『Giro d’Italia 2020 Stage6』の感想

2020/10/9 Fri

「ふふ,これなら必ず勝てる!」by おぼっちゃん

『Giro d’Italia 2020 Stage6』は,“イタリア半島ブーツ”の土踏まず部分を走る平坦ステージ.
下り基調と思いきや,後半じわじわ登る
しかも街中グネグネゴール.
そこに至るまでの位置取りが重要.

見どころは残り30kmくらいから(つまりそこまでは...).
逃げの4人が吸収され,キレイに整備された広い高速道路を集団が駆け上がっていく.
BORAのいつもの「ピュアスプリンター追い落とし作戦」が発動するかしないのか,微妙な駆け引きが続く.

向かうはマテーラという洞窟住居が有名な世界遺産の街.
あれ? どこかで見たなと.
これって,『崖の上に街があった』に出てきたとこやん.

『崖の上に街があった』を観た

確かに掛け値なしの絶景
位置取りの緊迫場面にもかかわらず,ヘリの空撮映像もいつもより多め.
「えーい,ガンダムを映せ!ガンダムを」的な.

さて,その位置取り合戦.
「トップガンナ」「深海魚マルティン」の強力な引きから街中に入り混戦状態へ.
いくつかの急なカーブを曲がり,残り750m付近でサガンは3番手という絶好のポジション.
ここで世界的スーパースターに向けるにはいささか不遜だが,「これで勝てねば貴様は無能だ」というセリフが頭に浮かんだ.

実はBORAは中間スプリントでもやらかしている.
逃げ4人通過後のポイント争い.
集団から飛び出したデマールが先頭通過.
本来ならBORAアシストのボドナルは,足を緩めてサガンを先に通過させないといけないのだが,勢いに乗りすぎてデマールの次に通過
結果,デマールとサガンのポイント差が縮まってしまった.
ゲート通過後,二人はしばらく並走して話し込んでいたけど,やはりサガン“激おこ”だったのだろうか?
いわゆるチームワークの乱れがここで感じられた.

さて,ゴール前に話は戻る.
最後のカーブを越えた後,何故かスピードを緩めるサガン.
後方から外のスプリンターがわさわさと上がってくる.
アシストを待っていたのか?

いずれにせよ,その中にデマールがいた.
他チームの選手を利用し自ら発射,そのまま単独ぶっちぎりで優勝.

なんでこうなったぁ~

あくまで印象だが,昨年までのサガンは,アシストを使わず個の力で勝つことが多かった気がする.
もちろん,いいポジションに運んでもらう必要があるので,アシスト不要とは言わないが,ゴール直前では自分が先行し他チームの選手を上手く利用して勝利する,そう正に今回のデマールの様な勝ち方が多かったのではないだろうか?

アシストの力に頼りすぎている?
これってツールでSベネに負け続けたのと同じパターンでは?
中間スプリントでのやらかしでもそうやけど,サガンにチームプレイは合わないのかもしれん.

その他話題.

【マリア・ローザ,ムチウチ?】

無線機の不具合で路肩に停車したクイックステップのアルメイダ
後方からUAEの選手に追突される.
画面でも,交通事故でオカマ掘られた時のような頸部の急な伸展が確認できる.
ムチウチなどは大丈夫だろうか?
現在,謎の頸コリに悩ませ続けられているKazchari,人ごとながら心配.
ムチウチとかになったらチャリなんて乗ってられへんで.

【ヘリの低空飛行事故について】

例のフェンス吹っ飛び事件による落車.
選手やスタッフからかなり抗議が上がっているよう.
ある選手は「テレビ中継の方が命より大事なのか」と発言している.

これまでも中継車両との接触事故はたびたびあったが,主催者は全然調査しないし,したとしてもロクな報告がないらしい.
つまり再発予防のための建設的な対応ができていない.

特に今年はシーズン再開以降,事故が起こりすぎ.
病院から「元気ですよ~」とか「もう自転車乗ってますよ~」みたいな映像・記事が届くが,これは異常事態.
それがあたり前の時点で「これがプロのスポーツなのか?」という疑問が出てくるのは当然.
元々,ほぼ裸同然で未整備の道路を下り100kmで走るありえない娯楽.
300km以上で走るものの,基本クローズドなサーキットで丈夫なヘルメットや脊椎パッドなど,安全面を最重視しているモーターバイクの選手が「(ロードレースなんて)よくこんなクレイジーなことできるな」とあきれていると聞く.

確かに非日常的なスリルは視聴者の興味を引く(=視聴率)には欠かせないものだが,現状,ちょっと来るところまで来てしまっている業界なのかも.

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