デジタル vs リアル

2020/4/9 Thu

4/5に放送されたNHKスペシャル『デジタル VS リアル 第1回 フェイクに奪われる“私”』を観た.

番組の概要をNHKサイトからコピペ.

私たちが信じるリアル。それ、ホントに“リアル”!?SNSの投稿動画や検索履歴に残された個人情報、そして監視カメラの映像・・・今、デジタル世界に積み上げられていく膨大なデータが現実世界の私たちの行動に大きな影響を及ぼそうとしている。テクノロジーの進化で生まれる新たな時代を見つめる新シリーズ「デジタルVSリアル」。“シリーズアイコン”としてインスタグラムで大人気、渡辺直美さんが登場!

デジタルテクノロジー発展の負の側面にスポットをあてるデストピア系の内容.氾濫するウソ情報=「フェイク」との闘いが紹介される.

メキシコでフェイク情報によって小児誘拐犯にされてしまった若者とその叔父が,“正義感溢れる”一般群衆に殺害されるという事件が発生した.しかも2人は警察所内にて聴取中で,警官の制止があったにも関わらずである.さらに処刑中(焼殺!)の動画が撮影され拡散される.このとんでもない事件,知らなかった.

次に,有名なモデルがフェイクポルノの被害に遭っているという報告.別人のヌード写真やスキャンダル写真の顔だけを自分に挿げ替えられたものが拡散されてしまっている.日本でも昔はアイコラってのが流行ったなぁ.その頃はいかにもインチキくさい画像だったが,最新の技術では肉眼での区別はほとんどできなくなっている.また,フェイク画像作成請負人には,「今度は○○の画像を作ってくれ」というリクエストが舞い込むそうな.

たぶん一番問題となっているのが,選挙におけるフェイク利用.番組では台湾アメリカの事例を紹介.台湾と言えば,議会での乱闘で有名.中国との関係で微妙な立場にあるせいか,政治に熱くなる国民性なのだ.それはさておき,フェイク画像や情報によって知らないうちに投票行動を操作されているかも...との指摘だった.そして,ここにもフェイクによる世論操作請負人(本人出演!)が存在し大儲けしているとのこと.一方でフェイクの解析・撲滅を目指して活動する市民団体も紹介されている.

以上が番組の骨子なのだが,Kazchariが他に興味をひかれたのが次の2点.

自分のSNSの“いいね”を自動的に増やすアプリの存在.自社商品の評判を上げたい企業はもちろんのこと,承認欲求を満たしたい個人ユーザーがダウンロードするようだ.自慢ではないが,このブログ,1日の平均訪問者数は30人だし,アフィ収入はゼロだっ! 承認なんぞいらん!(ToT)
それはともかく,このアプリ,導入と同時に自分のアカウントを自由に使う権利もそのアプリ会社に渡すことになるらしい.それが,選挙立候補者など,特定人物の“いいね”カウントを増やすのに利用されている.もし誰かが不審に思い,違法な操作を疑いアカウントを辿ったとしても一般有権者の“有効な”アカウントなので信用してしまうという.

もう1点.有名人のフェイク動画の作り方.例えばオバマ前大統領の演説の場合,声質を本人に似せるのはもちろんのこと,嘘内容を話している他人の口元に挿げ替え,微妙な動きやシワ,顔全体の筋肉との協調や肌の色をAIが解析し,肉眼では判別不能レベルにまで調整.よって,フェイクかどうかを見抜くためにも別のAIを導入するらしい...つまりAI vs AIの図式って,えーと,もはや人間いらんやん.スカイネットが今にも誕生しそうな世の中である.

悪夢としか思えないが,昔はよかったとは言いたくない.これからも確実にテクノロジーは進化していくだろう.Kazchariとしては,知識や情報収集によってフェイクを見抜くリテラシーを鍛え,デジタルテクノロジーの正と負,両方の側面を少なくとも自分の子供には伝えていきたいと思う.

また,番組を観ていて思ったのが,身体感覚に帰れということ.
デジタルで視覚上は何でも作れる世界になった.視覚情報だけでは脳は容易に騙される.某自転車マンガのキャラではないが,ヴァーチャル体験が増えた今,生きていることを定期的に実感することが大事.特にヒルクライムをして自分の心臓・肺が働いていること,自分の命令通りに筋肉が収縮していることの確認が必須! 進むもやめるも自分次第

第二回『デジタルVSリアル「さよならプライバシー」』は4/12放送である.
なんだかNHKの回し者みたいやな.

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