2023/8/4 Fri
日常に潜む恐怖
Zwiftの友,Amazon Prime Videoにて『フロッグ』という映画を観た.
別のサスペンス映画を観て以降,ずっと「おすすめ」に上がっていた作品.
完璧に前情報なし.
この手の映画で評価は星4以下と,少々地雷臭がするが,まぁ,食わず嫌いはよくないと鑑賞.
結果的に...うん,偶然が偶然を呼ぶ無理矢理な展開でしたな.ただ...
以下,あらすじとネタバレ感想.
原題は『I SEE YOU』.
内容的には,こちらの方が適切.
『IT』の舞台に似た,典型的なアメリカの田舎町.
MTBで林道を走る少年.
何か未知なる力で,突然“後方に”ふっとばされる!
おっ,オカルト物なのか? 透明なナニカに襟首でも掴まれた?
...と思いきや,実は誰かが木の間に張ったヒモにひっかかっただけでした(後でわかる).
あれれ,おかしいぞぉ.
ヒモがMTBにひっかかったなら,少年は前方に吹っ飛ぶのでは?
と,まず物理法則を無視した展開にツッコミ.
場面は変わって,郊外の豪奢な住宅.
中年女性が朝食を作っている.
息子が2階から下りてくるが,なぜか険悪なムード.
二人の会話から,どうやらこの母親が不倫をやらかしてしまい,それがバレ,街中で噂になっていることがわかる.
母親(カウンセラー)が外出した後,リビングのソファで寝ていた父親(刑事)も起きる.
冒頭のMTBの少年は行方不明らしく,その捜査を担当中.
この街では過去にも少年の連続誘拐事件があり,犯人は収監中.
特徴はグリーンの五徳ナイフを現場に残していくという特徴がある(この設定,あまり意味がない).
さて,この日を境に,この家では数々の怪奇現象が起こる.
いきなりテレビのスイッチがついたり,マグカップが行方不明になったり,銀食器が全てなくなっていたり,レコードプレーヤーが鳴り出したり...うん? なんかしょぼいな.
さて,これらの怪異を訝しがる一家だが,ある日,母親の浮気相手が家に乱入.
なぜか中途半端な拒絶の母親にイライラさせられる.
そこへ,どこからか飛んできたマグカップが男の頭にヒットして出血!(大したケガではない)
それをなぜか地下室で治療する母親.なんなんだこの人.
息子を学校に送るために出かけた合間に,この不倫相手は何者かに撲殺される.
帰宅した母親は死体を発見して絶句.
夫に助けを求める.
息子の仕業と思い込んだ二人は,死体を森の中に埋めに行く.
うん? 息子に確認せんでええんか?
二人が戻ると,なぜか気絶した息子が手足を縛られて浴槽に転がされていたッ!
何ぃ! この家には誰かがいるのか!?
ここで舞台暗転.
時間が巻き戻り,タネ明かしが始まる.
他人の家に勝手に侵入し,屋根裏などに住み着き寝床にする.(バレない程度に)食料を頂き,短期間でまた別の家に移る.決して家の持ち主に危害を加えない.
こうした行為を「フロッギング」というらしい.
もちろん犯罪だが,悪意というよりスリル満点のゲームと捉えている感がある.
この家にも男女二人が侵入.フロッギングを楽しむ女と違って,ビギナーの男の方は期待外れで面白くなかったのか,ルールを破り,家人に対しいたずらを仕掛けるようになる.それが数々の怪奇現象の正体だったのだぁ.
ちなみに男はカエルの被り物をしている.
男は精神的に不安定で,行動がどんどんエスカレート.
とうとう,寝ている父親に小便をかける荒業!(なんで!?)
そろそろ潮時と思った女は,地下室にて母親の浮気相手を父親に撲殺するシーンを目撃してしまう!(なんてこった!)
