんでもかんでも“サガン向けコース”と表示するネタが流行ったが,今日は正に大当たり.

やはりアマデウス=「神に愛される人間」はいるのだと思わざるをえない.
アルカンシェルジャージ(エリと袖口だけやけど)を着た男がゴールに近づくと,雨が一時的に止み,空に虹がかかる.
陽の光に照らされながら,ゆっくり落ち着いて両手を広げる.

もうこれ以上のカッコよさはない.

『Giro d’Italia 2020 Stage9』の感想

2020/10/12 Mon

週末は盛り上がると思いきや...

『Giro d’Italia 2020 Stage9』で第一週終了.
休息日前は総合がシャッフルされるハードなコースが用意されることが多い.
今回は<strongほぼ階段状に登りまくるステージである.
前日の選手インタビューからも口々に「明日は大変だ」との声あり.

当然,一視聴者であるKazchariも「今日は総合動くでぇ.最後の登りフィニッシュで大混戦や.その中からとんでもないスピードで駆け上がるスーパーシーンが見られるでぇ」と思っていた時期がありました.

しかし...
何やろ?
今年のジロはどうなってる?
新コロのせいでレーススケジュールが詰まる,もしくはかぶり,エースライダーがあちこちに分散.
ジロでもダブルツール選手が少なめ.
22,3歳の若手ライダーが活躍していると言われればそうなのだが,レースの動きが全体的に保守的
そう,天候に恵まれていないこともあるが,”地味”なのだ.
「おっ!」とか「来た!来たぁ!」と思わず叫んでしまう場面がほとんどない.
Gイエーツが残っていたら,今日のステージも盛り上がってたかもなぁ...

さてStage9,出発時は雨.
途中で晴れ間も見えたが,最後の山頂では余裕で10℃以下(一節には2℃まで下がった).
数人の逃げが決まり,最後のそのままEFのゲネーロが,イネオスのカストロビエホをゴール前スプリントでちぎって優勝.

このゲネーロについては,逃げメンバで一緒だったAG2Rの選手から「あいつ全然引かんと足休めてたわ.クソや」みたいなコメントがあり,後味も悪い.

総合勢も極端な順位の変動もなく,クイックステップのアルメイダマリア・ローザのまま.

あまりの寒さの雨レース
あまりの動きのなさに観ている方は...

とは言え,レースは残りまだ2週間ある.
最高潮に面白かった2018年の呪縛から逃れられるか.

【その他のネタ】

今日の放送はMCのぞみ(?)さんの実況と別府始さんが解説.
やはりDAZNから流れてきたか.
天候のせいか電波が悪くライブ映像も音声も途切れがち.

知らなかったのだが,Stgae8で優勝したドーセット,なんと血友病患者らしい.
なぜか放送中,誰も言及しない.

EFの例のジャージ.
ネット販売で瞬殺だったようだ.
早速,ネットオークションに多数出品.
高値で取引されている.
日本もそうやけど転売ヤー,働くなぁ.
Kazchari的にあのデザインは...だが.

では,どこが好みか?
NTTはキレイやな.今年限りで見納めやろうけど.

『Giro d’Italia 2020 Stage8』の感想

2020/10/11 Sun

最後まで走れるのだろうか?

『Giro d’Italia 2020 Stage8』も連日の”一応”スプリンターStgae.
ただし大混乱のStage7と違っていたって平和.
翌日のStage9がエグい山岳なので「走りながらの休息日」といった様子.

早々に決まった6人の逃げ.
200km走っての優勝者はイスラエルスタートアップネーションのドーセット
すいません,全くKazchariの記憶にない名前でした.

経歴はなかなかの苦労人.
スカイでキャリアスタートでモビスタカチューシャ,そしてイスラエル
で,現在来年の契約は白紙.
こういう人には勝ってほしいね.
見た目けっこう人の好いおじさん...いやいぶし銀系
判官びいきと言うヤツか.

一方で,逃げメンバーに入ったプッチョ
こちらはこちらでイネオスのアシストゆえ,テレビ露出時間はやたらに長いプッチョだが,なんとプロでは勝ったことがない.
正にプロ・アシスト.
こういう人にも勝ってほしいね.

