とあるキャラクターの死

2020/9/28 Mon

宇宙歴800年6月1日2時55分.

銀河英雄伝説 本伝・第3期

【※ 以下『銀河英雄伝説』(旧)のネタバレ】

『Tour de France 2020』のせいでしばらく中断していたが,『銀河英雄伝説』(旧)の視聴を再開した.
ようやく本伝・第3期(第55~86話)もクライマックス.
久し振りにアニメ観ていて涙腺がゆるみましたよ.

古参の「銀英伝ファン」には常識だったのかもしれないが,Kazchariは全く素の状態で鑑賞していたため,主人公の死にはホンマにびっくりした.

そこまでの流れはざっとこんな感じ.

イゼルアローン要塞に立てこもる「共和国軍(あえて呼称)」ラインハルトの帝国本軍が迫る.
例によって数的不利を戦略・策略によって補うヤン・ウェンリー!...とまぁ,このあたりはいつもの展開(古いアニメゆえ,戦闘シーンは相変わらず地味)
劣勢気味でイライラおよび働き過ぎのカイザー・ラインハルトが病気になって一時停戦.
少し落ち着いた後,共和国軍のリーダーたるヤンに直接会談が申し込まれた.
「罠かもしれない」「いやカイザーはそんなことしない」との議論がなされたが,例によって楽天的なノリで,ヤンはその会合に応じることとなった.
少数の護衛とともにイゼルアローンを離れるヤン...

確かに死亡フラグは立ちまくっている.
何より第3期エンディングの映像(過去の写真を見るユリアン)もそうだし,第82話「魔術師,還らず」という題名や予告はそのまんま.
でもなぁ,さすがに主人公をなぁ...まるで小説版ガンダム

ヤン・ウェンリーは神レベルというか,クウガの五代雄介と並ぶ最強クラスの”いい人”
とは言え,Kazchariが泣いたのはヤンの最期ではなく,その後のユリアンがヤン夫人のフレデリカに,夫の死を伝えるシーンである.

そのフレデリカのセリフで泣けました.

第一の波.

「あの人はこんな死に方をする人じゃないの.年老いて昔の武勲を知る人も少なくなって,毎日日向に置いた揺り椅子に揺られて静かに本を読んでいる.そんな日常の中であるひ孫が呼びに来ても返事がない.陽だまりの中で静かに眠るようにいつの間にか...それがそんな死に方こそがあの人にはふさわしいと信じていたのに...」

第二の波.

「立派ですって?私は立派なんかじゃないわ!本当言うとね,私は民主主義なんて滅びてもいいの! 全宇宙が原子に還元したってかまわない! あの人が私の傍らで半分眠りながら本を読んでいてくれたら...」

政治的指導者に就く公の自分の決意と私的感情の爆発(ハマーン様...ではなく榊原さんさすがである).
戦争という大局の中の死であるが,あくまで個人においては,たった一人のかけがえのない人がいなくなってしまった圧倒的な喪失感.
Kazchariにもそう遠くない将来に訪れる,もしくは誰かに与えてしまう感情やねんなぁ...この”死”というやつは.

ユリアンがストーリーの主軸だった現地球の描写が不味すぎたおかげで,ヤン殺害の主犯である地球教のファンタジックすぎる存在は,いまだに納得いかない.
ただし,第4期や外伝は未鑑賞.
もう少し掘り下げられるのだろうか.
今後の展開も楽しみ...やけど,この流れやとラインハルトもたぶん...やろなぁ.

さすがに視聴後2.3日経つと,所詮創作された人物の死という冷めた自分も顔を出してきたが,この回を鑑賞した日は一日中,引きずっていたなぁ.

そしてこの週末はリアルな世界でも有名女優の死があり,『半沢直樹』の最終回では「生きてればいいじゃない」というセリフがあり,死に関する話題が様々なタイミングで重なった日だった.

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