ちょうちょ結びとAI

2024/12/25 Wed

退化なのか進化なのか

うちの町内では週2回の可燃ごみ収集日がある.

先日,室内のゴミをまとめ,ビニール袋を結んでいると,息子が「これも入れて」と紙くずを持ってきた.
それを自分で入れさせた後,「袋,しばっといて」と伝えると,「できない.やったことがない」と驚愕の返事.

うちのアホ息子,小6なのに「ちょうちょ結び」ができないのだ.

「そんなアホな,靴紐はどうしてんの?」と玄関の下駄箱を見ると,全てのシューズがマジックテープ式.そういう時代なのか?

まっ,できないものを無理やり「やれ」とは言えないので,その場で教えることにした.
ただし,ゴミで膨れた袋を結ぶのは“初心者”にはハードルが高い.
失敗を繰り返し,すっかりスネてしまった.
オーソドックスに色違いの紐を使って,別の機会にあらためて練習させる方がよさそう.

Kazchariは小学生の頃,剣道を習っていたので,自然に「ちょうちょ結び」を取得したが,やはり経験および必要性がないと身に付かないものなのだろう.
実のところ,Kazchariも他の結び方は知らんし.
むしろ幼少期より,ガールスカウトに参加してきた娘の方がロープワークに詳しいかも.

それはさておき,知人の若者にも,ホチキスやのこぎりなどの使い方を知らない,使えても適切に使えない,挙句に道具を壊してしまう者が散見される.

カラダを使った学習,いわゆる「手続き記憶」は適切な動作を頻繁に行わないと身に付かない.
要はそれぞれの道具を操作する経験が減っているということだろう.
そういや,「プラモデルを作ったことがない」男子学生も今や珍しくない.

実際の職場でもPCの進化によって,カラダ(動作)を伴わない頭脳労働が増えた.
特にAIの進化は驚異的.

その昔,大学院にてカウンセリングの勉強をしている頃,クライエントとの会話の文字起こし,いわゆる逐語録を作ることが度々あった.
恐ろしいことに,1時間のカウンセリングを記録するのに5時間,つまり5倍の時間を要した.
それが今や音声データをPCに読み込ませると,AIが数分で文字起こししてくれる.
もちろん最初は完全ではなく,同音異義語の多い日本語では推敲が必須だが,この修正行程も記憶し,次からは適切な語句を選んでくる.
挙句の果てには,ワンクリックで要約文もあっという間に作れる.

ただ,この作業の間,Kazchariは以前のようにICレコーダーを操作して,聴いて,覚えて,書いて,考えてなどの作業はほとんど行っていない.
良くも悪くも脳に何の負荷もかかっていない.

時代はここまで来てるねんなぁ...(業界の人には遅れてると笑われそうだが)

職場の同僚もGoogleのGeminiを使って仕事をしている.
例えばExcelのスプレッドシートを,AIと相談しながら作成.
見せてもらう.
わからない点を音声質問すると,画面上をカーソルが勝手に移動してインタラクティブに指導.
もはや人に教わっているのと変わらない.
いや,わかりやすさと正確さで言えば,人間以上か.

これを全人類が使いこなせば講師不要,そして学校不要(かも).
効率だけで測れるほど,社会は単純ではないと信じたいけどな.

いわゆる新コロ世代を差別するわけではないけど,近頃,学生の消極性に拍車がかかっている気がする.何しろ質問がない.

その割にテストの平均点は昔の学生とさほど変わらない.
そこから推察するに,理解力そのものは変わってないのか?

それとも,リアルな講義もYouTubeなどのノンインタラクティブな教材と同じように捉えられているのか?

先日,本命の大学の二次試験を受けた我が娘,残念ながら再び不合格.
いよいよ,次は共通テストによる評定後の学力勝負.

3度目の正直となるのか,それとも諦めるのか...
我が娘,重要科目である英語の成績が壊滅的なのだ.

では,早速Geminiで共通テスト対策の英語勉強法を聞いてみようっと!
...しっかりYouTubeのおすすめが出てきた.