それでもロードレースの走者は一名.
残り18kmから独走態勢に入ったTTスペシャリストのドーセットが,追走の3人を振り切った.
契約もらえるだろうか?

それにしても,イスラエルバーレーンUAEのチームが同時に走っているのも興味深い.
最近のアラブ問題の雪解けを表しているよう.
まぁ,湾岸諸国も一枚岩ではないけど.
高給取りのフルームの話はなぜかでなかった.

12分遅れののんびりメイン集団.
デマールサガンの争いはなし.
一週目お疲れ様でした.明日のタイムアウトに気をつけて.

さて,レースそのものより衝撃的だったのがサイモン・イエーツ新コロ陽性
調子が悪そうだったのはバッドデイとかではなく症状のせいか.
ツールではなかった選手の感染.
ロードレースと言えば,集団という屋外ではあるもののマスクなしの超過密状態に4,5時間置かれる競技.
現在,他に陽性者はいないようだが,そのうち...
これ,マジで大会中止の可能性が出てきた.

近々ローマもロックダウンになるとか.
マドリッドもすでにやばい.
てことはブエルタは?

大会中止になった時点でマリア・ローザを着ているものが優勝者らしいけど,それって誰得?
当人もうれしくないやろな.

『Giro d’Italia 2020 Stage7』の感想

2020/10/10 Sat

トラブルだらけ.

『Giro d’Italia 2020 Stage7』は“イタリア半島ブーツ”のかかと部分を走る,昨日よりさらに平坦なステージ.
しかも143kmとショート.
風が強い地域という前情報はあるものの,ゴール前だけが忙しい“のんびり”ステージになるはずが...なんてこった.

RPGのような断崖絶壁都市を抜けるとアクチュアルスタート.
カメラマンかスイッチャーが空撮に夢中で,肝心のスタート場面が映らないのもご愛敬.

すぐに4人の逃げが決まったかに思えたが,10kmほど進んだオープンエアの直線コースにて,並んでいたクイックステップユンボがお互いをチラ見.
そして...その瞬間,用意ドン!てな感じで加速!
横風分断作戦のスタートである.
ここから今日のステージは超ハイスピードバトルとなった.
最初の2時間でAve.50km/h!
速攻ちぎれる自信がある.

あっと言う間に集団バラバラ.
ただし,前集団にスプリンターや総合有力選手がほぼ含まれてしまい,作戦不発.
いまいち理解できないのだが,今の段階でここまで分断作戦を決行する意味ってあるのだろうか?
Stage1のような暴風でもなかったし.

案の定,しばらくすると後方集団も追いつきレースはリスタート.

一方,街中やなんでもない直線でも転倒相次ぐ.
そのたびにチームカーやらアシスト選手がおおわらわで,全く落ち着かないステージ.

それでも,ゴールに近づくにつれ,やっと平坦ステージらしいシチュエーションへ.

それにしてもいつも期待されるビビアーニマシューズ.
でも勝てない.
そう,あのトリコロールジャージの男が強すぎるのだ.

街中のいくつかの直角カーブをクリアし,やはり圧勝したのはデマール.
7ステージで3勝! どんな勝率!
デマールのすぐ後ろで首を振る,またしても2位のサガン.真っ向勝負でも勝てないのか...

放送中に「パリ・ルーベ中止」の速報!
ヨーロッパでは新コロ感染者大増加中!
このままだとジロもやばいのでは?

新コロに加え北イタリアでは天気も心配.
間違いなく雪降ってそう.
ツールと違って,ジロはルーティングが難しいというか単調になりがち(基本,北上ルート).
今年は季節的に北から南下の逆ルートでも良かったのでは?
変わらんかな?

『Giro d’Italia 2020 Stage6』の感想

2020/10/9 Fri

「ふふ,これなら必ず勝てる!」by おぼっちゃん

『Giro d’Italia 2020 Stage6』は,“イタリア半島ブーツ”の土踏まず部分を走る平坦ステージ.
下り基調と思いきや,後半じわじわ登る
しかも街中グネグネゴール.
そこに至るまでの位置取りが重要.