そう,誘拐事件もしかり,真犯人はなんと刑事である父親だったのだぁー(棒)
女は「これはヤバい」と男に知らせるも,壊れている彼(息子を緊縛中)には話が通じず,もめた末に階段から突き落とされる.
そして後頭部を強打し死亡(っぽく見せる演出).
あわてた男はガレージのクルマに女(の死体)を乗せて逃亡を図るが,そこへ夫婦が帰宅.
気絶している息子を発見し大騒ぎ.母親が病院に搬送することに.
父親は「家で犯人を探す」と告げるが,女の死体が乗ったクルマでどこかへ出かける.
車内で目覚める女.
偶然,そばにあったカバンの中に血まみれのバットやら,グリーンの五徳ナイフやら,行方不明中の少年のシャツを発見.
全てを察してしまう.
女はどこかの森で停車したクルマから脱出.
周囲に父親はいない.
携帯電話で警察に助けを求めるも電波弱し.残念.
徘徊中,偶然,森の中でキャンピングトレーラーを発見.
早く逃げれば良いものの,なぜか好奇心にかられて侵入.
なんと,そこには...はい,おわかりですね.なんと誘拐された少年2名が監禁されていたッ!
助けようとするものの,背後からビニール袋を持って近づく父親!
女はまたしても殺される(ように見える演出).
父親,女の死体を連れて帰宅.
ソファに横たえ,ほっぺたをペチペチすると女が蘇った(またかい!).
父親は全てがバレたことを知り,この女を犯人に仕立て上げることにする.
銃撃戦の末に女を銃殺(したように偽装).
さすがに今度こそ死んだ?
女が殺されたことを知った男は逆上.
父親との最終バトル開始.
さすがに拳銃を持った刑事相手では分が悪いのか,気絶させられ,強盗犯の濡れ衣を着せられそうになる(半分は本当).
ところが油断したスキに男が拳銃を奪って反撃.
父親も,死に際に「聞いてくれ,オレも...」とかなんとか言ってたので,過去に何らかのトラウマ経験(誘拐?)がある模様.
男はそれを意に介さず発泡.
警察に取り囲まれた自宅を見て,呆然とする母と息子.
全てが終わった.
ここで回想.
フロッギングの男も子供の頃,まさにこの犯人(父親)に誘拐・監禁された被害者だったことが明かされる.
終わり.
えっ? 終わり!?
つまり,虐待の連鎖ならぬ,誘拐・監禁によるトラウマや連鎖を表現したかった...のだろうか.
アイデアは悪くないけど見せ方がなぁ...
役者もあまり魅力がないし.
にしても,登場人物のほぼ全員が胸糞.
フロッギングの男女にも同情できないし,真犯人(父親)と母親は言わずもがな,
これはあれだな,どっちもどっちの『ドント・ブリーズ』パターンか.
ドント・ブリーズ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
しいてあげれば,息子はわりとまとも.
それでも母親はアレだし,父親の正体がバレればこの街にはいられない.
中学生(?)にしてこの先,過酷な人生が待ち受けている.
超常現象に頼るのでもなし,無意味にスプラッタ描写もなし.
そこは良い.
偶然には頼っているけどな.
いわゆる”日常に潜む恐怖系”映画だった.
おっ,言われてみれば「ジョジョ第四部」もしくは「岸辺露伴」シリーズにあっても違和感のない話やったな.
そう考えて,各キャラを荒木絵に置き換えると...ゴゴゴゴゴッ...おぉ,馴染む馴染むぞ!
真犯人が平穏を愛する殺人鬼,吉良吉影(川尻浩作)で,街並まで杜王町に見えてきたぜッ!
そして,真相をあばくのは息子(川尻早人)!
例の放尿シーンとか,むっちゃありそう.
もしかして監督もしくは脚本家はジョジョラーだったりして.
つーことで,散々ネタバレしてしまいましたが,脳内でジョジョ風にキャラを変換できるなら,めちゃめちゃ楽しめるかもしれない映画でした.
チャン♪チャン♪