見どころは残り30kmくらいから(つまりそこまでは...).
逃げの4人が吸収され,キレイに整備された広い高速道路を集団が駆け上がっていく.
BORAのいつもの「ピュアスプリンター追い落とし作戦」が発動するかしないのか,微妙な駆け引きが続く.

向かうはマテーラという洞窟住居が有名な世界遺産の街.
あれ? どこかで見たなと.
これって,『崖の上に街があった』に出てきたとこやん.

『崖の上に街があった』を観た

確かに掛け値なしの絶景
位置取りの緊迫場面にもかかわらず,ヘリの空撮映像もいつもより多め.
「えーい,ガンダムを映せ!ガンダムを」的な.

さて,その位置取り合戦.
「トップガンナ」「深海魚マルティン」の強力な引きから街中に入り混戦状態へ.
いくつかの急なカーブを曲がり,残り750m付近でサガンは3番手という絶好のポジション.
ここで世界的スーパースターに向けるにはいささか不遜だが,「これで勝てねば貴様は無能だ」というセリフが頭に浮かんだ.

実はBORAは中間スプリントでもやらかしている.
逃げ4人通過後のポイント争い.
集団から飛び出したデマールが先頭通過.
本来ならBORAアシストのボドナルは,足を緩めてサガンを先に通過させないといけないのだが,勢いに乗りすぎてデマールの次に通過
結果,デマールとサガンのポイント差が縮まってしまった.
ゲート通過後,二人はしばらく並走して話し込んでいたけど,やはりサガン“激おこ”だったのだろうか?
いわゆるチームワークの乱れがここで感じられた.

さて,ゴール前に話は戻る.
最後のカーブを越えた後,何故かスピードを緩めるサガン.
後方から外のスプリンターがわさわさと上がってくる.
アシストを待っていたのか?

いずれにせよ,その中にデマールがいた.
他チームの選手を利用し自ら発射,そのまま単独ぶっちぎりで優勝.

なんでこうなったぁ~

あくまで印象だが,昨年までのサガンは,アシストを使わず個の力で勝つことが多かった気がする.
もちろん,いいポジションに運んでもらう必要があるので,アシスト不要とは言わないが,ゴール直前では自分が先行し他チームの選手を上手く利用して勝利する,そう正に今回のデマールの様な勝ち方が多かったのではないだろうか?

アシストの力に頼りすぎている?
これってツールでSベネに負け続けたのと同じパターンでは?
中間スプリントでのやらかしでもそうやけど,サガンにチームプレイは合わないのかもしれん.

その他話題.

【マリア・ローザ,ムチウチ?】

無線機の不具合で路肩に停車したクイックステップのアルメイダ
後方からUAEの選手に追突される.
画面でも,交通事故でオカマ掘られた時のような頸部の急な伸展が確認できる.
ムチウチなどは大丈夫だろうか?
現在,謎の頸コリに悩ませ続けられているKazchari,人ごとながら心配.
ムチウチとかになったらチャリなんて乗ってられへんで.

【ヘリの低空飛行事故について】

例のフェンス吹っ飛び事件による落車.
選手やスタッフからかなり抗議が上がっているよう.
ある選手は「テレビ中継の方が命より大事なのか」と発言している.

これまでも中継車両との接触事故はたびたびあったが,主催者は全然調査しないし,したとしてもロクな報告がないらしい.
つまり再発予防のための建設的な対応ができていない.

特に今年はシーズン再開以降,事故が起こりすぎ.
病院から「元気ですよ~」とか「もう自転車乗ってますよ~」みたいな映像・記事が届くが,これは異常事態.
それがあたり前の時点で「これがプロのスポーツなのか?」という疑問が出てくるのは当然.
元々,ほぼ裸同然で未整備の道路を下り100kmで走るありえない娯楽.
300km以上で走るものの,基本クローズドなサーキットで丈夫なヘルメットや脊椎パッドなど,安全面を最重視しているモーターバイクの選手が「(ロードレースなんて)よくこんなクレイジーなことできるな」とあきれていると聞く.

確かに非日常的なスリルは視聴者の興味を引く(=視聴率)には欠かせないものだが,現状,ちょっと来るところまで来てしまっている業界なのかも.

『Giro d’Italia 2020 Stage5』の感想

2020/10/8 Thu

新しいGCライダーの誕生?

シチリア島からイタリア本土に渡った初日.
225kmの長いレース.

いつものGCNレースパス,19:25放送開始...のはずが,しばらく日本語音声が聞こえない.
まさかの日本語無し?
確かに実況・解説の人手不足は否めない.
今日は完全休息日?

と,あきらめてしばらく英語verを聴いていた.
このブログはレース展開を追うよりも,解説陣の話す小ネタを拾うことが多いので,正直,日本語放送がないと困る.
英語でも何か面白いこと言ってないかと集中するが...ヒアリング落ちたなぁ...

20時過ぎ,念のため日本語設定を再確認すると,ちゃんと土井ちゃんとオバタさんの声が聞こえてきた.
ただの音声トラブルだったようだ.ほっ.

さて,レースの方.
いわゆる丘陵ステージ+最後に一級+下りゴールのレイアウト.
逃げ切りが決まるか決まらないか判断が難しい.

視聴開始時は8名の逃げができていた.
なんとイネオスからは2名
プッチョ&ガンナ.何かのコメディ映画のタイトルのよう.
これはあれか,エースを失ったツールのカラパス&カワサキの再現か!

メイン集団4分ほどの時間差でレースは進む.
ようやく最後の一級山岳に向けて動きが出てきた.
集団からデヘント先生が飛び出して逃げ集団にブリッジ.これはステージ狙ってきたか.
逃げ集団も遅れるメンバやローテーションが崩壊.
そして,「トップガンナ」がアタック!
山頂を1位通過,そのままダウンヒルして逃げ切りゴール.
いやすごいわ.
190cmを越える体格で山をガシガシ登っている.

確かに土井ちゃんが言う通り,Stgae1のTTで魅せた美しいフォームやペダリングは乱れていたが,そりゃそうだ.220km以上走れば誰でもそうなるわな.
身長はともかくもう少し減量すれば,デュムラン(大)のようにTTからGCライダーにジョブチェンジ?

ちなみにガンナのホイールは(普通の)デュラ.一緒に逃げていたプッチョは(セレブ御用達の)ライトウエイト
機材業界的にはまずい展開.

機材の話と言えば,CANYONの新型エアロロードが話題に上がっていた.
外見デザインはオーソドックスで新奇さはないが,ステム一体+アームが外れる変則分割型.
輪行しやすいというのがウリだが,そこまで需要あるのだろうか?

そこで,最近流行の一体型ハンドルについて土井ちゃんの意見.
結論としては薦めないそうだ.
理由,剛性が高すぎて疲れるからだそう.
さらにフレームまで高剛性のハイエンドモデルだと,翌日の仕事にまで影響が出るレベル.
むしろワンランク下の中級モデルの方が良いとのこと.

ちなみにこの動画シリーズ,最近お気に入り.
去年の世界チャンピオン,ペデルセンは分割型が好みらしい.

元プロが言うと説得力あるなぁ...
他にも日本において顕著らしいが,「良い機材に乗っている=エライ(速い)」という変なマウント取りがあって,これが転じ「速くなければ良い機材がもったいない,かわいそう」「遅い癖にハイエンドに乗るな」みたいな思考の持ち主が多いみたいな話をしていた.
これ,ちょっと前にYouTubeでも話題になってたなぁ.

Kazchariは金を出す,そのオーナーの自由で良いと思うけどな.
所詮趣味やし.
写真趣味というかカメラ機材趣味も似たような傾向がある.
他人への,および他人からの評価を気にしだすとおかしなことになる.

何を所有しているかより,その道具でどういう体験をし,いかに自己満足できたかが重要.
もちろん「こんな超高性能のハイエンドモデルに乗っているオレ,かっちょいい」という厨中二病思考もありでしょう.

ちなみにKazchariの「TREK DOMANE SLR7」は2016年当時の(ほぼ)ハイエンドモデル.
前後のISO SPEED機構のおかげでロングライドも超快適.

それでも,ハンドル一体,フレーム高剛性のいわゆる”固い”バイクにも乗ってみたいなぁ.
以前,MADONEで500mくらい試乗したことがあるが,それじゃわからんな.

というわけで,次期主力機はたぶんハンドル一体型の高剛性フレーム(+ディスクブレーキ)
そうなるとやっぱりアレかなぁ...
とりあえず株価,崩壊するなよ.

『Giro d’Italia 2020 Stage4』の感想

2020/10/7 Wed

ボトル落ちすぎでは?

これまた極端なレイアウト.
ちょうど中心に山がそびえたっている.
近くの山に登って下って帰宅したStravaのルート表示みたい.

土井ちゃん復活.
前日のオバタさんとのコンビ.
ふーむ.こういうローテーションで行くのだろうか.

真ん中の山はおいといて,一応平坦ステージゆえ話題探しに一苦労.
今日はイタリア料理の話多め.
土井ちゃん,「宮沢さんを呼ばないと」と提案.
旧DAZN組で固める算段なのか?

昨日,悲劇の落車に見舞われたG
その後の精密検査にて骨盤に小さな骨折が見つかったらしい.
結果,リタイヤ...無念.

今日はTREKのウェーニングも自チームのボトルを踏んで落車していた.
他にもプロトン内を転がるボトルを映像が捉えていた.
例年,これだけボトルが転がっていることってあったっけ?
補給時にミスして落とすシーンは割と見るけどなぁ.

経験上,ケージに挿したボトルがこれだけ簡単に落ちるのが不思議でならない.
ファットくんで,ジャリ道ダウンヒルする時もケージから外れたことはない.
うがった見方だが,ボトルケージの軽量化に伴い,その固定力も低下しているのだろうか?
もしくはすぐ抜けるように軽く挿しているとか?
そのうち何らかのレギュレーションかペナルティが加わりそうな予感.

さて.
Stage4の結果は下馬評通り,FDJのデマールが優勝

ヒルクライム前からツールでもよく見られたBORAのスプリンター引き離し作戦が炸裂.
ここでUAEのガビリアが遅れ始めるものの,一番やっかいなデマールは残ってしまった.
最終的にタイヤ半分の差でサガン敗れる2位).
しかし,第2ステージの2位があったため,マリア・チクラミーノ無事Get!
世界中のサガンファン大喜び.

話は前後するが,霧の峠前後からはBORAに変わってTREK(地元のニバリ)に集団先頭交代.
濡れた路面が怖い怖い.
ふもとの街に入るとさらに石畳が加わる.
こういったコンディションはディスクブレーキの方が有利か.
それともプロにはリムと大差ない?

中間タイムボーナスポイントでは,同タイムのアルメイダカイセドマリア・ローザ争いがった.
解説陣に「すっかり忘れてた」と言わせる地味な存在.
3週目には誰が着ているのだろう,ピンクジャージ

ゴール後には,これまたとんでもない映像が飛び込んできた.
海岸沿いの直線コースにてフェンスがズレており,緑基調のジャージ「Vini Zabù-Brado-KTM」の選手が2名倒れており,全く動きがない.
気絶している?
2019ツールの時のファンアールトみたいにフェンスに突っ込んだ?
でも,別にトップ争いをしていたわけではない.
何が起こった?
原因説明前に放送終了.
気になる.

明けて今朝.
なんと,ヘリコプターの低空飛行が原因であったことが判明.
風圧でフェンスを拭き飛ばし,それに突っ込んだらしい.
「こりゃ始末書じゃすまんかな」byジェリド・メサ

途中のインタビューではフルサングが,以前試合中に遭遇したオートバイとの接触事故について語っていた.これは予言?

ヘリによる空からの攻撃なんて誰も予測できへんで.
毎日毎日,アクシデントが多すぎるグランツールだ.

『Giro d’Italia 2020 Stage3』の感想

2020/10/6 Tue

G,ダウン.

まさかの展開.
まだStage3である.
ツールに続いてイネオスにまたしても悪夢が.
町中のパレード・ラン中,落ちたボトルを踏んだ『G』ことゲラント・トーマスが転倒!

以下は一般の人が撮ってTwitterにアップした動画.

結構な勢いで落車したように見える.
赤かオレンジ色のボトル(?)が転がっている.
バンピーなところを走った衝撃で落ちたのだろうか.
約1/170の確率で絶好調の優勝候補が犠牲になるとは...
これはあれやな,ツール2014のフルームと同じか.
あれも確かStage5だったと思う.

昨夜の配信スタートは19:25.

GCNの実況・解説に不安を覚えたと書いたばかりだが,今日は土井ちゃんお休み.
木下さんとオバタさん(?)のダブル実況態勢となった.

実況と言えど,オバタさんは解説者ポジション.
ガチのシクロクロッサーのようで,「ファンアールトやマチューのシクロレースも是非見て下さい」という言葉に説得力あり.見たい見たい.

Kazchariはブルベヒルクライムレースに参加しているが,シクロクロスはさすがにない.
近い物としては,一度フカフカの雪山レース(スキー場)にファットで出たことがある.
あれは辛かった.
バイクを漕いでいるより,下りて押す時間の方が圧倒的に長かったなぁ...全然違うって?

さて,送開始直後から『G』落車の話は出ていた.
その後のメイン集団における様子も明らかにおかしい.
ジャージ左半身穴だらけ.
表情に余裕が全くない.
そして...
エトナの登りに入る前にズルズルと後退していく.
先日のツールでも同じジャージが同じような状況に陥っていたなぁ...

今年のジロはTT多めのG向けコース設定と言われている.
それがStage3のスタート前の落車で全て崩壊してしまうとは.

Gがツールの2018年で優勝した際に,指摘されていたのが「勝つためにはミスをしない」こと.
若きレース監督が病気で亡くなって以来,イネオスはツキに見放されている.

ガンナの引きと下りで一瞬集団に追いつくも,TREK(ニバリ)の牽引でGつぶし開始.
もはや集団についていけないG.

この追走の際,気になったのがGの後ろに張り付く選手.
ゼッケン13のアンドローニジョカットリのセペダオルティス(舌かみそう).
この「13」をもらった選手はキリスト教の縁起を担いで,逆さま付けにすることが多い.
しかし,このセペダオルティス(エクアドル人)はまんま「13」で貼り付け.正に死神!(確認すると片方は逆さまでしたって,片方だけかい!)

うーん,これで総合争いの見どころが減ったなぁ...てことはサイモン・イエーツ有利か...と思いきや,なんと今度はそのサイモンが遅れ始める!
なんじゃそりゃぁ!

結局,総合勢ではニバリフルサングが上位でゴール.
二人とももちろん実力者.
しかしグラン・ツールで優勝するには,もはや年齢が行き過ぎているようにも思える.
それにチーム力も.

ホンマ,何があるかわからんね.
正直,Gが以後の優勝争いに絡まないとレースがつまらなくなる.
イネオスのBプランとしては,ディケンズを愛読しているというゲオゲガンハートがエース?
おおっ,こっちも『G』!...いやファーストネームはTaoなので『T』か.

すっかりステージ優勝者を忘れていた.
逃げ切り優勝したのはEFのエクアドル人,カイセド
南米人クライマーらしく小柄.
ハンドルとサドルの段差があまりないので親近感を覚える.
ジャージの件といい,EFは今回話題沸騰やな.

Gやサイモンのような,いつも名前があがるGCライダーが一気に遅れるシーンを見ると,「世代交代」という言葉をひしひしと感じる.
まだニバリやフルサングが残っているものの,今回のジロもツール同様に若手が勝ちそうな気がしてきた.

『Giro d’Italia 2020 Stage2』の感想

2020/10/5 Mon

ローマ時代の遺跡だらけ.

ホンマ,イタリアっつーかシチリア島はキレイやな.
街並みも遺跡も近代建築さえも.
特に今日のコースは高速道路の高架橋を何度も走る.
絵的に美しい.

ただし路面状況は凸凹+スリッピーでめちゃめちゃ悪そう.
北海道の道路も本州勢には評判悪いがそれ以上のようだ.

昨日のレース終了後に様々な情報が出てきた.

まず「EFのハデハデジャージに罰金」事件.
別にデザインに問題があったわけではなく,変更の届けを出していなかったからだそう.
もしこのまま最終日まで着続けると日本円で1000万諭吉に達するそうな.
とりあえず今日のStage2でも着ていたが,「宣伝効果でペイできる」とスポンサーが納得したのだろうか?

M.A.ロペスの転倒は道路の穴にハンドルをとられたからだそう.
実はStage1ではもう一人タイムアウトで失格の選手がいたらしい.
機材トラブルでバイク交換しているうちに間に合わなくなったとか.
そういや去年の大会でも日本人選手が...

Stage1の個人TTで圧倒的な強さをみせたフィリッポ・ガンナ
そのインパクトある名前を世界中でじられているらしいが,現地では「トップガンナ」と言われているそうな.
確かにめちゃめちゃ強そうだ.

さて,今日のStage2.

優勝はUAEのウリッシ.
いつの間にかスルッと出てきて,ゴール前スプリントに参加したサガンは惜しくも2位
なかなか勝てない.
しかーし! 登りゴール2位のおかげで,なんとサガンは山岳賞マリア・アッズーラを獲得!
世にも珍しい青サガンはたぶん今日まで.

レース展開的には,世界最高の逃げ屋であるデヘント先生が5人で逃げた.
ひとり走力が飛びぬけているのでポイント取りまくる.

集団はイネオスのコントロールが終盤まで続く.
マリアローザがガンナ,および総合勢のトップがだからだろう.
それにしても明らかにツールより良いメンツがそろっている.
単純に強そう.

Stage2ではジャーナリストも選手間でも,マイケル・マシューズが勝つという予想が多かった.
登れるスプリンターが優位とされるステージでは毎回名前が挙がる.
そのマシューズ,このStage2の試走はGoogle Mapで行ったとのこと.
そういやツールでも,サイコンを地図表示にしている選手もいたなぁ.

優勝候補の一人,ヤコブ・フルサング(アスタナ)にまたも悲劇が.
M.A.ロペスに続き,強力なアシストであるウラソフが腹痛でリタイヤ.
ジロ後半の凶悪な山岳コースで勝てるのだろうか...おっ,そういえばツールで勝ったポガチャルも早々にアシスト失ってたなぁ.なんとかなる?

Kazchariは今回の『ジロ』をGCNレースパスで視聴している.
同日開催中の『Liège – Bastogne – Liège』の映像がいきなりインサートされて実況の人が慌てるのが面白かった.
そう,日本での放映権はJsportsにあるのだ.

ちなみにこの『Liège – Bastogne – Liège』を豚ワイアードさんは「ツール第23ステージ」と呼んでいる.

ジロ&リエージュ感想:おもしろすぎる事件発生!

それくらい豪華なメンバが出場中.
世界王者のアラフィリップがツールでの補給ミスペナルティに続いて今回もやらかした.
ゴールを確信し手を上げた所をログリッチェに差されるわ,スプリント中に斜行して降格処分になるわと散々.

さて,『ジロ』のGCNの実況について.
Stage2にして早くも心配になってきた.

解説の土井ちゃんはオーストラリア在住なのでZoomでの参加なのだろうか?
音声トラブル結構多めで,しょっちゅう行方不明になる.
その間,実況の木村さん(?)一人でがんばっている場面多かった.
選手プロフィール紹介の「好きな音楽」を見て「『everything』ってMISHAじゃないですよね?」とか,やや無理矢理感.

よく考えればGCNの放送はパレードランからゴールまでフル実況.
これからも最後までこの2人で乗り切るなんかな.
だとしたら大変.

ロードレースは4,5時間の中継のうち8割以上何も起きへんからなぁ...
話のネタは大丈夫か?
早くも土井ちゃんが愚痴っぽくなっている印象.
ゲストを呼んだ方が良いのでは?

今夜はStage3.エトナ山登場.